平成20年度交通安全施策に関する計画
別添参考
参考-6 平成19年度中央交通安全対策会議交通対策本部決定

別添参考

参考-6 平成19年度中央交通安全対策会議交通対策本部決定

飲酒運転の根絶に向けた取組の強化について

平成19年7月10日
中央交通安全対策会議
交通対策本部決定
平成20年1月11日改正

 今般、飲酒運転等に対する罰則の引き上げ、酒類提供行為や同乗行為の禁止等を内容とする道路交通法の改正が行われたところであり、この機会を捉えて飲酒運転の根絶に向けた取組を強化するため、国及び地方公共団体は、これまでの措置に加え、次の措置を講ずるものとする。

1
飲酒運転をした運転者及び飲酒運転の周辺者に対する制裁の強化等に係る道路交通法の改正を踏まえ、次の事項について広報啓発を推進するとともに、所属の職員に対し指導を強化すること
(1)
酒気を帯びて車両等を絶対に運転しないこと
(2)
飲酒運転をするおそれがある者に対し、車両等を提供しないこと
(3)
飲酒運転をするおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒を勧めないこと
(4)
運転者が酒気を帯びていることを知りながら、同乗しないこと
2
酒類を提供する飲食店等に対し、上記1の事項について周知徹底を図るとともに、特に上記1の(3)の遵守について指導を強化すること
3
常習飲酒運転者対策として、別添「常習飲酒運転者対策の推進について」(平成19年12月26日常習飲酒運転者対策推進会議決定)に基づき、取組を実施すること

(別添)

常習飲酒運転者対策の推進について

平成19年12月26日
常習飲酒運転者対策推進会議決定

 飲酒運転を繰り返すという行為の背景に、常習飲酒者、多量飲酒者の存在、さらには、自らの飲酒行動をコントロールできなくなるアルコール依存症の問題が指摘されている。
 飲酒運転の根絶を図るためには、飲酒運転に対する国民の意識改革を進めることが重要であるが、これに加え、常習飲酒者、多量飲酒者の減少を図ることが重要である。
 また、アルコール依存症は「否認の病」といわれるように、自らが依存症であることを容易に認めたがらない傾向が強いことから、何よりも先ず、本人の疾患の自覚と専門医療機関への受診を促すことが重要である。また、根本的な治療は断酒しかなく、再発する割合も高いことから、本人の意思だけでは解決することが難しいため、専門相談機関の支援とともに周囲の理解や協力が重要である。
 このような問題意識の下、本会議において、本年6月に「当面の常習飲酒運転者対策について」(以下「当面の対策」という。)を決定し、諸施策を実施してきたところである。
 今後、これまでの実施状況を踏まえ、国民の健康増進を図りつつ、飲酒運転の根絶を図るため、関係省庁、関係団体の連携により、以下の取組を実施する。

1 アルコールの影響や専門相談機関等の周知

 当面の対策を受け、内閣府は、厚生労働省の協力を得て、アルコール依存症についての相談を行っている全国の精神保健福祉センター、保健所のリストを作成し、都道府県等に送付した。
 今後、内閣府において、厚生労働省の協力を得て、全国のアルコール依存症の専門医療機関、断酒会等の自助グループについて、都道府県別にリストを作成して、都道府県、都道府県警察等の関係機関に送付する。
 また、内閣府において、ホームページを活用して、アルコールが身体に及ぼす影響等についての広報啓発を行うとともに、酒造会社のテレビ広告等に適正飲酒についての表示を追加するなど適正飲酒の積極的な広報の実施について、関係団体を通じて要請する。
 さらに、飲酒運転については本人の怪我や車の損害は保険の対象とならないものがあること等についての周知を図るよう業界団体に要請する。
 警察庁、国土交通省において、民間団体の協力も得つつ、安全運転管理者講習、運行管理者講習等各種講習の指導者がアルコールやアルコール依存症についての正しい知識をより一層習得できるよう、促す。

2 様々な機会をとらえた飲酒行動是正のための働きかけ

 当面の対策を受け、内閣府は、都道府県等での飲酒行動是正のための啓発資料の作成に資するため、モデル的に栃木県と共同してリーフレットを作成したほか、一部の地方公共団体においても、アルコール依存症と飲酒運転の関係についてのリーフレットが作成され、運転免許の処分者講習等において活用されている。
 今後、関係府省庁において、1のリストを活用して、各種安全運動、街頭指導時、運転免許の処分者講習等様々な機会をとらえた飲酒行動是正を促すための働きかけを、より一層推進する。
 また、警察庁において、運転免許の処分者講習等において、常習飲酒等が疑われる者に対し、精神保健福祉センター等の専門相談機関、医療機関、断酒会等の自助グループ等の情報提供に努める。

