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第27回障がい者制度改革推進会議(2010年12月6日)
議事要録


議事 障害者基本法の改正について(第二次意見のとりまとめ等)


  • (東室長)障害者制度改革の重要方針の第二次意見のとりまとめに入る。本日、推進会議の認識を固め、その後、関係各省庁に実施検討に当たっての留意点を作成してもらい、次回会議資料とする予定。これらを踏まえ基本法改正に当たって政府に求める意見を事務局で作成し、次々回会議資料とする予定。

1 総則

  • (発言)障害者基本計画や法制上の措置、年次報告、障害者白書に関係するものが「11)その他」に入っているが、基本法ではどういう位置づけになるのか。「10)施策の基本方針」では、政府全体としての実態調査を実施するという政府の責任を書くべき。差別、雇用、所得の保障、教育等の総合的な調査実施を基本法で位置づける必要がある。
  • (発言)「1)目的」に、インクルーシブの定義が盛り込まれたことは評価する。合理的配慮や必要な支援が充足されるような政策が必要。「3)基本理念」で、地域社会で生活する権利が確認されたのは重要。パーソナルアシスタンスは、総合福祉部会で議論をしているテーマであり、権利条約では必要な在宅サービス、居住サービスなどの地域生活支援サービスの中にパーソナルアシスタンスを含むと明記されているので盛り込んでほしい。施策の対象から権利の主体へということからすれば、障害者が地域で生活しようとしても社会資源が不足している。自己決定にあたっては、十分な情報提供やエンパワーメントの機会等の、必要とする支援を受けられるようにすることが必要。
  • (発言)「1.障害者基本法改正の趣旨・目的」について。社会的障壁の中の意識上の障壁には外観への偏見を加えてほしい。また、個人の尊厳や自己決定が妨げられることも社会的障壁だ。「差別も後を絶たない」とあるが「差別と虐待も後を絶たない」とするべきだ。「2)定義」で「機能障害(インペアメント)と社会との関係」とあるが、「関係」を「相互作用」と書いた所もあり、表記を統一してほしい。「3)基本理念」で、地域社会で生活する権利の実現に向けた施策の具体化のために財政措置を入れてほしい。「4)差別の禁止」で、複合的な差別の解消のためには外部からの介入、アウトリーチが必要。
  • (発言)「条約の批准を実現」とあるが「条約の規定を順守するために障害者基本法を改正する」と書くべきだ。「1.障害者基本法改正の趣旨・目的」で、「点字や手話サービスの欠如」とあるが、これに文字情報を加えてほしい。前文の必要性に言及してほしい。「1)目的」等で「障害の種別による格差」とあるが、種別だけではなく程度を入れてほしい。「3)基本理念」では、権利条約に従って「言語に音声言語及び手話等の非音声言語が含まれることを確認するとともに」としてほしい。コミュニケーションの定義は、漏れやダブりがないよう順序立てて書くべき。
  • (発言)「1)目的」に関しての意見。障害者権利条約批准に当たって人権規定、権利規定として国内法が整備されるべきだが、現行法では、「障害者の福祉を増進すること」が目的となっており、基本的な施策も「障害者の福祉に関する基本的施策」となっている。「福祉の増進」ではなく、「共生社会の構築」もしくは「権利の確保」「人権の実行」など、障害者権利条約に沿った書き方にしてほしい。
  • (発言)「1 障害者基本法改正の趣旨・目的」で「社会参加の支援等のための施策」とある。障害者を保護の対象ではなく基本的人権の享有主体ととらえる方向で議論してきたのに、「支援」と言うと「支援を受ける人」となってしまうので、「支援」ではなく「保障」、「人権の確保」ではなく「人権の保障」としてほしい。「2)定義」で、谷間をなくし難病等も意識するならば、障害の固定を要件にするべきではない。
