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高齢社会対策の推進の基本的在り方について(報告本文)


1. はじめに

 平成7(1995)年、高齢社会対策を総合的に推進していくため、高齢社会対策基本法が制定され、これに基づき、平成8(1996)年、高齢社会対策の大綱が定められた。
 現行の高齢社会対策大綱は、21世紀初頭の本格的な高齢社会を目前に控え、国民の一人一人が長生きして良かったと実感できる、心の通い合う連帯の精神に満ちた豊かで活力のある社会を早急に築き上げていくために、定められたものである。
 その後、介護保険法の施行、国民年金保険法等の改正など様々な高齢社会対策が着実に進められたが、今後更に進行する高齢化を考えると、残された課題も多い。特に、これまでと異なるのは、間もなく総人口の減少が始まり、その中で高齢化が更に進行していくものと予想されていることであり、この点では状況は厳しいと言わざるを得ない。しかし、一方、これからの高齢者は経済的にも健康にも恵まれた活力豊かな人たちが多いと考えられており、団塊の世代を中心にそのような高齢者が増えていく高齢社会を暗いイメージばかりでとらえることも適当ではない。
 過度の悲観にも楽観にも陥ることなく、適切な対策が採られるのであれば、高齢社会対策基本法が基本理念として掲げる「国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会」、「国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会」、「国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会」を構築することが可能だと考える。ただし、対策には、急速な高齢化の進行に見合うスピードが求められる。
 このような観点で、我々は、団塊の世代が高齢期に差し掛かる2010(平成22)年ごろを見通しながら、高齢社会対策の推進の基本的在り方について議論を重ね、ここにその結果を取りまとめた。
 なお、議論に当たっては、対策分野ごとの縦割りではなく、個人及び社会全体の観点からできるだけ総合的かつ横断的に検討を行うものとした。


2. 基本的認識

(1) 高齢社会の動向

 我が国は、戦後、急速に高齢化が進んだ。今から50年前の1950(昭和25年)には、65歳以上の高齢者人口は416万人、高齢化率は4.9%であった。1970(昭和45)年には、高齢者人口は739万人、高齢化率は7.1%となり、国連の定義における「高齢化社会」に移行した。これが、現在(2000(平成12)年)では、それぞれ2,227万人、17.5%となっている。また、75歳以上の後期高齢者の人口は909万人、全人口に占める比率は7.2%となっている。
 これから、戦後生まれの人口規模の大きな世代が高齢期に向うとともに、我が国の高齢化は更に進む。2010(平成22)年には、高齢者人口は2,813万人、高齢化率は22.0%、2020(平成32)年には、それぞれ3,334万人、高齢化率は26.9%となると予想されている。また、75歳以上の後期高齢者をみても、2010(平成22)年には、人口は1,335万人、全人口に占める比率は10.5%、2020(平成32)年には、それぞれ1,665万人、13.4%となる。
 このような急速な高齢化の進展の背景には少子化の進行があり、これにより、我が国の総人口は、2007(平成19)年をピークに減少を始めると予想されている。人口の減少を直ちにマイナスと受け止めるかどうかは議論の分かれるところであるとしても、人口成長を当然の前提としてきた我が国の社会、経済は、前例のない挑戦を受けることとなる。消費構造も変わり、産業界も大きな行動変容を迫られる。高齢社会対策も、このような社会、経済の変容を促進し、あるいはそれを前提とする、新たな段階に入らなければならない。
 他方、これだけ多くの人々が長寿を享受することが可能な社会を実現したことは、戦後、経済成長と生活水準の向上を目指してきた国民の努力の大きな成果の一つでもある。我が国は、現在、平均寿命のみならず、健康寿命でみても世界一の水準の長寿社会である。
 本格的な高齢社会の到来を、年齢や性別あるいは障害の有無等にかかわらず、すべての人が尊重される社会に向けての成熟化のステップとして前向きに受け止め、高齢社会対策の推進の在り方を検討することが求められる。


(2) 高齢社会対策の沿革

 我が国の高齢社会対策の沿革は、1970年代にまでさかのぼる。1973(昭和48)年、政府は、内閣総理大臣を本部長とし、各省庁の事務次官等を本部員とする老人対策本部を設置するとともに、老人問題懇談会を開催して、当面の老人対策について検討を進め、老齢人口の急増に備えるためにも、立ち遅れていた老人対策の充実に努力を傾注することとした。その年は、いわゆる「福祉元年」に当たり、老人医療費の無料化、物価スライドの導入などの年金給付の大幅な改善が行われた。
 その後、2度にわたる石油危機による景気の低迷とともに、高度経済成長は終焉を迎え、財政事情も悪化し、老人対策も行財政改革の対象とされることとなった。このように老人対策が新たな局面を迎えたことも踏まえ、1984(昭和59)年には老人問題懇談会が改めて開催された。この報告を受けて、1986(昭和61)年、人生80年時代にふさわしい経済社会システムの構築を目指して、長寿社会対策大綱が閣議決定された。
 この間、我が国の高齢化は世界に例を見ない速さで進み、1994(平成6)年には高齢化率が14%に達した。高齢者介護問題という新たな課題も浮上し、ゴールドプラン(1989(平成元)年策定)、新ゴールドプラン(1994(平成6)年策定)などにより高齢者保健福祉施策の整備が急速に進められた。これらの新たな状況を踏まえ、1995(平成7)年、高齢化に対処する施策の基本理念と基本的施策を定め、国などの責務を明らかにし、施策の総合的な推進をうたった高齢社会対策基本法が議員立法により制定され、全閣僚を構成員とする高齢社会対策会議が設置された。
 基本法に基づき1996(平成8)年に高齢社会対策会議の議を経て策定された現在の高齢社会対策大綱では、基本的な考え方として、(1)高齢者の自立、参加及び選択の重視、(2)国民の生涯にわたる施策の体系的展開、(3)地域の自主性の重視、(4)施策の効果的推進、(5)関係行政機関の連携、(6)医療・福祉、情報通信等に係る科学技術の活用を挙げている。また、(1)就業・所得、(2)健康・福祉、(3)学習・参加、(4)生活環境、(5)調査研究等の推進という施策の基本的分野ごとに関係施策の中期にわたる指針を示している。
 この大綱に基づき、これまで、60歳以上定年制の定着、年金支給開始年齢の65歳までの段階的な引上げ、成年後見制度の設立、確定拠出年金法の成立、介護保険法の施行、交通バリアフリー法の施行その他の関係施策の推進が図られてきた。
 しかし、今後10数年で、戦後生まれの人口規模の大きな世代が高齢期を迎え、国民の4人に一人が高齢者となる本格的な高齢社会を迎えようとしている。他方、我が国の経済・財政状況は1970年代以降これまでになく厳しいものとなっている。こうした中で、我が国の経済社会を豊かで活力あるものとし、次の世代に引き継いでいかなければならない。
 このためには、高齢社会対策基本法の基本理念を踏まえながら、これからの高齢者の状況と高齢社会のあるべき姿を展望して、施策推進の基本姿勢を明確にするとともに、取り組むべき重点課題を横断的視点から設定し、関係省庁が連携して総合的に施策を推進していくことが必要である。