3 運転免許の処分者講習の充実及び常習飲酒運転者の早期把握等

 当面の対策を受け、警察庁は、運転免許の処分者講習において、飲酒運転違反者を集めて行う飲酒学級を積極的に設置するよう、都道府県警察本部を指導し、現在すべての都道府県警察において飲酒学級が設置されている。
 今後、警察庁において、飲酒学級の継続的な設置について都道府県警察を指導するとともに、飲酒学級において、アルコール依存症の正確な知識の普及、飲酒ゴーグル等を活用した疑似体験を行うよう努めるなど、運転免許の処分者講習の内容の充実を図る。
 また、常習飲酒運転者の早期発見、早期対応を図る観点からも、効果的かつ強力な飲酒運転の取締りを推進するとともに、飲酒運転が疑われる負傷者を救助・搬送した場合等において、消防、医療機関から警察への早期連絡の徹底を図る。

4 飲酒運転に関連する交通事犯受刑者及び保護観察対象者の処遇等の充実

 当面の対策を受け、法務省は、飲酒運転の再犯を防ぐため、アルコール依存に対する有効な処遇について外部の専門家の意見を聴くなど受刑者に対する交通安全指導の充実、保護観察対象者に対する飲酒運転防止のための指導教材の作成に向けて、検討を進めた。
 今後、法務省において、アルコール問題に取り組む自助グループによるグループワークの実施拡大等により、受刑者に対する交通安全指導の充実を図るとともに、アルコール依存に対応した新たな処遇プログラムを検討する。
 また、平成20年度に保護観察対象者に対する飲酒運転防止のための指導教材を作成し、その指導を強化する。

5 飲酒行動是正のための事業者に対する働きかけ

 厚生労働省及び事業者を所管する関係省庁において、あらゆる事業者を対象に、従業員に対するアルコールやアルコール依存症についての正しい知識の普及・啓発とアルコール依存症の専門相談機関の情報提供を行うよう要請するとともに、アルコール問題に関する講習を行っている団体等の情報提供を行う。

6 自動車運送事業者等に対する働きかけ

 国土交通省において、自動車運送事業者の業界団体において作成している飲酒運転防止対策マニュアルの適時適切な見直しと実施の徹底を要請するとともに、運行管理者に対する講習を実施している機関に対し、アルコール依存症の専門家の知見等を踏まえた運行管理者講習の内容の見直し等その一層の充実を図るよう要請する。
 また、運転者全員に対しアルコール検知器を用いて検知を行っている自動車運送事業者の現状(バス87%、タクシー64%、トラック53%)を踏まえ、自動車運送事業者におけるアルコール検知器の普及及びその適正な活用を図るよう更に要請する。

7 アルコール・インターロック装置の活用方策についての検討

 当面の対策を受け、国土交通省は、警察庁、法務省、経済産業省等の協力を得て、アルコール・インターロック装置の技術的要件について検討を進め、技術指針(案)を取りまとめた。
 今後、当該技術指針(案)等を踏まえ、内閣府において、関係省庁の協力を得て、平成20年度から、アルコール・インターロック装置の活用方策について多角的に検討する総合的な常習飲酒運転者対策についての調査を実施する。
 また、国土交通省において、関係団体に対し、アルコール・インターロック装置に関する検討会最終取りまとめについて情報提供を行う。

8 各種調査の実施

 警察庁において、平成20年度から、常習飲酒運転者等の実態や常習飲酒運転者に講ずべき安全対策について調査研究を行う。
 また、関係府省において、飲酒運転違反者に対し、刑罰だけでなく教育・治療プログラムへの参加義務付け等を行っているDUIコート等の海外における常習飲酒運転者対策の事例及び実態調査を行う。
 さらに、内閣府において、飲酒運転をした場合の保険支払のあり方等飲酒運転の根絶に資する自動車保険のあり方について検討を行う。
 ※DUI=Driving Under the Influence(アルコール・薬物の影響下での運転)

自転車の安全利用の促進について

平成19年7月10日
中央交通安全対策会議
交通対策本部決定

 近年、自転車事故が増加するとともに、自転車が歩道を無秩序に通行している実態を踏まえ、今般、自転車の歩道通行要件の明確化等を内容とする道路交通法の改正が行われたところである。これを機会に、自転車に関する交通秩序の整序化を図り、自転車の安全利用を促進するため、国及び地方公共団体は、次の措置を講ずるものとする。
 なお、自転車の通行ルールの広報啓発に当たっては、別添の「自転車安全利用五則」を活用するものとする。

