第36回沖縄振興開発審議会議事録

議事次第

○日時:平成10年6月30日(火) 14:00~16:00
○場所:総理府地下講堂
  1  開会
  2  議事
   (1)  沖縄県の砂糖製造業、建設用金属製品製造業及び鋼構造物工事業並びに建築用金属製品製造業及び建具工事業の中小企業近代化計画について
   (2)  沖縄振興開発特別措置法の改正について
   (3)  平成10年度予算について
   (4)  沖縄の経済社会の現状について
  3  閉会

配布資料

   資料1  第36回沖縄振興開発審議会会議次第
   資料2  沖縄振興開発審議会委員名簿
   資料3-1  沖縄県の砂糖製造業の中小企業近代化計画
   資料3-2  沖縄振興開発特別措置法に基づく建設用金属製品製造業・鋼構造物工事業中小企業近代化計画
   資料3-3  沖縄振興開発特別措置法に基づく建築用金属製品製造業・建具工事業中小企業近代化計画
   資料4  沖縄振興開発特別措置法の改正について
   資料5  平成10年度予算説明資料
   資料6  沖縄の経済社会の現状

沖縄振興開発審議会委員名簿(平成10年6月29日)

  1.関係行政機関の職員
   沖縄開発事務次官  牧  隆壽
   環境事務次官   田中 健次
   国土事務次官   近藤 茂夫
   大蔵事務次官   田波 耕治
   文部事務次官   佐藤 禎一
   厚生事務次官   山口 剛彦
   農林水産事務次官   高橋 政行
   通商産業事務次官   渡辺  修
   運輸事務次官   黒野 匡彦
   郵政事務次官   五十嵐 三津雄
   労働事務次官   松原 亘子
   建設事務次官   伴   襄
   自治事務次官   松本 英昭

  2.沖縄県知事   大田 昌秀

  3.沖縄県議会議長  友寄 信助

  4.沖縄県の市町村長を代表する者
   那覇市長   親泊 康晴
   嘉手納町長   宮城 篤実

  5.沖縄県の市町村議会の議長を代表する者

   那覇市議会議長 上原  清
   東村議会議長 伊集 盛久

  6.学識経験のある者(五十音順)
   沖縄県婦人連合会会長   赤嶺 千壽
   沖縄県経済農業協同組合連合会代表理事会長   新垣 兼一
   株式会社沖縄銀行頭取   新崎 盛善
   琉球大学教授   伊波 美智子
   財団法人沖縄協会理事   亀谷 禮次
   財団法人国際障害者年記念ナイスハート基金理事長   川村 皓章
   法政大学総長・理事長   清成 忠男
   社団法人沖縄県工業連合会会長   金城 名輝
   沖縄県商工会議所連合会会長   崎間  晃
   放送大学沖縄学習センター所長   尚   弘子
   株式会社琉球銀行常任監査役   牧野 浩隆

出席者

  ○委員
   川村会長、赤嶺委員、新垣委員、伊集委員、上原委員、親泊委員、亀谷委員、尚委員、牧野委員、宮城委員、関係行政機関の職員たる委員(沖縄開発事務次官を含む)

  ○事務局
   嘉数沖縄開発政務次官、若林事務次官、玉城総務局長、襲田振興局長、小山沖縄総合事務局長、石井会計課長、綱木企画課長、原田調査金融課長、岡本振興総務課長

議事

○綱木企画課長 まだ見えていない方いらっしゃると思いますが、定刻になりましたので、ただいまから第36回沖縄振興開発審議会を開催いたします。
 議事に入らせていただく前に、沖縄開発庁の事務方の幹部の異動等がございましたので、御紹介させていただきます。
 最初に、若林沖縄開発事務次官でございます。
 玉城総務局長でございます。
 襲田振興局長でございます。
 小山沖縄総合事務局長でございます。
 それでは次に、お手元にお配りしております資料について御確認いただきたいと存じます。
 お手元に配布しております資料は8種類でございますが、それぞれナンバーが振ってございます。
 資料1が会議の次第でございます。
 資料2が審議会の委員の方の名簿でございます。
 資料3は枝番が振ってございまして、1~3とございまして、それぞれ中小企業の近代化計画に係るものでございます。
 資料4が沖振法の改正についてというぶ厚いものでございます。
 資料5が平成10年度の予算説明資料でございます。
 資料6が沖縄の経済社会の現状となっております。
 本審議会の委員の名簿でございますが、ただいま御紹介したように資料2のとおりでございます。学識経験者等の委員につきましては、知念委員が6月に委員を辞任され、また、沖縄県の市町村を代表する委員及び市町村の議会の議長を代表する委員が交代することになりました。これによりまして、新たに内閣総理大臣の任命が行われまして、学識経験者として当審議会の専門委員で、琉球銀行常任監査役の牧野浩隆委員が、また、沖縄県町村会会長で嘉手納町長の宮城篤実委員が、沖縄県市議会議長会会長で那覇市議会議長の上原清委員の方々が委員として就任されました。ここで新委員を紹介させていただきます。
 まず牧野委員でございます。
 次に宮城委員でございます。
 上原委員でございます。
 なお、関係行政機関の職員である委員につきましては、紹介を割愛させていただきます。
 本日の議事でございますが、資料1のとおりでございまして、まず沖縄県の砂糖製造業、建設用金属製品製造業及び鋼構造物工事業並びに建築用金属製品製造業及び建具工事業の中小企業近代化計画について。
 次に、沖縄振興開発特別措置法の改正について。
 3番目に、平成10年度予算について。
 最後に、沖縄の経済社会の現状についてでございます。
 それでは、川村会長よろしくお願いいたします。

○川村会長 会長の川村でございます。本日委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お繰り合わせの上御出席を賜りまして、ありがとうございます。
 ちょうど1週間前に沖縄は慰霊の日を迎えた訳でございます。石碑に刻まれた数は今年たしか23万7,318名ということと承っております。私どもは心のベースにそれを置いてこれから審議を進めたいと思っている訳でございます。沖縄が依然として多くの課題を抱えておりますことは皆様御承知のところと存じますが、本年度から沖縄の振興開発のための特別措置が新たに導入された訳でございます。沖縄振興開発審議会といたしましても、特別措置の円滑な運用を図る上で、その役割は一層重要なものとなってまいると考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 更に、本日は御出席いただく予定となっておりました鈴木沖縄開発庁長官におかれましては、御都合によりまして御出席いただけなくなりました。鈴木大臣からは、次のようにメッセージを受け取っておりますので、御報告申し上げます。
 是非とも当審議会に出席して、皆様方にお会いし、御意見を拝聴することを楽しみにしておりましたが、政局の状況等により日程の都合がどうしてもつかず、出席出来なくなったことは誠に残念であります。現在沖縄の問題は非常に重要な課題であり、皆様方には忌憚のない御意見をいただきますようお願いいたします。
 そういう言葉でございましたので、皆様に御紹介を申し上げておきたいと存じます。
 本日は嘉数沖縄開発政務次官が御出席いただいておりますので、ごあいさつを賜りたいと存じます。私のごあいさつはこれで終わります。ありがとうございました。

○嘉数沖縄開発政務次官 ただいま御紹介いただきました、沖縄開発政務次官の嘉数でございます。本日は先ほど川村会長からも御報告ありましたように、鈴木長官が急用のため欠席させていただくことになりましたので、代わりまして、鈴木長官から私の方で皆様にごあいさつを申し上げろということでございましたので、一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は委員の皆様方におかれましては、御多忙中にもかかわりませず御出席を賜り、誠にありがとうございました。
 また、川村会長始め委員の皆様には、沖縄振興開発について平素から格段の御支援、御協力を賜っておりますことを心から御礼申し上げます。
 沖縄開発庁におきましては、これまで3次にわたる振興開発計画に基づき、面積当たりで全国平均の約4.7倍の公共事業関係費を投入する等特別の措置を講じ、もって沖縄の振興開発を積極的に進めてきたところであります。
 しかしながら、沖縄には今なお広大な米軍施設及び区域が存在するとともに、生活産業基盤の面で整備を要するものが多く見られ、更に一人当たりの県民所得の格差の問題、雇用の問題、産業振興の問題など、今なお多くの課題を抱え、沖縄の経済社会は依然として厳しい状況にあります。沖縄における米軍施設区域の整理、統合、縮小と沖縄振興策は引き続き内閣の最重要課題であり、沖縄県が地域経済として自立し、雇用が確保され、沖縄県民の生活の向上に資するよう、また、我が国経済社会の発展に供する地域として整備されるよう、政府として最大限の努力を払っているところであります。
 沖縄開発庁といたしましては、昨年11月21日の沖縄復帰25周年記念式典における内閣総理大臣式辞を受け、沖縄経済の自立化に向けて特色ある産業と貿易の振興を図るため、沖縄県において昨年策定された国際都市形成に向けた新たな産業振興策を踏まえ、沖縄振興開発特別措置法の改正を行い、特別自由貿易地域制度を始め情報通信産業や観光の振興のための制度の創設など、沖縄振興開発のために特別の措置を新たに導入したところであります。
 また、平成10年度予算におきましては、その中心になる沖縄振興開発事業費について、総額2,932億円を、また、その大層をなす公共事業関係費については対前年度比で全国を2.1ポイント上回る2,752億円を確保したところであります。更に、このたびの補正予算と合わせますと、補正後の沖縄開発庁予算総額は過去最大の3,878億円となるなど、活力に満ちた潤いのある沖縄県の実現に向けて十分な配慮をしたところであります。
 委員の皆様方には、どうか本日の会議におきまして、率直かつ忌憚のない御意見をいただきますとともに、今後とも沖縄の発展のために一層の御理解と御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございます。

○川村会長 どうもありがとうございました。それではしばらくお待ちいただきます。
 若干お待たせいたしました。それでは、本日付で退任されました、牧前沖縄開発事務次官が参りましたので、その御紹介とごあいさつをお願いいたします。

○牧前沖縄開発事務次官 貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。本日付でお許しをいただきまして、沖縄開発事務次官を退官させていただきました。
 私公務員生活32年になりますが、その間現地沖縄で2年、2年、2年、6年間を含めまして、11年近く沖縄開発庁に勤務させていただきました。勤務の間、御出席の委員の皆様方、あらゆるところで御支援、御協力いただきまして、心から御礼を申し上げたいと思います。
 後ほどこの審議会でも御審議いただくと思いますが、沖縄県を挙げての御熱意、それから政府関係者の御協力、また、さまざまな方々の思いが実りまして、今日の沖振法の改正、あるいは税制、予算、金融等のことが御報告されると思いますが、これひとえに審議会の委員の皆様方の御熱意の賜物というふうに考えております。心から御礼を申し上げたいと思います。
 今後沖縄に残された課題は、基地の問題、新たな振興策の問題等多々ございますが、また、この審議会の先生方の御熱意でもって進んでいくものと確信しております。一言御礼を申し上げまして、退官のごあいさつを申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

