平成26年度 交通安全施策に関する計画

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第1部 陸上交通の安全についての施策

第1章 道路交通の安全についての施策

第1節 道路交通環境の整備

近年の交通死亡事故の発生状況を分析してみると,全死傷事故件数の約半数,全死者数の約7割を幹線道路における事故が占めているほか,我が国の歩行中・自転車乗用中の死者数の割合は諸外国と比較して約2~3倍となっており,これら歩行者・自転車が関連する死傷事故は生活道路において幹線道路の約2倍発生している状況にある。

このような状況から,引き続き幹線道路における安全対策を推進する一方で,事故件数に占める割合が増加傾向にある生活道路における安全対策をより一層推進することが必要であり,今後の道路交通環境の整備を考えるに当たっては,以下の2つの基本戦略に基づき,引き続き効果的・効率的な取組を進めていくこととする。

○ 施策パフォーマンスの追求

現下の厳しい財政状況の中で効果的な対策を推進するためには,限られた予算の中で交通事故対策への投資効率を最大限高めることが必要である。このため,科学的なデータや,地域の顕在化したニーズ等に基づき,事故要因や有効な対策について十分な分析を行った上で,地域の実情を踏まえつつ,生活道路と幹線道路の両輪における効果的・効率的な交通事故対策に取り組むこととする。

また,高規格幹線道路から居住地域内道路に至るネットワークによって適切に機能が分担されるよう道路の体系的整備を推進し,特に歩行者・自転車の安全を確保する必要がある生活道路においては,交通規制の点検・見直し,低速度規制の実施,交通安全施設等の整備等きめ細かな交通事故対策を実施することにより,車両速度の抑制や,自動車,自転車,歩行者等の異種交通が分離された安全な道路交通環境を形成する。

○ 地域や住民の主体性の重視

道路交通環境の整備を効果的・効率的に進めていくためには,地域や地元住民が自ら安全で安心な交通社会を構築していこうとする前向きな意識を持つことが重要であることから,計画の策定や事業の実施に積極的に参画・協力していく仕組みをつくるなど,道路交通環境整備における地域や住民の主体性を重視する取組を推進する。

また,少子高齢化が一層進展する中で,子どもを事故から守り,高齢者や障害者が安全にかつ安心して外出できる交通社会の形成を図る観点から,安全・安心な歩行空間が確保された人優先の道路交通環境整備の強化を図っていくものとする。特に,平成24年度に実施した通学路の緊急合同点検の結果を踏まえて実施する通学路における交通安全対策や地域における定期的な合同点検等の継続的な取組を学校,教育委員会,道路管理者,警察等の関係機関が連携して推進する。その他,道路交通の円滑化を図ることによる交通安全の推進に資するため,道路利用の仕方に工夫を求め,輸送効率の向上や交通量の時間的・空間的平準化を図る交通需要マネジメント(TDM)施策を総合的に推進する。また,最先端のIT等を用いて,人と道路と車とを一体のシステムとして構築し,安全性,輸送効率及び快適性の向上を実現するとともに,渋滞の軽減等の交通の円滑化を通じて環境保全に寄与することを目的としたITSの開発・普及等を推進するほか,環状交差点(ラウンドアバウト)の導入を推進する。さらに,自転車通行空間の整備と併せ,全ての道路利用者に自転車の通行ルールを徹底し,安全で快適な自転車利用環境の創出を図るほか,交通安全施設の老朽化等による第三者被害の防止を図る観点から,道路管理者による道路標識等の道路附属物の総点検を実施する。


  1. 生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備
  2. 幹線道路における交通安全対策の推進
  3. 交通安全施設等整備事業の推進
  4. 効果的な交通規制の推進
  5. 自転車利用環境の総合的整備
  6. 高度道路交通システムの活用
  7. 交通需要マネジメントの推進
  8. 災害に備えた道路交通環境の整備
  9. 総合的な駐車対策の推進
  10. 道路交通情報の充実
  11. 交通安全に寄与する道路交通環境の整備

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