【中学生部門】 ◆佳作 橋村 まこ(はしむら まこ)

姉が教えてくれたこと橋村 まこ(益城町立木山中学校1年 熊本県)

『-障害のある人とない人との心のふれあい体験を広げよう-』はこの作文のテーマですが、私はまず『心のふれあい体験』という部分に疑問を持ちました。障害者の方は動物園にいるふれあい動物ではないのです。その部分から変えていかないと、本当の「共生社会」は実現しません。

私には障害を持つ姉がいます。しゃべることも、歩くこともできないけれど、姉のことをわかろうとすれば会話をすることができます。目や、足の動きで返事をしてくれます。そんな風に理解しようとすることがとても大事だと思います。姉とは小さい時から一緒にいるので、障害のある人とない人が「共に生きていく」ことはそれほど難しいことだとは思いません。でもそれがなかなか実現しないのは、設備などの問題もあると思うけれど、やっぱり心のどこかで「障害者だから」という気持ちがあるからかなと思います。私もときどき「もし姉が障害を持っていなかったら」と考えます。でもそう思っても、私には今の姉しか考えられなくて、姉がいてくれてよかったなと思います。姉が障害を持っていることで、苦労したことも、がまんしたことも多いけれど、姉が障害を持っていなかったら、地域のつながりの大切さや、あたたかさにもきっと気づけなかったし、ふだんの暮らしの中で、こんなに障害を持っている方を気にかけることもなかったと思います。

母は、障害を持っている子どもの母親たちと一緒に、障害を持つ子のための放課後等デイサービスを始めました。そこに来ている子どもたちは、みんな元気で個性が強いです。仲良く遊べる子もいるけど、なかなか素直になれない子もいるので、けんかになることもあって、でも最後には仲なおりしています。そういうところをみると、なんでこの子達が障害を持っているというだけでふつう学校に行けなかったり、苦しんだりしなければいけないのかな、と思います。私の姉は小、中学校とも地域の学校に行けたけれど、当たり前のようでそれは簡単なことではありません。姉が地域の学校に行けたのは、いい先生と子供達に出会えたからです。姉は友達といるのがとっても好きで、友達に命を救ってもらったこともあります。そんなふうに、共に学び、共に育つことはその人の人生を大きく変えます。言い方は悪いかもしれないけれど、障害を持っている人はただ「障害」というものを持っているだけなのです。そんな人達を傷つけているのは「障害者だから」とか「かわいそう」とか思っている周りにいる私達です。そんなことを思う前に、その人のことを「障害」というフィルターをかけずにみて、友達になって、寄りそって、一緒に生きていけばいいです。まだ本当の意味での「共生社会」は遠いかもしれないけれど、一人一人が思いを変えていけば、きっと共に生きていける社会になります。