交通安全白書の刊行に当たって

野田内閣府特命担当大臣の顔写真

内閣府特命担当大臣

中央交通安全対策会議交通対策本部長

野田聖子

平成20年は、交通事故による死者数が5,155人となり、過去最悪であった昭和45年の3分の1以下まで減少しました。さらに、死傷者数についても10年ぶりに100万人以下となり、第8次交通安全基本計画の目標を2年前倒しで下回ることができました。これは、シートベルト着用者率の向上や飲酒運転の根絶に向けた取組など、関係機関を始め、国民の皆様の長年にわたる努力の成果と考えています。

しかしながら、いまだに多くの方が交通事故で亡くなっていることは、憂慮すべきことです。このため、今年1月の内閣総理大臣(中央交通安全対策会議会長)の談話において示された方針に基づき、今後10年を目途に、更に交通事故死者数を半減させ、2,500人以下とするという新たな政府目標を掲げ、世界一安全な道路交通の実現を目指すこととしています。

政府としましては、この目標の達成に向け、地方公共団体、関係民間団体及び地域の方々と力を合わせ、高齢者の交通安全対策を始め、飲酒運転の根絶、交通安全教育の推進、安全かつ円滑な道路交通環境の整備などの交通安全施策を一層強力に推進してまいります。

さらに、鉄道、海上及び航空の各分野においては、近年、ヒューマンエラーなどによる事故やトラブルが発生しており、これらの交通事故を防止することも重要な課題です。

本年の白書においては、陸上、海上及び航空の分野ごとに、交通事故の状況と平成20年度における各種施策の実施状況について報告するとともに、平成21年度に取り組む交通安全施策に係る計画について記述しています。

人の命は何ものにも代えがたいものであり、人命尊重の理念に基づき、究極的には交通事故のない社会を目指していかなければなりません。このためには、国民の皆様に、交通安全に関する理解と関心を深めていただくことが大切です。本書が広く利用され、交通事故による惨禍の根絶に向けた取組の一助となることを願ってやみません。

平成21年5月

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