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障がい者制度改革推進会議 差別禁止部会(第15回)
議事録

○棟居部会長 それでは、定刻になりましたので、これより第15回「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会」を開催させていただきます。
差別禁止部会は、傍聴希望の方に所定の手続きを経て公開しております。また、会議の模様はインターネットを通じても幅広く情報提供いたします。
なお、御発言に際してのお願いとして、発見を求めるときはまず挙手いただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようお願いします。
本日の会議は18時までを予定しております。
それでは、東室長から、委員、オブザーバー及び専門協力員の出席状況と資料説明お願いします。
○東室長 どうもこんにちは。担当室の東です。
今日の出欠状況ですけれども、山本委員と永野専門協力員が御欠席であります。その他の方は御出席です。
本日の議事は、医療の分野における差別禁止についてということと、中間の論点整理についての2つでありますが、15分の休憩を2回取ることとして3つのコーナーで検討していきます。
第1のコーナーは60分で資料1「医療分野における差別禁止について」ということで、担当室の整理メモの項目の中にありますけれども、「第1、精神障害分野に特有の医療に関する事項」といったことについて議論いたします。最初に5分ほど私から簡単な説明をさせていただきまして、その後、質疑と議論といったことになります。
第2コーナーも60分ですが、資料1の先ほどのメモの項目の中で言うと、「第2、医療全般に関する事項」といったことと、「第3、医療における差別禁止について、役務サービスとは別個に規定すべきか、別個に規定すべき根拠は、何か」について議論していただきたいと思っています。これも同じように、最初5分ほど私の方から説明させていただきまして、その後、議論をお願いしたいと思っています。
第3コーナーは60分で、資料2にありますが、障害を理由等とする差別の禁止に関する法制の制定に向けて、論点に関する中間的な整理案について意見をいただきます。これにつきましても最初10分ほど私の方から説明させていただきます。その後で意見をお願いしたいと思っています。
最後に今後の予定といったことが今日の予定です。
次に、資料の確認でありますが、まず資料1があります。これは「医療分野における差別禁止について 担当室整理メモ」とありますけれども、今日の議論の骨子ということで書いております。
資料1と2、そのほかに委員提出資料がございます。これは1冊になっておりますけれども、内容的には、池原委員、大谷委員、竹下委員連名で出された精神分野に特化した医療についての差別の御意見と、太田委員から全般についての御意見、川島委員から法案骨格私案が出されております。
その次に参考資料が2つございます。参考資料1は関連条例法律の抜粋であります。参考資料2は障害者に対する差別を理由とする差別事例の調査抜粋でございます。
以上、お手元にございますか。御確認ください。
○棟居部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。第1のコーナーは60分で、資料1「医療の分野における差別禁止について」の項目の中から、「第1、精神障害分野に特有の医療に関する事項」についてです。
最初に東室長から論点等について資料1に基づき10分程度で説明いただきます。
○東室長 東です。
資料1ということで整理メモを出しております。まず「第1、精神障害分野に特有の医療に関する事項」についてということで掲げております。
御存じのように、障害者の権利条約は精神障害分野の特有の問題として、特に強制入院、強制治療といった点について触れている部分があります。お手元に障害者の権利に関する条約仮訳文の印刷が置いてあると思いますけれども、特に第14条、身体の自由及び安全では、いかなる自由の剥奪も、途中省略しますが、自由の剥奪が障害の存在によって正当化されないことといったような規定があります。そういう障害者全体にわたる問題というだけではなくて、精神障害に関する特有の問題があるのではないかということで議論していただきたいと考えているわけです。
ただ、そこで考えなければならないのは、障害者の権利に関する条約の14条は身体の自由及び安全という形で規定がなされていますけれども、差別禁止という観点から見てどうなのかといった議論をここではしていただければと思っておるわけです。
そして、そういう問題を日本で考える場合には、精神障害につきましては強制入院についての法制度があるわけですので、その関係をどう考えるかといったことについても御議論いただきたいと思います。
参考資料1をお開けください。点字のページ数はわかりませんが、墨字の方だと4ページ以下、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律ということで、ここで抜粋しておりますのは、入院形態として任意入院、都道府県知事による入院措置、いわゆる措置入院、医療保護入院と言われるもの、更には応急入院というのがありまして、任意入院のほかは一定の要件の下に強制的に入院させるといった規定があるわけです。
6ページ、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、いわゆる医療観察法の下でも裁判所によって入院等の決定がなされる、一定の要件の下に強制入院が認められるといった法制度があるわけです。こういうものをベースに、現行法等の関係をどう考えるかといった問題であります。
そういうことを前提にここの分野における差別の定義、合理的配慮の定義、またはその例外をどう考えるかといったことの御議論をお願いしたいと思っています。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございます。
それでは、質疑及び議論に入らせていただきます。時間は50分少々を予定しております。それでは、この点につきまして、初めに、委員提出資料の最初に池原、大谷、竹下委員による医療の分野における差別禁止についてという委員提出資料の1ページから後ですが、ここで貴重な資料をちょうだいしておりますので、御解説をお願いできれば話の取っかかりとして非常にありがたいので、よろしくお願いします。
○池原委員 池原です。本日提出の池原、大谷、竹下提出資料に沿ってちょっと御説明させていただきたいと思います。
今、室長の方から提示いただいた論点について、ほぼ基本的な考え方で私たちに少しまとめてみたところです。
1ページ目から簡単にかいつまみながらお話したいと思いますが、まず障害者権利条約14条は先ほど御指摘がありましたように、障害を理由として自由の剥奪を禁止するという条項を置いています。これをどう読むかということですけれども、これは障害のある人だけが、とりわけ精神障害の人は特にそうですけれども、特別な自由剥奪処分の対象にされているという状況があるということを踏まえて、ほかの人であれば、例えば精神保健福祉法の規定に沿って言えば、精神障害のない人はどんなに自傷他害のおそれ、つまり自分を傷つけたり、他人に危害を加える恐れがあるとしても、それだれで自由剥奪ということにはならない。あるいは非常に病状が重くて入院治療を受けなければ非常に重篤な健康被害を生じるという状況にあったとしても、精神障害以外の人は強制的に入院させられるということはない。
しかし、精神保健福祉法という法律にのっとって考えると、精神障害というファクターが加わると自傷他害の危険性があり、あるいは判断能力がなくなっていて病状が非常に重いというときには強制入院の対象になるということになって、これは言わば障害のある人とない人で人身の自由というか、自由についての制約の仕方が偏っているのではないか、そのことを差別だととらえて、そういう差別的な自由剥奪は許さないと規定したのが14条だと解釈できると思います。
これは障害者権利条約が審議されているときの審議資料などを読みますと、14条についての最終的な議長のまとめの言葉の中にこの規定が障害のある人に対する差別という観点から定められたものであるということについては全体の意見は一致しているというようなまとめがあって、そのことは今のような理解を裏付けていると思います。
ちなみに少しさかのぼって申し上げますと、確かに精神障害の人に対する強制入院というのは当初は人身の自由という点に非常に大きなポイントがあったのです。これは20世紀の前半というか半ばぐらいまではそうです。
しかし、それ以降はむしろ治療との関係で自己決定権を侵害するものではないかという論点がだんだん出てきたわけです。1970年代から80年代にかけてです。特に今度は障害者権利条約が更に付け加えたのは、そういう人身の自由とか自己決定の侵害というファクターと更に加えて平等性という、つまりほかの人だったら同じ条件でも自由が剥奪されないのに、なんでこの人たちだけは同じ条件下で自由が剥奪されることになるのかというところに焦点を当てたのが14条という理解です。
同権利条約の19条は、地域生活の権利ということを保障していて、特に特定の生活様式を強いられないということが定められていまして、これは知的障害の方とか精神障害の方がしばしば地域から離れたコミュニティから隔絶されたところに隔離されて収容されているという状況を踏まえて、そのような状況を改善すべきだということを言っていまして、これも言わば精神科の入院というのがほかのOECD諸国に比べると平均でも15倍ぐらいの長さであるとか、5年以上入院している人が15万人以上存在するとか、そういう状況を踏まえると、もう病院に入院というよりは生活施設化している部分もあって、そういう点からも入院ということは考えなければいけないのではないかという指摘がされていると思います。
3番目は、特に医療とかリハビリテーションに関わるスタッフに対する教育内容として言及されているのですけれども、当然、医療とか福祉とかリハビリテーションというものは任意に行われるものでなければいけない。つまり、それを利用する人の自発的な意思が前提にあって初めて成り立つものだと。それが当然他の医療や福祉では前提とされているわけです。ですから、権利条約は言わばほかの人と同じ内容で同じ質の医療とか福祉とは何かというと、その内容の中に任意性とか自発性というものが含まれていると書かれているものと見るべきだろうということです。
最後に17条ですけれども、これはインテグリティの保障ということをしておりまして、ただ、このインテグリティという概念はまだ我が国ではなかなか定着していない感がありますけれども、特に障害との関係で言いますと、2行目のところで書いていますように、障害を医学的に治療されるべき望ましくない状態であるとして、本人の意思にかかわらずに医療が強いられてきているという状況を踏まえて、障害のある人の自律性とアイデンティティを保障して、医学モデルが生み出す障害に対する否定的評価と差別をなくすということを明らかにするために17条が定められたと理解すべきものと考えられます。
以上のような障害者権利条約を前提にしたときに、障害者差別禁止法として何ができて何は難しいのかということについて考えてみますと、まず1つは現行法上、既に存在している強制入院制度、これは主として精神保健福祉法に規定されているわけですが、これを同じ法律のレベルで直ちに改廃してしまうということは難しいのではないか。確かに純法学理論上は後法優位の原則といって、後からできた法律は前にできている法律の内容を変えることができるという考え方はあり得るわけですけれども、我が国のように非常に高度に整備された法制度の下では当然国会が法律を通すときに矛盾している法律をそのまま残したまま別の法律を通すということは難しいでしょうから、やはり差別禁止法で明らかに現行法と対立してしまうような規定をすぐにつくるということはなかなか難しいかもしれないということがあります。
ただし、注意すべきは、障害者権利条約が国内法的効力をするに至れば、条約とは当然法律より上位にある法規範ですし、それを批准した国会あるいは内閣、政府としては権利条約に矛盾するというような法律は批准前後に置いて整備すべきであるという義務が当然発生することになるので、精神保健福祉法を変えていく必要は出てくる。それは当部会あるいは内閣府の償還というよりは、国会なり、あるいは厚生労働省なり、その法律を所管する省庁が第一義的な責任を負うということになるのではないかと考えます。
これに対して、つまり、今申し上げたことは、明文化されている強制入院制度に明らかに対立する規定を設けることは難しいですけれども、そうではない部分、とりわけ個別的治療行為については、実は我が国では強制できる条件とか根拠とか、あるいは代諾の方式ということも明文化されておりませんで、これは成年後見者制度の議論の中でも、成年後見人に医療同意の経験があるのかという議論がされて、それは現行法上は規定できないというところでとどまっているわけですので、現在の我が国の実定法では個別的治療行為についての強制とか代諾については特別明文の規定が置かれているという状態にはないということですので、この部分について障害のある人の自律性とか自主性とか平等性という観点から差別禁止規定を置くことは現行法上は別に大きな問題はないと考えられます。
もう一点は、強制入院の実定法上の要件そのものを変更するということは、先ほど申し上げたように差別禁止法で変更するということは難しいのかもしれませんけれども、しかし、入院に当たって、あるいは入院した後で地域で生活できるような合理的な配慮といいますか、つまり、しっかりした合理的配慮がなされていればわざわざ入院する必要がなかった、あるいは入院はしたけれども、ちゃんと合理的配慮がその後整備されればほどなく退院できるという状態であるのにその配慮を尽くさずに、入院をさせたりあるいは入院を継続させるということは、入院要件とはまた別の観点から差別になる、つまり、合理的配慮義務違反ということになるので差別になるという観点での規定の仕方はできるのではないか。そのようなことをすることで、できるだけ入院を減らしていって、地域で生活する権利を保障していくということも機能的に可能になってくるので、そんなやり方ができるのではないかという観点から条項を整理してみたのが2以降ということです。
2以降については後ほど御説明した方がよろしいかと思います。
○棟居部会長 そうですね。どうもありがとうございます。
非常に貴重な御指摘をちょうだいしていると思うのですけれども、こちらで進行上最初に第1のコーナーと申し上げましたのは、精神障害分野に特有の医療に関する事項ということなのですけれども、これは医療の中で精神障害をどうとらえるかという特異性を際立たせるか、あるいはほかの医療と同じように議論すべきものも勿論あるので、今、余り厳密に精神疾患に限定する必要は必ずしもないですか。今、お出しになっている資料の説明の限りでは。
どうぞ。
○東室長 やはり現行法との関係で言いますと、障害者一般に関する特別な医療制度ではなくて、精神関係の特別な法制度がありますので、その点の考慮という関係から言えば、一定特化した議論にしていただきたいと思っているということです。
○棟居部会長 ありがとうございました。わかりました。
池原委員、どうぞ。
○池原委員 もしかするとこれはJDFとか太田さんの方から言っていただいた方がいいのかもしれません。精神障害の団体の人たちの見解というか御意見として私が会議前に少し伺ったりしているのは、最終的には結局精神に特化した議論というのは精神を特殊枠組みにしていくということになってしまうので、最終的にはその枠というのはないことが目指されるのだけれども、ただ、室長がおっしゃっていたように、現行法が何せ精神に特化したシステムをつくってしまっているので、それとの関係ではそこは現段位では議論せざるを得ないのかなとは思います。
