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障がい者制度改革推進会議 差別禁止部会(第11回)
議事録

○棟居部会長 定刻になりましたので、これより、第11回障がい者制度改革推進会議差別禁止部会を開催させていただきます。
差別禁止部会は、一般傍聴者の方にも公開いたします。
また、会議の模様はインターネットを通じても幅広く情報提供いたします。
なお、御発言に際してのお願いとして、発言を求めるときは、まず挙手いただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくり御発言いただくよう、お願いします。
本日の会議は18時までを予定しております。
それでは、東室長から、委員、オブザーバー、及び専門協力員の出席状況と資料説明をお願いします。
○東室長 どうもこんにちは。担当室の東です。
それでは、本日の出席状況ですが、本日は山崎委員、遠藤オブザーバーが御欠席でございます。その他の委員、オブザーバー、専門協力委員は御出席です。
本日の議事は、公共的施設及び交通施設の利用における差別禁止についてということであります。15分の休憩を2回取ることとして、3つのコーナーで議論していきます。
第1のコーナーは65分ほどを予定しております。
ここでは、2つのことを議論したいと思っていますが、まずは、差別禁止規定とバリアフリー化基準との関係についてであります。
次に、差別禁止規定を考える場合の対象となる施設の範囲に関して議論をいたします。
続きまして、第2コーナーですが、ここでは70分ほどを予定しておりまして、この分野において、まずは、どのような行為が差別となるのかという点、次に、どのような場合に例外として正当化されるのかといった点についてであります。
第3コーナーは、この分野における合理的配慮として考慮すべき点、特筆すべき点があればということで議論をお願いしたいと思っています。
最後に、同じコーナーで、差別禁止部会における今後の課題ということで、各論的な分野をどうするかといったことについて御議論いただきたいと思っております。
以上が、今日の予定でありますが、次に、資料の確認をしたいと思います。
議事次第を見ていただければ、一応、資料番号と表題が書いてありますが、大きく分けると資料は2つございます。
資料1がバリアフリー法関係の資料でございます。資料の2が、差別禁止部会における今後の課題といったことについて書いたものです。
加えまして、委員の皆様から提出された資料がございます。1つが、池原委員、大谷委員、竹下委員、3名の方が出されたものです。
次に、太田委員、川内委員、永野専門協力委員が、それぞれ提出されておられます。
これに加えまして、当日配付資料として、引馬委員から「EUの公的施設及び公共交通機関の利用における差別禁止について」と題するものと、川島委員の方から、「第11回部会時点での私見と試案」という一枚物がございます。
続きまして、参考資料が7つほど挙がっております。
参考資料の1が、関係条例・法令の抜粋等でございます。
参考資料の2が「こころのバリアフリー」ガイドブック、参考資料の3が「知的障害、発達障害、精神障害のある方とコミュニケーションハンドブック」というものであります。
参考資料の4が「BEST交通事業者向けバリアフリー教育訓練プログラム」と題したものでございます。
参考資料の5が「障害者に対する障害を理由とする差別事例等の調査」ということで、抜粋が挙がっております。
参考資料の6が「バリアフリーの紛争事例」ということで、国土交通省調べという形で挙がっております。
参考資料の7が、会計検査院の報告の抜粋でありますが、バリアフリー関係の部分があります。
以上が、資料でございます。
以上、お手元に資料がございますでしょうか。御確認をください。
本日は、主に資料1、2、参考資料1を使いますので、御用意いただきたいと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。
第1のコーナーは65分です。更に、それを今、お話がありましたように、前半と後半の2つに分けて進行いたします。前半の30分は、差別禁止規定とバリアフリー化基準との関係について、東室長から10分程度で説明をしていただいた後、20分程度で質疑、及び議論をします。資料1を御用意ください。
では、お願いします。
○東室長 担当室の東です。
公共交通とか建物に関しましては、御存じのように、日本では既にバリアフリー法として既存の法律があります。このバリアフリー法の部分と差別禁止でいえば合理的配慮の部分が一定の関係性を持っていると思っております。
そこで、差別禁止全体に係る問題ではありませんが、特に合理的配慮との関係で、最初に差別禁止法とバリアフリー法の関係について議論をいただきたいと思いまして、事前に私の方から説明をさせていただきます。
まず、資料の1をお開けください。
まず、1ページであります。「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」、いわゆるバリアフリー新法についての資料があります。
公共的施設や交通施設の利用分野では、バリアフリー施策を推進するために、御存じのように、従前のハートビル法と交通バリアフリー法を発展的に統合した新しいバリアフリー法が平成18年6月に制定されて、12月から施行されております。
このバリアフリー法では、交通施設や特定の道路、建築物などの新設や大規模改良等を行う場合に、その施設の所有者、管理者等に対して、移動等円滑化基準への適合が義務付けられているほか、既存の施設については基準適合への努力義務が課せられております。
また、国土交通省を中心に、国では啓発活動などを通じて、国民の高齢者、障害者等に対する理解や協力、バリアフリー化の促進に関する理解を深める心のバリアフリー、そういったものを実施しているとのことであります。
バリアフリー法の詳細を説明する前に、バリアフリー法とこの分野の差別禁止規定との関係について、簡単に申し上げたいと思っております。
バリアフリー法は、行政施策によって一般的にバリアフリー環境を底上げするというものであります。バリアフリー環境を底上げするということは、他の者との平等な機会を確保するという点で、1つの合理的配慮を提供しているといったことになるのではないかと思っております。
ただ、本来的には合理的配慮は個々の状況に応じて提供されるものという理解に立てば、バリアフリー環境の底上げは一定分野を限定して一律に提供されるものですので、その意味では最大公約数的に類型化された合理的配慮を提供しているといった言い方ができるのではないかと思っています。
このように、この分野におけるアクセスの確保といった面では、両者とも一定の共通の目的は持っておりますけれども、バリアフリー法は国と事業者の関係を規律するものであって、仮に違反があっても利用者が何か言えるといったような法的な構造にはなっておりません。
片や差別禁止法は、障害者と事業者との関係を規律するといったことが予定されているわけでして、そういった意味で法的な性格が異なっている。差別禁止法は、あくまでも権利というものを前提に、それをどう救済するかといった観点から議論されるべきものであるというふうに考えております。
したがいまして、一定の重なりはあるでしょうけれども、この違いというものを念頭に置いて混同しないように議論する必要があるのではないかと思っています。勿論、バリアフリー法に基づいた施策の推進という観点からすると、現行、バリアフリー法の問題点などもあるのかもしれませんが、この点については、国土交通省が行う施策の実施状況について、障害者政策委員会において基本計画の実施状況の監視という形で議論するということになると思います。
ですので、当差別禁止部会では、何が差別であるのかという観点と、どのような合理的配慮が提供されるべきか、そういう観点から差別禁止法をどう組み立てていくかといった辺りに議論を集中させていただきたいというふうに考えている次第であります。
それで、バリアフリー法の大枠のお話に移りたいと思います。
資料1の2ページ目を開けていただけませんでしょうか。
ここでは、表題に「ハード・ソフト双方の総合的な施策を展開するバリアフリー法」とあります。
バリアフリー法の最も大きな枠組みとしては、ハード面でのアクセスのみならず、例えば公共交通事業者に対して接遇を含む教育訓練が実施されていたり、国土交通省では公共交通機関、公共施設、商業施設の職員に向けたハンドブックを作成し、障害当事者の困難さを理解し、適切な接遇方法を紹介するなど、ソフト面でもカバーするといったものになっております。
次に、3ページをお開けください。
ここでは、バリアフリー法における対象施設の範囲や、この法律によって課される義務について整理してございます。
バリアフリー法は旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物といった5つの分野を対象施設にしております。そして、それぞれの分野に沿った移動等円滑化基準といったものが設けてございます。その上で、この基準に適合させる義務を負う対象施設と、義務ではなく努力義務といったものにとどめられる対象施設が分けられております。
そこで、まず全体的に申しますと、既存の施設は一定規模の改修の場合を除いて、移動等円滑化基準に適合させるよう努める、いわゆる努力義務というものがかぶさります。適合義務というものが課されるものは、新設する場合や一定規模の改修を行う場合であって、分野によっては更に対象施設に施設の用途や大きさなどによって限定されたものにだけ義務が課せられる、そのような構造になっているかというふうに思います。
そこで、少し対象分野ごとに個別的に説明します。
まず、旅客施設及び車両等というところの部分です。
この部分につきましては、新設もしくは一定規模の改修の場合はそのすべてが適合義務の対象になっておりますけれども、それ以外の場合は努力義務ということになります。後ほど説明しますけれども、1日当たりの利用者数によって義務か努力義務かといった線引きがなされているわけではありません。
次に、道路ですけれども、道路につきましては、生活関連施設をつなぐ道路のうちで、高齢者や障害者の通行量が多いもの、これは特定道路と呼ばれているようでありますが、この特定道路を新設または一定規模の改修がなされる場合には基準への適合が義務付けられております。努力義務については、その他のすべての道路ということになります。
3番目の路外駐車場、これは路上のパーキングなどは入りませんが、これにつきましては、有料でかつ500平方メートル以上の規模のもの、これは特定路外駐車場と呼ばれておりますけれども、これを新たに設置する場合には基準への適合が義務付けられております。しかしながら、既存の特定路外駐車場は努力義務にとどまっているということです。
3番目の都市公園につきましては、公園の出入り口と休息所や標識などの公園の施設との間をつなぐ道路、これらは特定公園施設というふうに呼ばれておりますけれども、これを新設、増設、改築する場合には、基準への適合が義務付けられておりますが、既存の特定公園施設は努力義務にとどまっております。
最後に、建築物でありますが、これにつきましては、少し複雑であります。
デパートとか病院など、多数の者が利用するものを特定建築物というふうにされていますが、この特定建築物のうち、不特定多数、または主として高齢者、障害者が利用するものは、特別特定建築物というふうにされております。そして、かつ床面積が2,000平方メートル以上の建築を行う際には適合義務が課せられるという構造です。それ以外の特別特定建築物は新築の場合も既存の場合も努力義務です。更に、単に特定建築物といわれるものにつきましては、これを建築しようとする場合は努力義務が課せられますが、既存の特定建築物については一定の修繕などをする場合以外は、努力義務を課せられていない、こういったことになります。
これが義務か努力義務かという問題と、その対象の説明です。
なお、これらの施設の新築、既存のいずれを問わず、全体について一定の期限を付してバリアフリー化の目標が設定され、その目標を実現するための予算補助や税制等の支援が行われております。例えば、鉄道旅客でいえば、利用者数1日3,000人以上のすべての施設を平成32年度までに原則バリアフリー化するといったことが目標として掲げられているところであります。
このほか、建築物の移動円滑化につきましては、誘導基準というものもございまして、それに適合する特定建築物の建築や維持保全、その計画につきましては、認定制度がありまして、これを受けると容積率の特例を受けるなどのメリットなどがございます。
以上が、大体バリアフリー法の大枠です。
今、言いましたのは、基本的には物理的な面の基準の話なのですが、中には情報に関する部分もあります。バリアフリー関係資料の4ページ目を開けていただくと、「公共交通移動等円滑化基準の概要」ということで細かいものが書いてあります。この中で、例えば鉄道駅につきましては、点状ブロックを敷設することとか、トイレの男女別の構造を音とか点字等で示すこととか、乗車券販売所や案内所に筆談用具を設けることとか、その他、車両等につきましては、鉄道車両では車両番号等を文字及び点字で表示すること、バスや福祉タクシーでは筆談用具を設けることといった規定があります。
これらも基準の中に入ってはいるのですが、本部会では、情報は情報として別のくくりで議論するというふうに考えておりますので、これらの問題は今後、議論するということで、この点につきましては、今日、議論が出るでしょうけれども、別の機会で正面から議論する予定であるといったところを念頭に置いていただければと思っております。
ちょっと長くなりましたけれども、以上がバリアフリー法の説明です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
それでは、質疑及び議論に入らせていただきます。時間は20分を予定しています。どちらからでもどうぞ。
太田委員。
○太田委員 太田修平です。
今、室長からバリアフリー法についての説明を受けましたが、交通機関等々のトラブルは枚挙にいとまがありません。
これはなぜかといえば、本来、差別禁止というものがあって、バリアフリー施策が展開されるべきなのに、そういうのがなく、バリアフリー法という単体があるわけで、だれのためのバリアフリーかということが問われているわけです。基準適合とか特定建築物の考え方も事業者の発想で行われているわけで、障害者の権利を保障する法律が利用者ではなくて事業者の発想です。できる限り障害者の権利を確保しようというのではないから、いろいろなトラブル、乗車拒否とか、入店拒否とか、スロープを付けられるのにスロープを付けないお店があるというふうに考えます。まず、差別禁止というところを中心に据えて、バリアフリー法がその考え方のもとにつくられていくということが重要で、そのときに合理的配慮という概念が生き生きとしたものになるだろうと、つまり合理的配慮というのが、究極的には一人ひとりへの対応ということになりますが、まずは、差別をしてはいけない。だから、一定程度の設備をつくって、設備ではどうしようもないものについては知恵を出し、差別をしないという考え方がバリアフリーに求められているのだろうと思います。
それが、アメリカにおけるADAにおいてもそういう考え方は中核をなしていると思います。まず、バリアフリー法の施策の状況を議論することも大切ですが、それは差別禁止法の制定によって、改めて編み直していく性質のものであるということを訴えておきたいと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ほか、御発言いかがでしょうか。
川内委員。
○川内委員 今、太田委員が差別をしてはいけないというふうにおっしゃっていましたが、ここで議論すべきは、何が差別かということだろうと思いますけれども、差別の定義は置いておくとして、利用者側が非常に不満に思っているのは、ほかの利用者、障害のない利用者に比べて、いろいろな予約とか何とかの手続が非常に時間がかかって、あるいは特別なやり方でないと取れないとか、あるいは駅なんかはワンルートアクセスということが言われていて、入り口が10か所あっても1か所アクセスを提供していれば合法になるというようなこと。
