平成29年度 高齢社会対策(第2 6)

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第2 分野別の高齢社会対策(6)

6 全世代が参画する超高齢社会に対応した基盤構築のための基本的施策

(1)全員参加型社会の推進

ア 若年者雇用対策の推進
(ア)新卒者等への正社員就職の支援

「若者雇用促進法」に基づく、①新卒者の募集を行う企業による職場情報の提供の仕組み、②ハローワークにおける一定の労働関係法令違反に係る求人者の求人不受理、③若者の雇用管理が優良な中小企業についての認定制度(ユースエール認定制度)等について、その取組を促進する。

また、全国57か所の新卒応援ハローワーク等を拠点に、ジョブサポーターが新規学卒者等の在学中から就職、職場定着までの一貫した支援を展開する。

さらに、事業主に対して既卒3年以内新卒扱いについて周知を行うとともに、既卒者等の新規学卒枠での応募機会の拡大及び採用・定着の促進を図るため、特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)の充実により、当該助成金を活用した既卒者等の応募機会の拡大を図っていく。

加えて、地方への正社員就職を促進するため、「地方人材還流促進事業」(LO活プロジェクト)により、東京圏・大阪圏において地方への就職を希望する若年者の掘り起こしを図るとともに、新卒応援ハローワーク等に就職支援コーディネーター等を新たに配置し、地方自治体等と連携した就職支援を実施する。

(イ)フリーター等の正社員就職の支援

全国28か所のわかものハローワーク等を拠点に、担当者制による個別支援、正社員就職に向けたセミナーやグループワーク等各種支援、就職後の定着支援を実施し、フリーター等の正社員就職を促進する。

また、職業経験、技能、知識の不足等から安定的な就職が困難なフリーター等について、原則3か月間試行的に雇用し、その後の常用雇用への移行を図る「トライアル雇用助成金」の活用を推進する。

さらに、いわゆる「就職氷河期」に就職時期を迎えた不安定就労者等に対し、短期・集中セミナー、企業に対する雇入れ支援等を新たに実施することにより、正社員就職に向けた集中的な支援を実施する。また、わかものハローワークにおいて、職業訓練受講者の支援の充実等のため、職業訓練受講給付金の支給業務の実施を含めたワンストップ化を推進する。

イ 雇用・就業における女性の能力発揮

労働者が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するため、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和47年法律第113号)に沿った男女均等取扱いがされるよう周知徹底、指導を行うとともに、事業主と労働者の間に紛争が生じた場合には円滑かつ迅速な解決が図られるよう援助を行う。

また、引き続き事業主に対する積極的な報告徴収、指導等を行い、妊娠、出産、育児休業・介護休業等の申出・取得をしても安心して働き続けられるよう、不利益取扱いの未然防止の徹底、平成29年1月1日から事業主に義務付けられた妊娠・出産・育児休業・介護休業等の申出・取得に関するハラスメント防止対策の措置を中心に周知徹底を図る。さらに、労働者等への相談に迅速に対応するとともに、各企業の実情に応じた雇用管理の整備に向け、きめ細かい支援を実施する。

平成28年4月1日に全面施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の実効性を確保するため、常時雇用する労働者の数が301人以上の事業主について、同法に基づく報告徴収の実施により、策定された一般事業主行動計画の進捗状況に留意し、課題の改善にあたって必要な助言を行う。

一方、労働者の6割以上は、計画策定が努力義務である300人以下の事業主に雇用されているのが実情であるため、中小企業においても女性の活躍推進の重要性を理解し、取組を加速化させていく必要があることから、中小企業のための支援体制を構築し、引き続き集中的に中小企業の女性の活躍推進を支援する取組を講じる。

また、「女性の活躍・両立支援総合サイト」内の、企業の女性の活躍状況に関する情報を一覧できる「女性の活躍推進企業データベース」の活用を促し、女性の活躍に取り組む企業ほど求職者等に選ばれる社会を目指すとともに、女性の活躍に取り組む企業を支援するための助成金制度や、「均等・両立推進企業表彰」等を実施する。

なお、国・地方自治体においては、行動計画に基づく事業主の取組の実施状況を始め法の施行状況の調査・分析を進めるとともに、女性活躍推進法「見える化」サイトを活用し、好事例の発信等を行うことにより、事業主における取組の着実な実行を図る。

「食料・農業・農村基本計画」等を踏まえ、農業経営や6次産業化の取組等において女性の更なる活躍を推進するため、地域の農林水産業に関する方針決定の検討の場への女性の参画の義務化や女性による事業活用の促進、地域農業のリーダーとなり得る女性農業者の育成、女性の活躍推進に取り組む農業法人等の認定・表彰等により、女性の活躍を推進する施策を実施する。

各社の取組を加速化していくことを狙いとして、東京証券取引所と共同で、「女性活躍推進」に優れた上場企業を、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄(「なでしこ銘柄」)として選定する(24年度から実施)。女性を含め多様な人材の能力を活かして、イノベーションの創出、生産性向上等の成果を上げている企業を表彰するとともに、先進企業が自社の取組を各地で紹介する等、ダイバーシティ経営の普及啓発を行う。

ウ 非正規雇用労働者対策の推進

非正規雇用対策については、平成28年1月に策定した「正社員転換・待遇改善実現プラン」に基づいた取組を引き続き進めていく。同一労働同一賃金の実現に向け、我が国の雇用慣行には十分留意しつつ、躊躇無く法改正の準備を進める。あわせて、派遣労働者、有期雇用労働者及びパートタイム労働者といった非正規雇用の態様ごとの現行法に関する対応として、27年9月に施行された労働者派遣法改正法について引き続き内容の周知等を行い、円滑な施行により取り組むとともに、有期契約労働者については、引き続き、改正労働契約法の周知等を行う。また、パートタイム労働者については、パートタイム労働法の周知・指導等により同法の着実な履行確保を図る。

また、平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」を受けて、「多様な正社員」の導入事例や、非正規雇用労働者の正社員転換等の取組を行っている事例を収集し、ホームページで周知・啓発を図るとともに、シンポジウムや企業向けセミナーを開催し、「多様な正社員」や非正規雇用労働者の正社員転換等に対する社会的機運の醸成を図るほか、雇用管理上の留意事項及び成功事例の周知・啓発を行うとともに、「多様な正社員」の導入を検討している企業への支援としてモデル就業規則の作成やコンサルティングを実施する。

また、平成28年12月に働き方改革実現会議で示された「同一労働同一賃金ガイドライン案」等を参考とした企業における非正規雇用労働者の待遇改善を支援するため、全都道府県に「非正規雇用労働者待遇改善支援センター」を設置し、労務管理の専門家による個別相談援助や電話相談等を実施する。

エ 子育て支援施策の総合的推進

少子化社会対策基本法第7条に基づく大綱等に基づき、子育て支援施策の一層の充実や結婚・出産の希望が実現できる環境の整備など総合的な少子化対策を推進していく。

子ども・子育て関連3法に基づく新制度について、平成28年4月から開始した仕事・子育て両立支援事業も含め、制度の着実かつ円滑な実施に取り組む。

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