株式会社産業再生機構法案に対する附帯決議(衆議院経済産業委員会)

 政府は、本法施行に当たり、産業及び金融の一体的な再生に向けて産業再生機構の機能が実効的に発揮されるよう、また、最近の厳しい雇用情勢を勘案し、雇用の安定に配慮しつつ、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。

   事業の再生については、市場における企業の自主的な取組みを尊重することを原則とし、産業再生機構(以下「機構」という。)が事業の再生支援の決定を行うに当たっては、過度の介入により安易な企業の延命を図ることのないよう、公正かつ中立的な観点から判断を行うものとすること。

   機構は、事業者が、労働者の理解と協力を得て、事業再生計画を策定及び実施しているか等、関係労働組合との協議の状況につき、十分な確認を行うものとすること。

   機構は、支援基準を運用し、事業の再生支援を行うに当たり、中小企業者の事業の実態等を勘案し、支援基準の運用に当たっても、機構による再生支援を中小企業者が十分活用しうるよう努めるものとすること。

   事業所管大臣は、事業分野別支援基準を作成する際、及び個別事業の支援決定において機構に意見を述べる際には、機構の中立的立場を阻害することのないよう配慮しつつ、対象事業者の属する関係事業者の意見等を踏まえて実施するものとすること。

   産業再生委員会の運営に当たっては、経営者を代表する者及び労働者を代表する者の知見がそれぞれ反映されるようにするものとすること。

   機構は、事業の再生支援を行うに当たり、過去に金融機関等から債務の免除等の支援を受けたことがある事業者については、基準に基づき厳正に判断する等、事業者のモラルハザードを招かないように努め、あわせて機構の損失拡大の防止に十分配慮するものとすること。

   政府は、業務の運営の透明性を確保するため、支援基準について可能な限り具体的に定めるよう努力するとともに、機構は、企業秘密に配慮しつつ、債権の買取及び処分について、積極的に情報の公開に努めるものとすること。



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