○川村会長 牧次官御苦労様でございました。
 それでは、お手元にお配りしてあります次第に従いまして、議事に入りたいと存じます。
 まず議事1の沖縄県の5業種の中小企業近代化計画についての報告でございますが、私から御報告を申し上げて、詳細については事務局から説明をお願いしたいと存じます。
 昨年の6月に農林水産大臣から、沖縄県の砂糖製造業の中小企業近代化計画案について、それからまた、通商産業大臣及び建設大臣から、沖縄県の建設用金属製品製造業、鋼工業物工事業及び建築用金属製品製造業・建具工事業の4業種の中小企業近代化計画案について、それぞれ当審議会に対し意見を求められた訳でございます。これについては審議会運営規則第3条第2項及び第3項の規定に基づきまして、総合部会においてその調査審議をお願いいたしましたところ、幾つか御議論もございましたが、総合部会としては最終的に原案のとおりで異議はないという旨の報告が亀谷部会長から私にございました。
 そこで、私から農林水産大臣、通商産業大臣及び建設大臣に対してその旨を答申いたしましたので、同運営規則第3条第4項の規定に基づいて報告申し上げる次第でございます。
 それでは、その詳細について綱木企画課長から御説明をいただきたいと存じます。

○綱木企画課長 それでは、沖縄の中小企業近代化計画について御説明いたします。お手元の資料の3-1~3-3まででございます。若干会長のお話と重複する部分一部あるかと存じますが、まず制度の趣旨及び今般の報告に至る経緯につきまして、簡単に御説明いたします。
 沖縄振興開発特別措置法の第19条第1項の規定に基づきまして、砂糖製造業、建設用金属製品製造業、建築用金属製品製造業、鋼構造物工事業、建具工事業の5業種につきまして、関係行政機関の長が沖縄振興開発審議会と中小企業近代化審議会の意見を聴きまして、それぞれの近代化計画を策定することとなっているところでございます。
 この規定によりまして、先ほど川村会長からお話がございましたが、平成9年6月6日付をもって沖縄県の砂糖製造業の中小企業近代化計画案につき農林水産大臣から、また、平成9年6月13日付をもちまして、沖縄県の建設用金属製品製造業・鋼構造物工事業の中小企業近代化計画案につきまして、及び沖縄県の建築用金属製品製造業・建具工事業の中小企業近代化計画案につきまして、通商産業大臣及び建設大臣から当審議会に意見を求められたところでございます。
 この近代化計画に関します当審議会における調査審議でございますが、当審議会の運営規則第3条第2項及び第3項の規定により、総合部会の調査審議結果を当審議会の審議結果とすることとされております。これに従いまして、諮問のございました沖縄県の中小企業5業種の中小企業近代化計画の案に関し、平成9年6月17日に開催されました当審議会の総合部会におきまして、亀谷部会長始め新垣委員、金城委員、知念委員の各委員のほか、中小企業の振興に御造詣の深い崎間委員の御出席を願いまして、慎重に検討、審議され、その結果、先ほど会長からお話がございましたとおり、農業自体の近代化の必要性、あるいは産業の近代化のために人材の確保、育成に関する施策の充実の必要性についての御議論がございましたが、最終的に原案どおりで異議がない旨、決せられたところでございます。
 以上の手続にのっとりまして、調査審議された結果を平成9年6月18日付で、川村会長から農林水産大臣、通商産業大臣及び建設大臣に対し、原案どおり異議がない旨、答申を行ったものでございます。
 この結果、これら5業種の近代化計画が最終的に決定されまして、砂糖製造業の近代化計画については平成9年の6月30日付で、建設用金属製品製造業・鋼構造物工事業及び建築用金属製品製造業・建具工事業の近代化計画につきましては平成9年7月15日付でそれぞれ告示されたところでございます。
 次に、内容につきまして概略御説明いたします。資料3-1でございますが、砂糖製造業でございます。
 沖縄における砂糖製造業の近代化に当たりましては、製品の品質の向上、適正な操業体制の確保等に努め、更に企業構造の高度化を中心に経営の合理化、設備の近代化を促進し、もって生産費の低減、経営の安定化を図ることが必要であるという認識の下に近代化計画が作成されております。
 平成13年度における近代化の目標として、製品の品質について一定以上の水準の確保、あるいは設備の近代化等による生産費の低減とともに、生産の見通しとして品質取引を契機とした高糖分の品種への切り替え等、生産者の品質向上努力を勘案し、平成7年度の産糖量を相当程度上回る水準の確保に努めるものとされております。
 この近代化の目標を達成するために必要な事項といたしまして、設備の近代化に関する事項について、平成13年度までの設備投資が分みつ糖が54億7,500万円、含みつ糖で6億6,700万円とされております。
 企業の合理化及び構造の高度化に関する事項につきましては、経営管理の合理化及び生産性の向上を図るために、過剰設備及び雇用人員の適正化を促進して、企業の高度化に努めるものとされております。
 次に、残りの2つの計画でございますが、まず資料3-2、沖縄県の建設用金属製品製造業と鋼構造物工事業の中小企業近代化計画でございますが、この業種は製造業と建設業の2つの性格を併せ持ち、貴重な社会資本である構造物の骨組みをつくるという極めて重要な役割を果たしております。この業種が健全な発展を遂げるためには、製造、施工体制の確立を図るとともに、経営管理の合理化、機械設備の近代化を促進することによりまして、製造及び施工経費の上昇を抑制して、経営の安定を図ることが必要であるという認識の下に近代化計画が作成されております。
 主な内容といたしましては、平成13年度における近代化の目標として、適正な品質の確保及び付加価値の向上などともに、おおむね240億円と見込まれる平成13年度の売上高に対応いたしました製造及び施工体制の整備に努め、また労働条件の改善等により、技術及び技能にすぐれた人材の確保、育成を図ることとされております。
 そのために必要な事項といたしましては、平成13年度までの設備投資は過剰設備とならないよう配慮しながら進めるものとし、総額約4億1,200万円とされております。
 また、人材の確保、育成に関する事項におきまして、専門技術者等人材の確保に努めるとともに、高度な技術、技能の教育訓練を行うための体制の整備、経営管理に関する研修の実施等により、人材の育成を図ることとされております。
 資料3-3、建築用金属製品製造業・建具工事業の中小企業近代化計画でございますが、この業種につきましても、製造業と建設業の2つの性格を併せ持っておりまして、また、建築用に用いられるアルミニウム性サッシの製造、施工等を通じて住生活の向上に極めて重要な役割を果たしているというところでございます。
 この業種が健全な発展を遂げるためには、ただいま申し上げました業種とまた非常に似た認識の下に近代化計画が作成されておりますが、主な内容といたしましては、平成13年度における近代化の目標として、おおむね約314億円が見込まれる平成13年度の売上高に対応した製造及び施工体制の整備に努め、また、労働条件の改善等により、技術及び技能にすぐれた人材の確保、育成を図ることとされております。
 平成13年度までの設備投資は、過剰設備とならないよう配慮しながら進めるものとし、総額約5億3,300万円とされております。
 また、取引関係の改善に関する事項におきましては、受注にわたって文書による契約を推進し、適正な取引の確立に努めるとともに、発注者からの直接受注の拡大に努めることとされております。
 以上、簡単ではございましたが、5業種の中小企業近代化計画についての御報告を終わらせていただきます。

○川村会長 ありがとうございました。ただいまの説明はお手元の資料3-1~3-3の関係の説明でございました。これらについて何か御質問がございましたらどうぞ御発言いただきます。
 御質疑がないようでございましたら、先ほど5業種と申し上げたのは、あくまで業種の種類を申し上げた訳で、沖縄の企業の実態としては3業種に近い実態を持っておることは資料をごらんいただければお分かりと存じます。どうぞこれからこういうことで近代化を進めていくということでございますので、御質問がなければ、次に進みたいと存じます。よろしゅうございましょうか。

○上原委員 今、資料3-1~3-3を見まして、いろいろ気付いているところもたくさんある訳ですが、いきなり見た段階なものですから、質問にしていいのか、あるいは提言にしていいのか、これまでの参考にしていいのか状況は分からない面が少しあるものですから質問は差し控えますが、出来ましたら、1日か2日ばかりこの資料をいただいて、十分に検討して出席出来ればなという要望だけ申し上げて終わらせていただきます。

○川村会長 分かりました。それでよろしいということで念を押してありますので、どうぞ御検討いただきましてからおっしゃってください。
 それでは、次の議事の2に移りたいと存じます。資料4沖縄振興開発特別措置法の改正について、企画課長から御説明をお願いいたします。

