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運転者対策等に関する法整備 ~道路交通法の一部改正及び自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の制定について~

道路交通法の一部改正

平成23年4月には栃木県鹿沼市で、24年4月には京都市祇園で、意識障害を伴う発作を起こす持病を有する運転者による交通事故が相次いで発生しており、これらの事故の運転者は、こうした持病を有することについて申告せずに運転免許証の更新をしていたことが明らかになった。

また、平成23年10月には愛知県名古屋市で、24年4月には京都府亀岡市で、無免許運転による痛ましい交通事故が相次いで発生したことを受け、無免許運転の根絶を図ることが強く求められるところとなった。

さらに、自転車に係る交通安全について、平成23年から総合的な対策を実施してきたが、依然として、全交通事故の約2割を自転車関連事故が占め、また、自転車の交通事故を起こした者の約6割に何らかの法令違反が見られる等の状況にある。

これらの交通情勢等を踏まえ、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気(以下「一定の病気」という。)等に係る運転者対策、悪質・危険運転者対策、自転車利用者対策等を推進するため、道路交通法の一部を改正する法律案を第183回通常国会に提出し、平成25年6月11日に成立、同月14日に公布された。

道路交通法の一部を改正する法律(平成25年法律第43号)の概要

【政府ホームページ掲載先】

「平成25年道路交通法の一部改正」の広報資料は、下記ホームページに掲載している。
http://www.npa.go.jp/koutsuu/index.htm

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の制定

自動車運転による死傷事犯数は減少傾向にあるが、依然として、飲酒運転や無免許運転など悪質・危険な運転行為による死傷事犯が少なからず発生しており、このような悪質・危険な運転行為による死傷事犯であっても、現行の危険運転致死傷罪に該当せず自動車運転過失致死傷罪が適用された事件などを契機として、これらの罰則の見直しを求める意見が見られるようになった。

そのような状況を踏まえ、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)が、平成25年11月20日、成立し、平成26年5月20日から施行されている。その概要は、以下のとおりである。

危険運転致死傷罪の規定の整備

  1. <1>  通行禁止道路を自動車で進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転して人を死傷させることを、危険運転致死傷罪の類型として追加する。
  2. <2>  アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させることを新たな危険運転致死傷罪とし、人を死亡させたときは15年以下の懲役、負傷させたときは12年以下の懲役に処する。
  3. <3>  政令で定める一定の病気の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させることを新たな危険運転致死傷罪とし、人を死亡させたときは15年以下の懲役、負傷させたときは12年以下の懲役に処する。
  4. <4> 従来の危険運転致死傷罪に係る規定を刑法から移す。

過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の新設

アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をすることを、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪とし、12年以下の懲役刑に処する。

無免許運転による加重の新設

自動車の運転により人を死傷させる罪を犯した時に無免許運転であったときには、以下のとおり加重した法定刑とする。

(人を死傷させる罪) (無免許運転による加重)
15年以下の懲役 6月以上20年以下の懲役
12年以下の懲役 15年以下の懲役
7年以下の懲役等 10年以下の懲役

その他

従来の自動者運転過失致死傷罪を、刑法から移す。

【政府ホームページ掲載先】

「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」については、下記ホームページに掲載している。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00081.html

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