ただ、私としては、例えば先ほど申し上げた医療保護入院もみたいな、判断能力が非常に乏しくなっているのだけれども、医療の必要性というのは非常に高くて、しかも医療を与えればそれなりに命を保つことができたり健康を回復することができるということがはっきりしているような場合には、例えば交通事故で意識を失ってしまったりとか、心筋梗塞とか脳梗塞で倒れて意識がないという状態のときに、当然本人の意思に戻りつかずに医療的な介入をせざるを得ないという場合があり得るわけですが、そういうことも含めてある種のユニバーサルなシステムというのが最終的には望ましいとい思うのですけれども、当面は今現に目の前に精神保健福祉法があるので、そこを無視した議論というのはできないということはよくわかります。
○棟居部会長 ありがとうございました。第2コーナーで医療全般といいますか、その役務サービスとの関係といった観点で、医療について一般的な時間帯を設けています。ということもあり、最初に申し上げたとおりのテーマで、つまり、精神障害を中心としてこのコーナーは議論を進めさせていただきたいと思います。
ごめんなさい、川島委員、お願いします。
○川島委員 川島です。ありがとうございます。
私も委員提出資料を提出させていただきまして、23ページ以下なのですが、先ほど池原委員がおっしゃられたことに私は趣旨としてはすべて同意しております。その上で私なりの理解を今回提出しましたので、ごらんいただきたいと思います。
32ページをごらんください。上の方に第3項というのがありまして、そこには障害を理由とする差別には、法令に特別の定めがある場合を除き、障害者が希望しない長期入院による医療を受けることを当該障害者に強制することが含まれる、と書いたのですけれども、この規定について説明を書いていますので、そこも読みたいと思います。
本条第3項に関しては、そもそも障害または障害に関連する事由に基づく自由の剥奪、強制入院が人身の自由の侵害であり得ると同時に、障害差別であり得ることを確認する必要がある。この差別禁止法の下でも、強制入院は障害差別に含まれ得るものだと考えるべきである。ただ、この場合、現行法との関係が問題となる。この点を本条第2項で法令に特別の定めがある場合を除きと記しているのは、現行の規定の指示を必ずしも意味しているのではなくて、この差別禁止法と現行法との関係性、整合性に関する文言を本条に置く必要があることを意味しているというところで、池原委員と同じ趣旨だと思います。
もう一点、池原委員の趣旨と同じところが、第4項なのですけれども、本条に関して第3条第2項及び第4条のただし書きは、合理的配慮を尽くした上で、次に掲げることに支障が生じたことを考慮してこれを解釈しなければならない。この第3条第2項は何を書いているかというと、これは障害差別の例外です。
第3条第2項をごらんいただきたいのですが、25ページに第3条第2項というのがあります。私の理解では、第3条の障害差別の定義というのは、不均等待遇と合理的配慮義務の不履行とに分かれるのですけれども、このうちの不均等待遇というのは、障害または障害に関する事由に基づく行為または基準が、障害者または他の者に実質的な不利をもたらすことを言うと。ただし、その目的が正当であり、かつその目的を達成する手段が相応な場合はこの限りではありません。このただし書きは、合理的配慮を尽くした上で障害者及び他の者に提供する役務の質を適正に保つことや障害者及び他の者の生命及び身体を安全に保つことに支障が生じたかどうかを考慮して、解釈をしなければいけないというのが32ページの4項の趣旨です。これも池原委員の御指摘の趣旨と同じものだと私は思っております。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。
お待たせしました。太田委員、お願いします。
○太田委員 JDFの太田です。ありがとうございます。
池原委員のただいまの御説明に基本的に特に後段においてインフォームドコンセントと合理的配慮の問題を指摘されたことについて、支持をしたいと思います。その上で、JDFとしてこの問題を議論した結果、池原委員がおっしゃったように、精神障害者問題をなぜ特別に出さなければならないのかということが意見としてありました。
池原委員もおっしゃったように、現実の法制度の中で強制入院させたられたり、強制治療をさせられたりという障害者の中には、精神障害者の方が多く、また、差別というファクターで考えてみても、精神障害者特有の問題、精神障害者と医療の問題は極めて大きいことが確かであり、JDFも共通の認識を持っています。
ただ、強制治療や強制入院ということをさせられているという人たちは、精神以外にもいるのではないかと。例えばこの間の会議では、ろうあ者の方がろうの娘さんを病院に通院をされたところ、医者がろう症という病名を付けて、その娘さんの同意なくして半ば強制的に入院をさせてしまったというような意見も出ていました。
私が言いたいのは、まずインフォームドコンセントと合理的配慮という点を徹底されて、差別をなくしてほしいということであります。
同意なき治療が行われることが問題だと思いますので、そこをまず差別禁止法ではきちんと取り上げて医師法で同意に基づいた医療をきちんとしていけば、必然的に次の問題解決の俎上に上がってくるだろうと思っています。ですが、精神障害者の問題でもあり、多くの障害者の問題でもあるという見方をJDFとしては取っていただきたいと思います。勿論、強制入院というものがもしあれば、それは差別禁止という観点から言えば、大きな問題、差別とされてきたという立場に変わりはありません。
川島委員に質問でありますが、今の現行法との関係です。現行法を特別支持するのではないということでしたが、やはり現行法での関係を整理するということは、現行法を維持する。具体的には精神保健福祉法や医療観察法で維持されているわけで、現行法との関係を整理するのはどういう意味でしょうか。それを再度お伺いしたいし、また生命などの安全に及ぼす場合については、もう少し具体的な説明をいただきたいと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。太田委員におかれましては、精神医療に絞るという方針に賛成いただきながら、医療一般の問題とも関係していると。先ほど私が先走って申し上げたことをかばっていただいてありがとうございます。
また川島委員に対して直接具体的な質問を最後の方でおっしゃいました。川島委員、今お答えされますか。関連の質問。川島委員、では待っていただいて、先に山崎委員、関連をお願いします。
○山崎委員 山崎です。ありがとうございます。
私の川島委員への質問も先ほど太田委員がおっしゃったことと多分同じ趣旨だと思うのですが、場合によっては視点が違うかもしれませんのでここで割り込ませていただきます。
資料1で東室長が第1の1、2、3を御説明になって、その2で現行法、精神保健福祉法や医療観察法との関係をどう考えるかという問題が記載されています。私はこの点は非常に大事だと思います。この点につきましては、池原委員も太田委員も権利条約の趣旨を踏まえれば現行のここに書いてあるような法律に非常に問題性があるということは、十分に御指摘になっているところです。私も全く同感でございます。そうした現時点での日本の法状況をとらえるとすれば、私どもが差別禁止法を新たにつくる場合、当然バッティングが予想されます。そこでどうやって調整するか。特に、私の関心は、この部会がどこまで、何ができるかということでございます。この点につきましては、池原委員もおっしゃったように、精神保健福祉法等については、厚労省の所管でございますし、そちらの方の審議会もあることですから、直接的にこれらの現行法について改正案を提言するというのは難しいと思います。
しかし、他方で、関連する事柄を扱っているこの部会としては、問題性を指定して差別禁止法を制定するという観点から、現行法の問題点はきちんと果敢に指摘すべきだろうと思っております。これが第1点です。ここから先が川島委員への質問です。
恐らく太田委員がおっしゃったことも場合によっては今私が申し上げた問題関心と同一かもしれない。それはさておきまして、今、申し上げたことを前提として、川島委員への質問ですが、32ページの先ほど御説明になった、この差別禁止法、現行法との関係性、整合性に関する文言を本条に置く必要があることを意味しているということなのですが、この辺りを具体的にどういうような、技術的な側面も含めて、解決策が可能と現時点でお考えになっているか教えていただければ幸いです。
以上です。
○棟居部会長 では、川島委員、お願いします。
○川島委員 ありがとうございます。今の太田委員と山崎委員の御質問に対してお答えします。まず私の案の32ページに法令に特別の定めがある場合を除きと書いたのは、現行法を支持しているのではなくて、現行法との関係というものを念頭に置きながら部会で議論しなければいけないという趣旨なのですが、そのときに強制入院だけではないのです。教育にしても労働にしても現行法との関係というのを常に念頭においてここで議論しているわけですから、ただここで強制入院が論点になるという部分が予想できたので、こういうふうな書き方をしたということが1つです。
この部会でどこまで踏み込んで現行法の差別性とか欠格条項とかも含めて議論できるのかということなのですが、それは池原委員のようなお考えもありますし、とりあえず現行法を括弧に入れて、とりあえずここで議論できるものはすべきか、それともそういうアプローチではなくて、現行法も視野に入れてこの部会で議論はするというアプローチをとるべきか。そういうことは、実は私の中ではどちらがいいかというのが実はよくわかっていないというのが現時点です。
関連して山崎委員のどうしたらいいのかというところも、当然今の間口の問題がわからないので、そういう具体的な解決策も全く示せておりません、ということが私からのお返事になります。
○棟居部会長 ありがとうございました。ちなみに確認ですけれども、川島委員の32ページの説明というところに書かれておりますが、本条3項というところ、障害を理由とする差別に、法令に特別な定めがある場合は除きという形で現行法はもうそちらで逃がす。つまり、川島案の条文では現行法には触れないという書きぶりを一応ここでは仮の案としておとりになっているという理解でよろしいですか。
つまり、現行法とどういうふうにこの部会として関わっていくのかという先ほどお立てになった問に対してもかなり消極的な答えをこの案文では取られているという印象ですが、それでよろしいですか。
○川島委員 ありがとうございます。川島です。
そのような消極的な姿勢に見えると思いますけれども、そう思われてしまうことを恐れて、説明のなかで必ずしもそういう趣旨ではありませんということを書いたつもりです。ですから、条文だけ見れば消極的に見えますけれども、説明では必ずしもそういう消極性をここで私は表明しているわけではない、ということをここで述べたいと思います。
○棟居部会長 今の点について、池原委員の最初の御説明、あるいは大谷委員、今、協議されておったかもしれませんけれども、振らせていただいて、2ページの先ほどの2点、つまりインフォームドコンセントを差別であるとすると規定を置くことは現行法と抵触しないと考えられる。その下の○のところですけれども、合理的配慮を尽くさずに入院を開始し、また継続させることは他の者と平等に地域生活を享受することを妨げることになるので、差別となるとする。つまり、強制入院という点には触らずに、その後の入院を継続して地域に速やかに戻さないという点をとらえていけば、現行法とはぎりぎり抵触しないで進むというインフォームドコンセントと地域生活に戻していくという2点、これはギリギリのところで厚生労働省所管の現行法との競合をお避けになっている。しかし、ぎりぎりは頑張るという御提案と理解してよろしいですか。
どうぞ。
○池原委員 池原ですけれども、実は日弁連案は川島案と似ていて、現行法に特別な定めがある場合は除くというような規定の仕方を書いているものもあるのですけれども、何か解説文が付けば川島委員の言っていることは、勿論、理解可能、わかるのですけれども、条文の文言だけを読むと、どうしても現行制度を追認しているような、むしろ現状をそのまま肯定して受け入れてしまっているような認識を見はしないかということが懸念されるので、余りあえて踏み込んで逆に大上段に振りかぶって強制入院はそもそも差別なのだけれども、でも、現行法はOKというような書き方をするのは、本当の意味での差別を減らしていくということになりにくいのではないかと思っておりまして、したがって、余り真正面から現に存在に法制度について積極的な言及をしない方がいいとか悪いとか、言わない方がかえっていいのかなと、基本的な政策的な判断ですけれども、そういうふうに思ったわけです。
もう一つは、そうなってくると、むしろ非常に大きなチャンスになるのは、現行法がまだしっかりとした規定を置いていない、しかし、大方のコンセンサスは得られつつあるような分野というのがあるわけですね。
例えばインフォームドコンセントをしなければいけないというのは、おおむねコンセンサスを得られつつあるような領域で、医療基本法のような形、あるいは患者の権利法のような形ではっきりとした法律はまだできておりませんし、したがって、逆に精神障害のある人にはインフォームドコンセントをしなくていいなどという規定も勿論ないわけで、こういう部分についてはある意味で差別禁止法が先取りできる、率先して1つの規範を提出できる分野だと思うわけです。
そういう合意が形成されつつある隙間を1つは狙うということが戦略的にはいいのではないかということと、もう一つは、今、委員長おっしゃっていただいたみたいに、明文の要件そのものを変更することは難しいけれども、例えば入院した後の個別的な治療についてすべてインフォームドコンセントをやらなければいけないのですよと、強制入院をさせたら何から何まで強制をやれというるわけではないのですけれども、布石を打つことによって、では、無理やり強制入院されたらといってすべて問題を解決するわけではなくて、やはり1つひとつ地道に治療ついてはインフォームドコンセントを重ねていけばいいのだという認識が広がれば、言わば強制入院の乱用みたいなものについても一定の抑制的な効果は期待できるのではないかと思います。
入院をさせるについても、あるいは入院を継続するについても、既に地域で生活する手立てはないのかというような合理的配慮の義務を課すことによって、これも不用意なというか、乱用的な強制入院ということについて相当程度の抑制的な効果が発揮できると思うので、余り大上段に振りかぶって、強制入院の要件そのものを変更してしまおうとか、あるいは現行法との関係について追認とも受け取られかねないような文言も入れるよりは、今、申し上げたような構えを取った方が実効性があるのではないかと考えているわけです。
○棟居部会長 たたみかけて恐縮ですけれども、たまたま今お手元にナンバーを振らずにお配りをしてもらっております権利条約の仮訳文、勿論、一部でございます。この14条をごらんいただくと、1項のbの不法にまたは恣意的に自由を奪われないこということ。いかなる自由も剥奪にしたがって行われること及びいかなる場合においても自由の剥奪が障害の存在によって正当化されないことという規定を日弁連さんで議論されたときに意識されていると思うのですけれども、この現行法はいかなる自由の剥奪も、例えば強制入院も現行法という法律に従って行われている。そこはとりあえずは認めるのが実効的というか、現実的という御理解なのでしょうか。
その後の自由の剥脱は障害の存在によって正当化されてはいけない。つまり、インフォームドコンセントといっても、精神障害だからちゃんとした同意はできないですよということで全部省いてしまう、こういうことはだめですよと、条文と対応させると後の部分を意識されているのでしょうか、そこまでの細かい区分けをされているわけではないのですか。あるいは、御記憶があいまいならば結構です。
○池原委員 先に池原からお話しさせていただくと、日弁連の議論、発表されたのは2007年でして、したがって障害者権利条約、2006年の暮れに採択されていますけれども、障害者権利条約の個別的な条項について、すべて日弁連案と対応させて検討したことは時間的に難しかったので必ずしもしていません。