○綱木企画課長 それでは、沖振法改正につきまして、御説明させていただきます。資料は4でございます。左側とじてございますが、一番上に改正する法律の概要として1枚紙がございます。その後フローの図のようになっておりますが、特別措置法改正の仕組みと題した紙が6枚つづりでございます。その後に2つ右とじになっておりますけれども、法律の要綱とこれに関する政令の要綱が付けてございます。
 法律の要綱と政令の要綱につきましては、後ほどごらんになっていただくといたしまして、本日の御説明は6枚つづりの仕組みに沿いまして、説明させていただきたいと思います。
 まず今回の法律改正に至る背景でございますが、沖縄は昭和47年に本土に復帰して以来、政府が沖縄振興開発特別措置法、沖振法によりまして、3次にわたり沖縄の振興開発のための総合的な振興開発計画を策定し、この計画に基づきまして、沖縄の振興開発のための諸施策を講じてまいりました。この結果、本土との格差につきましては次第に縮小されるなど、沖縄の経済社会は総体として着実に発展してきたところでございます。
 しかしながら、沖縄の経済は第3次産業のウエート、あるいは建設業のウエートが高く、製造業のウエートが著しく低い産業構造になっております。また恒常的に移輸入は移輸出を上回っておりますし、財政支出に大きく依存している経済構造でございます。また、一人当たりの県民所得は全国の最下位に位置しておりますし、失業率につきましても、全国平均の2倍近い値になっております。
 また沖縄には、全国の米軍施設区域の75%が集中するとともに、県土の約11%を占めており、沖縄本島に限って見ますと約20%を占めております。地域開発や県民の日常生活の上でもさまざまな影響を与えているところでございます。
 このように沖縄の経済社会が依然として厳しい状況にある。そして米軍施設区域の整理、統合、縮小とともに経済振興による基地や公共事業への依存型の経済から民需主導の自立型経済の移行が重要な課題となっているところでございます。
 特に、平成7年以来沖縄の問題が国政の最重要課題となりまして、その解決のためにこれまでさまざまな取組がなされてまいりました。平成8年9月には、沖縄問題についての内閣総理大臣談話が閣議決定されまして、内政審議室に沖縄政策協議会が設置されたところでございます。
 また、沖縄県におきましては、この間平成8年11月に21世紀に向けた沖縄のグランドデザインとして、国際都市形成構想を作成するとともに、平成9年11月には、国際都市形成に向けて特色ある地域産業を創造していくための国際都市形成に向けた新たな産業振興策を策定され、この産業振興策についても沖縄政策協議会に提示されたところでございます。
 このような中で、平成9年11月の沖縄復帰25周年記念式典におきます内閣総理大臣式辞におきまして、沖縄の経済の充実に向けて加工交易型産業の振興、観光リゾート産業の新たな展開、情報通信産業の育成等のために特別の自由貿易地域制度の創設など、5つの沖縄経済振興策を講じていくこととされました。
 これを受けた形で沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案の作成作業が行われまして、平成10年3月13日に改正法案が閣議決定、国会に提出されまして、同年の3月30日、国会において全会一致で可決成立したところでございます。改正法は平成10年3月31日に法律第21号として公布され、一部を4月1日に施行、また一部が6月29日に施行されたところでございます。
 今回の法律改正につきましては、本土に比べて劣位にある沖縄の立地環境において、製造業、情報通信産業、観光産業を中心として、国の内外からの企業の立地や投資を促進するとともに、地元企業の経営体質や競争力を強化することによりまして、特色ある産業や貿易の振興を一層図るために所得控除や投資税額控除等の、我が国において他に例のない税制上の優遇措置を講じることとしたものでございます。
 以下、この仕組みに沿いまして御説明いたしますが、1ページ目の1「特別自由貿易地域の創設」でございます。沖縄の県内総生産に占める製造業の割合は6%台にとどまっておりまして、全国で最も低い値となっております。また、沖縄の製造業はその大層が生活関連型と基礎資材の製造業でございまして、更に恒常的に移輸入は移輸出を上回っている。そして県内自給率が低い状況にありまして、製造業の振興が従来から課題とされてきました。
 一方、沖縄は我が国にありまして、東アジア諸国に非常に近い位置にあるとともに、国際性豊かな県民性を有しており、第3次沖縄振興開発計画におきましても、これらを生かして我が国の南における交流拠点の形成を図ることとしております。このため、今後沖縄が経済のグローバル化に対応いたしまして、国内外の各地と結んだ自由計画貿易機能を持つ経済活動の拠点として発展するよう、本制度を導入したところでございます。
 一番上の括弧に書いてございますように、この特別自由貿易地域の指定につきましては、企業の立地が進んでいない地域でありまして、相当数の従業員を使用する企業等の集積を促進すること等が沖縄における産業及び貿易の振興に資するために必要とされる地域である。そして沖縄開発庁長官が沖縄県知事の申請に基づき、沖縄振興開発審議会の議を経るとともに、関係行政機関の長に協議して、指定することとしております。指定の手続は後ほど述べます情報通信産業振興地域及び観光振興地域と共通のものとなっております。
 ここで述べております企業の立地が進んでいない地域といたしましては、沖振法政令の第12条の2によりまして、おおむね30ヘクタール以上の規模であること。そして、関税法上の開港、または税関空港で相当量の貨物を取扱うものに隣接または近接していること。常時20人以上を使用する企業の行う事業の用に供する土地の確保が容易であることの要件をすべて満たさなければならないこととなっております。
 沖縄では既に沖振法によりまして、自由貿易地域が那覇地区に制度化されておりますけれども、自由貿易地域が沖縄における企業の立地の促進と貿易の振興を目的といたしまして、特段の支障がない限り場所や規模に関する限定的な要件はございませんが、特別自由貿易地域はスケールメリットを生かして企業の集積を図ることに眼目がございますので、沖縄の産業振興に結び付けるとともに、貿易活動を円滑に進めるためにも一定の要件を設定してございます。
 そこにおきます優遇措置でございますが、まず特別自由貿易地域におきましては、自由貿易地域で講じられる優遇措置をすべて講じるとということになっております。そして、優遇措置の適用を受けるために必要な沖縄開発庁長官の事業認定の内容手続も自由貿易地域と同じでございます。すなわち、特別自由貿易地域におきましては、自由貿易地域と全く同一の優遇措置に加えて特別自由貿易地域のみに与えられる優遇措置の2種類があるということでございます。
 自由貿易地域におきます優遇措置につきましては、この後自由貿易地域の説明をするときに申し上げさせていただきます。特に、このくだりにおきましては、特別自由貿易地域に今回導入されました所得控除について御説明いたします。
 所得控除は、この地域内の事業活動によって得た所得の35%を10年間損金の額に算入出来る制度でございまして、後ほどお話し申し上げる税額控除と違いまして、一定の設備投資を要件とすることもなく、事業活動を行うことだけをもって適用を受けることの出来る措置でございます。また、この措置は、法人事業税及び住民税の法人税割の計算にも連動することによりまして、事業税の5年間の減免に対する減収の補てん措置と合わせますと、実効法人税率で全国ベースで46.4%でございますが、設立後5年間は実効法人税率で26.3%、その後の5年間が31.2%、企業の立地を促進する上で極めて有意義なものでございます。我が国において他に例のない非常に思い切った制度となっております。
 この所得控除の適用を受けることが出来る者でございますが、特別自由貿易地域内で設立され、専ら当該地域内において製造業、倉庫業、またはこん包業を営む法人であり、事業認定を受けていること。そして、常時使用する従業員の数が20人以上であること。設立後原則として10年以内であるという要件に該当し、これらの要件に該当する旨の沖縄開発庁長官の特別事業認定を受けていることが要件となっております。
 ただいま申し上げましたように、この対象業種が製造業、倉庫業、こん包業の3業種になっておりますが、これは自由貿易地域よりも2業種少ない形になっております。これは特別自由貿易地域内において事業活動に伴って発生した所得とそれ以外の所得とを明確に区分する必要があるために、こうした絞り込みが行われたものでございます。
 事業者の要件を20人以上というふうに設定いたしましたのは、沖縄の雇用の促進を図るという意味もございまして、沖縄における現在の製造業の1事業当たりの平均事業者数が約23人ということをベースにいたしまして、更に立地環境の不利な沖縄への進出可能性を総合的に勘案したものでございます。また、10年間という期限を設けたのは、リスクの高い企業の立ち上がり期間を支援するするためでございます。
 なお、ただいま申し上げました所得控除の制度は税額控除の制度、または特別償却の制度との選択適用となっております。
 1枚めくっていただきまして、自由貿易地域でございます。これは制度を拡充したものでございます。御承知のように自由貿易地域制度は昭和62年に那覇地区に約2.7ヘクタールが沖縄開発庁長官により指定されております。この自由貿易地域につきましては、高率の特別償却、あるいは自由貿易地域投資損失の準備金など、すぐれた税制措置を講じてきたところでございますが、その後も入居企業の支援のために特別償却の枠の緩和、あるいは保税地域許可手数料の半減措置を講じてきてまいりました。今回の改正では、投資環境の改善による企業の立地促進や事業活動の活性化を一層図るために、税額控除制度と関税の選択課税制度を導入いたしました。いずれも、これも我が国で他に例を見ない事業措置であります。
 まず税額控除につきましては、投資額の一定割合を法人税額から控除するものでございまして、一般に課税の繰り延べである特別償却よりも減税効果が高くなっております。中小企業の支援等では既に導入されている税制措置、オールジャパンで運営されている税制措置ではございますが、地域振興税制としては初めての導入でございますし、また、その割合も機械装置で15%と現行適用されている最も高い割合の7%を2倍強になっておりますし、また、初めて建物についても8%の割合で講じられております。
 また、税額控除適用に当たっての対象試算の所得価額の要件も1千万円超となっておりますし、沖縄における投資環境の現状に配慮したものとなっております。また、他には見られない4年間の繰越しも認められております。この税額控除制度は特別償却との選択適用でございます。
 次に、関税の課税の選択制度でございますけれども、保税工場等によりまして、外国貨物を原料として製品を加工、製造して国内に輸入する場合、事業者においてその製品への課税を選択する製品課税か、あるいは原料として使用した外国貨物について課税を課する原料課税を選択出来るかの、企業に有利な方を選択出来る制度でございます。これも6月29日から導入したものでございます。関税法上、保税作業による製品を輸入する場合、原料に係る関税の産業保護機能を殺さないように、原則として原料課税が適用されることとなっておりますが、今回の措置は自由貿易地域内において、勿論特別自由貿易地域も含めててですが、保税作業を施すことによって出来る製品を輸入する場合に、製品課税を業者の方で選択出来るというふうにしたものでございます。これによりまして、価格の面で競争力のついた製品が自由貿易地域、あるいは特別自由貿易地域から国内に出荷されることになりまして、製造業の活性化につながると考えております。
 沖振法の中では、根拠規定のみが整備されておりますが、この選択課税の品目についての具体的な内容につきましては、関税暫定措置法の施行令で措置されております。この選択課税の制度の対象となる品目は、国内及び県内の産業に対する影響を考慮いたしまして、輸入割り当ての品目、あるいは関税割り当ての品目、国家貿易品目、価格安定制度の適用品目等は除かれております。
 また1枚めくっていただきますと、工業等開発地区の拡充がございますが、これもほとんど自由貿易地域と同じ要件で出来ている地域制度でございます。この工業等開発地区につきましても、ただいま申し上げました税額控除の制度が導入されております。
 もう一枚めくっていただきまして、4ページでございますが、情報通信産業振興地域制度でございます。これも創設でございます。今後成長が期待されている情報通信産業でございますが、本産業は地理上の制約を受けることがなく、また、多量の工業用水や広大な土地、あるいは建物等を必要とすることも少ないために、沖縄においてもこうした立地環境上の制約を受けにくい。また、若年労働力の活用の面でも非常に期待出来る産業でございます。
 また、一方沖縄はすぐれた自然環境、特有の伝統文化を有しておりまして、情報通信産業にクリエイティブな、創造的な作品製作環境を提供することが可能でございます。
 このため、情報通信産業は第3次沖縄振興開発計画におきましても、戦略的産業として位置づけられているところでございまして、今回の改正では、その立地を促進するために情報通信産業振興地域制度を導入いたしました。
 情報通信産業の定義でございますが、これは沖振法上の第2条第4項において定義されております。そこに書いてございますように、情報記録物の製造業、電気通信業、映画・ビデオの制作業、有線放送を含む放送業、ソフトウエア業、情報処理提供サービス業となってございます。勿論一般に情報通信産業に属すると解される業種は他にも存在いたしますが、沖縄の立地条件等を勘案して、政策的に立地を促進する必要があるものとしてこの6業種に限定したものでございます。
 情報通信産業振興地域の指定でございますが、この地域指定につきましても、情報通信産業の振興を図るために必要とされる政令で定める要件を備えている地域ということで、沖縄開発庁長官が沖縄県知事の申請に基づきまして、当審議会の議を経るとともに、関係行政機関の長と協議して指定するということでございます。
 政令の要件でございますが、まず商圏、通勤圏、通常の生活圏等の経済的、社会的条件から見て一体としてこの産業の立地を促進することが相当であること。あるいは、本産業が供給する製品またはサービスに対する相当程度の需要が見込まれること。また、本産業に関連する教育または研究を行う大学、専修学校、研究施設等が存在することとなっております。特に、大学、専修学校、研究施設等の要件をここに設定いたしましたのは、ハイテク産業である本産業の特性にかんがみまして、その振興を図る上で専門的な知識、技術等を有する人材の確保、あるいは研究機関との共同研究の実施等、その技術の開発、利用に関する連携を特に重視したものでございます。実際の指定は原則として市町村を単位として行うということになっております。
 この地域に行われる税制上の優遇措置でございますが、既に申し上げました自由貿易地域と同様に、地域振興税制としては初めて法人税の税額控除を導入しております。また、情報通信産業の用に供する設備を新増設したものにつきまして、自治体が事業税5年間、不動産の取得税、固定資産税も5年間ですが、課税免除または均一課税をした場合に、地方交付税により減収補てんを行う制度を導入いたしました。この減収補てん制度は、他の地域振興制度にも導入されておりますが、事業税が対象となっていること、あるいは課税の免除についても補てんされること、期間が5年間であることの点につきまして、最優遇の制度となっております。
 なお、自由貿易地域、工業等開発地区につきましても、既に今、申し上げました減収補てん制度は導入されてございます。
 また、税制以外の措置といたしまして、下の方に書いてございますが、金融上の措置として沖縄振興開発金融公庫による融資の制度、自由貿易地域等、特定地域振興基金でございますが、これを導入しました。勿論これは同様に自由貿易地域、工業等開発地区にも導入されておりますが、併せて国、自治体は情報通信産業振興地域における情報通信産業の振興を図るために必要な公共施設の整備の促進に努めるという努力規定も置かれてございます。
 1枚めくっていただきまして、観光振興地域も創設でございます。沖縄の観光につきましては、沖縄が我が国唯一の亜熱帯海洋性気候の下で、恵まれた自然環境や独自の伝統文化など、非常に魅力ある観光資源を有していることから、環境客数も非常に多く、県民総生産に占める観光収入の割合も1割を超えておりますし、沖縄において非常に重要な位置を占めるとともに、この観光産業が地域経済の波及効果も大きいことから、第3次沖縄振興開発計画におきましても、戦略的産業と位置づけられているところでございます。
 他方、沖縄の観光については、国内外のリゾート地との競合関係が生じておりまして、沖縄の観光需要を更に喚起し、観光の一層の振興を図るための促進措置が求められてまいりました。このため、平成9年度でございますけれども、沖縄の観光客の大半が利用する路線である本土-沖縄路線の航空運賃の引下げが行われるよう、航空機燃料税を5分の3に軽減する等の特別措置を関係省庁の御協力も得て、導入したところでございます。こうした措置も手伝いまして、平成10年には400万人を超えるだろうという予測をされておりますし、現在18か月連続で、月別でデータを追っていきますと、対前年同月比を上回っているところでございます。
 今回の改正では、観光客にとって魅力のある集客施設の充実を図るために観光振興地域制度を導入いたしました。この地域の指定につきましては、政令で定める要件を備えている地域で、これも同じように沖縄開発庁長官が知事の申請を受け、当審議会の議を経て指定することとしております。
 その政令の要件でございますが、すぐれた自然の風景地、名所旧跡等の文化財の観光資源を有していること。そして自然的、社会的条件から見て一体として観光関連施設の整備を図ることが相当と認められること。そして、この観光関連施設の用に供する土地の確保が容易であること。スポーツ・レクリエーション、あるいは教養文化活動等の多様な活動を行うに足りる程度の観光関連施設の整備が確実と見込まれることというのが政令の要件となっております。
 ここで申し上げております観光関連施設は、箱の中にもございますが、沖振法上スポーツ・レクリエーション施設では、例えばプール、ゴルフ場、沖縄の特性を生かしたダイビング施設等がこれの対象となっております。それから教養文化施設は、劇場や美術館等が含まれます。教養施設といたしましては、展望施設や、これも沖縄的なもので今回指定したものでございますが、海洋療法、タラソテラピー等の施設でございます。集会施設としては会議場等でございます。販売施設としてショッピングモール、あるいは地域特産物の販売センター、宿泊施設としてホテル、ペンション等となっております。観光振興地域の指定は、原則として字を単位としまして、必要最小限の範囲で行われるということになっております。
 この観光振興地域におきます税制上の優遇措置につきましても、既に申し上げた情報通信産業振興地域と同様に法人税の税額控除、あるいは地方税、資産税の減収補てん措置、特別措置保有税の非課税措置、事業所税の非課税措置等の措置が導入されております。ただ、この場合税制上の優遇措置の対象となる施設は、沖振法上特定民間観光関連施設と定義されておりまして、下の中ほどにあると思いますがスポーツ・レクリエーション施設、教養文化施設、休養施設、集会施設、販売施設でございますが、販売施設は沖縄開発庁長官が指定するものに限るということになっております。
 この特定民間観光関連施設と、先ほど述べました観光関連施設との相違でございますが、特定民間観光関連施設には、まず宿泊施設が含まれない。そして販売施設は沖縄開発庁長官が指定するものに限定しております。スポーツ・レクリエーション施設、教養文化施設等につきましては、税制上の適用を受ける具体的施設が租税特別措置法等により限定的に列挙されております。また、設置運営主体を民間事業者に限定しているということも特徴でございます。
 今、申し上げました沖縄開発庁長官が指定する販売施設の要件でございますが、これは政令上小売りの施設と飲食の施設及び附帯施設、この3種の施設が一体的に設置される施設でございまして、例えば床面積が最小単位で1万2,000平方メートル以上、おおむね一定規模以上のものでございまして、いわゆるショッピングモールをその対象としてございます。この開発庁長官が指定する販売施設の要件として、ショッピングモールにそれを限定いたしましたのは、ショッピング面で観光の魅力を高めていく上で必要な施設である一方、その設置には非常に莫大な費用が掛かるということで、税制上の支援措置が不可欠であるためでございます。
 なお、今、申し上げました附帯施設につきましては、観光関連施設で申し上げましたスポーツ・レクリエーション施設や教養文化施設、休養施設等のいずれかの施設というふうに定めております。
 当施設に関します税制以外の措置につきましても、情報通信産業振興地域のものと同様の措置を導入しております。