(3) これからの高齢者

 今後、戦後生まれの人口規模の大きな世代が高齢期に向うにつれて、我が国の高齢化は更に進んでいくが、こうした中で高齢者の姿や高齢者をめぐる状況は、これまでとは異なったものになるだろう。特に、戦後のベビーブームの時代に生まれた「団塊の世代」(1947(昭和22)〜1949(昭和24)年生まれ)は、その人口規模の大きさ、世代としての同朋意識の強さ、生まれ育った時代や文化的な背景から、これからの高齢社会の在り方に大きな影響を与えると指摘されている。
 団塊の世代は、これまでの高齢者とは異なり、戦後教育を受け、高学歴の者も多い。高度成長と共に育ち、大量消費文化の担い手として大衆文化や消費行動の面において社会に大きな影響を与えてきた。青年期には、産業構造の大きく変化する中で、故郷を離れ、都市部に雇用労働者として移り住む者が多く、結婚してからは、郊外の新興住宅地に夫はサラリーマン、妻は専業主婦という固定的な役割分業に基づく核家族を形成した。男性は、日本的雇用慣行の確立していく中で、「会社人」として大きな雇用不安や労使対立を特に経験することなく、安定した職業人生をこれまで送ってきたとされる。他方、女性は子育て終了後の活動の場を、パート就業や学習活動、ボランティアなどの地域活動に模索した。
 しかし、安定した日本的雇用慣行や固定的な性別役割分業そのものが、戦後生まれの人口規模の大きい世代によって支えられていた面もある。これから団塊の世代が高齢期を迎えていく中で、社会の人口構成が大きく変化する。この変化は、バブル経済崩壊後の景気の長期にわたる低迷の影響もあいまって、その安定した雇用慣行の基盤をゆるがせていくとともに、高齢者の社会的な位置付けを変えていくことになるだろう。
 現在の中高年世代の意識をみると、現在の高齢者と比較して、高齢期の生活の支援を子供に期待する傾向が低い代わりに、社会保障制度や配偶者に期待する傾向が高く、就業による収入、私的年金、預貯金など多様な自助努力も想定している。さらに、生涯学習への関心の高さ、パソコンなど情報通信の高度化への適応力、レジャー・余暇嗜好の強さもうかがわれる。
 このような新たな意識、行動様式を持ち、大量に高齢期を迎える団塊の世代が、就業にかぎらず、様々な仕方でできるだけ社会への貢献を続けられるよう、適切に支援していくことが求められよう。


(4) 高齢社会のあるべき姿

 高齢社会対策を総合的かつ効果的に推進するには、まず基本理念についてできるかぎり具体的なイメージを共有する必要がある。高齢社会対策基本法が基本理念として掲げる社会の姿について具体的にイメージすると次のようなものとなる。

(1) 国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会

 これまでは、学習活動は10代に、就業活動は20代から50代ぐらいまでの主として男性に、育児は20代30代の女性に、ボランティア活動は40代以降の女性や60代以降の男性にというように、年齢によって参加する活動が決まり、それ以外の年齢で参加する機会は得にくかった。しかし、これからは、すべての国民が、年齢にかかわらず、その希望に応じた社会的活動に参加できるような社会へと成熟していくべきである。これは、高齢者も青年も、年齢や障害の有無にかかわらず、意欲と能力に応じて就業、学習その他の社会的活動へ参加することが可能であり、それを通じて自己の実現と社会への貢献を確認し、社会との連帯感を得られるような社会でもある。

(2) 国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会

 これまでは、どちらかといえば、青少年期は学校の生徒学生として、就職後は職場の一員として、学校や職場を通じて社会を構成し、高齢期には社会での位置付けが明確でなかった。これからは、職場や学校へ属している時もいない時も、生涯を通じて自己開発で培った成果を地域での活動にいかし、学校や職場に所属していない人も、すべての人が排除されることなく、地域に居場所や活動の場を見出し、地域を通じて自主的に社会に参加できるような社会へと成熟していくべきである。同時に、人が人として生きているという「存在」や「生命」への畏敬を基礎とし、年齢や障害の有無にかかわらず、多様な人々が地域で交流し、自分のできる範囲で他の人の役に立ち、自分のできないことは他の人に助けを求め、その連帯の中で自らの生き方を自由に選択できるような社会とすべきである。

(3) 国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会

 これまでは、どちらかといえば、一定のライフスタイルを想定して、それを前提とした社会システムも多かった。これからは、多様な選択肢の中から、一人一人が生涯にわたって健やかで充実した生活を営む「人生百年の計」を自分で設計し、生涯における各段階での移行が円滑に行われるよう準備と予防を行うような社会へと成熟していくべきである。その前提として、医療、介護、年金などについて、若い世代にも信頼され支持される、経済・財政と均衡が取れ、安定して持続可能な社会保障制度が構築されている社会とすべきである。


3. 高齢社会対策の推進に当たっての基本姿勢

 2で述べたような基本的認識に立つと、今後は次のような基本姿勢で高齢社会対策を推進することが必要となる。

(1) 旧来の画一的な高齢者像を前提としない

 これまでは、高齢者を経済的にも健康にも恵まれない層として画一的にとらえがちであった。
 しかし、例えば、健康状況についてみると、よくないとする高齢者の割合は2〜3割である。高齢者(65歳)の平均余命中の自立期間の割合は8〜9割であり、要介護の発生率も、85歳を超えると4分の1に近いものの、60歳代後半では1.5%である。
 また、経済状況をみると、所得は若い世代と比べて遜色はなく、資産額も年齢が高いほど高くなっている。ただし階層差があり、所得や資産の低い世帯もみられる。
 家族状況をみると、子供との同居は低下し、代わりに同居・近居が増加する傾向がある。今後、一人暮らしの高齢者の増加が予想されるが、一人暮らしの高齢者には女性が多くなっている。また、高齢者のうち配偶者がいるのは、男性では約8割、女性では約5割である。
 居住地域の状況をみると、高齢者の9割近くが持家に住んでいる。今後、大都市圏に住む高齢者が増加していく。近所の人たちとの交流がほとんどない高齢者は4分の1となっている。
 就業状況をみると、諸外国に比して高齢者の労働力率は高く、60歳代後半では、経済上の理由以外での就業も3分の1を超える。
 このように、高齢者は全体としてみると健康で活動的であり、経済的にも豊かになってきていると指摘できる。今後団塊の世代が高齢期を迎えると、旧来の画一的な高齢者像とは異なる高齢者が更に増大すると予想される。
 他方、2010(平成22)年の高齢者人口は2,813万人に上る。これだけの集団を一括りに論ずることは適当でない。高齢者の姿や状況は、性、経済状況、家族状況、居住地域の状況や世代、たどってきたライフコースなどによって多様である。
 高齢社会対策を推進するに当たっては、旧来の画一的な高齢者像にとらわれることなく、このような高齢者の実態を十分踏まえて行うことが求められる。


