第5回PFI推進委員会 議事概要

日時 平成12年3月31日(金)16:00~17:30
場所 内閣総理大臣官邸大客間
事務当局 樋口委員長、西野委員、奥野委員、高橋委員、原委員、前田委員、山内委員、有岡専門委員、植田専門委員、廣實専門委員、美原専門委員、山下専門委員
事務当局 竹島内閣内政審議室長、白須民間資金等活用事業推進室長、阿部参事官、古谷企画官、清水企画官

議事概要

ガイドラインについて

事務当局より、資料1「ガイドライン・フリーディスカッション用メモ」について説明があった。 なお、資料1については審議途中にあることから、ガイドラインについての検討状況に照らし適切な時点において公表することとし、当面非公開の取扱いとなった。 意見の概要は次のとおり。

  • PFI事業の対象としては箱ものが考えられがちだが、地方財政を助けるのには、その運営、サービス提供面を重視すべき。例えば、赤字の国公立病院はサービスをよくするというインセンティブが働くような仕組みになっていない。良いロケーションにある病院は、黒字化が可能と思う。運営というサービスの提供についても念頭においてガイドラインを検討することが必要。
  • 住民の立場からは、基本方針一3の特定事業選定の際の公共サービスの質の評価をどう行っていくのかが重要。また、住民の信頼を得るためにも、基本方針二1(7)の民間事業者の選定過程の透明性を確保するために必要な公表資料が何かを示してほしい。
  • サービス業務を独自にとりあげるという発想は、従来みられなかったが、例として挙げる必要がある。
    また、基本方針の一、二、三の分野だけでなく、現行の公物管理法等で、民間が参入する上での問題がある。ガイドラインになるのかどうか分からないが、こうしたことも検討事項とする必要があるのではないか。
  • 地方自治体と話をしているとリスク分担の問題がよく出て、3セクとの区別がつかなくなってしまっており、この問題は重要。ガイドラインは実施主体をある方向に導いてしまうものになり、あまりガイドしすぎても問題があろう。
    自治体は、規制緩和等について政府が考えてくれるのだろうかと思っているところがあるので、このような点への配慮も必要ではないか。
  • 自治体等事業主体がやりやすいようにするためにつくるガイドラインの話と規制緩和についての検討という話との二つの話があったと思う。ガイドラインはかなり引っ張っていくというところもあり、その辺は慎重にならなければと思う。また規制緩和の問題は、ガイドラインという形で出すのがいいのか、PFIの推進のために何をしたらいいのかの議論をもっと積み上げる必要がある。この問題はガイドラインの中ということで果たしていいのだろうかという気がする。
  • 実際にPFI事業に関わっていると実務上の参考指針のところが非常に欠けている。自治体はVFMをどう考えればいいか、対外的説明の点でも困っている。その辺の問題を幅広い人から伺いたい。いろいろな取組がある中で、ガイドラインでこれしか認めないというようにするのは危険なことであり、幅広くこういうものもあるという形で示していくことが必要。ガイドラインの対象としては、目下のところVFMが大きな問題。性能発注の点についても話を伺いたい。
  • ガイドラインとは、手法、手続き、規範に関する実務的なあり方を示すもの。実際に事業を担う地方自治体や事業実施主体は様々な課題に苦労しているので、ガイドラインとして示すものの優先度を考慮することが重要。まず実務上役立つものであり、また、公共施設等の管理者等が混乱しないようにするものである必要がある。基本方針一、二、三の順でプライオリティを考えればよい。評価のあり方、VFMの評価、この中で重要度が出てくる。基本方針一、二、三はサブアイテムとしては各々10個くらいに分かれるが、段階的にわかりやすい実務指針を策定していくべき。
    民間が参入する上での課題の話も分かるが、課題のことも念頭に置いた上で実務指針をまとめればよい。
    検討の進め方だが、メール等を使って欠席した委員等も書面での意見の提出、交換ができるようにして、委員等の間でのオープンで透明な形の議論の中でまとめあげることが適当。公共部門の実態の聴取は絶対必要。自治体の報告書とか自治体の意見を委員等が把握するためにも、地方自治体の聴取を行うべき。一般論では仕方なく、対象を明確にして、実務指針との関わりの中で聞くべき。一般企業からもヒアリング必要。これも一般論ではなく、具体的な問題を聞くべき。
  • 既にいくつか案件が進んでいるので、それに参加している公共側、民間側からどういう問題があったかヒアリングすることが大事。
    PFI法はそもそも公共施設等となっており、施設がイメージされるのはやむを得ないが、建設、維持管理までは大体セットとして定着してきたかなとの印象。しかし運営のところまでは公共側のイメージはないし、民間もどこをイメージしてよいのかという問題があるので、建設、維持管理、運営という一つのセットの中の非常に重要な部分として焦点を当てていくことが必要。
  • ガイドラインの発表を急がないと、既に出ている実施方針を参考にして事業の検討が進められてしまう。
    ガイドラインは当面既存の法律をベースに作らないといけない。ただ、国税を考慮するか否かでVFMが変わってしまうようなケースがある。しかし、ガイドラインで法改正を行うべきとは言えないので、法制度の問題は別途議論され、それを受けてガイドラインが逐次変更されていくというような前提でガイドラインを作っていく必要があるのでは。
