平成21年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第3編 航空交通
第2章 航空交通安全施策の現況
第7節 研究開発及び調査研究の充実

第3編 航空交通

第2章 航空交通安全施策の現況

第7節 研究開発及び調査研究の充実

1 航空交通の安全に関する研究開発の推進

(1)文部科学省関係の研究

 独立行政法人宇宙航空研究開発機構では、航空機の運航安全に関する研究として、「安全性・利便性を向上させる次世代運航システムの研究開発」、「客室内事故防止のための乱気流検知技術の研究開発」、「ヒューマンエラー防止のための運航乗務員訓練技術の研究開発」等を推進した。
 さらに、国土交通省からの依頼に基づき、構造耐空性証明の技術基準策定等の技術支援や、運輸安全委員会による航空事故等の事故原因の究明に協力した。

(2)国土交通省関係の研究

国土技術政策総合研究所の研究
航空機の離着陸時の安全性向上等を目的として、滑走路等空港土木施設の設計・施工・補修に関する研究およびストックマネジメント・予防保全の確立へ向けた研究を行った。
気象庁気象研究所等の研究
気象情報等の精度向上を図り、航空交通の安全に寄与するため、気象庁気象研究所を中心に気象に関する基礎的及び応用的研究を行っている。主な研究は、以下のとおりである。
(ア)
台風強度に影響する外的要因に関する研究
台風に関する進路予測の改善及び台風強度の精度向上のため、衛星データを用いた台風強度推定手法の高度化及び最適観測法の検討、日本付近に接近した台風の強雨・強風構造の実態解明等に関する研究を行った。
(イ)
シビア現象の監視及び危険度診断技術の高度化に関する研究
突風・大雨・落雷等のシビア現象の監視技術を高度化し、防災気象情報の向上に貢献するため、顕著なシビア現象発生時の現地調査・解析及びレーダーによるシビア現象の監視・直前予測手法の開発に関する研究を行った。
(ウ)
次世代非静力学気象予測モデルの開発
集中豪雨・豪雪等の顕著現象を精度良く再現できる次世代非静力学数値予報モデルによる予測精度向上のため、モデルの開発・改良を行い、結果の検証に関する研究を行った。
独立行政法人交通安全環境研究所の研究
航空機の地上走行中の安全性を向上させるため、灯火システムによる滑走路等の誤進入防止対策を強化するための研究等を行った。
独立行政法人電子航法研究所の研究
航空交通の安全の確保とその円滑化を図るため、「空域の有効利用及び航空路の容量拡大」、「混雑空港の容量拡大」及び「予防安全技術・新技術による安全性・効率性向上」に関する研究開発を実施した。
独立行政法人港湾空港技術研究所の研究
空港舗装の信頼性を向上させるため、オーバーレイ舗装の耐久性向上、並びに施工所要時間の短縮及び施工可能時間延長に資する研究を行った。

2 航空事故等の原因究明のための総合的な調査研究の推進

 航空事故及び航空事故の兆候(重大インシデント)の原因究明を迅速かつ的確に行うため、操縦室用音声記録装置(CVR)及び飛行記録装置(DFDR)の記録から信頼性の高い事故データ解析を実施するための総合的な調査研究を推進している。
 また、航空事故及び航空事故の兆候(重大インシデント)の的確な原因究明のため、各種装置について詳細な分析を行い、分析技術の蓄積・向上に努めるとともに、過去に公表した事故等調査報告書のデータベース化を行っている。
 さらに、運輸安全委員会が公表した事故等調査報告書の概要や分析結果の解説等を掲載した定期情報誌を発行し、航空関係者等に広く提供した。

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