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障がい者制度改革推進会議(第34回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより第34回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。本日の委員の出欠状況ですが、門川委員、北野委員、竹下委員、遠藤オブザーバー、福島オブザーバーが御欠席、中島委員が15時ごろより御出席、勝又委員が15時50分ごろに御退席、その他の委員、オブザーバーは御出席です。

会議の公開はこれまでと同様といたします。進行上の時間配分については、後ほど東室長より報告があります。本日の会議は17時までを予定しております。それでは、これより先の進行については、藤井議長代理、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 それでは、ここから先は藤井の方で議長役をさせていただきます。

最初に本日の進め方の概略につきまして、東室長より報告をお願いします。

東室長 こんにちは。担当室の東です。

今日は、まず最初に、この推進会議を担当している内閣府の障害者施策担当参事官が異動で交代しております。新しい難波参事官よりごあいさつをいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

難波参事官 関の後任で参りました難波と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

東室長 皆さん、難波さんですので、お名前を覚えておいてください。実は今日、ここの推進会議が発足して以来担当していただきました前参事官の関さんがお見えだと思いますが、いらっしゃいますね。一言よろしくお願いします。

関前参事官 関でございます。推進会議の立ち上げのときからずっと皆様方と一緒に仕事をしてきまして、ちょうど障害者基本法が成立したというタイミングと人事異動のタイミングが重なったということもありまして、先週8月5日金曜日付で異動となりました。

本当に長い間皆様方にお世話になりましてありがとうございました。今日は皆様方にごあいさつを申し上げるために参った次第でございますが、第1コーナーだけ聞かせていただいて退席しようと思いますので、よろしくお願いいたします。

今後いろいろな意味でまたお世話になることがあると思いますが、よろしくお願いいたします。(拍手)

東室長 関さん、本当にありがとうございました。

さて、今日の進行につきまして御報告いたします。本日も15分の休憩を3回といたしまして、4つのコーナーに分けます。第1のコーナーは40分です。最初の20分程度で障害者基本法についてこの間の状況を事務局から報告し、質疑を行いたいと思います。続きまして総合福祉部会で検討していただいている障害者総合福祉法骨格提言素案につきまして20分ほどで報告と議論を行います。続く第2、第3コーナーでもそれぞれ40分で骨格提言素案につきましての報告と議論を行います。第4コーナーでは60分を予定しております。障害者総合福祉法骨格提言素案のうちの合同作業チームの3つのチームがありますが、その部分について報告と議論を行います。各チーム20分でお願いしたいと思っております。

なお、今日のポイントは、総合福祉部会における骨格提言素案の検討状況について報告いただくということでありますが、皆さんの御意見もいただきたいと思っております。いただいた御意見は、総合福祉部会の部会長を務めております佐藤委員が来られておりますので、佐藤委員の方から、明日開かれます総合福祉部会には伝えていただきたいと思っているところであります。

本日の予定は以上でございます。

藤井議長代理 ありがとうございました。それでは、これから1時45分をめどにして第1コーナー。今ありましたように第1コーナーは20分間ずつ2つの内容を行います。前半は障害者基本法の成立に関する件です。第1コーナーの後半の方は骨格提言素案を佐藤部会長、尾上副部会長から報告を受けながら質疑を交わし合います。

では、最初に、過日国会で成立を見ました障害者基本法に関する報告等を東室長からお願いしまして、後で質問等を受けますので、東さん、お願いします。

東室長 担当室の東です。今日は基本法に関する資料として、資料1が改正法案の概要で、A4、1枚のものがあります。資料2として障害者基本法の対照表というものがあります。資料3、4がそれぞれ衆議院の内閣委員会と参議院の内閣委員会の付帯決議でございます。資料5がそれぞれの委員会での会議の抜粋版ということであります。以上の資料を基に簡単な説明をしたいと思っております。

まず、資料2、新旧対照表を開けていただけませんでしょうか。

このたびの障害者基本法は、ちょうど地震の日、3月11日の午前中に推進本部で改正の政府原案というものが了承されて、4月22日に国会に提出されました。その後、6月15日に衆議院の内閣委員会で通りまして、16日に本会議で通ったところであります。参議院につきましては、7月28日に内閣委員会を通りまして、29日に本会議で可決されているという状況であります。公布ですが、8月5日、先週の金曜日に公布されているという状況であります。

これにつきまして具体的に新旧はどうなっているのかというのが資料2でありますが、資料2は右側の方に旧障害者基本法、左側の方に改正された新しい障害者基本法を書いております。いずれもアンダーラインが引いてありますが、このアンダーラインの部分は政府原案として修正されたところであります。

加えまして、左側のゴシック体で太文字で書いてある部分があります。これは国会におきまして与野党の協議の結果として修正された部分であります。その部分について御説明したいと思います。

まず、第1条ですけれども、(目的)の中に、「かけがえのない」という言葉が入っております。

第2条の(定義)におきましては、発達障害に関しまして、精神障害に含まれるということで「(発達障害を含む。)」という記載がなされております。

6ページ、第14条、ここでは自立のための適切な支援の例示として、「保健」というものが加わっております。

7ページ、第16条の(教育)ですが、新しい2項として「国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない」。このような条項が新しい条項として付け加わっております

更に4項ですが、学校施設等の環境整備の例として「適切な教材等の提供」というものが加わっております。

第17条(療育)に関しましては2項が新しくできております。「国及び地方公共団体は、療育に関し、研究、開発及び普及の促進、専門的知識又は技能を有する職員の育成その他の環境の整備を促進しなければならない」というものでございます。

9ページ、(公共的施設のバリアフリー化)ということで、第21条に交通施設の例示として「(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。次項において同じ。)」というものが入っております。

10ページ、(情報の利用におけるバリアフリー化等)というところですが、第22条、ここでは1項の中に「障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣」というものが加わっております。

その下の(相談等)のところ、第23条。まず1項では「障害者の意思決定の支援に配慮しつつ」という文言が入っております。

更に2項が新しくできまして、「国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係機関相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を図るとともに、障害者の家族に対し、障害者の家族がお互いに支え合うための活動の支援その他の支援を適切に行うものとする」というものが付け加わっております。

11ページ、ここでは新しい条文として、(防災及び防犯)に関しまして、第26条というものができております。「国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない」。

次に(消費者としての障害者の保護)というところですが、第27条です。

「国及び地方公共団体は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供その他必要な施策を講じなければならない。

2 事業者は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供等に努めなければならない」。

以上が本文における与野党協議の上での追加でございます。

一番最後を見ていただきますと附則が挙がっております。附則は実はこれだけではないんですが、抄ということで新しいところだけ書いてあります。ここでは(検討)と題して、

「第二条 国は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

2 国は、障害者が地域社会において必要な支援を受けながら自立した生活を営むことができるようにするため、障害に応じた施策の実施状況を踏まえ、地域における保健、医療及び福祉の相互の有機的連携の確保その他の障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果も基づいて必要な措置を講ずるものとする」とあります。

以上が政府原案に対して国会で提案された議員修正の部分であります。このような修正を経た上で、全会一致でいずれの委員会も可決しているという状況であります。

簡単な説明ですが、以上です。

藤井議長代理 原案に対する修正分を中心に説明いただきました。10分間ほどありますので、各委員から質問をお受けしますが、いかがでしょうか。ほかにいかがですか。

では、まず松井さんからいきましょう。松井委員、どうぞ。

松井委員 松井です。ありがとうございます。

新しく東さんの方から説明があったところではなくて、障害者政策委員会等については公布から1年以内に政令で定める日から施行ということになっておりますけれども、大体見通しというか、どういう時期、タイミングで考えてらっしゃるのでしょうか。

藤井議長代理 これに関する他の委員の質問はございますか。

それでは、今の松井委員の質問に対して東室長からお答えいただけますか。

東室長 政策委員会の部分につきましては、今、言われたように施行が即日施行ではないという形になっております。それ以外は公布とともに施行ですので、既に法律として効力をしているという状態になっております。

政策委員会に関しましては、この推進会議と中障協を発展的に改組させていくということが前から言われておりましたけれども、できるだけ早く立ち上げたいと考えております。本当に大ざっぱですが、年度末にはできると思います。早ければ12月ぐらいにできるかもしれません。そこら辺のめどで考えているということです。

藤井議長代理 斎藤企画官、お願いします。

斎藤企画官 公布の日から1年以内の施行の部分でございますが、障害者政策委員会、都道府県、市町村に置く場合に関しては合議制の機関と書いてある部分でございます。今後、各自治体における準備、条例によって設置している機関でございますのでその準備ですとか、国の政策委員会の準備、そういったものが政府部内、地方公共団体で必要になってございます。そういったことの進捗なども踏まえて、今、東室長もおっしゃったように、切りのいいところで施行するということで考えてございます。

藤井議長代理 質問者の松井委員、よろしいですか。

松井委員 はい。ありがとうございました。

藤井議長代理 それでは、大谷委員、どうぞ。

大谷委員 それに関連してなんですけれども、ということは、基本計画も政策委員会ができてからつくるということになるんですか。10条、11条のところの施行は、政策委員会に関わるところ以外はもう公布になるんでしょうか。どうなっているのか。質問です。

藤井議長代理 東室長、答えていただけますか。

東室長 10条は(施策の基本方針)に関する条項ですね。11条は(障害者基本計画等)ということになっております。特に基本計画はもうすぐ見直しの時期が来るわけですので、一応この推進会議も政策委員会に変わるか変わらないかは別として、基本計画について検討していくということが課題になると思っているわけです。

ただ、それを政策委員会になってから始めるか、既に始めていくかについては時期との関係で考えたいと思っております。

藤井議長代理 皆さんもうおわかりのように、今の基本計画が平成24年度でおしまい。それ以降については来年が改定年というのが通常の考え方なので、これが今お話のあった基本計画が、この障害者政策委員会の、言わば初仕事になるかどうかということの関係で説明がありましたけれども、大谷委員、いいですか。

大谷委員 確認なんですけれども、そうすると、「障害者政策委員会の意見を聴いて」という第11条4項の規定は、次回までの基本計画を策定するときにはできているだろうということなのか。今の現行があるからもう大丈夫なのかなという。

藤井議長代理 では、改めて東さんからお願いします。

東室長 それは最終的に政策委員会の意見ということで諮らなければならないことでしょうから、それ以前に推進会議のこの意見が政策委員会に引き継がれていくという形になりますので、そんなに問題にはならないのではないでしょうか。

藤井議長代理 関口委員、どうぞ。

関口委員 こんな読み方をする人はまずいないと思うので安心はしているんですけれども、万一のことがあるといけないので。新しくできた(防災及び防犯)というところでございます。「障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため」と書いてあるので、こういう解釈はあり得ないと思うんですけれども、例えば国体などがありますと、皇族の方がいらっしゃるわけです。そうすると、近隣の精神障害者が入院を強制されたりとか監視されたりとかすることがあるんです。つまり、これは大きな意味で言えば防犯だと思うんですが、そういうようなことの根拠条文には成り得ませんねということを確認したいのでよろしくお願いします。