  • (発言)前回の基本法と個別法の性格についての議論を踏まえ、基本法では個別法及び施策の理念や方向性を定め、推進体制を明確にすべきだ。「基本的理念」を「基本的な諸権利と理念及び方向性」という表現にすべき。
  • (発言)「2)定義」で、「障害の定義は、制度の谷間を生まない包括的なものとし」とある。「制度の谷間」は一般的には、福祉と教育どちらも対応しないなどの意味で使われるので、「制度を必要としながらも除外される障害者を生まない包括的な」という表現にしてはどうか。
  • (発言)基本法について日本障害フォーラムの意見を説明する。まず、前文を作成してほしい。障害者権利条約に入っている障害者の保護、「施策の客体から権利の主体へ」というパラダイム転換を「1)目的」に入れてほしい。「2)定義」では障害と障害者を適切に定義してほしい。また、障害に基づく差別、合理的配慮、インクルージョンの定義、言語、コミュニケーション手段を入れてほしい。「3)基本理念」については、自己決定の権利、差別禁止、地域生活の権利、個人をそのままの状態で保護する権利がある。また、言語、コミュニケーション及び情報のアクセスも重要だ。
  • (発言)「3)基本理念」に【支援付の自己決定の保障】という見出しがあるが、支援付きでないと自己決定ができないというとらえ方に懸念があるので、「支援付」を削除すべき。「4)差別の禁止」の【複合差別】は意味がとらえにくいので、「複合差別の禁止」としてはどうか。「2)定義」で、「個人の心身の機能の損傷」とあるが、機能が損なわれる場合と遺伝的に機能が働かないという状況もあるので、表記の仕方に工夫が必要だ。
  • (発言)【支援付の自己決定の保障】は、例えば聴覚障害の方が手話通訳等の必要な支援を受けつつ自己決定を選択するというような意味。表現を変えるならば「必要な支援を伴った自己決定の選択」としてはどうか。
  • (発言)支援は大切で否定しないが、見出しは「自己決定を支援する仕組み」などがよい。
  • (発言)支援は地域社会における生活すべてに保障されなければならない。自己決定だけ「支援付き」となると、自己決定に障害のある人は未熟だということになりかねない。「支援付き」は不要ではないか。
  • (発言)あるがままの状態を保障される権利が権利条約にはあるが、支援付きの自己決定といったとき、無理やりに情報を与えて、説得して入院させてしまうおそれがあり、精神障害者は最初から支援付きの自己決定しかしない人たちとなりかねないので、表現の工夫が必要。
  • (発言)自己決定の保障を明確にし、そのために必要な支援という表現を入れてほしい。
  • (発言)「5)障害のある女性」に関わって、障害のある男性よりも女性の方が賃金が少ないことを複合差別の例とするのは不適切だ。女子差別撤廃条約はあっても、その効果が障害を持っている女性にまで到達していないことを書くべき。日本では男女共同参画自体が進まず、女性が差別されていることが複合差別である。各則でも障害のある女性の問題を取り上げ、特に「性と生殖についての権利」の問題を入れてほしい。人権として、障害のない女の人たちができることは、障害のある女の人たちもすべてできなくてはいけない。
  • (発言)精神障害を持つ女性は、結婚するときに子どもを産まない条件で結婚する、あるいは離婚の際に親権が父親にいってしまう等、つらい思いをしている。精神障害を持っても子どもを産み、育てられる権利の保障をしてほしい。
  • (発言)「9)障害者週間」について、先に日本で障害者の日があり、次に国際障害者の日が決められ、その間1週間を障害者週間としているが、国民の関心は低い。週間ではなく1日に集中させ、12月3日としてはどうか。日本では国際障害者の日が全く顧みられないので、再考してほしい。
  • (発言)「8)国際的協調」は全部「国際協力」に変えるべき。一部の条項を留保しつつ条約を批准している国もありため、基準は国際的な動向ではなく権利条約であるべきだ。