○川村会長 途中でございますが、政務次官所用がございまして、退席されますのでお断りいたします。

(嘉数沖縄開発政務次官退席)

○綱木企画課長 1枚めくっていただきまして、6ページでございます。中小企業の創造的活動の支援(創設)とございますが、沖縄の中小企業が県経済の中で大きなウエートを占めておりまして、今後の県経済の発展のためには、研究開発等に取り組みながら成長が見込まれる分野への進出を図ろうとする、そういった中小企業を支援して、その振興を図ることが重要であると考えております。
 こうしたいわゆるベンチャー企業を支援するための制度としては、既に中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法、いわゆる中小創造法が平成7年に制定されまして、オールジャパンベースで適用されております。中小創造法では、同法に規定する中小企業者が非常に著しい新規性を有する生産等の技術に関する研究開発等に関する計画、研究開発等事業計画と称しておりますが、これを作成して都道府県知事の認定を受けると、この研究開発等事業計画に従って設備投資を行った場合、税額控除を適用出来るという支援措置が導入されております。
 今回の改正では、沖縄の非常に厳しい経済環境の中で、こうした中小企業を支援するため、また円滑な進出等を促進するために、中小創造法に規定されている税額控除の上乗せ措置を導入したものでございます。具体的には、中小創造法により、都道府県知事の認定を受けた中小企業者で今後成長が見込まれ、かつ沖縄の経済の振興に資する業種に属する事業を行い、また行おうとする法人が同法の研究開発等事業計画に従いまして設備投資を行った場合、これはほかのものと違ってリースも含まれますが、設備投資を行った場合、機械装置について投資額の15%、これは中小創造法一般では7%でございます。また建物について8%、これは中小創造法におきましては適用はございません。以上の税額控除が講じられたところでございます。
 今後税額控除は、今回導入された税額控除の制度そのものは他の地域振興の制度と同様でございますけれども、これまで申し上げました地域指定の制度とは異なりまして、全県的に適用されることになりますので、特に地域にかかわらず、沖縄県の中で成長が見込まれる分野の進出等について努力している企業に対しては、この支援措置が講じられるということになります。
 そして、全国からベンチャー企業の沖縄への進出を支援するために、この研究開発等事業計画の認定者は沖縄県知事に限定せずに、都道府県知事としたところでございます。
 7番目の沖縄型特定免税店制度でございます。これも創設でございますが、いわゆるデューティーフリー・ショップの制度でございます。この観光振興地域制度に加えまして、観光の一層の振興を図るために、6月29日から政令で導入されたものでございます。この制度は、沖縄におけるショッピングの魅力を高めるために、いわゆる沖縄型のデューティーフリー・ショップを空港内の旅客ターミナル施設のうち、沖縄開発庁長官が指定する区域に設けまして、旅客が個人的用途のために一定の物品を購入し、沖縄以外の本邦の地域へ出域する場合、関税抜きでその品目を購入出来るという制度でございます。
 上限20万としておりますけれども、沖縄には現在同様の制度といたしまして、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づきまして、旅客がウイスキー等の8品目を特定の小売業者から購入した場合、その納付された関税等に相当する金額を払い戻す、いわゆる観光戻税制度が導入されておりますが、この制度は沖縄の復帰に伴い、本邦の関税法等の規定が適用されることによりまして、沖縄の経済社会、あるいは県民生活に混乱が生じることのないよう激変の緩和措置として講じられているものでございます。
 このように、この2つの制度は導入の趣旨が異なっておりまして、また制度の内容面でも幾つかの違いがありますので、その点を簡単に紹介させていただきます。
 まず今回のデューティーフリー・ショップの対象となる品目は、観光戻税の小売店舗との競合を避けるために、戻税制度の対象となっております8品目を除くすべての品目となっております。そして、先ほど申し上げましたように、国内産業の影響等を考慮して、一人当たり購入の上限は、関税を除外した価格として20万円でございます。払い戻しの対象となる税は、観光戻税制度が関税及び内国消費税の一部または全部となっているのに対しまして、デューティーフリー・ショップ制度では関税の全額となっております。
 また、特定免税店制度におきましては、小売店の設置場所が空港内の旅客ターミナル施設のうち、沖縄開発庁長官が指定する区域ということで、これも観光客のショッピングの利便性、あるいは観光客のほとんどが空港から出域するということを考えて、空港のある地域に限定したものでございます。実際に沖縄開発庁長官が指定する区域とは、旅客がセキュリティー・チェックを受けて、航空機に搭乗するために待機する場所、ゲートラウンジというふうに呼ばれることもございますが、そういった旅客以外の一般の人間は立ち入ることが出来ない区域とされております。これは物品横流れの防止等を考慮したものでございます。この制度の下で観光客は関税を免除した価格で物品を購入することが出来まして、後ほど小売業者に関税の相当額が払い戻されるということになっております。
 また、今制度を享受出来る対象者は、外国及び本土からの観光客。これには沖縄県民が沖縄から出域する場合も含まれますが、この観光客であって、沖縄以外の本邦の地域に出域する者に限られております。これは直接外国に出域する旅客が利用する空港、例えば成田等の税関空港につきましては、既に同様の制度が導入されているためでございます。
 以上、少し長くなりましたが、改正沖振法及びその施行令の概要でございます。
 さきに申しましたように、本改正は沖振法制定以来の大改正でございまして、沖縄の産業貿易の振興に非常に寄与出来るものと考えておりますが、言わばこれは制度としての枠組みづくりをした段階でございまして、こうした制度を真に実効あるものとして運用していくためには、例えば、どのように地域を指定していくか、あるいはそうした地域にどのような企業を張り付けていくか、それら企業と地元との関係をどう考えていくか等、幾多の重要な課題が残ってございます。勿論この制度につきまして、基本的には県及び市町村等自治体の努力に負うところが大きい訳でございますけれども、沖縄開発庁といたしましても、関係省庁の御協力を得まして、精いっぱい努力してまいる所存でございます。
 また、今日お集まりの委員の先生も含めまして、委員各位におかれましては、特別自由貿易地域、あるいは情報通信産業振興地域、観光振興地域につきましては、先ほど述べましたように、審議会の議を経るということになっておりますので、今後その指定に当たりまして、御審議をいただくこととなりますが、どうぞよろしく御協力のほどお願いいたしたいと思います。
 長くなりましたが、以上でございます。