藤井議長代理 これも東さんからお願いします。

東室長 ここは国会答弁の場ではないので、私がそうですとかそうでないとか言う立場にあるかどうかよくわかりません。ただ、条文を読んでいただければそういうような趣旨ではないというのはだれにでも読めるのではなかろうかと思っておりますが、いかがでしょうか。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。なければこれに関する質疑はこれで打ち切ります。

それでは、残り時間の第1コーナーの後半になりますが、今日のメインの協議事項に入りますが、障害者総合福祉法(仮称)骨格提言の素案について、まず20分間ですが、佐藤部会長、尾上部会長から説明をお願いいたします。

佐藤部会長 資料6をごらんいただきたいと思います。昨年の4月に総合福祉部会が発足して、まだ時間がたっぷりあるなと思っていたんですけれども、あっという間に1年が過ぎて、この8月の末には部会としての報告をつくるという時期になってまいりました。

資料6の最初の表のページを見ていただきますと、「障害者総合福祉法(仮称)骨格提言素案」と書いてあります。こういうまだ最終的な確定ではないですけれども、目次構成としてはこのように、まず第I部で「総合福祉法(仮称)の骨格提言」ということで10項目ぐらい設けて、第II部のところで「新法制定までの道程」ということで経過措置だとか準備だとか財政関係のことなどを取り上げる。第III部として、障害者総合福祉法に関連する法律の見直しも作業チームの方からたくさん出されておりますので、それらを合わせて提起する。そんな全体の構成で骨格提言をつくろうということで進んでおります。

正副部会長が中心となって、作業チームの座長さんたち、副座長の皆さんの意見も聞きながら部会に提案をするということで作業してきているわけですけれども、なかなかばたばたしておりまして、不慣れなところもあって、7月26日の部会で全部を一挙に提案するということができませんで、この資料6の第I部の第2章から10章までについて7月26日に提案する。残りの部分に関しては8月9日、明日になりますけれども、提案をさせていただくという二段階で提案して部会の議論をしていただいて、8月30日の最後の部会で合意を図りたいという日程で進めております。

ということですので、今日、この推進会議で紹介して検討していただくのは、第I部の第2章から10章まで及び第IIIの「関連する他の法律との関係」で医療、障害児、労働と雇用という合同作業チームの方で検討してきていただいたことを中心とした関連法の見直し。この部分について今日紹介して御意見をいただければ、明日と8月30日の部会の議論の中に最大限反映するようにできるかなと思っております。

ということで部分的な報告になってしまって申し訳ないんですけれども、この資料6の1ページ目「障害(者)の範囲 素案」というところをまず見ていただければと思います。

【結論】のところにありますように「この法律において障害者とは、身体的または精神的な機能障害(慢性疾患に伴う機能障害を含む)を有する者であって、その機能障害と環境に起因する障壁との間の相互作用により、日常生活又は社会生活に制限を受ける者をいう」という提案をさせていただいております。

障害児の定義についても「障害者のうち十八歳未満である者をいう」という提案とさせていただいています。

これは例示列挙的に示すことによって、一見広く見えるけれども、そこに具体的な障害名が書いていない部分が軽視される、無視される危険性があるということで、例示列挙的な表現をなくして、漏れのない網羅的な定義にしたい、包括的な定義にしたいというのが意図であります。とはいっても、障害を有する者とか機能障害を有する者という抽象度をうんと高めてしまうと、そこに何が含まれるかがまたわかりにくくなるということも考えて、「身体的または精神的な機能障害」というような表現にした経過があります。

環境に起因する障壁との相互作用によるとか、日常生活または社会生活に制限を受けるという表現もこの定義の中に入れているわけですけれども、必ずしも市町村に支援の申請に訪れたときに、具体的にあなたの場合にどういう障壁が原因になって問題が起こっているんですか、どういう生活上の支障があるんですかということを一つひとつ細かく証明しなければ支給決定のプロセスに入れないということではなくて、障害と障壁との関係などについての一般的なこうした規定を教育的な意味で掲げているということであって、とりあえずこうした機能障害があるということが証明されれば、ニーズ評価のプロセスに入って支給決定の道に入るということです。

「慢性疾患に伴う機能障害を含む」というのは、慢性の病気で障害者手帳などが取得できない人については、障害者ではないということで除外されることが従来かなりありましたので、そういうことがないようにということで注意的に括弧を付けているというような規定ぶりになっています。ただ、26日の部会での議論、その後、文書での意見などをいろいろ出していただきまして、部会のメンバーからは、知的障害という言葉が入っていないではないかと、従来の対象とされていたのがなくなるということで違和感がある、これで大丈夫なのかというようなことだとか、障害者基本法の定義と同じではないので、その整合性はどうなのかというような意見だとか、生活に制限を受ける者ということで切ってしまわないで、そのために本法の支援を必要とする者というような表現が必要なのではないかとか、障害児の施策に関しては、児童福祉法を中心にしてやるものなので、障害者総合福祉法に障害児の定義が必要なのかどうなのかとか、機能障害という必ずしも共通理解というかよく聞きなれている言葉ではないものが定義に入っているので、これの共通理解というものがうまくできるのかという意見をいただいておりまして、それらを踏まえて更に修正を今検討しているというようなところです。

藤井議長代理 次の支給決定まで。そこで一括質疑を受けましょう。

佐藤部会長 そうしましたら、3ページを見ていただきますと、ここが支給決定、選択と決定の在り方ということについての章です。

3ページの囲みの中の結論で、6点ほど掲げておりますけれども、支給決定の流れといいますかプロセスをこの6段階でやりましょうという提案をしています。

まず、申請をするわけですけれども、その市町村に対する申請の際には、サービス利用計画を付けて申請するというのが第1段階。

第2段階として、市町村はその人が先ほど申し上げた障害者の定義に該当するかどうかの確認をするということ。

3番目に、市町村の支援ガイドラインに基づいて市町村独自のニーズアセスメントを行うということ。

4番目に、そのガイドラインに基づくアセスメントに基づいて、必要な支援を市町村で検討して、そのガイドラインの中に収まるという場合がほとんどだと思いますけれども、それ以外でガイドラインの水準を超えるような場合には、本人と市町村とで協議調整を行って、その結果に基づいて支給決定をする。

5番目に、それでもなおかつ協議調整が困難な場合には、その市町村の中に設置された第三者的な合議機関で検討して、市町村はその結果を尊重して支給決定を行う。

にもかかわらず更にまだ申請者、障害者の側に不満、不服がある場合には、都道府県に不服の申し立てができる。そういう6段階の設定をしております。

4ページ目ではサービス利用計画の定義を設けております。

その次に、「障害」の確認ということですけれども、先ほどのプロセスの第2番目の段階で確認がなされるわけですが、このときは障害者手帳があればそれで証明になるけれども、それ以外、それがない場合の障害者であっても、医師による証明書、診断書またはその他の専門職による意見書などでよいとしております。

ただ、部会での議論の中では、4ページの下の方に書いてあります専門職のリストの中で、国家資格のないものが含まれていていいのかとか、看護師で専門分野が大分違う、看護師の資格は持っているけれども、実務経験などでその分野に詳しくない人の証明でもいいのかとか、そんな議論も出ております。その辺を含めて検討しております。

5ページのところは、新しい支給決定プロセスの中で、障害程度区分を使わない新しい仕組みなわけで、この支援ガイドラインというのが非常に重要な役割を果たすわけですけれども、そのガイドラインの策定に当たっての基本的視点として4点ほど。特に内容的には最初の2つの点を示しております。

1つは、地域で暮らす他の者との平等を基礎として生活することを可能とする支援の水準を導くようなガイドラインでなければならないということ。この新しいガイドラインというのは、医学的な障害の種類と程度で支援を決めるということではなくて、社会参加を含めた支援の必要性、それをきちんと反映した支給決定につながるようなものとするということ。国が基本を示して、それを最低ラインにして市町村で決めるだとか、その策定過程には当事者参加を重視する。公開性を重視するというようなことを結論として述べております。

説明のところでも書いてあるわけですけれども、現在の支給決定、非常に制約的な機能を持たせるような支給基準を決める現行の市町村の要綱というのがあるわけですけれども、そういうものと結局同じものになってしまう危険性はないのかという意見も部会の中では出されておりました。

6ページ、7ページで協議調整、合議機関の設置、機能、その構成の在り方とか、不服申し立てに関して都道府県が対応することなどについて書いております。

とりあえず第1コーナーでの報告としては以上であります。

藤井議長代理 先ほど東さんからもありましたように、ここでの議論というのはあくまでもこの推進会議として総合福祉部会の進捗状況、到達点を共有し合う。今からこれを議論し直すという意味ではありません。ただし、内容によっては佐藤部会長が明日以降、あと2回残されている総合福祉部会に部分的に反映することは勿論あり得るというぐらい考えていますので、そういう視点からの討論の参加をお願いいたします。

今の資料6の1、2、3。理念、目的、障害者の範囲、定義、支給決定。この3つにつきまして、少し質疑を交わしますが、いかがでしょうか。

清原委員、どうぞ。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。

この間、部会におかれましては本当に緻密な議論を重ねていただきまして、心から感謝を申し上げます。今、御説明いただいた内容について2点質問をさせていただきます。

1点目は、障害者の定義についてです。もう既に部会でもこの点については話し合われたということですけれども、すなわち障害者基本法における定義と総合福祉法における障害者の定義の相違についてです。趣旨は変わらないとは思いますけれども、文言表現上はやはり異なるわけです。

それは実は2番目の質問とも関係いたしますけれども、支給決定の仕組みにおいて、市町村というのは大変重要な役割があることは変わりがないわけでございまして、私たちは障害者基本法に基づいて、必要に応じて条例の制定や改正というのを行っていくわけですけれども、障害者基本法と障害者に具体的にきめの細かいサービスを提供していくことに関わる総合福祉法の定義が異なった場合に、私たち自治体の場合には戸惑いがないわけではないと思います。

この辺りはもう部会で相当議論されていらっしゃるということなので、これを一致させることを私が提案するというよりは、もう議論された上であえてこのように分けていらっしゃるわけですけれども、自治体はどうしても憲法と法に基づいて条例も制定していくわけなので、準拠する法が障害者を対象としながら定義が相違するということについては、戸惑いというか困惑というか、そういうことがあるということはあえて申し上げて、その上で皆様の御協議の中での真意とか趣旨とかを確認させていただければと思います。

2点目は、3ページ以降の支給決定、選択と決定素案についてです。この検討をされる基礎としては、現在、障害者自立支援法の1次審査で用いられている障害程度区分認定調査項目というのがどうしても障害種別によって、あるいは地域による違いによって支給決定の客観的指標とするのには問題が多いということに置かれています。

私たちとしては、地域の専門家等にお願いして、障害制度区分認定調査委員をお願いし、その委員会での協議をお願いしてきた経過があります。ですから、そういう取組みをしている立場としては、客観的指標とするのは問題が大きいというようなことだけから何か検討されると、やはり心情的な面というのは関わってくださっている委員の方のことを思いますと、やや誤解を生みかねない表現かなとも感じまして、今の条件あるいは法、基準に基づき、誠心誠意、認定をしてくださっている方に対して、まずは敬意を払いつつ、しかし、より障害者である方の状況に応じた適切なサービスと支援の実態を上げていくというような当たり前のことで部会でそのように議論されたとは思いつつも、そのようなトーンというのは大切だと思います。