  • (発言)「7)国民の理解・責務」で「社会全体の意識向上に資する具体的な取組を規定すべき」とあるのは評価する。【事業者等の責務】に公共事業者とマスコミを書くべきで、特にマスコミは国民の意識向上に影響を及ぼす場合が多い。「10)施策の基本方針」で、障害者に対する定期的・継続的な実態調査を実施すること、障害者に対する施策の策定と実施は一般国民と比較可能な障害者の生活実態の把握に基づいて行うことを入れてほしい。【法制上の措置等】が「11)その他」に入っているのは不安だ。
  • (発言)「8)国際的協調」に障害者の権利と尊厳の確保を盛り込み、日本が国際社会で主体的にこの点を推進する主体となることを入れてほしい。「5)障害のある女性」が総則に入っていることはうれしいが、内容は不十分。特に「性と生殖に関する権利」について、知的障害のある女性が結婚する際に子宮を摘出させられる等の現実がなくなっていないことを踏まえると、各則でも障害のある女性についての規定が必要。
  • (発言)権利規定として基本法を書き換えるべき。「11)その他」に【法制上の措置等】として財政上の措置とあるが、「6)国及び地方公共団体の責務」で財政措置の責務があることを書き込んでほしい。また、地域で生活する権利を明記してほしい。
  • (発言)「2.総則関係」の「1)目的」とそれ以降の関連を確認したい。「6)国及び地方公共団体の責務」では冒頭から「自立」という言葉が明記されており、6)の【インクルーシブ社会の構築】でも国及び地方公共団体の責務に、地域社会で自立した生活を営むことができるようにすることが明記されている。また、「3.基本的施策関係」の「1)地域生活支援」でも「自立」という言葉が使われている。このように「自立」を重視するなら、「1)目的」で「自立」の説明が冒頭に必要ではないか。
  • (発言)「障害のある女性及び児童」として、児童についても総則の中で触れてほしい。
  • (発言)「障害のある女性や児童」などと「女、子ども」を一緒にするのはやめてほしい。

2 各則

  • (発言)精神医療について「6)精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保」に書かれているが、医療の質の問題は「4)健康、医療」で書く方が適切だ。人権尊重の観点から精神医療の体制整備をしてほしい。精神医療のニーズを精査して必要最低限の数に病床を削減し、急性期重症疾患等への医療の充実を図るとともに、入院を要しない精神障害者への地域での医療提供体制を確保する必要がある。また、精神障害者と家族へ病状や治療方針等について十分に情報提供されるべきだ。入院及び隔離拘束の際の保護者にかわる、障害者権利条約でいうところの人権的観点から、公的機関の責任が明記されるべき。精神障害者は自己決定権に基づいて精神医療を利用することが基本だが、例外的に非自発的な医療が行われる場合は、厳密で適正な手続が確保されること。「9)住宅」について、公営住宅の絶対数の不足が精神障害者の地域移行が進まない原因の一つなので、民間の賃貸住宅を公営住宅として借り上げることが喫緊の課題だ。退院の年次目標と連動して公営住宅を提供する年次目標を提示すべき。
  • (発言)「2)労働及び雇用」で、【雇用義務の対象拡大】について障害者雇用義務に係る障害程度の認定は機能障害ではなく就業の困難さをベースに行うべき。【一般の職業サービス等の利用】に、生涯学習も含むキャリア形成の機会が確保されなければならないと加えてほしい。「基本法に盛り込むべき観点」の一つ目に、「労働施策と福祉施策を一体的に展開・・・賃金の確保などのために必要な支援を受けられるようにすること」とあるが、「・・・生計の維持可能な賃金の確保などのために・・・」としてほしい。
  • (発言)「2)労働及び雇用」で、昇給についても入れてほしい。「労働の質の向上」という表現はあいまいなので、「障害者が障害を持たない人と同等に雇用され働くことができる環境条件を整備する」という表現ではどうか。「3)教育」の【地域における就学と合理的配慮の確保】で、本人・保護者が望む教育を受けられるようにすることがポイント。【学校教育における多様なコミュニケーション手段の保障】について、学校現場では補聴器を始めとする補聴の重要性が認識され日常的に使われているので、補聴援助を書き込んでほしい。「5)障害原因の予防」で【『障害の原因』の予防と早期発見、早期支援】となっているが、早期治療も入れてほしい。