それから、列車なんかでも連絡なんかの関係ですごく待たされるとか、そういうふうなほかの乗客と異なる扱いを受けること。それから、介助者にばかり話をして当事者に話をしないとか、あるいは、これはあなたが乗ったら危険ですから乗せられませんというふうな抑圧的な扱いを受けてしまう。
あるいは判断能力がある人間として扱ってもらえないとか、あるいは、ホテルに宿泊したりするときに車いす対応室だと広い空間を取るというので割高料金を取られるとか、あるいは、旅行するにも介助者付きだったらば飛行機代が倍ないと乗れないとか、そういうふうな扱いを非常に不満と感じているわけで、その辺りを差別という区切りで区切っていただけるかどうかというのが1つあります。
それから、先ほどのバリアフリー法、我々はバリアフリー新法というふうに言っていますが、これについては別の話だというふうに、今、東さんから大きなくぎを刺されたわけですけれども、ここにある特別特定建築物というのが一定のもの、2,000平方メートル以上は新築・改良時に整備する義務というふうに言っていますが、学校・事務所・工場・共同住宅はこれから除かれているのです。ということは、住居に住んで、教育を受けて、事務所なり工場で働くという生活の基盤を整備する義務がこの法律では全くできていない。つまり、この法律自体が障害のある方々が社会の中で暮らして教育を受けて働くということを全く想定していない法律であるということ。
それから、問題が起きたときにどこにも持っていくすべがない。つまり、これは権利をベースとしたものではなくて、ただただ鉄とコンクリートでこういうものをつくるんだということだけを言っているので、それに対して、移動は権利だとかというふうに言うと、国交省は、それは法務省の話であって、国交省がつくっているこの法律の話ではないというふうに今まで言ってきたわけです。その辺りをどう伝えるかというところを議論していただければというふうに思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
40分までを予定しておりまして、もうそんなに時間がございませんが、御発言いかがでしょうか。あるいは、先ほどの室長の説明で少し誤解とか行き違いがあれば補足を。
○東室長 いえいえ、別に誤解ではなくて、学校、職場は多数の者が利用するところで、特定建築物には入るでしょうけれども、学校一般が特別特定建築物には入っていないんですね。入っているのは特別支援学校などは入っておりますけれども、一般の地域の学校は入っていないということなのです。
今、太田委員、川内委員が言われたことは本当にそのとおりで、だからこそ、まずは障害者個人の権利保護といった観点から議論を行うべきだと思っています。バリアフリー法はバリアフリー法として存在するわけですけれども、まず差別禁止法というものに目を向けて、権利保護という観点から立法していくといった中で、太田委員、川内委員が言われたように、現在のバリアフリー法の問題点があれば、それは政策委員会等で果たしてそれが妥当なのかといった議論をしていくことが必要なのではなかろうかというふうに思っているところです。
○棟居部会長 ほか、御発言。
どうぞ。伊藤委員、お願いします。
済みません、大変失礼しました。そちらさまの副部会長でない方の伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 初めて発言させていただきます。
余り専門的な見地からの発言はできないので、どれだけ説得力を持って発言できるか自信がないのですけれども、3ページのところで室長から御説明いただきました。今のバリアフリー法の規定では、特定道路、特定路外駐車場とか、特別特定建築物とかいう形で、規制の対象を一応限定するという枠組みになっているようですけれども、この考え方自体が、特定の施設についてのみ改修等の義務を事業者に負わせるということになると、逆に言えば、障害者の行動を特定の施設、特定のエリアでだけ保障すればいいという、行動を制約するという意味を持つのではないかと感じました。合理的配慮を担保するという意味では、今のバリアフリー法の規制対象自体が差別禁止法によって見直しの議論の対象になるのではないかと思いました。
また、現在のバリアフリー法では当事者参加の推進ということで、これは1ページの3.にございます。今のところは基本構想を市町村がつくる場合の提案を障害者等から行うことが可能であったり、障害者等のメンバーで協議会を構成する必要がありますが、但しその協議会というのは「できる」規定になっているということです。基本構想についても、先ほど申し上げた移動等円滑化基準の策定に当たってもそうですが、車両内に入ってもよい車いすとか、これは入れることはできないというようなことがあり混在しています。鉄道事業者によっても対応が一律ではなく、異なるという話があるようですから、そうした車両設計等の仕様に当たっても当事者参加が必要になってくるのではないかと感じました。それが差別禁止法に関係した発言としてうまく整理できませんが、感想までです。
○棟居部会長 ありがとうございました。
バリアフリー法というか、こういうハード面を中心とする整備、上からのといいますか、施策的なものと差別禁止法の関わり方、あるいは場合によってはすみ分け、これはどうとらえていくかという非常に大きな問題がここへ出ておるということかと思います。
先ほど、同時にお二人の伊藤委員がおっしゃったようですが、副部会長の方、お願いします。
○伊東副部会長 ありがとうございます。
確かにこのバリアフリー化はかなり進んできたように思います。きょうの第1コーナーのテーマである差別禁止規定とバリアフリー化基準との関係という点で申し上げますと、私は、今のバリアフリー法による改善、対応(この部分だけではないのですけれども)、現在のこのバリアフリー化対策とか、これはやはり人が介在することを前提に置いてます。例えば、旅客施設、鉄道駅にしても飛行機にしても、そこに介助者か、もしくは施設提供サイドから人が出るということを前提にした配慮、対応がされている。
差別禁止法のレベルで考えたときに、だれかそこにサポートする人が介在することを前提にして差別が解消されるという視点であってはならないと思いますので、そういう意味で、この公共交通施設だとか建築物だけの問題ではなくて、広い分野にわたって、そこに人が介在しなくても障害当事者が権利を確保できるような配慮が必要ではないか、そこのところに着目したいと思っております。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
先ほど、もう一方、お手をお挙げになったように思いましたが。
どうも失礼しました。西村委員、お願いします。
○西村委員 西村です。
基本的には、今まで発言のあった方たちとほとんど同じなんですけれども、基本的な考え方として、権利条約では、他の者との平等を基礎として障害者の生活範囲の制限や制約を改善していく、その考え方の基本がインクルーシブとアクセシビリティーということを原則にするならば、連合の伊藤委員からのお話もありましたけれども、そもそもこのバリアフリー新法の中で、法の対象となる施設が限定されている、範囲が限定をされている、あるいは、さまざまな法の対象となる範囲を限定していることは、他の者との平等と差別禁止との関係から見ると、原則としてはそうではない、さまざまな生活場面において保障されるべきであるということを1つ原則論とするべきなのかと思っています。
ただ、例外規定というのもございまして、合理的配慮、あるいは過度な負担ということから、先ほど東室長の方からのお話の中にもありましたけれども、何をしないことが差別になるのか、何をすることが必要なのかということのすみ分けを、このバリアフリー新法と差別禁止法の規定の中で検討していく方向が必要であると現段階では感じております。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
それでは、第1コーナーの後半に移らせていただきたいと思います。
後半の35分は、対象とする施設の範囲について、東室長から5分程度で説明をいただいた後、30分程度で質疑、及び議論をいたしたいと思います。
参考資料1を御用意ください。
○東室長 担当室の東です。
まず、この分野の対象範囲をどうするかということであります。
ちなみに、参考資料の1の3ページの上を見ていただくと、そこには「障害者基本法」があります。第21条で、「公共的施設のバリアフリー化」という見出しのもとに、「国及び地方公共団体は」というのが主語なのですが、対象としては「自ら設置する官公庁施設、交通施設(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。事項において同じ。)その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならない」という形で規定されております。
また、参考資料の1ページの方ですが、皆さんも御存じのことだと思いますけれども、「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の中では、「障害のある人が建物その他の施設又は公共交通機関を利用する場合において」云々というくだりがございます。
「障害のある人もない人も共に生きる熊本づくり条例」という中では、ちょっと書きぶりが違っていまして「障害者が不特定かつ多数の者の利用に供されている建物その他の施設又は公共交通機関を利用する場合において」という形で書かれております。
次のページに移りますと、「さいたま市誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」の中では、該当部分としては「不特定かつ多数の者の利用に供されている建物その他の施設又は公共交通機関を利用する場合において」というような形で範囲が書かれております。これらは一つの参考にはなろうかと思うのです。ですので、先ほど川内委員がおっしゃられた視点なども踏まえて御議論いただければと思っています。
特に、このバリアフリーに関する、最初のハートビル法の時代の議論だったかと記憶をしておりますけれども、「不特定又は多数」にするか「不特定かつ多数」にするかというような議論があったように記憶しているのですが、そういった点も念頭に置かれて、差別禁止法における公共施設、公共交通機関といった場合の対象について議論していただければと思っています。
以上です。
○棟居部会長 それでは、質疑及び議論に入らせていただきます。
時間は30分を予定しております。どなたからでもどうぞ。
川内委員、お願いします。
○川内委員 東さんは熊本なので、ちょっとお聞きしますが、熊本の条例の「不特定かつ多数の者の利用に供されている」というのは、先ほどの話だと、学校、事務所、工場、共同住宅というのは、国の立場だと、これは不特定かつ多数ではなくて、多数の者が利用するという解釈になっていますね。ですから、「不特定かつ多数」の熊本の条例では、学校、事務所、工場、共同住宅で拒否が起きても、それはこの条例の関知するところではないということでしょうか。
○東室長 私は制定されるころはこちらにおりましたので、関与しておりません。それはちょっと私の立場では何とも分かりかねるところです。
文字面ではこういうふうに書いてあるということです。
○川内委員 引き続き川内です。
国の解釈によると、不特定かつ多数と、多数の者が利用するというのは大きな違いがあって、ここのところで、学校なんかはそこに所属する子どもの名前も何もわかっているのだから不特定ではないというような言い方をして区切ってきているわけですね。これが、実は先ほど申し上げた差別的な規定の大きな基になっているので、その辺りが、むしろ千葉県の条例の言いぶりの方がまだましかなという感じはしているのです。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
太田委員、お願いします。
○太田委員 太田です。
私の立場から申し上げれば、基本的にはすべての交通機関、すべての建物ということになります。しかし、それは遠い将来のことになるかもしれません。ですから、やはりなるべくすべてが網羅されるように、不特定と多数というのを別個に、概念として別々に入れてほしいということと、多数という言葉が若干気になりました。銀行の多い地域と銀行の少ない地域では、同じような建物あるいは機関、交通についても利用頻度が必然的に違うわけで、その地域にとっては1日1回でも、1人や2人の障害者にとっては生命線である場合もあるわけで、そのことも考慮に入れた、多数よりも不特定というところに力点を置きながら、多数というのは公共性のあるという意味なのだよと、必ずしも数字の多い少ないを言っているのではなくて、公共性のある機関、交通機関であること、そういうものが自然と確認される必要がある、こんなふうに考えます。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
東室長、お願いします。
○東室長 交通機関に関しては、公共交通機関というふうに書いてあって、特定または多数とか、特定かつ多数が利用する交通機関とは書いていないのですね、この条例などを見ると。
ですので、今、太田委員が言われたように、交通機関については、公共性があれば足りるというふうな解釈ができると思うのです。ですから、例えば無人駅であろうと、1人、2人であろうと、それは対象になるというのが、例えば熊本県でも千葉県でもその他でも、そういう前提ではないのかというふうに今、思ったのですが、むしろ建物について、すべての建物と言われた場合に問題になるのは、極論で言えば、個人が個別でつくるような住宅までも入るのか。そこまで言わなくても、集合住宅、民間のディベロッパーが作る集合住宅なども対象になるかとか、個人の住宅と言ってもバラエティーがあるので、それぞれ違う扱いが必要なのかもしれませんけれども、すべての建物と言われた場合に、そういう個別の住宅も含むというような御趣旨で御発言されたのかどうか、ちょっと教えていただければありがたいのですが。
○太田委員 それは、できればすべてのことを言いたいところではありますが、それは今の日本を見るときに結構簡単なことではないかとも思います。少なくとも、公営住宅や集合住宅はその概念をきちんと踏まえたものにすべきであろう。法の対象にすべきものはもう少し検討が必要になると思いますが、きちんと概念は押さえていただきたいと思います。私が言いたいことは、ある村にコンビニエンスストアがあると、そのコンビニエンスストアは、その村には1軒しかないという場合は、私は公共性が高いものだというふうに思います。
○棟居部会長 川内委員、お願いします。
○川内委員 今、ハードの整備と、それから差別禁止的な思想をちょっと分けて考える必要があるだろうというふうに考えています。
バリアフリー新法というのは、先ほど申し上げたようにハードの整備なのですが、非常に小規模な建物までもすべて、例えば2階建てだったらエレベーターを付けろとか、車いすで使えるトイレをつくれとかいうのはかなり無理がある。
一方で、差別禁止の観点からすると、すべての施設で障害のある方の利用を拒否してはならないということ、これは言えるだろうという気がします。エレベーターがない2階建ての建物の2階にある事業所に対して、障害のある方が利用しようとする場合には、例えばよく言われることは、2階でやっているサービスを係員が下に降りてきて対応するとか、あるいはお店に入れない場合は、お店の入り口まで係員が来て何が要りますかというふうに人的な対応をするとかというふうなやり方があるわけで、どちらにしても、個人の住宅というのはかなり微妙な難しい点があるかとは思いますが、基本的には障害のある方の利用を拒否してはならないということが言えるかどうか、すべての施設において言えるかどうかというのが差別禁止的な考え方というか重要なポイントであろうと。ですから、ハードの整備は、今、太田委員も言われたように、理想としてはありますけれども、現実問題としてかなり難しい面もあるだろうというふうに思っています。
以上です。