その中で、しかしながら、部会でも相当お悩みになったと思うんですけれども、具体的に本人自身が策定するセルフマネジメントであれ、本人が相談支援専門員とともに策定するサービス利用計画であれ、これを支援する体制をつくっていくというのは、基準をつくることと同時に大変難しい問題があります。

私、大変正直に申し上げますが、三鷹市のように経験もあり、それなりに職員に配慮するべく努力している自治体においても、障害者を支援する職員の中には疲弊があり、疾病があり、職員の休職もないわけではありません。そのぐらいこの制度の運用というのは大変難しいことがございまして、ですから、これは部会としてはかなり具体的な例を検証しつつこのような案をまとめてくださっていると思うんですけれども、特に書いていただきました3ページの下から3行目「市町村行政職員のOJT(研修体制)の充実が必要である」とあるんですが、研修だけでは担いきれない現実の自治体職員の困難もございまして、是非私としては、自治体職員、特に市町村の職員が重要な役割を担うということを改めて前提としての御提案でございますので、より一層そうした職員の確保と、あるいはこの提案されている事柄が円滑に各市町村で分け隔てなく、地域格差なくできますようなイメージで国に対して御提案いただきたいと思いますが、その点についても議論の中でポイントとなるような経過がございましたら教えていただければありがたいと思います。

以上、2点です。

藤井議長代理 この時間に与えられている時間がもう過ぎました。しかし、お二人の手が挙がっていますので、結論からお話ししてください。

大濱委員と新谷委員から伺った上で、佐藤部会長、または東担当室長からもお答えいただければと思います。

では、大濱委員からいきましょうか。

大濱委員 簡単に申し上げます。

7ページ目「不服申立について」というところで、現行の制度下では、都道府県の審査会へ不服申し立てをしているわけですが、実際には、市町村の決定に対して都道府県でそれは改善すべきという結論が出た場合に、では、市町村が都道府県の言う通りに行っているかというと、実際かなり無視されている事例がいくつかの市町村で報告されている。

このような状況を踏まえて、都道府県の権限の見直し、不服審査会でこれは市町村の決定が適切ではないというときは、都道府県に権限を与えて、市町村に是正させるような措置が必要だと思う。都道府県の権限、不服審査会の権限をもう少し強めていただきたい。

以上です。

藤井議長代理 これも支給決定に関しますので、後でまた見解があったらお答えいただきます。

新谷委員、お願いします。

新谷委員 新谷です。3点ありますけれども、1つは障害者の定義の問題です。先ほど清原先生から基本法との問題は御指摘があったと思うんですけれども、この法の中で障害者の定義を設けないといけない理由、実益がどこにあるのかということなんです。自立支援法の場合には全部それは身体障害者福祉法とか、個別法の定義に任しているという形の構成だったと思いますけれども、実益がどこにあるのか。支給決定プロセスを決めるために、あえて障害者の定義まで総合福祉法が踏み込む必要があるのかどうかということを聞きたいのが1点目。

2点目は、支給決定のプロセスで列挙されている事柄は、個別給付に関するプロセスですね。地域生活支援事業という範疇がどうなるかわかりませんけれども、少なくとも現行の地域生活支援事業の支給とかサービスを受けるプロセスについては、ここで触れておられないんですけれども、それがどうなのかということ。

3点目は、障害の確認についてですけれども、手帳に代わるいろいろな診断書を利用するように考えられていますけれども、手帳そのものの問題点はいろいろ指摘があったと思うんですが、そこに踏み込んだ議論。私たちにとっては身体障害者福祉法の別表の改定につながる道筋の議論が部会であったのかないのか。このままだと身体障害者福祉法の改定そのものは道筋が付いていないですね。

障害の定義そのものにも関わるわけですれども、今の素案で出てきた定義では、身体障害者手帳の定義とは随分レベルが違うので、そういう個別給付のところまで踏み込んだ形の規定にはなってこないような気がするんです。

以上、3点、質問です。

藤井議長代理 清原委員から2点、大濱委員から1点、新谷委員からは定義に関する部分が2点と、特に地域生活支援事業に関してはどういうふうな基準でサービスが講じられますかということがありました。3点です。

では、随時佐藤部会長、また尾上副部会長、東担当室長からお答えいただきます。佐藤さん、いいですか。

佐藤部会長 障害者基本法の定義は今日の推進会議の資料にあったようなものですけれども、どちらかというと障害者基本法の定義は、従来のものをベースとして、その他心身の機能の障害というのを付け加えて網羅的な定義にしようという発想だと思います。

障害者総合福祉法の部会の方で検討してきたのは、従来の枠の上にプラスαで足していくというやり方よりは、もっと新しい考え方で対象を見ようと、何らかの心身の機能の障害があって、環境の障壁との関係で生活上の困難があって、地域で暮らす上で支援を必要とする人すべてを対象にしようと。こういう機能障害があって、その程度がこうだから対象にしましょうという発想ではなくて、参加の支援の必要度を中心にしたものに切り替える、そういう見方、発想の大きな転換を図ろうという思いがかなり部会のメンバー、特に作業チームのメンバーの中にありまして、大分新しいものにした。

そうしたところ、知的障害という言葉が見えないとか、いろんな違和感も不安感も紹介されているというのがこの間の議論の状況ではないかと思います。個別法と総合的な理念法である基本法とが全く同じ定義でなければいけないということはないだろう。整合性があって漏れがないということが確保されていれば、それはそれでいいのではないかとも思ってはいるわけですけれども、しかし、そういう不安感みたいなものもありますので、何らかの形で制限的にならないような形での例示列挙的なものも定義の中に盛り込めないだろうかというようなことで今、検討しているところです。

定義のことに関連して、定義を設けることの実益はという御質問ですけれども、将来的に地域生活支援法というような障害、年齢に関わらない包括的な法律に将来なる段階では、障害という要件は要らない。支援の必要性があるかどうかによって対象を決めればいいということになると思いますけれども、我々がこの推進会議から頼まれている作業は、障害者総合福祉法の在り方の検討ですので、やはり障害を要件に含めないことには制度として成り立たないだろうと。

父子家庭で家事援助が必要だという人を排除する条件が必要であろう。そんなことを考えております。個別給付以外の地域生活支援事業的な部分に関しては、従来も特に認定の方法とかなくて、窓口で必要に応じて支給決定といいますか、認めてきているわけなので、特に必要ないのではないかとは思いますけれども、しかし、それでは余りにも不統一になるということであれば、何らかのガイドライン的なものも必要なのかなということで検討させていただければと思います。

手帳制度はいろんなところに関係しているので、この短い期間の中で十分検討することはできないまま、とりあえず自立支援法をやめて総合福祉法をつくる、その場合のニーズ評価の基準について限定して検討してきたということで、手帳の在り方についての吟味というのはほとんど実際上なされませんでした。

清原委員の読み方に誤解があるのかなと思ったところがありますので、3ページの説明の4行目のところに「客観的指標とするのは問題が多い」と書いてありますけれども、客観的指標だからだめだというのではなくて、むしろ障害程度区分というのが障害種別によって十分ニーズを反映していない格差があるということで、客観的公平であるべき指標としては障害程度区分が不十分だということをここで書いているものなので、一定の客観性というのは全国一律の制度である以上必要であろうと。

ただ、客観性が追及される余り、視力の程度がこれこれだからこれだけの移動介助の時間が支給されるという医学的なもので公平にやるという考え方をできるだけ切り替えていこうと。ニーズによって支給決定ができるようにしようという発想ではあるわけですけれども、客観性自体を否定しているということではないので誤解をいただかないようにしていただければと思います。

今までやや事務的になされてきたので、窓口でニーズ評価をするケアマネジメント、相談支援の行政担当者というのは、やや数が少なくてもやれると、実務的に確実的にやればいいんだというような発想が日本の障害者福祉にあったと思うんですけれども、やはりこの部分、個別にニーズ評価をきちんとしてモニターをするというような部分が非常に大事なので、こういう部分の行政担当者というのをより専門性を高めて、手厚く配置するというようなことが必要だろうということは部会の中でも議論がなされております。そうでないと、ガイドラインをつくってもそれを本当に使いこなして利用者の願いに沿うような専門的な対応ができないとは思っております。

今までそういう体制でなくやってきたものが一挙に明日から改善されるということは恐らくないだろう。多少のぎくしゃくをしながら、ヨーロッパなどでもみんなそういう経過を経て個別支援、個別のニーズを尊重するようなやり方ができてきたという経過があると思いますので、すぐに解決はしないにしても、こういう方向での切り替えを図っていこうということで議論しておりました。

不服審査の都道府県と市町村の関係、また検討させていただければと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 東室長、補足はありますか。

尾上副部会長、どうぞ。

尾上副部会長 総合福祉部会では副部会長をさせていただいております尾上です。

先ほど佐藤部会長の方からお答えいただいたことで言い尽くされていると思っているんですが、少しだけ補足をいたしますと、先ほどの3ページの清原委員の御指摘のあった部分というのは、今の認定調査の106項目についてを問題にしているのであって、むしろ審査会で障害種別によっては4割、5割の変更率、それだけ審査員の皆さんが一生懸命議論して検討していただいて変更しているから何とかなっていて、その変更がなかったらもっと大混乱の状態になっているのが今の現状なんだろう。そういう意味で審査会の皆さんの御努力に敬意を払うものですが、それだけで変更率を伴わなければならないという問題点を言っておるということが1点。

加えて先ほどもおっしゃられたとおり、円滑な実施というのが支給決定だけではないですが、総合福祉法の実施に関わって重要なことだと考えております。その点で是非とも支給決定の協議調整の新しい仕組みをつくっていくためのモデル事業のようなものをやってほしい、パイロット事業をやってほしいということが作業チームからも提案があります。

骨格提言の中にも入れる予定ですけれども、是非推進会議としてもそういう形で実際に自治体でモデル事業をやりながらソフトランディングといいますか、着地をしていくといったような方向感を是非共有したいと思っています。

もう一点、大濱委員の方からおっしゃられた点で7ページのところなんですが、御提起いただいたのは権限に関わってなんですが、不服申し立ての審査の中身については、今のものに加えてもう少しバージョンアップをしているつもりです。

結論の2の方で、「不服申立は手続き及び内容判断の是非について」ということで、現在はどちらかと言えば手続上の瑕疵だけというのが現在の都道府県審査の対象ですけれども、提案しているのは、それだけではなくて内容判断の是非。そのことからすれば、当然書面審査だけではなくて、必要に応じて本人が出席したり、意見陳述をして実際のその支給決定の中身が妥当かどうかということまで含めて御議論できるような書きぶりにしている。そこは今よりも一歩踏み込んでいるということを御説明しておきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 大分時間がオーバーしていますので、ここで質問への回答は打ち切ります。例えば手帳制度などは、これからむしろ残っていくテーマであるということ。今のお話の中で部会長、副部会長の考え方、私たちの到達点、また明日以降反映できる点、こんなふうに聞いてもらえればいいと思います。

