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参考-5 平成27年度交通安全ファミリー作文コンクールの最優秀作

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○小学生の部 | 最優秀作〈内閣総理大臣賞〉

自分を守る『交通ルール』

宮城県柴田郡大河原町立大河原南小学校 四年 加藤(かとう) 由萌(ゆめ)

とつぜん目の前に黒い車が止まりました。必配そうな顔をしたお兄さんが,

「大丈夫?」と私の顔をのぞきこみました。私は,頭の中が真っ白になりました。

去年,私は交通事故にあいました。というよりも起こしたといったほうが正しいかもしれません。友達と自転車で追いかけっこをしていて,スピードも落とさず,通りの前で止まることもせず,通りに出ました。大通りから小道に入ってきた車に出合い頭にぶつかったのです。自動車の前の部分に自転車がぶつかり,タイヤが私の足の先を踏んでいました。

家からはあわててお母さんとおじいちゃんが来ました。けい察に連絡をしたら,パトカーと事故しょ理の車も来ました。このとき,私の不注意で大変なことになったと気づきました。

おまわりさんにいろいろしつ問されましたが,私の飛び出しが原いんと言われました。お母さんは,お兄さんにたくさんあやまりました。お兄さんは,「心配なので,病院に行ってみてもらってください。」と言って,病院まで一緒に行ってくれました。お母さんは,病院で待っている時に,「由萌が悪いけれど,由萌の自転車よりもお兄さんの車のほうが大きいから,ルールを守って車を運転していても,たくさん注意して運転しなくてはならないの。大きい乗り物のほうが責任重大ってことね。今回,由萌はルールを守らなくて,ルールを守って運転していたお兄さんに迷惑かけたのよ。交通ルールだけでなく,世の中にはいろいろなルールがあることは知っているよね。ルールを守るってことは,みんなが笑顔で生活していけるように決めたことなの,だから守らなくてはいけないんだよ。」

お兄さんの自動車がゆっくり走っていたこと,私に早く気付いてブレーキを踏んだおかげで,ほとんどけがはありませんでした。お兄さんは安心して,「けがしてなくてよかったね。今度から気をつけようね。」と言ってほっとした表情をしていました。

「交通ルールを守りましょう。」

よく聞く言葉ですが,今回の事故で,私はなぜ守らなければならないかを実感しました。交通ルールは,ルールを守ることで自分を危険から守り,周りの人の安心と安全を約束することなんだ。お兄さんが交通ルールを守っていたおかげで,私は安全だったんだと気付きました。お兄さんには心配と迷惑をかけましたが,私に「ルールを守る」ことの大切なことを教えてくれたように思います。これからは,交通ルールを守ることはもちろん,周りの友達にもルールの大切さを知ってもらうようにしたいと思います。


小学生の部受賞者 最優秀賞受賞者

○中学生の部 | 最優秀作〈内閣総理大臣賞〉

かっこいいとか悪いとかじゃなく

 岐阜県関市立緑ヶ丘中学校 二年 上村(うえむら)アレックス(あれっくす)勉(べん)

「ヘルメットはさぁ,とりあえず首にひっかけておいて,先生とかに会ったらさっとかぶればいいんだよ。」と,友だちに言われた。うん,そう言う気持ちも分かる。でもやっぱり,ぼくにとってヘルメットは正しくかぶるべきものだ。それは,ぼくが身をもって経験したからだ。

小五の時,夕方にお遣いを頼まれたぼくは,いらいらしていた。めんどうくさくてたまらなかった。たった数分離れた祖母宅に行くだけなのに,いやでいやでしょうがなかったぼくは,自転車で行くことにした。

すごいスピードで祖母宅に行き,おにぎりをもらって,またすごいスピードで帰った。下り坂で曲がり角のところも,加速したスピードのままつっこんだ。そして,直進してきた車にぶつかった。自分からぶつかっていったような,そんな感じだった。

あとは,何が何だかわからない。相手の人や警察の人に大丈夫かと聞かれ,ぼくはどこも痛くないと答えた。本当にどこも痛くなかった。両親もかけつけたが,ぼくは,道路に散らばったご飯粒が気になって,「おにぎりが…,おにぎりが…。」と必死になってかき集めていた。

その後母に連れられて病院へ行き,家に着いたのは,九時半過ぎだった。祖母は,ぼくの家で待っていてくれた。悪いのはぼくなのに,「おばあちゃんが,お遣いを頼んだばっかりに…。ごめんね…。」と何度も謝られた。

