平成15年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第2編 海上交通
第2章 海上交通安全施策の現況
第6節 海上交通に関する法秩序の維持

第2編 海上交通

第2章 海上交通安全施策の現況

第6節 海上交通に関する法秩序の維持

 海上保安庁は、海上における犯罪の予防及び法令の励行を図るため、平成15年は、旅客船等に対する海上保安官の警乗や、3万8,744隻の船舶に立入検査を実施する一方、取締りの実施により2,097件の海事関係法令違反を送致したほか、違反の態様が軽微で是正の容易な904件の海事関係法令違反について警告措置を講じた。
 また、海事関係者等を対象とした海難防止講習会の開催、訪船指導の実施等により航法、海事関係法令等の遵守、運航マナーの向上、出港前点検の励行、気象・海象情報の的確な把握等安全指導を行った。また、航路等において、他の船舶の流れを無視したプレジャーボートの遊走等の無謀な活動に対しては、訪船・現場指導や取締りを実施し、海難の未然防止及び海上交通秩序の維持に努めている。一方、港内、主要狭水道等船舶交通のふくそうする海域において、巡視船艇による船舶交通の整理及び航法違反等の指導取締りを実施している。
 特に、海上交通安全法に定める11の航路については、巡視船艇を常時配備するとともに、航空機によるしょう戒を実施し、重点的な指導取締りを行っている。
 このほか、年末年始には、旅客船、カーフェリー、遊漁船、海上タクシー等による海上輸送の安全確保を図るため「年末年始特別警戒」を実施し、全国一斉に訪船指導等を実施した。
 警察では、近年のマリンレジャー人口と船舶交通量の増加に対応して、水上交通の安全と秩序を維持するため、警察用船舶の整備と水上警察の組織体制の充実強化を図り、船舶交通のふくそうする港内や事故の起きやすい海浜、河川、湖沼等において、警察用船舶、警ら用無線自動車及び警察用航空機が連携してパトロール等を行ったほか、訪船連絡等を通じた安全指導を積極的に行った。また、事故に直結しやすい無免許操縦、無検査船舶の航行等違反行為の取締りを強化し、平成15年中、海事関係法令違反78人を検挙した。特に水上オートバイの事故については、水上(中)におけるレジャー事故に占める割合が最も大きい(約22%)ため、(財)パーソナルウォータークラフト安全協会等関係団体との連携を図り、広報啓発活動を実施するとともに、自治体との連携を図り、事故に直結しやすい無謀な操縦や無免許操縦に重点を置いた指導取締りを推進した。
 また、近年における多様なレジャースポーツに伴う事故を防止するため、レジャースポーツ関係業者、港湾、漁業関係者等との連携を図り、レジャースポーツ愛好者に対し、遊具の搬送、持ち込みに際して安全指導を行ったほか、レジャースポーツを行う者同士の事故やこれらの者と遊泳者、漁業関係者等との事故を防止するため、水上安全条例の運用等を通じて、危険行為の防止に努めるなど水上交通に関する秩序の維持に努めた。
 なお、水上安全条例については、福島県、福井県、滋賀県、兵庫県、和歌山県、長崎県、宮崎県及び沖縄県の8県において、海水浴場に関する規制等を盛り込んだ条例が施行されている。

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