では、第1コーナーはこれで時間が来ましたので終わります。15分遅れていますけれども、2時15分から再開します。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、第2コーナーを再開しますので、委員の方々は着席よろしいですね。では、引き続き第1コーナーに続きまして、第2コーナーはI-4~I-6について、少し進行が遅れていますので、40分弱で進めていこうと思っています。最初に15分程度になりますけれども、部会長、副部会長、すなわち佐藤委員、尾上委員の方から説明いただきまして、20分弱の質疑を交わし合う。そんなことでよろしくお願いします。

では、佐藤部会長、どうぞ。

佐藤部会長 4と5を私の方で、6を尾上副部会長から報告していただきます。9ページの4の相談支援のところをごらんいただきたいと思います。

最初に相談支援の対象は、障害者手帳の所持にかかわらずということで、ここでは基本法の障害者の定義を書いてしまっているわけですけれども、この辺は指摘を受けて修正して、本法の対象となる障害者と整合性を図ろうと考えております。

一般相談と特定相談、計画づくり、出来高払いでやるような特定相談と一般相談の違いを設けようというようなことが最初の結論のところで提案させていただいています。ただ、一般と特定を分けることなく連続的にやるべきだという意見も部会から出されています。

11ページの方では、相談支援機関を充実するためのいろんなことが提案されております。地域総合、特定、専門という重層的な相談支援の仕組みをつくること、エンパワーメントを行うような事業も併設する。事業所や市町村から独立して相談支援ができるようにする仕組みとする。そんなことが議論されております。部会の議論の中では、手話通訳などの情報保障を充実させろというような意見も出ております。

それ以降、13ページのより具体的にエンパワーメント支援事業の在り方、先ほど清原市長からも指摘されていましたけれども、相談支援専門員の役割、研修などについても触れております。

17ページが権利擁護という章です。苦情解決のために寄り添い型の相談支援をすること、それをサポートする機関が必要である。問題化する以前から寄り添い型の支援を行っていくことが必要であるということが書かれております。

18ページのところは、入院・入所者への権利擁護制度ということで、特にピアサポーターなど第三者が病院や施設の中に入っていって面接支援ができるような制度が必要だというようなことを提案しております。

これに対しては、グループホームだとか在宅の人たちも含めたより総合的な権利擁護制度が必要ではないかというような意見が部会から出されて、今、修正をしているところです。権利擁護に関しては、あと虐待防止法との関係などについても補強しつつあるところですけれども、とりあえず26日にはこういう提案を出しました。

それでは、6番目の支援体系について尾上副部会長、お願いします。

尾上副部会長 尾上です。21ページからをごらんいただけますでしょうか。支援体系ということで、こちらはかなりの分量になっていますので、ポイントをかいつまんで説明する形になるかと思います。

この支援体系を考えるときに、視点として、1つはより地域生活を充実させていくということ。本人のニーズに基づいて地域生活を充実させていくということ。2つ目が特に自立支援法になって地域生活支援事業と自立支援給付と分けられて、非常に大きな地域格差が出た部分について是正していく。どの地域においても安心して地域で暮らせる支援が得られるようにという視点から、各チームからの報告を集約して21ページの囲みのような形にまとめました。

大枠でいいますと、A.全国共通の仕組みで提供される支援というものと、B.地域の実情に応じて提供される支援という形で大枠の整理をして、更にA、Bのそういった支援体系を機能させるために必要な事項ということでC以下に列挙をしているという構成をとっています。

Aの全国共通の仕組みとB.地域の実情に応じて提供される支援について、22ページのところに説明をしております。22ページの下の図を見ていただきますと、現行の自立支援法のサービス体系というのは、介護給付、訓練等給付と地域生活支援事業と分かれておるんですけれども、この総合福祉部会の議論の前提、土台になっているのが障害者権利条約と自立支援法訴訟に関わる基本合意、その中で現行の介護保険との統合を前提とせずということが明記されているということからしましても、そして何よりも支援の現場からしましても、介護給付、訓練等給付を分ける必然性、必要性というのはないのではないかという提起がございまして、要は全国共通の仕組みで提供される支援については国や都道府県の負担ということを強化して、どの市町村においても、どの自治体においても必要な支援が得られるような仕組みにしていこうということ。

ただ一方、地域生活支援事業の中で、例えばメニュー事業的なものを中心に、自治体の裁量で可能となる支援の仕組みは引き続き必要ではないかということで、名称をそのままにするのではなくて、市町村独自支援事業というふうにして、地域の実情に応じて提供される支援というふうに大きく分けようとなりました。

この前、7月26日のときにも何名かの方から御提起をいただいたんですが、現行の地域生活支援事業の中にある地域活動支援センターや福祉ホームについても、全国共通の仕組みであるべきではないかという御提起をいただきました。

その意味で、ここの日中活動支援と書いてある部分について、もう少し書きぶりを変えたり、居住支援のところももう少し書きぶりを変えたりということの作業を進めて、明日の部会でお示しする予定だという前提でお読みいただければと思います。

その上で、項目だけ説明するだけの時間になるかと思いますが、1つ目が就労支援についてということで、これは就労支援の合同作業チームからの提起をベースにしまして、24~25ページ、特に25ページを見ていただいたら一番わかりやすいでしょうか。障害のある人への就労の支援の仕組みとして、障害者就労センターとデイアクティビティセンターと整理していく、再編していくということが示されています。

このデイアクティビティセンターは2番目の日中活動支援とも重なるところでございますけれども、特にここの障害者就労支援センターの下のところに、労働法の適用やあるいは適切な仕事を安定的に確保するというようなことが書かれておりますが、将来的にどういうふうな法律に位置づけていくのか、あるいは賃金補てんといった仕組み、こちらの推進会議でも議論になってきました賃金補てんの仕組みをどうするのかということもございますので、23ページの結論の2つ目の○ですが、社会的雇用などについての試行事業(パイロットスタディ)を実施し、その検証結果を踏まえて、施行後3年をめどに就労支援の仕組みを見直すということで、言わば3年間のそういうパイロット事業を経て、しっかり今以上に労働行政の方からサポートされる仕組みをつくって持っていきましょう、更に発展させていきましょうと。そこに至るまでの仕組みとしてこういったものを提案されているということです。

24ページのところに日中活動支援ということでデイアクティビティセンターの創設でありますとか、ショートステイあるいは今の日中一時と言われるようなものをより強化するような形でしようということが2番目です。

デイアクティビティセンターについては、片仮名で長いということもあって、名称については再考の余地があるのではないかという意見がありましたが、ただ、一方でデイケアとか単に介護を受けに行く場というよりも、より社会参加をしていく活動の拠点ということがわかるような名称であってほしい。そういう意味では、デイケアにとどまることのないデイアクティビティセンターというところに部会の議論のポイントがあったと思っております。ここの辺も明日の部会で議論の1つになるかと思います。

さて、3番目の居住支援サービスについては、グループホーム、ケアホームと今分かれているものですけれども、これは介護給付と訓練給付に分かれたからそうなっているだけで1本化をしていこうということと、地域における居住支援という位置づけしようということです。

4番目、個別生活支援という新しい名称ですが、今のいわゆる訪問系サービスというものを更に発展させていくということですが、とりわけパーソナルアシスタンスを創設していくということになりますので、居宅の中に限らず、居宅外、いろんな場面に必要な支援が得られるという仕組みを目指していこうということなので、訪問系というとどうしても個人宅に訪問するというイメージがありますので個別生活支援ということにして、パーソナルアシスタンスの創設、そして居宅介護、移動介護、こういった体系にしたらどうかということで、パーソナルアシスタンスについてはこういった利用者主導であったり、個別の関係性ということ、あるいは包括性、継続性といったようなことも27ページのところで定義をしております。

居宅介護は更に今以上に障害者のニーズにおいて使いやすくするとか、移動介護も地域間格差が起きないように全国共通の仕組みに持っていこうということでございます。

5番目、コミュニケーション支援及びガイドコミュニケート支援ということで、こちらの方も、今よりも全国どこでも必要な支援が得られるような仕組みに強化をしていこうということで、支援を必要とする障害者に対し、社会生活の中で行政や事業者が対応すべき必要な基準を設け、その費用は無償とするということ。あるいはガイドコミュニケート支援につきましては、一方、盲ろう者という盲ろうの障害を持つ方々の人数が少ないということもあって、都道府県での実施ということでコミュニケーション支援と移動介助を合わせて利用できるようにしていこうとか、日常生活用具も舗装具と同等の仕組みにしていこう。全国どこでも得られるようにしていこうということが提案されています。

29ページ、B項ですけれども、市町村独自支援ということで、現在、地域生活支援事業の下で実施されているものについては、できるだけ先ほどの全国共通の仕組みという形に持っていくとして、自治体の裁量として残す方がよいものは市町村独自支援事業にするということで位置づけていこうということです。

30ページ、C項は医療的にケアの拡充についてです。これは第1次意見、第2次意見でもこの推進会議でも議論になった点でございます。1つはデイアクティビティセンターなどの、いわゆる通う場所であったり、特定多数の人に対する医療的ケアの提供の場面と、一方、先ほどのパーソナルアシスタンスのような形で非常に個別性の強い場面での医療的ケアというのは、そこで求められる仕組みは違うのではないかという前提で30ページのところに提起しています。

以下、例えば日中活動支援の通所保障でありますとか、グループホームでの生活を支える仕組みということで、そこにおいても経過措置ではなくて、言わば永続的な制度としてホームヘルプを組み合わせて使えるようにしましょうということを提案したりしております。

33ページまでその他ということで、非常に重要な事柄を書いておりますけれども、お読みいただければと思います。はしょりましたけれども、6番、支援体系ということで、改めて障害者の地域生活が全国どこでも安心して暮らせるような支援が得られるようにという視点で整理をいたしました。

藤井議長代理 それでは、I-4から5、6と、特に最後の6は支援体系、大変膨大です。本当に時間の中では説明しきれませんでしたけれども、内容を見ていただきながら最低これは聞いておこうということについて質問を受けますが、山崎委員、先ほど手を挙げていましたので、今のことに関係なくてもいいですから、いかがでしょうか。

山崎委員 ありがとうございます。山崎です。

今の第2コーナーについての質問が1点と、第1コーナーについて1点聞かせていただきます。

まず第1コーナーに関わっては、やはり障害者の定義が基本法と今回御提案のものが異なるということに私もかなり違和感を覚えます。清原委員が危惧されているように、現場の方は定義が違うと混乱をきたすのではないかという恐れを私も感じています。

法律家の視点から言いますと、定義が違うということは、そこで意味している障害者の質的、量的な範囲が違うということになると一般的には理解されると思います。そこでもう一回私も冷静に考えてみたんですが、今回の骨格提言素案のI-2で掲げているところの表題を見ますと、法の対象限定とあります。ここが恐らく目指すところであると思うんです。私の理解するところ、障害者の定義は基本法で定めるものだと非常に広くて、それが言わば大きなものですね。その中で給付行政の対象となり、総合福祉法の射程とする障害者がそこの中に少し小さい形で出てくるんだろうと思います。恐らくそういう形になると思うんです。

