第41回沖縄振興開発審議会議事録

議事次第

○日時: 平成13年8月3日(金)11:30~12:40
○場所: 合同庁舎4号館第4特別会議室
  1  開会
  2  議事
   (1)  沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会調査審議結果報告について
   (2)  沖縄の振興について(意見具申(案))
   (3)  その他
  3  閉会

配布資料

   資料1  沖縄振興開発審議会委員名簿
   資料2  「沖縄の振興についての調査審議結果報告」
   資料3  沖縄の振興について(案)

沖縄振興開発審議会委員名簿

  1.沖縄県知事  稲嶺 惠一

  2.沖縄県議会議長  伊良皆 高吉

  3.沖縄県の市町村長を代表する者
   那覇市長(市長会会長)  翁長 雄志 
   嘉手納町長(町村会会長)   宮城 篤実

  4.沖縄県の市町村議会の議長を代表する者 (2名)
   那覇市議会議長(市議会議長会会長)   亀島 賢優
   中城村議会議長(町村議会議長会会長)    呉屋 哲夫

  5.学識経験のある者(14名以内)
   沖縄県婦人連合会会長   赤嶺 千壽
   琉球大学教授   伊波 美智子
   琉球大学教授   大城 常夫
   財団法人沖縄協会理事   亀谷 禮次
   沖縄県経済農業協同組合連合会代表理事会長   儀間 義勝
   法政大学総長・理事長   清成 忠男
   社団法人沖縄県工業連合会会長   金城 名輝
   (株)キャンディッド・コミュニケーションズ代表取締役   残間 里江子
   (株)ニッセイ基礎研究所主任研究員    白石 真澄
   放送大学沖縄学習センター所長    尚  弘 子
   オムロン(株)代表取締役会長    立石 信雄
   (社)沖縄県銀行協会会長   仲吉 朝信
   JSAT(株)取締役会長   森本 哲夫

出席者

  ○審議会委員
    清成忠男会長、稲嶺惠一委員、伊良皆高吉委員、翁長雄志委員、宮城篤実委員、呉屋哲夫委員、伊波美智子委員、大城常夫委員、亀谷禮次委員、金城名輝委員、崎間晃委員、残間里江子委員、白石真澄委員、尚弘子委員、仲吉朝信委員、森本哲夫委員

  ○内閣府
    尾身沖縄及び北方特命大臣、仲村副大臣、襲田内閣府審議官、安達政策統括官(沖縄担当)、武田沖縄振興局長、山本官房審議官、吉田沖縄総合事務局長、渡辺参事官(中長期計画担当)

議事

○渡辺中長期計画参事官 お待たせいたしました、ただいまから第41回の沖縄振興開発審議会を開催いたします。
 それでは、清成会長よろしくお願いいたします。

○清成会長 本日は尾身大臣それから仲村副大臣にも御出席いただいておりますけれども、後ほどごあいさついただくということにいたしまして、議題に入ります前に、まず襲田内閣審議官から、事務方を代表してごあいさつをお願いいたします。

○襲田内閣府審議官 内閣府審議官の襲田でございます。清成会長はじめ委員の皆様方には大変お忙しい中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 沖縄振興開発審議会におかれましては、一昨年から今後の沖縄振興のあり方について御審議をいただいておりまして、去る6月には総合部会専門委員会の最終報告を取りまとめていただいたところでございます。
 本日の審議会におきましては、この総合部会専門委員会の調査審議結果を受けまして、今後の沖縄の振興について取りまとめの審議をいただくことになっております。委員の皆様方には、よろしく御審議を賜りますとともに、今後とも御指導、御協力を賜りますようにお願いを申し上げまして、簡単でございますが開会のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○清成会長 続きまして、事務局から新たに任命されました委員の紹介、あるいは異動のございました幹部の紹介、それから、本日の配布資料について説明をお願いいたします。

○渡辺中長期参事官 まず初めに、新たに任命された委員の御紹介をさせていただきます。
 「沖縄県の市町村長を代表する者」であります委員2名のうち、親泊前那覇市長にかわりまして、市長会会長に選出されました翁長雄志那覇市長が新たな委員として就任されております。翁長委員につきましては、7月23日付で内閣総理大臣から任命がなされておりまして、本日お手元に辞令を差し上げてございますので、よろしく御査収のほどお願い申し上げます。
 続きまして、この夏の人事異動に伴います内閣府の沖縄担当部局の幹部の御紹介をさせていただきます。
 先ほどごあいさつをいたしました、襲田内閣府審議官でございます。
 次、安達政策統括官でございます。
 武田沖縄振興局長でございます。
 山本官房審議官でございます。
 それでは、お手元にお配りしております資料の御説明をさせていただきます。
 お手元に配布しております資料につきましては3種類ございます。それぞれナンバーをふっておりますが、資料1が審議会委員名簿、資料2が「沖縄の振興についての調査審議結果報告」、これは冊子でございます。それから、資料3が意見具申案「沖縄の振興について(案)」でございます。以上でございます。
 お手元にあろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○清成会長 それでは、早速議事に入ります。まず報告事項でございますけれども、平成11年3月の審議会決定に基づきまして、総合部会において取りまとめていただいた「沖縄の振興についての調査審議結果」について御報告をお願いしたいと存じます。
 これまでの調査審議の経過につきましては、総合部会長の亀谷委員から御説明いただき、調査審議の最終結果報告の内容につきましては、座長代理の大城委員から御説明をいただきたいというふうに思います。どうぞ。