(2) 予防・準備を重視する

 これまでの対策は、どちらかといえば、高齢になって健康が損なわれたり、経済的に困窮したり、あるいは社会的に孤立したりという事態が生じてから、これに対処することが主であった。高齢期の生活、そこでの問題は個々人のそれまでの人生と切り離して考えられるものではないだろう。これからは、多様なライフスタイルの中から、個々人がどのような人生を送りたいか、自分にふさわしい「人生百年の計」を自分で立てておくことが大切である。高齢期にどこで誰とどのような暮らしをするかということについても、そのために必要な準備をし、起こり得る問題への対策と予防に取り組んでおくことが重要である。今や、子供がいるから老後は安心、老後は子供に任せておけば何とかしてくれる、という時代ではない。一人一人が積極的に高齢期の問題への準備や予防をしておくことが、豊かな老後の実現には欠かせないのではないか。
 生活習慣病の一次予防を促進することなどにより、要治療、要介護の期間を短縮し、心身ともに健康に生涯を送ることができるとともに、社会全体として将来にわたる医療費を抑制することも期待できる。自助努力による資産形成や能力開発等の自己への投資により、より安定した経済的基盤を築くことができる。社会参加によって、職場や家族以外にも豊かな人間関係を築くことができ、高齢期における孤立を予防できる。成年後見などを活用すれば、仮に痴呆となっても自己の意思、選択に沿った高齢期を過ごすことができる。
 高齢社会対策の推進に当たっては、このように個人が若年期からの健康づくり、資産形成、生涯学習、社会参加などに取り組み、問題を予防し、高齢期に備えることへのインセンティブを高め、自助努力を支援するとともに、それを適正に評価することにより、高齢者の生活満足度を向上させるとともに、社会的資源の有効活用を図ることを基本姿勢とする必要がある。


(3) 地域社会の機能を活性化する

 これまで我が国では長期雇用を前提に職域での福祉が充実され、職場に強い帰属意識を持つ人が多かった。しかし、高齢者が増加して職場に属さない人が増え、長期雇用が縮小して職場に強い帰属意識を持つ人も減少し、職場の持つ相互扶助機能は低下し、地域社会への期待が高まっている。
 地域社会は、戦後の産業構造の転換、都市化の進展などによって機能を低下させてきたが、近年は地方分権や介護保険などの実施で新たな活性化の動きが起きている。それは伝統的な地域社会に比べ、多様な世代が交じり合い、多様な個人が選択によって結びついた、より水平な関係によるものと言える。そこには、相互扶助機能のほか、文化の継承などの世代をつなぐ機能、能力主義、成果主義、競争社会から心理的に解放するやすらぎ機能などが求められている。
 高齢者は地域で過ごす時間が多く、就業や学習など社会参加を行う場合でも、医療や介護を受ける場合でも、地域が基盤になる。
 高齢社会対策を推進する上では、このような地域社会の重要性を踏まえ、高齢者が主体的に地域社会に参画するとともに、地域社会が高齢者の活躍の場としての機能や、国、自治体と並び、人々に安全、安心を保障する機能を果たすよう、その活性化を図ることを基本姿勢とする必要がある。


(4) 男女共同参画の視点に立つ

 現在、65歳以上の男女比は約4対6であり、75歳以上になると約1対2と、高齢になるほど女性が多くなる。今後、後期高齢者が増加すれば女性高齢者の割合はより一層高まり、2010(平成22)年には全人口の8人に1人が女性高齢者と推計されている。
 現在、男性高齢者の約8割には妻がいるが、女性高齢者のうち夫がいる割合は約5割である。子との同居率の低下に伴い、女性の高齢者は一人暮らしが多くなることが予想される。
 また、女性高齢者は、性別役割分業の下で男性に比べて就業期間が短く賃金も低かったために資産や年金などの収入が少ない人が多いなど、経済状況も一般に男性高齢者に比べて厳しい。
 健康状況でも、女性高齢者には骨折が多い、退院後家庭で十分療養できないなど、男性高齢者とは異なる面がある。
 さらに、介護者の約7割が女性、半数が60歳以上であり、高齢女性には老親や夫の介護負担を負っている人も多い。前期高齢期の女性には、子の育児支援を求める子世代と介護支援を求める親世代に挟まれたサンドイッチ世代としての二重負担を負っている人もいる。
 一方、男性高齢者には長年仕事を中心とした生活を送ってきたため、家族や地域の人との交流が乏しい人が多い。また、家事の苦手な人が多い。
 このように高齢期には若年期にもまして男女の差が大きくなっている点も多い。高齢社会対策の推進に当たっては、平均値だけではなく男女別の数値も踏まえて行う姿勢が必要である。また、高齢期の差は生涯を通じた性差が蓄積された結果であることも多いので、若年期も含めて生涯を通じ、就業、家庭生活、地域社会などあらゆる場面における男女共同参画を推進していくことが求められる。


(5) IT及び先端医療技術の活用

 ITの革新は、時間、距離、コスト等の大幅な短縮を可能にし、高齢者を含むすべての人の行動の利便性を高め、生活の質を大きく向上させる。
 ITの普及は、体力の低下や障害等により学習や社会参加を実質的に制限されていた高齢者にとって有用なコミュニケーション手段を提供し、自宅に居ながらにして多様な学習、社会参加活動等を可能にする。また、医療や介護の技術を改善し、在宅医療を実現するとともに、都市と地方の格差も解消する可能性を持つ。さらには、在宅勤務等の多様な勤務形態を可能にする。
 他方、高齢者等がIT弱者となることが懸念されているものの、IT教育の一層の取組や使いやすいIT機器の開発と普及の促進により、こうした影の部分は克服できる。
 また、近年の遺伝子の解析等による新たな医療技術の開発は、医療の質の向上や効率化を進め、疾病の予防や健康づくりの分野にも大きな成果が期待される。
 高齢社会対策の推進に当たっては、これらの技術の活用を促進することが重要である。


4. 横断的な視点から取り組むべき課題と総合的な推進方策

 現在の高齢社会対策大綱では、基本法の理念の下、施策の推進に当たっての基本的な考え方や留意点を明らかにするとともに、分野別の基本的な施策ごとに5年程度を目途とした指針を示している。2で述べた高齢社会の動向や高齢社会の望ましい姿を踏まえつつ、3で述べたような基本姿勢に立つと、高齢社会対策の一層の推進を図るためには、これまでの取組に加え、分野別の施策の枠組みにとらわれることなく、個人及び社会全体の視点から横断的に取り組むべき課題を設定し、関連施策を推進していく必要がある。


(1) 多様なライフスタイルを可能にする高齢期の自立支援

 3で述べたように高齢者は多様であり、旧来の画一的な高齢者イメージや、平均値にとらわれることなく、高齢者が、自らの価値観に応じてライフスタイルを主体的に選択し、生活の質を維持又は改善することができるように、多様な選択肢を用意することが必要である。
 このような高齢期の自立支援に当たっては、対象とする高齢者の特性とそれに適した支援の在り方について明確に意識して行うことが重要となる。
 ここでは、支援に係る政策について総合的に研究又は評価するに当たっての視点として、次の高齢者の類型に焦点を当てて、検討を進めることとした。

