第3章 平成30年度 高齢社会対策(第1節)

[目次]  [前へ]

第1節 平成30年度の高齢社会対策の基本的な取組

平成30年度における主な施策は次のとおりである。

○一億総活躍社会の実現に向けて

我が国の構造的な問題である少子高齢化に真正面から挑み、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」の取組を通じて「一億総活躍社会」の実現を目指す。

そのため、平成28年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」のロードマップの進捗状況を把握しつつ、着実に取組を進めていく。

○働き方改革の実現に向けて

平成29年3月28日に策定された「働き方改革実行計画」では「高齢者の就業促進」がテーマの一つとされ、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業への支援を充実し、将来的に継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備や、多様な技術・経験を有するシニア層が、一つの企業に留まらず、幅広く社会に貢献できる仕組みを構築するための施策等が盛り込まれている。平成30年度においては、平成29年度に引き続き「働き方改革実行計画」に盛り込まれた施策について、10年先を見据えたロードマップに沿って進めていく。

○人生100年時代構想会議

人生100年時代を見据えた経済社会システムを創り上げるための政策のグランドデザインを検討するため、平成29年9月より「人生100年時代構想会議」を開催し、同年12月に中間報告を取りまとめた。リカレント教育など残された論点について更に議論を進め、平成30年夏には基本構想を打ち出す。

(1)就業・所得

○多様な形態による就業機会・勤務形態の確保

シルバー人材センター事業について、高齢者が人手不足の悩みを抱える企業を一層強力に支えるため「高齢者現役世代・雇用サポート事業」を抜本的に見直し、会員拡大等による企業とのマッチング機能等を強化するなど高齢者の就業機会の促進を図る。特に、平成28年より、都道府県知事が業種・職種及び地域を指定した場合に限り、派遣及び職業紹介の働き方において就業時間の要件緩和が可能となったところであり、平成30年度より就業時間が緩和された地域において高齢者の就業促進を図った場合に補助額を増額する仕組みを創設し、更なる高齢者の就業促進を図る。

○高齢者等の再就職の支援・促進

主要なハローワークにおいて、特に65歳以上の高年齢求職者を対象に、本人の状況に即した職業相談や職業紹介、求人開拓等の支援を行う窓口の増設を行う。

あわせて、地域の事業主団体等と公共職業安定機関の協力の下、雇用を前提とした技能講習、面接会、フォローアップ等を一体的に行う事業を実施する。

○高齢期の起業の支援

日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業)において、高齢者等を対象に優遇金利を適用する融資制度(女性、若者/シニア起業家支援資金)により開業・創業の支援を行う。

また、中高年齢者等の雇用機会の創出を図るため、中高年齢者等が起業(いわゆるベンチャー企業の創業)する際に必要となる、雇用の創出に要する経費の一部を助成する措置を引き続き実施する。

日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業)の融資制度(地域活性化・雇用促進資金)において、エイジフリーな勤労環境の整備を促進するため、高齢者(60歳以上)等の雇用等を行う事業者に対しては、当該制度の利用に必要な雇用創出効果の要件を緩和(2名以上の雇用創出から1名以上の雇用創出に緩和)する措置を継続する。

○勤労者の職業生活の全期間を通じた能力の開発

職業生涯の長期化や働き方の多様化等が進む中、勤労者がその人生において、必要な学び直しを行いライフスタイルに応じたキャリア選択を行うことができるよう、人生100年時代を見据え、リカレント教育の抜本的な拡充等、誰もが幾つになっても、新たな活躍の機会に挑戦できるような環境整備について、検討する。

○高齢期における職業生活の多様性に対応した年金制度の構築

65歳より後に受給を開始する繰下げ制度について、積極的に制度の周知に取り組むとともに、70歳以降の受給開始を選択可能とするなど、年金受給者にとってより柔軟で使いやすいものとなるよう制度の改善に向けた検討を行う。

また、在職老齢年金については、高齢期における多様な就業と引退への移行に弾力的に対応する観点から、年金財政に与える影響を考慮しつつ、制度の在り方について検討を進める。

