第2章 高齢社会対策の実施の状況(第1節)

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第1節 高齢社会対策の基本的枠組み

○我が国の高齢社会対策の基本的枠組みは、「高齢社会対策基本法」(平成7年法律第129号)に基づいている。

○高齢社会対策会議は、内閣総理大臣を会長とし、委員には関係閣僚が任命されており、高齢社会対策の大綱の案の作成、高齢社会対策について必要な関係行政機関相互の調整並びに高齢社会対策に関する重要事項の審議及び対策の実施の推進が行われている。

○高齢社会対策大綱は、高齢社会対策基本法によって政府に作成が義務付けられているものであり、政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針となるものである。

○人口の高齢化等を受けて、様々な分野で変化が生じていることから、高齢社会対策大綱の見直しがを行うことが高齢社会対策会議で決定され、「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」の報告書等を踏まえ、政府内で高齢社会対策大綱の案の策定が進められ、平成30年2月16日、4度目となる高齢社会対策大綱が閣議決定された。

○高齢社会対策基本法第2条に掲げる社会が構築されることを基本理念とし、以下の3つの基本的考え方にのっとり、高齢社会対策を推進することとしている。

  • 年齢による画一化を見直し、全ての年代の人々が希望に応じて意欲・能力をいかして活躍できるエイジレス社会を目指す。
  • 地域における生活基盤を整備し、人生のどの段階でも高齢期の暮らしを具体的に描ける地域コミュニティを作る。
  • 技術革新の成果が可能にする新しい高齢社会対策を志向する。

○一億総活躍社会の実現に向けて

「ニッポン一億総活躍プラン」に基づき、介護離職ゼロに向け、介護人材の処遇について、競合他産業との賃金差がなくなるよう、キャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の改善を行う(障害者福祉人材の処遇改善についても同様)等の取組を行った。また、「ニッポン一億総活躍プラン」のロードマップの進捗状況について、継続的な調査及び施策の見直しの検討に資するため、「ニッポン一億総活躍プラン」フォローアップ会合を開催した。

○働き方改革の実現に向けて

働き方改革は、「ニッポン一億総活躍プラン」において、一億総活躍社会に向けた最大のチャレンジと位置付けられており、平成29年3月28日には、第10回働き方改革実現会議において「働き方改革実行計画」が取りまとめられた。働き方改革実行計画においては、我が国の企業文化やライフスタイル、さらには、「働くということ」に対する考え方そのものを変えていくため、「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」、「罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正」をはじめとする様々な改革をトータルな形で示している。

その他、労働政策審議会における審議を経て、一人ひとりの意思や能力、置かれた事情に応じた多様な働き方の選択を可能とするため、長時間労働の是正や同一労働同一賃金をはじめとする改革を総合的に推進するための法案について、平成30年度通常国会に提出した。

○人生100年時代構想会議

人生100年時代に、高齢者から若者まで、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくるためには、生涯を通じて切れ目なく、質の高い教育を用意し、いつでも有用なスキルを身につけられる学び直しの場が、安定的な財源の下で提供される必要があるほか、我が国の社会保障制度を、子供・若者から高齢者まで誰もが安心できる「全世代型の社会保障」へ大きく転換していく必要がある。

その重要な鍵を握るのが「人づくり革命」、人材への投資である。これまでも政府は、誰もが生きがいを持って生活を送られるようにするために、一億総活躍社会の実現や働き方改革に取り組み、「人への投資」に力を入れてきたところであるが、こうした人生100年時代を見据えた人づくり革命は、一億総活躍社会をつくっていく上での本丸であり、人づくり革命なしには一億総活躍社会をつくり上げることはできない。平成29年8月3日の内閣改造にあたり新たに人づくり革命担当大臣が任命された。そして、人生100年時代を見据えた経済社会システムを創り上げるための政策のグランドデザインを検討する新たな会議として、同年9月より「人生100年時代構想会議」を開催し、同年12月に中間報告を取りまとめた。

また、人づくり革命と生産性革命を車の両輪として、少子高齢化という大きな壁に立ち向かうため、構想会議での審議内容を踏まえて「新しい経済政策パッケージ」を策定した(平成29年12月8日閣議決定)。

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