ア 元気高齢者
 団塊の世代が高齢期を迎えていく中で、健康にも経済的にも恵まれ、活動的な元気高齢者は増えていく。元気高齢者は旧来の画一的な高齢者イメージから最も遠く、その培った豊かな能力や経験をいかしていくことが、高齢社会を豊かで活力あるものとし、また、本人の生活満足度を向上させることにもつながる。対策としては50歳代の者とも共通する面も多いため、ここでは中高年齢層の者も視野に収めながら検討を行った。

(社会的活動への参加支援)
 元気高齢者の自立支援策としては、就業その他の社会的活動への参加支援策が第一に挙げられよう。
 現在、中高年齢層の男性のほとんどが60歳代前半の生活設計において就業を想定しており、70歳以上の生活設計においても約4割は就業を想定している。
 一方、希望者全員が65歳まで雇用される企業の割合はほぼ4分の1であることから、これをできる限り早期に向上させていくことが必要である。
 また、肉体的にフルタイムで働くことが可能な高齢者は男性で約5割、女性で約4分の1、職場・勤務の条件によっては可能な高齢者は男性で約4割、女性で約5割となっており、働くことのできない高齢者は、男性で約1割、女性で約4分の1となっている。こうした状況を踏まえ、継続雇用の推進のほか、起業の支援、シルバー人材センターの充実など多様な就業機会の確保が必要である。さらに、就業形態を柔軟化する規制改革や、在宅テレワークの推進に関する取組も求められる。
 さらに、景気の影響で長期にわたる失業者の割合は55歳以上で高い。この背景には、求人における年齢制限の問題があり、現に求人に際し上限年齢を設定している企業が9割に上る。求人における年齢制限は極力無くしていく方向で取り組んでいく必要がある。
 従来我が国では企業内で職業能力開発が行われることが多かったが、現在、社内でキャリアの相談・助言を受けられる者は約3割となっている。また、新たな知識や技術を主体的に獲得するための生涯学習の振興を図っているものの、それが必ずしも即戦力となる「知識・技術」を身に付けることには十分つながっていない面があることも指摘されている。主体的なキャリア形成の環境整備を進める観点から、職業能力開発プログラムの提供、社会人向け高等教育の促進が必要である。また、結婚や出産で退職した女性が再就業するための職業訓練の機会が現在は少なく、中長期的な視点にも立って中高年齢層の女性の職業訓練機会の充実が望まれる。
 また、現行の在職老齢年金制度は、賃金が増えると年金額が減額となり高齢者の就業を抑制している面があると指摘されている一方、高齢者の雇用促進のためには年金により高齢者の賃金を補うことも必要であるという意見もある。いずれにせよ、年齢にかかわらず就業能力と意欲を持つ元気高齢者の就業継続の促進に向けて、年金制度等の制度設計について、保険料負担を行う現役世代との均衡に配慮しつつ、高齢者の就業意欲を阻害しないものにしていくことも重要である。
 仕事が生きがいとなっている反面、「自分から仕事をとったら何も残らない」と思う者は、50歳代では高くなっている。老年期痴呆症の患者は、40、50歳代時点での社会参加が低い傾向にあるとの研究結果もみられる。子育てを終えた世代の地域社会とのつながりのきっかけの一つとして、ボランティア活動があるが、ボランティア団体の会員の男女比は、約2対8である。また、ボランティア活動の経験のない理由は、「時間的余裕がない」が5割超となっている。NPO活動の促進、勤労者のボランティア活動支援が必要である。定年で急に仕事からボランティアなどの活動に切り換えることや慣れ親しんだ職場から新たな社会環境に適応することは困難な場合も多いことから、段階的に新たなスキルやノウハウを身に付けられるよう、リカレント教育を始め、なだらかに引退できるような仕組みが求められる。また、仕事での経験や生涯学習を通じて自己啓発を図った成果をいかすことが可能となるように、学校教育や社会教育の場における社会人の活用促進も求められる。

(老い支度の支援)
 元気高齢者もより年齢を重ねるにつれて、心身の状況が変化することが予想され、元気で時間的にもゆとりのあるこの時期に、本格的な老いに向けての準備を進めることが重要であり、それを支援する対策が求められる。
 まず、健康については、食生活、ライフスタイルの変化により、がん、心臓病、脳卒中等の生活習慣病を発症し、要治療や要介護、さらには死に至ることも多い。生活習慣の改善の健康教育、保健婦活動などが医療費の抑制につながるとの研究は多い。本来的にはより若年期からの一次予防が必要であるが、この時期からでも生活習慣病の予防に努めることも重要であり、健康づくりの普及啓発とともに、それが個々人の実際の行動変容につながる実効性のある仕組みについて検討する必要がある。
 経済的な面においては、退職準備、個人年金の準備、投資教育などが重要である。また、痴呆になったり、体が不自由になっても尊厳ある暮らしをするには、しっかりしている間に成年後見制度などを使って備えておくことが必要である。
 さらに、「老いの受容」など高齢期独特の学習課題に対応した学習機会の充実も必要である。
 こうした様々な分野を総合した個人の主体的な生涯生活設計のための学習ニーズや専門家の支援に対する需要も増えていくことが考えられる。
 主体的な生活設計という観点からは、社会参加、能力開発、生涯学習、健康づくりのための自由に裁量できる可処分時間を確保するため、働き方の多様化・柔軟化や労働時間の短縮を促進することなどが不可欠である。


イ 一人暮らし高齢者(女性後期高齢者)
 2010(平成22)年には、後期高齢者人口は、現在の約900万人から約1,300万人へと増加し、その約6割は女性である。これらの一人暮らし高齢者特に女性後期高齢者は、経済状況、住宅などの居住状況などに恵まれない場合が比較的多く、また、家族からの日常的支援も受けにくい場合が多い。2010(平成22)年に一人暮らしの高齢者は、現在の約300万人から約430万人に増加し、その約7割は女性である。このうち、一人暮らしの後期高齢者は、現在の約140万人から約240万人に増加し、その74%、177万人が女性となる。増大するこれらの一人暮らし高齢者の支援は、これからの高齢社会対策を推進するに当たっての重要な課題である。

(貧困の予防)
 高齢者の世帯別の所得及び貯蓄をみると、「女性の一人暮らし世帯」で相対的に低くなっている。経済的な支援を必要とする女性の一人暮らし高齢者は今後とも増えていくことが予想される。何よりも的確に実態を把握し、それに基づき、適切に取組を進めることが求められる。女性の一人暮らし高齢者の経済状況が相対的に良くないことの背景には、固定的な役割分担の中で結果として就業しない、あるいはしてもその期間が短く、賃金も低いこと、夫と離別したため、夫の報酬比例部分の年金における応分の財産分与や、遺族年金を受けられなかったことなどが指摘できる。
 被用者年金の加入期間が短く、報酬額も低い結果、年金水準が低い一方で、老後期間の長い女性に対する年金の在り方を検討する必要がある。その際、将来にわたる予防という側面からは、就業等個人の選択に中立的な方向での年金制度等の見直しや、女性の就業を支援する施策が必要である。