さて、その場合、小さい○の表現をそもそも障害者の定義自体で変えてしまうのか、あるいは障害者の定義は一緒にしておいて、総合福祉法が射程とする適用対象とする障害者という形で限定を加えるのか。後者の方が一般的かなという気がします。

そういう意味では、新谷委員がおっしゃっているような、総合福祉法であえて障害者の定義を置く必要がどこにあるかという御疑問は私も共有しております。これが第1点目です。

第2点につきましては、今のこととも関わりますが、実は第2コーナーの冒頭の9ページで御説明になったI-4の相談支援についての上の○の1~2行目の説明を拝見していると、これはどうやら基本法の定義に近いんです。ですから、必ずしも1ページ目の説明と9ページ目の説明の整合性が取れていないので、この辺りも少し調整いただいた方がいいのかなと感じた次第です。

以上です。

藤井議長代理 それでは、主には第2コーナーに関わって発言したい方は挙手をお願いできますか。

関口委員、土本委員、新谷委員と順番にまいります。極力できる限り結論から述べてください。

では、関口委員、どうぞ。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口明彦です。

これを読むと予算のかかりそうなことがとてもいっぱい書いてあって、予算が100ではなくて120として、どれに幾らぐらい使うつもりなのかという見取り図がないと何とも評価のしようがないと思ってしまうので、その辺のことも御議論いただけたらということがあります。

もう一つは、相談支援に対して、一般相談、特定相談と分けていって、特定相談では相談支援専門員が本人を交えて計画をつくる。これは医療観察法で行われている、あるいはケアマネジメントという手法で行われていることです。

権利擁護というのも同時に出てきます。相談支援専門員は人権に配慮してやらなければいけないように書いてありますけれども、例えば私は入院しろと言われたときにうまく切り抜けた手段としては、代わりの者が交渉に来るのでということでもって、その人と待ち合わせしておりましたので、その間、私は初めて診察室を出て外にたばこを吸いに行きまして、そうしたらその人が現れて、医者と交渉してくれまして入院をまぬがれました。

この間精神科の医者と話したんですけれども、つまり、こういうような場合、医者がどう感じるかというと、やれやれ責任逃れができたと感じるらしいんです。医者としては自分の責任で入院か退院というか決めなければいけない。それが擁護する者が現れると、半分そいつの責任だということになって、自分の責任が軽くなる。これは相談支援専門員がそこまで担えるんでしょうか。つまり、制度設計としてこういう相談の延長線上にある権利擁護ということで私は成り立たないのではないかというのがあって、その辺わかったら教えてください。

藤井議長代理 土本委員、どうぞ。

土本委員 就労のことなんですけれども、今まで不当に扱われてきた部分があった。その後、行政機関とかハローワークが全然知らないところで行われていったということも含めてなんですけれども、今後自分たちの権利として、働いた部分とか、その場で虐待を受けた場合、それはどうすればいいのかということを含めて、ただ私たちが泣き寝入りをさせられるのかどうか、その点聞きたいと思っています。

以上です。

藤井議長代理 これは後で合同作業チームと関わっていきますが、今の話は大変大事なことで、不当な権利侵害が少なくないか。そういう単純なことが今度の仕組みの中では消えていくんだろうか、あるいはそういうことをちゃんと持ち込む場があるのだろうかという質問だと思います。

続きまして、新谷委員、お願いします。

新谷委員 新谷です。

地域生活支援事業の位置づけをお聞きしたいんですけれども、骨格提言の中では地域生活支援事業というのは残るんですね。地域の創意工夫に委ねる部分は地域生活支援事業として残るというような御説明だったと思うんですけれども、大きな表の中で3つ分けておられて、全国一律共通の基準による事業と、地域の創意工夫に任す事業、この22ページの右側の部分、こういう位置づけは何を基準に全国一律と地域生活事業と区分されているのか。財源問題で、財源の仕組みで2つは違うんですと、全国一律と地域の生活支援事業と財源の仕組みが違うんですというポイントと、ナショナルミニマムというか、全国共通の基準を設けるという意味で2つの観点から事業を切り分けるんだという趣旨なのかをお聞きしたい。

コミュニケーション支援事業は、今の御説明ですと地域生活支援事業ではなくて、全国一律の事業と位置づける形になるんですか。

藤井議長代理 では、お答えできる範囲になりますが、一体この支援事業、支援体系等を含めて挙げたけれども、お金のことはどういう議論があったんですかということですね。相談支援事業、権利擁護辺りでの障害者を守る仕組みなり、それの変な抜け道になってはいけない。それはどんなことを考えているか。就労の問題。今出たように、地域生活支援事業ということが今まであったんですが、全国共通と地方行政の創意工夫との関係性、線引きは一体何をもって等々を含めて順番にお答えをお願いします。

佐藤部会長 予算見積もりということについてまだ我々の方ではできていません。新しい障害者総合福祉法になって実際にどの程度総合的に見積もられるのか、個別の支援ごとに幾ら何件の支援が必要とされるのかということを計測する段階にはまだ至っておりません。今年度厚労省の方で新しい生活のしづらさに関する実態調査というのを行う予定になっていますので、そういうものもまだデータもない段階だし、まだまだガイドライン、支給決定に使われるガイドラインについてもどういう水準になるのか、その辺についてまだ詰めたところまで行っていませんので、予算見積もりを出す段階にはまだ至っていません。

ただ、全体としてOECD諸国などと比べての障害者福祉、現物給付的なサービスがかなり日本では低いので、少なくともその平均水準以上に伸ばすことが必要なのではないかというようなデータの整理とか、あるいは障害程度区分は勿論使っているけれども、その上によりニーズに即したガイドラインを使って支給決定をしている自治体での財政状況の分析だとか、そういうものを行いながら、それほど青天井の費用はかからないという予測など、関連資料は明日の提案分の中に含めて用意しているところです。

相談支援と権利擁護なんですが、相談支援事業そのものが権利擁護的な機能を果たすということは当然必要なことだということをベースにして、しかし、同時に権利擁護に特化した仕組みというものも用意しようと、そういう2本立てで全体の整理がわかりにくいかもしれませんけれども、そんな構想をこの骨格提言では示そうということになっています。

あと尾上さんの方からお願いします。

藤井議長代理 山崎委員のおっしゃったのは、第1コーナーと第2コーナーにかぶってくるんですが、定義、障害者の範囲について佐藤さんの方でコメントはありますか。

佐藤部会長 第1コーナーで回答させていただいた以上の回答は今できませんので、どちらも漏れのないような対象、基本法も総合福祉法も用意をしている。もともと推進会議自体がこの総合福祉部会で今骨格提言の中で提案しようとしている新しい網羅的な包括的な障害者の定義を提案していたわけですけれども、省庁との折衝の中で既存の基本法をベースにしたものでプラスαにしましょうということになって、推進会議としてはやや不本意ながらも飲んできたというような経過があって、総合福祉部会の方では推進会議と並行して検討してきて、よりラディカルな新しい考え方を示そうという意向が非常に強いので、同じものにはならないだろう。ただ、運用上、齟齬が起こらないような工夫を例示列挙的なものも含めて、明日の部会では提案しようということを考えているところです。

長くなって恐縮です。

藤井議長代理 では、尾上さんに行く前に、少し東さんからその件に関して補足をお願いします。

東室長 東です。障害者基本法上は、障害の種別をどう列挙するかという問題に加えて、若干素案と違った書きぶりがあります。それはどこかというと、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受けるという継続性と相当性という文言が基本法上は入っている点です。

部会ではむしろその部分は入っていないんです。だから、どういう障害を例示列挙するかという以外に、この点も考慮すべき点ではありますので、先ほど山崎委員が言われましたように、基本法が最も広いという形であれば、それをこの法律においてはこういうものだと限定的な形で書けるんですが、むしろ今議論は逆のパターンです。そこをどう考えるかというのが大きな問題点になって、むしろどれだけの制限があるかとか、相当な制限を受けている状態かというのは、支給のプロセスの中で判断するという立場で骨格提言ができているんです。だから、そこで少し違いが出てくるんだろうと担当室としては受け止めております。

藤井議長代理 それでは、尾上委員、副部会長としてお願いします。

尾上副部会長 新谷さんから質問をいただいた点、少し経過も含めて整理しておきますと、まずこの支援体系のところです。皆さんのお手元の資料にかなり分厚い部会作業チーム報告、合同作業チーム報告という合本版がございます。御存じのとおり、去年10月から2期にわたって、この作業チームで議論してきた。この作業チーム報告をベースに集約してまとめたのが先ほどお示ししたものだということが1つです。

その上で、この体系にしていくときに現行の自立支援法との関係で言えば2つポイントがあるかなと。1つはいわゆる自立支援法の体系にとらわれない、その枠組みをできるだけ取り払っていくという視点と、一方で、自立支援法で実際にサービス提供している部分が新しい総合福祉法、新法になっていってサービスがストップしてしまうということにならないように、その2つの視点から整理をする必要があると思うんです。

まず1つ目の自立支援法の枠組みに余りとらわれないということで言いますと、特に自立支援法では障害程度区分によって支給決定プロセスを経るもの、障害程度区分を中心にした支給決定プロセスを経て、例えば区分何以上だったらこれこれというようなものと、それ以外のもの。もう一つは、国の義務的経費と裁量的経費というような形で分けられるかと思うんですが、その点、今回、先ほどの支給決定のところでも提起をしていますとおり、障害程度区分を廃止して、ガイドラインに基づいて、そして協議調整によって支給決定をしていく仕組みにするということなので、先ほど新谷委員の方から全国共通の基準という言葉がありましたが、これは別に揚げ足取りという意味ではなくて、私どもがまとめる上で気を使った点で、基準という言葉になると、どうしても今の例えば障害程度区分のようなイメージになってしまうので、全国共通の仕組みで提供されるというふうにして、そういう意味では各自治体ごとによるガイドラインやそういったものを使っていくということになっていきますので、要はしっかりどこの自治体においてもその人に必要に応じて支給決定ができるような財源調整の仕組みはより強化をしていくという意味で、全国共通の仕組みということと、もう一つは、地域生活支援事業という言葉もできるだけ使わないようにというか、地域生活支援事業というとどうしても統合補助金による補助金だ、まるめの補助金だというイメージがありますので、そうではなくて地域の実情に応じて提供される支援というふうに名称も含めて気を使ったつもりでございます。それが1つ。

もう一つは、先ほどの部分で言いますと、各チームから出されてきている地域間格差が広がって、とても障害者の地域生活、安心できないということで提案があったわけです。今の地域生活支援事業の必須事業に関わる部分で、相談支援やコミュニケーション支援あるいは移動支援、日常生活用具、そして地域活動支援センターなど、今の現行法においても地域生活支援事業の中で必須事業と位置づけられていることからすれば、全国共通で提供されるのが当たり前であってということで、今、財政的な面を強化すべきだということをそれぞれのチームからいただいて、先ほど申しましたがコミュニケーション支援や移動支援や、そういったものが全国共通の仕組みの方に入ったという評価であります。