○川村会長 大変長いことただいま資料4の関係、分かりやすかったどうかあれでございますが、一応説明を終わった訳でございます。これに関しての御質疑がございましたら、どうぞ御発言をいただきたいと存じます。

○上原委員 どうも御苦労様でございます。沖振法の一部改正する法律、政府の努力に対しまして、感謝を申し上げるところであります。
 ここで少しばかりお聞きいたしたいのですが、特別自由貿易地域制度の問題で、関税の特例、所得控除の適用についてですけれども、所得の35%新設の10年間、雇用従業員数の20名、いろいろ大変な改革でありまして、沖縄県にとりまして方向性を見出せる意味で多くの関係業者が動く、あるいは産業にかかわっていく意欲を持つと思うのです。
 そこで2番目の自由貿易地域制度の関税とのかかわりで、特に心配されるのは、沖縄県で行われてASEAN諸国とのかかわり、各種自由貿易地域がASEAN諸国にいっぱいありますので、そのかかわりがこの所得減税控除等を考慮して実質的に運用した場合に太刀打ち出来るのかどうかという心配がありまして、その辺のASEAN、環太平洋周辺の自由貿易地域の中で持ちこたえ出来るのかどうか。もう少し制度をやわらかくして、体制が整ってきたときに世界の自由貿易にかかわるいろいろな流通に勝てる要素をつくり上げるまでには大変な考慮をされている訳ですが、もう少しその辺のASEAN諸国とのかかわりの、これまで長い間ずっと自由貿易として進んできている地域との競争力がどのようになるのかなという心配があるのですが、その辺御研究されたことがありましたら御指導賜りたいのですが。

○玉城総務局長 この特別自由貿易地域制度は、沖縄は確かに製造業が大変後れているということで、先進国である我が国の中で、沖縄に対し特別に一国二制度的なものをやっております。アジアの中でも、香港やシンガポールなど既に先行している地域もございます。ただ、発展途上国といいますか、まだOECDに加盟していないような地域と、それから自由貿易というWTOとかいろいろな関係を考えますと、先進国である日本の中でこういった仕組みをつくることは、発展途上国、OECD未加盟の国や地域とのバランスを考えますればこの辺がぎりぎりだということです。少なくとも本土といいますか、全国の他地域に比べますと、税制上、あるいは関税上の優遇措置というものを、そのバランスの中にぎりぎり求めたのが今回の特別措置であるというふうに御理解いただきたいと思います。

○上原委員 もう一点だけ、大変失礼ですが。台湾、香港、シンガポール、勿論最近大きく前進しておるクアラルンプール、あるいは将来はベトナム周辺も動いてくるでしょう。それと中国にかかわる周辺海域の貿易も動いてくる訳でありまして、自由貿易の沖縄の拠点をつくり、世界とのかかわりの流通機構での位置づけということで、大変心配ということと、国際競争力に勝てる制度、こういう制度で走っていった場合に、県内の中小企業の対応というものがまだまだ底力が実質的にはない訳ですから、そういう意味で大変心配されておりまして、今後ASEAN周辺諸国との自由貿易とのかかわりを今後御指導いただければなと思っておりますので、要望ということでお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。

○玉城総務局長 お気持ちは十分察しております。ただ、沖縄は日本の中にあっても土地も相当高い地域であり、また人件費が中国やアジア諸国より相対的に非常に高いという別の要因がございまして、それに打ち勝つためにはベンチャーといいますか、いろいろな技術や研究開発とか、そういった面で中身をよくして、更にいいものをつくり出すという、そちらに向けて一層の努力をしていくべきではないかという感じを持っております。

○上原委員 人事の問題で大変心配もあるのです。平均労働賃金世界の基準から合わせますと、いろいろな意味で競争力が、本当に勝てるのかなという心配もありまして、その辺また国の機関で、私ども沖縄県においても研究をいたしますけれども、実質的に事業が実施された場合に、国際貿易機関、流通、人事、物流、総合的に判断した場合に、社会生活のレベルの問題、人件費の維持費の問題、総合的にいろいろな問題が出されるのではないかということで心配もあってお聞きした訳であります。

○亀谷委員 まだ御質問もあろうかと思いますが、ただいま開発庁の方から沖振法の改正について説明をいただいた訳でございますが、メーンとなっております特別自由貿易地域、情報通信産業振興地域及び観光振興地域の地域指定の問題があるようでございますが、法律によりますと、沖縄県知事が申請されて政府で指定されるという仕組みのようでございますので、と同時に、この法律に基づきまして、これらの案件もいずれも当審議会にも若干関係があるように理解しておりますので御質問するのですが、いずれにしても、これらの地域指定については今後政府と沖縄県において適宜調整された上で指定の手順を進められると思いますけれども、この際、お伺いしたいのですが、とりあえず今後のそういった指定に至るまでのスケジュールと申しますか、どういうふうにお進めになるのか、これは開発庁と沖縄県にもお聞きしておいた方がよかろうと思いますので、お伺いしておきたいと思います。

○綱木企画課長 ただいまの御質問でございますが、開発庁の方からまず回答させていただきます。
 委員おっしゃいますように、その3つの地域指定でございますが、いずれも沖縄県知事の申請に基づき行われるということになっております。現在沖縄県におきましては、例えば、特別自由貿易地域につきましては、中城湾の新港地区への展開を検討されておると聞いております。また、情報通信産業振興地域、あるいは観光振興地域につきましても、市町村から全市町村を対象としたヒアリング等を実施されているというふうに聞いております。そのヒアリングをいつまでに終えて国の方に申請するという具体的な時期等についてはまだ私ども伺っておりませんけれども、県の申請を受けまして、出来る限り円滑に指定が行われるように沖縄県とも調整してまいりたいと考えております。

○川村会長 申請は知事さんの方ですが、県側何かございましょうか。

○東門副知事 私は沖縄県の副知事の東門でございます。お答えする前に一言述べさせていただきますけれども、本日は知事がただいま県議会本会議中でございまして、私が代理で出席しております。よろしくお願いいたします。
 一言御礼申し上げてからお答えさせていただきたいと思いますが、本県の振興開発につきましては、去る3月の沖縄振興開発特別措置法の改正によりまして、特別自由貿易地域制度等新たな制度の創設など、さまざまな特別措置が導入されましたことは、本県の経済振興にとりまして画期的なことであり、喜びにたえません。このたびの改正は、沖縄振興開発特別措置法が制定されて以来の大幅な改正であり、沖縄開発庁長官を始め関係の皆様の御労苦と御尽力に対しまして、心から御礼申し上げます。
 併せて、日ごろから沖縄県の振興開発に御支援をいただいています沖縄振興開発審議会の委員の皆様に心から感謝申し上げます。
 県におきましては、法律改正の趣旨を踏まえまして、本県の地域特性を十分に生かし、国際的な視野に立った産業の振興を図るなど、これまで以上に本県の振興開発に努めてまいりたいと考えていますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
 それでは、御質問について回答させていただきますが、沖縄県の方ではどのようなスケジュールで進むのかという御質問でございましたが、県の方では特別自由貿易地域、情報通信産業振興地域及び観光振興地域の3つの制度のいずれにつきましても、年内の出来るだけ早い時期に国に対し、地域指定の申請を行うことを目標に現在作業を進めております。現在特別自由貿易地域につきましては、特別自由貿易地域実施計画、勿論案でございますが、その策定作業を進めております。
 また、情報通信産業振興地域及び観光振興地域につきましては、市町村の要望調査を行うなど、現在事務的な調整を進めております。今後関係機関との調整並びに関係市町村長の意見聴取を行った上で取りまとめを行いまして、沖縄開発庁長官に対し、指定申請をしたいと考えています。また、その節は当審議会における御検討についても是非よろしくお願いいたしたいと思います。