ただ、今、御指摘の条項については、私の理解ではここに行っている自由というのは身体の自由、安全と書いてあるのは主としてここで奪われる自由というのは、入院のような一網打尽に地域で生活している状態を根こそぎにされてしまうという状況を一応想定していて、個別的な治療行為についての規定では14条bはそういう規定ではないのだろうと思っているのです。
ですので、14条bが国内法的な効力を持つと、強制入院については当然どうするかということを考えなければいけなくなりますけれども、先ほどの提案は強制入院については、したがって今のところ考え方としては14条bに違反しているのだけれども、所管事項ではないので、特別その要件に踏み込んだ規定をするということにはしないという立場をとると考えているわけです。
○棟居部会長 わかりました。差別禁止そのものの条項ではない身体の自由及び安全という条約の14条は直接意識したところではないという御説明をいただいたと思います。先ほど最後におっしゃいました合理的配慮を尽くさずに入院を開始または継続させることは、他の者等に地域生活を享受することを妨げることになるので、差別となるという、この部分については身体の強制と差別というのがリンクしております。そこは今の条文と絡むかもしれないと私は個人的には思いますが、大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 議論の進め方も含めてなのですが、川島委員と私たち3名の委員提案の意見がある種かみ合っていないのは、我々の条項に関してまだ説明していないからです。川島委員の方から条項の説明から入ってしまいましたので、そこがかみ合わない。我々はきっと池原委員の方からもう少しその先の条項に関して説明してもらった方が逆にかみ合ってくると思うのです。
実は、我々3人の意見は、本人の求めに応じて保障されなければならないということで、まず医療の原則一般に関しても任意性が保障されなければならないととらえています。差別に関しては、やはり自発的意思に基づかない医行為、これは原則差別だということで提案させていただきたい。では、もう全部自発的意思に基づかない医行為は差別なのかということが問題になってきて、これが法令による場合は除くという一般的な法令に任せてしまうのか、そうではなくて個別的に例えば正当な目的があって、その医行為でなければ結果達成がされないことを証明し得た場合はそれを除くとか、例外事由を非常に限定的にここに定めるというような形で限定解釈を設けていくという方向もあり得ると思うのです。そこで初めて川島委員と議論が整合するというか、同じ問題を扱っているということになると思うのですけれども、ちょっとずれてしまっているように思うので、そこのところを少し整理した方がいいのかなと思います。
ちなみに私は、強制入院という現行法制度はすごく問題だと思っています。特に拡大解釈される可能性があることに関しては非常に問題だと思っていますので、これは全般的な法改正が無理だとすれば、やはり差別禁止法を設けるときには、解釈を制限するような方向性のある、それを保障するようなものを条項に入れるべきだと思っているのです。その限りにおいては、現行法と抵触しないで差別禁止法の制定ができるかなと思うので、そこを少し整理していただきたいなと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。室長から御質問をお願いします。
○東室長 まさしくそこが問題なのですが、3人連名で出してもらったものについては、例外についての文章はないですね。ですから、日弁連の要綱案では先ほど太田委員も質問で挙げられていますけれども、本人の生命、身体のために必要があれば云々という例外事由が、川島委員も書かれているのですが、それと同じような文言があったと思うのです。その上で、3人で出された部分についての例外についてはどういうふうにお考えなのか、もう少しはっきりおっしゃっていただければと思います。
○池原委員 池原です。十分詰めていないのでここは私の個人的な見解ですけれども、その部分は3ページの保健医療における差別の定義というところの(1)の<2>、障害を理由として自発的意思に基づかない医療行為を行うこととなっていて、私の理解では、これは例外が必要ないと思っているのです。つまり、障害を理由として強制するわけですから、ほかの例えば高度の治療の必要性があって意識喪失状態であるとか、そういうのは障害を理由とする医行為ではないので、あなたは精神障害だから非自発的な治療行為、医行為をしますよというのは差別だということでいいのではないか。
○棟居部会長 室長、お願いします。
○東室長 交通事故で植物状態になった場合に、本人の意思に基づく緊急治療行為をできません。しかしながら、植物状態というのは1つの機能障害であるわけですね。そういった意味で言うと、障害を理由にしたという場合の障害を何とするかという議論を総論的にやっていますけれども、植物状態もある意味障害に入ってしまう可能性もあるわけです。そうすると、そこはそういう理屈立てが通るのかどうなのかという点で若干懸念があるのですが、その点はいかがでしょうか。
○棟居部会長 池原委員、お願いします。
○池原委員 障害の定義との関係は、今度総論との動きになりますけれども、総論のときに確かにもう機能障害に限定してしまおうというような議論がありましたので、そこを機能障害ととらえるとすれば、各論で出てくる障害を理由とするというときの障害は機能障害ということになるので、そうなると一定程度の例外要件は入れなければいけないということになると思います。
○棟居部会長 太田委員、どうぞ。
○太田委員 私は池原委員の立場を支持したいと思います。障害を理由に差別を禁止するわけですから、生命の問題に関しての問題で例外規定はイメージ付かないです。ただ、今、室長がおっしゃった緊急医療の問題については、救急は必要とされるわけですから、現に行われているわけで、そういうところで論理を構築して救急医療という観点からその考え方は必要だとは思います。一方で、そういう緊急事態を除いて必ず本人の生命、身体、安全の保障という言い方ではそれが救急医療と結び付く条文は精査が必要だと思いますので、基本的には池原、大谷委員のおっしゃることを支持したいと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。現行法をどうしてもそれとどう関わるか、避けて通るのか、あるいは正面から場合によっては異議を申し立てていくのか、いろいろ現行法という過度に法律論に流れがちな切り口からどうしても入らざるを得ないテーマを今扱っているわけですが、例えば身体の拘束とかという場合でも、拘束それ自体がいけないのだ、自由を剥奪しているからいけないのだという観点よりも、障害者だからという理由で社会的に排除している。つまり、これは医療がテーマですから、そして医療現場がその主な局面ですので、医療モデル的に医学的にこの人はこういう障害、こういう症状があるからという理由が出てくるのだけれども、実はそれを今の太田委員のお言葉で言うと精査をせずに結局は社会的に排除して地域生活に戻さない、そこが差別だという、これはやはり一本線を通す必要があると私は思います。この医療モデル戻りがちなのでそこは気をつけた方がいいのではないかというのが個人的な意見です。
川島委員、どうぞ。
○川島委員 ありがとうございます。川島です。
先ほど池原委員と大谷委員から意見をいただきまして、つまり、私の理解ですと、弁護士の3名の委員の先生方の意見というのは、とりあえず現行法には何も言及しないと。言及した時点で追認したことになるという論理を用いていると思うのです。でも、それでは何の問題の解決にもならない。むしろ言及しないということは、予測可能性が全く失われてしまうのです。つまり、法律が適用されたときに差別禁止法と現行法が言っていることが同じなのか違うのか、抵触したまま放置しておいていいのかしらという問題です。つまり、立法論では、抵触しうるのだったら抵触のところをちゃんと議論していかないといけないと思っています。
○棟居部会長 川島委員の今の御意見、御指摘に、池原委員あるいは竹下副部会長、お名前が出ていますので。
では、池原委員、お願いします。
○池原委員 ですから、抵触している部分を、障害者権利条約をある種の前提的な規範というか根本的な規範として、例えば現在の強制入院制度の要件そのものを変えなければいけないというところまで持っていければそれはそれで極めて有効だと思うのですけれども、少なくとも強制入院は差別なのだけれども、現行法はこの限りでないみたいな書き方をしてしまうと、ほとんど何も言わないか、あるいは現行法はこのままでしようがないですねと言っているのと同じことにならないかというのが私が心配していることです。
○棟居部会長 大谷委員は付け加えることは特にございませんか。
○大谷委員 自発的意思に基づかない医行為ということを一切この立場は認めていないのだと言われてしまうと、そもそも障害を理由とする自発的意思に基づかない医行為、障害ということとの関係で言っているのであって、自発的意思に基づかないイコールすべてだめだと言っているわけではないのだということの理解をしてもらえるかどうかというのが疑問なのです。
例えば次のところで議論するのかもしれませんけれども、感染症に関しては強制治療というか、入院も確かに3日とか10日とか非常に限られた治療期間を認めているのです。最大限20日までだったかなと記憶しているのですけれども、感染症の場合には自発的意思に基づかない医行為の例外を認める。ただし、障害はだめよというような整理になっていくのだろうと思うのですけれども、それが果たしてわかりやすく説得的な議論になるのかどうかと私は思うので、そこは池原委員と違うところなのですけれども、私はやはり一定程度感染症に規定されているぎりぎりの例外的な強制治療、このぐらいのことを予想したものを差別禁止法の中にも例外的に盛り込んでおいた方がわかりやすいかなと雑駁に思っています。そのぐらいの感想です。
○棟居部会長 ありがとうございました。提出された委員の皆さんの御意見あるいは相互の御質問を中心に議論してまいりましたが、この第1コーナーの時間はそろそろ尽きかけております。特に御自身の御意見、御質問で御発言はございませんでしょうか。
では、第1コーナーはここで一旦切らせていただいて、第2コーナーも医療ということで続きになりますので、休憩を取らせていただきたいと思います。
以上で第1コーナーを終わります。再開は15分休憩をいただきまして、今、私の時計が3時7分ですので22分再開とさせていただきます。

(休憩)

○棟居部会長 それでは、そろそろ再開させていただきます。
第2のコーナーは60分で、資料1「医療分野における差別禁止について 担当室整理メモ」の項目の中から、「第2、医療全般に関する事項」「第3、医療における差別禁止について、役務提供サービスとは別個に規定すべきか、別個に規定すべき根拠は、何か」についてです。
最初に東室長から論点等について、資料1に基づき10分程度で説明をいただきます。
○東室長 東です。
医療全般に関する事項ということで、相手方の範囲とか、差別の定義、例外、合理的配慮に関する規定とその例外みたいな形で項目を立てております。
まず相手方の範囲をどう考えるのかということで御議論願いたいのですが、今日お配りの委員提出資料の川島委員のところによると、医療分野において業として物品または役務を提供する者ということで、総括して個々の具体例を規定しております。そういった形で相手方に範囲を規定する例のほかに、例えば韓国差別禁止法を見ますと、医療機関及び医療従事者等という形になっております。日弁連の2007年の要綱を見ますと、医師、歯科医師、薬剤師云々という形でかなり例示的な列挙を含んだ形で規定されています。また、ここには書いておりませんけれども、先ほど池原委員ほか2名の連盟の文書を見ますと、医行為、医療類似行為またはこれらに関連する行為に関与する者という形で、この書きぶりがどこまでの人たちを具体的に想定されているのかちょっとわかりにくいところもありますが、こういう形で規定されております。
特に川島委員が医療分野において業として物品または役務を提供するということで、薬品などを提供する人も含むのかどうかとか、リハビリ関係者はどうなのかとかといった周辺の部分についてどう考えられるのかというところも議論してほしいなと思っています。
差別の定義に関しましては、参考資料1を見ていただくと、3つの条例が書いてあります。その中の千葉県づくり条例を見ますと、合理的配慮を除いた部分の定義としては、医療を提供し、または受けさせる場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為ということで、イとして本人の生命または身体の保護のためのやむを得ない必要がある場合、その他の合理的な理由なく、障害を理由としてということで、次が具体的な中身ですが、医療の提供を拒否し、もしくは制限し、またはこれに条件を課し、その他の不利益な取り扱いをすることといった規定の仕方があります。
ロとして、先ほど議論したことに関連するわけですが、法令に特別の定めがある場合を除き、障害を理由として、本人が希望しない長期間の入院その他の医療を受けることを強い、または隔離することといった形になっております。
これは条例ですので法令に特別な定めがある場合については、文句なしに書かざるを得ないということがありますので、条例にこういう規定があるからそのまま法律もそうだというわけではありません。そこは御注意ください。
例外に関しましては、同じ千葉県の条例でいくと、本人の生命または身体の保護のためやむを得ない必要がある場合、その他の合理的な理由なくといったことが書いてあります。千葉県条例では生命または身体の保護のためという部分は、本人という限定が付いておりますけれども、たしか私の記憶では2000年、2007年の日弁連の要綱案では、他人も含むと読める規定になっていたかなと思います。
また、川島委員につきましては、委員提出資料の32ページの4項の2条、障害者及び他の者の生命及び身体を安全に保つことといったことが合理的配慮をつくった上でという条件付きですけれども、こういう規定が書かれております。
特に例外で問題になるのは、言葉としてはこういう言葉でしようがないのかもしれませんけれども安全性といった文言は非常に抽象的で、ちょっとでも安全性に問題があればそれは正当化事由になるのかならないのか。本当に具体的に危険が差し迫ったような状況を差すのか、抽象的なことでも足りるのかといった辺りに気を配って議論していただければと思います。
合理的配慮に関しましては、先ほどの3名の方の意見書を見ますと、精神を念頭に置いたような形で書いておられますけれども、これは別に障害者全般について当てはまるものでありますので、ここは参考になるかなと思っているところです。
太田委員が先ほど精神障害だけではなくてほかの障害においても強制的に入院とかといった事例があるのではないかという御指摘をされましたね。それもおっしゃるとおりで、その部分については先ほど池原委員の方から説明がありましたところは、規定ぶりとしては別に精神障害に限っているわけではないので、医療全般の問題についても当てはまることではないかなと考えております。
そういうことを考えてみると、第3の役務サービスとは別個に規定すべきかということと関連してくるわけですけれども、医療の分野については精神障害については少なくともほかの問題とは特別な課題があるということはほとんど合意されていると思いますが、その問題を一般障害者に敷衍していくという形をとれば、普通の役務サービス、サービスの提供とは違った形で規定できるのではないかという議論もあり得るかなと思っているところですので、そこら辺も含めて議論していただければと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございます。
それでは、質疑及び議論に入らせていただきます。時間は50分ほどを予定しております。いかがでしょう。
浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 ありがとうございます。浅倉です。