○棟居部会長 確認ですが、今、川内委員がおっしゃったのは、ハードの整備というのは、現にこのバリアフリー新法というかバリアフリー法でかなり行われている。しかし、それだとどうしてもすべてにというわけにいかない部分が出てくる。しかし、それはそれで差別禁止のテーマから外れるわけではなくて、そこは店員が出て行くとか、そうした個別対応という。むしろ、その部分に差別禁止法の独自性というか存在意義とかがあるというふうに理解させていただいてよろしいでしょうか。
○川内委員 私はそう思います。
現在のハードの法律も勿論、問題点は批判して、対象範囲を広げていくとか、対象面積を小さくしていくとかということは当然必要だと思いますけれども、今回、国交省マターとか、そういうのをここで議論する、こういう問題があるという指摘はできるだろうと思いますけれども、ここで問題なのは、実際にハードがどうであれ、そこで利用ができるかどうか、そこで行われているサービスを享受できるかどうかということに焦点を当てて考えるべきではないかというふうには思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
あと15分ほどです。
山本委員、お願いします。
○山本委員 山本です。
私自身、この分野は門外漢ですので、このバリアフリー法の趣旨を少しお教えいただければと思います。
趣旨といいますのは、「不特定」または「多数」という要件が課されるのはなぜなのかという点についてです。この点を考えることは差別禁止法を立法する上でも重要なところだと思いますので、確認をさせていただければと思います。
まず、「不特定」という要件が課せられる理由として、これは論点整理だけなのですけれども、私があり得ると思うのは二つの考慮です。
一つは、不特定の人が利用する可能性のある建物は、必ず障害者の方が利用する可能性がある。したがって、義務を課すことは正当化できる。しかし、特定の人が利用する建物は、障害者の方が必ず利用するとは限らないので、義務までは課すことはできない、努力義務にとどめるというのが、一つの考えられる可能性です。
もう一つの考えられる可能性は、だれに利用させるかは、建物の所有または管理をする人の自由であって、障害者の方の利用を受け入れるかどうかは強制はできない。そうすると、特定の利用が想定される建物に関しては、義務まで課すと強制を認めることになる、つまり契約の締結強制を認めることになるので、そこまでは課すことができない。だから、努力義務にとどめるというのが、もう一つの考えられる可能性です。 一体どちらなのか、あるいは別の理由によるのかということです。
もう一つの「多数」に関しては、私は一つしか思いつかなかったのですが、少数の人しか利用しないときには、義務まで課すとコストが過大になり過ぎる。そこまでの負担を建物の所有者や管理者に課すことはできない。だから、少なくともバリアフリー法では、義務を課すことはできない。それに対して、多数の場合は、コストに見合わないというような抗弁はもう認めないというのが考えられる可能性かと思いました。問題は、本当にそうなのか、あるいは別の理由によるのかということです。
それを踏まえて、東室長が言われましたように、バリアフリー法とは異なる差別禁止法では、個別の問題についての義務を問題とするのであって、このバリアフリー法の考え方のどこまでが差別禁止法と共通し、どこが違うのかという点を更に検討する必要があるということではないかと思ったのですが、前提がよくわかりませんので、お教えいただければと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
東室長、お願いします。
○東室長 その点は、私が担当しているわけではございませんので、必要であれば国交省の方に、こういう御意見がありましたけれどもということで聞いてはみますが、今のここではちょっと答える準備がありません。済みません。
○棟居部会長 先ほども、こういったハード的なバリアフリー法等について最大公約数といった位置付けは室長もされていたと思うのですけれども、すると不特定とか多数という概念が最大公約数というのとどう結びつくか。
違いますか。
少数の場合は最大公約数云々には入りませんよね。
○東室長 基準というものと対象というものは別建てなのですね。移動等円滑化基準というのがあるわけですけれども、それの基準の中身として、例えばエレベーターを付けるというのは、車いすの人であれば、やはりエレベーターがないと上下移動が困難だからエレベーターという形で配慮しましょうという、要するに車いすという、障害者の中で結構多数いる人たちに対する合理的配慮として最大公約数化したものを基準化している。しかし、その基準がどういうところに適用されるかというと、それが今の議論であって、これは関連する問題ではないというふうに思っています。
○棟居部会長 池原委員、お願いします。
○池原委員 今の、山本委員の御意見ですけれども、私も似たようなことをちょっと考えていて、これは文献上調べたわけではないので、この場で考えただけのことですけれども、不特定というファクターは、特に合理的配慮との関係でいうと、不特定というのは、山本委員がおっしゃるように、当然、不特定の人の中には障害のある人が存在する可能性があるので、もともと配慮をしておくべきであって、何らかの、本来であれば障害のある人のアクセスも保障できるような状態にしておくことが不特定な状態を待ち受けているときには必要なのだという考え方があるのではないかと思うのです。
もう一つは、多数であれば当然、人口構成割合として一定割合の障害のある人が当然存在しておかしくないわけですから、やはり多数というファクターも障害のある人が利用することを予定して準備をすべきだし、準備をしていなければ、当然、事後的に合理的配慮義務を果たして利用可能な状態にしなければいけないということになるのではないかと思うのです。
そうすると、不特定または多数というくくりがよいのではないかと思うのですけれども、そうすると、不特定と多数というファクターでマトリックスをつくると4つ場合が出てくるわけです。不特定または多数で除かれる場合はどれかというと、特定少数だけが除かれるということになるわけですけれども、特定少数の場合は、ちょっと具体的に思いつきませんけれども、もともと特定少数者、つまり障害のある人がおよそ利用する可能性がないような領域については、事前に何らかの配慮をしておくべき状況ということもないでしょうし、何か事後的に合理的配慮義務を果たさなければいけないということもないという意味で除かれるのかなというふうに、ちょっと、今、思った次第です。
○棟居部会長 山本委員と重なるという御発言でしたが、山本委員はいかがですか。
余り細かい論争とかは、ちょっと時間の関係で無理ですけれども、お願いします。
川島委員、お手をお挙げになりましたか。
○川島委員 川島です。
まず、バリアフリー新法のほうは、ハードの整備を中心とする社会政策立法といいますか、障害者集団というのを対象として、それで事前にアクセスを整備する。それに対して、差別禁止というのは、個別的、事後的に問題が発生して、当事者が要求をして、それに対して相手側が何らかの調整をして、それで平等な機会を図る。つまり、性格がちょっと違うわけなのです。これは東室長がおっしゃっていたとおりなのですけれども、対象のところなのですけれども、基本的には2点ぐらい指摘するところがあると思いまして、まず、役務を提供する主体一般は、やはり合理的配慮を提供すべきだと。サービスを提供する主体、また教育機関などに障害者が合理的配慮を要求することは、これは差別禁止法の範囲に当然入ってくると思います。
それと、もう一つ指摘したいのは、合理的配慮といったときにどこまでその射程が入ってくるかです。そこら辺の議論が今までなかったのですけれども、これは、イギリスの方では合理的配慮といったら大まかに3つのファクターが入ってくる。1つは規定、基準、慣行といった、表面上は中立的なルール、物事の決め方とか、そういったものの変更を求める。2つ目が、これは社会の側の物理的な障壁というものを除去する。3つ目は、障害者個人のために補助手段を提供する、この3つが合理的配慮義務の内容だと言われているわけです。そのように合理的配慮義務の大まかな概念を特定しますと、当然、サービスプロバイダーとか教育機関とか使用者とか、あとは団体(結社)とか、さまざまな対象(相手側)に対して、これらの合理的配慮義務を障害者個人が個別具体の場面で要求して、それに対して相手側が過重な負担のない範囲で、過重な負担というのは財政的な負担も入りますけれども、そのサービスや教育の本質を変えるようなものも過重な負担に入ってきますから、そういったものがない範囲で、相手側は合理的配慮を柔軟に提供しなければならない。その提供の際に障害当事者と相手側との話し合いの中で、内容が柔軟に決まっていくというようなものが合理的配慮だと思っております。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
室長は補足ということですか。お願いします。
○東室長 ちょっと確認ですけれども、サービス提供はサービス提供として1つの各論になると思うのです。ですので、物理的な施設、家、建築物の利用と、サービス提供が重なるものなのかどうなのか。例えば、公園などをオープンにしていれば、それは使わせるという役務提供があるというふうに考えればそうですけれども、通常は、ただオープンにしてあるだけの話なのです。だから、御趣旨はよくわかりますが、文字面としてどう書くかというときに、役務提供をしているところみたいな形で書けるのかどうか、そこら辺は、何かお考えはありますか。
○棟居部会長 川島委員、お願いします。
○川島委員 その書き方は工夫が必要だと思うのですけれども、なるべく対象者を、だれがそういう合理的配慮義務を負うかというのを、教育とか労働とか、あとは鉄道とか、さまざまな場面で、この義務を負う主体を特定するような書き方にした方がわかりやすいかな、と思います。
○棟居部会長 それは、ここで言うならば所有者であり管理者なのですけれども、何のというところの部分が問題なのです。相手方は所有者もしくは管理者とか、そういう形で特定はできると思うのですけれども、どういうものの所有者か管理者かという、こちらのどういうものという部分の範囲が問題なのです。
○棟居部会長 物があるから役務の提供が当然伴う、そこに合理的配慮も出てくる、これは先ほど山本委員あるいは池原委員が多分くぎを刺された点を誤解しておられる、ちょっと大きな問題があるかもしれませんが、あと3分ほどで、一応、切らせていただきたいと思っております。
ほか、御発言いかがでしょうか。
浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 浅倉です。
今のところで、教えていただきたいのは、このバリアフリー法についてです。この法律では、ハード面のみならずソフト面でも施策が展開されているとのことで、たとえば2ページの2番として、接遇を含む教育訓練の実施があげられています。そこには「バリアフリー化された公共交通施設や建築物の利用」というふうになっています。それでは、結局、バリアフリーの義務とか努力義務を負う施設のみが教育訓練の実施対象になっているということなのでしょうか。それ以外の施設に対しては、この教育訓練すら実施義務がないということなのでしょうか。ちょっとそこを伺いたいのですが、よろしくお願いします。
○棟居部会長 これは、一応、室長への御質問かと思いますけれども、国交省のマターという先ほどのことなのですか。
○東室長 済みません、それは後で調べてでいいですか。
○棟居部会長 では、太田委員、お願いします。
○太田委員 先ほど来から、特定少数ということが委員から出ていましたが、私の記憶違いかもしれないのですが、不特定または多数というのは、昔、国交省と話し合いをしたときに、個人の住宅については、そこから外したいみたいなようなニュアンスで国交省の方は言われていたような感じがしました。住宅の利用は、訪問客を含めれば不特定なのですが、そのときの解釈は特定というようなお考えがあったような気もしています。
○棟居部会長 情報提供ということですね。ありがとうございました。
ほぼ予定の時間が来ておりますので、ではこれで、一旦、休憩を取らせていただきたいと思います。
以上で、第1コーナーを終わります。
ここで15分の休憩を取ります。よろしいですか。
再開は15時30分です。

(休憩)

○棟居部会長 では、再開させていただきます。
再開します。
第2のコーナーは85分を予定しております。ここでもやはり前半と後半に分けて議論を進めたいと思います。前半の35分は、どのような行為が差別となるのかについて東室長から5分程度で説明をいただいた後、30分程度で質疑及び議論をいたしたいと思います。
参考資料1を御用意ください。
お願いします。
○東室長 はい。東です。
参考資料の1の9ページ辺りから交通関係の個別法についての規定を御説明申し上げます。
交通関係につきましてはいろいろ法律がございます。例えば鉄道営業法、道路運送法その他いろいろありますが、これらの中で事業者が一定の差別的な行為を行うことを禁止している規定がございます。
例えば鉄道営業法6条、道路運送法13条などでは、一定の場合を除き運送の引受けを拒絶してはならないといった規定があります。
道路運送法の第30条の1項では「旅客に対し、不当な運送条件によることを求め、その他公衆の利便を阻害する行為をしてはならない」といった規定がございます。
10ページの上の方の道路運送法の30条の3項を見てもらうと「一般乗合旅客自動車運送事業者等は、特定の旅客に対し、
不当な差別的取扱いをしてはならない」というような規定がありますが、同様の規定が、11ページの自動車ターミナル法9条にも、12ページの一番上の海上運送法第13条にもございます。
また、建物等に関しては、例えば13ページ、地方自治法の第244条の3項になります。「普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」といったような規定があります。ただ、何が不当な差別的取扱いというかについての定義は書かれていないところであります。
また、差別禁止条例と言われるものではどう書いてあるかということですが、これは参考資料の1ページと2ページをごらんください。
例えば千葉県の場合は、第2条の2の六のイでは建物等に関して「利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること」という定義がなされています。ロでも同じように公共交通機関に関して「利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること」という書きぶりでございます。
熊本県条例も若干違いますけれども「利用を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること」といった書きぶりでございます。
さいたま市につきましても、次のページになりますが「利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課すこと」ということで、ここでは「その他不利益な取扱い」というのは書いてありませんが、似通った書きぶりになっています。
以上が具体的に何が差別かといった辺りの文言です。
以上です。
○棟居部会長 先ほどの補足はされませんか。
○東室長 先ほど浅倉先生からの御質問です。
先ほどのバリアフリー法関係資料の2ページ目の真ん中のところです。「2.バリアフリー化された公共交通施設や建築物の利用」という形で表題がなっておりまして、既にバリアフリー化されたものについてだけ交通事業者向けのバリアフリー教育訓練プログラムがなされるのかといった疑問があるがどうなのだという御質問がありました。
しかしながら、条文を見てみますと、バリアフリー法の第8条5項で何ら限定なく「公共交通事業者等は、その職員に対し、移動円滑化を図るために必要な教育訓練を行うよう努めなければならない」といった規定がありますので、これは既にバリアフリー化されているか、されていないかは問わないということになろうかと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
それでは、質疑及び議論に入らせていただきます。時間は30分を予定しております。どなたからでもお願いします。
