平成20年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況
トピック
すべての座席におけるシートベルト着用に向けた取組

トピック

すべての座席におけるシートベルト着用に向けた取組

 平成20年6月から自動車の後部座席同乗者のシートベルト着用が義務付けられ、高速道路における違反に対しては、運転者に違反点数が付されることとなった。
 後部座席についても、シートベルトを着用することにより、着用していない場合に比べ、交通事故における致死率(死者数を死傷者数で除した割合)は約3分の1となり(20年統計)、後部座席同乗者の前席への衝突等により前席乗員が頭部に重傷を負う確率も約51分の1となる((独)自動車事故対策機構の実験データ)など、シートベルトの着用による被害軽減効果は顕著である。

<1>シートベルト着用率

 平成20年10月に実施された全国調査(警察庁と(社)日本自動車連盟(JAF)が合同で実施)において、後部座席同乗者のシートベルト着用率は、一般道で30.8%(前年比22.0ポイント上昇)、高速道路で62.5%(前年比49.0ポイント上昇)と、前年より大幅に向上した。

一般道の着用率

高速道路の着用率

<2> 着用徹底に向けた取組

 警察では、関係機関・団体と連携し、シートベルトの着用徹底キャンペーンや「シートベルトコンビンサー」を用いた参加・体験型の交通安全教育等を推進し、後部座席を含めたすべての座席におけるシートベルト着用の徹底を図っている。

街頭キャンペーンによる広報啓発

「シートベルトコンビンサー」を用いた参加・体験型の交通安全教育

広報啓発ポスター

<3> 高速道路における取組

 後部座席のシートベルト着用義務化により、高速道路における当該違反に対しては、運転者に違反点数が付されることとなったが、後部座席のシートベルト着用率が低調であったことにかんがみ、平成20年9月末までは、広報啓発活動に重点を置いた諸活動を推進した。10月以降は、引き続き広報啓発活動を行いつつシートベルト装着義務違反の指導取締りを実施している。
 平成20年中の後部座席同乗者の死者数は19人と前年(25人)に比べて6人減少した。

後部座席同乗者の死者数

 都道府県警察本部では、高速道路株式会社や高速道路交通安全協議会等の関係機関・団体と連携し、インターチェンジ、サービスエリア等における交通安全キャンペーン等を実施するとともに、あらゆる機会や広報媒体を活用して、すべての座席におけるシートベルト着用の徹底を図った。

交通安全キャンペーン

観光バスに乗車しての広報

野球場大型スクリーンによる広報

 警察庁では、(財)全日本交通安全協会が作成した広報啓発用DVD「時速100kmの衝撃!~後部座席シートベルト非着用の危険~」を監修した。作成したDVDは、関係機関・団体等に配布したほか、サービスエリア等で放映したり、交通安全講習会等で活用したりするなどにより、高速道路利用者のシートベルト着用の徹底に役立てた。

広報啓発用DVD「時速100kmの衝撃!~後部座席シートベルト非着用の危険~」

<4> 妊娠中のシートベルトの着用

妊婦中の正しいシートベルトの着用方法

 平成20年4月に日本産科婦人科学会等から、妊娠中のシートベルト着用について、ベルトが腹部を横断しないように着用することによって、母体と胎児に係る交通事故時の障害を軽減できる旨の見解が示されたことを受け、警察庁では、妊娠中のシートベルト着用の必要性、正しいシートベルトの着用方法について周知を図るため、同年11月、交通の方法に関する教則(昭和53年国家公安委員会告示第3条)の一部を改正し、

  • 妊娠中であっても、シートベルトを正しく着用することにより、交通事故に遭った際の被害から母体と胎児を守ることができること
  • 妊娠中は、事故などの際の胎児への影響を少なくするために、腰ベルトのみの着用は行わず、腰ベルトと肩ベルトを共に着用するとともに、大きくなった腹部をベルトが横切らないようにするなど、正しくシートベルトを着用することが必要であること

等を規定した。

 また、(財)全日本交通安全協会が作成した妊娠中のシートベルト着用に関するポスターを全国の産婦人科医院等で掲示するなど、妊婦中の正しいシートベルトの着用方法について広報啓発に努めている。

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