参考-5 平成28年度交通安全ファミリー作文コンクールの最優秀作

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○小学生の部 最優秀作〈内閣総理大臣賞〉

私の目線で気づいたこと

香川県観音寺市立観音寺小学校  四年 山本(やまもと) 更紗(さらさ)

私の小学校では四年生になると自転車検定があります。自転車は左側を一列で通ることや手信号のやり方,踏切のわたり方などを学びます。そして,運動場で自転車に安全に乗る練習をして,自転車の点検も終わると自転車に乗ることが許可されます。私も自転車検定に合格したので,今年の夏はラジオ体操や学校の水泳練習などに友達やお母さんと自転車で行きました。自転車は楽しいし歩くより早く着くのでとても便利でした。でも,歩いているときには感じなかった危険がたくさんありました。

一つ目は,夏休みの水泳練習に友達と自転車で登校していたときのことです。普段歩いて登校しているときと同じように話をしながら二列で歩道を走っていると,前から歩行者が来て,あわてて一列になりました。自転車は幅があるので二列になると歩道を全部使ってしまうし,一列になろうとしてもすぐにはできません。このときは歩行者に早く気付いたのでめいわくをかけずにすんだけれど,気付くのが遅かったら歩行者にめいわくをかけたかも知れないし,ひどければけがをさせたかもしれません。自転車教室で言われた一列で走ることの大切さがよく分かりました。

二つ目は歩道のないせまい道路でのことです。私が自転車で走っていると後ろから車の音がしたので,左によって止まりました。すると,車の人はゆっくりとスピードを落として通ってくれました。お互いがゆずり合うことができたので,安心して通れました。歩行者だけでなく車にも気を配りゆずり合いの心を持っていたら,車の人も通りやすくなり事故が少なくなると思いました。

自転車は歩くよりスピードが出ます。その分私たちが気を付けなければ大きな事故につながります。前に新聞で小学生の乗った自転車がスピードを出しすぎて,歩行者にぶつかって大けがをさせた記事を読んだことがあります。その記事には小学生の親がたくさんのばいしょう金を払ったことも書かれていました。いままで歩いていたときには考えたことがなかったけれど,自転車は乗り方によって人をけがさせる怖い乗り物にも変身するのだと思いました。

小学生の交通事故のうち,約8割は自転車での事故だそうです。自転車はそれだけ危険な乗り物だということを私たちがわかっていなければいけません。交通事故をへらすために私が考えたことは二つあります。一つは自分がルールをきちんと守ることです。もう一つは相手に気を配りゆずり合うことです。当たり前のことですが,これができれば必ず事故はなくなるはずです。事故をおこせば自分も相手も悲しくなり悪いことばかりです。だれもつらい思いをすることがないように交通事故がゼロの街にしていきたいです。

小学生の部受賞者 最優秀賞受賞者

○中学生の部 最優秀作〈内閣総理大臣賞〉

「かもしれない」で動くこと

茨城県つくばみらい市立谷和原中学校 二年 稲生(いのう) 桜乃(はなの)

「えっ!」

夏休みに入ったある朝の出来事だった。テニス部の早朝練習に遅れまいと,急いで自転車を走らせていた私は,見慣れた住宅街の見通しの悪い交差点に差し掛かった。普段から通学路として利用していた道路だった事も,その時の油断や過信に繋がっていたのかもしれない。一瞬だった!

出会い頭に,こちらへと曲がってきた一台の車と危うく接触しかけたのだ。相手のドライバーも通勤時間帯で,何か急いでいる様子だった。恐らく,お互いに「相手が止まってくれるだろう」と考えていたのだと思う。

後日,その小さな事件を母に打ち明けると母は次のように話してくれた。

「(運転免許取得の)講習を受けた時,『命は一つしかない』と厳しく言われてね。」

車の運転は生活の質の向上を望める。だが一方で加害者にも成り得る。自転車や自動車等の運転操作や生活の周辺環境に慣れた頃,危険予測が甘くなり,『(多分)~だろう』という思い込みや過信から多くの事故が発生する。運転時は特に『(もしかすると)~かもしれない』という予測や危機管理意識を強くすることで不幸な事故の発生確率は下げられる,という内容だった。

