資料 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について 内閣府 障害者差別解消法に関する経緯 平成 16年 6月 4日 障害者基本法改正(議員立法) ※ 施策の基本的理念として差別の禁止を規定 平成 18年 12月 13日 第61回国連総会において障害者権利条約を採択 平成 19年 9月 28日 日本による障害者権利条約への署名 平成 23年 8月 5日 障害者基本法改正 ※ 障害者権利条約の考え方を踏まえ、合理的配慮の概念を規定 平成 24年 9月 14日 障害者政策委員会差別禁止部会意見取りまとめ 平成 25年 3月 4日 与党障害者の差別禁止に関する立法措置WTにおいて与党における検討の開始 28日 与党WTにおいて与党としての考え方の取りまとめ 4月 2日 障害者差別禁止立法に関する自公民3党による協議の開始 9日 3党において「障害を理由とする差別の禁止に関する立法措置に係る主な論点と基本的な考え方について」取りまとめ 4月 26日 障害者差別解消法案閣議決定、国会提出 5月 31日 衆議院本会議にて可決 6月 19日 参議院本会議にて可決 26日 公布・一部施行(全体の施行は平成28年4月1日) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(障害者差別解消法<平成25年法律第65号>)の概要 障害者基本法 第4条 基本原則 差別の禁止 第1項:障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止  何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 第2項:社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止  社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 第3項:国による啓発・知識の普及を図るための取組  国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 →基本法第4条の具体化として T.差別を解消するための措置 差別的取扱いの禁止 国・地方公共団体等、民間事業者→ 法的義務 合理的配慮の不提供の禁止 国・地方公共団体等→ 法的義務 民間事業者→努力義務 →具体的な対応 政府全体の方針として、差別の解消の推進に関する基本方針を策定(閣議決定) 国・地方公共団体等⇒当該機関における取組に関する要領を策定※ 事業者⇒事業分野別の指針(ガイドライン)を策定 ※ 地方の策定は努力義務 実効性の確保 主務大臣による民間事業者に対する報告徴収、助言・指導、勧告 U.差別を解消するための支援措置 紛争解決・相談 相談・紛争解決の体制整備⇒既存の相談、紛争解決の制度の活用・充実 地域における連携 障害者差別解消支援地域協議会における関係機関等の連携 啓発活動 普及・啓発活動の実施 情報収集等 国内外における差別及び差別の解消に向けた取組に関わる情報の収集、整理及び提供 施行日:平成28年4月1日(施行後3年を目途に必要な見直し検討) 障害者差別解消法の解説@(第1条) 目的 (目的) 第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。  本法は、障害を理由とする差別の禁止に関するより具体的な規定を示し、それが遵守されるための具体的な措置等を定めることにより、障害者基本法第4条の差別の禁止の基本原則を具体化し、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的とする。 ※ 本法は、障害を理由とする差別を禁止するとともに、基本方針や要領・指針の策定等の措置、相談・紛争解決の体制整備等の支援措置についても規定しているところ、これらを通じて差別のない社会を目指すものとして「解消」としているもの。 参考:障害者基本法(抜粋)  (目的) 第一条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。  (差別の禁止) 第四条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 障害者差別解消法の解説A(第3条〜第5条) 国及び地方公共団体の責務、国民の責務 (国及び地方公共団体の責務) 第三条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。 (国民の責務) 第四条 国民は、第一条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。  第3条は、国及び地方公共団体の一般的な責務として、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を策定及び実施しなければならない旨規定するもの。 ※ 本法により、地方公共団体において、地域の実情に即して、障害を理由とする差別に関する条例(いわゆる上乗せ・横出し条例を含む。)を制定することが制限されることはない。  第4条は、国民の責務として、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない旨規定するもの。 社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。  障害者の利用を想定して行う建築物のバリアフリー化や職員に対する研修等は、個々の障害者から意思の表明があった場合において個別に求められる「合理的配慮」とは区別されるものではあるものの、障害を理由とする差別の解消に向けて、このような「環境の整備」に係る取組も計画的に行われるよう、第5条において、行政機関等及び事業者の責務を規定するもの。  なお、本法第12条において主務大臣による事業者に対する行政措置が規定されているが、第5条は一般的な責務を規定したものであり、第12条の行政措置の対象となるものではない。 