1
自転車通行ルール及び今般の道路交通法の改正内容(以下「自転車通行ルール等」という。)の広報啓発に努めること
また、所属職員に対し、自転車通行ルール等の周知を図り、ルールの遵守について指導を徹底すること
2
学校、幼稚園、保育所、福祉施設及び社会教育施設等における交通安全教育、自転車利用者が参加する各種の講習等のあらゆる機会において、自転車通行ルール等の周知徹底を図ること
3
日本自転車普及協会、自転車産業振興協会等の関係団体に協力を要請する等効果的な自転車の通行ルール等の広報啓発を実施すること
4
自転車利用者の悪質・危険な交通法令違反に対する指導及び取締りを強化するとともに、地域交通安全活動推進委員等と連携して自転車の安全利用を促進するための活動を推進すること
5
自転車に係る通行実態・事故実態等を踏まえ、自転車走行空間の整備を推進すること

(別添)自転車安全利用五則

1 自転車は、車道が原則、歩道は例外
2 車道は左側を通行
3 歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
4 安全ルールを守る

○ 飲酒運転・二人乗り・並進の禁止
○ 夜間はライトを点灯
○ 交差点での信号遵守と一時停止・安全確認

5 子どもはヘルメットを着用

後部座席シートベルトの着用の徹底を図るための対策について

平成19年7月10日
中央交通安全対策会議
交通対策本部決定

 今般、道路交通法が改正され、後部座席を含む全ての座席についてシートベルトの着用が義務化されたことから、特に、着用率が低調な後部座席シートベルトの着用の徹底を図るため、国及び地方公共団体は、次の措置を講ずるものとする。
 なお、国及び地方公共団体の職員にあっては、改正法の施行前においても率先垂範して後部座席シートベルトを着用するものとする。

1
後部座席を含む全ての座席においてシートベルトを着用しなければならないことについて広報啓発に努めること
2
運転者、安全運転管理者、運行管理者等に対する各種講習、自動車教習所における教習、学校等における交通安全教育等あらゆる機会において、後部座席シートベルトの着用について周知徹底を図ること
3
自動車運送事業者等の関係団体を活用するとともに、シートベルト・チャイルドシート着用推進協議会の活動等を通じ、後部座席シートベルトの着用の徹底について効果的な広報啓発を実施すること
4
街頭における指導及び取締りに際して、後部座席シートベルトの着用の徹底がなされるよう指導すること
5
着用しやすい後部座席シートベルトの開発・普及を図ること

「交通事故死ゼロを目指す日」の実施について

平成20年1月11日
中央交通安全対策会議
交通対策本部決定

1 趣旨

 毎年、国民の100人に一人が交通事故により死傷するという厳しい状況が続いており、また、一昨年来、飲酒運転による死亡事故が大きな社会問題となっているように、交通事故のない社会を求める国民の声は依然として大きいものがある。
 また、記録の残る昭和43年以降、毎日、交通死亡事故が発生しているという状況が続いている。このような中、昨年末に、「生活安心プロジェクト」に関する関係閣僚会合において取りまとめられた「生活安心プロジェクト・緊急に講ずる具体的な施策」において、交通安全に対する国民の意識を高めるため、新たな国民運動として、「交通事故死ゼロを目指す日」を設けることとされた。
 そのため、平成20年において、以下のとおり「交通事故死ゼロを目指す日」を設け、交通安全に対する国民の更なる意識の向上を図り、国民一人ひとりが、交通ルールを守り、交通マナーを実践するなど交通事故に注意して行動することによって、交通事故の発生を抑止し、もって、近年の交通事故死傷者数の減少傾向を確実なものとすることとする。
 なお、平成21年以降については、本年の実施状況を踏まえ、検討することとする。

2 実施日

平成20年2月20日及び4月10日

3 実施内容

(1)
国及び地方公共団体は、広く国民に対し、関係機関、団体と連携し、様々な機会を活用して、「交通事故死ゼロを目指す日」の趣旨及びその設定について周知を図り、「交通事故死ゼロを目指す日」には、交通事故死が発生しないよう適切な行動を促す。
(2)
国及び地方公共団体は、広く国民に対し、(1)と併せて、近年の交通事故実態や交通事故の特徴、国民一人ひとりが実践すべき交通マナーなどについて広報を行う。
(3)
国及び地方公共団体は、各種メディアに対し、「交通事故死ゼロを目指す日」の趣旨及びその設定について、交通事故実態等の関連情報を含め情報提供を積極的に行う。
※なお、4月10日については春の全国交通安全運動と連動した取組を行う。

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