(日常生活の支援)
 一人暮らしの高齢者が増えていく中で、家族が担ってきた日常生活上の手助けを必要とする高齢者が増えていく。そうした手助けには、家事の援助、外出や散歩の付添いや運転代行、健康相談や生活管理の指導、さらには安否の確認、話相手になることなどが挙げられる。そうしたきめの細かい高齢者のニーズに対する様々なサービスが地域で提供されるよう、地域の実情に応じた市町村、シルバー人材センター、民間企業、ボランティア等の取組の促進が望まれる。
 他方、一人暮らしの女性高齢者は各種の犯罪(空き巣、悪徳商法、訪問販売等による被害)や災害による被害も受けるリスクが高いことが予想される。こうした防犯、防災上の問題に対する取組も強化していく必要がある。このため、地域における防犯、防災体制を整備するとともに、一人暮らしの高齢者の安否を確認し、あるいは本人が緊急時に通報するためのネットワークづくりが求められる。
 資産を有する高齢者、特に一人暮らしの高齢者にとって、資産を適切に保全し、老後の生活のために有効に活用することが重要である。高齢者の判断能力に支障をきたした場合に財産管理をゆだねる仕組みとして成年後見制度が導入されたが、まだ認知度は低い。成年後見制度の普及啓発が重要である。また、高齢者が、持家等の資産を処分又は活用して、高齢期の様々な生活資金に充てることが可能となるよう、実効性のある仕組みを検討するとともに、その前提である中古住宅市場の活性化を図る必要がある。
 一人暮らしの高齢者の居住環境をみると、借家が相対的に多いが、借家の場合、居住水準は必ずしも良くはない。また、高齢者の入居を敬遠したり、立退きを求めるケースもみられる。民間活力を活用して高齢者単身世帯等向けの優良な賃貸住宅の供給を促進するとともに、高齢者が円滑に入居し、安心して生活できる賃貸住宅市場を整備する必要がある。
 また、一人暮らしの高齢者には将来家族との同居を考えている者もいるが、高齢者がその家族又は身近な者とお互いに交流・援助しながら生活できる同居・近居やコーポラティブハウス等の居住環境をそのニーズに応じて実現できるよう支援することも重要である。


ウ 要介護等の高齢者
(介護保険の普及と定着)
 寝たきり、痴呆を含む要介護等の高齢者は、現在約270万人であるが、2010(平成22)年に390万人に増加する。
 2000(平成12)年4月から介護保険が実施されているが、要介護等の高齢者の支援は今後とも重要な課題である。
 介護保険によるサービスの利用者の約9割が、受けているサービスにおおむね満足している。他方、介護保険に対する苦情や要望では、サービスの質や介護の技術についてのものが多い。今後とも介護保険の普及と定着を図るとともに、その充実に努める必要がある。
 介護サービスの需要の増加に適切に対応しつつ、その質の向上を図り、高齢者の多様なニーズに対応していくためには、民間企業、シルバー人材センター、NPOその他の多様な経営主体の参入を促進していく必要がある。

(要介護の予防)
 要介護状態となる原因をみると、「脳血管疾患」(約3割)、「骨折・転倒」(約1割)、「痴呆」(約1割)で過半数を占める。これらの疾患を予防する取組が重要である。その際、例えば「骨折、転倒」は女性に多いなどの性差に留意して進めることが必要である。
 高齢者の多くは、要介護等の状態になった場合にも今の住宅に住み続けたいとしている。しかし、高齢者が安心して住めるようなバリアフリー化された住宅の整備は遅れている。家庭内の不慮の事故の2.4人に1人は高齢者で、「転倒」・「転落」が約75%との調査結果もある。寝たきりの予防という観点からも、持家住宅等のバリアフリー化の促進に取り組んでいく必要がある。
 また、健康・体力面で不安を抱える高齢者は、社会参加に消極的な傾向がみられる。社会参加を促進していくことは、本人の生活満足度を向上させ、要介護の予防、自立の促進につながる。こうした観点から、住居にとどまらずに、公共交通機関、道路、公共施設等のバリアフリー化を進めることが必要である。

(人権侵害の防止)
 また、要介護等の高齢者に対する家庭や施設における虐待、家族や訪問販売業者等による財産権の侵害などが指摘されている。高齢者が尊厳をもって生活していく上でこれらの人権侵害の防止は重要である。虐待については、関係機関等の連携協力により、早期発見や被害者の保護・支援に努めるべきである。特に、介護施設における身体拘束問題については、その根絶に向けた積極的な取組が求められる。
 他方、家族による虐待や財産権の侵害については、その密室性や被害認識の欠如等から問題が潜在化しやすい。関係機関による早期発見や被害の拡大防止など被害者の保護が求められるが、こうした人権侵害上の事件の発生を未然に防止する観点からも、地域において高齢者の安否を確認するネットワークづくりを進めることや、成年後見制度の普及・啓発を図ることが重要である。


(2) 年齢だけで高齢者を別扱いする制度、慣行等の見直し

 高齢社会対策基本法が理念とする「国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会」を実現する上では、基本姿勢でも述べたように、高齢者が社会に支えられる存在、社会に対する貢献を終えた存在だというように一律に扱うことは改める必要がある。この観点から高齢者を年齢だけで別扱いしている制度、慣行等について見直しを行う必要がある。

ア 制度、慣行等の見直し
 年齢だけで高齢者を別扱いしていることが結果的に高齢者が様々な社会的な活動を行うことの妨げになっていないかという観点から、労働、投資、学習、消費、市民活動といった多面にわたる高齢者の活動領域について検討することが必要である。その際、個別に分析するとともに、相互の作用や影響についても総合的に検討する必要がある。ここでは、その試みとして以下に主要な活動領域に着目して検討を行い、今後の検討の方向性を示すこととする。
 また、同時に、高齢者を年齢だけで一律に優遇している扱いについても、寿命が伸び、高齢者の所得や健康などの状況が変化してきている中で本当に必要か、また、必要な場合であっても基準としている年齢が適当かについて、見直しを行う必要がある。

(就業を制限するもの)
 年齢を基準とした雇用慣行には、結果として雇用者としての就業を妨げている面がある。
 例えば、採用に年齢制限があることが、中高年齢層の失業者の再就職を妨げている。
 また、定年退職制度により、定年がなければ働き続けても良いと考えていた人たちが労働市場から退出する問題がある。定年をきっかけに、いわゆる第2の職場で働く場合にも、それまで培った能力が必ずしもいかせないケースが多い。
 他方、定年制は、定年年齢までの雇用機会を確保するという役割を実質的に果たしており、労働者が将来の生活設計をする上での目安となっている面もある。
 さらに、年齢的な要素を重視する人事処遇制度から能力、職務の要素を重視する制度に向けた見直しや、労使間の雇用調整に関する新たな枠組みの整備など、解決のために取り組むべき課題も多い。
 このような年齢を基準とする雇用慣行については、採用から退職までの我が国の雇用慣行全般にかかわる大きな問題であることから、社会全体の合意を形成しつつ、見直しを進めていく必要がある。

