交通安全白書の刊行に当たって

写真 内閣官房長官
中央交通安全対策会議交通対策本部長
細田博之

 昨年の道路交通事故による死者数は7,702人と、昭和32年以来46年ぶりに7千人台まで減少させることができました。しかしながら、一昨年12年ぶりに前年を下回った交通事故発生件数及び負傷者数が再び増加に転じ、過去最悪を記録しており、交通事故をめぐる情勢は依然として予断を許しません。
 小泉内閣総理大臣は、昨年1月の「交通事故死者数半減達成に関する内閣総理大臣(中央交通安全対策会議会長)の談話」や今年の第159回国会における施政方針演説で、10年間で交通事故死者数を5千人以下とし、「世界一安全」な道路交通の実現を目指すという決意を明らかにしています。さらに、交通事故発生件数及び負傷者数についても減少させていく必要があります。
 このため、政府といたしましては、国民、地方公共団体、民間団体などの皆様と力を合わせ、世代間交流事業を始めとする高齢者の交通安全対策、シートベルト及びチャイルドシートの正しい着用の徹底など様々な交通安全施策を一層強力に推進してまいる所存であります。
 また、鉄道交通事故、海難、航空交通事故など、一たび事故が発生すれば、国民誰しもが巻き込まれる可能性を有しており、陸上、海上、航空の全ての分野において、交通事故の防止は極めて重要な国民的課題であります。
 この報告書は、陸上交通、海上交通及び航空交通の分野ごとに、交通事故の状況と平成15年度における各種施策の実施状況について記述するとともに、平成16年度に取り組む交通安全施策について紹介しています。
 尊い生命を悲惨な交通事故から守るためには、国民の皆様に交通安全に関する理解と関心を深めていただくことが大切であると考えております。本書が、国民の皆様に広く利用され、交通事故による惨禍の根絶に向けた一助となることを願ってやみません。

平成16年6月

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