藤井議長代理 なかなか理解が難しいと思うんですけれども、時間が来ているんですが、関口委員、長瀬委員、順番にいきます。

関口委員 予算が青天井ではないから大丈夫だというのではなくて、私はこういうものをつくるときに、この法律の中でどこに重点的に予算をつけるのかということで法律の性格が決まってくると思うんです。この間、民主党の精神保健プロジェクトチームのヒアリングを受けたんですけれども、私たちとしては、精神医療の医療の部分のお金と福祉の部分のお金だけではなくて、人権の部分にお金を付けてくれと要望しました。

権利擁護というのはまさに人権の部分ですから、これが総合福祉法の中でどの程度割合の予算がつくのかということが私たちにとっては死活問題なんです。つまり、相談支援というのは、今、つなぎ法案、これは閣法ではないですけれども、自立支援法のつなぎ法案でもって、年間3,500件を3万件にしますと厚生労働省の専門官がおっしゃっているわけです。もう既にそういうレールは敷かれているわけです。大きく増やしますよと。そこにポンと投げるだけでは、つまり総合福祉部会として方向性を出したことにならないのではないかと。だから、青天井にはならないでしょう、とにかくやってみなければわかりませんなどというのでは全然納得できません。

藤井議長代理 関口委員の意見をもう一度はっきり言うと、相談支援事業などはむしろ重点を置く必要はないという意見ですか。

関口委員 このままでいったら相談支援事業が物すごい金食い虫になると思うので、それだったらほかにお金を使った方がいいと思います。人権擁護の方にお金を使ってほしい。

藤井議長代理 またこれも後でお答えいただければお答えいただきましょう。では、長瀬委員、どうぞ。

長瀬委員 長瀬です。ありがとうございます。

私からは、尾上副部会長から御紹介いただいたI-6の支援体系のCの支援体系を機能させるために必要な事項の9医療的ケアの拡充のところについてお伺いしたいと思います。特に○の2つ目の地域生活に必要な医療的ケアが本人や家族が行う生活支援行為として学校移動中など、地域生活のあらゆる場面で確保されるということになっている点です。これは非常に重要なポイントだと思って拝見させていただきました。

この後の説明のところでも出てきますけれども、生命の危機というようなことにもつながるような場合が特に重症な心身の障害の方の場合にはあるわけですけれども、少し気がかりなのは、議論がどうしても命か地域かという二者択一といいますか、どちらかだけとなっています。どちらかと言われたら当然生命優先と答えざるを得ないと思うのですけれども、でも、そこをもう少し一歩進めようというのが今回の制度改革、その背景にある権利条約の考え方だと思います。

やはり命は勿論大事なのだけれども、それを地域生活の中にいかに近づけるのかという方向性がすごい大事だと思っておりまして、それは特に今回の障害者基本法の改正の議論の中で、例えば14条の医療や介護が身近な場所において受けられるようにというところに「可能な限り」というのが入った背景の議論が国会での審議を通じて明らかになっているのですけれども、そのときにここで可能な限りというのがなぜ必要かという説明の際に、医療的ケアというのが持ち出されていて、それは村木政策統括官も衆議院の審議の際におっしゃっているわけです。それを考えたときに、基本法と今回の総合福祉法、両方を兼ね合わせて生かしていくということを考える際に、この9の医療的ケアの拡充というのが非常に重要な生命線ではないかなということを考えております。

そういう意味では、この部会の方の議論の際に、時間的な制約もあるかと思うのですけれども、例えば14条の5の「可能な限り」と、私は今、読み返しても、14条の5の「可能な限り」というのは不要だったなという思いが非常にいたしますけれども、基本法の議論と兼ね合わせての何か議論というのがあったのかどうか。また、もしなければ、なおさら今回の基本法の議論の中で医療的ケアということが理由となって、例えば14条の5では「可能な限り」が入ったという経緯を踏まえますと、部会の方での議論の中でも、基本法での「可能な限り」が入ったという経緯を踏まえて、更に議論を深めて、地域生活の中での医療的ケアというのを是非強めていただきたいと思いました。ありがとうございます。

藤井議長代理 そうしましたら、どうしましょう。大濱さん、時間もだいぶ過ぎているんだよ。では、手短に頼みます。

大濱委員 今の関連ですが、○のポツの2つ目のところにあるように、本人や家族が行う生活行為として学校移動中など、地域生活のあらゆる場面で確保されるということが入っているわけですが、今の長瀬委員の御意見のように、これは地域生活のあらゆる場面で確保されるだけでは弱いので、地域生活のあらゆる場面で介護職員等によって確保されるというような文言をきちんと入れていただいて、介護職員というのは本人や家族の代わり

地域生活をする際に、日常的に不可欠な生活行為の一つである必要な医療的ケアをも含めて行う者だという位置づけをすればこれはかなりはっきりしてくるのではないかと思われますが、いかがでしょうか。

藤井議長代理 それでは、まだあろうかと思うんですが、時間を大分オーバーしていますので、まず土本委員から大事な意見、質問が出ていまして、これは後で松井さんの方の就労合同作業チームというのが第4コーナーでありますので、ここに包含してお答えいただきましょう。

関口委員の方から再度一般論としてのお金の裏打ちということを越えて、相談支援に関しては気になると、この辺がどうかと最後に質問がありましたので、お答えいただきます。

今、長瀬、大濱さん、関係しますが、特に長瀬委員からは基本法の関係条項との関係をどんなふうに考えたのか、もし関係が更に総合福祉法独自というのだったら、なおさらこの辺のところを実際上14条5項の「可能な限り」を実質的に消去できる方向がどうなのかというニュアンスだったと思いますので、この辺を佐藤部会長あるいは尾上さんの方でお答えいただけますか。

尾上副部会長 では、佐藤先生が今準備されている間、私の方で答えられる部分。30ページの医療的ケアの拡充についてのところ、お二人から御指摘をいただきました。いずれも骨格提言の今まとめている方向をより背中を押していただけるような御意見だったのかなと思っています。

まず基本法の議論との関係で言いますと、この部分は特に支援体系との関係で言うと、第1期、去年の10月、11月、12月のときの議論がベースになっておりますので、基本法の具体的な条文が出てくる前の段階での議論でした。ですので、これは別に蒸し返すわけではないんですけれども、総合福祉部会の議論としては、医療的ケアも含めて生活支援行為として地域にいられるようにという議論があるのになぜこういう条文なのかと、たしか私あのときはこの推進会議の委員として御質問をしたと記憶いたしております。

そういう意味で、是非とも今回総合福祉法といいますか新法の中でこういう内容がしっかり地域で担保されて、3年後の基本法の見直しのときには先ほどのような医療的ケアが必要だから地域では難しいんだという議論には、それを実体的にこういうふうにすればできるねという形で進めていける、見直しにつながっていくような実態が進んでいけばと思うのが1つでございます。

もう一つが、大濱委員から指摘いただいた部分は、明日の部会での議論になるかと思うんですが、特にもともとの作業チームとの関係でいいますと、分量の関係ではしょってしまったところがありまして、30ページの2つ目の○のところ、地域生活に必要な医療的ケアが本人や家族が行う生活支援行為としてとなっているんですが、これだと本人や家族がやるのが医療的ケアと誤読されてしまう文章になっているのは確かで、本人や家族が行うのと同等なこういう生活支援行為としてということで、つまり、それを当然支援サービスとして提供するということで、本人や家族が行うのと同等な行為としてということを入れたいなと思ったりもします。

少なくとも大濱さんからご指摘のあった通り、誤読がされないように、これは本人や家族が引き続き頑張ってということを提起しているわけではございません。

藤井議長代理 佐藤部会長、どうぞ。

佐藤部会長 相談支援のいろんな仕組みについてなんですけれども、11ページのところ辺りで地域総合、特定、専門とか、いろんなものを重層的に整備しよういうことを書いて、また地域移行のところでは地域移行を支援するようなセンターということがあったりで、いろんなものがたくさん新たにつくられる必要があるのではないか、そんなにお金があるのかというような印象を持たれた面もあろうかと思います。

基本的には今あるものもかなりありますので、新たにつくらなければならないというのがどのくらい必要なのか、全く新しくつくるということでは勿論ないということ。1ついろんな機能を持てるようにするというようなネットワークを効率的なものにするというようなことも当然考えなければいけないのではないかなと思っています。

相談支援の9ページのところを見ていただきたいんですけれども、この説明のところありますように、市町村による格差が非常に大きい地域生活支援事業の中に盛り込まれているということによって非常に格差が大きい。多くのところでは、その下のところにありますように、問い合わせや情報提供といった一般相談をイメージした体制整備にとどまっているところが多い。しかし、本来的には具体的な生活を支援するための踏み込んだ訪問相談や動向支援、継続的な支援を行うということが全国どこでも可能になるようなものにしたい。いろんないいサービスや支援があっても、それを本当に本人のニーズに合った形で効果的に使えるかどうかというのは、相談支援のところが出発点になるわけですので、しかもここがエンパワーメントの拠点にもなるということなので、この点はうんと重視をしたいというのが部会の意見かなと思います。

以上です。

藤井議長代理 まだ議論は尽くせませんけれども、時間が来ていますので一旦このコーナーはこれで閉じさせていただきます。

3時20分から第3コーナーに入りますので、休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、ちょうど時間になりましたので、第3コーナーを始めます。

このコーナーは、やはり40分弱にさせていただきますが、I-7の利用者負担、I-8の報酬と人材確保、I-9地域生活の資源整備、I-10の地域移行、この4つの領域について、佐藤部会長、尾上副部会長の方から15分間程度で説明、提案をいただきます。

では、どうぞよろしくお願いします。

佐藤部会長 7と8を私の方で報告させていただきます。

35ページの7、利用者負担のところをごらんいただきたいと思います。

結論として、他の者との平等の観点から、食材費や光熱水費などだれもが支払う費用は負担をすべきであるが、障害に伴う必要な支援は無料とすべきであるというのが結論として26日に報告しました。

作業チーム報告でこういう内容が出たので、基本的にそれを三役としても部会報告の素案としたということでした。ただ、財政が非常に厳しい日本の状況の中で、国民的な理解を得るためにも、もう少し理念重視の報告、方向だけではまずいのではないかというような話が出ていまして、例えば、ただし、高額な収入のある人からは能力に応じて徴収してもよいということを加えるべきではないかというような意見が出されて検討しているところです。

その場合でも、本人の収入のみを収入としてカウントすることだとか、現行の負担の水準を上回らないようにすることだとか、そういう条件付きの一部応能負担も入れていいのではないかという議論が部会でなされているところです。

37ページの自立支援医療のところも無料という方向を出しているわけですけれども、この点についても同じような一部応能もいいのではないかという意見が出ています。

39ページ、8番目は、報酬と人材確保ということで、基本的な視点として最初の項目ですけれども、説明の真ん中辺のところにありますように、障害福祉の報酬水準とは障害者の人権の価値評価、尊厳の水準と連動しているという基本的な考え方から、障害者に必要な支援を提供するためには、それを支える職員の人件費、給料がきちんと保障されなければいけない。そのために必要な事業の報酬を確保するというような考え方が示されて、より具体的には39ページの下の事業報酬における基本的方針と水準のところで幾つかの原則を示しています。通所施設など利用率が80%程度で採算が成り立つような設定にすることだとか、常勤換算方式の廃止だとかをここで述べています。