○亀谷委員 それでは、沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会におきます調査審議の経過について御説明を申し上げます。
 平成11年3月に開催されました審議会における決定に基づきまして、約2年間にわたり調査審議を進めてまいりましたが、去る6月22日、合同委員会におきまして「沖縄の振興についての調査審議結果報告」を決定をいたしましたので御報告を申し上げます。
 総合部会におきましては、平成11年9月、専門委員会の設置を決定したところでありますが、専門委員会におきましては、その後おおむね約1年にわたり、延べ8回会議を開催いたしまして、沖縄の社会経済状況、所得及び経済構造、人口及び雇用、産業振興、社会資本の整備、人材の育成、国際交流拠点の形成等につきまして調査審議を進め、平成12年10月に中間報告を取りまとめ、総合部会に報告をいただき、決定をさせていただいたところであります。
 また、これに引き続き、平成12年10月31日に開催をいたしました総合部会の決定に基づきまして、専門委員会におきましては、その後8か月にわたり、今後の沖縄振興のあり方、沖縄の産業振興等の主要施策課題などにつきまして調査審議を進め、去る6月22日に最終報告として本報告を取りまとめまして、総合部会に御報告をいただき決定をさせていただいたところであります。
 本報告の内容につきましては、既に各委員に送付をしておりますが、その主要な内容を専門委員会の座長代理をお務めいただきました大城委員から報告をしていただきたいと存じます。

○大城委員 それでは、私の方から沖縄の振興についての調査審議結果報告を行いたいと思います。
 まず、1の沖縄振興開発の現状につきましては、本報告書の2ページから13ページにかけて、人口、雇用等の社会経済状況をはじめとして、産業の振興、南の国際交流拠点の形成、社会資本の整備、さらには人材育成と学術の振興についてはそれぞれの現状やこれまでの成果等について取りまとめております。
 次に14ページは、これまでの3次振計の評価を取りまとめています。ポイントを申し上げますと、まず、昭和47年に沖縄が本土に復帰して以来、3次にわたる振計に基づいて沖縄の振興開発が進められてきた結果、施設整備面をはじめとして次第に格差が縮小するなど、着実に成果を上げてきております。
 しかしながら、経済全体としては、1人当たりの県民所得が国民所得の約7割の水準で推移するとともに、失業率についても、全国の約2倍となっており、沖縄の産業及び経済は、全体としてなお厳しい状況にありまして、今後、沖縄の優位性を生かして、観光・リゾート産業をはじめとする産業の一層の振興と雇用の確保を図り、自立型経済を構築していくことが大きな課題であると考えております。
 さらに、沖縄の地域特性を生かした南の交流拠点の形成等に向け、諸施策が講じられてきたものの、まだ十分とは言いがたい状況にあり、今後、特に国際的地位を高めつつあるアジアとの関係を踏まえつつ、交流拠点の形成に向けて検討を深め、諸施策を実行に移していく必要があると考えております。
 3次振計の評価は以上です。
 次に15ページから、今後の沖縄振興のあり方について取りまとめました。それには、まず沖縄の地域特性を今一層再認識していくことが必要であると考えております。
 今後、アジア諸国等に近接した沖縄の地理的特性、亜熱帯、海洋性の貴重な自然的特性、独特の歴史的・文化的特性等沖縄の地域特性を最大限に発揮して沖縄の振興を進めていく必要があると考えています。
 17ページから、次に時代潮流の中での沖縄について記述いたしました。21世紀を迎えた今日、世界的潮流として、グローバリゼーション、IT革命、環境問題に対する意識の高まりなどの大きな流れがあり、沖縄が自らの地域特性を踏まえてその潮流を活用するという視点から、今後の沖縄振興のあり方を考えていくことが必要であります。
 次に20ページですが、これらを踏まえて沖縄振興の必要性を整理いたしました。沖縄は、その特殊事情や不利性を背景としてなお引き続き多くの課題を抱えております。中でも大きな課題は、前にも申しましたが、今日においても、産業の振興が遅れ、本土より厳しい雇用状況が続いているということです。
 今後の沖縄の振興を進めていく上で、産業を振興し、雇用の確保を図っていくことが大きな課題であります。
 また、施設整備面における本土との格差は総体としては縮小してきたものの、交通・物流への的確な対応、水の確保をはじめとして、今後とも積極的に社会資本整備を進めていく必要があります。さらに、米軍施設・区域の整理、統合、縮小と返還跡地の利用の問題や離島、過疎地域の問題への対応もあります。
 沖縄の振興に当たっては、このような沖縄の抱える諸課題に今後もしっかりと対応していかなければならないところであります。
 他方、21世紀に入った今日、先ほど申し上げた時代潮流を踏まえるとともに、沖縄の地域特性を生かし、新しい沖縄像を求めて沖縄の振興を進めていくことも求められていると考えております。
 地域特性の発揮の観点からは、例えば、観光・リゾート地としての沖縄の役割をさらに広げて、「国民の総合的な保養の場」の形成や、「体験、交流の場」を提供していくこと。また、環境共生、循環型社会システムの構築や、経済社会システムのIT化など、モデル的な取組を他の地域に先駆けて実施していくこと。さらに、アジア・太平洋地域における交流拠点を形成していくことなどが重要であります。
 次に、22ページに移りまして、今後の沖縄の振興を進めていくに当たっての基本的視点としては、参画と責任、選択と集中、連携と交流の3つの点が重要であると考えています。
 次に24ページに移りまして、以上を踏まえて、(5) で沖縄振興の基本方向を整理しております。1つには、社会資本の整備をはじめ、沖縄の自立的発展へ向けて基礎条件の整備を引き続き図っていく必要があるとともに、沖縄の地域特性や優位性を生かして競争力のある産業集積を図り、自らのうちに成長の原動力とメカニズムを内蔵した民間主導の自立型経済を構築していく必要があること。
 そして第2に、我が国及びアジア・太平洋地域の発展に寄与する特色ある地域として整備していく必要があること。さらに第3に、特性を生かした地域の均衡ある発展と広域連携の実現を掲げております。
 次に26ページからは、今後の沖縄振興を進めるに当たって検討すべき課題と方向性を取りまとめました。何といいましても産業振興が大きなポイントですので、第一に、まず優位性を生かした産業振興による自立型経済の構築を掲げています。
 リーディング産業として期待される観光・リゾート産業をはじめ、今後発展が期待される情報通信業、さらには農林水産業、製造業、そして中小企業についてそれぞれ課題や方向性をまとめました。
 次に、32ページに移りまして、(2) のアジア・太平洋地域における交流拠点の形成についてですが、交流拠点を支える基盤としての空港、港湾、情報基盤の整備、コンベンション機能の充実、国際的に貢献できる国際的なレベルの研究、様々な分野における国際協力の積極的な推進などが必要であります。
 次に、34ページに移りまして、(3) の「人材の育成・交流」についてですが、人材の育成は、沖縄振興のかぎを握る重要なものであると考えていますので、このようなタイトルにしています。
 産業振興の観点からの人材の育成、開かれた交流拠点の形成を支えるという観点からの人材育成、高度で専門的な人材の育成と産業を誘発する科学技術の研究開発、本土や海外を含めた幅広い人材の交流などが重要であると考えております。
 次に、36ページに移りまして、(4) の潤いのある美しい沖縄づくりについては、まず第一に、沖縄らしい地域環境を形成していくことが重要であります。第2は、環境との共生と循環型社会の形成です。
 島しょで構成される沖縄においては、特に環境保全のみならず、環境との共生や循環型社会の形成の観点に立って、諸施策を展開していくことが必要であります。
 そして、第3に、沖縄独特の文化を継承し、さらに創造していくことが重要であります。
 次に、38ページに移りまして、(5) に戦略的な社会資本整備の必要性を書いています。産業振興の観点からの戦略的、重点的な社会資本整備、特に空港、港湾の積極的整備、美しい地域環境の形成、環境や緑の保全との関連、バリアフリー、防災との関連などを記述しています。
 次に、40ページに移りまして、(6) は均衡のとれた活力ある地域づくりです。まず第一に沖縄が持続的に発展していくためには、沖縄の各地域において特色を生かした魅力ある地域づくりをしていく必要があること。また、この中で、北部圏域の振興についても触れております。
 マル2で安全で安心な地域づくり、マル3で生き生きとした県民生活の実現に向けた地域づくり、そして、マル4で離島の振興に触れています。
 離島につきましては、地理的、自然的条件の制約のもとで、産業、生活の両面にわたり多くの課題を抱えており、その活性化を図っていくことは沖縄の振興にとって重要な課題であります。
 最後に、43ページに移りまして、(7) で米軍施設・区域の整備・統合・縮小と返還跡地の利用による県土構造の再編を述べています。米軍施設・区域の整理・統合・縮小に向けて、沖縄の振興という観点からも積極的に取組を進めていく必要がありますし、また返還跡地の有効利用は、これからの沖縄振興を進めるに当たって特に重要な課題であることから、県土構造の再編も視野に入れた幅広い検討と取組が求められていると考えております。
 以上、総合部会専門委員会の沖縄の振興についての調査審議結果について御報告申し上げました。以上でございます。