○資産形成等の促進のための環境整備

確定拠出年金について、iDeCo(個人型確定拠出年金)の普及を引き続き進めるとともに、平成30年5月から施行される簡易企業型年金制度や中小事業主掛金制度といった中小企業が私的年金を利用しやすい制度の導入や、年金資産として高齢期の所得確保に資するべく加入者等の運用指図を支援するため、運用商品提供数の上限の設定や継続投資教育の努力義務化などの確定拠出年金の運用の改善にも取り組む。

確定給付企業年金については、リスク分担型企業年金制度等の周知を行うとともに、平成30年4月以降に実施する運用の基本方針及び政策的資産構成割合の策定の義務化などを内容としたガバナンスの見直しを実施するなど、私的年金制度の一層の普及・充実と適切な運営の促進を図る。退職金制度については、中小企業における退職金制度の導入を支援するため、中小企業退職金共済制度の普及促進のための施策を実施する。

また、勤労者が資産形成を開始するきっかけが身近な場で得られるよう、職場環境の整備を促進することにより、つみたてNISA等の普及や利用促進を図る。その際、国家公務員がつみたてNISAを広く活用するよう、職場つみたてNISAを導入するなど、政府として率先して積極的なサポートを行うことにより、地方公共団体や企業における同様の取組を促していく。

○資産の有効活用のための環境整備

高齢社会における金融サービスの課題として、資産を計画的に運用しながら取崩す金融商品・サービス、資産や事業の円滑な承継及びフィナンシャル・ジェロントロジーの進展を踏まえた高齢投資家保護のあり方等について検討を行い、高齢者の多様性やそれぞれのニーズに対応した金融商品・サービスの提供が促進されるよう努める。

リバースモーゲージの普及を図るため、住宅金融支援機構において、公的保証による民間金融機関のバックアップ等を行い、資産の有効活用のための環境を整備する。

また、低所得の高齢者世帯が安定した生活を送れるようにするため、各都道府県社会福祉協議会において、一定の居住用不動産を担保として、世帯の自立に向けた相談支援に併せて必要な資金の貸付けを行う不動産担保型生活資金の貸与制度を実施する。

(2)健康・福祉

○持続可能な介護保険制度の運営

介護保険制度が定着し、サービス利用の大幅な伸びに伴い、介護費用が急速に増大している。このような介護保険制度の状況等を踏まえ、平成29年6月に成立した地域包括ケア強化法において、地域包括ケアシステムを深化・推進するための取組が盛り込まれており、今後、改正法の着実な施行に取り組む。

具体的には、①全市町村が保険者機能を発揮し、自立支援・重度化防止等に向けて取り組む仕組みの制度化、②医療・介護の連携を推進するための市町村の取組に対する都道府県による支援、③さらに、地域共生社会の実現に向けた市町村の取組の推進、④介護保険制度の持続可能性の確保等を進める。

○地域における包括的かつ持続的な在宅医療・介護の提供

持続可能な社会保障制度を確立するためには、高度急性期医療から在宅医療・介護までの一連のサービス提供体制を一体的に確保できるよう、質が高く効率的な医療提供体制を整備するとともに、国民が可能な限り住み慣れた地域で療養することができるよう、医療・介護が連携して地域包括ケアシステムの実現を目指すことが必要である。このため、平成26年度に創設した地域医療介護総合確保基金を活用し、引き続き、各都道府県が策定した事業計画に基づき、在宅医療・介護サービスの提供体制の整備等のために必要な取組を実施していく。また、在宅医療・介護の連携推進に係る事業は、介護保険法の地域支援事業に位置づけ、市区町村が主体となって郡市区医師会等と連携しながら取り組むこととしている。実施可能な市区町村は平成27年4月から取組を開始し、平成30年4月には全ての市区町村で実施することとしている。また、都道府県においては市町村支援を推進することによって、医療と介護の連携を推進する。

○持続可能な高齢者医療制度の運営

制度の持続可能性を高めるため、世代間・世代内の負担の公平や負担能力に応じた負担を求める観点から、低所得者や急激な負担増となる方に配慮した上で、平成29年8月から、70歳以上の高齢者の高額療養費制度の限度額や保険料軽減特例措置の段階的な見直しを進めている。

