【小学生部門】 ◆佳作 宮下 月希(みやした るい)

私にくれた心の贈り物宮下 月希(長岡市立青葉台小学校5年 新潟県)

一瞬にして私の身体に鳥肌としょうげきが走った。それは、今から二年前の出来事だった。あるコンクールの表彰式、受賞した上位の人達は、詩を読むという発表があった。リハーサルの前に、待合室へ入ると、そこには私より早く来た高校生のお姉さんがいた。高校生と言えど、とても小柄で車イスに乗っていたので、さらに小さく見えて、私よりもとても小さく見えた。初めはわからず何才の人なのだろう…そう思う位、小さな身体のお姉さん。お姉さんの存在が気になりつつも、私は、詩を読まなければならない、きん張に、心ぞうが、ばく発寸前だった。しばらくしてリハーサルに呼ばれ、私は、お姉さんの一つ前の発表だった。たくさんの人前で、発表することが、初めての私は、身体が固まっていた。リハーサルで言われていた言葉も、きん張からうわの空の私。ガチガチの石のようだった。そんな私を心配して声をかけてくれたのだろう。お姉さんが、私のそばに車イスを押して来てくれ、当時二年生の私に、
「すごいね。まだ二年生なのに、こんな、すてきな詩を書けて。想いのこもった詩、元気にがんばって読んでね。」
と言って私の肩をポンと押してくれました。そのおかげで、一気にきん張がとけた私は、詩を読むことが、出来ました。

次は、お姉さん。お姉さんの声は、会場中の人をとりこにするような声ゆうさんのような声で、第一声の声で、私は、身体中の鳥肌が一瞬にして立った。詩一つ一つに込められたお姉さんの想いが、自信にあふれていた。

私には、障害があるけれど、大きな木のように、何があっても、堂々と立ち生きている木のように、自分も堂々と生きたい。木のように強く、体の何かが欠けていても自分らしく生きること、大事なのは、どう立っているかだということ。そういう木のように自分も生きたいという詩だった。私はお姉さんの前向きな生き方を心からすごいと思った。

障害を持った事をにくんだり、悲しむのではなく木を自分の生き方の手本として生きていきたいと読んだ詩。自信にあふれた声が、二年の月日が経っても忘れられない記憶だ。私には、障害がない。けれど自信を持ち生きているとは言えない。でも、お姉さんは車イスで不便なのに、自信を持って生きている。だから私も自信を持つ生き方をしなければと心から思った。

お姉さんの発表が終わり、私は感動を言葉にして伝えた。その時、
「欠けているものがあっても、なげいたり、否定をやめて、受け入れることが出来たら、人はもっと強くなれるし、木にたとえたら、太く高く育つことが出来るはず。自分は、木のように強く生きて、障害があるからこそわかる素晴らしいこともあるから、私は明るくいられるんだよ。だからあなたも、つらいことがあっても、にくんだり、悲しまないで、それが自分の強さになり、その分強くなれるし、人にやさしくなれるから、考え方一つで強くなれるからがんばってね。」
と、お姉さんに、逆にはげましてもらった。

この日から、お姉さんの手本が木のように私のお手本は、お姉さんになり、お姉さんのような強い心、思いやりの心をもつようになった。

障害のある人には思いやりを持ち接すると思っているけれど、私にはお姉さんからの思いやりの心をこの式でいただいた。いつかまた会えることが出来たら心から、ありがとうと伝えたいです。

私の頭の中に二年経った今でも、お姉さんの声、そして、お姉さんが会場を一瞬にしてとりこにした、お姉さんの第一声
「一本の木を頭に思い浮べてほしい」
そう言ったお姉さんの声と想いが忘れられない。お姉さんは私のお手本、先生です。