○清成会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御報告につきまして、御質問、御意見等ございましたらいただきたいと思います。
 いかがでしょうか。何かございますでしょうか。

○金城委員 専門委員会につきましては、相当長い期間審議をいただきまして大変御苦労さまでございました。今、報告を見まして、綿密に分析されて方向性を示しており大変結構だと思います。御苦労さまです。

○清成会長 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、次に、審議事項といたしまして、今後の沖縄の振興について御審議いただきたいというふうに思います。
 これまで、今後の沖縄の振興について調査審議を進めてこられた総合部会長の亀谷委員から御発言よろしくお願いします。

○亀谷委員 総合部会といたしましては、先ほど御説明を申し上げました「沖縄の振興についての調査審議結果報告」を踏まえまして、お手元にお配りをしてあります資料3の「沖縄振興について」のとおり、審議会から内閣総理大臣に意見具申を申していただいたらいかがかと考えておりますので、その旨提案をいたしたいと存じます。
 「意見具申(案)」の朗読をお願いを致します。

○渡辺中長期計画参事官 それでは、意見具申(案)の朗読をさせていただきます。

 内閣総理大臣 小泉純一郎 殿

沖縄振興開発審議会
会長 清成 忠男

沖縄の振興について(案)

 本審議会は、沖縄振興開発特別措置法第52条第2項の規定に基づき、今後の沖縄の振興に関し、別添の総合部会専門委員会報告を踏まえ、下記のとおり意見を申し出ます。

 昭和47年に沖縄が本土に復帰して以来、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づき、沖縄の振興開発が進められてきた結果、施設整備面をはじめとして次第に格差が縮小するなど、着実に成果を上げてきている。
 しかしながら、沖縄の特殊事情等を背景として、沖縄はなお引き続き多くの課題を抱えている。中でも、所得水準が国民所得の約7割にとどまり、失業率が全国の約2倍近い水準で推移していることに示されるように、沖縄の産業及び経済は全体としてなお厳しい状況にあり、産業を振興し、雇用の確保を図っていくことが大きな課題となっている。また、SACO最終報告を踏まえた米軍施設・区域の整理・統合・縮小への取組とともに、返還跡地への対応が求められている。さらには、離島の活性化をはじめ地理的特性に由来する不利性の克服への取組など、沖縄の抱える諸課題に今後もしっかり対応していかねばならない。
 一方、21世紀に入った今日、グローバリゼーションやIT革命、少子・高齢化の進展、環境問題に対する意識の高まりなどの大きな時代潮流の中で、沖縄の持つアジア諸国等に近接するという地理的特性をはじめ、亜熱帯、海洋性の貴重な自然的特性、沖縄独特の国際色豊かな歴史的、文化的特性など、沖縄の持つ地域特性を最大限に発揮して沖縄の振興を進めていくことが求められている。
 また、これからの沖縄の振興に当たっては、参画と責任、選択と集中、連携と交流といった基本的な視点を踏まえて進めていく必要がある。
 今後、こうした考え方に立って、観光リゾート産業や情報通信産業をはじめ優位性を活かした産業振興による民間主導の自立型経済の構築、我が国及びアジア・太平洋地域の発展に寄与する交流拠点の形成、さらには特色をいかした活力のある地域の均衡ある発展に向けて、沖縄の振興を積極的に図っていく必要がある。
 また、観光リゾート産業等を支える人材の育成や職業訓練の実施、専門的な人材の育成と科学技術の研究開発等のための教育研究体制の整備、さらには海外を含めた多様な人材の交流など、人材の育成と交流の促進に向けた取組は、沖縄振興の鍵を握るものと考える。さらには、こうした振興の基盤として戦略的な社会資本整備が引き続き重要であると考える。
 政府におかれては、平成14年度以降の沖縄の振興に向けて、沖縄振興新法の実現を図るとともに、新法のもとで地元地方公共団体と相協力して新たな計画を策定し、その新たな法律及び計画において、以上の諸点を勘案して特別の措置を講じていくよう、本審議会として強く要請するものである。
 
 以上でございます。

○清成会長 ただいま総合部会から「意見具申(案)」について御提案がございました。いかがでしょうか。

○金城委員 ただいま朗読されたこの意見書の案につきましては、専門委員会の報告を踏まえておりまして、また現状認識をもとに今後の沖縄振興の基本的な方向を明らかにして、その上に立ちまして、政府の積極的な取組を求めておりますので、私はこの案でよろしいかと存じます。

○清成会長 ほかにございませんでしょうか。
 特に御異論がないようでございますので、総合部会から御提案のあった文案のとおり、意見具申にしてはというふうに考えますけれども、それでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○清成会長 ありがとうございます。