障害者差別解消法の解説B(第7条・第8条) 障害を理由とする差別の禁止 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、  @ 障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 A 障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 事業者は、その事業を行うに当たり、  @ 障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 A 障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。 定義 行政機関等…国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人(※) ※ 地方公営企業及び公営企業型地方独立行政法人を除く。 事業者…商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人(※)を除く。) ※ 地方公営企業及び公営企業型地方独立行政法人は事業者として扱われる。 社会的障壁…障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの ※ 障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、当該障害者と社会の在り方との関係によって生ずるという、いわゆる「社会モデル」に基づく障害者の概念を踏まえたもの 留意事項 事業者ではない一般私人の行為や個人の思想・言論は、本法の対象外。啓発活動を通じて対応。 雇用分野については、障害者雇用促進法(第183回国会にて改正法が成立)により具体的な措置を規定する。 ※ 国家公務員や地方公務員の雇用関係に関して、国家公務員法や地方公務員法等の規定によるとの前提の下、障害者雇用促進法の適用が除外されている事項については、本法においても同様の整理。 障害者差別解消法の解説B(第7条・第8条(・第12条)) 障害を理由とする差別の禁止(続き) 不当な差別的取扱い  例えば、障害者であることのみを理由として、正当な理由なく、障害者に対する商品やサービスの提供を拒否するような場合をいい、実際の場面においてある行為が不当な差別的取扱いに該当するかは、状況に応じて個々の事案毎に判断されることとなる。なお、当該取扱いについて、正当な理由が存在する場合には、本法により禁止される不当な差別的取扱いには該当しない。 社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(合理的配慮)  「合理的配慮」とは、障害者が日常生活や社会生活において受ける制限をもたらす原因となる社会的な障壁を取り除くため、個々の障害者に対して、社会的障壁の除去を必要とする旨の意思の表明があった場合において、個別の状況に応じて講じられるべき措置であり、典型的な例としては、例えば、乗り物への乗車に当たっての職員等による手助けや、筆談・読上げ等の障害特性に応じたコミュニケーション手段による対応、段差の解消のための渡し板の提供等が考えられる。  「意思の表明」は、個別具体的な場面において、社会的障壁の除去の実施に関する配慮を必要としている状況にあることを、言語(手話も含む。)その他の意思疎通のための手段により伝えることを指し、知的障害等により本人が自ら意思を表明することが困難な場合には、その家族等が本人を補佐して意思の表明をする場合も、解釈上含み得る。   なお、合理的配慮の実施に伴う負担が過重である場合には、本法に基づく義務は生じない。 違反に対する対応  主務大臣は、事業者に対し、特に必要があると認める場合(例えば、ある事業者が障害者に対し、本法に違反する行為を繰り返し行っており、当該事業者による自主的な改善を期待することが困難な場合等。)、報告徴収、助言・指導、勧告を行うことが可能。  ※ 報告徴収が求められた際、報告をしなかった場合、又は虚偽の報告を行った場合には過料あり。  行政機関等により本法に違反する行為が行われた場合には、例えば、行政不服審査法に基づく不服申立て(当該行為が行政処分に当たる場合等)や行政機関等の内部における服務規律確保のための仕組みや行政相談等の仕組みにより是正が図られることとなる。  本法に違反する行為自体について罰則が存在するわけではない。また、本法の私法上の効果については、民法等の一般規定に従い、個々の事案に応じて判断されることとなる。 障害者差別解消法の解説C(第6条、第9条〜第11条) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 【位置付け】 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、政府において施策の基本的な方向や対応要領・対応指針の基本となる考え方等を示すもの  【作成主体】 政府(閣議決定) 【作成手続】 案の作成に当たっては、障害者政策委員会の意見を聴くとともに、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じることが必要  【内容】 @障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 A行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 B事業者が講ずべき障害を理由とする差別の解消するための措置に関する基本的な事項 Cその他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項(※)  ※ 障害を理由とする差別を解消するための支援措置に関する基本的な考え方等を想定 基本方針に即して作成 国等職員対応要領 国の行政機関の長及び独立行政法人等が作成。障害を理由とする差別の禁止に関して当該機関等の職員が適切に対応することができるよう、当該機関等における不当な差別的取扱いの具体例や合理的配慮の好事例等を示す 地方公共団体等職員対応要領 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人が作成。