どこで発言したらいいのかよくわからないので冒頭にさせていただきますが、多分、保健医療という分野はほかの差別分野と異なる特徴があると思います。したがって、性別を考慮した医療行為を施す、というようなことをどこかに入れてほしいなと思っております。
もっとも、総論的な論点でも、是非、障害者差別と性差別がどういう関係にあるかということを議論して欲しいと思います。これについては、川島委員が触れられている複合差別とか結合差別、そういったことについて議論する中で触れることになるとは思います。しかし、それとは別に、各論において、とくに保健医療に関しては、性別の差というものに配慮した医療行為が必要だと考えています。
例えば参考資料2の2ページの最後の行ですけれども、男性看護師が女性の体を洗うことなどという例が出ているのです。3ページにも若干ハラスメント的なわいせつ行為とかが載っております。恐らくこういう実態については、口に出せない場合が多く、より深刻なのではないかと思うのです。したがって、障害を持つ女性の方々の声というものがこの部会の議論に余り反映していないというのは、問題であろうと思います。
参考になる条文を探してみました。いつか韓国の法制度を紹介していただきましたけれども、韓国の立法では、29条で、性に関する権利とか、性的自己決定の尊重ということがうたわれておりました。また、31条では、医療機関、医療従事者等は医療行為に関して障害者の性別を積極的に考慮しなければいけないというように、条文化がされております。さらに33条というところで、障害女性に対する差別禁止規定が存在します。差別禁止法ですと、どちらかといえば男女ともに同一に処遇するというところが強調されやすいのですが、そうではなくて、区別なしに同一に扱われること自体が、女性の尊厳を侵害されるということになることもあり、そのことが保健医療の分野ではかなり明確に特徴づけられると思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。素朴な質問を1点だけよろしいですか。医師の側に医師法19条、応召義務、つまり、正当な理由なく診療を断れないという契約強制のような非常にまれな規定がございますけれども、例えば障害者以外の一般の者の場合、女性が女性の医師に診察を求めるということまでは保障されていないわけです。今、浅倉委員が御指摘になったのはそういう医療行為でもやはり女性の障害者のハラスメントの防止あるいは尊厳の確保のために医師等の医療従事者が基本的に女性でなければいけないという、そこまでおっしゃっていますでしょうか。
○浅倉委員 一般的な医療行為がどのように行われているかというところが基準になると思います。現在、私たち障害を持たない者も、ある意味では、病院の中の女性医師、男性医師と選べませんね。ですので、そのような事例は、障害をもつ人と持たない人を平等に扱うべきであるという要請に従うしかないとは思います。しかし医師の選択というような事例以外では、障害を持たない者は多数者なので、病院でもかなり性別をきちんと考慮されているように思います。にもかかわらず多くの場合、障害を特に持っている方は、手が足りないとか、面倒くさいとか言われて、より手抜きの軽減した医療行為が付与されるということが多いと思います。私は、そうではなくて、我々と同じように、性別に基づく医療行為が行われている場合にはそれらを選択できるべきだ、というレベルで考えています。
○棟居部会長 ありがとうございました。同じルールを適用せよという、今日おいでいただいていませんけれども、何度か山本委員がおっしゃっている考え方と同じ考えをおっしゃったと思います。
それでは、先ほど室長が振られました医療一般についてといっても幾つか項目が立っておりますけれども、御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。
太田委員、どうぞ。
○太田委員 まず手話通訳の問題で、通訳を保障することは勿論なのですが、聴覚障害の人が病院に行ってこういう事例があります。通訳者と一緒に行きながら通訳者を介して診察を受けようとしたら、医者の方が通訳者は邪魔だから出ていってほしいと言われて出されてしまい、結局、まともな診療が受けられず、体調がかえって悪くなってしまったという事例があります。通訳保障以前の問題で、通訳者は出ていってほしいと、そういう病院側の意向がある実態をまず皆さんに知っていただきたいと思います。
その上で、室長からのお話について話すと、例外規定のようなものは何らかは必要だとは思いますが、本人の生命、身体、安全を云々という、直接的には診療を拒否できるという条項については、診察そのものが生命の問題ですから、そういう書きぶりは的を射ていないと思います。
もう少し、例えば救急患者の場合は同意を必要とするならば、身体、生命の危険性にさらされるというときに、意思表示が困難なときというような内容の書きぶりではないと、そのままではいけないと思っています。
拡大解釈がされないような書きぶりにしていただきたい。患者の命と人権を守る書きぶりであってほしいと思います。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございました。先ほど太田委員が最初におっしゃったのは、手話通訳者を診察室に一緒に連れて入ろうとしたら、手話通訳者は追い返されたということですね。医者の場合に守秘義務があるということはよく言いますね。そういう規定があるという彼らの倫理的な規範があるということで、通訳者といえども第三者だから、本人以外の第三者に話を聞かせられないということが説明としてはあるのでしょうか。
○太田委員 多分部会長がおっしゃるような趣旨だったかとは思いますが、手話通訳を付けないと医師と患者の話ができないわけですが、医師が何を言っているかわからない、本人が医師に何を伝えたいかわからないわけで、結果としてまともな治療を受けられず、症状を悪化させてしまうというのは、まさしく人権侵害であり、障害に基づく差別の結果、招いた問題だと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。私なりに解釈して付け加えさせていただくと、医師法の19条、先ほども引用しましたが、診療に従事する医師は診察、治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならないという規定が参考資料1の3ページの一番上のところにも引用されています。結局、手話通訳者を入れずに診察をしたというのは、実は診察を拒んだに等しいのではないかという御指摘だったかなと思います。ちゃんとした診察ができないのではないかと。ありがとうございます。
今、医療全般に関すると振らせていただきましたが、先ほどの室長の解説の順番で言うと、相手方の範囲にとりあえず絞った進行を本来しておられなければいけません。そして、浅倉委員の最初の御発言も相手方の範囲ということでハラスメント事案があるのと。医療従事者というときに私がそれは医師の場合には男性、女性を選べないのではないかというよけいな突っ込みをしましたが、それは相手方の範囲をどうとるかということでもあったと思います。ということで、相手方の範囲という観点から池原委員、お願いします。
○池原委員 では、例外のことは後でよろしいですか。
先ほど実は前回のラウンドのところで例外について私の説明が不適切というか、不十分なところがあったので後で。
○棟居部会長 それは後でお願いしたい。
○池原委員 浅倉委員のおっしゃっていたこととの関係を1つだけ申し上げておきますと、我々の提出している意見案の2ページのところ、条項案としては、医療分野の最初のところに保健医療の公平な水準の保障という規定を置いて、何人も障害に基づく差別なしに、障害のために必要とされる保健サービスを含め、他のものに提供されるもの同一の範囲、質及び水準の保健医療を本人の求めに応じて保障されなければならないというような規定でいて、これは言ってみれば、勿論、女性障害者の方についても同じ観点が含まれるわけですけれども、場合によるとこういうところにもうちょっと注意的に、特に性別に配慮しなければならないとかというような書きぶりもあり得るかなと思いました。
相手方の範囲については、現段階で私が確定的な意見を申し上げるということではないのですけれども、議論の立て方として幾つかの私たちの意見をつくるに当たって考えたことを皆さんにお話して議論の素材にしていただければと思うのです。
というのは、多分2つのアプローチがありそうだと思っています。1つは、人とか機関という行為主体側から限定を加えていくというアプローチです。例えば韓国の差別禁止法のように医療機関とか医療従事者というような書き方をしたり、あるいは日弁連案、今日は資料としては出ていませんけれども、医療の担い手とか、医療提供施設というような、これは医療法1条の2に規定されている書きぶりですけれども、そういう主体の側で限定を加える。あるいは川島委員の案も多分それに近いのかなという気もしますけれども、もし後で御説明があればお願いしたいと思います。
もう一つのアプローチは、実は当初私どもは今のアプローチの仕方をとろうと思っていたのですけれども、もう一つの方法は行為の方から考えていくと。実は医師法は医行為を業とするものを医者、医師と呼ぶと規定していて、医行為という概念が一応法律上の概念として徹底されていて、これは実は医行為は何なのかというのは判例上も個別的な限界領域についてさまざまな判決例とか行政判断がなされていて、ある程度蓄積された概念として、おおむね概念の外枠を確定できるものと考えられます。
針、灸、あんま師の方々のような医療類似行為という行為類型があって、医行為は医師でなければできないということになっているわけですけれども、医療類似行為は医師ではないけれども、いずれも特徴としては一定の記述を持った者が行わないと生命、身体に被害が生じる恐れのあるような行為類型が医行為とか医療類似行為と呼ばれているわけです。
医療関連行為という枠組みがあって、これは例えばどんなものを想定しているかというと、血液検査をするときに血液を注射で抜き取るというのは医行為なのですけれども、抜き取った血液の中に、例えばコレステロールが多いか、少ないかとかというのを臨床検査技師が検査するというのは医行為ではなくて、その検査行為自体によって、生命、身体に危害が発生しないので医行為という類型には入らないわけです。ただ、医療関連行為ということになるということで、例えば細菌の培養だとか臨床検査だとか、その検査プロセスの部分は医療関連行為と呼ばれる。あるいは薬剤の製造だとかということも医療関連行為と類型化されていて、これも実はどこまで医療関連行為なのかというのは必ずしも明確ではないけれども、ある程度事例で集積されているということはあるようです。
そうしたある程度事例的に行為類型が蓄積されて、外枠がどこまでなのかということはどうしてもあいまいな部分は出てくるけれども、そういう行為を行う人たちという、行為の方から逆に規定していくというアプローチもあるかなと思いまして、今回、意見として出したのは、ある種議論していただくということも含めて、そちらのアプローチをしてみたわけです。この方が恐らく網羅性はあるのではないかと私は思っています。それが1点。
もう一つは、ちょっと考えなければいけないことは、先ほどの合理的配慮を尽くさない入院とか入院の開始とか入院の継続というのは差別になるのだという部分を生かしていこうとすると、特に強制入院の関係で言うと措置入院ということを考えなければいけなくなってくるのです。措置入院をする人というのはだれなのかというと、都道府県知事とか政令指定都市の長ということになっていまして、この人たちは直接的には医行為を行う人ではないわけです。医療機関でもないわけで、したがって、医療機関とか医療従事者とか医行為というくくりの仕方をすると、実はそこは合理的配慮義務者から漏れていくということが起こります。
そうしますと、私の個人的な思いとしては、そういう強制入院を極小化していく、なるべく地域で生活できるような手だてをしっかり考えていくということが差別禁止法の1つの重要なポイントだとすると、言わば強制入院の1つの柱を支えている知事あるいは政令指定都市の長というのは、合理的配慮義務者から外れてしまうというのはほとんど意味がないというか、非常に重大な穴が開いてしまうということになるので、表現ぶりとしては余り適切ではなかったかもしれないのですけれども、医行為等を行うことに関与することという広げ方をしてみました。日本語的には関わるものという方がいいのかなとは思ったのですが、関わるという表現は余り実定法上されていなくて、関与者というのは刑事法とか会社法とかいろんなところに何とかに関与した者と、例えば裁判官の除籍とか忌避などという事由の中にも別の裁判で関与したことがある者みたいな規定の仕方があって、用語はあり得るので、やや限界が不明確で広すぎるという感じもしますけれども、そういう意図があって関与する者という書き方をしています。
○棟居部会長 ありがとうございました。今おっしゃったのは、委員提出資料2ページの一番下の第○条保健医療における合理的配慮義務の、医行為、医業類似行為またはこれらに関連する行為(以下「医行為等」という)に関与する者はという、そこをお指しになっていますね。
○池原委員 そうです。
○棟居部会長 具体的に意識されているのは、強制入院、措置入院の場合の知事さんであるといった、医療従事者であるとか医行為そのものを成しているとは言いがたい。主体としても行為としても医というくくりになじみにくい存在あるいは行為もとらえていこうということで、室長、お願いします。
○東室長 措置入院の場合は非常にわかるのですけれども、保護入院の場合は関与者というと医師が2名と保護者ということになる。保護者にも合理的配慮義務があるということになるのですか。あと1つは、医療観察法で裁判所も関与しているわけです。裁判所の決定によってという形で主体は裁判所ですから、その場合の裁判所が関わるということになりますか。
○池原委員 ありがとうございます。それは多少考えていて、保護者制度自体は恐らく権利条約の別の観点で、特に12条の法的能力の平等性という観点からすると、現行の保護者みたいな規定が権利条約にかなっているのかどうかということは重大問題でして、恐らくこれも権利条約が国内法的効力を有する前後の段階で、厚生労働省においても慎重に検討するというか、基本的に廃止の方向で検討すべきものでしょうし、現にそういう方向での議論がされていると聞いています。
ただ、現行法を前提にすればやはり保護者も地域で生活できるはずの被保護者かというか、本人をそれだけの配慮をしないで面倒くさいから入院させてしまえというのは、それなりの公的な責任をとわれてもやむを得ないのではないかと思っています。
医療観察法の裁判所の問題について言うと、裁判官自体が何か動くということはできないわけですけれども、この制度の中には、社会復帰調整官という制度があって、この社会復帰調整官が一応入院決定なり退院許可の決定に当たって、生活環境調整とか生活環境長という任務を負っているので、彼らが基本的には合理的配慮的な部分を行って、それを見た上で裁判所が判断するという枠組みになると思います。
○棟居部会長 西村委員、お願いします。
○西村委員 西村です。ありがとうございます。
この相手方の範囲につきまして、日弁連の考え方と川島委員の考え方を確認したいと思っています。というのは、今年の4月から医療的ケア、たんの吸引、経管栄養、これは医療的ケアではなくて医療行為ということで明確に規定されて、医師の指示を受けて、居宅支援の事業所、いわゆる福祉サービスの事業所だとか、介護従事者、更には養護学校の先生、そういった方たちも直接的に医療行為をするということが認められることになります。
こうした方たちは直接的に医療行為を業としている、あるいは役務を提供するという形になると思うのですけれども、ここら辺の方たちに対する考え方について教えていただきたいと思います。
○棟居部会長 川島委員、お願いします。
○川島委員 川島です。ありがとうございます。
完全に含まれると思います。今日、室長がおっしゃられたリハビリテーションを提供する者も含まれますし、薬品を提供する者も含まれる。