川内委員、お願いします。
○川内委員 先ほど各県の条例の御紹介がありましたけれども、どこでも「建物の本質的な構造上やむを得ない場合」とか「障害者の生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められる場合」とかというのがありますけれども、これをだれがどのように認めるのかというこの基準が、もしも例えば差別禁止法の中でこういうことの条件を入れるとしたら、そのシステムですね、どういうふうに認めていくのか、どういう場合にこういう拒否なんかが認められるのかということをきちんと言わなくてはいけないだろと思います。
もう一つは、例えば千葉県の条例だと、2条2項六号のイの下から2行目に「施設の利用を拒否し」というのがあります。拒否というのはやはりだめだと。どんな場合でも拒否はだめだと思います。ただし、利用の制限とか利用に条件を課すというのはあるかもしれません。だから、拒否という言葉をもしも差別禁止法の中で使うとしたら、それは余り適切ではないのではないかと個人的には思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今、御発言のありましたその前段のだれがどのようにという点につきましては、先ほど申し上げましたこの第2コーナー、これも2部構成を取っておりますが、その後半の、どのような場合に例外として正当化されるか、こちらにむしろ委ねさせていただいた方が議論が活発になるのではないかと思います。
では、2点目の拒否というところの御指摘をちょうだいしたということで、太田委員に移らせていただいてよろしいですか。
太田委員、よろしくお願いします。
○太田委員 私が提出した資料の方からお話をしたいと思います。
○棟居部会長 失礼します。「委員提出資料」というタイトルが付いておりますものの4ページ以下ですね。
○太田委員 はい。今、室長から法律上は不当な差別をしてはいけないなどの条文があるという説明がございましたが、しかし、現実は車いすのタイプによって、いろいろなタイプの車いすがあるのですが、ハンドル型車いすとか、フラットというかストレッチャー型の車いすとか、例えば鉄道やバスを利用しようとしたときに公然と拒否をされるという現実がいまだにあります。
先日などは、スロープ付きバスで運転手さんのミスによって円滑に乗降できず、けがをしてしまったという理由をもって、その会社は、当面車いすの利用を控えてほしい、現段階では安全性を担保できないということで、車いすの利用全体をリフト付きであっても拒否をするという事態もありました。
こういう拒否、現実に対して有効的な是正勧告や是正命令、判決が下されるよう、そのために差別禁止法が今、求められているというふうに思いました。今の法律では不当な差別が正当な差別ということで、差別を受けてしまう現実があるということを訴えたいと思います。
○棟居部会長 今の御指摘も多少先ほどと同様に後半の、どのような場合に例外として正当化されるかの方に重なっておるかもしれませんが、もしよろしければまたそちらで手短に御指摘を賜れればと思います。
川島委員、お願いします。
○川島委員 ありがとうございます。
2点です。先ほどの議論とも少し連続しますけれども、サービスプロバイダーが合理的配慮義務を負うというところで、不特定多数か特定多数かとか、そういったものというのは差別禁止法の文脈でどこまで重要になるのかなというところが1つ疑問に思いました。
それで、サービスの内容自体は、障害者のためのものを売れと言っているわけではなくて、商品の内容ではなくて商品にアクセスするときにそのアクセスを不当に、障害を理由に売らないとか、提供者が少し合理的調整をすれば障害者はその商品を入手できるのにそれさえもしないとか、それが差別禁止法で禁止するものなので、そこに特定多数とかそういう概念というのはどこまで重要なのかなというところが1つ疑問に思いました。
2点目が差別概念についてです。私が本日用意した資料で、差別を、これも前回と同じように合理的配慮を行わないということが1本の柱で、もう一つが、いわゆるEU、英国のほうで言われている直接差別とか間接差別、関連(起因)差別とか、そういったものをまとめたものを不均等待遇として、ここで挙げています。 しかし、そのEU、英国のほうでは、これはほぼ確立した原則として、直接差別については相手に正当化する抗弁が認められない。となりますと、障害を理由とする差別のうち、不均等待遇の中でも更に直接差別に該当するものについては正当化できない旨の文言を1つ、私は今回第3条2項という形で付け加えましたので、それをちょっと読ませていただきます。
「障害に関連する行為が、ある者を他の者と比べてより不利に扱うものに該当するときは、当該行為の目的が正当であり、かつ、その目的を達成する手段が適切である場合においても、障害を理由とする差別が生ずる」という形で、一応2類型を立てながらも、直接差別に該当する場合は抗弁が認められないというような形というのも1つ考える必要があるのかなと思いました。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
○東室長 ちょっといいですか。
○棟居部会長 東室長、お願いします。
○東室長 済みません。例外に関する部分、抗弁に関する部分は後で議論すると言っていますので、今は、何が差別なのか、それに議論を集中していただけませんでしょうか。同じことをまた繰り返すことになりますので。いいですか。少なくとも条例としてあるものが一定の素材としてあるわけですから、これで足りるのか、足りないのか、その点に議論を集中してください。
○棟居部会長 ということで、前半の議論は、後半に回した部分以外のところをお願いしたいということなのですけれども、いかがでございましょう。
○東室長 ちょっとなければ。
○棟居部会長 はい。
○東室長 今の関係で言いますと、先ほど川内委員から拒否はだめだという言葉が残っているのですが、そう言われた意味は、拒否に関しては例外事由がないのだというような意味でおっしゃられたのですか。それとも、この分野における差別の書きぶりとして拒否という言葉は使うべきではないというような意味でおっしゃられたのですか。
○川内委員 拒否については例外はないのだということを細かく精査したわけではないですけれども、少なくとも法律の中で、条件が合えば拒否していいということですよね、これは逆に言うと。ここの条例で言っていることは。
○東室長 全部で言えばです。
○川内委員 正当な理由があれば拒否していいということですね。だけども、先ほど言ったように拒否ということが非常に障害のある方々の心を傷つけているわけで、拒否ではなくて、こういう条件が付きますけれどもということならば受け入れられるけれども、拒否ということについては非常にこの言葉が入ることが私は抵抗があるという意味です。
○東室長 はい、わかりました。では、おっしゃられていることは、差別行為として拒否という言葉を使うべきではないという御趣旨ではなくて、例外との関係で拒否の場合は例外を設けるべきではないと。そこら辺のことを言われたと受けとめていいのですか。
○川内委員 やむを得なく拒否ということがあるとしても、それは非常に厳しい条件の下で拒否ということがあるのであって、これは「拒否、若しくは制限、又はこれに条件を課し」というふうに、ある同じような感じで書いてあるのですけれども、拒否については非常に慎重に扱うべきだろうということです。
○棟居部会長 つまり、言い方を変えると、何が差別で何がそうでないかというそこのところですぱっと議論を切ってしまうと、もう問答無用にこれはなり得ると。拒否というのがまさに当事者、障害者の方の意見、こういうことができるではないか、そういう提案とかを一切相手にしない、受付けない、これは紛争解決の手法としてもよろしくないのではないかという観点から、むしろ先ほどからずっと後にというふうに取っております後半の、どのような場合に例外として正当化されるのかという、こちらの方にとにかくどんどん話がいくようにという御指摘ですか、そう受けとめていい。
○東室長 ちょっといいですか。
余り議論がないようであれば、埼玉県条例は、その他の不利益取扱いという言葉を入れておりませんが、そういうように包括的な規定を設ける必要があるかどうかについて、御意見があれば伺いたいのです。この利用拒否、制限、条件を課すことのほかに、そういう条文が付いているのと付いていないのがあるわけですけれども、少し細かくなるかもしれませんが、その点については何か御意見ありますか。
○太田委員 はい。
○棟居部会長 太田委員、お願いします。
○太田委員 今、東室長から提起がございましたことに関連しますが、私の資料でも、聴覚障害者などが交通機関を使うとか利用するときに、視覚的な案内がないので、例えば大地震が起きてどのような対応をすればいいかということを放送ではしても、聴覚障害者はわからなくて、3月11日のときは、多分東京の人だと思いますが、地震があってから何十分も経ってから地震があったことがわかったというようなこともありますので、やはり不利益な取扱いということは、この分野についてはきちんと入れていただきたいなと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょう。山本委員、お願いします。
○山本委員 山本です。
質問なのですが、その他不利益な取扱いをすることとか不当な差別的取扱いをすることですと、いろいろな場合があり得ると思うのですけれども、利用を制限する、あるいは特に条件を課す場合に、特に有料のサービスの場合に料金を高く設定することは含まれるというように一般に理解されているのでしょうか。条件を課すというのは、法律家の感覚で言いますと、対価ではなく、使用に関して、こういうルールを守ってもらうとか、あるいはこういうことをして利用してくださいというような、付随的な条件というイメージが強くなるのですけれども、料金を上げるということも含まれると一般に理解されているのかどうかというのが質問です。いかがでしょうか。
○棟居部会長 お願いします。
○東室長 これらの条例の解釈指針みたいなものを詳しく調べたわけではありませんけれども、要するに他との平等という観点から見れば、ほかには課されない条件を課されるといったことがあり得るのだろうと思います。例えば利用を申し込んだときに、一般ではすぐ対応してくれるのに、何日前に申し込まないと対応しませんとか、駅の中で、あなたは少し待っときなさいとか、ほかの人は乗りたい時間の列車に乗れるけれども、あなたはちょっと手続が要るので後で乗ってもらいますとか、いろいろな形でほかの人と違う条件を課される場合があると思うのですが、恐らくそういうことを念頭に置かれて書かれているのではなかろうかと思います。
だから、ほかの人もオプションとして選んだ場合に料金が高くなるということで、同じように障害者がオプションとして何か別のものを選んで料金が高くなるといったことはここには該当しないのではなかろうかと思います。ただ、障害があるゆえにお金が高くなるとかいうことであれば、これはこれに該当するといったことになるのではなかろうかと思いますが、どうでしょうか。
○棟居部会長 山本委員、お願いします。
○山本委員 確認ですけれども、そうしますと、障害者の方が利用する場合には、必ず一定のプラスアルファの準備等のサービスが不可欠であるときに、それは事前にわかっているので、障害者の方についてはこのサービスを利用する場合には例えば2割増しの料金をいただきますというような約款があるときは、ここでいう条件に該当すると理解してよいという御趣旨だったのでしょうか。
○東室長 合理的配慮は基本的には費用を取るというような前提はないと思うのです。ですから、合理的配慮が必要だと。それにかかる費用を一定徴収するといったことはやはり実質的な均等という意味から言えばそれを害することになると考えると、それはここに該当する条件だといったことになるのだろうと思いますが、いかがでしょうか。それは1つの考え方として、言っているだけですが。
○川内委員 はい。
○棟居部会長 川内委員、お願いします。
○川内委員 今の東さんがおっしゃったことは、基本的にはそうなのだろうと思いますが、例えば海外旅行に行くときに、障害のある方には必ず介助者を付けてくださいと旅行社が言ったとしたら、これは多分条件になるのだろうと思いますが、日常生活でずっと介助に依存している人が海外旅行に行く場合はその介助者と一緒にいくわけです。これは旅行社が特に条件を付けなくても、本人が介助者と行くといった場合には料金を倍払わなくてはいけないということが起きます。こういうのが不利益な取扱いになるのかどうかというのが、ちょっと考えなくてはいけないかなというのが1つ。
もう一つは、他者との不平等な扱いを問題にするならば、不利益な取扱いというのも問題だろうけれど、もう一つ、障害があるということで、そういうのがあるのかどうか知りませんが、優遇というのも問題なのではないかなという気も少しするのです。他者と異なる扱いならばいいのですが、不利益な扱いと言っていいのかどうかというのはちょっと疑問があります。
○棟居部会長 東室長、お願いします。
○東室長 1点目ですけれども、正確ではないのですが、アメリカにキャリアアクトという航空機に搭乗する際の差別禁止法があるわけですけれども、あの中の考え方としては、自分が単独で乗れるのだと利用者側が主張するにもかかわらず会社側で、単独では無理だ、だから、だれか連れてくれば乗せますと言った場合に、そういう場合は付き添いの費用は会社で持つといったような規定があったかなと思っていますけれども、自ら連れて行くといった場合に、その付添人の費用を取ることが条件を課すことになるかどうかというのは議論をすべき問題だろうと思っています。
○棟居部会長 ありがとうございました。
あと5分ほどの時間の枠ですけれども、浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 今の川内委員の御発言に関して、疑問があります。「優遇の問題だ」とおっしゃったのですけれども、概念的には優遇しないことが差別に当たる、という発想があり得ると思うんです。優遇することが合理的配慮であると。合理的配慮をしなければいけないということは、一種の優遇をそのまま認めているということなのではないでしょうか。それなら、差別というのは不利益な取扱いという定義で私はいいのではないかという気がするのですけれども、どうなのでしょうか。
○棟居部会長 川内委員、お願いします。
○川内委員 合理的配慮の定義というのがまだきちんとはされていません。私は、合理的配慮は優遇ではないと思っています。ほかの人と同じ扱いを受けるための手段だと思っているので、優遇とは理解していないのです。
○棟居部会長 一応、差別とは何ぞやというある種概念的な話を前半にということで、かなり本質に迫ってきたようなところもあるのですけれども、結局今、川内委員の御発言にもありましたように、これは合理的配慮云々という後半の話にまた行ってしまうのかもしれません。
あと4分少々ですけれども、ほかに御発言はございませんでしょうか。
ということでしたら、もう後半に移らせていただいた方がよろしいようですね。
では、35分少々ございますが、後半の部では、どのような場合に例外として正当化されるのかについて東室長から5分程度で説明をいただきまして、30分程度質疑及び議論をいたしたいと思います。
資料1と参考資料1をお手元に御用意ください。
お願いします。
○東室長 ここでも既存の法律に関係するところを説明するだけであります。
参考資料の1の9ページ以降になります。
一般的に言えば、例えば道路運送法の13条などは、運送に適する設備がないとき、運送が法令や公序良俗に反するものである場合などは事業者は運送の引受けを拒むことができるというような規定があります。 少し読み上げた方がいいという部分では9ページに鉄道営業法があります。ここでは、例えば4条の2項を見ると「付添人ナキ重病者ノ乗車ハ之ヲ拒絶スルコトヲ得」というふうに書いてあります。昔風の書きぶりですけれども、要するに付添人がいない重病者が乗車しようとするときにはこれを拒絶することができるのだといった規定になっております。
