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第1編 陸上交通
1 交通の指導取締りの状況
(1) 交通の指導取締りの状況
平成15年中における車両等の道路交通法違反(罰則付違反)の取締り件数は約811万件で,悪質・危険性の高い違反としては,最高速度違反が約265万件,酒酔い・酒気帯び運転が約18万件,無免許運転が約7万件等となっている(第1‐32図)。
また,点数告知に係る違反の取締り件数について主なものをみると,座席ベルト装着義務違反が約320万件で,ヘルメット装着義務違反が約8万件等となっている。
(2) 高速自動車国道等における交通指導取締りの状況
平成15年中の高速自動車国道等における交通違反取締り状況は,第1‐19表のとおりである。
(3) 交通反則通告制度の適用状況
平成15年中に反則行為として告知した件数は728万5,683件で,車両等運転者の道路交通法違反(罰則付違反)の取締り件数中に占める比率(反則適用率)は89.9%である。
反則告知件数を成人・少年別にみると,成人は683万1,430件,少年は45万4,253件となっている。また,行為別にみると,主なものは,最高速度違反が226万9,183件(31.1%),駐停車違反が168万1,403件(23.1%)となっている。
2 交通の指導取締りの強化等
(1) 一般道路における効果的な指導取締りの強化等
交通事故を防止するとともに,交通渋滞及び交通公害を緩和するためには,街頭監視活動及び白バイ,パトカー等による機動警ら活動を強化する必要がある。このため,部門間の連携や,人員の効率的配置により,交通指導取締り体制の確保に努め,交通機動隊等による機動力をいかした効果的な指導取締りを推進した。
また,悪質・危険な違反の取締りを効果的に推進するため,取締り関係装備資器材の充実整備に努めた。
さらに,事業活動に関してなされた放置駐車,過積載運転,過労運転,最高速度違反等の違反及びこれらに起因する事故事件については自動車の使用者等の責任,いわゆる背後責任の追及を図るとともに,自動車の使用制限処分を行うなどこの種の違反の根源的対策を推進したほか,無車検運行,無保険車運行等各種交通関係法令違反についても積極的な取締りに努めた。
(2) 高速自動車国道等における指導取締りの強化等
高速自動車国道等における安全で円滑な交通流を確保するため,関係都道府県の高速道路交通警察体制の充実強化を図るとともに,多角的な交通事故分析により交通危険箇所に重点を置いた機動警ら,駐留監視活動等を強化して交通流の整序に努め,悪質・危険性の高い著しい速度超過,飲酒運転,車間距離不保持,積載重量超過違反,迷惑性の高い路肩通行,進路変更禁止等の違反を重点として指導取締りを推進した。
また,大型貨物自動車を中心とした指定通行帯等の通行帯違反を重点とした指導取締りを強化した。
(3) 科学的な指導取締りの推進
交通事故分析システムの高度化を図るとともに,取締用装備資器材の改良等科学技術の進歩に対応した研究開発に努めるなど,交通事故実態に的確に対応した科学的かつ効率的な指導取締りを推進した。
3 交通犯罪捜査及び交通事故捜査体制の強化
(1) 交通犯罪捜査の現況
交通事故に係る業務上(重)過失致死傷事件の平成15年中における送致件数は,85万5,809件である。
なお,平成15年中のひき逃げ事件(交通事故に係る無申告事件を含む。)の発生件数は2万7,926件で,検挙件数は1万118件である。また,悪質・危険な運転行為による事故については,事案の内容に応じて,危険運転致死傷罪の適用も視野に入れながら,適正な交通事故捜査を推進した。
(2) 専従捜査体制の強化等
交通事故の多発や平成13年12月から危険運転致死傷罪が施行されていること等により捜査の負担が過重になっていることから,捜査業務の合理化・効率化を図りながら,重要事件に対する専従捜査態勢の整備や捜査員の捜査能力の向上に努めた。
(3) 初動捜査体制及び科学的捜査体制の強化
事故処理車,捜査用車等の現場での初動捜査に必要な車両及び交通事故自動記録装置等を積極的に導入・整備するとともに,その効果的な活用に努めた。
4 検察庁における交通事犯処理体制の整備
平成15年中の交通事犯についてみると,自動車等による業務上(重)過失致死傷事件の通常受理人員は89万5,456人で,14年に比べ1.8%増加している。同事件の通常受理人員は全刑法犯の通常受理人員の71.9%を占め,その比率は10年以降増加傾向を示していたが,14年に引き続き15年においても,やや減少している。また,道路交通法違反事件の通常受理人員は79万4,948人で,14年に比べ7.7%減少している。両事件の通常受理人員を合わせると全刑事事件の通常受理人員216万2,604人の78.2%を占めている。さらに,危険運転致死傷罪が13年12月から施行されている。これら交通事犯の捜査処理を迅速かつ適正に行うことは,検察庁における重要課題の一つであり,捜査機材・資料の整備等を含め,交通事犯処理体制の充実強化を図っている。
5 刑事処分の状況
(1) 業務上(重)過失致死傷事件等
平成15年中の全国の検察庁における業務上(重)過失致死傷事件の通常受理人員は89万8,183人であり,起訴人員は10万439人となっている(第1‐20表)。
平成14年の通常第一審における科刑状況についてみると,自由刑の言渡しを受けた者は7,712人,罰金刑の言渡しを受けた者は205人であり,略式手続により罰金刑の言渡しを受けた者は9万2,823人となっている(第1‐21表)。
なお,平成15年中の全国の検察庁における危険運転致死傷事件の起訴人員は334人となっている。
