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障害者施策 サイトマップ
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(3)障害についての基礎知識

身体障害者


1 身体障害者の状況
 厚生労働省が実施した平成13年の身体障害者実態調査によれば、身体障害者数(年齢18歳以上)は、約324万5千人です。  身体障害者の数は年々増加しており、前回(平成8年)調査の293万3千人に比べ約10.6%増加しました。
 また、これらを障害の種類別にみると、肢体不自由者が174万9千人(全体の53.9%)と最も多く、次いで内部障害者が84万9千人(全体の26.2%)、聴覚言語障害者が34万6千人(全体の10.7%)、視覚障害者が30万1千人(全体の9.3%)となっています。

2 身体障害者の雇用状況
 厚生労働省が実施した平成15年の雇用実態調査によると、5人以上の常用労働者を雇用している民間の事業所に常用で雇用されている身体障害者数は全国で36万9千人と推定され、これを平成10年の雇用実態調査と比較すると6.8%の減少(平成10年:39万6千人)となっています。
 これらを障害の種類別にみると、肢体不自由者が18万1千人(全体の49.1%)と最も多く、次いで内部障害者が7万4千人(全体の20.1%)、聴覚言語障害者が5万9千人(全体の16.0%)、視覚障害者が1万7千人(4.6%)となっています。

3 身体障害者の仕事の例
 身体障害者は、障害の種類、程度によって制限される体の部位や範囲が異なるため、実際に雇用されている状態は多様です。

(1) 肢体不自由者
 肢体不自由には、上肢(腕や手指、肘関節など)、下肢(股関節、膝関節など)の障害、体幹障害(座位、立位などの姿勢の保持が難しいこと)、脳病変による運動機能障害(脳性まひ)などがあり、それらのいくつかを複合している場合もあります。
 障害の原因は、先天的なものや出生後の事故や病気によるものなど様々です。障害の原因は、脊髄損傷、脳血管障害、事故による切断・骨折や脳性まひなどです。障害の原因・部位・程度により様々な障害がありますが、例えば、公共交通機関の利用が困難な場合には、自動車通勤など通勤面の配慮を行ったり、職場内の段差の解消やスロープ、手すりの設置など、個人の状況に応じて、できる範囲で物理的な配慮を行うことが大切です。

a.下肢機能障害者(車いす使用者など)
 下肢機能障害者は、総じて移動に制約があるため、座位による机上での作業を基本とする職務であれば制限を受けず行うことが可能です。そのため、パソコンを使用する事務、製版、情報処理、機械製図(CAD)等のオフィス内のデスクワークのほか、製造現場でも座位による机上作業に従事している例が多くみられます。

b.上肢機能障害者
 上肢機能障害者は、手指・手腕の動作に制約を受けているため、作業上の影響は少なくありませんが、例えば製造現場などでも、機械操作や目視検査等の判断を主とする作業に従事している例もあります。
 また、音声入力ソフトや足で入力が可能なキーボード等を配備することにより、パソコンを使用した作業に従事している例もあります。

(2) 内部障害者
 内部障害は次のa〜fの6種類の機能障害があります。内部障害者の中には、社会に出てから障害者となった中途障害者も多く見られます。
 内部障害者は、疲れやすい傾向がある一方で、外見では障害を有しているということが分かりづらいため、周囲の理解が得られにくいという特徴があります。周囲へ配慮ある説明を行い、理解を得ることと、定期的な通院や治療の機会の保障や勤務時間への配慮など、無理のない勤務態勢を整えてあげることが重要です。

a.心臓機能障害
 不整脈、狭心症、心筋症等のために心臓機能が低下し、日常生活活動が制限される障害です。ペースメーカー等人工臓器を使用している場合もあります。

b.呼吸器機能障害
 慢性肺気腫、慢性気管支炎等の慢性閉鎖性肺疾患や慢性呼吸不全等により呼吸機能が低下し、日常生活活動が制限される障害です。酸素ボンベを携帯したり、人工呼吸器(ベンチレーター)を使用している場合もあります。

c.腎臓機能障害
 腎機能が低下し、日常生活活動が制限される障害です。機能低下が進み、腎機能が10%以下になると人工透析が必要となり、定期的な人工透析のほか、食事制限などを受けることもあります。

d.膀胱・直腸機能障害
 膀胱疾患や腸管の通過障害等で、日常生活活動が制限される障害です。腹壁に新たな排泄口(ストマ)を造設している場合があります。

e.小腸機能障害
 何らかの原因で小腸を切除したために、経口による栄養摂取だけでは栄養維持が困難なことにより、日常生活活動が制限される障害です。定期的に静脈から輸液の補給を受ける必要があります。

f.HIV免疫機能障害
 ヒト免疫不全ウイルスによって免疫機能が低下し、日常生活活動が制限される障害です。
 このように障害の種類、また、その程度も様々で、一概に適する又は適さない職種について述べることはできません。ただし、定期的な通院が必要であるとか体力的に長時間の勤務が困難であるとかの制限がある場合が多いので、結果的に体力の消耗が比較的少ない事務などの座位の机上作業についている例が多くみられます。