  • (発言)「1)地域生活支援」をトップに位置づけたのは適切だが、【支援の対象】に社会的入院の問題を書き込むべき。また、「女性」の課題は各論に入れてほしい。特にリプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖の健康と権利)は女性障害者の重要な課題だ。「7)障害児支援」については、子どもの中に障害児を位置づけるという考え方を明記した上で、必要な支援を書き込むべき。
  • (発言)「1)地域生活支援」の【支援の対象】に家族、家庭を入れてほしい。地域生活をしている障害者の8割以上が在宅で、経済的にも精神的にも家族が支えているが、今は家族は無支援状態だ。
  • (発言)「2)労働及び雇用」で、支援の中に「通勤支援」とあるが、職場内の移動等があるので「通勤等を含む移動支援」とした方がよい。支援の内容として、職場環境の整備は入れてほしい。情報保障またはコミュニケーション支援は労働能力向上のために必要な支援であり、聞こえない人だけでなく知的障害者、発達障害者にも必要。「3)教育」について、視覚障害者関係から、ろう者、難聴者、盲ろう者に視覚障害者を加える要望があると聞く。また、教育を受ける子どもたちの一人ひとりの違った個別ニーズに応じたという言葉を盛り込んでもいいのではないか。教育の分野のみ特別支援という言葉を使っており、使い方が妥当か、今後の検討課題。
  • (発言)視覚障害者、盲は特に入れる必要はない。総論として統合教育を原則とし、保護者や本人が望んだ場合には特別支援教育を受けられるシステムをと書かれているので十分。日盲連は統合教育を文科省に要求している。「1)目的」で「すべての障害者が基本的人権の共有主体であること及びその権利の実現のためには自立と社会参加に向けた支援が必要」とあるが、社会参加の権利を保障するための支援でなければならない。「10)施策の基本方針」にある「地域生活が営むことができるよう配慮」は、地域生活を営む権利を保障するための合理的配慮となるべき。また、障害者や当事者の意見が施策に十分に反映されるよう、決定過程の参加を明確にすべき。「2)労働及び雇用」の【労働の多様な就労の場及び必要な仕事の確保】で、障害者の自営や起業に対する支援も記述されるべき。
  • (発言)「1)地域生活支援」が筆頭に入っていることは評価したい。「10)施策の基本方針」にもあるが、【支給決定の仕組み】で「障害の種類や程度をベース」としてしまうと、社会モデルへの転換を議論してきたことが台無しだ。「心身の状態あるいは障害の特性に必要な配慮をしながら」としてほしい。「2)労働及び雇用」で求職に関わる必要な措置を講じることも必要。また、合理的配慮や支援を得ながら働くことができるような支援としてほしい。「3)教育」では分離教育制度から転換し、子ども同士のつながりを障害のない子どもと同程度にするように交流及び共同学習の実施方法を見直すこと。「5)障害原因の予防」にある治療やそれに類似した行為は「4)健康、医療」で整理すべき。5)では障害がある状態でどのように地域で暮らせるかという早期支援が主なテーマ。「6)精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保」で精神保健福祉法の廃止も含めた改正を読み取れるようにすべき。
  • (発言)社会モデルを軸としつつも医療モデル的考え方を排除しないというのが推進会議での合意点ではないか。「障害の程度、種別による制度の谷間をなくす」という趣旨を外してしまうと問題がクローズアップされない。社会モデル的な観点だけで軽度の難聴者が救済されるか疑問だ。障害が早期発見されることで、早期の支援が受けられるという趣旨のことが書かれているが、発見の次は支援ではなく早期治療だろう。