○川村会長 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。ほかにございましょうか。

○牧野委員 2点ほど教えていただきたいのですけれども、1つは沖縄県の関係者の方と、もう一点は開発庁関係者の方に教えていただきたい。沖縄県に対しまして、たしか県の方としましては2年前の夏ごろから振興開発の特別措置のいろいろな要請をしていたのが、今回こういう形で実現したと思います。その過程で、例えば去年ですと、沖縄県全県を自由貿易地域にするとか、限定にするとかというようなことで、県議会の中で自由貿易地域にすれば工業出荷額は5千億円増えるとか、あるいは2万5千人の雇用力が出るだとか、沖縄県民は大変な期待と熱気に燃えていたような、そういった経緯もあります。今後県としましては、それを実現するために国の内外から、海外も含めて企業誘致ということが極めて大きなことになってくるかと思いますけれども、そういった企業誘致をどういう形で進めるのか。あるいは企業の皆さんにお聞きしますと、これだけでは足りなくて、それに更に沖縄県独自の施策を上積み出来るのかというような話も聞いたりします。そういった意味での制度を活用した、企業誘致が実現して初めてということになりますので、そのあたりの企業誘致の取組がどういう形で進められているのかということを沖縄県サイドにお聞きしたいと思います。
 もう一つは、沖縄開発庁にですけれども、地域指定されますと、例えば、自由貿易地域ですと、臨港型ですと、コンテナ・ヤードをどうするのか、港の整備をどうするのか、あるいは通信産業ですとネットワークをどうするのか、関連の人材をどうするのかということも起きてきますし、観光振興ですと、その中でも沖縄の持っている文化財の復元だとか、観光の目玉のそういったソフト、ハードを含めたもの、いろいろな基盤整備がかかわってくると思うのです。そのための社会資本なども今後沖振法を改正した後、どういう形で進められていくのか、そのあたりを教えていただければなと思います。

○東門副知事 国内外からの企業誘致をということでございましたけれども、今回の沖振法の改正によりまして、企業誘致のインセンティブが一段と高まったことから、県としましても、企業誘致活動にこれまで以上に力を入れますとともに、計画的に推進をしていきたいと考えております。そのため、基本となります企業誘致プロモーション3か年計画をまず策定してまいります。
 具体的な取組といたしましては、まず町内に企業誘致プロジェクトチームを設置いたしまして、年間500社の企業訪問を目標にいたしまして、誘致活動に取り組んでいく考えでございます。また、経済関連の新聞、専門誌、インターネットなどのメディア、並びに県の国内、あるいは海外の事務所や関係機関等を活用いたしまして、幅広い広報活動に努めてまいります。
 併せて、東京、大阪、福岡、台湾など、国内外において企業誘致説明会を数多く開催するなど、さまざまな活動を積極的に推進いたしまして、本県への企業の立地を実現したいと考えています。引き続きまた皆様方の御指導、御支援もよろしくお願いいたします。

○玉城総務局長 沖振法のソフト面の整備とともに、関連するインフラ部分の整備も復帰以後、沖縄開発庁が最も力を入れてきたことでございますし、例えば、貿易関係も物流も含めまして港湾の整備、今度の補正予算でもそちらにも重点的に配分しておりますし、道路関係でも空港自動車道に一番多くのお金を割いてその整備を進めております。
 また観光関連で申し上げますと、街路樹の選定にも更に気配りをしたいと思いますし、ロードパークというようなものもやっております。本部町の海洋博地区国営公園における水族館、実質的に世界一のものを目指して今つくっている最中でございます。このようにソフト、ハード両面において十分なものをやっていきたいと考えております。

○親泊委員 先ほどの企画課長からの説明でよく分かりましたが、ただ1点特別自由貿易地域の要件として3つ挙げられておりますが、またその中へただいま中城港湾を想定されているというふうな話も聞きましたが、要件の3つの中で面積がおおむね30ヘクタール以上ということになっておりますけれども、この件につきましては、この30ヘクタールというのは何か特別自由貿易地域として、ミニマムとしてこれ以上なければならないというふうなお考えであると思いますが、特別に具体的な根拠があろうか、それの法律の運用方針としてお考えをお聞かせ願いたいと思います。

○綱木企画課長 お答えいたします。30ヘクタールということは、まずこれを考える際、先ほど御説明いたしましたように、企業のスケールメリット、企業が集積することによってお互いに波及効果も生んでいくということも想定されるような発展の仕方が望ましいということがございました。30ヘクタールという数字は、今の中城湾港新港地区に既に展開されております面積をベースにいたしまして、少なくともあの規模以上のものに発展していくのが望ましいと思いまして、とりあえず30という数字をそこに設定させていただきました。

○川村会長 牧野委員、先ほどの社会資本等はあれでよろしゅうございますか。

○牧野委員 関連でごめんなさい。この問題は1年ほど前からいろいろな形で注目されていましたし、実際に法律が改正されて3~4か月過ぎた訳ですけれども、その間県の方としまして、企業誘致につきまして、具体的に企業との接触、実績、感触などお聞かせ願えればと思いますが。

○東門副知事 具体的に接触がありますかということだったのでしょうか。

○牧野委員 そうです。企業誘致の感触みたいなものを。

○東門副知事 担当の方では動いておりますけれども、今、県としましては、まずプロモーション、3か年計画を策定するという作業に入っておりまして、それで年間500社を目標にやっていくという計画で動いているというところでございます。全国3,000企業にアンケートをとっております。今、実施しております。

○宮城委員 県にお願いなのですが、産業振興地域の指定の件、現在ヒアリングの真っ最中だということですが、実はこの法律の情報が知られてから具体的な企業が動き始めていることは事実あるのです。それだけにいつ地域の指定がなされるのか。それを待って具体的に動き始める。あるいは期日に合わせて企業が入っていきたいというところ等も問い合わせがあります。それだけに、要望事項取りまとめは大変結構ですが、出来ましたら期日をいつごろまでには指定していくという方向を、今日は東門副知事打ち出せないと思いますけれども、お帰りになりましたら、早い時期にいつごろまでには方向づけをすると。それに基づいて開発庁長官への申請を行うというある程度のスケジュールを組んでいただけば大変ありがたいと思います。そのことによって企業の誘致、企業がそこに張り付いてくるというものを具体化してくるものと考えられますので、よろしくお願いします。

○川村会長 東門副知事何かございますか。

○東門副知事 お答えいたします。特別自由貿易地域、先ほど特別自由貿易地域実施計画案の策定作業を進めておりますと申し上げましたが、目途としましては現在8月末を見ております。それから、情報通信産業振興地域、そして観光振興地域につきましては、今ヒアリングを行っている段階ではございますが、目途としまして秋口までにはしっかりとまとまってくると思っております。

○川村会長 宮城委員よろしゅうございますか。

○宮城委員 出来るだけ早目にひとつよろしくお願いします。

○川村会長 本日はなかなか活発な議論で誠に結構でございます。なお、この問題について何かございましょうか。なければそろそろ次の議題に移りたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 それでは、質疑をそろそろ終わりたいと思っておりますが、3つの特別地域制度が創設された訳でございまして、いずれも沖縄開発庁長官の指定に当たりましては、当審議会の議を経ることとなっておることは皆様も御承知のとおりでございます。これらの地域指定につきましても、知事さんの方から申請が出されましたならば、機動的に審議会としては調査審議をして円滑に進めるようにいたしたいと考えております。特に、審議会運営規則の3条2項に基づいて特別自由貿易地域、それから情報通信産業振興地域及び観光振興地域の指定に関する当審議会の調査審議は、この際総合部会に附託してお願いいたしたいと私は考えておりますが、そんなことでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○川村会長 それでは、そういうことでございましたら、亀谷部会長大変恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。

○亀谷委員 ただいまのお話を承りましたので、必要に応じまして、当総合部会におきましても調査審議をいたしまして、その結果を審議会に御報告することといたしたいと存じます。

○川村会長 ありがとうございました。審議会も機動的にやりたいと思っております。
 それでは続きまして、議事3に移りたいと思います。資料5の平成10年度の予算につきまして、石井会計課長及び岡本振興総務課長から説明をお願いいたします。

○石井会計課長 それでは、資料5に基づきまして、平成10年度沖縄開発庁当初予算並びに補正予算について御説明させていただきます。
 まず1ページ目でございますが、沖縄開発庁の予算総額といたしましては、一番下の欄でございますが、10年度予算額として3,156億6,300万円という額になっております。これは対前年度比で見ますと94.7%。ただ、厳しい財政事情の中でこれだけの確保が出来たということは、当庁にとってもなかなかいい姿ではないかと思っております。また、平成10年度の概算要求の数字に対しての比率でいきますと、97.7%と一段と率が高くなってきておりますので、数字的にも、中身的にもなかなかのものではないかと自負しているところでございます。
 更に内訳で見ますと、大きな1番目でございますが、沖縄振興開発事業費2,932億4,500万円。これは開発庁全体の93%弱の比率での金額になっております。これは後ほど振興局の方から説明させていただきます。
 2番目の一般行政経費等でございますが、224億1,700万。これはほぼ前年同額で確保しております。この中身でございますが、戦後処理経費ということで、不発弾の処理でありますとか、首里城の城郭の復元整備経費等々の経費を計上しております。
 駐留軍用地跡地利用対策関連経費でございますが、普天間の飛行場を始めとする基地の返還後の利用をどのようにしていくのか、そういったものの調査経費を計上しております。
 3番目の自由貿易地域の新規展開基本計画策定経費でございますが、これは今いろいろ議論があったようでございますけれども、中城湾港に展開する自由貿易地域の新規展開のための対象のエリアでありますとか、インフラの整備でありますとか、設置主体等々、そういったものの基本的な計画を策定する経費でございます。
 4番目の亜熱帯総合研究所の整備経費でございますが、これは平成10年度で初めて認めていただいた金額でございますが、これは沖縄県の亜熱帯の特性を生かした研究調査、どのようなものが研究の可能性があるのか、そういったものの調査を行っていきたいということで計上させていただいております。
 5番目の沖縄振興開発金融公庫補給金等経費。これはほぼ前年同額の123億3,600万円ということで着実に公庫の事業も実施出来る額を確保しております。
 沖縄振興特別事業経費でございますが、これは離島振興のための沖縄コミュニティー・アイランド事業として継続的に事業を進めてきておりますが、1つには、施設整備事業と、もう一つはソフト事業といたしまして、離島交流推進事業の経費を計上しております。施設整備事業につきましては、新規のものとして多良間村のたらまゆがぷうランド、継続のものといたしましては、久米島の具志川村の白瀬川ロマン探索、西表のマンタの海の触れ合いシップというものを計上しております。
 離島交流推進事業の方でございますが、これはいわゆるソフト事業ということで、フェスティバルを行う経費になっておりますが、波照間島のサザンクロス交流フェスタということで本年開催をするように進めておるようでございます。
 それから、資料が飛んで恐縮でございますが、5ページでございますが、先日成立いたしました平成10年度の補正予算第1号ということで、当庁の歳出の追加額といたしましては、721億1,600万円。このうちの社会資本の整備が715億1,600万円、中小企業対策といたしまして、沖縄公庫の予算に計上しておりますが6億円。これを成立予算額と合わせますと3,877億7,900万円ということで、当庁予算にとりましては過去最大の金額になっております。
 6ページ目にそれぞれ内訳が入ってございますが、これも振興局の方から後ほど御説明させていただきます。
 私の方からは以上でございます。