 それでは、この文案のとおり決定いたします。ただいま決定いたしました意見具申について、この場で私から尾身大臣にお渡ししたいというふうに存じます。

○渡辺中長期計画参事官 少々お待ち下さい。プレスに入っていただきますので、お待ちいただきたいと思います。

(プレス入室)

○清成会長 それでは、まず私から簡単にごあいさつ申し上げます。
 ただいまこの審議会におきまして、沖縄の振興について内閣総理大臣への意見具申を行うということを決定いたしたわけでございます。
 平成11年3月の当審議会におきまして、調査審議を開始するということを決定して以来、昨年10月の総合部会専門委員会の中間報告、それから本年6月の総合部会専門委員会の最終報告の取りまとめを経まして、本日の審議が決定というふうになったわけでございます。審議会の委員、それから専門委員の皆様に対しまして、会長として厚く御礼申し上げます。この意見具申はお手元にございますように、別添の総合部会専門委員会の報告を踏まえて取りまとめたものでございます。
 平成14年度以降の沖縄の振興に向けて、沖縄振興新法の実現を図るとともに、新法のもとで地元地方公共団体と協力して新たな計画を策定し、そして、その新たな法律及び計画において観光・リゾート産業や情報通信産業をはじめとしまして、沖縄の優位性を生かした産業振興による民間主導の自立型経済の構築、それから、我が国及びアジア太平洋地域の発展に寄与する交流拠点の形成といった、この意見具申にもございます諸点を勘案しまして、特別の措置を講じていくよう強く要請したいというように考えております。
 それでは、これから尾身大臣に意見書をお渡ししたいというふうに思います。
 大臣よろしくお願いいたします。

(意見具申の手交)

○清成会長 それでは、尾身大臣からごあいさつをいただきたいと思います。

○尾身大臣 沖縄及び北方対策担当の国務大臣の尾身幸次でございます。
 本日は、お忙しい中、沖縄振興開発審議会に御出席をいただきありがとうございます。清成会長をはじめといたしまして、委員の皆様方には日ごろから沖縄の振興開発につきまして格別の御支援、御協力を賜り、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 ただいま沖縄振興開発審議会から沖縄の振興につきまして、内閣総理大臣に対する意見具申をいただきまして、この意見具申におきましては、沖縄の振興開発についてこれまで実施されてきた諸施策の現状と課題に対する調査審議をもとにいたしまして、今後の沖縄振興の基本的な方向について貴重な御提言をいただいたわけでございます。
 審議会の委員の先生方、また専門委員の皆様におかれましては、平成11年の3月以来、2年余りにわたります長期間にわたりまして調査審議をいただき、この意見具申を取りまとめていただきまして、御尽力に対しまして心から感謝を申し上げる次第でございます。
 沖縄の振興に関しましては、本土復帰以来3次にわたる振興計画を進め、その沖縄振興が図られてきたわけでございますが、この意見具申の中にも盛られておりますように、なお失業率なども日本全体の2倍近いものがあり、かつ一人当たりの所得も日本平均の7割であるというような厳しい状況でございまして、まだ厳しい経済の状況が続いていると考えております。そういう中で自立型経済に向けまして、産業の振興を図り、雇用を確保していくことが大変大きな課題であると、私ども考えている次第でございます。
 このような沖縄の抱える産業、経済の問題や、あるいは、これまでの歴史的経緯、基地に関する負担といった、いわゆる沖縄の特殊事情を念頭におきまして、私ども対応していかなければならないと考えている次第でございます。また、21世紀を迎えまして、沖縄がアジア太平洋地域の交流拠点としての役割を担い、さらには世界の頭脳の集積を目指していくことも大変重要であると考えております。
 大学院大学を沖縄に設置する構想につきましては、まさに新たな国際交流の拠点としての意義を有するとともに、沖縄を飛躍的に発展させるための頭脳集積の核としての意味も大変大きいと考えておりまして、ただいまいただきました意見具申の答申の線に沿ったものであるというふうに考えております。世界最高水準の大学院大学の具体化につきまして、今後、鋭意検討を進めてまいりたいと思っているわけでございますが、委員の皆様方からの御助言、御指導をいただければ幸いでございます。
 政府といたしましては、この審議会の意見具申を踏まえまして、沖縄県とも十分相談をした上で、沖縄振興新法の制定に向けて努力をし、また、これに基づく新たな計画の策定、あるいは具体的な施策の推進に向けて全力で取り組んでいく決意でございます。委員の皆様におかれましては、今後とも沖縄開発に対しますいろいろな意味の御指導、また御支援を心からお願いを申し上げる次第でございます。
 長い間にわたります皆様の御審議に対しまして、心から感謝を申し上げまして御礼のごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。

