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第2編 海上交通 第1章 海難等の動向
※海上交通安全対策の今後の方向性 第10次交通安全基本計画より

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第2編 海上交通

海上交通安全対策の今後の方向性
第10次交通安全基本計画より

1 基本的な考え方

周囲を海に囲まれた我が国において,海の活用は経済産業や国民生活を支える上で欠くことができないものとなっている中で、一たび海上における船舶の事故が発生した場合には,尊い人命が失われ,さらには,航路の閉塞や交通制限等により海上交通が滞り経済活動等に甚大な影響をもたらすおそれがある。

海上交通全体の安全確保に当たっては,関係行政機関のみならず,事業者,漁業者等の幅広い関係者が連携・協力して,ハード・ソフトの両面にわたる総合的かつ計画的な安全施策を推進することが必要である。

また,事故が発生した場合の乗船者等の迅速・的確な捜索・救助活動を強力に推進するとともに,自己救命対策を強化することが必要である。

2 海上交通の安全についての目標

(1)海難等の状況

平成23年から27年までの船舶事故隻数は,年平均2,256隻であり,それ以前の5年間の平均と比べると,約9%減少している。平成23年から27年までの船舶事故又は船舶からの海中転落による死者・行方不明者数は,年平均で約198名であり,それ以前の5年間の平均と比べると約21%減少している。

(2)交通安全基本計画における目標
  1. <1> 2020年代中に我が国周辺で発生する船舶事故隻数(本邦に寄港しない外国船舶によるものを除く。以下同じ。)を第9次計画期間の年平均(2,256隻)から約半減(約1,200隻以下)することを目指すこととし,我が国周辺で発生する船舶事故隻数を平成32年までに少なくとも2,000隻未満とする。
  2. <2> ふくそう海域における,情報の聴取義務化の施策等により低発生水準となった衝突・乗揚事故の発生率(通航隻数100万隻当たり76隻以下)を維持確保するとともに,航路閉塞や多数の死傷者が発生するなどの社会的影響が著しい大規模海難の発生を防止し,その発生数をゼロとする。
  3. <3> 海難等における死者・行方不明者を減少させるためには,高い救助率を維持確保することが重要であることから,救助率95%以上とする。

3 海上交通の安全についての対策

(1)視点
  1. <1> ヒューマンエラーによる事故の防止
  2. <2> ふくそう海域における大規模海難の防止
  3. <3> 旅客船の事故の防止
  4. <4> 人命救助体制及び自己救命対策の強化
(2)講じようとする主な施策 【重点施策及び新規施策】
  • ふくそう海域等の安全性の確保
  • ヒューマンエラーの防止
  • 船舶の運航管理の充実等による安全の確保
  • 船舶の安全基準の整備等による安全の確保
  • 小型船(プレジャーボート,漁船等)の安全対策
  • ライフジャケット着用率の向上
  • 海難情報の早期入手体制の強化
  • 迅速的確な救助勢力の体制充実・強化
  • 海上交通の安全対策に係る調査研究等の充実
<1> 海上交通環境の整備

船舶の大型化,高速化,海域利用の多様化,海上交通の複雑化等を踏まえ,船舶の安全かつ円滑な航行,港湾における安全性を確保するため,航路,港湾,漁港,航路標識等の整備を推進するとともに,海図,水路誌,海潮流データ等の安全に関する情報の充実及びICTを活用した情報提供体制の整備を図る。

<2> 海上交通の安全に関する知識の普及

海上交通の安全を図るためには,海事関係者のみならず,マリンレジャー愛好者,更には広く国民一人一人の海難防止に関する意識を高める必要がある。そのため,あらゆる機会を通じて,海難防止思想の普及に努める。

<3> 船舶の安全な運航の確保

船舶の安全な運航を確保するため,船舶運航上のヒューマンエラーの防止,船員や海上運送事業者等の資質の向上,運航労務監理官による監査,事故の再発防止策の指導・徹底,運輸安全マネジメント評価等を推進するとともに,我が国に寄港する外国船舶の乗組員の資格要件等に関する監督を推進する。

<4> 船舶の安全性の確保

船舶の安全性を確保するため,国際的な協力体制の下,船舶の構造,設備,危険物の海上輸送及び安全管理システム等に関する基準の整備並びに検査体制の充実を図るとともに,我が国に寄港する外国船舶の構造・設備等に関する監督を推進する。

<5> 小型船舶の安全対策の充実

小型船舶による海難が海難全体の約7割を占めるとともに,その原因の多くがヒューマンエラーであることから,小型船舶操縦者の遵守事項の徹底,ライフジャケット着用率の向上等の安全対策,ボートパーク等の整備等の環境整備を推進する。

ライフジャケット着用義務の拡大
<6> 海上交通に関する法秩序の維持

海上交通に係る法令違反の指導・取締りを行い,海上交通に関する法秩序を維持する。

<7> 救助・救急活動の充実

ヘリコプターの機動性,高速性等を活用した機動救難体制の拡充によるリスポンスタイムの短縮,救急救命士による高度な救急救命体制の充実を図るとともに,関係省庁及び公益社団法人日本水難救済会等の民間救助団体と連携した救助・救急活動の円滑化を推進することとし,特に海中転落の救助率が著しく低い20トン未満の船舶における救助率向上を目指す。

また,新プログラムによる漂流予測結果を蓄積・分析し,漂流予測範囲が適切となるよう調整するとともに,海潮流データの充実により,漂流予測範囲が小さくなるよう,漂流予測の精度向上を推進する。

ヘリコプターによる吊上げ救助
<8> 被害者支援の推進

船舶事故により,第三者等に与えた損害に関する船主等の賠償責任に関し,保険契約の締結等,被害者保護のための賠償責任保障制度の充実に引き続き取り組む。

また,プレジャーボートによる人身事故や物損等で生じた損害の賠償に対処するため,船舶検査等の機会を捉え,プレジャーボートのユーザーに対しプレジャーボート保険を周知し,保険加入の促進を図る。

<9> 船舶事故等の原因究明と再発防止

船舶事故及び船舶事故の兆候(船舶インシデント)の原因究明を迅速かつ的確に行うため,調査を担当する職員への専門的な研修を充実させ,調査技術の向上を図るとともに,各種調査用機器の活用により分析能力の向上に努める。

また,海上技術安全研究所に設置している「海難事故解析センター」において,海難事故発生時に迅速に情報を分析して事故原因の解析を行うとともに,重大海難事故では,シミュレータや試験水槽等を活用した事故の再現等の詳細な解析を行い,海上交通における安全対策に反映させる。

<10> 海上交通の安全対策に係る調査研究等の充実

海上技術安全研究所において,低引火点液体等の新しい貨物・燃料を扱う船舶のリスクを評価する手法を開発するとともに,リスク評価の結果を安全基準や船舶設計へ反映する方策についての研究を行う。


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