それとか、今も申しましたけれども、その下に道路運送法がありまして、13条の二号を見ていただくと「当該運送に適する設備がないとき」といったことが書いてあります。ですから、合理的配慮をしなくてもいいというようにも読めないことはないわけです。
それから10ページに旅客自動車運送事業運輸規則がありますけれども、これにも同じような規定がありまして、第13条の1項四号に当たるわけですが「付添人を伴わない重病者」というのがあります。 建物関係で言えば、13ページの地方自治法ですけれども、第244条の2項は「普通地方公共団体」・・「は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」ということで、正当な理由があれば拒むことができるといったような例外規定があります。
また、差別禁止条例のところで言えば、先ほどの参考資料の1の1ページと2ページ辺りですが、例えば施設の構造上やむを得ない場合や、障害者の生命、身体の保護のためやむを得ない場合などは正当な理由があるとされております。
このように一定の例外がありますけれども、差別禁止法としては例外を設けるべきかどうか、設けるべきとして、どのような場合に認めるのかといった辺りの議論をしていただければと思っています。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
今さらながらですが、この第2コーナーでどういう議論を今、しておるか、あるいはしようとしているかということですけれども、今日検討の対象にしておる事項、あるいは法律等は基本的にはいわゆる国交省マタ-といいますか、つまり差別禁止というのとは異なる観点から、言わば施策的に実現されてきておる、あるいは、勿論足りないものもございますでしょうが、そういうコンセプトに立脚したもので、それをしかし我々の側の目線と言いますか、差別禁止法、あるいは合理的配慮、こういう切り口から見た場合にどこが足りなくて、どこが足りておるというような検討を本来は整理をできればよかったということで、部分的にはかなり論点出ておると思うのですけれども、時間の制約等から淡々と後半に今、入っているという段階でございまして、先ほどいろいろな方々の御発言の中で、それはどのような場合に例外として正当化されるかという後半の方に回っていただきたいというようなことを申しました。今、ここで改めて整理をするというふうな私の時間を食う話はいたしません。後半の方で、特にどのような場合に例外として正当化されるべきかという我々の目線で今、御紹介のありました規定等についてコメントをいただければと思います。いかがでしょうか。
竹下副部会長、御発言を。
○竹下副部会長 竹下です。
この例外規定、あるいは正当化理由のところで2つ申し上げたいと思います。
結論としては、建物または公共交通機関のアクセスについて、定型的な排除は基本的には規定すべきではないと考えます。具体例で、例えば重症患者の付き添いなしの利用拒否のところで言いますと、私自身が経験した例ですけれども、私単独で出雲空港から伊丹へ帰ろうとしたときに搭乗を拒否されたことがあります。理由は、重度の障害を持っているから単独での搭乗は危険だと。なぜ危険だと言ったら、飛行機に事故があったときに対応できる人がいないからだというのが根拠でした。
私はそれで、今日乗れなくなったらえらいこっちゃ、次の日裁判に出られなくなりますので、相当やり取りをやったのですが、最終的にどうやって乗せたかと言いますと、私の隣の席に座ることになっていたお客さんを呼んできて、臨時的にこの人を付き添い人にしますという措置を投じて私は最終的には乗せていただくことができたのです。こういうことが通用してくる言わば根拠になっていると言わざるを得ないわけです。
別の言い方をしますと、本来、身体に障害があることを理由に、あるいはどんな重度の病気であろうとも、それを理由に拒むということはどういう場合に考えられるのだろう。ましてや付き添いがいるか、いないかでそれを拒むということはどういう場合に正当化されるのだろうかということをよく考えてみる必要があると思うのです。
これがなぜ立法されたかという、その立法趣旨にさかのぼることが必要なのだろうと思うのですけれども、考えられるのは、1つは周囲への悪影響または迷惑という問題を考えているのかなと。もう一つは、先ほど飛行機の例で言ったように、本人の生命、安全という見地からの確保は鉄道事業者、あるいは飛行機であろうが、そうした事業者において確保する責任まで持たされては困るというところから来るのではないかと思うわけです。そうだとすれば、それらは果たして認めることができる正当な根拠となり得るのだろうかという強い疑問から設けるべきではないと思うわけです。
それに対して、公共施設などで正当な理由なくしては拒んではならないというところに障害者が入るのか。僕は入らないのではないかと思うのです。すなわち、こういう正当な理由なくしてという場合に、そこに障害があるために拒むことが入るという解釈はあるのだろうか。あり得ないのではないかという結論です。 ちなみにこの規定を使って利用を排除する例で、私は別の場面で遭遇するのは、例えば公共施設を暴力団が利用する場合とか、それから、逆に問題になったりするのは、例えば日教組などが大会を主催しようとしたときにそれを拒む理由としてこの規定が使われたりすることがあったかと思うのですけれども、そういうところでの議論にはなり得たとしても、それが正しいこととして言っているわけではありませんが、この正当な理由の中に障害のあることが含まれるという可能性はあるという解釈が、私はないと思っていたのですが、あるとすればそれを逆に教えていただきたいと思っています。
以上です。
○棟居部会長 どうも急に振りまして、ありがとうございました。
航空機については、安全配慮義務というのは勿論航空会社側にあるわけですね。それは付添人を付けることによって多少なりとも会社側の安全配慮義務が緩和されるとか、そういうことはあるのですか。何をねらっておるのか。事実上の安全確保なのか。それとまた、安全という概念がそう絶対的なものではないはずですけれども、我々は大なり小なりある程度の安全か危険かという判断をしながら自分の責任でやっておるわけで、それはおよそ、そういう多少危険でも構わないのだという自己決定を一切許さんというようなニュアンスを感じます。ちょっと私も一方で感想を申し上げました。
先ほど後半の方のお話ですねと申し上げた、例えば川内委員の御発言の、その基準をだれが決めるのだというお話等については議論が発展すればいいとは思うのですけれども、これは何か補足されますか。これは、先ほど御発言のあった、差別か差別でないかというオン、オフ的な、イエス、ノー的な考え方よりも、もう少しその場を設けて交渉に持ち込むとか、そちらの発想ということかなと私は思ったのです。
○川内委員 以前にも申しましたけれども、障害のある方々が現状に対して非常に不満を持っているところに何かトラブルが起きたときに、どこに持ち込めばいいかわからない。それから、今のお話だと、障害のある方が利用しようとすると、あなたが利用するのは安全ではないという理由でよく拒否をされたりするわけですけれども、では、その安全か安全でないかをだれがどう判断しているのかとか、それに基準があるのかというとないわけです。ですから、ここでも合理的な理由なくとかというふうなことがありますけれども、これに対しては何らかの一般的な原則が出される必要があるだろう。もう一つは、個別的な問題に対して問題を受付けて処理をする何らかのシステムが要るだろうということを申し上げたわけです。
○棟居部会長 ありがとうございました。
西村委員、お願いします。
○西村委員 済みません、今は差別というか、障害者の利用の制限や制約が、いわゆる例外的に認める場合というのはあるのだろうかということでの事例というか、そういうことでの議題と思って発言させていただきます。
私が体験しているのは、これは多くの車いすの利用者が体験していると思いますけれども、車いす、特に電動車いすのバッテリーだとか、シーティングバギーというか、座位保持装置付きの手動の車いすなのですけれども、ガススプリングが付いているということで、空港のカウンターに行くと必ずチェックをされます。実際に私どもの仲間が飛行機、そうした状況を理由に乗れなかったことがありました。
そのときの航空会社の理由は、安全性が担保されないということで、いわゆる発火の危険性があると説明されました。そのため、安全性がきちんと担保されているシールが張ってあれば乗せることはできるけれども、そうでないと乗せることはできないというお話でした。
また、同じような例で、搭乗する前に、車いすの状況を説明したときには、その対応が具体的によくわからなかったのですが、わかりました、こちらの方で対応しますということで乗ることができた。
また、人工呼吸器を使っている方が、通常は電気を使っているのですけれども、それを機内で使うことは危険であるということで、それを使うことを拒否され、人工呼吸器を使えないままで乗ったり、あるいは手動で乗ったりというような事例があります。
このときに言われるのは安全性の問題ということなのですが、最近出てきたのが、ライターが従来ですと2個でも3個でも持ち込むことができたのが、今は2個持っていくと1個置いていくということで、これもまた安全性ということになってきた。一般施策の中でそうしたことが実施されてきたときに、この障害者の部分の安全性の問題だとか、制限の問題というのは、これは例外としてとらえるべきなのかどうかということにつきましては、実は私自身もわかりません。
ただ、過去に受けた経験、あるいは最近受けた経験の中では、ある航空会社に乗ろうと思いました。ロンドンに行くのに搭乗の3日前に申し込みをしたのですが、診断書を提出してほしいと言われて、うちのスタッフが間違って、私は全身性の障害者で自分の身の回りのことは何一つできないというところにチェックをしてしまったのです。それで、乗ろうと思っていたら、航空会社から電話がかかってきて、西村さん、今回の便に乗せることはできませんと言ってきました。それで、私たちはそのときに、これは差別だというふうに思ったのですが、その理由を問いかけたときに、あなたは一人で乗って、全身性の障害者で身の回りのことが何もできない、2日後の便の中であなたを乗せると、あなたに対応するスタッフを用意することができない。4日後であれば、そのスタッフを用意することができる。だから、2日間待ってくれと言われました。
たまたま私の場合は、そうではないのだ、つまり私の障害はそういう状態ではないのだということを確認した結果、乗ることができたのですが、これがそうではなかった場合はどうなのか。これは搭乗拒否ということになるのか、それともその人の必要とする、先ほど介助者というお話がありましたが、航空会社自らが用意をするということでの一定の時間を求めてきたということで、適切な対応という受けとめ方をするのか。 以上、私どもの体験の中から、これは差別と明確に言い切れるのか、それとも例外というとらえ方をすべきなのかという事例がありましたので発言をさせていただきました。
○棟居部会長 ありがとうございました。
安全性というときには、私は先ほど本人さん、障害者の方だけのことを考えましが、航空機の側ですと、これはもう乗客全体という言い分がすぐ出てきてしまうということで、発火物等々ということになるということですね。ありがとうございます。
ほかに御意見は。
松井委員、お願いします。
○松井委員 松井です。
質問ですけれども、日弁連の方々から出てきている資料の中で、いわゆる著しい出費を伴う場合については構わないというようなことになっておりますけれども、御承知のように、合理的配慮の場合はいわゆる会社の規模であるとかいうことで出費の範囲がかなり違うのですけれども、池原さんたちが出された提案では、そういうことは問わないで、交通機関の規模関係なく過度の出費を伴う場合については対応しなくていいというふうに理解していいのでしょうか。
○棟居部会長 池原委員、あるいは大谷委員お願いできますでしょうか。
では、池原委員、お願いします。
○池原委員 済みません、この案自体は大分前につくったもので、私自身ちょっとここのところの担当ではなかったので、もしかすると間違った話になっているかもしれないので、できれば竹下先生や大谷先生に補充していただければと思いますが、私の理解では、これは合理的配慮の例外的な除外事由と同じものと理解してつくったものだというふうに思っています。ですから、過度の負担と同じ考え方です。
○松井委員 よろしいですか。
○棟居部会長 はい。松井委員、お願いします。
○松井委員 交通機関などは随分でかいところが多いわけですね。だから、そこで、こういうふうなことが想定されるのはちょっと理解が難しいです。
○池原委員 ありがとうございます。確かにこの適用除外事由のところはかなりほかのところと横並びでだーっと入れていったという経過があるので、例えばここの記載も、4番の適用除外の(4)のところは「第3、4の(4)と同じものとする」みたいに書いていて、ほかの章立てのところと例外事由をほとんど共通して横並びで規定してしまったというところがあるので、やや場面においては適切ではない部分もあったかもしれません。
○棟居部会長 竹下副部会長。
○竹下副部会長 弁護士の意見が日弁連内部で分かれていたら困るのですけれども、そうではないと思いますよ。例えば鉄道事業者の場合、事業規模の大小は極端に違います。地方鉄道などの事業規模としての能力はJRと比べたら月とスッポンです。それから、私の地元で議論となっているのは、京都駅の地下鉄にいまだかつてホームドア、ホーム柵がないのです。これは国の、先ほどのバリアフリー新法から言えば明らかに違法状態なのです。理由は京都市は赤字だからと言っているのです。そんなのは理由にならんということで議論している段階なのですけれども、その当該事業所の抱えている規模とか能力、それらすべてやはり判断材料に入ってくる可能性はあるのではないでしょうか。
○棟居部会長 御指摘というのか日弁連案の運用レベルで大分差がありそうですが、今の点につきましてはよろしいですか。
東室長、お願いします。
○東室長 交通関係では安全性に関して例外事由が書かれているわけですけれども、安全性といっても非常に抽象的で幅がある。具体的な本当に危険が差し迫った状態なのか、抽象的な意味での安全性の問題なのか、いろいろ議論がありますので、そこをある程度明確に書くということが求められると思います。建物などについては、例えば条例では、建物の本質的な構造上やむを得ない場合とかあるわけです。こういう書きぶりでいいのかという点についてちょっと議論していただきたいのですが、例えば建物の構造上はそれをバリアフリー化することは難しい場合であっても、人的支援があれば利用できるような場合にもこれは拒否していいという結果になりますがそういうことでいいのかどうかという点について、皆さんに御意見をいただければと思います。
○棟居部会長 川内委員、お願いします。
○川内委員 これが先ほど私が拒否というのがまずいのではないかと言った理由なのですけれども、本質的な構造上というのは、例えば先ほども申しましたけれども小規模な建物で、2階建て、3階建てで上の階で何か事業をやっている。そこに対してエレベーターが付いていない。それに対して車いすを使う方が利用をしたいと言った場合に、上に上がれない。これは構造上、その場でエレベーターをすぐに付けるわけにはいかないわけです。この場合は拒否ではなくて、先ほど申しましたように、上の事務所の人が降りて来て、1階で何らかの代替的なサービスを提供するとか、これは制限あるいは条件になるわけで、そういう意味で拒否という書き方は適切ではない。そういう制限あるいは条件を課しということの表現であるならば本質的な構造上やむを得ない場合はあり得るだろうと考えています。
○棟居部会長 西村委員、お願いします。
○西村委員 関連して2つの事例があります。これは私の事例ですけれども、札幌である交通機関を使おうと思いましたら、その駅はエレベーターがない。そこで受けた対応は、若干待っていただけるだろうか。若干待つとは何かと言うと、そこに駅員を集めるので、若干時間を要するので待っていただけないかということで、10分程度待ちましたら、駅員の配置ができましたので、これから乗車くださいという対応を受けました。そして、帰る時間に合わせて人員を配置しますという説明を受けました。