(2) 道路交通法違反事件
平成15年中の全国の検察庁における道路交通法違反事件の通常受理人員は79万4,948人,起訴人員は64万626人となっている(第1‐22表)。通常第一審における科刑状況についてみると,自由刑の言渡しを受けた者の総数は,近年増加傾向にあったものの,13年に減少に転じている(第1‐23表)。
なお,危険運転致死傷罪事件の起訴人員は334人である。
また,平成14年における略式手続による罰金刑科刑状況では,5万円以上が全体の78.3%を占めている(第1‐33図)。
6 暴走族対策の強化
近年,暴走族の構成員は減少傾向にあるが,依然として爆音暴走や数グループの合同暴走等を活発に行うとともに,凶悪事件等を引き起こしている。
このような最近の暴走族の実態や,これに対する国民の強い取締り要望にかんがみ,「暴走族対策の強化について」(平成13年2月5日暴走族対策関係省庁担当課長等会議申合せ)に基づき,政府一体となった暴走族対策の推進に努めた。
平成15年末現在,警察が把握している全国の暴走族の総数は,2万1,184人である。この内訳は爆音暴走等を集団で行う共同危険型の暴走族が1,251グループ,1万7,704人であり,港湾道路や駐車場などにおいて,激しい斜行走行等のテクニックを競い合う「ドリフト族」,山岳道路等でコーナリング等の運転技術を競う「ローリング族」等の違法競走型の暴走族が3,480人である(第1‐24表)。
最近の暴走族の傾向としては,グループの小規模化が進む一方,暴力団を後ろ盾としたり,連合組織を形成するなどの傾向がみられ,その活動範囲も複数の都府県にまたがるなど広域化している。
また,暴走族同士の対立抗争や脱会者等に対する暴行から殺人行為に及ぶなど,凶悪事件も発生している。
(1) 暴走族追放気運の高揚及び家庭,学校等における青少年の指導の充実
暴走族追放の気運を高揚させるため,地方公共団体における「暴走族根絶条例」等の制定及び運用に協力するとともに,報道機関等に対する資料提供を積極的に行い,凶悪化する暴走族の実態が的確に広報されるよう努めるなど,広報活動を積極的に行った。また,家庭,学校,職場,地域等において,青少年に対し,「暴走族加入阻止教室」を開催するなどの指導等を促進した。さらに,関係団体等との連携の下に,暴走族相談員制度を創設し,暴走族の解体,暴走族への加入阻止,暴走族からの離脱等の支援指導を徹底した。暴走族問題と青少年の非行等問題行動との関連性にかんがみ,青少年育成団体等との連携を図るなど,青少年の健全育成を図る観点から施策を推進した。
学校教育においては,生徒一人一人の能力,適性等に応じた適切な教育が実施できるように学校・家庭・地域社会の連携と適切な役割分担を進めていく中で,教育課程の編成・実施について更に徹底するとともに,交通安全教育担当教員等の研修(独立行政法人教員研修センターで実施)の充実を図るなど生徒に対する交通安全教育の一層の充実を図った。
(2) 暴走行為をさせないための環境づくり
暴走族及びこれに伴う群衆のい集場所として利用されやすい施設の管理者に協力を求め,い集させないための施設の管理改善等の環境づくりを推進するとともに,地域における関係機関・団体が連携を強化し,暴走行為等ができない道路環境づくり及び公安委員会による交通規制を積極的に行った。また,事前の情報の入手に努め,集団不法事案に発展するおそれがあるときは,早期に暴走族と群衆を隔離するなどの措置を講じた。
(3) 暴走族に対する指導取締りの強化
暴走族に対しては,共同危険行為等の禁止違反を始めとする各種法令を活用した取締りを強力に推進したほか,6月には「暴走族取締り強化期間」を実施した。また,不法改造車両等の押収のほか,司法当局に没収(取)措置を働きかけるなど暴走族と車両の分離を図るとともに,不正改造等暴走行為を助長する行為に対しても背後責任の追及を行っている。平成15年中の暴走族の法令別検挙状況をみると,暴走族構成員等が減少していることもあり,前年に比べ検挙件数は減少した(第1‐25表)。
(4) 暴走族関係事犯者の再犯防止
暴走族関係事犯者の捜査に当たっては,個々の犯罪事実はもとより,組織の実態やそれぞれの被疑者の非行の背景となっている行状,性格,環境等の諸事情を明らかにしつつ,事件の速やかな処理に努めるとともに,グループの解体や暴走族グループから構成員等を離脱させるなど暴走族関係事犯者の再犯防止に努めている。
少年院送致決定を受けた暴走族少年あるいは保護観察に付された暴走族関係事犯者の処遇に当たっては,遵法精神のかん養,家庭環境の調整,交友関係の改善指導,暴走族組織からの離脱指導等,再犯防止に重点を置いた個別処遇及び集団処遇に努めた。
なお,平成15年末現在で保護観察に付されている者のうち,暴走族関係事犯者として把握されている者は5,420人である。
また,暴走族を早期に道路交通の場から排除するため,共同危険行為等の禁止違反者に対する行政処分を迅速・的確に行うとともに,停止処分者講習では,若年者を対象とした特別学級を編成するなど効果的な方法による講習の実施に努めている。
さらに,暴走族問題が地域社会に深くかかわる問題であることにかんがみ,都道府県及び市町村に設置されている「暴走族対策会議」の下に,暴走族対策の推進に携わる機関及び団体の代表から構成される「暴走族対策推進幹事会」の設置を促進した。
(5) 車両の不正改造の防止
暴走行為等を目的とした不正改造車等を排除し,自動車の安全運行を確保するため,自動車検査の確実な実施に加え,広報活動の推進,関係者への指導,街頭検査の強化等による「不正改造車を排除する運動」を全国的に展開した。
また,平成15年4月に施行された改正道路運送車両法を適用し,不正改造行為等を検挙した。