○清成会長 どうもありがとうございました。続きまして、知事からも一言ごあいさつをお願いいただきたいと思います。

○稲嶺委員 それでは、ごあいさつを申し上げます。沖縄振興開発審議会総合部会専門委員会における「沖縄の振興についての調査審議結果報告」並びに沖縄振興についての意見具申がなされたことについて、一言ごあいさつ申し上げます。
 沖縄県といたしましては、これまでの本審議会における調査審議、並びにただいまの内閣総理大臣に対する意見具申に対し、心から感謝申し上げます。
 また、そこに示された考え方は、先に本県で取りまとめました「沖縄振興に向けた基本的な考え方」と方向性や内容を同じくするものであることを心強く感ずる次第であります。ここに盛られた自立経済の構築に向けた産業の振興や我が国及びアジア太平洋地域の発展に寄与する地域の形成等のための制度、施策が今後の沖縄振興新法の制定や沖縄振興新計画に反映されるよう、強く要望するものであります。
 この間、審議会から観光振興地域指定等様々な答申を受け、多くの施策・事業が展開され、成果を上げることができました。この場を借りまして、審議会の委員の皆様に改めて感謝を申し上げます。今後の沖縄振興開発に当たっては県民の主体性を発揮しつつ、21世紀に向けた沖縄の振興発展や国際化への展望を自ら切り開き、「平和で安らぎと活力のある沖縄県」を実現してまいりたいと考えております。
 そのためには、政府における具体的な施策の推進とともに、引き続き沖縄振興開発審議会の場において、新しい時代にふさわしい沖縄振興の方向性について提案していただくことが必要だと考えております。
 尾身担当大臣におかれましては、本日の意見具申の内容の実現に向けて特段の御配慮をいただきますよう、また、清成会長はじめ委員の皆様、並びに内閣府沖縄担当部局、関係省庁の皆様におかれましては、今後とも沖縄の振興について特段の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、あいさつにかえさせていただきます。どうもありがとうございました。

○清成会長 どうもありがとうございました。本日は昼食を御用意しております。食事をとりながらで結構でございますけれども、この後は自由に意見交換等をしていただければというふうに思っております。もし何か御意見ございましたら、どうぞ御自由に御発言いただきたいと思います。

○尾身大臣 大変いい機会でございますので、皆様から今の答申にかかわること、あるいはそのほかの問題でも結構でございますが、何か御意見等ございましたら、ぜひ賜らせていただければ大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

○宮城委員 尾身大臣、御出席のせっかくの機会でありますのでお願いします。
 町村会の宮城ですが、この審議会におきまして、振興施策の一つとして情報通信産業の地域指定を2年がかりでやったわけです。しかしながら、肝心なものは高速通信回路と言いますか、それが伴わないと情報通信産業の振興がなかなか進まないのではないか。特にサミットの関係で西側の地域は多少進んでいるけれども、例えば、沖縄の西原町から与那城、勝連半島等を含めて東側には何もないという意見が市町村の中にありまして、これにつきましては、もちろん沖縄県が中心になって進める仕事ではありましょうけれども、ただ沖縄がこの柱となってまいりますと事業規模も大きいし、また金もかかるわけです。これについては、これだけの位置づけをしてあるわけですから、この審議会で審議をして出した、それだけに終らず、必ず中身をつけていただくことをお願いしたいと思います。
 ここで陳情することは大変恐縮でありますが、審議したものがどうなっているのか、まだ私どもわからないんですね。あれは審議し、そして答申等を受けて地域指定もなされたけれども、その後、果たしてどの程度の地域がIT産業に向けて動いているのか、ほとんどないのではないかという感じがしてならないのですが、県庁の職員がおいでですし、またこちらの内閣府の方々もおいでですから、ひとつよろしくお願いします。