母が小学校に連絡を入れたら,担任の先生がわざわざぼくに会いにきてくれた。遅いし,無事なのでと電話でも伝えたが,それでも,「勉君の元気な顔を一目,見たいので…。」と十時ごろ家に来てくださった。

こうして,ぼくにとって,これまでの人生で一番長かった日が終わった。

翌日,自分の身体を見てみたら,太ももの内出血がすごかった。痛みもあった。かけていた眼鏡は,こわれて使えなくなっていた。自転車も,大きく曲がって,廃棄しなければならないほどだった。

ぼくは,一人になって,昨日のことを,改めて思い返していた。事故って,一瞬の出来事だけれど,車のスピードやぼくの飛び出すタイミング…いろいろな要素がからんでいる。その時に,何かがちょっとでも違っていたら,ぼくは今,生きていないかも…そう思った。はっとした。腹を立ててお遣いに行った時,自分では意識していなかったけれど,ヘルメットはかぶって出かけたんだ。もちろん,あごひももしっかりと締めて,「ぼくのヘルメットは。」と母に聞くと,ヘルメットをぼくに手渡してくれた。ヘルメットは,割れていた。ぼくが,これだけの軽症ですんだのは,ヘルメットに守られたからだ。もしかぶっていなかったら…と考えると,さっきよりもまして,今,生きていなかった可能性の大きさに気付かされた。

ヘルメットをかぶるなんてかっこ悪いという人もいる。でも,ぼくは,ヘルメットに救われた。だから,ヘルメットは絶対にかぶる。命を落とすことも悲しいし,周りの人をこんなにも悲しませるということも知ったから。友だちにもこのことを強く伝えていきたい。


○一般(高校生以上)の部 | 最優秀作 〈内閣総理大臣賞〉

父からの贈り物~命をつなぐ~

兵庫県三田市 吉田(よしだ) まゆみ(61歳 地方公務員)

キキッー! 駅前で汽車を降りて来た父の姿を見つけ,私は,一目散で道路を横切り,走行していた車の前を接触寸前ですり抜けた。間一髪であった。周りにいた人達は一様に,「あかん!車にひかれた」と息をのんだ。きょとんとして立ち尽くしているのは,状況がわかっていない,幼い私だけであった。事故は一瞬で起こる。今でもその時のことがフラッシュバックして映像で浮かんでくる。その車の運転手は肝を冷やされたことだろう。申し訳ない限りである。それ以後,父は,私に,「道を歩く時は,道路の右端を歩くんやで。危ないと思ったら,止まって待つんや。」と毎日のように,諭すように言った。その声は,当時の父の年齢を,はるかに超えた,今の私の耳朶(じだ)に残っている。おかげで,歩いていても,自転車に乗っていても,車と行き交う時は,歩みを止めたり,自転車を降りたりして安全に気を付ける習慣が身についたように思う。「父からの贈り物」は,身を守る,安全教育そのものだった。

その後,幼稚園教諭として働くようになり,交通安全教育を保育の根本にするように努めた。幼児は興味あるものをとらえると,幼い時の私のように,突き進んでしまう傾向がある。私が転勤した幼稚園で,着任の一年前に,園児の交通事故死があった。迎えの集合場所に,その園児が大好きな祖母が迎えに来ておられた。祖母を見つけた園児は,赤信号の道路を突き進み,そのまま,走行中のトラックに巻き込まれた。一瞬にして幼い,尊い命が失われた。悔やんでも悔やみきれない。祖母は悲しみを超えた血の涙を流したことだろう。父は,母は…。そうなのだ。事故は一瞬に起きるのだ。それが,交通事故なのだ。私は,その事故のことを聞いて,一番にしたことは,集合場所が適切であるかどうかの確認であった。以後,親を見つけて,ほっとして走り出してしまう幼児の特性を考えて,道路を渡る手前で集まるようにしていただいた。それは,どの幼稚園に転勤しても,真っ先に見直したことである。子どもは興味本位で行動する特性を知って,手を打つことが大事であるといたく実感していたからである。

今年の四月から幼稚園教諭を卒業し,縁あって市の幼児交通安全教室に携わらせていただいている。警察署や交通安全協会の方々に多大なお力添えをいただいて,幼児の目線に立ち,わかりやすく,且つ,実効性のある「交通安全教室」を目指して,市内五十か所の就学前施設で幼児を対象に実施している。幼児のうちに,交通安全のルールやマナーに触れ,危険や安全への感性を身に付けることは,その後の人生にとって,何よりも大事な財産になると確信する。私も,父から,母から繋いでもらった命を尽くして,未来の宝である,子ども達の命を守るために,安全教育を推進していきたい。


受賞者達
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