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出会い、ふれあい、心の輪 心の輪を広げる体験作文・障害者週間のポスター作品集
〜平成23年度入賞作品〜

【高校・一般市民部門】 ◆最優秀賞

生きる力

旅 誠一朗
(富山県・富山県立高岡商業高等学校2年)

私が三歳の時、三歳児検診で低身長の疑いがあると言われて、県立中央病院で検査を受けることになりました。検査結果は予想もしなかった進行性筋ジストロフィー症という筋肉が萎縮してゆく現代の医学では治療法がない難病に指定されている病気でした。病気で定期的にリハビリ運動が始まりました。小学校就学先を決める時期になり、両親は普通小学校へ入学させたいがどうしようか悩んでいる時、理学療法士の先生が、「地域の小学校は、養護学校のように彼に必要な支援は受けられないと思います。両親の負担も増え、彼も努力しなければいけないと思いますが、彼が望んでいるのだったら地域の子供達と共に学び生活していくことも生きる道だと思います。」
両親は、地域の中で育てて、苦労も家族で乗り越えていこうと地域の大島小学校に決めたそうです。病気に負けず強く生きてほしいという思いからでした。
小学四年生から歩くことが難しくなり、車椅子での学校生活が始まりましたが、先生や友達、両親、地域の方々に支えられて、体が不自由になっても惨めになったり自分を不幸だと思ったことはありませんでした。六年生伝統行事になっている立山登山は、PTAのお父さん達が彼も一緒に六年生全員で登ろうと「誠一朗君を立山へ連れて行き隊」サポート隊が結成されて、立山登山を実現することができました。悪天候の中、交替で背負われながら、人の心の温かさに触れて感謝の気持ちと生きていく力をもらいました。
車椅子のハンディがあるため避けては通れない就学相談、地域の中学校入学を希望しましたが、市の教育委員会から難しいと言われ両親と中学校の校長先生に相談しました。「旅君が、この大門中学校でどうしても学びたいんだという熱い想いを伝えて下さい。私達も協力します。信念をしっかり持っていれば必ず叶います。今を乗り越えないと次に続く道はありません。自分の生きる道は自分にしか築けないのですよ。」校長先生の励ましの言葉で、私達家族は前に進むことができました。しかし現実はとても厳しく、教育委員会からは「車椅子だから」という理由で全く進展はなく、不安は募るばかりでした。立山登山でお世話になったPTAのお父さん達が立ち上がってくれました。「地域の子供は、地域で育てる。障害がある子もない子も一緒に学ぶことは生きるために大切な権利である。」と署名活動から人の輪が広がり地域の人達が動いてくれました。皆さんのお陰で中学校入学が決定し、中学校にはエレベーターが設置されることになりました。「ここで生きていいんだよ。」と受け入れてもらえたような気持ちでした。
入学して校長先生から、「旅君が入学してきてくれて、本当にうれしいよ。旅君にとっても他の生徒にとってもいいチャンスになると思う。助け合っていくには自分に何ができるのか、よりよい学校生活を送るためにはどうしたらいいだろうとみんなで考えていってほしいと思っています。」校長先生はいつも私を応援してくれていました。中学二年の時に、校長先生は定年退職され、短い一年間でしたが先生から「生きる力」を学びました。「生きて正しく」人は正々堂々と胸を張って生きていく態度を身に付けることで、より良く生きようとする心、それがやがて「真のしあわせ」をもたらすでしょう。今でもこの言葉は忘れません。高校受験も迷わず高等学校を選択して、考え直してみたらという声がありましたが、親の応援もありチャレンジすることに決めました。「信じてよかった」「挑戦してよかった」と思っています。恩師校長先生に高校合格を報告に行った時も、「素晴らしいことですよ。人は挑戦することによって成長します。どんなことに挑戦するにしても、自分との戦いを抜きにしては、決して実を結ぶことはありません。旅君の何事にもあきらめないで生きている姿を見て勇気をもらっている人もいるはずです。これからも挑戦していって下さい。」
私は、周りの人からいつも「生きる力」をもらって生きてきたように思います。
三年前、近所に私と同じ病気のY君が引っ越してきました。今は小学校三年生車椅子での学校生活を送っています。学校で作ったY君の紙芝居を保育園で発表したら好評で、今度は老人施設などで紙芝居をしたいと考えています。Y君にも紙芝居をきっかけにして、いろんなことに挑戦していってほしいと願っています。
自分が少しでも他の人に生きる力を与えられるように生きていきたいと思います。

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