また、後期高齢者の窓口負担の在り方について、「経済・財政再生計画改革工程表2017改定版」(平成29年12月21日経済財政諮問会議決定)に沿って、70歳から74歳の窓口負担の段階的な引上げの実施状況等も踏まえ、関係審議会等において検討を進めている。

さらに、平成28年度及び平成29年度にモデル事業として実施した生活習慣病等の重症化予防や栄養・口腔・服薬に関する相談・指導等のフレイル(虚弱)対策に資する保険者の取組みを平成30年度から全国的に横展開するため、「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」において、ガイドラインの正式版を策定するとともに、取組への支援やガイドラインの充実に向けた検討等を引き続き推進していく。

○認知症高齢者支援施策の推進

平成27年1月に策定した「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」では、①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進、②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供、③若年性認知症施策の強化、④認知症の人の介護者への支援、⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進、⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進、⑦認知症の人やその家族の視点の重視として7つの柱を掲げており、これらに沿って総合的に推進していく。

平成29年7月に認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議を開催し、数値目標について、平成32年度末までの目標に更新するとともに、施策を効果的に実行できるよう内容を充実させるなどの改定を行ったところである。新オレンジプランを契機として認知症の人とその家族を支援する地域資源は着実に増加したところであり、引き続き認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等が提供される循環型の仕組みを構築するために認知症初期集中支援チームや認知症地域支援推進員等の取組を支援していくとともに、今後は先進的な取組事例を全国に紹介することなどを通じて、地域の実情に応じた効果的な取組を推進していくこととしている。

○人生の最終段階における医療の在り方

人生の最終段階における医療・ケアについては、医療従事者から患者・家族等に適切な情報の提供がなされた上で、患者・家族及び医療従事者等が繰り返し話し合いを行い、患者本人による意思決定を基本として行われることが重要である。

そのため、人生の最終段階における医療体制整備事業として、全国の主要都市で医療従事者向けの人材育成研修及び、講師人材の養成のための研修を行っていく。

また、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」においてとりまとめた報告書を踏まえ、人生の最終段階における医療・ケアについて考える機会を確保し、家族等と話し合う取組を、国民に対し普及・啓発していくこととしている。

(3)学習・社会参加

○社会保障等の理解促進

老後資産の確保の観点から、若年期から金融リテラシーを習得できるよう、iDeCo制度やつみたてNISA等の導入も踏まえ、勤労世代にとって身近な場である職場を通じた投資教育の推進を図る。

○ライフステージに応じた消費者教育の取組の促進

消費者教育の推進に関する法律(平成24年法律第61号)に基づき設置された消費者教育推進会議における議論を踏まえて見直しが行われ、平成30年3月に変更について閣議決定がなされた「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(平成25年6月閣議決定)を指針として、消費者教育を推進する。具体的には、様々なライフステージに応じて生涯を通じた切れ目のない学びの機会を提供するため、消費生活センターを消費者教育の拠点として位置付け、消費者教育を担う多様な関係者や場をつなぐために間に立って調整をする役割を担うコーディネーターの育成・配置の促進に向けた支援などの取組を行う。

○医療・介護・健康分野におけるICT利活用の推進

少子高齢化の進展や疾病構造の変化、これに伴う社会保障費の増大など我が国の医療・介護を取り巻く環境は大きく変化してきている。こうした中、ICTの活用による地域の医療機関、介護事業者等のネットワーク化とともに、個人が自らの医療・介護・健康データを管理、活用できる環境を実現し、個人が良質な医療・介護・健康サービスを享受することを通じて、国民の健康寿命が延伸する「健康長寿社会」の構築を図るべく、個人の医療・介護・健康情報を時系列的に管理できるPHR(Personal Health Record)機能の実現に向けた取組や、医療機関と介護施設の連携、医療機関と個人の連携(オンライン診療等)におけるデータ流通のルール作りに資する技術課題の解決等に向けた実証等を行う。

(4)生活環境

○共生社会の実現に向けた「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づく取組の推進

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催とその後のレガシーとしての共生社会の実現に向けて、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」(平成29年2月ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定)におけるバリアフリーの具体的な施策内容に着実に取り組む。