まず池原委員の先ほどの質問と関連して、行為主体、義務を負う者を特定するアプローチか、それとも行為を特定するアプローチかという質問がございます。池原委員は行為の方で考える。私は両方で考えるという立場です。両方を明確にしないと、義務を負う者にとってみたら、あいまいで予測可能ではないのです。合理的配慮を提供しないといけないわけなので、ある程度自分がこういう義務を負っているということをわかっていないと、それは義務を負う側にしてみたら、それ自体が心理的な過重な負担になってくるだろうと思います。
私の23ページのところを少しごらんいただきたいのですけれども、23ページは何を書いたかというと、法案骨格試案についてということなのですが、そもそもこの部会で今各論なのですが、義務の対象をなぜ論じなければいけないのかというところが議論になっていると思うのです。私のこの法案骨格試案についての第2パラグラフに、障害差別禁止法の基本構造とは、AはBに対してCについてDをしてはならないと考えていまして、このBに対してDをしてはならないというBというのはどんな人に対してもということです。Dというのは障害に基づく差別をしてはならない。AはCについて、というところを明確にしていかないといけないと思うのです。AとCというのは各則で考える、これは第3パラグラフに書いたのですけれども、労働、教育、役務、医療、福祉、不動産、結社、公務・公益の分野ごとにAとCを明確にするということです。
差別禁止法は公務遂行者だけではなくて、私人の社会経済活動を規制する法律なので、AがだれでCが何かを明確にしていくのが議論にとって大切ではないかと思っております。先ほど都道府県知事とか国家公務員とかそういう人たちについては公務遂行者の部分で扱えるのではないかなと思っております。
具体的に私の意見を簡単に紹介させていただきたいと思いますけれども、医療福祉については30ページで第14条に書かせていただきました。まず室長のところに書かれているとおり、私は医療分野において業として物品または役務を提供する者は、その事業、物品及び役務について何人に対しても障害を理由とする差別をしてはならないという書きぶりでしているのですけれども、ここで本当は網羅的には書きたいのですけれども、私の方でまだ整理しきれていないので、第14条の第1項の第1号から第16号までは、あくまでもここではとりあえずこういったものが今のところ考えられます。ただ、これだけに限らない。第2項では福祉分野において同じような形で物品、役務を提供する者は、事業、物品、役務について障害を理由とする差別をしてはならないという形で、義務を負うものを法律ごとに明確にとりあえずしているのですけれども、ここに挙げた人びとが少なくとも義務を負うのだと考えています。
以上です。
○棟居部会長 室長、お願いします。
○東室長 今、説明なさった中で、なぜ物品というのが入っているのか御説明願いますか。
○棟居部会長 ごめんなさい、時間の進行が非常にまずくて、この第2ラウンドは今、相手方の範囲ということでやっておるのですけれども、これは医療全般に関する差別の定義、医療全般に関する合理的配慮と例外、更に第3として医療における差別禁止について、役務サービスとは別個に規定すべきかという、非常にテーマが残っております。今、川島委員がおっしゃった、そして室長が質問されたのは、結局役務一般との区別の問題だろうと思うのです。ですから、本来後、と言ってもそんなに時間がないのですけれども、とりあえず相手方の範囲というテーマからは切り離して議論ということでよろしいですか。相手方については一旦ここで切らせていただく。
では、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 相手方の規定の仕方ということで、いろいろ伺っていて思ったのですけれども、職種で切るということでは、意外に対象を網羅できないと思います。今回差別事例などを見ると、医療現場では恐らく医療機関の窓口だったり多分資格の要らない医療事務を行う人との関係も入ってくると思いますし、職種で切るというのは難しそうな気がします。機関で切るというのはあり得ると思うのですが、注目したのは、川島委員の医療分野という考え方です。医療分野に従事する者ということだといいかなと思ったのですが、後で拝見しますと職種になっているので、そこでは漏れ落ちがないような形にしないといけないというのが感想です。
○棟居部会長 ありがとうございました。随分お手が挙がっています。
お願いします。
○西村委員 済みません、日弁連に質問。先ほど日弁連の方では、医療行為をする介護者は範囲に入るかどうこうと。
○棟居部会長 恐れ入りますが、簡潔にお答えをお願いできますか。
池原委員、どうぞ。
○池原委員 当然入ると思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
松井委員、ではお願いします。
○松井委員 松井です。ありがとうございます。
非常に単純なことですけれども、一般的にリハビリというと医療分野に限定されがちですが、実際にはリハにはもっと幅広い分野が含まれます。川島委員の試案でも第14条の医療・福祉分野の専門職として、医療についてはかなりいろいろなリハ専門職が挙がっていますけれども、福祉の方で見ると、ほとんどリストに入っていない。もしこういうふうに限定的にリストするのであれば、網羅的にリストしていただきたいということを申し上げたいと思います。
ありがとうございます。
○棟居部会長 今のとも関係するかもしれません。もう相手方の話はきらなければいけませんが、残りの15分かそこらを使いまして、医療全般に関する差別の定義と例外、合理的配慮と例外、更には役務サービスとの関係、こういったことについて、これはいずれも非常に大きいので、御議論というか御意見を拝聴できればと思っております。
ただ、私のイントロダクションの不足の故とは思いますけれども、本日、医療ということに絞った、そして役務とは違うのだという何かしらの違いがそこには前提としてあって医療に絞った議論をしていると思うのですけれども、やはり医療の特殊性というのは1つには例えば医師の場合に象徴されるように、もう免許で独占的な業務になっておって、周りの人が多少の知識や技術があってもそれをしてあげることができないということは、逆に言うと、ライセンスを持っておる方には公的な性格がその本人あるいはその業務に伴っておるというのが1点。
当然にこれは放っておけば死んでしまうかもしれないといった、生命や健康に関わるというのが2点。
そういう観点からすれば、これは私的自治という前回の議論にも出ました、ああいう考えが基本的になじまない領域というのが大きな特徴として医療を特に取り上げる意味がそこにあると思います。つまり、差別禁止という方向が強く出てくるわけであります。
他方で自己加害、あるいは他者加害ということも病気や精神障害の場合にないわけではないといいますか、潜在的にはあり得るわけですが、そうすると拘束だ、強制入院だということも現行法で行われておるわけで、この差別禁止という方向性と、しかし、拘束は必要最小限せざるを得ないのではないかという、ある種矛盾する方向性をどう調和させていくかという非常に難しいテーマだということで議論は尽きないのではないかと思います。
ということで、差別の定義と例外、合理的配慮と例外、そこに移りたいと思います。いかがでしょうか。
野沢委員、お願いします。
○野沢委員 野沢です。どの場面で発言したらいいか迷っていたのですけれども、例外のところで私自身混乱していてよくわからないことを意見というか質問というか、疑問をそのまま述べたいと思うのです。
今、精神科の病院で長期入院している人が少しずつですけれども、減ってきました。自然減です。そこの穴を埋めるように認知症の方がどんどん入っています。今、5万2,000人ぐらい全国にいると言われていて、これからもかなり入ってくる、それをどうすればいいのかということでいろんな検討をなされているのですけれども、なぜ入っていくのかということで、1つは行き場がない。福祉の分野の人にこう言われるのです。事業所の指定基準で身体拘束を禁止されるので、福祉の現場ではないと、だから精神科に入れているのだということを言うわけです。
これは置いておいて、認知症というのを今回これで障害に含めるのかどうなのか、それも教えてほしいのですけれども、それも置いておいたとして、ある医療機関が、厚生科学研究だと思うのですけれども、そこでやった調査があって、二次的な行動障害が改善されて、認知症の御本人を地域に戻したいと。地域に支援もあって受け皿もある。でも、どうしても地域に戻せない人が全体の4割ぐらいいるという調査結果があります。具体的なものを今は持っていないのでつまびらかにできませんけれども、なぜ二次症状も消えて受け皿もあって支援もあるのに出せないのか。
その理由を聞いて驚いたのですけれども、身辺自立ができていない。他人に危害を加える恐れがあるということなのです。身辺自立ができていないのは本当に論外だと思うのですけれども、他人に危害、迷惑をかけるおそれがあるとか、自傷他害とかという問題かもしれません。そのとき、これは一体だれが判断しているのかというと、やはり医師なのかな。医師による障害像とか人間像と、行動障害があって支援の難しい人たちの地域生活支援をしている人たちからの障害像と物すごい乖離があるように感じます。この程度のことで簡単に地域に出せないと判断されてしまうとこれは大変なことになるのではないかなと私は思うのです。
特にそれがどのぐらいのどういう程度の迷惑なのか、どのぐらいの頻度なのかと。それを周りの人たちはどう見ているのかというのは相当な幅があって、うちの長男などというのは時々物すごいパニックになって人前でも大騒ぎしますし、私などは傷だらけになりますし、この前などは電車の中で私の顔にかみつきました(笑)。軽くかみついた程度ではありますが。そんなのは普通客観的に見たらこの医師でなくてもその場面だけ見れば相当危ないと思われてもしようがないかもしれませんけれども、ただ、私にとっては別にちょっと跡が付くくらいで、そんな大した迷惑ではないし、危ないとも思えないのです。それをだれが判断するのかというところがすごく問題のような気がしています。つまり、地域での支援スキルだとか環境だとか、あるいは地域の受け止め方と迷惑行為とか問題行為との相関関係があると思うのです。それなのに障害特性ばかり注目されて簡単に例外にされるというのは何か腑に落ちない感じがして、特に医療の場面で例外などはあり得るのかなと先ほどから思っているのです。
ほとんど前回の議論のときも静かなコンサート会場で大きな声を出すという障害者、それを障害特性、千葉県条例で出したので私はなかなか言いにくいのですけれども、障害特性と簡単に言われてしまっていいのかなと思って、やはり環境や支援のスキルをこちら側に引きつけて考えていかなければいけなくて、できるだけ例外というのは狭める方向の議論の方がいいのではないかと思っているのです。
ただ、余りそうしてしまうと世の中一般との感覚とずれてしまうのかもしれないのです。できるだけ本人たちの生活の質の向上に結び付くような条文の書きぶりなのか、それとも運用の仕方なのか、解釈の仕方なのか、わかりませんけれども、その辺を配慮というか本質的なところを見ていかなければいけないのではないかなと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。今、野沢委員の御発言を受けてでもいいですし、それが好ましいですが、池原委員、お願いします。
○池原委員 前の時間のときに不十分な説明をしたことも含めて申し上げます。
例外のことなのですけれども、今、野沢委員の考えてらっしゃったことは私も基本的に極めて同感で、特に社会モデルということから考えたときに、自傷他害のおそれみたいなものというのは本人自身に内在しているというよりは、むしろ社会的支援が足りないところでしばしば現象として起こってくることだというふうに、つまり、合理的配慮を尽くせばおおむね解消されるのではないか、あるいは我々はそこを解消することを目指して合理的配慮をしっかりしていかなければいけないのではないかという、それは他害行為をなくすために合理的配慮をしろという意味ではなくて、本人自身の健やかな地域での生活を支える配慮さえたりていれば、そういう困った現象というのは極小化されるだろうと思ったりします。
その例外のことなのですが、例外についての考え方として恐らく例外が拡張されないようにすべきだという点については、全体の意見は一致していると思います。そのときにこの差別禁止法全体のつくり方として、総論に1回差別の基本的な定義規定と合理的配慮の基本的な定義規定と、それぞれについての例外的な規定を恐らく置くことになるのだとすると、あえて逐一各論でこの分野での例外はこれだ、この分野の例外はこれだということを書き込んでいく必要があるのか、あるいは書き込んでいくべきなのかということを考えなければいけないと思っておりまして、その書き込んでいくことによってむしろ総論で書かれた例外がより限定的に各論で使われるようになるという書きぶりであれば、それは書く意味は非常にあると思うのですけれども、かえって総論で書いた例外以外に、更にこの分野では特別な例外がもう一つあるのですよということになるような書きぶりになってしまうとすれば、それはかなりマイナスだと思います。
そういう意味で言うと、特に時々出てくる、自己にせよ、他者にせよ、生命、身体に対する危険を防ぐためとか、安全を図るためみたいな例外をあえて、特にこの医療分野で書き込むようなことは恐らくしない方がいいのではないか。してしまうと、結局総論で書く例外以上にこの医療分野では特別な例外があるのかなというようなことになりはしないかと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
室長がおっしゃいます。
○東室長 2人の意見を前提に聞きたいのですが、野沢委員は千葉県の条例づくりに深く関わられていると思うのですが、千葉県条例は先ほど言いましたように例外として、これは本人という形に限定はしておりますけれども、本人の生命または身体の保護のため、やむを得ない必要がある場合ということを1つの例外に挙げておりますが、医療機関が本人の生命、身体の保護のためにこういうことを理由に拒否するというのは具体的にどういう場合があるのでしょうか。
○野沢委員 特に自閉症のお子さんなどが、一般の診療科に行ったときに、歯の治療を暴れてできない、あるいは耳の治療とか目の治療とか暴れてできないというときに断られますね。ちゃんと座れるようになってからもう一度来なさいみたいなことを平気で結構言われる。
○棟居部会長 ありがとうございました。
○東室長 それは合理的配慮を行うことを前提にしたうえでの話なのですか。
○野沢委員 これですか。そうですね。
○東室長 何もしない場合にはそういうことはよく起こると思うのですが、やはり自閉症の場合であっても適切な医療スタッフの研修とかということをやってもらえればちゃんと治療はできるという状況は出てくるのだろうと思うのです。そういうことをした上でもなおできないというような場合なのかどうなのかというのを議論していただきたいと思います。
○野沢委員 個人的な見解なのですが、一般的にはいろんな合理的配慮を尽くしていけばかなりの部分はできるようになると私は信じているのです。歯の治療などに関しても、最初は結構難しいですけれども、それが得意な歯医者さんというのは評判があって、みんな殺到するのです。何をしているかというと、時間はかかりますけれども、少しずつ本人の特性をつかみながら、最初の時間は診察台に寝られるように、次は器具を口の中に入れるようにと。安心感を持たせて、本人はそれまで無理やりやられてきたということで相当なもともと持っているものよりもダメージを受けているわけで、それを少し改善しながら本人に安心感を伝えたり、歯の治療の意味みたいなのものを伝えながらうまくやっていけているというところはあります。
そういう実践を見ると、あらゆるところで時間はかかるかもしれませんけれども、そういう専門性を積み上げていけば、例外というのはなくしていけるのではないかなというのが私の個人的な感想です。