  • (発言)障害の種類や状態を踏まえることは必要だが、「障害者に関する施策は、障害の種類及び程度をベースとしながら」というのは問題だ。今まで障害の種類や程度によって、「重度だから施設」などと施策が分けられてきた。また、早期発見の後、治療も含めて支援としてはどうか。発見の後で治療よりも発達支援が必要な場合などを考えると、早期発見の次は必ず早期治療と言えるだろうか。
  • (発言)障害の種類や状態を踏まえるという意味であれば了解だ。難聴者の場合は障害の程度によって福祉サービスから排除されてきた現実があるので、障害の程度の問題はクローズアップしたい。
  • (発言)障害の種類や程度をベースにしてきたことで、軽度の難聴者や軽度の知的障害者を排除してきた歴史があるので、種類や程度という言葉は注意をして使いたいという思いだ。解決したい内容は一致している。
  • (藤井議長代理)支援は包括概念で、早期支援の中に早期治療の意味も入るという点はどうか。
  • (発言)了解。
  • (発言)総合福祉部会で支給決定と相談支援の作業チームでの検討が進行中なので、支給決定の仕組みについて拘束される表現は避けてほしい。「障害の種類や程度をベースにしながら」という表現は社会モデルではなく、障害の種類や程度によってこれだけの支援が支給されると勘違いされる危険がある。これが「障害種別の違いにより支給が受けられないなどの制度的な格差が生じる」ことにつながっている。
  • (発言)総合福祉部会の作業チームで議論をまとめつつある。作業チームの方向性が拘束されないよう、特に支給決定の仕組みのところは配慮する必要がある。
  • (発言)「1)地域生活支援」という表題を「地域生活の保障」にしてほしい。財政面も含め施策を具体化すべき。地域生活に向けて自立の在り方は、本人の意向を尊重しつつ、通常の生活形態である自宅や賃貸住宅での生活を目標にして滞在型や常時支援型、24時間介助を確保すべきで、グループホームやケアホームはその過渡的段階と位置づけられる。そのためにエンパワーメントを中心とする当事者主体の相談支援体制が不可欠。「4)健康、医療」で、難病等の希少疾患が取り残されないよう、先端医療分野の治療を、財政的措置も含めて書き込んでほしい。推進会議の認識だけでなく基本法へ盛り込むべき観点にも入れてほしい。重度障害者が訪問医療で治療できない場合は、慣れたヘルパーを使いながら入院できるようにすべき。
  • (発言)「1)地域生活支援」では、国や自治体が地域生活の権利に係る施策の実施義務を規定すべきということ、本人の家族依存からの脱却、家族支援の必要性が重要。利用者負担については応益負担を廃止し、負担が求められる場合も応能負担を原則とすること、また世帯単位ではなく個人単位とすることが重要だ。地域移行に向けてのグループホーム、ケアホームとあるが、これは住宅の確保の機能の問題だ。日中活動の場を加えた上で、地域生活の体制を確保すべきと整理してほしい。
  • (発言)基本法が権利に関する基本的な施策であることを踏まえ、各条項、各則に権利規定を設けるべき。障害の状態に応じて教育を受けるというのは分離の根拠になるから、この文言は削除し、インクルーシブ教育を受ける権利を第1項に設けてほしい。権利条約は合理的配慮と必要な支援でニーズを充足する形で統一してきたので同様にすべき。当該障害者に必要な合理的配慮と条件整備をあわせて保障するべき。交流及び共同学習は2004年の基本法改正時に、分離教育とセットで挿入された経過を踏まえるべきで、今後これを積極的に位置づけるのか検討すべき。リプロダクティブ・ヘルス・ライツは、家庭、家族の支援といった項目で、権利条約の規定に相応するような文言、条文が加えられるべき。第二次意見には新たに規定することだけではなく、現行法の中で削除する文言についても盛り込んでほしい。
  • (発言)「11)その他」【法制上の措置等】で基本法の目的を達成するために、差別禁止法制を含む必要な法制上の措置を講ずると書かれているが、その基本法は権利条約の理念に基づいて作られるという趣旨を盛り込むべきだ。