(投資活動を制限するもの)
 ストックは年齢の関数であり、高齢になるほど多様なストックを持っている。雇用者としての技術や能力、住宅、貯蓄など高齢者の持つ多様なストックをフローに変える仕組みを整えていくことは、資源の活用という観点から社会にとっても重要になる。
 例えば、高齢者は持ち家比率が高い。その持ち家という資産を売却し、又は賃貸することによって、老後の生活に必要な資金を確保できるような仕組みを整える政策的な対応も必要である。
 株式投資又は投資信託を経験したことがない高齢者は多い。高齢者が金融資産を適切に運用できるよう、若年期から投資教育を進め、投資家としての能力開発を行うことが重要になる。
 また、中高年齢層の雇用者の能力開発投資について、定年などで就業が区切られてしまうと回収ができないので、結果的に能力開発投資が行われにくい。これについては既に述べた年齢を基準とした雇用慣行の見直しが必要となる。

(消費又は市民活動を制限するもの)
 消費又は市民活動を阻害しているものについては、高齢者が増えることにより、最終的には市場の力で高齢者にとって使い勝手のいい物やサービスが提供されるようになると予想される。ただし、そこまでのプロセスで、企業もNPOも個人も、高齢者を消費者又は市民活動の主体としてとらえるノウハウが十分に備わっていない部分もみられる。こうしたノウハウを蓄積し、積極的に発信していくことが、市場の力をサポートすることになる。
 特に、あらかじめ、年齢、性別、障害の有無等にかかわりなく、すべての人が快適に使用できるように商品等の仕様を設計するユニバーサルデザインについては、衣類、日用品等に適切に導入されることにより、高齢者の消費を拡大することになる。また、ユニバーサルデザインに基づいた地域空間づくりを進めることは、高齢者の市民活動の促進につながる。このようなユニバーサルデザインの普及と定着を図る必要がある。

(学習活動を制限するもの)
 生涯現役で働くためにも、高齢者となって様々な社会活動に参加していくためにも、若年期から日々自分に再投資するための能力開発、学習活動が重要である。従来の青少年期に集中的に能力開発、学習活動を行い、定年までの短い期間を懸命に働くというキャリア設計から、就業と能力開発、学習活動を柔軟に組み合わせ、両立させることができるキャリア設計に変えていくことが必要である。
 このため、生涯にわたる施策の体系化という視点から、労働時間の短縮や柔軟化を進めるとともに、能力開発、学習活動に関する政策的な支援について、資源配分を見直していくことが求められる。

(居住を制限するもの)
 高齢者が賃貸住宅の入居を拒まれることがある。高齢者の居住の安定確保に関する法律の制定により、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅の登録・閲覧、登録住宅に係る滞納家賃の債務保証等の整備が行われたところであり、その普及と定着を図ることが必要である。また、人権侵害と認められるようなケースもみられることが指摘されており、そのようなケースについては、関係機関における積極的な対応が求められる。


イ 高齢者の画一的なイメージ(老人神話)からの脱却
 高齢者を年齢だけで別扱いする制度、慣行等の背景には、高齢者の多様性を無視し、高齢者を否定的な捉え方で一括りにしてしまうような先入観があるのではないか。そうした老人神話には、高齢者は非生産的であるとか、高齢者の頭脳は明敏ではないとか、客観的・科学的な根拠から今日では否定されているものも多い。
 また、高齢者は恋愛や性に無縁であるとの神話については、老人福祉施設における恋愛や性をめぐるトラブルの取扱いや、高齢者の再婚に対する家族の理解において影を落としている。恋愛や性の問題は、高齢者の生活満足度の点で大きなウェイトを占めていくことになるかもしれず、避けて通ることのできない問題であろう。
 このような高齢者のイメージについては、世代間のギャップがみられ、若い世代ほどステレオタイプの画一的な高齢者のイメージにとらわれていることも指摘されている。
 こうした高齢者の画一的なイメージから脱却して、客観的・科学的な根拠をもって対策を進めていくには、加齢又は高齢社会に係る事象や政策について学際的、包括的に研究するジェロントロジーを一層推進することが重要である。


(3) 世代間の連帯強化

 高齢社会は高齢者だけの社会ではないし、高齢社会対策は高齢者のためだけの対策であってはならない。高齢社会対策基本法が理念として定め、2で述べたような高齢社会の姿を実現していくためには、高齢者と若い世代が連帯を強化し、相互に協力し、社会全体として共に支え合うことが不可欠である。

ア 家族における世代間の関係
 家族は、生産、次世代の育成、相互扶助などの機能を担うとともに、構成員に情緒的な安心をもたらす。家族は、次世代の担い手を育て、社会における連帯の芽を育むという意味において、社会の基礎的な構成単位であり、社会保障制度等の在り方とも密接に関連している。
 我が国における高齢者と子世代との同居率は、諸外国と比べ高いが、世代でみると減少傾向にあり、今後とも減少していくと予想されている。他方、別居の場合でも、近距離別居が増加する傾向にあり、親と別居している場合でも距離が近いほど会う頻度が多くなっている。
 家族における高齢者である親と成人したその子世代との世代間の関係をみると、前期高齢期においては、高齢者である親が子世代をサポートすることが多く、それが高齢者の満足につながっている。特に、高齢者から子世代への子育て支援についてみると、祖母の育児は子世代に好意的に受け入れられている。また、祖父母の話に関心を示し親の話よりもむしろ素直に受け入れる子供たちもいる。
 他方、後期高齢期においては、高齢者は子世代からサポートを受ける側に回ることが多い。しかし、別居も増え、子世代が介護等のサポートを果たすことが困難な状況もみられる。また、介護期の世話を家族内で子世代に期待することは特定の者特に女性に過度の負担を課すことも多い。さらに、これからの親子関係については、互いに自立しつつ愛情をかけあう関係を望む者が増えることも予想される。このようにみると、老親の介護期の世話に係る負担を社会化していくことは、家族内での世代間の良好な関係の維持にも役立つと考えられる。その際、そのような自立した親子関係を可能にするのは、社会保障制度の存在であり、それを支える世代間扶養や社会連帯の意識をきちんと子世代に育もうとする努力も必要である。
 また、固定的な性別役割分業により育児や介護などの家族内での他世代へのサポートは女性に偏りがちだが、就業環境を改善し男性も介護休業等をとりやすい環境を整備するなど、家族内での男女共同参画を支援することも必要である。
 いずれにせよ、家族における世代間の関係は多様である。それぞれの態様に応じて世代間の連帯を涵養できるように支援していくことが重要である。


イ 社会保障制度等における世代間の関係
 高齢社会における世代間の在り方については、社会保障制度等における世代間の負担の在り方に焦点が当てられることが多い。
 社会保障制度は、戦後の家族の態様の変化に伴う世代間扶養の機能の低下を代替するものとして整備されてきた。この意味において、若い世代は、社会保障制度等における金銭的な負担によって、社会保障制度等がなければ本来自らが直接負わなければならなかった扶養や介護の負担を軽減されていることになる。
 しかし、世代間扶養の考え方は、人口構造が変化し、高齢者とそれを支える若い世代のバランスの変化に伴って、後代ほど負担が大きくなるものである。こうした中で、増加する高齢者の社会保障に要する負担をそのときの若い世代のみに求めていけば、不公平感は強くなり、持続的な制度を構築することはできなくなっている。
 持続可能な制度を構築するには、世代間に公平なものとなるように給付と負担の均衡を図るとともに、負担能力のある者には、年齢にかかわらず、能力に応じ公平に負担を求めていくことが必要である。さらに、対象となる高齢者の定義を見直す、高齢者や女性の就業その他のライフスタイルに中立的な制度とする等、制度設計の基本に立ち返った本格的な検討が求められる。