○棟居部会長 ありがとうございました。合理的配慮というときに当然医療機関ならではの専門技術的なさまざまな知見の積極的な提供ということが当然要請される。これが普通の役務提供者、普通の事業者と異なるという御意見ですね。
竹下副部会長、お願いします。
○竹下副部会長 あえて天邪鬼というか、皆さんが言っていることに逆らう形で問題提起しておけば、私は池原さんにせよ、野沢さんにせよ、おっしゃっていることに異論はだれもないのだと思うけれども、本当にそれで通用するのかと聞いていると率直に思うのです。例えば最もわかりやすい嫌な例を挙げるならば、例えば統合失調症の場合に、御存じのとおり病気そのものの進行を防ぐためにといいますか、逆に言うと統合失調症をずっと治療せずに放っておけば、最後は人格まで破壊され、更に進行していくと、知的にも障害を生じる状態まで進行していく。幼児化までいくわけです。
だから、統合失調症の方に強制治療を行うことは本人のためだというのは多分精神科医ならばほぼ10人が10人おっしゃると思うのです。その場合にそれを否定できるのかという見方があると思うのです。
医療の分野は何が厄介かというと、先ほどの室長の野沢さんへの質問はある意味では非常に嫌らしい質問をされているわけで、医療の分野では原則として強制医療を否定したとしても例外を認めざるを得ないという厄介な問題があります。もともと強制医療を認める場合の建前が第三者の安全確保という名目もあるのかもしれないけれども、それ以上に本人の生命、身体の保護ということが建前ないし目的になっているだけに、ものすごく整理をしにくいというか、例外規定の設け方の困難さがあるだろうと思うのです。ですから、例外規定の在り方そのものを常に議論し続けることでしかこの問題は解決できない。もっと言うと、例外規定の在り方そのものを議論し続けることの中で合理的配慮の内容そのものが見えてくるというか、進化していくというか、そういう分野であるということではないのでしょうか。
○棟居部会長 室長、お願いします。
○東室長 今の議論は強制的に医療を提供するという場面ではそういうことも当然考えなければならないけれども、お二人が議論されているのはもっぱら治療するときに暴れたりして本人に危険が及ぶから治療をしないという方向でそれが許されるのかという議論だと思うのです。だから、少し場面が違うのではなかろうかという感じがしますけれども、いかがでしょうか。
○棟居部会長 ごめんなさい、池原委員、先ほどの第1コーナーのところで、成年後見の議論の際に医療同意についてまでは結局規定には至らなかった、その意味でもインフォームドコンセントの問題はペンディングになっておるので、逆にそこは現行法と抵触しないという観点で成年後見のお話をお触れになりましたけれども、これは今の竹下委員の先ほど来の御議論は、ある意味の理想論ではないかと、現実には本人利益という観点からは強制が好ましい一定の病気もあるではないかという御発言について、どうぞお願いします。
○池原委員 多少前提認識が違うところがあって、大ざっぱにいうと、実は統合失調症について3分の1の人は治療しても病気の進行を止められないし、3分の1の人は薬物療法の効果があるし、3分の1の人は自然治癒するというのが従来の大ざっぱな医療界での認識なのです。だから、統合失調症について治療しないと必ず人格崩壊に至るということは前提事実が違うと思いますし、治療すれば必ずよくなるということも言えない。これが実は医療におけるインフォームドコンセントというか、現代医療が抱えている基本的な問題で、つまり、医療の治療効果というのは極めて不確実なわけです。確実に約束されていない。その不確実な未来に対して自分がどういう態度を取るのかというのがインフォームドコンセントの問題で、しばしば議論されるのは、薬を飲めば治るのに何で飲まないのだというような枠組み、次元で考えてしまうと、薬を飲まない人は明らかに不合理な選択をしているように見えるのですけれども、実は、医療というのはそれほど確実な未来を約束していないというのが現代医療の実情、前提にあるということが1つあると思います。
もう一つは、例えばがんであっても治療しなければおおむね多分ほぼ確実に死に至るわけですけれども、しかし、治療を受けるか受けないかは当然患者の自己決定に委ねられているわけで、そこはがんの患者さんと統合失調症の患者さんはどこが違うのかということが言わば差別的な理解をするかどうかというところの問題で、そこにあるのは恐らくしばしば言われるのは病識とか、自分が病気であるということを認識できているのかとか、適切な自己決定というか、前提になる判断能力があるのかというところにポイントがあると思うのですけれども、そこを統合失調症が固有に、実はここもいろいろ議論があって、治療についてのコンプライアンスというか、薬を飲むことを拒否するとか、飲み続けられないということについてのデータを取っていますと、慢性疾患の人というのはWHOの調査だと6割ぐらいの人しかお医者さんの言うことを聞けないのです。途中で治療から脱落してしまうということになっていて、それに比べると決して精神障害の人のコンプライアンスは全体として見ると低くはないということがあります。
つまり、私たちのある種の先入観で精神障害の人は病識がなくて判断能力がないから強制医療が必要なのだという、ここを本当は変えていかないといけない。ただ、勿論、私自身も、全くすべての人がすべて適切に判断できているのかというとそうとは言えない部分があるかもしれなくて、ただ、そこは先ほど来出てきている、例えば意識を失っている場合とか、ほかの精神障害以外の場合でも適切な医療選択ができない場面というのはあり得るので、そこをむしろ特化しないで考えていった方がいいのではないかなというのが私の基本的な思いです。
もう一つは、差別禁止との関係で言うと、そこを埋めていくとても大事なのは野沢委員もおっしゃっているような、言わば合理的配慮を尽くしていくという枠組みをどう。つまり、インフォームドコンセントがちゃんと実現されるような自己決定の支援というのはどこまでできるのかというか、それを差別禁止法の中にどこまで書き込めるのかという辺りが、あるいは運用上それが実現できるようなことをうまくやっていけるのかというのが課題だと思うのです。やや抽象的論ですけれども、そんなような感想です。
○棟居部会長 ありがとうございました。1点簡単な確認ですけれども、第3というか、もう時間はほとんどないのですけれども、医療と役務サービス一般と別個に規定すべきかという点については、それでは、池原委員はどのようにお考えですか。
○池原委員 私は先ほどの座長の御意見が非常に説得力があって、私的自治という観点からすると独特な領域だろうと思うのです。この医療というのは大きく分けるとこの医療分野はやってほしい医療を受けられないという領域と、やってほしくないのに無理にされてしまうという2つの側面があるわけですけれども、いずれも単純な対等な関係でも市民的な商品交換の世界とは違うと思うので、独自の領域として規定した方がいいのではないかというのが個人的な意見です。
○棟居部会長 ただ、余り各論を増やすとそのことで例外が大きくなる危険もあると先ほどおっしゃった次第ですね。
伊東副部会長、お願いします。
○伊東副部会長 先ほど部会長から医療が他の役務提供と異なる点について御説明がありました。もう一つ考えなければならないことは、医療は他のサービスと異なり、現状は需要と供給が非常にアンバランスであり、特に救命救急や産科、小児科といった分野は長期的に、需要は多く供給は十分されていないという事情があります。例えば介護施設などで救急車はきてくれても受け入れる病院が見つからず、救急隊がいろいろな病院に40分、50分と連絡を取っても受け入れられないという、これが現在の救急医療の実態です。
そういう状況の中で、本日の参考資料2の2~3ページにいろいろな事例が出ています。その一つに、男性看護師が女性の体を洗うことが差別の問題とされる、たしかにそのとおりと私も受け止めます。介護の現場でも、同性介護であるべきだという考えは概ね一致しています。しかし、現実に同性介護をするだけの人的確保や対応は現場では到底できないのが現実です。日常的にやむを得ず異性介護でも対応せざるを得ない。緊急の場合にはそうするしかないということが今の状況です。同性介護をあくまでも貫くならば、放置しておくことになるでしょう。
そういうような現状も考慮にいれながら、差別禁止法の精神を大切にしながら、法制度の中身と強制力の幅も考えることが必要です。差別禁止法が実効効果を上げることができるかは、法律と合わせて合理的配慮で対応をするとか、つくり上げかたの技術を配慮しなければならない。理想論だけを語って素晴らしい法律を作っても、それは世の中の状況に合わない場合には有効に機能しなくなります。
医療の現場の需要と供給のギャップはまだしばらく続きます。あるべき論で突き詰めていくようなことではなくて、社会の現状にも配慮し、現実的な対応で法制度の中身と、強弱の程度を変えないといけないのではないかということを提案申し上げます。
○棟居部会長 ありがとうございました。需要と供給のギャップが結局弱い立場の医療を受ける側に対するいわれなき差別とか人間性の否定につながるということもあるかと思います。供給を増やすというのはこの場の議論ではないわけですけれども、それも大事なテーマだということがわかりました。
時間をオーバーしております。副部会長、どうぞ。
○竹下副部会長 先ほど部会長が問題提起されている、役務提供の中で医療を分けて規定するべきかどうかについては、結論から先に言えば、分けて規定することが必要だと思います。医療の特徴というのは2つあると思っております。1つは、医療の提供においては、同じ社会保障の中にあっても最低限の医療を提供することでもって足りるということにはならないのです。
すなわち、例えば社会保障の中で憲法25条、健康で文化的な最低限度の生活、この最低ということでナショナルミニマムという言葉が生まれる。ところが、医療の分野では最低限の医療を提供するということは成り立たないというか、否定されるはずなのです。常に適正な医療、あるいは医療水準に基づいた現代社会あるいは現代医療の中でおのずと定まってくる適正な質の医療の提供が義務として存在している、そういう特徴を持っていると思うのです。
もう一つは、もともと医師法を見たらわかるわけですけれども、医師は正当な理由のない診療拒否は19条で規定されているわけです。そういう規定がもともと設けられている。差別禁止法という議論のもっと大前提としてそういう規定がある中で、では障害のある人に対する医療の保障というものを考えたときに、どういう規定の仕方、あるいはどういう医療の保障というものがそこに想定されるのかということを考えると、やはり一般の役務提供とは大いに性質の異なるものとしての規定ないしは規定ぶりが必要になってくるのではないかと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。
それでは、最後の御発言ということで、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 意見というよりかは1つの情報なのですけれども、今、医療現場で問題になっているのは、直接的に精神症状を持っている人が精神科に行くということよりも、救急で来た精神症状を持っている患者さん、あるいは逆に身体合併症を持っていらっしゃる精神症状のある患者さんという形で、複合的になっている。それがどこの病院に来るか、どういう医療機関に来るかは分からないので、医師は救急患者がきてからこれでは対応できないなといって拒否をするというようなことがかなりあると聞いています。
今回の診療報酬改定では精神科と一般病棟双方が身体合併症や精神疾患を持っている人を受け入れるためのインセンティブを与える形を取っていると聞いています。
本人の生命、身体の保護ということで、適切な診断の条件が整わないことが本人のためにならないという考え方があるというのもわかりますけれども、できる限り受診拒否をなくし、各医療機関による受け入れを促す法律にしていく必要があると思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。以上で第2コーナーを終わります。ここで15分の休憩を取ります。再開は16時50分であります。

(休憩)

○棟居部会長 それでは、再開させていただきます。第3コーナーということですが、当初予定しておりました60分は時間がございませんので50分少々という時間で行わせていただきます。
資料2「障害を理由とする差別の禁止に関する法制の制定に向けて-論点に関する中間的な整理-(案)」について、議論いたします。
最初に東室長から論点等について資料2に基づいて10分程度で御説明をお願いいたします。
○東室長 東です。今日、お出ししました中間論整理に関する資料2について御説明申し上げます。
これまで差別禁止法について総論及び各論を議論して参りましたけれども、障害者基本法の改正を受けまして、この部会も衣替えをする時期になってきたということと、差別禁止法に関する骨格提言を夏ごろまでにまとめていくためには、この時期に一定の議論の整理が必要ではないかといった辺りから、今日は総論だけですが、中間論点整理の案を下に議論していただければと思っております。
この中間論点整理の性格なのですが、まずはこれまでの議論の整理ですので、これからの議論を縛っていくものではありません。議論されていない論点については触れておりません。漏れている論点であっても議論していないことは反映されておりませんので、皆さんから意見が出ると思いますが、既に議論された点についての御意見に絞っていただければと思っております。
また、ここに掲げてある論点は、大きな方向性といった意味では確認された部分もありますけれども、更に検討を有する点がたくさんありますので、この部分については今後煮詰めていかなければならないことになります。ですので、この中間論点整理に示された点が議論の柱となって継続していくといったことになると思います。
勿論、各論で漏れた部分とか、救済の在り方などについては、これから中間論点整理と関わりなく議論をすることにもなります。そういう位置づけであります。
その上で、中間論点整理をまとめる上でのスケジュールなのですが、今日は総論部分だけしか予定しておりませんけれども、今日の夕方ぐらいには今日議論した医療を除く各論の案をメールで送付する予定でございますので、次回は3月16日なりますけれども、総論、各論全体にわたって議論していただくと予定しております。
ただ、そのためには、来週の12日か13日ぐらいには御回答いただければと思っておりますので、非常にタイトなスケジュールになるかと思っています。
さて、資料2の内容ですけれども、「はじめに」で始まって、第1章で総論、第2章で各論といった大枠で考えております。
各論の内容は、今日、お送りすることになりますので、本日の書面には具体的な内容は盛り込んでおりません。そこでまず総論ですけれども、1として差別禁止法の必要性・有用性と題して、なぜ差別禁止法が必要なのか、また差別禁止法をつくった場合にどのような有用性があるのかといったことについての議論を整理して紹介しております。
次に、2として、現行法体系下における差別禁止法の位置づけと題して、そもそも差別禁止に係る法制度を日本の法体系の下に組み入れることができるのか、組み入れるとしてどういう理屈で組み入れることができるのか。または、組み入れた場合の考慮すべき要素は何かといった大きな議論を紹介しております。
次に、3として、差別禁止法の対象範囲と題して、すべての人を対象範囲とするのか、障害者に限定するのかといった観点からの議論を御紹介申し上げております。
次に4として、障害のとらえ方と題して4点ほど御紹介申し上げております。まず1点目は、差別禁止法における障害の概念に社会モデル的な要素を入れるのか、それともインペアメント、すなわち機能障害に限るのかといった議論であります。
2点目としては、機能障害の範囲を広く取り込むべきかどうかといった御議論でございます。
3点目としては、機能障害の程度や継続期間といった視点から限定すべきかどうかといった御議論。
