交通安全白書の刊行に当たって

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内閣府特命担当大臣

中央交通安全対策会議交通対策本部長

高市早苗

 平成18年の道路交通事故による死者数は6,352人と、6年連続の減少となるとともに、51年ぶりに6千人台前半まで減少しました。過去最悪であった昭和45年の1万6,765人と比較すると、1万人以上減少しており、これは、国民の皆様が長年にわたり努力された成果と考えています。しかしながら、毎年国民の約100人に1人が交通事故により死傷しているという厳しい情勢は続いています。
 政府は、「平成24年までに交通事故死者数を5,000人以下とし、世界一安全な道路交通を実現することを目指す」という目標の実現に向けて、昨年3月に第8次交通安全基本計画を策定いたしました。この計画は、交通事故のない社会を目指し、特に子どもやお年寄りなどいわゆる交通弱者を守る「人優先」の交通安全思想を基本理念として、事故の起きにくい道路交通環境の整備、とりわけ通学路等における歩道の整備等を進めるなど様々な施策を推進することとしております。
 また、飲酒運転による悲惨な事故が続いたことから、昨年9月に飲酒運転の根絶についてのメッセージを発出し、「飲酒運転は絶対にしない、させない」という国民の意識改革を進める広報・啓発活動を集中的・継続的に行うとともに、関係業界に働きかけを行い、常習飲酒運転者対策についても官民挙げて検討していくこととしております。
 さらに、鉄道交通事故、海難、航空交通事故などは、国民誰しもが巻き込まれる可能性を有しており、陸上、海上及び航空のすべての分野において、交通事故を防止することは極めて重要な国民的課題です。政府では、全力を挙げて事故防止に取り組んでおります。
 本年の白書においては、陸上、海上及び航空の分野ごとに、交通事故の状況と平成18年度における各種施策の実施状況について報告するとともに、平成19年度に取り組む交通安全施策に係る計画について記述しています。
 尊い生命を悲惨な交通事故から守るためには、国民の皆様に交通安全に関する理解と関心を深めていただくことが大切です。本書が、広く利用され、交通事故による惨禍の根絶に向けた取組の一助となることを願ってやみません。

平成19年6月

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