  • 自治体においては、PFI事業の進め方の手順、プロセスについての理解に若干の混乱がある。ガイドラインの中で手順、プロセスの方向性なり考え方を示していくことが重要。実施方針発表の前にVFMの比較をしなければならないと理解している自治体が多い。実施方針を出した後、特定事業としての選定をしないということについて違和感があるようだ。ガイドラインで示せるものであれば示すべきではないか。
    自治体の人と実務的に話していると、特定事業の選定の評価内容の公表の問題とも絡んで、VFMについてガイドラインとして示すことが一番優先順位が高く、それによって特定事業選定の評価内容の速やかな公表がなされ、議会も住民等も納得ができるプロセスになると思う。
    民間事業者の選定結果の公表についてはタイミングの問題があり、これは重要な意味を持つ。やや早めの時期に公表されるようになればよい。
    とにかくガイドラインに関して、一番実際の現場で求められているのはVFMの基準又は基準となる考え方で、それを一日も早く出す必要がある。
  • VFMについての考え方が出せれば最優先事項。いろいろなケースや考え方がある。こうしたものを早く、いろいろ示す必要がある。いずれにせよVFMが一番大事で、後は基本方針の一から三がガイドラインの中心。四は政府の決定する事項についての話。基本方針の一から三の中で議論し、規制緩和等の問題は、その過程で、まとめていうべきものがでてくれば、出していくというのでよいのではないか。
  • PFIは、公共側、民間側とも、これから新しい場に入っていくものでガイドラインはあまりガチガチな書き方ではなく、自治体のイニシアティブが発揮される「遊びしろ」が必要。
    英国ではパーツ、パーツでできあがった順で公表されている。適宜公表し、またリバイスしていくということで、出すガイドライン全てについて全責任をもつというところまで詰めていくのはどうか。
    PFI事業のプロセスについて理解されていないところもあり、解説的なガイドラインが必要では。
  • プロセスについて、知らない人は非常に誤解している。ただ、これはガイドラインの問題というよりも誰かが本やパンフレットに書くという性格のものでは。
  • いろいろな方の意見を聞くことはいいが、その意見の処理、対応をどうするか。
  • 早急にかつ集中的に生の声を直接自治体からヒアリングすべき。それをもとに議論しなければならない。
    一般に意見を求めることについては、たたき台ができた段階でウェブ上で意見を求めることが必要だろう。ただ、多様な意見を聞くのは趣旨としてはよいが、時間等の制約も考慮すべき。
  • 公共部門の実務上の意見をどうやって吸い上げていくか、ヒアリングを早急に集中的に実施することに加え何らかの形で強化していく必要がある。
    検討はいろいろ関連するところがあり、合同部会で議論していく方がいいと思う。いろいろな問題があり、合同だけではなく細分化も必要になる。時間的制約から委員の間でメール等での意見交換という運営の仕方も考えられる。
  • PFIは一般の人に説明してもわかりにくい。VFMを最優先すべき。ガイドラインとは別の話かもしれないが、広報・周知が必要。
  • PFIという日本語でない言葉も分かりにくくしている一因。
  • 地方で講演に行くと、地方議員や一般の人も参加するのが最近の傾向。実施方針の公表によって住民が意見を言える機会ができるようになることはよいことだが、現実には、その後の事業のスケジュールが既定路線として決まってしまっている面もある。
  • 基本方針にあるように、広報は委員会の役割でもあるので、広報の進め方を別途議論してはどうか。
  • 広報については委員、専門委員が各自広報担当ぐらいのつもりでやってほしい。
  • 進め方については、当面、両部会合同で検討し、個々の部会で検討する方がいい問題が出てきたときにそれぞれの部会でやるというやり方がよい。
  • 民間の発案の場合、社会的便益をどう計るかが大きな問題。従来、事業者が事業者側の主張するところを出してきたが、最近は公共側の対応も随分改善した。しかし、それでも社会的便益ををみるのは非常に難しい。時間もかかるが、早期にやるべき。
  • 時間をかけるわけにはいかない。完璧なものは作れないが、早期にやるということ。
  • 広報については、住民やNPO的な人にもPFIの話の中に参加してもらうようなことで少しずつ広がっていくのではないか。地公体でも、ライフサイクルコストへの関心が高まっており、PFIがライフサイクルコストの削減について大きな役割を果たすことについて、行政も民間事業者も理解が一致。

今後の検討について

フリーディスカッションの後、樋口委員長から今後の検討について下記のように提案があり、了承された。
ガイドラインの検討については、専門的・技術的な事項が多く含まれ、また、事業推進部会と評価基準部会の双方に関係することから、まずは両部会合同で検討に着手する。その進め方については、本日の議論を踏まえ、西野、山内両部会長で相談する。

次回の民間資金等活用事業推進委員会合同部会について

4月7日(金)永田町合同庁舎3階会議室にて開催予定。

以上

(速報のため事後修正の可能性があります)

問合せ先
内閣総理大臣官房内政審議室民間資金等活用事業推進室
TEL 03-3502-7319、03-3502-7346