○安達政策統括官 状況について具体的な資料を持っておりませんので、やや抽象的になりますけれども、この情報産業振興地域制度が3年前にでき、地域指定をいたしました。税制のアナウンス効果ということもございまして、また個別の企業誘致に対する取組、また県におかれては通信コストの低減、あるいは政府ともども若年労働者に対する雇用助成金の制度、こういったものが相相乗してこの数年間で約50社の情報通信分野での企業立地が進んだ。この具体的な分布状況を見ましたときに、大きく言いまして、那覇市それから沖縄市、そして嘉手納町、名護市といったところについて、インキュベート施設の立ち上げというようなことも伴いつつ出てきたかなと。ただ、情報通信産業地域に結構数多いところが指定されたわけですけれども、すべての指定された地域において企業立地が進んでいるかというと、必ずしもそうではないというような状況であろうかと思います。
 それから、通信回線の件でございますけれども、NTT等民間での努力というところもございますけれども、実は公共事業の関係の幹線というのが、ほぼ国の幹線の光ファイバー網というのが完成する予定でございます。これは、公共事業に使うとともに民間にその空間を共同利用してもらうというようなことで運用されておるわけでございます。ただちょっと空白地域もあるというところですけれども、大きな幹線ラインというものはほぼでき上がってきているというところでございますが、そういった存在というものが知らされているのか、あるいは生かされているのかといったところについては、これからもっと活用の視点というようなところでも、我々検討の余地があるのではないかという感じがしております。とりあえず事務方から答えさせていただきました。

○清成会長 今回の調査審議結果報告でも、従来IT産業を集積させると供給側の議論だけに集中していたんですが、それだけでは不十分だということで、むしろ需要サイド、ITを使う側ですね。消費者でありますとか、各種の団体でありますとか、大学とか医療関係、それから自治体、電子政府ということで、需要サイドに着目をして離島性の克服ということでITをどう活用するかというところに着目すれば、結果としてIT産業がどんどん広がるだろうという、こんな検討もしたわけでございます。

○渡辺中長期計画参事官 どうぞお食事をとりながらよろしくお願いいたします。

○清成会長 ほかに御意見ございますか。

○大城委員 先ほど大臣のあいさつの中に大学院大学のお話が出てまいりまして、大臣のお話は新聞にも載っておりまして大変反響を呼んでおりまして、各市町村からも誘致合戦が既に過熱しているという状況ではないかと思います。
 この専門委員会でも、沖縄に新しい役割をつくり出すということは大変議論になりました。特にアジア太平洋地域における交流拠点の形成、新しい国土計画の中ではアジア太平洋地域におけるクロスロードというふうに位置づけております。これまでなかなか構想を具体化する具体案が出てこなかったんですけれども、今回、大臣のあいさつの中にもありましたとおり、もしそういった大学院大学というのができれば、これは沖縄の21世紀の新しい役割を示す構想になるのではないか、あるいはプロジェクトになるのではないかというふうに思って大変期待を申し上げているところでございます。沖縄も国際化、あるいはITということをキャッチフレーズにしているわけですけれども、まだかなり準備が不足しているという感じがいたします。
 実は私、アメリカ国務省と太平洋司令部のプロジェクトでシーズという東アジア地域安全保障シンポジウムというのがありまして、それに参加させてもらっているんですけれども、今回は20か国から約28名のメンバーが出まして、ハワイで1週間、ソウルで1週間、沖縄で3日間、東京でも約3日間、それから最終的には北京に行って会議をすることになっています。ロシア、中国からも参加をしているわけですけれども、その会議では英語だけでやっておりました。私も少しはできるんですが、東南アジアからたくさん参加していただいているので、東南アジアの英語を聞き取るのに四苦八苦してなかなかうまくディベートができないという感じです。
 それから、その会議でもう一つ気づいたのは、もちろん太平洋司令部に行っていろいろ戦略とか説明をしてもらって、パワーポイントを使ったコンパクトなブリーフィングをしてもらっているんです。そういったのがまだ沖縄では使いこなしてない。特に行政レベルでまだうまく使ってないという印象を受けました。国際化とともに非常に重要だと思います。
 それから、国際的に安心できる研究内容をつくり出す必要がある。沖縄には素材がいっぱいあるとは思っているんですけれども、なかなかそこに手がつけられてなく、今回の大臣のごあいさつの中にあったのが実現できれば、これは沖縄の21世紀の新しい役割をつくり出すきっかけになるのではないかと思って非常に期待を申し上げています。

○尾身大臣 大変御期待をいただいてありがとうございます。ちょっとこの機会でございますから今考えていることの概略を申し上げますと、世界最高水準の科学技術系の大学院大学、そして学生も教授も半分が日本人、半分が外国人、講義及び会議は全部英語でやる。それから、独立行政法人にするという流れの中で、非公務員型の独立行政法人にして、いわゆる公務員という制約を外して、給料などについても頭打ちにしないで最高水準の人材を連れてこられるようにする。それから、外国からのトップクラスの人材をこの大学の学生として入っていただくために、奨学金制度は日本での最高水準のものをつけてやるというような構想でございまして、ITを中心とする自然科学系というふうに考えております。
 内容をもうちょっと詰める必要がございますので、近くプロジェクトチームを発足させて、内容を詰めて来年度予算に何らかの形の予算措置をつけていきたい。調査費とか準備費とかそういうようなものでございますが、そういうものをつけていきたいと考えております。学生も半分は外国人、半分は日本人という考え方にしておりますが、最高水準のいわゆる教授陣、それから最高水準の学生を集めることでございまして、沖縄の特殊事情を勘案しながら十分な予算措置をつけていきたい。それから、今までの大学制度のいろいろなルールとか制約を全部なくして、何が一番理想的な形の大学院大学か、その1点で考えて中身を詰めたいというふうに考えております。
 実はいろいろな方が大変関心を持ってくださって、ぜひ応援したい、応援したいというのは内容を詰めるようなことについても、あるいは世界中からいい教授等を連れてくることについても応援したいということを言っていただいておりますので、皆様の御意見をまとめていただいて、とにかく世界最高水準という点に考え方の焦点を絞って実現をしていきたいというふうに考えております。
 したがって、例えば、いろいろな方から沖縄の人からの入学枠を別枠で取ってくれというようなお話もあるわけなんでございますが、これはそういうことではなしに、世界のトップの人材を連れてくるということで、結果として沖縄から何人入学できるかちょっとわからないわけで、水準が高くなれば、もちろん分母は多いわけでありますから、沖縄からの方も入学してくださるだろう、あるいは合格するだろうというふうに考えておりますが、大学の中身もあり方も最も理想的な大学を、今までの大学というイメージとか、日本の大学の現状にこだわらず、それを乗り越えてつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。予算等も、いわゆる文部科学省の予算ではなしに、沖縄の担当の私どもの方の特別予算でとるということを考えておりまして、いろいろな意味の特殊事情がありますから、沖縄であれば政治的にかなり無理もきく、その無理をきかせて沖縄でなければできない大学をつくりたい。こういうふうに考えているわけでございまして、まだ詳細決まっておりませんが、基本的な考え方はそういう考え方でやりたいと思っております。
 ですから、また知事はじめ沖縄の皆様の御意見もお伺いいただきながら、内容、形式ともに最も理想的な形でつくりたいとこういうふうに考えているわけでございます。また、いろいろな意味で御意見等をお伺いできれば大変ありがたいと思いますし、御支援もいただかなければなりませんので、それもぜひお願いをしたいと思います。