4点目は、現に存する機能障害だけではなくて、過去に存在した機能障害、将来発生するかもしれない機能障害をどう考えるかといった観点からの議論を御紹介しております。
次に、5として差別の概念に関わる前提の議論をまとめております。ここではテーマが大きいので議論を5つに区分けしております。まず(1)が差別のとらえ方と題して、差別の基本的な考え方として異なる取り扱いをと考えるか、不利益取り扱いと考えるか。更には合理的配慮の関係で異なる取り扱いの場合も許される場合があるのではないかといった差別の基本的な考え方に関する議論を紹介しております。
次に(2)が禁止されるべき差別についてと題して、ここでは外国法制を踏まえた差別の類型に関する議論をベースに、この部会では直接差別や間接差別、関連差別を包括した類型と合理的配慮を提供しないといった2つの類型でまとめるべきではないかといった方向性についての議論を紹介しております。
次に(3)は差別の主観的要素と題しまして、特に差別が成立する要件として、障害者を排除する意図が必要かどうかについての御議論を紹介しております。
次に(4)が合理的配慮と題する部分ですが、1点目は合理的配慮を必要とする根拠は何かといった点についての議論を紹介しております。
2点目は、合理的配慮を必要とする分野をどこまで想定するのか。例えば障害福祉分野まで想定するのかとかといった辺りの御議論を紹介しております。
3点目は、合理的配慮の内容及びその例外をどのようなものとして考えるのかといった点であります。
4点目は、事前に配慮すべき処置といったものを想定するのか。合理的配慮との関係をどう整理するのかといった点を中心にこれまでの議論を紹介している部分です。
最後に(5)が正当化事由と題する部分です。
1点目は、例外を認める必要性やその根拠は何であるのか。
2点目は、正当化事由を認めるべきとしても、その内容や程度については差別類型ごとに違うものを想定すべきではないのか。包括した類型にする場合には、その点をどう考えるべきかといった議論についての御紹介になります。
3点目は、合理的配慮の場合の正当化事由としては、おおむね負担が過度な場合を挙げて議論されているといったことについての御紹介です。
最後、4点目は、正当化事由の立証責任の問題ですが、立証責任については基本的には相手方に負担させるべきであるというのが大方の意見であったことなどについて御紹介申し上げております。
以上が大体今日提出しました資料2の説明であります。
先ほど言いましたように、どちらの議論がいいか悪いかという話ではなくて、どういう議論があったのか、そこら辺をまず整理して、4月以降ほとんどの部分がそれをベースに詰めていかなければならないといったことになるのではなかろうかと思っております。
ですから、これまで、主張についての理由などはいろいろ議論されてきましたので、今後は、結論としてどうまとめるのかという点に焦点を合わせた部会の運営が必要になるのかなと思っています。
勿論、議論されていない各論、漏れのある部分は、これまでと同じようにベースからの議論ということになりますし、救済の在り方についても同じようなやり方が必要ではなかろうかとは思っています。
そういう観点でつくってみましたけれども、自分が出した意見がこういう形ではわかりづらいとか、違った方向に書かれているとか、そういう点が多々あるのではなかろうかと思っております。ですので、これからの議論は、自分の意見が正しいという主張的な話ではなくて、自分の意見がここにきちっと入っているのか、ちゃんと読み込まれているのか、その書きぶりはどうなのかといった観点から意見を出していただければと思っています。
また、書面意見で出していただきますので、そのときには具体的にどの部分のどういう表現をこうした方がいいという形で意見を出していただければまとめやすいかなと思っている次第です。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございます。
それでは、質疑及び議論に入らせていただきます。時間はおおむね40分を予定しております。
太田委員、お願いします。
○太田委員 太田です。
以前に欠格条項についてヒアリングを行っていますが、その際、室長は欠格条項や成年後見制度などの関係法を例示し、引き続き検討していきたい旨の回答をされたと思いますが、読み落としがあるかもしれませんが、それについてはいかがでしょうか。
○棟居部会長 東室長、お願いします。欠格条項について。
○東室長 総論の中に書いておりませんので、その部分は新しく設けます。成年後見制度については選挙のところで各論の中で触れている部分はあります。今日はまだ出しておりませんけれども、そこはそこを見ていただければと思います。
○棟居部会長 川島委員、お願いします。
○川島委員 ありがとうございます。川島です。
この中間的な整理について3点ほどコメントさせていただきたいと思いますが、まず5ページ目の「5、差別」の「(1)『差別』の捉え方」というところなのですけれども、<1>と<2>に分けて、論理的には<1>、まず異なる取り扱いが差別だというところはおおむね意見の一致が見られた。<2>で、しかし、合理的配慮があるから異別取扱いは許される場合もあるというような、許されるというような書き方なのですけれども、そこら辺の整理の仕方は非常に難しいと思っていまして、つまり、今日の議論でも医療の分野でも合理的配慮を尽くした上で拒否してはいけない、異なる扱いではいけない。つまり、合理的配慮というのは異なる扱いで、拒否するというのも異なる扱いなわけです。
ですから、何のために異なる扱いをするのか、何のために等しい扱いをするのか、何のために拒否をしてはいけないのかという、つまり何らかの目的、価値があって、異別扱いとか同一扱いというのが同時に両方必要とされるというような理解というのも、この部会では議論があったと思っていまして、そのときに機会の平等を実現するために異なる扱いと同じ扱いが同時に必要なのだとか、人間の尊厳、人格を守るために必要なのだとか、社会参加のためにはその両方が同時に必要なのだというような意見も出された。私が出したのですけれども、出されたと思っております。
次に、2点目がそのすぐ下の「(2)禁止されるべき差別について」というところなのですけれども、直接差別と間接差別と関連差別という区別がありまして、結論はそのとおりだと思うのですが、私の中では間接差別と関連差別というのは機能的には同じものだと思っているということを何度か申し上げておりまして、関連差別と間接差別の違いがこの文章を見るとよくわからない。つまり、表面上は障害を理由とした差別は行われていないけれども、結果的に障害者が排除されてしまっている。これでは、あらゆるケースが間接差別ではないのか、となるわけです。
ということで、私の中では間接差別と関連差別というのはほぼ同じものだと、簡単に言ってしまえば、障害を直接理由としていないけれども、障害差別に該当するというものが関連差別であり、間接差別でもあるという理解をしております。
最後に、8ページ目の一番上の<4>のところで、事前的改善措置について触れていただいているのですけれども、これはまずなぜ事前的改善措置が必要なのかということを記載することが重要だと思っておりまして、例えば先ほど野沢委員の具体例で言いますと、歯医者さんで合理的配慮があれば治療を受けられる、拒否されないという議論がありました。これはそのとおりなのです。ただ、現実的に見ると、突然すべての日本の歯医者さんに合理的配慮をしろといったときに歯医者さんとしては合理的配慮を心ではしたいけれども、技術が全くない、だから、泣く泣く治療できませんと、それはお互いにとって不幸な話ではないですか。ですから、あらかじめ事前的に訓練、つまり歯医者さんとかに、そういうようなケースがあることも事前に想定して、事前的改善措置を義務づけることによって、合理的配慮を理由として治療が受けられない人も減っていくだろうということで、合理的配慮の限界というものを見据えた上での事前的改善措置のこの意義が、なぜ必要かという問いに対する答えになると思っております。
以上です。
○東室長 ありがとうございます。まとめる立場から言えば、一つひとつの概念が皆さん共通に使われているとは限りませんので、この概念がこういう意味であるということを一人ひとりの立場に立って解説というのは不可能なのです。ですから、間接差別、直接差別の違いがこれではわからないと言われていますけれども、それは一般的な書き方でしか書けないというのは御理解ください。
ですので、特定の人の特定の意見に基づいて書くということがまとめではありません。こういった点について議論があったのだということをわかりやすく書くだけの話です。だから、事前措置についてもなぜ必要なのか、なぜ大事なのかをここで議論するのではなくて、事前措置といったものについて議論があったのだということを示すというのが大事なのです。ですから、本当に2~3行というか、全体の分量からして今の意見を一言二言三言ぐらいの具体的な修正提案であれば入れたいと思いますけれども、今言われたことは文章にすると何十行になりますか。ほとんど不可能なのです。
ですから、御意見としてはわかるのですが、具体的にではどうこの文章に落とし込むかということも念頭に入れた上で意見をいただければと思います。具体的にはこういう形で修文していただければというフォーマットを送りますので、そのフォーマットに原文の分量の同一性を崩さない程度でお願いします。野沢さんは本職で、この三言を入れるためにどこを削るかという話で苦労されていると思うのですが、そういう観点から積極的に御提案いただければと思います。
○棟居部会長 室長に形式的な確認ですけれども、このデータをいただくという場合に、エクセルのような表のような格好になりますか。つまり、我々が今見ています中間的な整理案というものを一番左の列に書いて、その右側にコメント欄、例えばこの議論は自分はこういう意味でしているのだと、もっとそこを明示すべきだとかというコメント欄、更にその右側にむしろこう書くべきであるというような改正提案というか、そういう欄を分けておいた方がわかりやすいかもしれないです。
○東室長 まだ今日これが終わってから送る予定でした。後でフォーマットの形式をプリントアウトしてきますので見ていただければいいかと思います。大体今おっしゃったような形になっておりますのでお願いします。
○棟居部会長 私個人はエクセルというのは極めて扱いにくいというか下手なので、むしろ抑制的な方向に働いてしまうのだけれども、決してそういう趣旨ではなく、ただどこでどうコメントしているのかというのがわかった方がいいと思います。そうでないと全面差し替えのような格好で出されると混乱しますので、その点は後で形式的なこともしましょう。
○東室長 済みません、1つだけ言い忘れていましたけれども、先ほどここに書いていないのではないかという御指摘がありました欠格事由の話については、独自に起こされてもらっても構いませんので、そこら辺は適切な分量でお願いします。
○棟居部会長 御意見いかがでしょうか。できればこの順番にお願いできればと思います。総論、差別禁止法の必要性・有用性といったところで止まってしまうと時間配分がまたよろしくないのですけれども、あるいは大きな項目を中心に、差別とは何ぞやとか、合理的配慮とか、そういうところでも結構です。
山崎委員、お願いします。
○山崎委員 山崎です。内容のことではなくて今後のタイムスケジュールのことを確認させていただきたいと思います。
8月の骨格提言に向けてこれまでこの部会で議論してきたのも有機的、合理的にどうまとめていくかという御提案だと理解しています。その上で今日のところは文言化があるのは、この第1のところで、第2以下は今後お示しいただくということなのですが、併せて先ほど救済の在り方についても当然含まれますというお話がありました。そこのところについては項目立てすらないわけです。そこで不安に感じておりまして、ここにお示しになっている第1と第2は、例えば大体5月とか6月ぐらいにまとめて、ここが言わば実体規定に当たるところで、手続規定に当たるところはその後また再スタートするということなのか、その辺りの今後のスケジュール的なお考えをいただければありがたいと思います。
○東室長 救済の在り方について議論すべきだという御意見はこれまで何度かあったと思いますが、救済を正面から議論するコーナーはなかったので触れていないというだけで、触れていないところを今後議論しないという性格ではないと最初に言ったと思います。ですので、各論で漏れている部分と救済の在り方については4月、5月前半にやっていく。その上で結論に向けて議論していくといった形になるだろうと思います。そんなところでしか考えておりません。
○棟居部会長 山崎委員、よろしいですか。
○山崎委員 結構でございます。
○棟居部会長 ありがとうございます。ほかに御質問。
松井委員、お願いします。
○松井委員 松井です。ありがとうございます。
各論部分の中で教育が入っていないのは何か意図があるわけですね。それと例えば教育分野については、文科省の研究会で、雇用と就労については御承知のように厚労省の研究会で検討されておりますので、その検討との整合性をどういうふうに取るのかということは当然議論になると思いますので、その辺についても考え方を教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○東室長 今日お出しした資料2の9ページ、各論で1~7までしか書いておりませんが、教育が入っていないのは単なる書き忘れというだけの話でしかありません。何も意図はございません。済みません。何かサプライズをしようと思ってやったわけではありません。
それと雇用・就労の整合性というのは今後の議論ですので、ここに書くのはこれまでどういう議論があったかということのある意味項目出し的なものでしかありませんので、今後の話ということになります。
○棟居部会長 では、確認ですけれども、9ページで教育というのはどこら辺に番号としては。このどこに入るということですね。わかりました。ちょっと落ちているということでどこかに入ります。雇用・就労の前かもしれませんが、ごめんなさい。それだけ項目が多いと、しかし、あれだけ議論したわけですから、当然に各論ということも1つの代表格であると個人的には思っております。
その他、今のような非常に前提的な御指摘も含めて御意見あるいは御指摘はいかがでしょうか。とりあえずこの間にお手元に配られました委員提出書式という横長に見ていただく紙ですが、中間的な整理案、今日議論しておりますこれについて、原文は勿論こちらの事務局で張り付けたものを送っていただく、その右側に現行または追加した整理案の文案を真ん中の欄にお書きいただいて、更に理由を付けるということですね。これは必ず代案を書けということでしょうか。つまり、この点の意味がよくわからぬとか、もう少し明確にとか、そういうコメントのようなことは一番右の理由のところに書いていけばいいのでしょうか。
○東室長 まず整理案の原文部分は自分で問題にしたいところだけぺたっと張り付けてください。その上で、具体的に修文したい、提案したい案があれば横に書いていただく。この枠は自動的に広がります。次に、その理由を書いてもらうことになります。
この点、意味がわからないといった御指摘があれば、意味不明とか、こうすれば意味がわかりやすいと書いていただければいいかなと思います。
フォーマットについては以上です。
○棟居部会長 フォーマットについてよろしいでしょうか。それでは、中間的な整理案につきまして、今、お気づきのところ、この場で確認を是非したいという点を中心にお願いできれば幸いです。勿論、自分の議論が漏れておるのではないかという、これは重要な御指摘も当然含まれると思いますけれども、できるだけ宿題の方に回していただいて、全体として方向性が自分がここに出席して感じてきたことと違うのではないかという御指摘があれば、これは全体で議論すべきことだと思いますので、そういう御指摘を賜れれば幸いです。
西村委員、どうぞ。
○西村委員 西村です。