また、同じような別の交通機関では、1か月前に、どこどこの町で身障福祉の大会がある、1か月後に利用したいのですけれども駅の状況等々どうでしょうかという照会をかけましたら、あそこの駅は構造上、車いすが使えないから大会に来る方たちがお手伝いできませんかと言われたのですけれども、そこで手伝うことができる人はいませんと答えたところ、申し訳ございませんけれども建物の構造上利用することができないと言われました。
私はこの2例から、先ほどもサービス提供と設備というお話がありましたが、合理的配慮の考え方の中には代替手段的なことがありますので、単に建物の構造のみをもって、そういった制限や制約を加えることが正当なことにはならないと思います。代替手段等々がどのように講じることができるのか、そのことも含めてどうしてもできないような状況であれば、それはそれとしてあるのかもしれませんけれども、基本的にはいろいろな方法があるわけですから、断言的にこうした状況の中でこれはできないということで、ここで挙げられたような形は適切ではないと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございます。
先ほどからの川島委員等の御指摘にもあったように、サービスと建物を分けるという発想が必要と、今、西村委員もそういう御指摘ですね。つまり、我々は建物をあくまでこれは本来国交省マターという言い方をしてきましたけれども、それにどこまで物を申せるのかというような、そういう多少腰の引けた言い方をしてきたのですが、サービスというのは別だと。
はい、どうぞ、西村委員。
○西村委員 西村です。
先ほどの、例えばバリアフリー新法関係で言えばあくまでも社会施策であって、どういうふうなまちづくりをしていこうかという施策であって、そうしたものを推進していく法律だと思っています。差別禁止法というのは、やはり個々の人たちの置かれている状況の改善をしていく。まさに合理的配慮が個々の状態に即した形で対応していくことを求めているように、あくまでも個人の問題をどう受けとめていくのか。その個人の問題、あるいは個人を主役にした中で考えていくことが必要であると思っています。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
池原委員、お願いします。
○池原委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、この条例関係の規定の読み方と言うか、これ自体で訴訟になるということはないですが、例えば似たような規定を差別禁止法に置いた場合に、例えば千葉県の条例を例にして考えてみると、ある建物の利用を拒否されたということで、まずそれは原則差別なのだということで原告が主張します。被告の側は、いや、建物の本質的な構造上やむを得ない場合だったから、それは例外的な許容事由に当たって違法ではないのだというふうに抗弁する。だけど、それに対して今度、原告は、だけど、こういう合理的配慮をしてくれればそもそも利用できたはずではないかということで再反論をする。それに対して今度また被告側が、でも、それはもう過度な負担になるから、やはり合理的配慮の例外として配慮義務がない場合なのだと反論する、そういう展開になるのでしょうか。
もしそうだとすると、結局、合理的配慮の問題に最終的に行き着いてしまって、わざわざ前座のところで「本質的な構造」云々という1個抗弁みたいのを置く必要があるのかどうかというのがよくわからないのです。
○棟居部会長 東室長、お願いします。
○東室長 それはこの例外の書き方として「建物の本質的な構造上やむを得ない」という書き方があるから、これとの関連で言うと、いや、別の合理的配慮があるだろうという話が出てきて、今、池原委員がおっしゃったような流れになると思うのです。でも、例えば「本人の生命又は身体の保護」という公共交通機関の問題で言えば、この合理的配慮以前の話として、そういう理由で拒否していいかという直接差別的な話があるわけで、それは建物の関係だから出てくるということではないのでしょうか。
○棟居部会長 池原委員、お願いします。
○池原委員 生命、身体の安全の問題も、例えば拒否した理由はあなたの生命、身体に危険が発生することだから拒否したのですよと言われたときに、それに対して、でも、こういう配慮をしてくれれば別にその危険は心配なくなるではないですかという局面もあるわけですね。すると、先ほどの建物の構造上の問題と同じで、もう1回簡単に整理すると、拒否されたから差別だと言い、生命に危険があるから拒否したのだから正当なのだと言い、いや、でも、こういう配慮をしてくれれば危険はないのだから利用できてよかったはずではないかと言い、それに対して、いや、でも、その配慮は金がかかり過ぎて無理だったのだと言いと、そういう展開になるということですか。
○東室長 そういった意味では同じだと思いますけれども、あくまで、ここでは拒否したことが差別に当たるかどうかという話なんです。なぜこのような配慮をしなかったか、合理的配慮が認められるべきかどうかという議論とはまた別の議論として、拒否が正当化されるかどうかという中で出てくる話ですので、裁判的に言えば、別個の請求原因としてあるということではないでしょうか。
○棟居部会長 太田委員、お願いします。
○太田委員 太田です。
先ほどから私自身悩んでいまして、何で悩んでいるのだろうと自分の中で今も問い返しているのですが、本人の生命とか、現行の身体の保護という文脈では現実には制限があるのだろうと思うのです。ただ、それを障害者差別禁止法とかバリアフリー法の中に持ち込んでいいのかどうかということが僕の頭の中でまだ整理がついてなくて、障害者差別禁止法、バリアフリー法と本人の生命、身体の安全というのは、もしかしたら別物で、別の法律で定められて、事業者が要は別の法律で物事を執行したときに、執行をされた者が執行に対して不服があるときに権利救済とか裁判とかそちらに持っていくということが重要で、私は何らかの制限というのは多分あるのだろうなと。だけど、それは差別禁止法で言うべき文脈ではないのではないか。それは、障害があってもなくてもそういう状況はあるわけですから、障害者に限らない問題だと思って、そういうことで先ほどから頭の中がすっきりしていない状況が続いています。
○棟居部会長 川島委員、お願いします。
○川島委員 先ほどの池原委員と東室長との話に関わるのですけれども、直接差別と合理的配慮の概念を整理しないと、今のお二人の会話がうまく整理できないのかなと思っております。つまり、今回の部会でずっとこの間話していたのは、合理的配慮の話をずっと話していたと思っています。つまり生命・安全を害する場合は搭乗できないとか、そういったものは障害者だけではなくて、どの人にも適用される一般的なルールなわけです。ですから、そういう意味では直接差別は生じていないわけです。だれに対しても適用される。 しかし、合理的配慮とは何かというと、ルールに個別の差異を認めるための例外を設ける措置です。ですから、生命・安全に関する現行のルールに例外を設けて、相手側が何らかの調整措置をすればその人が搭乗できるのだったら、それをしなさいよというわけで、そのときに余りにも荷重な負担を課すとか、そもそももうルールの本質的な部分を完全に変えてしまうような場合は、それは過重な負担だから、その場合は合理的配慮はちょっと提供できません、みたいなことはあるかもしれませんけれども。そのような形でルールの全面的な同一適用の場面では直接差別は発生していないと私は思います。
○東室長 ちょっとその関連でいいですか。
○棟居部会長 はい、東室長。
○東室長 せっかく川島先生がおっしゃってくれたのであれですけれども、先ほどのところで、直接差別には例外を設けるべきではないという御意見がありました。あの観点からすると、例えば千葉県条例では、これはいずれも「障害を理由として」という形ですので直接差別類型を念頭に置いているのだと思うのです。そうした場合に、川島先生の御意見だと、例外は認めるべきではない。その理由としては今、おっしゃったように例えば建物の本質とか安全なんかは別に障害者だけの話ではないので差別の問題として入れるべきではないのだというのが御趣旨だろうと思います。けれども、随分以前の議論の中で直接、間接、関連をまとめましょうという議論もありましたよね。そうした観点から1つのまとまりとした場合に、例外事由をどういうふうに書くかということについて何か御意見はございませんか。
○棟居部会長 川島委員、お願いします。
○川島委員 今の東室長のお話の中で、直接差別と関連差別と間接差別というのをまとめて書く場合に、特にその中でも直接差別に該当する場合については一切例外を認めませんということを次の第2項の方で明記することによって、直接差別についてはもうそもそもいけないのだということが明確になると思っています。
○棟居部会長 ありがとうございました。
山本委員、お願いします。
○山本委員 確認のための質問をしたいと思います。
障害者であることを理由に利用を拒絶された場合は、障害者と障害者でない人で異別取扱いをしているわけですから、直接差別の定義に当てはまるのではないかと思います。それに対して、拒絶したのはこういう正当な理由がある、例えば、安全を確保することができないから拒絶したという場合には、直接差別に当たるけれども、正当な理由があるので、差別に基づく責任は負わない。ただ、先ほど東室長が言われましたように、それとは別個の請求原因として、そのような場合でも合理的な配慮をなすべきであって、その合理的配慮をしていないから、やはり別類型の差別に当たる。その上でさらに、それが過剰な負担になるかどうかが問題とされるという仕組みで東室長は説明されたと思うのですが、川島委員の場合は、今のは、抗弁として正当な理由が出された場合には、初めから直接差別ではなかったというような説明をするのですか。しかし、そうだとしますと、そもそも請求できないですね。やはり異別取扱いを受けたということを理由に障害者の方から責任追及をしていくということを認めないと、始まらないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○棟居部会長 もう予定している時間に来ていますけれども、重要な点なので、1、2御発言いただいて、まず今のレスポンスで川島委員、手短にお願いできますか。
○川島委員 私の理解ですと東室長と同じだと思っていたのですけれども、今、山本委員のおっしゃられるようなご説明をお聞きしますと、こういうふうに言えばいいのかなと思うのが、そのケースはそもそも直接差別に該当しないというだけなのです。つまり等しいものを等しく扱わなければならないという原則に違反していないわけです。代わりに、これは合理的配慮が該当するケースとなります。
○棟居部会長 そこでおっしゃっている直接差別というのは、例えば航空機に乗るときの約款で障害者は乗れないというような形でターゲットにしてはじいているわけではない。ただ物理的にタラップがあったり、あるいは中の構造とか、あるいは安全衛生の基準、これを満たさないということで、直接差別ではなくて間接差別で、結果的に派生的に乗れないということになる。
○川島委員 そうです。段階説ではないのです。直接差別がだめだから間接差別でとかではなくて、同時に問題にできると考えています。
○棟居部会長 竹下副部会長に御発言いただいて、多分この後、休憩をはさんで、本来はもっと狭い範囲の話を予定しているのかもしれませんけれども、合理的配慮ということを一応ゾーンとして設けていますので、竹下副部会長に御発言いただいて、休憩に入ります。
○竹下副部会長 後でやります。
○棟居部会長 ああ、そうですか。恐れ入ります。ということで、以上で第2コーナーを終わらせていただきます。
ここで15分の休憩を取らせていただきます。私の時計で43分ですので、ここからの15分で58分までということでお願いをいたします。

(休憩)

○棟居部会長 それでは、再開します。
第3コーナーは40分を予定しております。これも前半と後半に分けまして、前半は、「この分野において合理的配慮として特筆する点について」というテーマで、30分程度議論をいたしたいと考えます。
東室長から、きょう御提出のあった協力員の方の資料等について、若干説明いただけますでしょうか。お願いします。
○東室長 私が説明するというよりも、EUとか外国法制について、引馬協力員と永野協力員から書面が出ておりますので、そこを伺った上で、合理的配慮の問題について入っていただければと思っております。
○棟居部会長 では、急で恐縮ですが、永野協力員からお願いします。
○永野協力員 私はアメリカ法の状況とフランス法の状況とを調べましたけれども、ここでは、アメリカ法の状況についてのみお話しさせていただきたいと思っております。
合理的配慮の話に限らず全般的な話をさせていただきたいと思いますけれども、アメリカでは、建築物の障壁については「建築物障壁撤去法」という法律がありまして、連邦予算から補助を受けている建物等については、一定のアクセシビリティの基準を満たすようにしなければならないと定められております。
ただ、この法律は、連邦予算によって建てられている建物であるとか、そういった限定がありますので、それ以外のものについては適用がないということになります。また、こちらの法律が規制しているのは、新しく建てる建物、改築がなされるとき、そういったときにのみ適用されることになっておりますので、その意味で建築物障壁撤去法というのは限界があるということになります。その限界を補う部分としてADAがあります。ADAの適用範囲は、連邦予算の存在には限られないということになりますので、建築物障壁撤去法の適用に入ってこないものについてはADAで対応することが見られます。
きょうのアクセシビリティとかかわるところでは、とりわけ第2編の、公共サービスや公共交通機関によるサービスの提供における差別であるとか、第3編が定めている、民間企業によって運営される施設、サービスの提供における差別が問題になってくると思います。特に第3編、民間の企業によって運営されている施設とか、サービスの提供に関しては、その訴訟の多くが実際にはアクセシビリティに関するものであると言われております。
アクセシビリティに関する事項が問題となったときには、どのようなことが論点として挙げられてくるかといいますと、アクセシビリティの確保の障壁となっているものを取り除くことが確実になし遂げられ得るにもかかわらず、障壁を取り除くことが行われなかった場合には差別が発生する、そういったことになっております。障壁を取り除くことが相当な困難、または出費なく容易になし遂げられるにもかかわらずしなかった場合については、それが差別になるわけですけれども、その基準は、修繕のための費用であるとか、修繕の必要性、こういったものの比較衡量によって決定されることになっております。財政的な能力が十分であるかどうか、こういったことが勘案されることになっております。ですから、この辺りの財政的な能力の部分等について、合理的配慮のところでもう少し議論をしていただければいいかなというふうに思っております。
また、アクセシビリティを阻害している障壁を除去する義務と同時に、ここではとりわけサービスの提供が問題となっていますので、サービスを提供するに当たって、付加的な補助であるとか、サービスを確保するような何らかの措置がとられているかどうか、こういったことも実際の訴訟の中ではポイントになるということでした。
そのほか、公正住宅法や航空アクセス法という法律もございますけれども、こちらについては説明は割愛させていただきたいと思います。
とりわけ重要なのは、紛争を解決するための手段が用意されているところではないかと思います。建築物障壁撤去法では、アクセスボードという独立の連邦機関が設けられておりまして、こちらの機関が、連邦の予算を受けている施設に限ってということにはなりますけれども、アクセシビリティに関する苦情、申立てを受けることになっています。
航空アクセス法では、各空港に紛争解決局というものを置かなければならないということになっておりまして、障害を抱える乗客についてサービスに関して何らかの問題が生じた場合には、こちらの方でまず対応をしていくことが求められることになっています。