報酬の支払い方式について40ページの表題のところで取り上げていまして、個別支援、サービスに必要な部分、利用者個別給付報酬と人件費などに充てられる事業運営報酬とに分けて、前者を原則日払い、後者を原則月払いとするという整理をしています。日払い、月払いの両方のメリットを生かすというような発想です。基本報酬だけで安定経営ができる報酬体系とするということで、加算制度は最小限にしましょうということです。

42ページの下の方の福祉従事者の賃金における基本的方針と水準のところでは、人材が誇りと展望を持って仕事を継続できるようにするための国家公務員の福祉職俸給表と同等の年収水準が確保できる事業報酬とするべきであるというようなことを提言しているのがこの部分です。

報酬と人材確保のポイントは以上のようなところです。

尾上副部会長 尾上です。45ページから説明させていただきます。

45ページが地域生活の資源整備、I-9ということになりまして、その後I-10というのが47ページ、地域移行とあります。あらかじめ申し上げておきますと、この前の7月26日の部会でもいろんな方から御意見をいただいたということと、加えて改めて全体の体系を見つめ直しますと、本来I-9に書かれることが後の方に行っていたりとかということで、大分構成も含めて変えて明日御議論いただく予定になっているのが9番と10番だということをあらかじめ申し上げておきたいと思います。

特に、現行ですと49ページのところにあります地域基盤整備10か年戦略というものを地域生活の基盤整備の方に持っていこうということで、要は総合福祉法、権利条約の19条、どこでだれと住むかという選択の機会あるいは特定の生活様式を義務づけられない地域で暮らす権利、そういったキーワードを実現していくためにということで検討してきているわけですが、その点から、やはり地域で全国どこでも必要な支援を受けて安心して地域での暮らしができる、そういった資源整備をして、言わば水の高いところから低いところに流れるようにして、病院や入所施設からの地域移行というか地域生活意向が速やかに進んでいくようにしていきましょうということで提案しています。そういう意味で地域生活を営む上で必要な社会資源の整備ということで、そのための10か年戦略のようなものを提案していこうということであります。

特にその中でこの前の部会でも御提起がありましたけれども、いわゆる社会的入院という状態にある方、長期の入院や入所のある方の地域生活を一刻も早く速やかに進めていけるような重点整備みたいなことができるようなことを盛り込んでいこうということとか、46ページでは自立支援協議会と書いておりますけれども、これもこの前の部会当日あるいは文書でもたくさん意見をいただいた部分で、地域生活資源整備ということならばそれに合わせた名称ということで、例えば地域生活支援協議会みたいな形の意見でどうかという御議論というか御提起をいただいて、そういったことで今修正作業なども進めているところであります。

あとI-10、地域移行の法定化あるいは地域移行のプログラム化ということをより今以上に地域移行を進めていく仕組みということを強化しようと提案しています。

最後、施設入所についてとなっていますけれども、ここの部分もこの前の部会でも御提起、御議論いただいたところで、施設入所者に対する支援、施設入所者に対する支援ということを地域資源整備ということを前提にして地域移行を拡充していく。そのことを前提にした上で当面施設は小規模化を促進しつつセーフティネットとしての機能を担うということの上で、更にその施設の中においても地域移行を進めていくような取組みの強化をしてくという提案をさせていただいております。

というようなところで、9番、10番、このままの資料をそのまま説明しても明日の部会で大分変わったものをベースに議論する形になってしまうので、9番、10番併せて、もともと10番にあった部分が9番に移ったりとかという可能性というか、明日そういう方向で部会で議論させていただきますということを補足説明して説明に代えさせていただきます。

藤井議長代理 それでは、今の4つの領域、多少入り組んでいるということがあって再整理もあるという前提なんですが、御質問はいかがでしょうか。ほかに。では、清原委員、久松委員、大濱委員の順番でまいります。

清原委員、お願いします。

清原委員 ありがとうございます。清原です。

1つの意見と1つの質問をさせていただきます。35ページのI-7利用者負担の素案について意見を申し上げます。部会長から利用者負担については、結論として障害に伴う必要な支援は無料とすべきであると記述してあるけれども、議論の中では一部応能負担という意見も出ましたと紹介がありました。これは極めて重要なポイントだと思います。国の財政が本当にゆとりのあるときであれば、ストレートに理念的に障害に伴う必要な支援は無料とすべきであると正面突破すべきだと私も考えておりますが、ただ、現実のさまざまな状況を考えますと、しっかりと一部応能負担ということが議論されたということは重要でございまして、そのように部会の議論に敬意を表したいということを意見として申し上げます。

質問でございますが、46ページに自立支援協議会という内容が書かれています。実は三鷹市の場合、障害者計画を策定するときには、必ず障害当事者あるいは支援者の委員の方に入っていただいて計画をつくっておりますが、そのときに、この計画を実施するためには必ずそれを推進する組織が必要であるということで、常に障害者地域自立支援協議会を組織して活発に活動していただいております。

そこで質問の趣旨はこういうことです。障害者基本法の条文の中に、第36条として都道府県とともに市町村にも、いわゆる国で言えば政策委員会的な組織が合議制のものとして設置するとか、あるいは市町村の場合は置くことができると努力義務が規定されているわけですが、それとこの自立支援協議会の関係なんですが、三鷹市の場合、実は計画づくりのときに参加していただいている委員が重なって計画推進の自立支援協議会の委員でもあるということは現実的にはあります。でも、一致していないわけで、現行は2つあるんですが、今後新たにつくられる自治体にとって、合議制の政策委員会的なものをつくるということと、自立支援協議会もつくるということはどういう関連性があるのか、一緒ではまずいのか、あるいは別々の方がいいのか、それぞれが努力義務なのか、その辺の御議論はあったかと思うので、その辺についてもう少し詳しく紹介していただければありがたいです。

以上です。

藤井議長代理 久松委員、どうぞ。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。意見のとりまとめ、ありがとうございました。I-7の利用者負担について意見を申し上げたいと思います。35ページのところです。

この利用者負担の考え方について、本来は社会保障政策の税制の中で議論をすべき、そういう性格のものだと考えています。今回、障害を理由としてそれに伴った支援を受けた場合に、利用者負担はなじむのかなじまないのかという議論からスタートすべきではないかと考えています。

今回、私の意見としましては、利用者負担にはなじまない、公費負担をすべきであるということです。公費負担をするならば公費の性格は何かということの議論を整理すべきことではないかという考え方を示したいと思います。

無料か有料、または無償とか有償という言葉の使い方、今回はなじまない。利用者負担という考え方がなじまないという考え方を基に、どういう政策を進めていくのかということ、整理していくかという議論をしたいということをあえて私は提案したいと思います。高額の収入があった場合は別の税制政策の中で対応すべきだということではないかということを提案したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 今のはわかりにくい点もあったと思うんですが、久松さんとしては、今日この議論の冒頭でこれを大きく変えていくことは難しいと思いますよと、しかし、より決定的な欠陥があったり、問題点がある場合にはついては佐藤部会長はこれを明日以降、あと2回の部会に反映する。今の御意見というのは、かなり根本的に聞こえるんですけれども、なお私の方で質問したかったのは、そこを大きく変えてほしいという意見として聞けばいいんですか。

久松委員 久松です。

御丁寧な補足をいただきましてありがとうございます。そのとおりです。

藤井議長代理 それでは、大濱委員、どうぞ。

大濱委員 利用者負担で同じくなんですが、今回、利用者負担については無料にするというのは理想的には考え方として正しい。しかし、現実問題を考えたとき、私たちは重度の障害者にとって、特にまだサービス量が十分に支給決定されていない状況が続いている。特に呼吸器の人たちは、必要なサービス量が支給決定されていないために、自ら死を選ぶという人もいるわけです。このような状況にあって、利用負担無料で予算を使われるのは私たちは違うと思っていましす。今できれば将来的に増税なり何なりできちっと予算を確保できた時点ではこういうことは当然考えられるんですが、現時点で大地震があったりとか予算が厳しいという現在では、私たちとしては重度の障害者にとっては24時間のサービス量の確保ということの方が大前提です。そのためにはたとえば9,000円とか1万円を払ってもいいですというのが私の現実の仲間内の声です。

これはただ9,000円なり1万円の負担を払ってもサービス量も来ないというのは困ります。やはりある程度の負担をしてもきちんとサービスが行き渡るということであれば、逆にここの部分はもっと先の将来の課題として提案していただきたい。理論的には確かにこういうことは成り立っているとは思うんですが、現在これをやるのは余りにも急ぎ過ぎではないかと。特に今の財源問題に絡んで言えば、私たちの周りでそういう呼吸器を付けた人たちが実際に死を選ぶという現実に直面したときに、これはいかがなものかと。したがって、応能負担に近い現行の制度でも当面は十分であろうということです。

以上です。

藤井議長代理 では、ここまでで一旦特に利用者負担の部分に集中していますので、佐藤部会長中心にお答えいただけますか。

佐藤部会長 基本的な考え方としては、無償とする、全額公費で払うというのが原則的な在り方で、しかし、多くの部会委員の意見などからして、特に高額な収入のある人については、一定程度負担をしてもらう。ただ、そのことによって生活が大きく変わってしまうのでサービスを控えるというようなことがないような安全なレベルの所得の人以上からは一定程度徴収する。そういうようなことの提案が部会からかなり出されているわけで、それらは明日ある程度反映させたような方法、素案にして提案しなければいけないかなと思っているわけです。

ただ、高額所得者は既に税制などでうんと払っているんだと、そういう人からプラスまたこれを徴収する必要が本当にあるのかというような議論だとか、先ほど言われたように、利用者負担という見出しにするのか、公費負担の在り方という形にするのか、考え方も含めてかなり大きなポイントかなと思いますので、また検討させていただければと思います。

藤井議長代理 それでは、尾上さんの方から、清原委員から出た障害者政策委員会等との関係についてお答えいただけますか。

尾上副部会長 どうもありがとうございます。46ページのところに自立支援協議会ということで、これが7月26日のときにお示ししたものなんですが、こちらの方にどういう議論があったかということで寄せられた意見でも、複数の方からこれは例えば障害者基本法の改正の中で、地方における障害者政策委員会といいますか、合議体をつくるということになっているのだから、そのまま分科会という形に位置づけてもいいのではないかという御提案もございました。

ただ一方、政策委員会あるいはそれの地方版と申し上げておきますが、その地方版のものというのは、言わば施策あるいは今後の計画づくり、もう一つはその施策の実施状況のモニタリングということが中心的な役割なのかなと思うのです。