○仲村副大臣 役所の側から意見を申し上げるのはどうかと思いますけれども、御参考になればと思っております。
 沖縄は27年間米軍の統治下に置かれたわけですけれども、その間でも沖縄の教育というのは、骨の髄まで日本人である、こういうことで絶対にそれはアメリカナイズされちゃいけないという考え方で教育をされてきましたので、あれだけ長い期間アメリカの統治下にありながら、あまり英語教育は進んでいないわけです。だけれども、今となっては、やはり英語教育をしないと国際時代に対応できない。特に今日意見具申をいただいた中でも、国際社会の中で沖縄の特性を生かしていくという点からいたしまして、私は英語教育はいかに大事であるかということを感じているわけです。
 今、大臣から大学院大学の話もございましたが、それだけでなしに、小学校、中学校、高校まで英語で一貫教育ができるような学校が沖縄につくれないものかなということをいつも感じております。今後いろいろと皆さんの御意見もお聞きしながら、これはぜひやらなくちゃならん仕事ではないかなと思っておりますので、御参考のために申し上げておきたいと思います。

○稲嶺委員 尾身大臣から大学院大学の構想がございましたけれども、これは今、県内で大変な反響を呼んでおります。当初は琉球大学の中から危惧の念もあったんですけれども、最近は多くの皆様とお話すると大変喜んでおりまして、これはぜひ連携しながらやっていきたいと。それから、逆に琉球大学の理工系学部自体の大変なレベルアップにもつながるのではないかということで喜んでいるわけです。
 それと、今、仲村副大臣の方からお話がございましたように、英語の問題というのは大変重要でございまして、従来はアメリカサイドは、せっかく沖縄にいるからということで、ネイティブスピーカーを積極的に派遣したいということでずっと要望がありましたが、常に沖縄が拒否しておりました。けれども、昨年、初めてテストで10校ばかり中部の学校に派遣してもらうことにしまして、これが大変評判がよかったので、今年からそれを大幅に増やすことになりまして、今後とも増やす方向でいきたいと思っております。
 特に拒否反応がなくなった大きな理由の一つには、当時、反基地から反英語みたいになった非常に厳しい時代に、本日ここに御出席の宮城嘉手納町長が、町自体で英語塾というのを無料で開催しまして、町民に積極的に英語を教えた、というようなこともございます。ネイティブスピーカーを軍関係から派遣してもらって、今年は初めてそこから卒業生が出たわけです。実は沖縄の若年労働者の就職率というのは高くなく、100%には程遠い状況ですが、そのような中、塾の卒業生はあちらこちらから引っ張りだこでありました。例えば、新たに嘉手納に誘致したNECの会社からも採用があったというようなことで、情報化や国際化というのには英語が大変結びついているんだなという認識を持ちまして、急速にこの辺は沖縄の意識が変わっております。そんな形で、ご指摘の中にもございましたように、今後国際化の交流に向けて、政府のいろんな形でのバックアップをいただきながら、その方向に進めていきたいと思っております。
 特に、世界に通じる大学院大学というのは、これは何も沖縄だけの問題ではなくて、日本全体としても、ある意味で1つの大きな改革につながると思っております。しかも、今いろんな意味での改革、「聖域なき構造改革」ということが言われているんですけれども、現実にそれに対応しようとするといろいろな壁だらけで大変難しいと思っております。この大学院大学が、沖縄の尾身構想のような形で実現できれば、これは日本全体の教育改革に対して大きな風穴をあけるし、それがいい意味につながると思っております。そういう意味で、私ども県としましても、全面的に政府と協力を密にしながら、できる範囲のことはできるだけ努力をしていきたいと思っております。今日はいろいろありがとうございました。