○岡本振興総務課長 資料1ページに戻って恐縮でございます。10年度の当初予算の沖縄振興開発事業費の御説明をさせていただきます。
 先ほど会計課長からお話ございましたように、沖縄振興開発事業費全体で2,932億円でございますが、そのうち大層を占めます公共事業関係費10年度は2,752億円ということでございまして、前年度対比94.3%でございます。これは財政再建集中期間ということで大変厳しい予算の時期でございまして、ここの全国ベースの数字が92.2%の中で沖縄はこれだけ確保出来ました。即ち、2.1ポイント高めでございまして、全国的にも非常に沖縄は配慮をいただいたと考えております。それに伴いまして、公共事業に占めます沖縄のシェアというのもここ十数年ぶりに飛躍的に拡大しております。
 沖縄教育振興事業費136億円でございますが、老朽化した校舎の建替え、学校プール、公民館等々の中で、新規の事業といたしまして、沖縄に限りまして公立学校の空調施設の整備、特にPTAの方々からは非常に要望の強かった事項でございますが、今回新規に認められております。
 沖縄文化施設整備費というところで、これも県民の方々から非常に要望の強うございました組踊劇場の基本設計費。これは文化庁と役割分担をさせていただきまして、建物は私どもの方で建てるということでございますので、その基本設計費を8,100万円今回計上しております。
 保健衛生等対策諸費でございますけれども、これも県で最もレベルの高い病院と言われております中部病院の老朽化に伴います一部の建替え、久米島に新たに総合病院をつくるということで、こういった施策がございましたので、ごらんのように財政非常に厳しい中で対前年度増の107.8%の査定をいただくことが出来ました。
 次のページでございますが、各公共事業の内訳が書いてございます。この中で申し上げますと、特に今回の予算編成の中では、物流効率化特別枠、生活関連特別枠がございましたが、その中でも10年度から始められました物流効率化特別枠では84億円、全体が1,500億円でございますので、その中の5.6%も沖縄の方にいただくことが出来ました。こういったものも活用いたしまして、那覇空港自動車道等のアクセス道路、それから那覇港の国際海上コンテナターミナル2バース目、それから那覇空港の新ターミナル周辺の整備、こういったものを重点的に取扱わせていただいております。それから道路事業の中ではモノレール事業が本格化しておりまして、本年度は交付金分を含めまして86億円ほどの事業費を掛けております。それから那覇の中心地でございます国際通りの共同溝化などの施策を盛り込んでおります。
 港湾の中では、先ほど申し上げました那覇港の国際海上コンテナターミナルのほか、臨港道路でありますとか、特別自由貿易地域に想定されております中城湾港の新港地区の整備の促進などを行っております。
 空港のところでは、ターミナルの統合に伴います那覇空港の整備。離島空港では久米島でありますとか、南北大東島が一段落いたしましたので、現在は与那国空港の暫定ジェット化に取り組んでおるところでございます。
 下水道の整備につきましても、一般の整備のほか、今回は那覇の新都心地区に向けまして、再生水を利用いたしまして、散水でありますとか、トイレの水でありますとか、そういったところに活用していく事業も新規事業として始めております。
 都市公園のところでは、本部の沖縄記念公園海洋博地区の新水族館の工事が本格化しておりまして、今年も25億円ほど掛けて工事を行っておるところでございます。
 農業農村整備につきましては、石垣の名蔵川地区につきましては、今年度で終了する予定でございますし、そのほか北部の羽地大川でありますとか、宮古島、本島南部地域といったところで事業を促進しておるところでございます。
 4ページでございますが、10年度の沖縄関係経費ということで、開発庁分以外の各省で計上された予算の紹介でございます。この中で最後の合計のところをごらんいただきますと、今年度は5,140億円ということで、前年度対比で若干減っておりますが、これは先ほど申し上げました開発庁予算の中で公共事業の削減の影響が多かったところでございまして、開発庁を除くところでは前年度対比107%と伸びております。
 その中で、例えば総理本府計上では、これはいわゆる島田懇の事業でございます。7年間で数百億から1千億という事業費が見込まれておりますけれども、初年度16億円に対しまして、本年は33億円ということで、地元の方々及び有識者懇談会の方の熱心な取組によりまして、着実に推進しておるところでございます。
 そのほか50億円の政策協議会のフォローの事業といたしまして、例えば、科学技術庁のところにございます、この金額の中には海洋深層水の利用研究施設、久米島で行われておりますが、こういったものに対する補助でありますとか、環境庁のところで、北部で行われておりますヤンバル野生生物保護センターでありますとか、珊瑚礁モニタリングセンターといったもの、それから郵政省の方ではマルチメディア特区構想の推進の費用、そういった形で10年度も各省予算の中で沖縄振興策が行われているところでございます。そのほか特別会計のところで国立高専創設準備調査でありますとか、労働省の沖縄職業能力開発短期大学校の大学校化など、各種施策に各省が取り組んでおるところでございます。
 最後に、6ページの補正でございますが、こういった項目で公共事業関係で707億円。これは全体の当初のシェアとほぽ同じ3.1%のほどのシェアを沖縄でいただいておりまして、非常に大きな額と考えております。
 その中で、総合経済対策の各項目別にこういった金額を積み増してございますが、先ほど牧野委員からも御質問ございましたけれども、沖振法の改正を踏まえまして、そのインフラ整備のフォローということで、例えば、情報通信高度化の項目の中では、国道58号線の電線共同溝の整備でありますとか、物流効率化のところで国際海上コンテナターミナルの整備、臨港道路の整備及び港湾に対するアクセス道路の整備、中心市街地活性化のところで、中城湾港の整備でありますとか、モノレール及び土地区画整備事業の促進、それから福祉・医療のところとか、あるいは緊急防災等のところに読み込まれてございますが、国立沖縄記念公園の海洋博地区の新水族館、あるいは御老人等にも安心して利用していただけるようなバリアフリー化、そういった施策に観光関連施設の整備として取り組んでおるところでございます。
 以上でございます。

○川村会長 以上で説明を終わらせていただきましたが、これについて質問がございましたらどうぞ。

○上原委員 平成10年度の沖縄開発庁関係予算を、せんだって組踊りの件で、私もちょうど促進委員だったものですから、促進についてはもう終わりましたので解散総会をいたしました訳ですが、あとは建設促進に向けていかなければいかぬということで、大変待望でありました予算を計上していただいて、心から感謝を申し上げたいと思います。
 固有名詞を組踊りということだったのですが、現実的には県民芸能会館、文化会館といいますか、総合的な会館になっていただければなというふうに希望を持っている訳ですが、県内の、先ほどお話がありましたように、フリートゾーンにかかわる世界の貿易、観光を動かしていく意味からも、この文化施設の予算計上については大変ありがたく感謝いたした次第でございます。したがいまして、これから基本設計、あるいは調査を行っていくと思うのですが、促進現地の協議会の意向として、大枠の広い体制で、大型である程度国際劇場に対応出来るような方向でひとつ御検討していただければという声があったものですから、一言付け加えておきたいと思います。
 もう一つ、公共事業に関係しまして、各省庁沖縄関係予算、総理府から大蔵、厚生、農林、多くの関係の予算を計上していただいて、沖縄振興に向けて予算の厳しい中、計上された経緯に対して心から感謝申し上げる訳でございますが、特に公共事業について、建設業界特殊、あるいは特許製品、または大型企業で出来なければ県内では出来ないだろうというような事業と、いろいろな関係で本土における大手の企業の関連が流れて、それも公共投資を、工事を進めていると。
 したがって、沖縄県の特Aクラス、Bクラス、Cクラス、Dクラスといろいろな企業形態がある訳ですが、いろいろな点数制度、いろいろな制度のかかわりがあって県内の業界がなかなか入りにくいということがあって、実質的予算計上が出てきている訳ですが、現実的に現地の企業状態にどのぐらいの仕事の量が行き渡っているかということになりますと、若干厳しい状況がありまして、勿論県内の業界も努力をしなければいけない訳でありますが、公共投資事業の県内企業に向けての努力、これは現地の受け皿も大事ですけれども、開発庁といたしましても、出来るだけ県内に事業投資をすることによって、県内事業が活性化に結び、雇用に結んでいくという施策を考えていただいて今日まで進んでいると思うのですが、なお一層県内の企業育成という意味からも、いろいろなランク、いろいろな制度はありますけれども、その辺の特例的な考え方も今後予算の中で、いろいろな協議をする中で、そういうところにも焦点を合わせていただければなと思いますので、どこの担当になるか分かりませんが、予算計上と同時に県内企業への方向性が具体的にこういうものがあるのだというのがありましたら示していただければありがたいなと思います。

○川村会長 一般的には御要望だと思いますが。

○玉城総務局長 沖縄県の建設業を含めまして、中小企業が非常に多うございます。中小企業庁が中心になって出来るだけ中小企業の方に手厚くやれというのが国の全体的な姿勢でございまして、これを受けて各省庁それぞれ目標値を定めまして、努力をしております。沖縄開発庁でも毎年努力をしまして、中小企業のシェアを含めて実質的には県内企業のシェアが増えるという形になっています。今年度の本予算が成立したときにも、また補正予算が成立したときにも、例えば分轄発注しますと、細切れになっていきますが、その分小さい中小企業の受注の機会が増える。混合発注という仕組みを使えば1ランク上の方の入札にも参加ができ、更に受注の機会が増えるというふうなことに配慮するようにという方針を、大臣が出されまして、総合事務局長に対してそのような指示を出しています。出来るだけ中小企業への受注の機会が確保されるよう逐次改善に努めているところです。

○岡本振興総務課長 組踊劇場の規模等につきましては御存じのように、政策協議会の下に開かれました「組踊劇場の在り方に関する調査研究協力者会議」の報告の中で御提言いただいておりますので、そういった線に沿いまして、現在基本設計を進めさせていただいておるところでございますけれども、基本的に浦添地区へのアプローチとか、そういったところのインフラ整備も私どもでやっていきたいと思っておりますし、具体的な運営につきましては、文化庁の方が今、中心になって、これも文化庁の予算の下に検討していただいておるところでございますけれども、開発庁としてもより運営の面についてもいろいろな活用策、例えば、外国との交流等も含めていろいろと勉強させていただきたいと考えております。