障害を理由とする差別の禁止に関して当該機関等の職員が適切に対応することができるよう、当該機関等における不当な差別的取扱いの具体例や合理的配慮の好事例等を示す ※ 地方分権の観点から、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は要領の作成に努めることとされている。また、要領の作成に関する国の協力に関する規定あり。 主務大臣の定める対応指針 主務大臣が作成。障害を理由とする差別の禁止に関して事業者が適切に対応することができるよう、当該事業分野における不当な差別的取扱いの具体例や合理的配慮の好事例等を示す 作成に当たっては、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずることが必要 (地方公共団体等職員対応要領については、必要な措置を講ずるよう努めることとされている)  障害者差別解消法の解説D(第14条〜第16条) 相談及び紛争の防止等のための体制の整備  (相談及び紛争の防止等のための体制の整備) 第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。 【趣旨】障害を理由とする差別の解消を効果的に推進するため、障害者等からの相談に応じ、紛争の防止や解決を図ることができるよう必要な体制整備に努めることとするもの。 障害者に関する既存の相談窓口等(必ずしも差別に関する相談を行っていないものを含む) 福祉事務所、地方公共団体の担当部局、保健所、教育委員会、法務局・地方法務局、都道府県労働局、公共職業安定所(ハローワーク)、児童相談所、基幹相談支援センター、都道府県障害者権利擁護センター、市町村障害者虐待防止センター 等 啓発活動  (啓発活動) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。 【趣旨】障害を理由とする差別の解消を効果的に推進するため、国民の関心と理解を得るために必要な啓発活動を行うもの。なお、障害者関連施設の立地に関し、住民の同意を要件とする等の他の施設にはない特別な措置を行わない他、本条の趣旨を踏まえ、障害者に対する住民の理解を得るために必要な啓発活動を行うことが適当。 情報の収集、整理及び提供  (情報の収集、整理及び提供) 第十六条 国は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、国内外における障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 【趣旨】国内外の障害を理由とする差別に関する具体的な事例や差別の解消に関する取組等の情報を収集・公表し、本法の適切な運用に活かすこと等を目的とするもの。  障害者差別解消法の解説D(第17条〜第20条) 障害者差別解消支援地域協議会 趣旨・目的  障害者が行政機関に対して差別に関する相談等を行うに当たり、どの機関がどのような権限を有しているかは必ずしも明らかではなく、また、相談等を受ける機関としても、当該機関だけでは対応できない可能性。  このため、国及び地方公共団体の機関において、障害者差別解消支援地域協議会を組織することで、地域において障害を理由とする差別に関する相談や紛争の防止・解決等を推進するためのネットワークを構築。  これにより、いわゆる「制度の谷間」や「たらいまわし」が生じない体制の構築や地域全体での相談・紛争解決機能の向上が図られることを期待。  ※ 法律上、協議会の設置は各地方公共団体の判断となっており、必置とはされていない。   組織・運営のイメージ 事務局注はじまり 以下は、挿入されている図の説明。 障害者差別解消地域協議会の構成員としては、@国の機関(地方支分部局等)A地方公共団体の機関(例えば保健所、障害者施策担当部局、福祉事務所など)、BNPO法人、学識経験者、その他必要と認める者(例えば事業者など)が法律上挙げられている。この図では、これらの構成員を円でつないで示すことにより、協議会を通じてこれら相談機関等のネットワークの形成を表現している。 注おわり  協議会においては、@必要な情報の交換、A障害者からの相談及び相談事例を踏まえた差別解消のための取組に関する協議、を行う。各構成機関等は、協議の結果に基づき、当該相談事例を踏まえ、差別解消のための取組を実施。  協議会の構成は、地域の実情等を踏まえ、各協議会において判断。また、協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理。 ※ 協議会は必ずしも条例設置である必要はない。  障害者差別解消法の施行に向けて 法の施行日  平成28年4月1日    ※ 基本方針、対応要領&対応指針については、経過規定に基づき、施行日前に策定可能。 今後の取組予定(内閣府の取組を中心に) 1.基本方針、対応要領&対応指針関係  関係団体のヒアリング等を行いながら、また、障害者政策委員会における議論を踏まえつつ、政府において基本方針の検討を実施。基本方針策定後においては、各行政機関等及び各主務大臣において、関係団体ヒアリング等を行いながら、対応要領&対応指針の検討を実施。 2.普及・啓発活動関係  本年度内に、全国10か所程度において、一般国民に対し、法の趣旨・目的の解説等を行う地域フォーラムの開催等を予定。来年度以降も、適宜、普及・啓発活動を実施予定。 3.障害者差別解消支援地域協議会関係   協議会の在り方や国による支援の在り方の検討等を行うため、平成26年度概算要求において、関連経費を要求。 4.その他 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案に対する附帯決議 衆議院内閣委員会(平成25年5月29日) 一 本法が、これまで我が国が取り組んできた国連障害者権利条約の締結に向けた国内法整備の一環として制定されることを踏まえ、同条約の早期締結に向け、早急に必要な手続を進めること。 二 基本方針、対応要領及び対応指針は障害者基本法に定められた分野別の障害者施策の基本的事項を踏まえて作成すること。