書き方に関する質問ですけれども、例えば2ページの<6>の最後、という意見もあったという書き方が結構あると思うのです。それ以外にも、それが適当であるとか、そうすべきである、必要であるという断言的な表現と、紹介的な表現があるわけですけれども、ここら辺の内容について、発言した立場あるいはそうではない立場から、これは意見もあったではなくて、そういうことが必要である、もしくはそうすべきであるということも含めた記載の仕方でいいということでよろしいのでしょうか。
○棟居部会長 そういう記載に変更するべきであるというコメントをしてよいかという御発言ですね。
○東室長 いろいろとみんなで分担してつくりましたもので、表現が統一されていないといったことは御指摘のとおりです。他意はございません。ただ、御指摘を受けて考えると、意見の紹介ですから、ここで事務局の意見を主張しているわけではありませんので、形式上は「・・・という意見がある」といった形の語尾が適切かなと思います。その点は全体的に見直してやっていきたいと思います。
○棟居部会長 今のに関連して確認なのですけれども、これは議事録から拾うというかピックアップをされたと思うのですが、その場合、必ずしも記載方法は統一的にはしていないとおっしゃいましたが、意見もあったというのを見ると、これは少数意見だなと、前後にはつながらない、ここだけの1つの孤立した発言を取り込んだ場合に意見もあったという表記になっておるのだなとつい読んでしまいがちですが、そんなことはないということですか。
○東室長 そこまで意識してみんなでそういう表記にしようということでやったものではありません。とにかく済みません、ばたばたしておりましたので。
全体から見てほとんどの人はAという意見だったのに1人だけBだったという場合にどういうふうに書くのか。半々の意見だった場合にどういうふうに書くのかというのは書きぶりに違いを設けた方がいいのか悪いのか、皆さん、どうしたらいいでしょうか。
○棟居部会長 ごめんなさい、これも確認というか、つまりエクセルの具体的な組み方でもあるのですけれども、この発言についてはあの場での議論としてはさほど重要ではなかったはずだとか、むしろ反対論が強かったはずだとか、議事録を見直したらこう書いてあるのでしょうけれども、文脈という中でとらえた場合、この発言を特にここに取り上げるのはいかがなものかというような印象を我々が持った場合、先ほどのお話ですとコメントを付けるあるいはむしろ提案というか改善策を明示しろということでしたが、ここは削除すべきではないかというようなペケとか、あるいはこれは少し少数の意見としてグレードを落とすとわかりやすく個別意見としてのランクに落とすべきだという趣旨の三角とか、特にここは大事だから強調すべきだというような丸とか二重丸とか、何か記号で濃淡を付けていくということをついでに考えると、実はあなたが言った発言なのにあなたはペケを付けているよというおかしなこともあるかもしれませんけれども、まとめですから、本来基準時は今のはずで、長くやってきている間にいろんな議論を重ねて考えが変わってもしようがないわけでありますし、そういう意味では今の最大公約数的な我々の意見分布を知るという意味でも少し希望をついでに付加するということをお考えになったらいいのではないかと思うのです。
例えばもっと短くしようというときに取捨選択が当然必要になりますね。そのときに勿論事務局として1本筋を通すという観点もあり得るのだけれども、ここの場での最大公約数は何かというときには、とりあえずそういう記号は二重丸中心に残っていくというのは1つの形式的な手掛かりにはなるかと思います。これは今回の本来の御趣旨とは大分ずれてきますか。
○東室長 今回の整理は評価せずに議論を正確に出す。ただ、分量があります。別に議事録がありますので議事録そのものを書いてもいいのですが、分量が多くて、議事録を見てもわからないということになるわけで、要するに議事録のサマリーをどうつくるかというだけのことなのです。だから、個々の論点については詳しく知りたければ議事録をどうぞといったスタンスでまとめたものなのです。だから、余り評価は加えたくないとは思っていますが、議論の概要を知るために、大多数の意見がまとまっていれば、大方はこうであったみたいな書き方をしているということです。
原文を引っ張ってもらって修正のところで例えば削除線を入れてもらうとかという形で意思表示してもらったり、もしくはここはどうかというところは「??」をしてもらうとか、竹下先生の場合、どうしたらいいのか後でお話したいと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。形式的な質問ばかりを横から申し上げまして。
中身について、松井委員、お願いします。
○松井委員 松井です。
これをざっと見させていただくと、先ほどの多くの委員の意見が一致したという表現は極めて例外的で、大部分は羅列というか、そういうコンセンサス方式では議論を進めてこなかったですね。今回、一応羅列という形で整理するわけですけれども、それを踏まえて、今後はコンセンサスづくりに向けてということですね。
○東室長 はい。
○松井委員 ありがとうございます。
○棟居部会長 川内委員、お願いします。
○川内委員 3ページの一番下の障害の捉え方のところの<1>で、障害者差別禁止法はインペアメントを持つ人を対象にしていると断定したような書き方をしてあって、次に現象によって生じている差別に焦点を当てるとほぼ断定してあってその後に意見があったと書いてあります。どこまでが意見なのか、例えばその次もそうなのですが、2番のインペアメントの概念を広げるべきであるということで断定しているのです。ずっと5行下に社会モデル的な側面を入れるのかも問題になると言っていて、最後に意見があったと書いてあるのです。
ですから、これは2番は2番で1つの一連の意見だろうと思うので、こういうふうに断定されるとこの会としてそこまでは合意しているとどうも読めてしまうような気がするので、この辺は断定的でない書き方にされるべきだろうと思います。
○東室長 確かにどこまでが合意されたのか、わかりづらいと思いますので、そこは工夫したいと思います。
○棟居部会長 ありがとうございました。ほかにお気づきの点はございませんでしょうか。今、言っていただいた方が多分後の作業はよろしいかと思います。
浅倉委員、お願いします。
○浅倉委員 浅倉です。
2ページの<8>の2行目、障害者基本法の差別禁止規定は理念であり、というところはいいと思いますが、裁判規範性も救済手続もないと言い切るのはどうかな、と思うのです。裁判規範性があるのかどうか疑わしいぐらいにしておいて、ちょっと含みを持たせてもらいたいなと思います。
○棟居部会長 その他、断定的な表現の部分が実は意見であるという場合には、これは御指摘を待つまでもなく、こちらの事務局で書き直していくということもあり得るということですか。
○東室長 はい。そういう表記の統一に関してはこちらで全般的にやりたいと思っています。ただ、基本的にはすべての意見をある程度短くまとめたものですから、ここの部会の総意という形では示しているものではないという御理解でお願いしたいと思います。そこら辺で懸念が生ずるようであれば「はじめに」の一番下の方で注意書き的にそこら辺を書いておくといった工夫もあるかなと思います。
○棟居部会長 西村委員、お願いします。
○西村委員 済みません、この整理案を書くという前提で見ていたのですけれども、何を書いていいのかわからない。というのは、例えば変更または追加した整理案の文案を書くと言われているのですが、例えば事例ですが、3ページの<1>で障害者差別禁止法の対象範囲を障害者を対象にするのか、それともすべての人を対象にするのかというような意見があると。このときに、どちらがいいと思いますかということであればすべての人だとか、障害者となるのでしょうけれども、変更・追加といった場合に、例えば障害者対象とする場合に、手帳を所持している障害者だとか、あるいは基本法で定める障害者だとか、もっと狭間のない形での障害者にしていくだとか、そういうようなことをこの中で書くということでの理解でよろしいのでしょうか。
○東室長 これまでの議論を前提にしております。議事録を見ていただいてだれかの意見があったにもかかわらず書いていないということであれば、更にこういう意見があったという形で書いてもらえればいいと思います。けれども、議事録を見て触発されて、こういうのを入れなければいけないなというのを入れ込むという作業では決してありませんので、いいでしょうか。
○棟居部会長 今回の作業でいろいろあのときこう言うべきだったというような、あるいはみんなが誤解しているようなので、ここはひとつ釘を刺さなければいけないとか、そういう今まで議論されていなかった部分については別途ペーパーをどんどんお出ししていただくということで、事務局は余り莫大な量が来るとまた整理ができないとお考えかもしれませんけれども、今回の作業とは切り分けてお願いしたい。これはあくまで過去を向いた御自身の発言に限定される話ではございませんけれども、その場におられた一員として、文脈上そういう意味でなかったのではないかというような疑問を呈されるとか、むしろこういうふうにまとめるべきではないかという、そこは発言者に特に限定しなくてもいいということですね。
○東室長 ついでに性格のところで言い忘れたのですが、むしろここで議論されていなかったことということもここから分かってくるわけですから、今後何を議論すべきかという観点から見て、抜けている論点も、これを見ればわかるというものにしていければと思います。
○棟居部会長 川島委員、お願いします。
○川島委員 ありがとうございます。川島です。
2点確認というか、聞き漏らしていたら申し訳ないのですけれども、1つはペーパーを出して結構時間がないときは自分の発言ができないまま部会が終わってしまうことは何回かあったのですが、そのときにペーパーに出したものはペーパーに書いてあることだったらここに入れていいのかというのが1つお聞きしたい点です。それはだめだと、発言した内容だけだという、どちらかを明確にしていただいた方がやりやすいかな、ということを1つお聞きしたい。
もう一つあるのです。もう一つは、この書式の中で、自分の関係箇所をこういう記述にしてほしいとか、こういうふうになっていたのではないですかという提案を書くときに、タイムスケジュールというか、今までの部会のルールですと、1週間前に提出するというような方針があったと思うのですが、具体的にどんな感じになっていくのか。結構タイトなスケジュールなので、あらかじめこの日に出すからこの日までにとかがもっと明確になってくれるとやりやすいかなとは思います。
○東室長 ありがとうございます。第1点目ですけれども、基本的にはこの場所で発言されたことを中心にまとめたいと思います。書面提出意見すべてとなると、恐らく2倍、3倍ぐらいの量になるだろうし、やはりある程度大事な点は発言の際に引用されているのではなかろうかと推測しているわけです。委員が書面で提出された意見すべてをこれに反映するという形にはすべきではないと思っています。
むしろ自分はそういうのを出しているけれども、議論に反映されていないということであれば、今度はそこをきちっと言うということで対処していただけないかなと思っております。
提出期限としては、次回が16日だったですので、申し訳ないのですが、13日火曜の10時までに出していただければと思います。特別な事情があればそれは斟酌しますが原則として13日の火曜日10時まででお願いします。
○棟居部会長 ということで、形式的な御質問、多分尽きたのではないかなと思いますが、中身の方はよろしいでしょうか。
では、重い宿題を持って帰っていただくという格好になりますので、逆に早めに終わらせていただいても、早速作業に取り掛かっていただくといいうこともありかなと思うのですが、特に御発言。
太田委員、どうぞ。
○太田委員 確認なのですが、今まで発言できなかった内容については、今後取り上げられるチャンスがあるのかないのか。例えば今日の医療については、出生前診断の問題を取り上げようか取り上げまいか悩んでいたのですが、そういった今後、議論に加えてほしいものを8月までに再度議論していただけるかどうかについて、再度確認をしたいと思います。
○棟居部会長 今日のとりまとめは今までの議論の集約なのですけれども、今までそもそも議論をしようとして出しそびれている、落ちている論点について今後追加の機会はあるのかという御質問でしょうか。
室長、いかがでしょうか。
○東室長 その点については、先ほどから言っていますように、議論すべきであったのにしていないという部分は、4月以降にしたいと思っております。ですので、どの部分が漏れているのか、漏れていないのか、前回か前々回かそういうことを話し合う機会もあったと思いますが、余り意見が出されておりませんので、出していただければと思います。
○棟居部会長 その場合、基本的には多分、今日、今、お手元に配られているこのフォーマットを活用する格好で、ここら辺に入るべきだという形で場所も示していただいた方が多分とりまとめは楽になるのではないかと思います。
そして、勿論これは先ほどの川島委員の御質問とも重なりますけれども、ただ資料を出したということでこの場で共有されていない情報についてはとりまとめに入れるのは適切ではないように思いますので、資料として出していただいて、かつそういう時間をなるたけ設けたいと思いますので、今まで論点にしてこなかったけれども、論点にすべき補足論点というものについて御発言いただいて、多少の議論の時間を取りたい。次回というのではなくて今後随時もし重要なものがあればです。次回についてはもう多分無理です。
○東室長 混乱させないために、漏れている論点についてはこのフォーマットを利用しないでください。事務手続上混乱しますので、その漏れている論点についての意見出しはまた改めてやってもらうということでお願いしたいと思います。
○棟居部会長 ありがとうございます。その場合、今日のとりまとめの大体何番目辺りに本来追加すべきだという場所は言っていただいた方がいいのではないですか。
○東室長 再度の整理みたいなことはもうやりません。つぎはまとめの骨格提言ですので、何番目の後に入れるべきという議論は余り意味がないと思います。
○棟居部会長 わかりました。私はちょっとスケジュールを誤解しておりましたので、先ほどの話は撤回させていただきます。どうも失礼しました。
ということで、もしほかに内容にわたる御発言がなければ、本日、ここらで切り上げたいと思います。
それでは、以上で第3コーナーを終わります。本日の議事はこれで終了いたしました。最後に東室長から次回の予定等について御報告をお願いします。
○東室長 次回は、今、言いましたように3月16日です。13日までの御意見をいただいた上で、それを盛り込んだ修正案をできるだけ早く御提示しますので、それについて更に御意見があれば、当日の意見ということで書面化して持っていただければと思っております。
以上です。
○棟居部会長 当日の書面持ち込みというのはどう処理されるのですか。
大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 各論に対する意見はいつなのですか。
○東室長 13日までに各論、総論合わせて全部意見を出してもらう。それに対してこちらで一応修正案を用意します。それを事前に配付できれば事前に配付しますが、難しいようであればその修文が当日になる可能性もあります。それについての更に再修正というのがあり得るかもしれません。それは口頭で最終的にはその時間で了承をもらうということもあり得るかなと思います。ぎりぎりその場で話が付かない場合は、個別に交渉する、事後に交渉するというようなこともあり得るかなとは思っておりますが、なるたけ16日でまとめていただければと思っているところです。
以上です。
○棟居部会長 ありがとうございます。
本日の差別禁止部会の概要につきまして、この後、記者会見において私と伊東副部会長、竹下副部会長、東室長から説明させていただきます。
本日はお忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございました。

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