  • (発言)「6)精神障害者に係る地域移行の促進と医療における適正手続の確保」について。医療合同作業チームでは、精神保健福祉法を総合福祉法と医療法に包摂してそのほかに特別な手続法をつくるという意見と、精神の問題は精神関連の法律でやりたいという意見がある。当事者の委員は、精神に特化した法律はつくってほしくないとしている。非自発的入院では、他のものとの平等に基づく適正手続が必要。精神病床削減の数値目標を明示してほしい。精神保健福祉法等で精神保健福祉士の位置づけが明確にされ、研修を受けた当事者相談員は大きな力となり得るという観点から、その積極的な活用を図ることを位置づけてほしい。相談支援において当事者がPSW等の専門家の下に敷かれる関係ではなく、当事者が私たちのことを私たち抜きに決めないでという根拠がほしい。平成14年の障害者基本計画に基づく重点施策実施5か年計画で、退院可能な約72000人の社会的入院患者の解消を目指すとされたが、これは社会的入院者数であり、ベッドを何床にするという目標を示したものではない。
  • (発言)「15)政治参加」では、条件整備は難しいが、選挙権に加えて被選挙権も入れるべきだ。「4 推進体制」について、市町村では、監視よりも検証、評価という言葉がよい。名称について、都道府県の場合は地方障害者政策委員会がよいが、市町村は地域障害者政策委員会がよいのではないか。ナショナルミニマムとして国が進める障害者施策で、地域で委員会をつくる場合には、法律で必置であれば、市町村は条例ではなく規則で積極的に設置ができる。構成メンバー等については地域の実情に応じた柔軟な対応をしつつ実効性が上げられるのではないか。市町村に置くこうした委員会の権能としては「監視」より「監視(モニタリング)」という表現がよい。
  • (発言)「10)ユニバーサルデザイン」の内容を「11)公共的施設のバリアフリー化」に含めて、11)を「バリアフリー化」としてはどうか。銀行のATMのタッチパネルを視覚障害者が使えないと例が出ているが、視覚障害者用のATMカードで使えるようになったと聞いた。また、例にあるレストランのメニュー等の点字版をつくるのはユニバーサルデザインではないのではないか。単に製品だけではなく広く環境、計画及びサービスの設計などについてもユニバーサルデザインの考え方が必要とあるが、これはメインストリーミング化やインクルージョンの問題だ。ユニバーサルデザインは例示が不足しているので項目としては外し、アクセシビリティー化やバリアフリー化に加えてはどうか。
  • (発言)全体を通じて支援については人的支援が中心で、それを補完する意味での技術的な支援や物理的な支援についての検討が少ない。ユニバーサルデザインがそういうものの1つだ。支援機器等の技術研究開発は進んでおり、それと無関係に障害者の支援はあり得ないので、ユニバーサルデザインのところで書き込むべき。
  • (発言)「8)相談等」で、「障害者の権利を尊重しつつ」とあるが、まずは障害者の権利の尊重ではなく擁護が必要だ。相談員は身分も地位も保障されておらず、ピアカウンセリングについても障害を持つ当事者が相談業務にあたり十分な支援が受けられない。相談員が障害の特性を理解できない問題もあるので研修体制も重要だ。「13)スポーツ・文化」で、障害者の権利を確認するとあるが、障害者基本法の条文ではどういう表現になるのか。スポーツや文化活動についての財政的な支援も入れる必要がある。
  • (発言)「14)所得保障」に「法定雇用率自体が一度も守られたためしがなく」とあるが、「達成されたためしがない」とすべきだ。就労継続支援B型事業の「月額工賃1万3,000円」という表記に「平均」と入れるべき。「家族に依存した生活」とあるが、家族に加えて公的扶助という表現が入った方がよい。【公的年金制度改革における検討】にある「稼働所得の実態を前提とする年金施策」の意味がわからない。「稼働所得とリンクした年金施策」という意味か。