(3) 聴覚言語障害者
 聴覚障害は、ほとんど聞こえない場合と、聞こえにくい難聴の場合があります。
 いずれも音声会話によるコミュニケーションが困難であり、手話や筆談などによりコミュニケーションを行うことがありますが、できる人とできない人がいます。障害者の状況に応じて、例えば会議などでは、手話や筆談、電子メールなどで内容を伝えるなど、情報保障の配慮を行うことが必要です。
 進行管理や危険を音で知らせるものを光で知らせるように変更したり、電話応対への配慮、会議等の発言・会話を手話通訳や音声表示ソフトを活用して内容を伝える配慮をすることにより、職務上必要な音声情報を視覚的に伝えることができます。最近では、電話の代わりに電子メールで情報や意思交換を行うことができるため、これまで電話等が必要と考えられていた事務についても、聴覚障害者が従事する例が増えています。
 働く意欲を持って職場に定着し、職務経験や知識を深めていくためには、日常の職場情報を的確に把握するための会議への出席が不可欠で最も重要です。経過を省略して会議の結果だけを伝えるようなことがないようにしてください。
 また、日常の職場で「1対1」の会話ができたとしても、「1対2」、「1対3」と複数の人との会話になると、コミュニケーションは著しく困難になるので、通訳を配置すること等が必要です。

(4) 視覚障害者
 視覚障害は、全盲、弱視、視野狭窄(見える範囲が限定されている。)などがあります。
 就労を希望する視覚障害者は、身支度や食事、公共交通機関を利用しての通勤などは自分でできることが多いため、要望がなければ特に介助の必要はありません。あとは、職場内で視覚障害者が安心して歩けるように、通路には物を置かないなど、職場内の配置の配慮を行い、働きやすい環境を整備することが大切です。
 また、文字情報を得にくいので、拡大読書器やパソコンの音声化ソフトなどの就労支援機器の活用のほかに、適宜声をかけて情報を提供するなど、ちょっとした配慮を行うことも有効です。
 視覚障害者は、古くからあんまマッサージ師、鍼師、灸師の三療資格を取って職業としている例が多くみられます。また、当該資格を有する者が、ヘルスキーパー(企業内理療師)や福祉施設における機能訓練指導員として雇用されている例もみられます。
 このほか、拡大読書器や音声読み上げソフトなどの支援機器・ソフトを活用することにより、事務的職種での雇用事例もみられます。
 視覚障害者の多くは、疾病や事故等を原因とする中途障害者です。在職中に受障した場合に、上記の支援機器などの操作技能を習得し、復職を果たした例もあります。



知的障害者

1 知的障害者の状況
 厚生労働省が実施した平成12年の知的障害児(者)基礎調査によれば、知的障害者数(年齢18歳以上)は約45万9千人です。

2 知的障害者の雇用状況
 厚生労働省が実施した平成15年の雇用実態調査によると、5人以上の常用労働者を雇用している民間の事業所に常用で雇用されている知的障害者数は全国で11万4千人と推定され、これを平成10年の雇用実態調査と比較すると62.9%の増加(平成10年:6万9千人)となっています。

3 知的障害者の仕事の例
 知的障害者は、知的な発達に遅れがあるため、読み書きや計算は苦手です。ただし、作業工程を単純化したり、手順や見本を示して繰り返し練習することにより、定型単純な手腕・手指・身体作業なら広く対応ができます。
 そのため、以前は中小零細企業の製造現場等で働いている例が多く見られましたが、最近では大手企業でも知的障害者を積極的に雇用するようになってきました。仕事の種類としても、オフィス内で清掃、資源ゴミの回収・分別、郵便物の回収・仕分け・配達(メールサービス)、名刺の印刷、書類のコピーやシュレッダーかけ、パソコンを使ったデータ入力等、多彩な業務に従事しています。
 最近では、養護学校でもパソコンを教えるようになってきていますが、数字はもとより、漢字が読めなくても漢字の形でデータ入力することができるため、今後はパソコンを使った事務部門の仕事が新たな職域として期待されています。



精神障害者

1 精神障害者の状況
 厚生労働省が実施した平成14年の患者調査によれば、精神障害者数(年齢18歳以上)は約258万人と推計されています。
 精神障害者の精神疾患の種類別構成割合は、「精神分裂病、分裂病型障害及び妄想性障害」が最も多く73.4万人(全体の28.4%)を占めています。次いで「気分(感情)障害(躁うつ病を含む)」が71.1万人(全体の27.5%)、「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」が50万人(全体の19.3%)、「てんかん」が25.8万人(10.0%)の順となっています。

2 精神障害者の雇用状況
 厚生労働省が実施した平成15年の雇用実態調査によると、5人以上の常用労働者を雇用している民間の事業所に常用で雇用されている精神障害者数は全国で1万3千人と推計されています。

3 精神障害者の仕事の例
 精神障害者は、精神的にプレッシャーを受けるような職務内容が苦手な傾向にあります。そのため、職務内容や人間関係などに配慮し、ストレスのない職場環境を整備することが大切です。
 また、一般に精神的な面だけではなく、身体的にも疲れやすい傾向があることから、結果的に、フルタイムよりも短時間の軽作業を希望する場合が多いようです。
 そのため、雇用形態は短時間のパートやアルバイトが多く、スーパーのバックヤード、商品出し、メンテナンス(清掃)などの短時間の求人が多い職種に従事している事例が多くみられます。
 また、いわゆるホワイトカラー層でも、在職中に重いうつ病となり、長期休業に至る例が少なくありません。適切な復職支援を受け、職務の負荷を軽減する等により、事務部門に復職している例もあります。

(参考)
 民間事業所における障害者の実態を把握するため、従業員規模5人以上の民営の事業所を対象として「平成15年度障害者雇用実態調査(平成16年10月19日厚生労働省発表)」が実施されました。その結果の一部として、「雇用している労働者への配慮事項」について紹介します。実際に行われている障害別(身体障害・知的障害・精神障害)の配慮事項ですので、参考にしてみてください。


図21「現在配慮している事項」(複数回答)

図21「現在配慮している事項」(複数回答)