平成23年度 交通安全施策に関する計画
第1部 陸上交通の安全についての施策
第1章 道路交通の安全についての施策
第4節 車両の安全性の確保

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第1部 陸上交通の安全についての施策

第1章 道路交通の安全についての施策

第4節 車両の安全性の確保

 今後、死者数や負傷者数の低減を進めていくための対策として、これまで効果を上げてきた被害軽減対策の進化・成熟化を図ることに加え、事故を未然に防止する予防安全対策について、先進技術の活用等により、更なる充実を図る必要がある。また、車両安全対策の推進に当たっては、規制と誘導的施策を総合的かつ有効に連携させるため、安全性に関する基準の拡充・強化のみならず、自動車製作者や研究機関等による安全な自動車の開発を促進する方策、使用者による安全な自動車の選択を促進する方策等を、基礎研究から実用・普及までの各段階に応じて適切に講じる必要がある。
 このような認識の下、車両の安全対策については、平成22年度に開催した交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会の結果を踏まえて実施していく。具体的には、産・官・学が参加する検討会が中心となり、<1>事故実態の把握・分析、<2>安全対策に関する方針、対策の具体的な内容の検討、<3>事前効果評価・事後効果評価といった一連の流れを継続的に実施することにより、車両の安全対策を推進していく。
 さらに、自動車が使用される段階においては、自動車にはブレーキ・パッド、タイヤ等走行に伴い摩耗・劣化する部品や、ブレーキ・オイル、ベルト等のゴム部品等走行しなくても時間の経過とともに劣化する部品等が多く使用されており、適切な保守管理を行わなければ、不具合に起因する事故等の可能性が大きくなることから、自動車の適切な保守管理を推進する必要がある。
 自動車の保守管理は、一義的には、自動車使用者の責任の下になされるべきであるが、自動車は、交通事故等により運転者自身の生命、身体のみでなく、第三者の生命、身体にも影響を与える危険性を内包しているため、自動車検査により、各車両の安全性の確保を図る。また、より確実な自動車検査の実施を行うため、ICT化された自動車検査情報の活用等、検査の高度化を進める。
 自動車アセスメントについては、平成23年度から歩行者脚部保護性能試験を導入するとともに新たな衝突安全性能総合評価を実施し、その結果を公表することとしている。
 リコール制度について、ユーザーの視点に立った、より迅速かつ着実なリコールの実施のための情報収集体制及び調査分析体制の強化を図る。
 また、自転車の安全性を確保するため、自転車の安全性向上を目的とする各種マーク制度(BAAマーク、幼児2人同乗基準適合車マーク、SBAAマーク、SGマーク)の普及に努めるとともに、近年、対歩行者との事故等自転車の利用者が加害者となる事故が増加傾向にあることにかんがみ、こうした賠償責任を負った際の支払原資を担保し、被害者の救済の十全を図るため、損害賠償責任保険等への加入を促進する。

  1. 予防安全技術の開発・実用化・普及
  2. 車両の安全性に関する基準等の改善の推進
  3. 自動車アセスメント情報の提供等
  4. 自動車の検査及び点検整備の充実
  5. リコール制度の充実・強化
  6. 自転車の安全性の確保

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