  • (発言)「7)障害児支援」に、一般の子ども施策の中に障害児支援を規定し、その際、合理的配慮や必要な支援を講じることを入れるべき。「8)相談等」は表題を「相談や権利擁護等」とし「本人中心の支援」を書き、また相談活動によるエンパワーメント支援や障害者が地域で暮らすための社会資源の開発についても触れるべきだ。「9)住宅」で、福祉的借り上げ賃貸などの手法も含めて多様な住まい方支援が必要。「11)公共的施設のバリアフリー化」の表題に「交通移動の確保」を追加し、切れ目のない多様な交通移動手段の確保ができる措置を講ずるとすべき。「4 推進体制」で、政策委員会を市町村でも必置にした上で、国のレベルでは監視を明確に打ち出すべき。
  • (発言)「4 推進体制」にある政策委員会は権利条約に基づいた施策の監視をするので、障害者権利委員会という名称にすべき。また政策委員会は市町村でも必置にすべき。ほとんどの業務を市町村が担っているので、必置にしないと格差が一層できる。地域移行の問題も格差がないよう監視する必要がある。所掌事務については、中央と地方の障害権利委員会の役割分担を踏まえつつ、勧告権限を付与することなども検討すべき。
  • (発言)実効性のある推進体制が重要。国は政策委員会から意見や具申があった場合に、しかるべき期間内に応答義務があると書き加えることはできないか。基本法で国と地方公共団体の責務を書くとしても、それを根拠に裁判上、国や自治体の責任を問えないのではないか。
  • (発言)市町村の政策委員会の委員構成は障害当事者の意見が反映されるよう障害当事者が2分の1以上を占めるようにしてほしい。「8)相談等」では、都道府県が指定する相談支援事業者の中に障害者自身が相談を行うものを位置付けてほしい。また、医療ケア等に関する専門的ノウハウを持つ障害当事者団体を相談支援事業者として位置づけてほしい。「7)障害児支援」の【障害児及び家族への支援】については、医療の発展で重度の障害を持った子どもが増えているが母親が育てる自信を持てないため、親のいない重度の障害児が増えている現状を踏まえるべきだ。
  • (発言)「4 推進体制」について、権利条約35条に基づく国連の委員会への報告が義務付けられるが、この基本法は内閣所掌の法律なので、政策委員会は行政の一部になる。この場合、国の報告に対して推進会議がモニタリングや提言などをできるのか。
  • (東室長)これまでの仕組みの中でこういう委員会ができた場合、どういう関係性を持つのかまで検討していない。意見を出してほしい。
  • (発言)障害のある子どもを権利の主体と考えると、「7)障害児支援」の表題は「障害のある子ども」か「障害児」が望ましい。「12)情報アクセス・コミュニケーション保障」で「多くの障害者が必要な言語又はコミュニケーション手段を使用することに困難を抱えている」とあるが、「・・・困難を経験している」とする方が、特定の障害者個人の問題という誤解を避けることができる。「13)文化・スポーツ」で、「官民の施設整備やスポーツ大会等の運営に当たって合理的配慮が行われるように・・」とあるが、全般的なバリアフリー整備と個人への合理的配慮という2段構えにした方が明確だ。「17)国際協力」について、アジア太平洋以外の地域との国際協力もわかるようにすべき。また、あらゆる国際協力事業について障害者が参加者及び受益者となり得るようにすべき。
  • (発言)「12)情報アクセス・コミュニケーション保障」で、情報バリアフリーではなく情報アクセスとなったので評価したい。【必要とする言語及び多様なコミュニケーション手段の利用】で、コミュニケーション支援と情報アクセスの項目は切り分けてほしい。情報アクセスについて、国及び地方公共団体は事業者が障害者に障害のない人と同等の情報を提供できるよう必要な施策を講ずるとなっているが、国、地方自治体、事業者のいずれも責務がある。