○上原委員 ありがとうございました。組踊りの県にお聞きいたしました大きな背景は、文化庁で国立劇場を各都道府県関係施設を私たちも見せていただいたのですが、若干沖縄の南西諸島における文化をやる芸能文化や芸術的に世界にアピールする場合に、劇場のシステムというものは必ずしも1つではないのです。独特な1つの芸能部門がありまして、だから本土にある国立劇場のシステムに似たようなものになりますと、現地での作用がなかなか難しいと、かみ合わないという意見がありますので、その辺も南西諸島の文化の流れ等も見た総合的な見地でひとつ調査研究していただいて、沖縄県に合うような国際劇場になっていただければなと思いますので、よろしくお願いします。
 それから、先ほど公共投資の問題については、実は県内も8%、8.5%、場所によっては10%台という失業率の問題まで大変深刻な問題になっております。そういうことで、中小企業の事業が活性化されるということが失業の解消につながるという意味でそういうことを申し上げた訳ですが、是非開発庁の立場からも関係省庁に対して県内企業優先、いろいろな制度ありますけれども、多くの事業が投入出来、そして失業解消につながるような立場で審議委員会でも意見があったということで開発庁からもお力をかしていただきますようお願いしたいと思います。これ以上失業率が高くなりますと大変なことになりますので、そういう意味で、その意見も申し上げた訳でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○川村会長 ほかにございましょうか。なければ、そろそろ次の議題にまいりたいと存じます。
 次は議事4に移ります。資料は6でございますが、沖縄の経済社会の現状について原田調査金融課長から御説明をお願いいたします。

○原田調査金融課長 沖縄の経済社会の現状につきまして、御説明させていただきます。お手元の資料6をごらんいただきたいと思います。委員の先生方よく御存じの内容でございますので、ポイントを絞りながら御説明させていただきます。
 まず1ページをお開きいただきたいと思います。人口と労働力の数字でございます。一番上の人口の欄をごらんいただきたいと思いますが、昭和47年以降着実に人口増加をしておりまして、平成9年で129万人という数字になってございます。
 恐縮でございますが、先に2ページをお開きいただきたいと思います。人口動態でございます。一番上の人口増加率でございますが、これは平成8年沖縄が0.73%の増加ということで、全国の0.23%に比べまして3倍以上の高い増加率を持っているということでございます。
 4番目の合計特殊出生率をごらんいただきます。これは女性の15歳~49歳までの出生率でございます。2を切ってはございますが、平成8年1.86ということで、全国の1.43を上回りまして、全国第1位の水準になっているということでございます。
 もう一度恐縮でございますが1ページにお戻りいただきます。そういうことで、2番目の労働力人口も着実に増加しておりまして、平成9年60万2,000人ということになってございます。ただ、先ほども問題の提起がございましたように、次の完全失業率でございます。これは平成9年年間でございますが6.0%ということで、全国の3.4%を大きく上回っている水準でございます。平成10年4月の数字でございますが、これは7.8%ということでございまして、沖縄海洋博後の昭和52年5月の7.9%に次ぐ高水準を記録しております。更に、5月については8%を超える数字のようでございまして、これまでの最高の失業率になっている模様でございます。
 特色でございますが、その下にございますように、15歳以上29歳以下の若年の完全失業率が平成9年で11.8%ということで、全国の5.8%より非常に高いというところが沖縄の特色であろうかと思います。
 次にその下の(2)の産業別就業者数の推移について御説明させていただきます。平成9年の沖縄の括弧書き、これが構成比でございまして、第1次産業7.6、第2次産業20.7、第3次産業71.7ということでございます。とりわけ第2次産業、これは全国が32.5%でございますが、それに比べて20.7ということで2次産業のシェアが低いということがポイントでございます。そういった製造業の就業者が低いということから、雇用の吸収力が弱いと、ひいては失業率の高さになっていようかということでございます。
 3ページをお開きいただきたいと思います。県内総生産の構成を見ている訳でございます。県内総生産、一番下の2段になっております部分の上の欄でございますが、平成7年度で3兆2,663億円ということでございます。この県内総生産全国のシェアが0.68%でございます。一方、沖縄の人口の全国比が1.02%でございまして、こういった点が後ほど御説明させていただきますが、所得格差につながっているものでございます。
 上の欄の特に第2次産業をごらんいただきたいと思いますが、平成7年度シェアが20.7%ということで、全国の35.2%に比して非常にこの部分のウエートが低いと。とりわけその中で内訳でございます製造業でございますが、6.5%のシェアということで、全国の24.7%と比べて非常にこのあたりシェアが低いということになってございます。
 次に4ページをお開きいただきたいと思います。観光・リゾート業の推移についてのグラフでございます。折れ線グラフをごらんいただきますと、昭和50年沖縄海洋博で非常に観光客が増大して、翌年の51年落ち込みをいたしましたが、その後はごらんいただきますように、右肩上がりで順調な形で入域観光客が増加しております。平成9年で、一番右端でございますが387万人という過去最高の数字を記録している訳でございます。とりわけ平成9年におきましては、観光業界も低価格戦略を推進したこと。それから、新規航空路線の開設、更には7月から航空運賃の引下げといった効果が寄与いたしまして、年間40万人の増加につながっている訳でございます。
 下の実線が低くはっております。これが外国人観光客数でございますが、本土客ほどの伸びは示していないというところでございます。
 次に5ページをお開きいただきたいと思います。県民総支出、県民所得の表でございます。上の表の一番下の一人当たり県民所得をごらんいただきたいと思いますが、勿論47年から確実に増加しておりますが、平成7年度で214万9,000円ということで、全国の302万9,000円を下回っているということで、その下のグラフが全国と沖縄県との比較でございます。平成7年度で全国との格差71.0%ということでございます。昭和50年を除きまして、その後ずっと全国の最下位で推移しているという状況でございます。
 次に6ページをお開きいただきたいと思います。県民総支出の構成でございます。沖縄経済はよく言われますように3K、すなわち公共事業、基地、観光で成り立っているというふうに言われておりますが、そういった姿がこの表からうかがえようかと思います。
 まず公共事業関連で財政支出の欄をごらんいただきますと、平成7年度で33.4%のシェアを持っております。基地関係ということで1つ飛ばして軍関係受取という欄をごらんいただきますと、4.9%でございます。その下でございますが観光収入が10.7%ということ。この3つを合わせますと実に49%ということで全体の約半分のシェアを占めているということでございます。
 次の物価でございますが、表にございますように、物価上昇率は全国とほぼ同様の伸び率で推移しております。全国を100とした場合の沖縄の物価の地域差というものが3段目にございますが、これでごらんいただきますと95.1%ということで、全国でも非常に低いグループに入っているということでございます。9年におきましても、最近の状況も引き続き落ち着いた状況が続いているということでございます。
 以上、簡単でございますが、沖縄の経済社会の現状について御説明させていただきました。

○川村会長 ありがとうございました。今の説明に対しまして、何か御質疑はございましょうか。牧野委員何か特にございませんか。よろしゅうございますか。
 それでは、今日予定の議事は済みましたが、最後に本日のこれまでの案件、あるいはそのほか沖縄の振興開発に関しまして御質問なり御意見がございましたら、どうぞ御発言いただきます。もしございましたら遠慮なくおっしゃってくださいませ。

○上原委員 最近の現地の新聞なのですが、基地の防衛庁関係の方々今日御出席ではないので大変失礼かと思うのですが、基地の部分返還が、日米安保条約にかかわるいろいろな地位協定の中での審査、協議の中だと思うのですが、最近嘉手納の方で約63ヘクタールの返還が打ち出されたり、軍用地として使われている防衛施設局の用地にかかわる返還が所々出てくる訳ですが、開発庁として防衛庁にかかわる用地の返還スケジュールというものが機構的にどの部門で話し合いされているのか、その辺をお聞かせしていただければありがたいなと思うのですが。あれは防衛施設庁だけで決定されているのか、開発庁とのかかわりも何か出てくるのかどうか。

○玉城総務局長 一時使用とか、共同使用というような案件が出てきた場合には、こういうことで閣議決定されましたということで、事後に連絡が参ります。事前に返したいというようなことでの定例的な協議の場というものはございません。

○上原委員 それはない訳ですね。そして返還されるであろう用地の地目というのは、これも開発庁にはまだ来ない訳ですか。

○玉城総務局長 地籍の明確化は提供施設については防衛施設庁で、民有地については沖縄開発庁と区別しておりますので、現在米軍に提供している、あるいは自衛隊に提供している施設については施設庁の方で全部処理しますし、関連資料も持っているということで沖縄開発庁はこれについて関与しておりません。

○川村会長 ほかにございましょうか。

○尚委員 沖振法の改正等数々の御苦労に大変感謝いたしております。その中に情報通信産業の振興を図ることの重要性が述べられており、情報通信産業に関連する大学、研究施設の存在というものがございました。それとの関連になるかどうか分かりませんけれども、予算の中に国立高専への計上がありました。私も文部省の審議会のメンバーでございますが、1つは県の方にお願いして、もっと積極的にそれを推し進めていただきたいということと、開発庁の方でも、出来るだけ早い時点で姿が見えるよう御努力いただきたい。また、琉球大学内に事務局を設置するということを聞いておりますけれども、そこら辺の具体的な道筋がまだ見えてこないものですから、なるべく早い時点でタイムスケジュールを提示していただくよう要望いたします。
 もう一つ観光関連でございますけれども、ヘルシー・アイランド構想については報告書を既にお出ししました。ショッピングモールも結構ですが、沖縄県の地域特性としてヘルシー・アイランドを国内、国外に発信するというのも大変重要ではないかなと思うのです。世界の長寿地域ということが既に国内外でも広く知られておりますので、そういう意味からもヘルシー・アイランドとして、総合的な長期滞在型も含めた上で進めていただくよう要望を申し上げたいと思います。
 それに伴いまして、先ほどの御説明の中で観光産業の進展が急激であるといいますか、大変大きいということも分かりましたし、企業の立地、雇用の開発などにもひいてはつながってくるのではないかという感じもいたしますので、是非そこいら辺のこともお願い申し上げます。

○川村会長 答えは承っておきます。
 あと赤嶺委員、新垣委員、伊集委員何かございませんか。
 それでは、今日は割に活発に御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。
 おかげで新しい制度が本年度から始まる訳でございまして、この辺は大変期待が持てると同時に、それぞれの御努力が要る部分でございます。どうぞその意味では今日は大変有効な討議をいただいたように思っております。このような格好で、今日は時間もまいりましたものですから、他に御発言がなければ、これで第36回沖縄振興開発審議会を終わらせていただきたいと存じます。活発な御議論を感謝いたしまして、閉会にいたします。
 ありがとうございました。