雑駁ではありますけれども、以上がアメリカ法の状況です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ほかにもいろいろと資料を提供していただいておりますけれども、永野協力員、どうもありがとうございました。
では、引馬協力員、お願いします。
○引馬協力員 私の方は、EUの公的施設及び公共交通機関の利用について御報告したいと思います。資料をごらんください。
EUでは、公的施設及び公共交通機関の利用について、利用する人たちの権利を定めるという動きが進んでおります。特に2000年代半ば以降、新たなEU法規が次々とこの点についてできています。その中で、障害者が障害のない人と同じように公共の施設、交通にアクセスできるという取組が進んでおります。幾つかの具体例が新しい順に並んでおりますが、例として、「バス及び長距離バスの旅客の権利」というところで全体の流れを御紹介したいと思います。
同規則ですが、すべての市民の利益になるためにつくられている公共のバスに関して、障害のある人も障害のない人と同じようにこれが利用できなければいけないという権利について規定しています。バスを利用するに当たって、すべての過程で拒否をしてはならないということが明確にうたわれています。これは先ほども議論になりました安全確保、2点ほど条件がつけられていまして、一つは、身体上、健康上の問題ですが、もう一つは、物理的なことで乗り物が安全に利用できないという、物理的な方の条件も入っております。拒否をしてはならないのと同時に、利用に当たって追加の料金も課してはいけないことになっています。
「個別の支援」ということですが、合理的配慮の議論ともつながるかと思うのですが、旅客会社、旅行会社、あるいは運転する者の、責任がある者は個別の支援を提供しなければいけない、障害のある人は個別の支援を受ける権利があるということになっています。権利をきちんと享受するには条件がありまして、この場合は36時間前ですが、ほかの規則によっては48時間前という規定もあります。「申し出ること」となっています。申し出ない場合には、合理的な努力を行って対応するということで努力義務です。EUでは、今、申し上げている分野においての差別禁止法(均等法)が議論になっていますので、それが採択されると、この辺りもまたどのように相互に影響があるかというのはあるかと思います。
個別の支援については、ソーシャルインクルージョンの観点から無料で提供されなければいけないということが書かれています。これは、この規則に限らずほかの規則もすべて同様です。規則によっては、個別の支援の無料の提供というのが、それを利用するすべての人によって負担されるものであるということが書かれている部分もございました。併せて、関係のスタッフについても、研修、訓練が提供されなければならないと書かれています。
障害のある人が施設、交通を利用できるに当たって、障害のある人、あるいは移動に制限のある人々の代表になる組織が、いろいろな場面でかかわる必要があるということも書かれています。
また、こういった権利が侵害された場合ですが、各国がその執行責任機関というのを設けなければいけないことになっております。勿論、直接最初に当該機関に申し出ることもできるのですが、そこでうまくいかなかった場合には、この執行機関に申し立てることができるようにしなければいけないというふうになっています。
そのほかに附則などで、「個別の支援」というのはどのような内容であるか、そのようなことが具体的に書かれていたり、訓練や研修についても2種類ぐらいあったと思いますが、障害のある人に対する認識を高める訓練ですとか、具体的に、車いす、機器、あるいは、障害のある人が支援を受けるときにはどういう気持ちであるかということを知らなければいけないとか、そういった訓練の内容もここに附則でつけられています。
全体として、ほかの規則に関しても似たような内容になっております。
以上です。
○棟居部会長 要領のいい御報告をいただきまして、ありがとうございました。
永野委員が御紹介になった中では、特にアクセスボードという、小回りのきくこういうものが障害者の差別の解消には必要ではないかと。先ほど来というか、これはいつもですけれども、結局、最終的な訴訟を見据えた議論にどうしてもなりますけれども、間にこうしたワンクッションというか、これ専用の行政救済的な手法があると非常に機能が高まるというふうに感じた次第であります。
それから、引馬専門協力員の「個別の支援」。これも、個別性というところにポイントがあるのだろうなというふうに勝手につなげさせていただきました。
先ほども予告しましたように、これから残り時間で、それも前半後半に分けまして、前半30分弱となると思いますけれども、「この分野において合理的配慮として特筆する点について」ということで議論を重ねていきたいと思います。あるいは、今のお二方についての事実確認、あるいは御質問というところから入っていただいても結構です。いかがでしょうか。
東室長、お願いします。
○東室長 一番最初にお話ししましたバリアフリー法の説明は、本来はここですべきかなと思っていたのですが、いずれにしても、バリアフリー法で定められた、ある意味最大公約数的な類型化された基準だけでは差別禁止の分野では狭すぎるというか、差別禁止ではもっと全面的な形で議論されるべきではないかという感じは持っております。基本的には、総則での合理的配慮の議論がここでもかぶさってくるだろうと思いますけれども、特に公共交通機関、建物について、特段合理的配慮として議論しておかなければならない点があれば、ここで議論していただければと思っております。
例えば、池原委員、大谷委員、竹下委員から出されております、日弁連の要綱案の概要を見ますと、だれが合理的配慮を提供すべきか、かなり細かく書いてあったり、最低基準というものを差別禁止法の中でつくるようなことも書かれています。公共交通機関のところで特段議論しておかなければならない点など、参考にして議論していただければと思っております。
以上です。
○棟居部会長 では、今、室長から言及のありました、これは室長がどこまで加わっておられるのか私は存じあげないけれども、全くタッチされていないわけではないと。しかし、お三方、池原委員、大谷委員、竹下副部会長、お三方のお名前が挙がっております、日弁連案といいますか、かなり詳細におつくりになっている、ここではどのように合理的配慮というものをとらえているのか。特に建築物、交通機関について、まさに合理的配慮の合理的配慮をどういうふうに実現しようとしているのか。大谷委員、もしよろしければ御発言いただけますでしょうか。
○大谷委員 日弁連案、自己弁護的で恐縮ですけれども、2007年につくったものですから、その後の変更すべき点も多々あるところではありますけれども、是非御理解いただきたいのは、このときの合理的配慮義務はバリアフリー法なども意識して、合理的配慮義務の制度的保障というか、そういう形で事前に準備しておかなければならないものとして最低基準などを設けて、社会の変化を求めるという意味で位置づけたというふうに思っています。勿論、個別なのですけれども、しかし、すでにバリアフリー法があるとするならば、最低基準を底上げしていく中で、合理的配慮義務を社会的に用意しておくという発想がこのころはあったと思います。
ただし、それは今となってみると、合理的配慮義務の(4)、これを入れておいてよかったと思っているのですけれども、「建築物が最低基準に適合していることが、個別の合理的配慮義務を免除するものと解釈してはならない」というものを入れて全体としての底上げしつつ、しかし、個別にもきちんと保障するということのセットとして考えようというふうにこのころは思っておりました。
ですから、今も2つの法律があるとすると、全体として事前に制度的に保障するものと個別保障を常に意識した法律体制を、これから、交通だけではなくあらゆるものに整備していかなければいけないのではないかというふうに思っています。交通だけではなく、雇用機会の方もそうなのですけれども、雇用率との関係とか、雇用率を達成していればどうなのかとか、教育においても、教育条件を踏まえていればいいのかどうかとか、いろいろな要素が出てくるところに、各法律と差別禁止法の関係が全体に問われてくるだろうと思いますので、そこのところは、こういう条項がやはり必要になってくるのではないかというふうに思っております。
○棟居部会長 確認ですけれども、最初の方では、「合理的配慮義務の制度的保障」という、何か一般性を感じさせるような表現をされ、他方では、最低整備基準というのは非常に一般的なものだけれども、必要な合理的配慮というのは個別的なものだと、こういう意識もおありだと。イメージとしては、最低整備基準というのがハードのまさにミニマムの要請だとして、それに個別の障害者の方の事情等に応じた合理的配慮を個別的に積み上げていくことで、だからこそというのか、委員会が個別の小回りのきいたそういう手当を合理的配慮という格好でやっていくというふうに印象としては持ちました。ですから、余り合理的配慮義務の制度的保障というのに引きずられなくていいということでしょうか。つまり、合理的配慮という新しい考えを確立するために今までの基準という発想とどう関連づけるかというと、基準は最低の一般的な基準で、それに合理的配慮というのをこの委員会で個別に積み上げていく、そういうすみ分けでよろしいですか。
○大谷委員 もうちょっと言わせてもらえば、最低基準に合致しているかどうかに関しては、ある意味では個別の請求権はないわけです、各個人は。合理的配慮というのはあくまでも個人が請求するものですから、個人の請求権に基づいたものがある。それは否定しない、否定してはいけませんと。ただし、社会的に用意しておかなければいけないものもあるという意味で考えた、このころは。この規定の仕方が、今となってみるとよかったのかどうか、反省しなければいけないところもあると思いますけれども、少なくともバリアフリー法と矛盾なく、なおかつ、差別禁止法の中に合理的な配慮を個人請求権として規定するためには、このような規定ぶりがいいのではないかというふうに考えたのだろうと思います。
○棟居部会長 池原委員、何か補足なり、あるいは、それは御自身の理解とは違うとか、そういうことがありましたらお願いします。
○池原委員 いえ、違いません。構造的には、きょう初めて見ていただいた方にはわかりにくいかもしれませんけれども、今までここの部会でも議論をしてきた合理的配慮というのは合理的配慮として、当然、規定されているわけですけれども、それ以外につけ加えているのは、例えば建物であれば、今の議論に出ている最低整備基準というものを権利に関する委員会が設定をして、その最低整備基準に適合しない場合はこれを是正する措置を講ずる義務があると。だから、これは合理的配慮とはちょっと違う一般的な義務の規定の仕方になっているわけです。
交通の方でも、同じように委員会が整備計画というのを策定して、その整備計画に適合しない場合は、これに適合するように是正する義務がある。でも、それ自体は合理的配慮ではなく、合理的配慮の底上げ的なことを試みているということです。
もう一つは、差別の定義の方で、例えば建物ですと、最低整備基準に適合しない建築物を新たに建築したり設計・施工することは差別になるとか、あるいは交通の方では、整備計画に適合しないものを新たにつくったり提供する場合は差別になると。差別の基準としても、整備計画や最低整備基準というのが一応使われる形になっているところが、少し目新しいところかなと思っています。
○棟居部会長 ありがとうございます。
たたみかけて恐縮ですが、最低整備基準というと、言葉のニュアンスとしても、建物の建築基準というようなあらかじめの仕様としてハード的にそのようにつくられるべきであるということに対して、合理的配慮という方は、先ほどの川内委員のお話にもありましたように、3階の事務所から人が出てくると。こういうのでも、まさに人間がサービスを提供するその仕方を工夫するということで、ほかの客とは異なる対応で、しかし、実質同じサービスを受け取るということであればよろしいということなのですか。
つまり、私が言いたいのは、建物のハードであらかじめ障害のある方もアクセスしやすいようにしておけば、そもそも障害があるから合理的配慮をしろという言挙げをしなくてもいいわけですね。余分な権利主張をさせるというのは、勿論、権利がないよりははるかにましだけれども、そういうのも全部スマートに織り込んで、そもそも建物の仕様に過大な負担にならない範囲でというところが、私は合理的配慮というのはそういうのも入るのではないかなと。だから、建物は建物で基準の話、合理的配慮はそれとは別の個別の人の手当みたいな振り分けだと、ちょっとそこで止まってしまわないかなというある意味素人の感想ですが。
川内委員、お願いします。
○川内委員 今の座長のお話、ちょっと違和感を感じるのは、建築物とか何とかというのは既にできているものがいっぱいあるわけで、今回、例えばそういうふうにすべての建築物にエレベーターをつけろとかいうのを規定したとしても、既存のものについては手がつけられないものがいっぱいあるわけです。ですから、そういうところでは、何らかのここで言う最低整備基準に合致しないものがあるということを認めざるを得ない。その場合には、何らかの付加的なというか、基準に合致していないところを補うようなものがどうしても必要になってくる、ということは御理解いただきたいと思います。
○棟居部会長 もとよりそのとおりと思います。私は、今、このようなことを申したのは、引馬協力員の資料の2ページ目、真ん中よりちょっと上の方ですけれども、空港のターミナルのところで、「すべての人に配慮したデザイン・計画("design for all")」と。川内委員の建築の世界ではかなりよく使われる標語なのかどうか、私は知りませんけれども、こういうのがいわばハード的にスマートに組み込まれておれば、一々合理的配慮の出番もなくなるというふうに思ったものですから、古い方に頭が回っていませんでした。どうも失礼しました。
太田委員、お願いします。
○太田委員 太田です。私は、まず第一には、すべての人に配慮したデザインが求められるべきで、例えば階段があってどうしょうもないときは、人的支援でも、それは合理的配慮だという議論もありました。それはそれで合理的配慮でいいと思います。しかし、人に担ぎ上げられるということについて抵抗感を感じる障害者は少なくないわけで、やはり基本的には、階段だけではなく、エレベーターなりの垂直移動のシステムが組み込まれていくべきであって、まず、そういう視点、障害者の誇りとか、プライドとか、人間としての尊厳を損ねない視点に立った合理的配慮的思想を持った施策が組み込まれていくべきだと思います。ですから、「人がいるからいい」という論法では必ずしもないと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
松井委員、お願いします。
○松井委員 先ほどの座長の発言ですけれども、すべての人に配慮したデザインというのは本当にあるのだろうかというか、同じ視覚障害の方でも個人差があるわけです。例えば点字ブロックを整備したら、すべて視覚障害の方はそれで全部行動できるということにはならないわけです。合理的配慮というのは、あくまで個人差というか、ベーシックなことは当然整備しなければいけないと思いますが、ベーシックなことさえやっておけば、あとは自ずと合理的配慮の問題は解決するということにならないことは、座長自身、十分御存じだと思いますけれども、そういう意味ではユニバーサルデザインというものと合理的配慮というのは当然両立するものだというふうに思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
川内委員、お願いします。
○川内委員 引馬専門協力員が出されたものにある、ヨーロッパでは、"design for all"、アメリカではユニバーサルデザインと言っているものですけれども、ここの資料の中で書かれている"design for all"というのが何を意味しているのかわかりませんが、私どものいろいろ今までやってきたことからすると、"based option"ということを言っているわけです。ベースというのは、ある基礎的なものをやる。それでカバーできないものは当然あるわけで、それに対してはいかにしてオプションを加えていくか。このオプションの中に、多分、人的支援というのも入ってくるという考え方になります。ですから、"design for all"、すべての人のデザインというのは理念的には正しいのですけれども、現実的にこれをもって"design for all"だと、一つのものでそれがなし遂げられるということは、現実的には無理だということだけは御理解いただきたいということを申し上げます。