  • (発言)「4 推進体制 1)組織」で国の政策委員会の構成は障害当事者を過半数とするとし、地方でも同様にしてほしい。「2)所掌事務」で政策委員会の勧告に強制力を持たせるため、勧告を受けた側が応答することを義務づけ、地方も同様にしてほしい。また、障害者基本計画の作成に関する意見具申を行うことも明確に入れてほしい。必要な情報収集と調査、審議及び監視、モニタリングに必要な体制の整備を行わなければならないと明確にしてほしい。
  • (発言)総則だけでなく各則についても障害のある女性を入れたいと発言したところ、4名の委員から御賛同いただいた。
  • (東室長)「相談」で権利擁護という言葉を使うべきとの意見があるが、これは擁護される側と擁護する側というように、これまでの推進会議の議論とは外れた言葉ではないか。成年後見制度も他人がその人の最大の利益を考えることが権利擁護という考え方だ。どう考えるか。
  • (発言)アドボカシーの訳語を権利支援とすべきだったのに権利擁護としたため、中身と齟齬が起きている。
  • (発言)民間機関、例えば日弁連などと、国や地方公共団体の役割を同視してはいけない。国及び公共団体の責務は権利の保障で、民間機関による支援は権利擁護でもよい。
  • (発言)アドボケイトの訳は行政の場合は権利保障で、当事者の場合は権利主張がよい。
  • (発言)権利擁護は後見人のことだけではなく、障害者の自己主張やエンパワーメントへの支援も含んでいる。また、国は本人がエンパワーメントできるような相談や権利擁護の仕組みをつくるべきで、表題は「相談」ではなく「相談や権利擁護」がよい。
  • (発言)モニタリング機関が政府から独立していたら、期間内に満足な回答が得られなかった場に国連に報告することにもなり、政府との距離が近ければ政府が報告することにもなる。
  • (発言)内閣府は政府の中であっても、各省庁の関係では一定の距離を置いて統括的に処理する関係に立つから、関係省庁に対して勧告権限を持つ。今回も監視委員会が内閣府に設置されることで勧告権限を持つだろう。応答義務は勧告に対する回答や、何を実施したかという報告義務の形になるのではないか。
  • (発言)「II.「障害」の表記」について、自治体などからの要望、特に精神障害の当事者の関係から要望が強いということで、第二次意見に入れてほしい。国会でも「障碍」や「障がい」を使うことを検討すべき等の議論がたびたびなされており、議論の概要も紹介しつつ国会の動きを示すことが必要。表現の自由、選択の自由という点から「碍」も使えるようにすることは推進会議全体の了解がほぼ得られた事項ではないか。

議事 報告等


1 地域フォーラム

  • (発言)熊本フォーラムについて〜差別をなくすための条例づくりを熱心にやっており、差別をなくすための条例づくりの話が多かった。推進会議への期待も多いと感じた。
  • (発言)香川フォーラムについて〜11月21日に高松で開催。参加者は約130名。スポーツ、まちづくり、特に第一次意見の実行可能性、第二次意見を含めた財源確保に関する質問があった。
  • (発言)北海道フォーラムについて〜北海道では、会場に300人。最後の方は今日の会議みたいに時間を過ぎてしまって、本当に盛り上がった。
  • (東室長)熊本は条例制定が進んでおり、最終的には当日300を超えた。千葉県の動きが大きな影響を与えている。北海道では、会場から多くの発言をいただいた。

2 わかりやすい第一次意見をつくる作業チーム

  • (発言)第一次意見をまとめてきた。今日を含めて10回、行った。次に第二次意見を2月までの短い時間でまとめていかなければならない。是非、「わかりやすいチーム」に参加をしてほしい。
  • (発言)2月の地域フォーラムに間に合うよう第二次意見のわかりやすいバージョンをつくりたい。「わりやすい第一次意見をつくる作業チーム」は解散し、新たに「わかりやすい第二次意見をつくる作業チーム」を始める。第一次意見をつくったときの反省点等も含め相談していきたい。

[以上]

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