また、本行動計画に基づく、バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討結果を考慮し、交通事業者によるハード対策・ソフト対策一体となった取組の推進、バリアフリーのまちづくりに向けた地域における取組強化、バリアフリー法の適用対象の拡大、利用者へのバリアフリー情報の提供の推進等の措置等を講ずることを内容として、第196回国会に提出された、バリアフリー法の改正法案の国会審議の状況を踏まえて、施行に向けた準備を進める。

○高齢者の居住の安定確保

平成23年10月の「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律」(平成23年法律第32号)の施行により創設された「サービス付き高齢者向け住宅」の供給促進のため、整備費に対する補助、税制の特例措置、住宅金融支援機構の融資による支援を行う。

さらに、高齢者世帯などの住宅確保要配慮者の増加に対応するため、平成29年度に創設した民間賃貸住宅や空き家を活用した住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度等を内容とする新たな住宅セーフティネット制度において、住宅の改修や入居者負担の軽減等への支援を行う。

住宅金融支援機構においては、高齢者自らが行う住宅のバリアフリー改修について高齢者向け返済特例制度を適用した融資を実施する。また、証券化支援事業の枠組みを活用したフラット35Sにより、バリアフリー性能等に優れた住宅に係る金利引下げを行う。さらに、住宅融資保険制度を活用し、民間金融機関が提供する住宅の建設、購入、改良等の資金に係るリバースモーゲージの推進を支援する。

○住宅と福祉の施策の連携強化

「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、都道府県及び市町村において、高齢者の居住の安定確保のための計画を定めることを推進していく。また、生活支援・介護サービスが提供される高齢者向けの賃貸住宅の供給を促進し、医療・介護と連携した安心できる住まいの提供を実施していく。

また、市町村の総合的な高齢者住宅施策の下、シルバーハウジング・プロジェクト事業を実施するとともに、公営住宅等においてライフサポートアドバイザー等のサービス提供の拠点となる高齢者生活相談所の整備を促進する。

さらに、平成30年度から、既存の公営住宅や改良住宅の大規模な改修と併せて、高齢者福祉施設等の生活支援施設の導入を図る取組に対しても支援を行う。

○多世代に配慮したまちづくり・地域づくりの総合的推進

地方創生の観点から、中高年齢者等が希望に応じて地方やまちなかに移り住み、様々な世代と交流しながら、就労や生涯学習、社会活動への参加等を通じて健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けられるような「生涯活躍のまち」づくりを進める。このため、引き続き地域再生法に基づき、「生涯活躍のまち」に取り組む場合の手続きの簡素化等の特例や、地方創生交付金等による財政支援措置の活用を希望する地方公共団体の地域再生計画の認定を通じて、「生涯活躍のまち」の実現に向けた取組を支援する。

また、関係府省が連携して地方公共団体の取組を支援する「生涯活躍のまち形成支援チーム」において、対象団体の取組状況を随時把握し、推進に向けて支援を行う。こうした先行自治体の事例から得られた成果や課題、「『生涯活躍のまち』構想の具体化に向けたマニュアル」等の参考事例・ノウハウ等を活用し、「生涯活躍のまち」に取り組む意向を有する地方公共団体、事業者の取組をバックアップし、地域の特性に応じた魅力的な「生涯活躍のまち」の形成を推進していく。

○交通安全の確保

高齢運転者による交通事故防止については、「高齢運転者による交通事故防止対策について」(平成29年7月7日交通対策本部決定)に基づき、改正道路交通法の円滑な施行、高齢者の移動手段の確保等社会全体で生活を支える体制の整備並びに運転免許制度の更なる見直しの検討、安全運転サポート車の普及啓発及び高速道路における逆走対策の一層の推進等高齢運転者の特性も踏まえた更なる対策を政府一体となって推進する。

また、平成29年3月31日には、高齢運転者の安全運転を支援する先進安全技術を搭載した自動車(安全運転サポート車)のコンセプトや愛称「セーフティー・サポートカーS(略称:サポカーS)」等が決定され、官民を挙げて普及啓発に取り組みを進めている。特に重大事故に繋がる可能性の高い高速道路での逆走に対して、平成28年3月に策定した「高速道路での今後の逆走対策に関するロードマップ」に基づき、「2020年までに高速道路での逆走事故ゼロを目指す」目標を達成するため、有識者委員会や官民連携会議の場で検討を進め、道路側、運転者側、自動車側それぞれから、ハード・ソフト面での重層的な逆走対策を講じていく。また、高速道路会社が民間企業から公募・選定した新たな逆走対策技術について平成30年度から実用化し、路車連携による逆走検知・制御技術に関する検討を推進する。