ウ 世代間における時間の再配分と多様な世代が交わる場の創出
 若い世代は就業又は家事のために職場又は家庭に拘束される時間が長く、自由な可処分時間が少ない。これに対し、高齢者は、豊富な可処分時間があり、知識や経験、資産もあり、金銭的な余裕もみられるが、それらを活用する場が少ない。
 若い世代と高齢者との間で時間や活動の場の分担や交換を促進していくとともに、そうした連携が可能となる様々な場を創出することを支援することが必要である。多様な世代が様々な場で交わることによって、世代間の連帯を強化していくことができる。
 例えば、若い世代が参加できない地域社会の行事やNPOの担い手として高齢者が活躍する。若い世代と高齢者が職場を分かち合うことで若い世代が可処分時間を確保し、高齢者が働く場を得る。高齢者が若い世代の子育てを支援することにより、高齢者は生きがいを得、若い世代が就業と子育てを両立させることができる。また、文化活動やNPO活動など同じ目標に向けて、多様な世代が協働・協力して取り組むことにより、自然な連帯感が生まれる。
 こうした取組を進めていくことは、性別や年齢によって固定されがちであった活動の時間や場の多様化につながり、個人にとって多様な自己実現を図ることも可能となる。


エ 価値や文化の継承など世代間をつなぐ力の発揮
 家族も社会も、常に新しい世代が生まれ、成人し、高齢者になるというサイクルを繰り返していく。世代間の関係が疎遠になることは、高齢者が世代をつなぐ力を発揮できないため、次世代もその力を獲得できなくなる。これは、家族や社会にとってその持続性を危うくすることにもなる。
 世代をつなぐ力を発揮するには、知恵や技能とともに、豊かな人生経験に基づいた「配慮」の力が必要であり、それを培うには年を重ねる必要がある。高齢者が家庭を超えて広く次世代に対し「配慮」の力を発揮することで、世代間のかかわりがつくり出され、世代間交流も活性化される。そして、次世代も「配慮」の力を獲得することができる。このような世代をつなぐ力を発揮できるような場を意識的につくり出していくことが求められる。
 高齢者と若い世代との間の世代間交流については、学校と社会教育施設・福祉施設との連携を推進するとともに、高齢者が昔の遊びや郷土の歴史等を子供たちに教える交流活動等を推進していくことが重要である。また、こうした取組に加えて、学校教育の場における社会人の活用の中で、貴重な職業経験又は世代体験を有する高齢者の協力を求めることも検討されることが望ましい。地域の教育力の低下など、子供たちを取り巻く教育環境は悪化しており、完全学校週5日制の実施に対応するためにも、高齢者が「人生の先輩」という視点から「地域の先生」としての役割を果たせる施策を更に充実することが必要である。
 また、高齢者の就業の推進により、長い職業人生で培った貴重な知恵や経験を若い世代に継承していくことができる。特に、製造業等で就業している高齢者の高度な技能を若年者に伝承する仕組みや、農村部において若い世代と高齢者が合理的な役割分担に基づいて農作業を行う方法の開発と普及の促進が重要である。
 高齢者が積極的に地域に参画することが、世代をつなぐ力を発揮することにつながる。世帯の規模は今後とも縮小していくと予想され、家族内で高齢者と孫の世代をつなぐことは難しくなっていくが、地域社会では、多様な世代が同居している。お祭りその他の地域の行事の中で、世代の異なる多様なライフスタイルの人々が交じり合い、地域の文化や伝統が継承されて、地域社会も活性化することが期待される。
 また、元気高齢者だけでなく、高齢者は、病んでいても、あるいは障害を持っていても、「老いてある」ことそのものが、若い世代に老いの正しい認識をもたらす。若い世代が、老いのあるがままの姿を知らないまま、高齢社会を支えることを求めても効果はない。抽象的な高齢者というものではなく、身近にある高齢者の存在そのものが世代間の連帯感を育んでいくということも忘れてはならない。


(4) 地域社会への参画促進

 地域社会の機能の活性化のためには、できるだけ多くの多様な人々が地域社会に参加することが重要である。
 地域社会という場合、隣近所、自治会というような小さな社会から、基礎自治体としての市町村、さらには、モータリゼーションやITを活用したより広域な社会まで様々なレベルがある。いずれのレベルも重要であるが、特に一人暮らし、要介護等の高齢者の福祉や安全という観点からは、歩いて行ける範囲の最も身近な地域社会の重要性を強調しておきたい。また、地域社会への参画は、個人が幾重にも重なり合うネットワークの中から選択し、又は自らが新たにつくりだし、行うものでもある。さらに、地域社会は多様であり、都市部と農村部では異なる点も多い。これらの点にも留意する必要がある。

ア 高齢者の地域社会での活動支援
 高齢者は、多くの可処分時間があり、安定的な所得を得ており、生計を就業による収入に依存する度合いも低い。今後、女性の就業が進み、これまで地域社会においてボランティア活動等を担ってきた専業主婦が減少することが予想されるが、これに替わる人材として、高齢者が果たしていく役割は大きい。
 他方、地域社会は、新たな生きがいの場として高齢者の前に広がっている。地域社会からの要請に応じて高齢者が役割を果たしていく関係にとどまらず、高齢者自身が自らの志向に応じて地域社会に参画し、地域にアイデンティティーを形成できることが重要である。
 そのような高齢者の技能や経験をいかせる新たな活動の受け皿として、NPO、コミュニティービジネスや、これらと行政や企業とをつなぐ中間支援組織等が挙げられる。地域で必要とされながら、公平性や平等性に基づき生活の基本的な部分の支援を確実に行うことを目的とする公共サービスにもなじみにくく、かつ、個別性が高いため高い利益も期待しにくく一般の企業によっても提供されない様々なサービス分野で、高齢者によるNPO活動や起業などが期待される。シルバー人材センターを活用した就業機会の提供やNPO活動の基盤の整備を更に進めるとともに、起業精神の旺盛な高齢者が新たな団体、組織を円滑に立ち上げることができるように政策的に支援していくことも必要である。
 高齢者、特に都市部で雇用労働者として地域に余りかかわらずに過ごしてきた男性高齢者が、それまでの職場から地域社会への移行を円滑にするために、地域社会の中で同じ課題を持つグループを見つけること、それまでのキャリアをいかした特定の役割を受け持つこと、サービスの提供者として誇りを持てるような活動を行うことなどが重要であり、そのためのきっかけを地域社会として用意するような工夫が必要となる。
 また、地域の活動グループには、実際の活動の担い手は女性が多いにもかかわらずリーダーは男性という場合も多いが、活動の活性化を図るためには、男女共同参画を進めていくことが求められる。
 都市部より高齢化の進展している過疎地、農山村においては、高齢者が地域社会を維持する積極的な役割を担っているところも多く、高齢者の地域における存在感は都会の高齢者を元気づけるものがある。また、農山村における女性高齢者による様々な起業の事例は、都会の元気高齢者が自分の住む地域の特性に合った起業を行う上で参考となるだろう。新旧の考え方の混在する農山村、過疎地の地域社会を活性化するには、開かれた地域社会への転換が必要であり、このような観点からも農山村と都市部に住む人たちとの交流は望まれる。


