第1編 陸上交通 第2部 鉄道交通
第1章 鉄道交通事故の動向

目次]  [前へ]  [次へ

第1編 陸上交通

第2部 鉄道交通

第1章 鉄道交通事故の動向

1 近年の運転事故の状況

鉄道交通における運転事故は,長期的には減少傾向にあり,平成7年に1,035件であったものが,17年には909件,27年には742件で,27年は前年比4.0%減であった(第1-42図)。


※ 運転事故
 列車衝突事故,列車脱線事故,列車火災事故,踏切障害事故,道路障害事故,鉄道人身障害事故及び鉄道物損事故をいう。なお,軌道の運転事故は,鉄道運転事故と同様に定義する。

第1-42図 運転事故の件数と死傷者数の推移

事故種類別にみると,踏切障害が242件(32.6%),人身障害425件(57.3%),道路障害60件(8.1%)であった(第1-29表)。


第1-29表 事故種類別の運転事故の発生状況 (平成27年)
区分 列車事故 その他の事故 合計
列車衝突 列車脱線 列車火災 小計 踏切障害 道路障害 人身障害 物損 小計
件数(件) 2 9 1 12 242 60 425 3 730 742
0.3% 1.2% 0.1% 1.6% 32.6% 8.1% 57.3% 0.4% 98.4% 100.0%
死傷者(人) 0 19 0 19 206 17 428 651 670
(0) (0) (0) (0) (97) (0) (176) (273) (273)

注 1 ( )内は,死亡者で死傷者の内数である。
2 踏切障害とは,踏切道において列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し,又は接触した事故のうち列車事故に至らなかったもの。
3 道路障害とは,踏切道以外の道路において,列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し,又は接触した事故のうち列車事故に至らなかったもの。
4 人身障害とは,列車又は車両の運転により人の死傷を生じた事故をいう(列車事故,踏切障害及び道路障害を除く)。
5 物損とは,列車又は車両の運転により500万円以上の物損を生じた事故をいう(列車事故,踏切障害,道路障害及び人身障害を除く)。


運転事故による死者数は273人で前年比10.5%減であり,乗客の死者数はゼロであった(第1-29表)。また,運転事故による死者数は22年と比較して,約2割減少しており,乗客の死者数ゼロと併せ,第9次交通安全基本計画の目標を達成した。


2 平成27年中の列車事故の状況

列車事故(運転事故のうち列車衝突事故,列車脱線事故及び列車火災事故をいう。)は,12件(運転事故件数の1.6%)であり,前年比25.0%減であった。


3 平成27年中の踏切事故の状況

踏切事故は,踏切保安設備の整備等により,長期的には減少傾向にある。平成27年は242件で前年比4.7%減であり,踏切事故による死者数は97人で前年比2.1%増であった(第1-43図)。


※ 踏切事故
 列車事故のうち,踏切道において,列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し,又は接触した事故及び踏切障害事故をいう。

第1-43図 踏切事故の件数と死傷者数の推移

衝撃物別にみると,自動車と衝突した事故が40.5%,歩行者と衝突した事故が42.6%であった。(第1-44図)。


第1-44図 衝撃物別踏切事故発生件数(平成27年)

また,第1種踏切道での事故件数が89.0%を占めているが,踏切道100か所当たりでは第1種踏切道が第3,4種踏切道の合計件数より少なくなっている(第1-30表)。


第1-30表 踏切道種別の踏切事故発生件数 (平成27年)
踏切道 踏切道数 件数 構成率
(踏切道)
100か所当たり
の事故件数
  か所
第1種 29,836 210 89.0 0.70
第2種
第3種 775 3 2.3 0.39
第4種 2,917 29 8.7 0.99
33,528 242 100.0 0.72
(参考)
第3,4種 計
3,692 32 11.0 0.87

注 1 国土交通省資料による。
2 踏切道種別は,次による。
  第1種 自動遮断機が設置されている踏切道又は踏切保安係が遮断機を操作している踏切道
  第3種 遮断機はないが警報機が設置されている踏切道
  第4種 踏切保安係もおらず,遮断機も警報機も設置されていない踏切道
  第2種については,現在設置されているものはない。
3 踏切道数は,平成25年度末の数字である。
4 100か所当たり件数とは,踏切道100か所当たりの踏切事故件数である。

4 人身障害事故の発生状況

平成27年の人身障害事故は425件,死者数は176人で前年比15.4%減,このうちホームから転落して又はホーム上で,列車と接触して死傷する事故(ホーム事故)は,27年は215件で前年比2.3%減であり,ホーム事故による死者数は30人で前年比14.3%減であった(第1-45図)。


第1-45図 ホーム事故の件数と死傷者数の推移

なお,ホーム事故は,酔客による事故件数が61.9%を占めている。

5  平成27年中の鉄道交通における重大事故の発生状況

平成27年2月13日にJR西日本の山陽線西阿知駅~新倉敷駅間の第1種踏切道において,踏切を支障したトラックと列車が衝突し,乗客等44人が負傷した(第1-31表)。


第1-31表 重大事故一覧 (平成27年)
発生
月日
事業者名 線名・場所 事故種類 死傷
者数
脱線
両数
主原因及び概要
2/13 西日本旅客鉄道 山陽線
西阿知駅~新倉敷駅間
踏切障害事故 44人
(0人)
0 列車走行中,踏切内でトラックが上下線を支障しているのを認めたため,非常ブレーキを使用したが,トラックと衝撃した。

注 1 国土交通省資料による。
2 重大事故とは,死傷者が10名以上又は脱線両数が10両以上生じた事故をいう。
3 死傷者数の( )内は,死亡者数で内数を示す。


目次]  [前へ]  [次へ