○成年後見制度の利用促進

認知症高齢者等の財産管理や契約に関し本人を支援する成年後見制度について周知する。

成年後見制度は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を支える重要な手段であり、その利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、平成28年4月に「成年後見制度の利用の促進に関する法律」(平成28年法律第29号)が成立し、本法律に基づき、「成年後見制度利用促進委員会」における議論を踏まえ、平成29年3月に「成年後見制度利用促進基本計画」を閣議決定した。今後基本計画に沿って、成年被後見人等の財産管理のみならず意思決定支援・身上保護も重視した適切な支援に繋がるよう、利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善や権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりなどの、成年後見制度の利用促進に関する施策を総合的・計画的に推進していく。

(5)研究開発・国際社会への貢献等

○先進技術の活用及び高齢者向け市場の活性化

介護事業所におけるICT化を全国的に普及促進するため、介護事業所間の情報連携に関して、今後求められる情報の内容やセキュリティ等のあり方を検討するなど、ICTの標準仕様の作成に向けた取組を実施する。

加えて、介護ロボットについては、自立支援等による高齢者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減を実現するため、現場のニーズを真に汲み取った開発等を促進するほか、平成30年度介護報酬改定において、見守り機器の導入により効果的に介護が提供できる場合について、夜勤職員配置加算の見直しを行う。

○高齢者に特有の疾病及び健康増進に関する調査研究等

高齢者の主要な死因であるがんの対策は、「がん予防」、「がん医療の充実」、「がんとの共生」の3つを柱とした第3期の「がん対策推進基本計画」(平成30年3月閣議決定。以下、「基本計画」という)に基づき、がんゲノム医療の実現や希少がん、難治性がん対策の充実、がん患者の就労支援の推進等、総合的ながん対策を進めている。がん研究については、「がん研究10か年戦略」に基づき、基本計画に明記されている政策課題の解決に向けた政策提言に資することを目的とした調査研究等に加えて、革新的な診断法や治療法を創出するため、低侵襲性診断技術や早期診断技術の開発、新たな免疫療法に係る研究等について、戦略的に研究開発を推進する。また、QOLの観点を含めた高齢のがん患者に適した治療法等を確立する研究を進める。

○日本の知見の国際社会への展開

我が国は、G7、TICAD、国連総会等の国際的な議論の場において、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進を積極的に主張してきた。UHCにおける基礎的な保健サービスには、母子保健、感染症対策、高齢者の地域包括ケアや介護等すべてのサービスが含まれている。今後も、開発途上国における高齢化対策や社会保障制度整備の支援、専門家の派遣、研修等の取組を通じて、日本の経験・技術・知見を活用した協力を引き続き行っていく。

また、内閣官房健康・医療戦略室長を議長とし、関係府省庁担当局長等を構成員とする「アジア健康構想推進会議」において、アジア健康構想の下での医療・介護分野における人材還流を促進するため、国内外における日本語学校の民間認証制度を構築すること、介護職種に係る技能実習生について、介護現場におけるコミュニケーション能力の測定に重点を置いた新たな日本語テストに関して求められる基準の検討体制を構築することとした。

(6)全ての世代の活躍推進

○全ての世代の活躍推進

誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に向けて、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)に基づく取組を推進する。特に、働き方については、一人ひとりの意思や能力、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を選択できるよう、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)を推進する。また、「人生100年時代構想会議」において更に議論を進め、平成30年夏には基本構想を打ち出す。

また、「新しい経済政策パッケージ」(平成29年12月8日閣議決定)に基づき、人生100年時代を見据えた人づくり革命と生産性革命に取り組む。

さらに、少子化社会対策大綱(平成27年3月20日閣議決定)、第4次男女共同参画基本計画(平成27年12月25日閣議決定)に基づく取組を推進する。

[目次]  [前へ]