イ ユニバーサルデザインによる空間づくり
 加齢により様々な健康上のあるいは肉体上の障害がみられるようになった高齢者の地域社会への参画を促進する上では、制約となるような物理的な障壁を除去することが必要である。高齢者が外出しやすいように、公共交通機関、道路、公共施設、住宅等のバリアフリー化を一層促進していく必要がある。その際、ユニバーサルデザイン(誰でも仕様)の地域空間づくりという全体的なデザインの中で、様々なバリアフリー化を位置付けていく必要がある。
 ユニバーサルデザインは、障害の有無、年齢、性別等にかかわらず多様な人々が気持ちよく活動できるようにあらかじめ都市や生活環境を計画する考え方である。例えば、これからの地域社会には、安らぎの機能も求められており、癒し効果のある空間をつくることも求められる。
 ユニバーサルデザインの領域は、建物、空間のほか、衣類や日用品等の目に見えるものから、サービスやシステムなどの目に見えないものまで多岐にわたるものである。電動スクーターや車椅子を貸し出し、手助けをすることにより移動に制限のある人たちにも買い物などを楽しんでもらおうとするタウンモビリティもその一つである。また、公共交通機関については、駅などの施設のバリアフリー化とともに、利用者間のマナー向上、混雑緩和等のための様々なソフト面での工夫も求められる。公共交通機関の「シルバーシート」の名称を「優先席」に変更することや、若くても体調の悪い人や重い荷物を持っている人などに互いに席を譲り合えるよう利用者に配慮を求めることなども、ユニバーサルデザインになじんだ考え方によるものである。
 こうしたユニバーサルデザインの考え方を社会に定着させていくことが重要である。


ウ 就業世代の地域社会への参画促進
 地域社会の相互扶助機能を活性化するには、高齢期に限らず、就業している現役時代も含め、濃淡はあるにせよ生涯を通じて地域社会への参画を継続することが望まれる。
 このためには、働き方の多様化・柔軟化や労働時間の短縮等を進め、職場の都合最優先の企業風土を改め、雇用者も地域社会にかかわる時間を持てるよう環境を整備することが求められる。通勤時間を短縮し、居住地域に帰属意識を持てるよう、職住近接のまちづくりを進めることも必要である。様々な地域での活動を雇用者も参加できるような時間帯に設定することも求められるが、インターネットの普及により時間の制約を超えた参画が可能になることも期待される。
 また、ボランティア活動などへの敷居を低くする一つの試みとして、エコマネーなどの地域通貨に注目したい。相互扶助など「円」では評価しにくい多様なサービスを、地域通貨を媒介として取引することで、多数の住民参加により提供することを目的としている。地域通貨の流通には参加者間の信頼の醸成を図ることがカギとなるが、地域通貨を循環させていくことで、地域住民同士が触れ合い、相互扶助の精神が広まっていくと同時に、地域社会の活性化につながると期待されており、その動向を注視していくことが必要である。


(5) 総合的な推進方策

 以上検討してきた高齢社会対策の横断的な課題については、団塊の世代が高齢期に差し掛かる10数年後を見通しながら、社会全体として総合的に取り組んでいく必要がある。このため、新たな取組として、関係府省庁にとどまらず、自治体、学会、産業界、NPO等が協力し、施策の推進を図るための枠組みを整備することが望まれる。そこでは、これら関係者がパートナーシップの理念の下に協力して、多様な観点から政策の研究及び評価を行い、客観的・専門的分析に基づいて既存の政策の成果を明らかにするとともに、課題の解決に資する情報を提供することが求められる。
 この新たな枠組みに基づく取組については、国会及び国民に対する説明責任の観点から、年次報告の内容に盛り込むことが適当である。


5. おわりに

 2002(平成14)年4月、スペインのマドリードにおいて、高齢化に関する国際行動計画を20年ぶりに改定するため、第2回高齢化に関する世界会議が開催される。「すべての世代のための社会」の理念の下、年齢差別の撤廃、世代間の連帯強化等の取組を強化するとともに、政府と市民社会のパートナーシップの下、高齢化に関する国のインフラを整備することなどが議論される見込みである。
 グローバリゼーションの進展により、若い世代も含めたすべての世代にとって魅力的な社会をつくらないかぎり、国民が他の国に流出していくことも避けられない時代がもうそこに来ている。「すべての世代のための社会」とは、そうした意味も含んでいる。高齢社会対策が、一定の年齢以上の人々を一括りにして、その人たちに対して特別の対策を採るというだけのものではあり得ない時代になっている。
 幸い、日本の高齢者の就業意欲は極めて高い。この高い就業意欲をいかし、すべての世代が共に支える生涯現役社会をつくることができれば、それは世界に提示できる新しいグローバルスタンダードになるだろう。また、急速な経済の発展と社会の変動、それに引き続く高齢化の急速な進行という世界にも前例のない日本社会の経験とそれへの取組は、同じような変化を経験しつつある多くのアジア諸国にとって貴重な参考となるだろう。
 この報告書における提言に沿って、高齢社会対策大綱の見直しを行い、実行力をもって施策の一層の推進を図っていくことを求めたい。それは、マドリード会議に向けて、我が国の姿勢を世界に対し発信する意味でも重要である。
 我々の提言が実を結ぶための鍵は、団塊の世代が握っている。戦後の日本の経済と社会の変化の節目にこの世代は立ち会ってきた。それがこの世代を世代間の通訳的な存在にしている。人口構成の変化と景気の長期にわたる低迷という戦後の大きな節目の中で、改めて自らが支えてきた社会保障制度や雇用慣行の在り方が問われている。団塊の世代が高齢期を迎えたとき、自らの既得権に固執することなく、すべての他の世代とともに積極的に社会を支えていこうとするのか、また、そのときまでに、社会の側は年齢にかかわりなく様々な活動に参加できる条件を整備できるのか。団塊の世代は、これから高齢期を迎えていくすべての戦後生まれ世代の前衛として位置付けることもできる。
 高齢社会対策の推進は、必然的に個人の意識、行動様式の変革というような領域とかかわらざるを得ない。我々が、高齢社会のあるべき姿、対策推進の基本姿勢、個人及び社会全体の視点に立って横断的に取り組む課題の設定とそれに沿った検討というような一見迂遠な議論の仕方を行ったのは、理念や基本認識を明確に共有することから出発することが重要だと考えたからであり、高齢社会の政策課題は、個人のライフスタイルの多様化、世代間の関係、地域社会の変容という、個別分野を超えたより幅の広い文脈の中で検討されるべきだと考えたからである。これらの課題の解決に向けた施策の推進について、幅広い関係者の更なる議論と真摯な取組を期待したい。


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