○森本委員 尾身大臣の大学院大学構想は、沖縄にとっても大変心強いことになることについては先ほどからお話のあるとおりですが、問題は、大学院大学の卒業生が沖縄にどれだけ定着をするか、あるいはアジアの発展にどれだけつなげられるか。そこも非常に大事なポイントかなと思いますので、やはり大学が、いわば人材供給拠点になれるような、あるいは大学を核とするような企業立地が可能になるような施策を併せ展開する必要があるのではないか。
 御案内のとおり、アジアの多くにはIT特区というのを設けておりまして、eジャパンではありませんが、一挙に一国をIT化するのは非常に困難だということで、特定のエリアには法人税を10年間無税にする。それから多くのケースは、その中に今のお話のように大学院大学あるいは専門学校みたいなことで企業の求めに応じて幾らでも人材が供給できるような状態にする、あるいは新たに企業が進出しますと、県の認可だ、何の認可だと非常にややこしいので、これを全部ワンストックショッピングでサポートしてあげる。様々な支援体制が台湾、韓国、マレーシア等々であるわけでございまして、この税金の問題は、日本の中で一国二制度になるという議論があって非常に難しゅうございますが、時限立法で大学と併せて、大学を拠点にして、そこにたくさんの沖縄のソフトだとか、コンテンツだとか、そうしたこれから期待されるIT産業の立地ができる、あるいはナノテクノロジーの企業が集積できるというような環境も、ぜひひとつ沖縄振興のために併せ立法をお考えいただいたら、より大きく展開できるんじゃないかと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○尾身大臣 今の沖縄特区構想は大変大事だと思っております。これはいろいろ財務省等と折衝しなければいけないわけでございまして、一生懸命進めていきたいと考えております。ただ、大学院大学の話は、卒業生に沖縄で働いてもらうということは必ずしも考えておりませんで、卒業生は世界じゅうにばらまいて、世界じゅうで頑張ってもらう。しかし、その中には、沖縄の人と結婚して住み着く人もいると思いますし、そこに頭脳集団があるということが、いろいろな意味で、有形無形に沖縄の発展にものすごく役に立つ。そういう意味で、この大学院大学を卒業をした方が、今から10年か20年ぐらい後にアジアを中心として、世界じゅうで活躍をしていただくということが実現されると、そこで頭脳の集積の中核としての沖縄の地位が確立していくんじゃないか。したがって、私が今一番大事だと思っておりますことは、この大学の水準をいかに世界最高水準に高めるか。別な言い方をすると、いかに最高水準の人材を集めるか。これは教授の方も学生の方も含めてなんですけれども、そのためには十分な予算をつけて、研究施設なんかはもちろん日本はトップにする。ここでなければ、そういう施設が使えないからということで、これまた最高水準の学者の施設とか、待遇とかで沖縄に来ていただく。もちろん、ずっと住み着くということではなしに、5年間ぐらいの時限でいこうかなと思っております。子弟の教育も基地の中にアメリカの学校がありますから、そこでやれば、そんなに心配なくできる。そういう点から考えても、実を言うと、かなり沖縄は世界じゅうから人材を集めるのに有利な条件が整っているかなというふうに考えて、それを今全部を立体的に考えながら進めていきたいという考え方でおりますが、また、いろいろな意味で情報の方も御支援をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○伊波委員 琉球大学の伊波でございます。ただいまひとしきり大学院大学の構想が話題になっておりますけれども、ただ単に、大学院教育の対象になる人だけではなくて、将来の子どもたちの教育についても大変刺激というか、いい目標を与えるものだと思って期待しております。と申しますのは、今、「米百俵」がいろいろと話題になっておりますけれども、産業振興にしろ、何にしろ基本はやはり教育だと考えます。そういう中で、沖縄の子どもたちの教育について、科学技術というか、そういうあたりが不足していたのかなと考えております。身近なところで世界最高レベルの科学教育が行われるということは、将来の子どもたちにとってすごくいい刺激になると思って期待しているところです。
 それに関連づけてというわけではないんですけれども、私、環境問題について、いろいろ考えているわけですが、この報告書の中でも、潤いのある美しい沖縄づくりということで取り上げていただいて大変心強く思っております。この潤いのある地域づくりということは、産業振興の面とともに生活という面からも非常に大事なことです。そのためのインフラの投資、つまり、ハード面の整備は沖縄だけではなくて、日本全体として循環型社会を目指す、あるいは福祉社会を目指すためにも、今後とも引き続き大事なことだと思われます。ヨーロッパ諸国に比べて、環境とか、福祉とかという面でのインフラというのは大分見劣りするように思いますので、またハード面だけではなくて、やはり、大事なのは、環境教育であったり、あるいはボランティアを含む福祉社会づくりの教育であったりというソフト面だということを感じております。
 このような教育は学校だけではなくて、生涯教育という観点から多面的な形で進めていかないといけないし、子どもたちにボランティアを言うだけではなくて、大人の人たちもボランティアをやっていくことが必要ですので、成人教育とか、生涯教育という面から、ぜひハード面とともに併せて、ソフト面でも御支援をいただきたいというふうによろしくお願いいたします。

○清成会長 ほかにございませんでしょうか。予定された時間になっておりますので、そろそろ閉会にいたしたいと思いますけれども、閉会に当たりまして、仲村副大臣からごあいさつをお願いいたします。

○仲村副大臣 ごあいさつを申し上げます。内閣副大臣の仲村正治でございます。
 本日、第41回沖縄振興開発審議会が開催されるにあたり、当審議会から沖縄の振興について、長い時間をかけて御審議の結果の大変有意義な意見具申をいただき感謝申し上げたいと思います。本日いただきました意見具申を踏まえ、新たな沖縄の振興に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。今後、その具体的取組といたしまして、平成14年度予算の概算要求や税制改正要望等がございますが、その重要性にかんがみまして、それらの取組状況等につきまして、今年の秋にもまた本審議会を開催していただきまして、御説明する機会をいただければと考えております。委員の皆様方におかれましては、今後とも御指導と御協力を賜りますよう重ねてお願いを申し上げてお礼のごあいさつとさせていただきます。
 以上申し上げまして、本日の審議会の閉会のごあいさつといたします。ありがとうございました。

○清成会長 それでは、以上をもちまして第41回沖縄振興開発審議会を終了させていただきたいと思います。本日は大変ありがとうございました。