平成27年度 高齢社会対策

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第2 分野別の高齢社会対策

6 全世代が参画する超高齢社会に対応した基盤構築のための基本的施策

(1)全員参加型社会の推進

ア 若年者雇用対策の推進

少子高齢化の進展により労働力人口が減少する中、将来の経済及び社会を担う若者が生涯を通じて円滑にキャリア形成を行うことができるよう、若者の雇用の促進等を図るための「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案」を第189回国会に提出しており、本法案が成立した場合は、その着実な施行により、総合的かつ体系的な若者雇用対策を推進する。

(ア)大学などの新卒者・既卒者に対する就職支援の推進

若者の採用・育成に積極的に取り組む企業を法律上認定する仕組みを設け、重点的なマッチングや助成措置等を講ずるとともに、新卒応援ハローワーク等における新卒者等に対する就職支援の強化を図る。

また、中退者、未就職卒業者に対して、関係機関と連携を図りつつ、就職支援情報等を確実に届ける等の支援を行う。

さらに、若者の非正規雇用割合や総企離職率が高い業種について、業界ごとの多様な若者の活用状況や雇用管理上の課題を踏まえつつ、コンサルティング等を新たに実施することにより、企業の自主的な雇用管理改善による「魅力ある職場づくり」の取組を推進する。

(イ)フリーター等の正規雇用化の推進

フリーター等の現状について、学校段階から若者に周知し、若者の安定就労への注意喚起を図るとともに、わかものハローワークにおけるキャリア・コンサルティング機能を強化する。

また、職業経験、技能、知識から安定的な就職が困難なフリーター等について、原則3か月間試行的に雇用し、その後の常用雇用への移行を図る「トライアル雇用奨励金」の活用を推進する。

イ 雇用・就業における女性の能力発揮

労働者が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するため、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和47年法律第113号)に沿った男女均等取扱いが徹底されるよう周知啓発、指導を行うとともに、事業主と労働者の間に紛争が生じた場合には円滑かつ迅速な解決が図られるよう援助を行う。特に妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについては、女性労働者の尊厳を傷つけ、継続就業を妨げるものであることから事業主に対する積極的な報告徴収、指導等を行う。

また、男女労働者間に事実上生じている格差の解消を目指す企業の自主的かつ積極的な取組(ポジティブ・アクション)について、企業が具体的な取組を行うことができるよう必要な助言及び情報提供を積極的に行い、その一層の促進を図る。具体的には、女性の活躍・両立支援総合サイトにおいて女性の活躍に関する企業情報等の提供を行うとともに、ポジティブ・アクションに取り組む企業を支援するための助成金制度の拡充、「均等・両立推進企業表彰」、経営者団体と連携した「女性の活躍推進協議会」の開催等を実施する。

男女労働者間の格差について企業内での実態把握や気づきを促す「男女間賃金格差解消に向けた労使の取組支援のためのガイドライン」や「『見える化』支援ツール」の作成・普及により、ポジティブ・アクションの具体的取組を支援し、女性労働者が就業を継続し、能力を発揮できるような環境づくりを支援する。

このほか、個別企業における役員・管理職の女性比率、男女別の勤続年数、育休の取得者数等のデータを公表している「女性の活躍『見える化』サイト」と「女性の活躍・両立支援総合サイト」を統合することにより、企業情報の総合データベース化を図る。

「食料・農業・農村基本計画」等を踏まえ、農業経営や6次産業化の取組等において女性の更なる活躍を推進するため、地域計画づくりへの女性参画の要件化や女性による事業活用の促進等により、女性の活躍を推進する施策を実施する。

各社の取組を加速化していくことを狙いとして、東京証券取引所と共同で、「女性活躍推進」に優れた上場企業を、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄(「なでしこ銘柄」)として選定する(平成24年度から実施)。また、「ダイバーシティ経営企業100選」(女性を含め多様な人材の能力を活かして、イノベーションの創出、生産性向上等の成果を上げている企業を選定)については、24年度から26年度までの事業成果の発信とともに、ダイバーシティ経営のさらなる普及と発展を目指すべく、これまで選定されていない企業を対象として、事例の少ない分野を積極的に表彰するよう検討する。

ウ 非正規雇用労働者対策の推進

非正規雇用対策については、非正規雇用の労働者の雇用の安定や処遇の改善を図るため、正規雇用への転換、人材育成、処遇改善など、企業内でのキャリアアップを支援するための総合的な対策を推進していく。

また、平成26年6月に閣議決定された「『日本再興戦略』改定2014」を受けて、職務等に着目した「多様な正社員」モデルの普及・促進を図るため、雇用管理上の留意事項及び成功事例の周知・啓発を行うとともに、多様な正社員の導入を検討している企業に対するコンサルティングや助成制度等、支援措置を講じる。

あわせて、派遣労働者、有期雇用労働者及びパートタイム労働者といった非正規雇用の態様ごとの法制面での対応として、第189回国会に提出している労働者派遣法の改正法案が成立した場合には、その内容の周知等を行い円滑な施行に取り組むとともに、有期契約労働者については、引き続き、改正労働契約法の周知等を行う。

また、パートタイム労働者については、パートタイム労働法に基づく是正指導等により同法の着実な履行確保を図る。

エ 子育て支援施策の総合的推進

子供と子育てを応援する社会の実現に向けて、平成22年度から26年度までの5年間で目指すべき施策内容と数値目標を盛り込んだ、少子化社会対策基本法第7条に基づく大綱等に基づき、総合的な少子化対策を推進していく。

子ども・子育て関連3法に基づく子ども・子育て支援新制度が、平成27年4月に本格施行されることとされており、同制度の着実かつ円滑な実施に取り組む。

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