確かにあの日,私は急いでいたのだ。日頃から家族に「慌てないように!」「周りをよく見て!」と耳が痛くなるほど言われていた。この冷やりとした瞬間は,毎度軽く聞き流している結果だった。

外出には時間に余裕をもって出る。そこから生まれるのは「周囲に気をつけて」という自分への注意喚起であり,「お先にどうぞ」と相手に対して優しく促せる心の余裕であろう。

私もあの時『かもしれない』を頭に置いて家を早めに出ていれば,「ここは見通しが悪い」と一旦停止する安全確認動作や,「相手が先に通りすぎるまで待とう」という思いやりに繋がったはずだ。また,安全を心掛けるためには時間の余裕の他にも,自転車の乗り方について正しいルールやマナーを理解し,日頃からチェックする姿勢も大切だろう。

通学等で毎日のように自転車を利用する私達が,その施行を身近なものと感じなければならない道路交通法が2015年6月に改められた。特に,運転時におけるケータイや音楽プレーヤーなどを操作していて起きた事故発生件数が伸びている。起こした事故のリセットは不可能だ。

私はこの夏体験した小さな危険から,今一度,交通安全を意識するきっかけを貰ったと感じている。きっとこれからも自転車は私の傍にあってワクワクした毎日が待っているのだと思う。活動の世界を広げていくためにも時間に余裕を持ち,ルールやマナーを順守しながら楽しく中学生活を送りたい。

○一般(高校生以上)の部 最優秀作〈内閣総理大臣賞〉

幼い我が子への交通安全啓発

東京都足立区 小野(おの) 史(ふみ)

幼い娘たちと外へ一歩踏み出せば,ひやりとすることばかりだ。一才の娘と一緒にゆっくり歩いているそばから四才の娘がスタスタと陽気に走り出し,気がつくとすでにかなり前を歩いていたり,家へと続く曲がり角を折れて視界から消えていたりすることもしばしばだ。

とかく長女がイヤイヤ期真っ只中のときなど,まだ言葉もままならないうえに手を繋ぎたがらず,繋いでもすぐに解こうとするものだから,家の前で楽しく遊ばせることなどとうていできずに,もっぱら自転車で近くの公園へと直行したものだ。友達と遊具の取り合いでひやひやすることはあっても,少なくとも命の危険はないので,のびのびと遊ばせることができて安心だった。

けれども,幼稚園に通うようになってからというもの,そういう訳にもいかなくなってしまった。毎朝バスストップまで,トコトコトコトコ。ご飯を食べさせ,着替えをさせて,慌ただしく家から飛び出しても無事にバスに乗るまでは気が抜けない。帰りは帰りでバスから下りるなり,元気にはしゃぎ回るものだから大変だ。

もちろん車が通る前に,気をつけるように声を掛けているのだが,何度か間に合わなかったことがある。朝先に来ていた友達めがけて長女が道路を横断しようとしたところに,バイクが近づいてきたときには,心臓が止まりそうなほど驚いた。

その晩,「このままではいけない」と深く反省して,対策を考えた。まずはちょうどそのとき受けていた子育て講座で教わったばかりの方法を試してみることにした。

「さて,幼稚園のバスをおりました。どうしますか?」

「家に帰る」

「うん。車や自転車が通ったりして危ないから,手を繋いで帰ろうね。じゃあ,練習するよ」

ゲーム感覚で何回か練習したあくる日,なんとちゃんと手を繋いで帰って来ることができた。言って聞かせて楽しく練習すれば,案外素直にやってくれるのだなと,新たな発見がとてもうれしかった。

もう一つは,手づくり絵本だ。夜寝かしつけるときにふと思いついて,さっそく娘たちを主人公にして描いてみた。薄っぺらい紙を数枚重ねただけの手づくり感がありありと出たもろいものなのだが,娘たちはすっかりお気に入りだ。

これらの方法が功を奏したのか,最近では長女から手を繋いでくるようになり,ちゃんと白線の中を歩いたり,信号では右左を確認したりと,だんだんとよくなってきた。でも,油断は大敵だ。公共の道路ではこれからも交通ルールをしっかりと守り,お互いに譲り合って,気持ちよく利用していきたいものだ。

一般(高校生以上)の部 最優秀賞受賞者
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