また、対応要領や対応指針が基本方針に即して作成されることに鑑み、基本方針をできる限り早期に作成するよう努めること。 三 対応要領や対応指針においては、不当な差別的取扱いの具体的事例、合理的配慮の好事例や合理的配慮を行う上での視点等を示すこととし、基本方針においてこれらの基となる基本的な考え方等を示すこと。また、法施行後の障害者差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ、不当な差別的取扱いや合理的配慮に関する対応要領や対応指針の内容の充実を図ること。 四 合理的配慮に関する過重な負担の判断においては、事業者の事業規模、事業規模から見た負担の程度、事業者の財政状況、業務遂行に及ぼす影響等を総合的に考慮することとし、中小零細企業への影響に配慮すること。また、意思の表明について、障害者本人が自ら意思を表明することが困難な場合にはその家族等が本人を補佐して行うことも可能であることを周知すること。 五 国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと。 六 障害を理由とする差別に関する相談について「制度の谷間」や「たらい回し」が生じない体制を構築するため、障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等を公表するなど、その設置を促進するための方策を講じるとともに、相談・紛争解決制度の活用・充実及び本法に規定される報告徴収等の権限の活用等を図ることにより、実効性の確保に努めること。 七 附則第七条に規定する検討に資するため、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を図ること。また、同条の検討に際しては、民間事業者における合理的配慮の義務付けの在り方、実効性の確保の仕組み、救済の仕組み等について留意すること。本法の施行後、特に必要性が生じた場合には、施行後三年を待つことなく、本法の施行状況について検討を行い、できるだけ早期に見直しを検討すること。 八 本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知すること。 参議院内閣委員会(平成25年6月18日) 一 本法が、これまで我が国が取り組んできた国連障害者権利条約の締結に向けた国内法整備の一環として制定されることを踏まえ、同条約の早期締結に向け、早急に必要な手続を進めること。また、同条約の趣旨に沿うよう、障害女性や障害児に対する複合的な差別の現状を認識し、障害女性や障害児の人権の擁護を図ること。 二 基本方針、対応要領及び対応指針は、国連障害者権利条約で定めた差別の定義等に基づくとともに、障害者基本法に定められた分野別の障害者施策の基本的事項を踏まえて作成すること。また、対応要領や対応指針が基本方針に即して作成されることに鑑み基本方針をできる限り早期に作成するよう努めること。 三 対応要領や対応指針においては、不当な差別的取扱いの具体的事例、合理的配慮の好事例や合理的配慮を行う上での視点等を示すこととし、基本方針においてこれらの基となる基本的な考え方等を示すこと。また、法施行後の障害者差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ、不当な差別的取扱いや合理的配慮に関する対応要領や対応指針の内容の充実を図ること。 四 合理的配慮に関する過重な負担の判断においては、その水準が本法の趣旨を不当にゆがめることのない合理的な範囲で設定されるべきであることを念頭に、事業者の事業規模、事業規模から見た負担の程度、事業者の財政状況、業務遂行に及ぼす影響等を総合的に考慮することとし、中小零細企業への影響に配慮すること。また、意思の表明について、障害者本人が自ら意思を表明することが困難な場合にはその家族等が本人を補佐して行うことも可能であることを周知すること。 五 本法の規定に基づき、主務大臣が事業者に対して行った助言、指導及び勧告については、取りまとめて毎年国会に報告すること。 六 国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと。 七 本法の規定に基づいて行う啓発活動については、障害者への支援を行っている団体等とも連携を図り、効果的に行うこと。 八 障害を理由とする差別に関する相談について「制度の谷間」や「たらい回し」が生じない体制を構築するため、障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等を公表するなど、財政措置も含め、その設置を促進するための方策を講じるとともに、相談・紛争解決制度の活用・充実を図ること。また、国の出先機関等が地域協議会に積極的に参加するとともに、本法に規定される報告徴収等の権限の活用等を図ることにより、実効性の確保に努めること。 九 附則第七条に規定する検討に資するため、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を図ること。また、同条の検討に際しては、民間事業者における合理的配慮の義務付けの在り方、実効性の確保の仕組み、救済の仕組み等について留意すること。本法の施行後、特に必要性が生じた場合には、施行後三年を待つことなく、本法の施行状況について検討を行い、できるだけ早期に見直しを検討すること。 十 本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知すること。 十一 本法施行後、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ「不当な、差別的取扱い」や「合理的配慮の不提供」の定義を検討すること。 十二 本法第十六条に基づく国の「障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供」に関する措置のうち、特に内閣府においては、障害者差別解消支援地域協議会と連携するなどして、差別に関する個別事案を収集し、国民に公開し、有効に活用すること。