Q3 民間の活力を活用した事業方式
PFIと他の民間活力の活用手法とは何が違いますか?

PFI以外の民間活力の活用手法は、どのようなものがありますか?

公共事業を行う際に、民間がもつノウハウを活用することによって、安くて質の高い公共サービスを効率的に提供する手法はPFIだけではありません。
民間のノウハウを活用するためには、民間に任せられるものは民間に任せて効率を高めることが必要です。様々な民間のノウハウを活用した公共事業の実施手法に関して、事業全体のうち民間に任せる部分が占める割合・程度の大小を勘案して整理してみました。特徴や適用例についても示しました。

民間委託の程度・各手法の内容・導入効果を表した図

上記画像の凡例を示した画像

1.第三セクター方式

公的目的を有し、かつ、その運営には民間のノウハウを活用することが有効である事業において、国や地方公共団体と民間が出資して設立する法人(第三セクター)が実施する方式です。PFIと異なる点は、第三セクターの場合、公共性確保を目的とする国や地方公共団体と、利潤追求を目的とする民間企業が「同一法人内で」意思決定を行うことにあります。この方式は、公共性を担保し、運営における柔軟な対応が可能ですが、民間企業の経営責任の範囲が不明確になったり、結果として効率的な運営が実現できない可能性もあるようです。
なお、PFIにおいても選定事業者がPFI事業以外の他の事業等に従事する場合においては、他の事業等に従うリスクがPFI事業に及ばないようリスクの分担を図ることに留意が必要です。(実務編Q2-4参照)

第三セクターとPFIの違いを表した図

第三セクターとPFIのちがい
項目 第三セクター PFIにおけるSPC
地方公共団体との資本関係
  • 資本関係あり
  • 資本関係なし
事業の性格
  • 会社法に基づく運営
  • 裁量の範囲大
  • 事業契約に基づく運営
  • 裁量の範囲小
事業領域
  • 民間事業の低収益分野
  • 公益的(低収益)分野
  • 公益事業
  • 公益的(低収益)事業
地方公共団体の経済的負担※
  • 原則として出資額の範囲内での有限責任
  • 損失補償、経営支援念書などがあれば発注
  • プロジェクトファイナンスの場合は基本的に不可抗力等、自治体に発生する責任を契約により事前に明確化
地方公共団体の監督
  • 株主として、また役員派遣によりコントロール
  • 行政指導(間接的)
  • 事業契約に沿って請求(直接的)
金融機関との関係
  • 金融機関は株主としての地方公共団体の信用力に依存(コーポレートファイナンス)
  • 損失補償、経営支援を契約する場合もある
  • サービスの対価を支払う顧客としての地方公共団体の信用力には依存しない(プロジェクトファイナンス)
  • 金融機関はプロジェクトファイナンスをキャッシュフローに依存して組成
  • 直接協定(ダイレクトアグリーメント)等に基づき、金融機関と事業継続の方策を協議

※事業破綻や事業収支が悪化した場合

参考:自治体PFIハンドブックに加筆
(地域総合整備財団PFI調査チーム、ぎょうせい)

2.指定管理者制度

地方自治法において規定される「公の施設」の運営において、より質の高い公共サービスを効率的に提供することを目的に、民間のノウハウを導入する制度です。PFI手法によらない場合も、経過措置の期限である平成18年9月までには、指定管理者制度を導入する必要があります。PFIの対象は公の施設に限りませんが、PFI事業の対象施設の運営において指定管理者制度を導入する際、その運営を行う民間事業者は、指定管理者としての指定を受けることが必要となります。指定管理者として指定されることで、これまでの管理委託と異なり、条例に基づき指定管理者が施設の利用料金の直接収受や料金変更を実施することができます。なお、PFI事業の対象施設の運営を指定管理者にゆだねる場合には、指定の期間等について、PFI事業の円滑な実施に配慮することが必要です。(実務編Q1-21用語集参照)