それから、先ほどの永野委員の報告について多少補足をさせていただくと、アクセスボードというのが出てきて、座長も、ワンクッション置くというか、何らかのこういう団体があるのはいいことなのではないかという趣旨でおっしゃったと思いますが、ADAに関しても、アクセスボードというのは非常に重要な役割を持っています。ここで申し上げたいのは、アクセスボードの構成です。アクセスボードがどういう人間によってつくられるかということによって性質が随分変わってくる。アメリカのアクセスボードの場合は、障害のある方々が非常にたくさん入っているということがありますし、例えばサービス提供側の視点で問題を考えていくのか、あるいは利用者側の視点で問題を考えていくのかによって、出てくる結論は全く違うわけです。何らかのアクセスボードなり何なり、そういう組織をつくるとしても、どういうメンバーで構成していくかというのを考えないと、せっかくつくったものが十分な役割を果さないものが出てくるのではないかと思います。
もう一つ、追加の料金なしというのがよく出てきていますけれども、例えば、今、新幹線では車いすで使える席は指定席にしかないわけです。車いすを使う人は指定席料金を払って乗りなさいということになっていて、選択肢を非常に狭めている。これは、特に障害のある方に対して追加の料金を払えと言っているわけではないですけれども、選択肢を十分提供しないというのも、ある種の差別に当たる場合があるというふうに思っています。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
私のある意味不用意な発言から、議論を誘発できたようで、こういう役割が私の役割だろうとよく理解できましたが、まだ、もう一つテーマが残っていますので、おひと言、お願いします。池原委員、お願いします。
○池原委員 今まで出ていることの繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、ただ、合理的配慮とバリアフリー法、あるいは日弁連案で先ほど御紹介した最低整備基準との関係ですが、合理的配慮という考え方と、例えばユニバーサルデザインみたいなやり方というのはそれぞれ長短があると思います。合理的配慮というのは、基本的には個々の障害のある人の特性に100%フィットするというか、要するに障害があるからといっても全部同じわけではないわけです。身体の障害とか精神の障害といっても、皆さん一人ひとり違う特性を持っていらっしゃるわけですから、合理的配慮義務を果たしてくれというのは、いわば一人ひとりの障害のある人の特性に応じた配慮をしてくださいという意味では非常に個人にマッチしたものになると思います。
ただ、それを実現する手続というのは、権利委員会を通すにせよ、司法機関を通すにせよ、個別的な救済になるので、社会全体を障害のある人にとっても利用しやすくしていくという政策効果は必ずしも高くない。一個一個解決していくということになります。それに対してバリアフリーとか最低整備基準のようなものを設定すると、一人ひとりの人に完全にマッチしているということまではいかないかもしれないけれども、とりあえず社会全体のアクセス性を高めていく効果はあって、そこでは個別性と全体性というのがちょうど裏腹の関係になっていると思うのです。
ですから、少し考えなければいけないのは、差別禁止法は差別禁止法で独自につくればいいし、バリアフリー法はバリアフリー法で独自にやればいいんだということで済むのか、車の両輪みたいな形でかみ合うようなことをどこかに装置として入れた方がいいのか、ということは考えた方がいいと思います。
○東室長 大谷委員も池原委員もおっしゃることはそうだと思います。ただ、現実的にはバリアフリー法という一定の最低基準を示したものがあります。改めて差別禁止法の中で同じものをつくるのかといったことになりますと、差別禁止法をつくる課題以上に大きな課題を背負うことにもなるわけです。
問題は、差別禁止法と、それを一般的に底上げする法律が実質的な関連を持って、同じ方向性を向いていくといったことが大事ではないかなというふうに考えています。そのためには、そういう基準だけつくってもなかなかそれがうまくいかない。そこを実質的にうまく機動させていく、例えばアメリカで言えばアクセスボードとか、そういうものの介在が要るのではないかという御議論なのだろうと思いますが、その点に関しては、差別禁止法でどういった救済機関ができるかということにも関係してくると思うのです。それとともに一般的な問題としては、障害者基本法で予定されている政策委員会が果たしていく機能も一つ頭に置いておかなければならないと思います。その必要性ということは十分わかるのですが、現実的なところで差別禁止法としてどういったものを用意すべきかといった辺りも、考慮に入れてほしいということも考えております。
○棟居部会長 残りの時間で、第3コーナーの後半として用意しておりました、非常に大きなといいますか、今、既に室長が多少お触れになったことに関するテーマですけれども、この点の議論を、議論するほど時間は残っておりませんけれども、それぞれ御意見を賜ればと思います。そのテーマというのは「差別禁止部会における今後の議題」に関してでございます。
まず、室長から5分程度で御説明をいただきたいと思います。資料2をお手元でごらんください。
○東室長 これは従前から皆様に配付しているものでありまして、これまで労働をやって、選挙、司法等をやりまして、きょう、公共的施設、交通施設の利用といったところをやっております。あと、教育と情報、日常生活という大括りで括った部分が残っているわけですけれども、このマルで書いてある部分は当然ここで議論していくことにします。けれども、これ以外に、もっと違った切り口からこういう視点でこういうテーマを取り上げるべきではないかといった分野があれば、議論をしていただければと思っているところです。
○棟居部会長 池原委員、お願いします。
○池原委員 2つほどあるのですけれども、一つは、日常生活の中に含まれている医療という分野です。この医療というのは、障害のない人であれば容易にアクセスできる医療であるのに、障害があるがゆえに医療サービスを受けられないとか、そういう側面で書かれているのかなという気がするのですが、権利条約の例えば14条の「障害を理由とした自由の剥奪は許さない」と。あれも平等原則に基づく規定だと言われていますけれども、その14条辺りのこととか、19条辺りの地域生活を保障するという観点、特定の生活様式を強いられないとか、そういう観点での例えば精神障害の人の社会的入院問題とか、強制入院問題とか、それ以外の障害の方でも施設での生活を余儀なくされているという状態。例えばADA法関係だと、有名な例のオルムステッド事件などでは、本来地域に十分な社会資源が準備されれば退院可能な人が、それがないために退院できないというのは一定程度差別になる。そういう考え方もあるので、その辺りは医療に全部含めて議論できるのかどうかというところは、別立てに一つ考えていくべきではないか。差別禁止法の条文に落とせるかどうかまではわからないのですけれども、論点としては議論した方がいいのではないかというふうに思います。
もう一点は、今まで余り意識しないで議論をしてきたのですけれども、差別禁止法がもしできた場合、差別禁止法に基づいて合理的配慮という作為を求めるという法律効果を期待できるということと、もう一つは、差別の定義が明確になるので、差別を違法であるとして損害賠償の請求ができることになると思います。従来の日本の人格権侵害とかいうレベルの、いわば差別事例についての損害というのは一体何なのだろうということになると、違法性は認められるけれども、損害というのは例えばせいぜい慰謝料になる程度かとか、あるいは実際にレストランを利用したかったのに差別されて利用できませんでしたという訴訟を起こしたときに一体どんな損害賠償になるのだろうかというと、従来からすると、非常に小規模なものになってしまう。勿論、そういうものは権利委員会みたいなもので大部分が救済されることもあるのかもしれませんが、わざわざ裁判を起こすほどのインパクトがそこで得られないのではないか。
アメリカなどでは懲罰的損害賠償制度があるので、それなりに大きな損害賠償ということになり、したがって、差別が発生した場合には、変な言い方ですけれども、ただでは済みませんよという話になりやすいのですけれども、日本だと、損害賠償請求をしても、別にちょっと損害を払えば負けたとしても大したことはないということになりはしないかという、いわば法律効果の方の側面をもう少し検討した方がいいのかなというふうに思いました。
○棟居部会長 西村委員、お願いします。
○西村委員 ここで挙げられているものといいますか、これから挙げるものも含めて、やはりそこでは差別がある。だから、それを解消するための取組、あるいは法律の制定が必要であるということでの理解に立った上での分野ということで、発言させていただきたいと思います。
一つは、女性障害者という分野が必要と思ってます。制度改革の中での女性に関するこの間の取組につきまして、ある程度承知はしておりますが、国際的にも女性障害者という人たちが、女性であり障害者であるということで、さまざまな生活上の困難さを負っているという報告や取り組み等もなされているということ。それから、基本法の議論の中ではそれが消えていったと聞いておりますが、条約の中では明確に含めているということで、女性障害者が必要であると思ってます。
もう一つは、障害児が必要であると思います。教育の分野でも障害のある子どもたちについては触れてくるのかと思いますが、それ以外の分野も含めてさまざまな場面や保護者の方たちも含めまして、生活上の制限や制約を受けているという実態も相当数聞いておりますので、障害のあるお子さんたちの課題につきましても、今後の検討課題として挙げておく必要があると思っています。
○棟居部会長 ありがとうございました。
松井委員、お待たせしました。
○松井委員 権利条約の中では、例えば文化的生活であるとか、レクリエーション、余暇、スポーツなども入っておりますので、特に社会生活全体を考えると、そういう側面のこともきちんと取り上げた方がいいと思いますので、よろしくお願いします。
○棟居部会長 ありがとうございました。
川島委員、お願いします。
○川島委員 西村委員の先ほどの発言と重なって、それをより包括的に、例えば外国籍の障害のある人とか、難民の障害のある人とか、そういった問題を一括りにして、障害のある女性と一緒に検討するのはどうかなと。そのときに、イギリスの2010年平等法では、結合差別、複合差別という概念がありまして、障害のある女性という方たちに対する差別を禁止しておりますので、そういうのも一つ、検討していいのではないかなと思っています。
○棟居部会長 ありがとうございました。
太田委員、お願いします。
○太田委員 西村委員、川島委員の提案に全面的に賛成したいと思います。是非これを、マイノリティな障害の問題をどう落とし込むかは別問題として、きちんと議論をしてほしいと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
浅倉委員、どうぞ。
○浅倉委員 できれば障害を理由とするハラスメントというのをどこかに盛り込んでいただければと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
ほかに、項目立て等について御指摘はございませんでしょうか。
では、今、寄せられた幾つかについて、今後どういう方針か、予定があるとか、おっしゃっていただければと思います。
室長、お願いします。
○東室長 随分挙がりましたので、正直言って、時間が用意できるのかと心配です。1か月3回ぐらいやればこなせるかなというふうに思っています。そうなると、推進会議の当初みたいなやり方になります。いずれにせよ時間のお尻は決まっていますので、できるだけ効率よく議論したいと思います。ただ、すべて条文に落とせるかどうかというのはこの議論次第だと思いますけれども、できるだけやっていければなと思っております。3月が一つの区切りでありまして、そこまで全部は入りきらないと思いますので、課題として残すような形で一旦は切らざるを得ないところもあるかと思います。
あと、確かに総論的な議論として法律効果の部分がちょっと抜けていたかなというふうに思います。特に日本の民法、民事訴訟法、保全処分などに関する関係で、例えば処分禁止の仮処分とかありますね。仮処分で出されるような具体的な一定の義務づけをする命令みたいなものが裁判所として出せるのかどうかとか、そういった辺りの議論が、山本先生もせっかく来ていただいておりますので、そういうものが日本の法律体系で可能なのかどうなのかも含めて、総論的な問題として議論が必要かなというふうに思っております。
また、ハラスメントに関しては、ハラスメントの一つである虐待防止法は障害者に関してもできております。ただ、ハラスメントといえば虐待だけではないわけで、その辺の関係をどうするかという議論が外延の問題としてあるかなという認識は持っております。
これらの意見を受けましたので、具体的にどういう形でやっていくか、ちょっと検討させていただいて、次回もしくは次々回ぐらいには方向性を出していきたいというふうに思っております。ありがとうございました。
○棟居部会長 山本委員、御発言がありますか。お願いします。
○山本委員 これは確認をさせていただきたいのですけれども、ここまで含めると期間内に法律がうまくまとまるかどうかという問題が生じかねないのですが、権利を認めるとして、権利実現の方法が、法律効果ともかかわるのですが、問題となります。特に救済手段については、今、東室長がおっしゃったとおりで、集団的ないしは団体的な権利実現の手法、特に団体訴権のようなものまで、すぐかどうかは別として、視野に入れるかどうかがかなり大きな問題の一つではないかと思います。特に、個別の障害者の方に権利救済を認めるだけで本当にうまく機能するのかというと、なかなか難しい側面もあるだろうと思います。その意味では、検討課題に属するのは間違いないのではないかと思いますが、今回そこまで含めるかどうかは、また別問題かもしれません。この点は、課題設定の射程をどのようにお考えなのでしょうか。
○東室長 消費者関係の法律には団体訴権があるわけです。昔、英米法的なクラスアクションなどの議論もあったと思います。団体訴権とクラスアクションが一緒のものかというと、ちょっと違ったものではあるとは思いますが、個人だけの権利擁護活動ではカバーできない部分をそういう手法でやっていこうという流れではあると理解しておりますので、これも含めて検討するかどうかも、今後、検討した結果をお話ししたいと思います。
○棟居部会長 時間が尽きております。以上で第3コーナーを終わらせていただきます。
これで本日の議事は終了しました。
それでは、最後に東室長から、次回の予定等について報告をお願いします。
○東室長 どうもありがとうございました。
次回以降の予定ですが、次回12回は1月27日、13回が2月10日、14回が2月24日、15回が3月9日、16回が3月16日です。いずれも金曜日でございます。
次回の予定ですが、できれば省庁のヒアリングを入れたいと思っておりますが、まだ具体的に細かい点までは確定しておりませんので、一応の予定ということで考えておいていただければと思っています。変更もあり得るところです。
以上でございます。どうもありがとうございました。
○棟居部会長 どうもありがとうございました。
本日の差別禁止部会の概要につきまして、この後、記者会見において、私と伊東副部会長、竹下副部会長、東室長から説明させていただきます。
本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございました。

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