現行の自立支援協議会ということでやられているものというのは、もう少し濃密な形で地域生活のサービスの資源整備であったり、あるいは事業者間の調整であったりという、政策に比べてより実体的なといいますか、そういった調整機能なども入っているということで、障害者基本法の政策委員会との関係をどう考えるかというのは、むしろ担当室の方にお答えいただいた方が適正かもわかりませんが、さしあたって委員からいただいた意見に対しては、むしろ今の自立支援協議会をそのまま新しい法律においても継続するというよりは、先ほど申しました地域基盤整備10か年戦略、それに基づく自治体計画という新しい枠組みの中での協議会、地域生活支援協議会のような形でこれを置くみたいな形でどうかということで、これは引き続き明日も御議論いただく予定ですけれども、清原委員御指摘のとおり、障害者基本法で新しく置かれる合議体との関係がどうか、そして今の自立支援協議会、名称も含めてどうかということで御議論があったということを御紹介しておきます。

藤井議長代理 担当室の方から補足の発言をお願いします。

東室長 担当室の東です。

同じような機関がいっぱいあっても非常に困ってしまうというのが実情だと思うんです。機関の性格というものをきちっと事前に役割分担みたいなことをしていかないといけないかなと思います。

障害者基本法に基づく政策委員会は、国・県が必置、市町村が任意という形になっておりますけれども、性格はいずれも任務としては大きく言うと2つありまして、1つは一番大きな基本計画、要するに目標というものをつくることに関与するということと、あと1つはそれに基づいて実際にどの程度政策が進んだかを監視していくという2つが基本的な性格であると思うのです。

こういう性格から見て、自立支援協議会はどうかというと、どちらかというと実際に現場でそういう目標に向かってみんなで頑張っていこうという実施機関的な、実施を応援するような実働部隊的なものだと思うのです。ですので、そういう実際にやっているところがまた監視するということになると本当に監視と言えるのかというような原理的な問題があろうと思うのです。

あと1つ、所掌の範囲が自立支援協議会は自立支援法を前提としたサービスが対象だと思うのです。ところが、基本法はこういう福祉サービス以外の分野もいっぱい対象になっているわけです。ですから、対象分野でもかなり違うということですので、やはり基本法に基づく機関と今後の総合福祉部会における機関というのは切り分けて考えるのが基本かなとは思っております。

藤井議長代理 もう少し時間がありますので、ほかの方々も含めていかがでしょうか。

関口委員と中西委員、順番に参ります。

関口委員 36ページに障害に伴う必要な支援ということで6つほど挙げられておりますけれども、先ほどから私が言っている権利擁護というのは1番の相談や制度利用のための支援には入りきらないと思うのです。つまり、私は100ではなくて120と言ったのは、20ぐらいは人権のために予算をよこせということであって、これは障害に伴う必要な支援の中には権利擁護者への謝礼というか、権利擁護者への給料が入っていないと困るので、ここのところは必要な支援の中に権利擁護ということを入れてください。

藤井議長代理 中西委員、どうぞ。

中西委員 中西由起子です。

利用者負担の話が出ていて、それの関連で、基本法で新しく17条でしたか、消費者の保護というのが出てきますが、消費者の保護と言うと、アメリカなどでは基本的な意味合いではサービスを使う人という意味で、物を買うだけではなくてサービス利用者という概念が入ってきて論じられていることが多いです。権利性の意味から言うと、利用者負担と言うと使わせてもらっているという意味合いがあるので、もし基本法を逆手にとるのだったら、そこの部分は利用者負担というよりもむしろサービスを使うという人の権利性を持ち出して、そうなると結論として出てくるさまざまな支援というのは強化されると思うので、この利用者負担という言い方自体、問題だと感じました。

以上です。

藤井議長代理 それに代わってどういう考えがありますか。呼称は。

中西委員 幾つか案が出ていた、佐藤さんがおっしゃってらっしゃった最初の部分。

藤井議長代理 覚えていますか。

佐藤部会長 忘れました。

中西委員 済みません。

藤井議長代理 そういう趣旨はおわかりだと思うんですが、ほかにいかがですが。時間がないので、今のところ、関口委員と中西委員の件に関してもしお答えできればいかがですか。

佐藤部会長 支援の類型として6つ挙げられているわけですけれども、それぞれの性格を全部無料にするのか、全部応能にするのかという乱暴な議論ではなくて、かなり中身を検討しないといけない。応能にする場合にはうんと検討しなければいけないかなという感じがします。

相談のところなどは、利用料が発生するということであると、相談それ自体がなかなかうまく受けられないということになったりするので、現在でも無料になっているわけです。コミュニケーションなどの場合には、例えば手話を使える人と使えない人との間のコミュニケーションなので、聴覚障害者だけがメリットを受けるものではないのに聴覚障害者が利用料を負担するというのは本当にあっていいのかというようなことも考えなければいけない。

権利擁護などはまさにお金のことを気にしながらでなければ権利擁護の支援を受けられないというのがあってはならないことなので、そういうことで一律に考えるのではなくてもっと国民的な理解が促されるようなきめ細かい考え方をしないといけないのかなということを今、御議論を聞いていて感じたところです。

基本的にはうんとお金のある人でも障害を持ったと。しかし、その障害がなかったとしたときと同じような地平でその後の人生を一市民として遂行できるというようなのが本当は理想的な社会の在り方。その代わり障害者も同じように責任を持って社会参加するというような、それで本当に平等な社会になるのだろうなという感じがするわけで、そういう点からすれば、ヘルパーの交通費だとか入場料などを障害者が払っているという現状は非常におかしいので、その辺を変えていく必要があるのかなという感じがしました。

消費者としての位置づけになると、利用者負担ではなくて利用料というような、より自己責任的な方向が強まってしまうのかなと。商品を買う、自分のためのメリットになるものを買う消費者という位置づけになると、これまでの利用料負担の議論をしてきたのと大分違ってくるのかなという感じがするんですけれども、中西さん、その辺どう考えたらいいのか何か御示唆があればと思います。

中西委員 中西です。

利用料の件に関しては、結局、障害者が他の者と平等に生きていくために、カバーしなければいけない部分のサービスに対する利用料は変わって、政府からの支援を得てその当人が払うという言い方での消費者という認識が成り立つと思うのです。

藤井議長代理 佐藤委員、どうぞ。

佐藤部会長 考えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

藤井議長代理 それでは、大変難しい問題も残ってはくるんですが、時間ですのでこれで終わります。少し進行を遅れていますので、もし皆さん方の同意が得られれば、16時5分から再開したいと思っています。

なお、第4コーナーにつきましては、合同作業チームの報告がメインです。堂本委員、大谷委員、松井委員、10分間の報告を短縮してください。7分間で報告いただきますようにこの休憩時間で絞ってください。

では、16時5分から再開します。

(休憩)

藤井議長代理 時間が来ましたので第4コーナーに移ります。第4コーナーの冒頭で土本委員から基本法のわかりやすい版に関して提案があります。本来、この第4コーナーを終わってからと思っていたんですが、遅れ気味で今進行していますので、北海道の方に帰る便との関係で先にお話しさせていただいて報告いただきます。土本委員と長瀬委員が共同委員なので、補足があったら長瀬委員からもお願いします。

では、土本委員の方でよろしいですか。

土本委員 土本です。推進会議が始まる前に障害者基本法のわかりやすいものをつくるということで、まず1回目の話し合いをしてきたんですけれども、私、遅れてきまして、具体的にはまだ全部は参加していなかったというところもあったりしたんですが、今日は自分も参加して話し合ってきました。

日程とか決めました。12月の障害者の日まで、目的をしないとそれまで進まないのではないかということで目標として12月の障害者の日までつくり上げるということで話し合ってきました。

回数が少ないということもあって、そのときはやりとりはしますので、もうこれはやります。それと基本法が自分たちに関することなので是非つくり上げていきたいなと思っていますし、必要だと思いますので、それは書かれているところもあるんですけれども、自分たちに必要ではないかなと思います。

長瀬さん、補足をお願いします。

藤井議長代理 長瀬委員、補足をお願いします。

長瀬委員 ないです。

藤井議長代理 では、ここは土本委員、障害者の日というか障害者週間に間に合わせようと。

土本委員 はい。

藤井議長代理 では、そんなことで頑張ってください。

それでは、第4コーナーの本論に入ってまいります。ここでは3つの合同作業チームについてそれぞれ御報告いただきます。時間は先ほども言いましたように7分間ということでお話しいただきます。それから10分程度の質疑応答と。

最初に堂本委員の方からは医療合同作業チーム、大谷委員の方からは障害児合同作業チーム、松井委員の方からは労働と雇用合同作業チームということで、それぞれ報告を7分間、10分間での質疑、そして次に移っていくというふうにしてまいりますので、堂本委員の方からお願いします。

堂本委員 それでは、医療の方ですけれども、薄い資料の1枚目をごらんください。

私に与えられた課題というのは、四角の中に書いてありますけれども、「地域における障害者の生活を支える医療」の実現に向けた理念と制度基盤の構築ということです。とても難しくて、たくさんの法律が絡む事項ですから、簡単にはいかないんですけれども、そのすぐ下に書いてありますように、障害者が地域で暮らし社会参加ができるようにするためには適切な医療の提供が不可欠です。これは、長瀬委員も医療ケアのところでおっしゃったことですけれども、本当にそうだと思います。

医療はサービス及び保健サービスとの有機的な連携を確保しなければならない。これは当たり前のことなのですけれども、問題はそれをどう実現するか、ということです。

上を見ていただきたいのですが、一番最初に私たちの立場、視点を書きました。それは今までこのグループには精神障害の方、重度の心身障害の方、難病の方という3つのグループの方が入っておられたのですが、やはりどのグループを見ても医療モデル、つまり医療優先で進められてきたという領域なんです。

障害者の医療をめぐる現状を踏まえつつ、障害者は法の対象ではなくて権利の主体であるという考え方。これはずっとこの間、このグループの基本的考え方になっていると思いますけれども、障害当事者の経験に即した視点で諸課題の解決を考えました。

ここには書いてありませんが、1の方で出てきたように、単に病院にいる、施設にいる、自宅にいる時だけではなくて、学校にいるときの移動中とか、あらゆる所と時に必要な場面がある。それは特に重度の方とか、今日も大濱さんがいらっしゃいますけれども、難病を抱えている方たちは四六時中医療のサービスが必要です。そういうような方々に対してどういうような医療の基盤が持てるかということです。

まず、第1に言えることは、急性の疾病、例えば、盲腸になったとか、どこか具合が悪いといった場合は一時的です。しかし、重度ではなくて障害を持った方、あるいは難病の方、別に分ける必要があるかどうかわかりませんが、そして特に精神障害の方たちは一時的ではなく常時生活を支える医療が必要なのです。

そのために一番大事なことは、地域で生活をするのに必要な地域医療を充実させることです。でも、それをここで言うことは簡単なのですが、実は、それは日本の医療制度を抜本的に改革するにほかなりません。

障害があろうがなかろうが、すべての日本人にとって地域医療の充実が大事です。全体として地域医療の層が厚くならないと、障害者だけ専門にとか、難病の方専門というわけにはいきませんから、地域医療が底上げされ、全体の体制が変わることによって障害者や難病の方への医療サービスも充実することになるのだろうと思います。

先ほどからいろいろあったことの大事なことは、私の隣の関口さんからも発言があったんですけれども、生活支援と同時に、人権的な視点からの相談や医療の提供ということです。医療のために逆に生活が侵される。特に精神障害はそれが強いのですが、医療モデル主導でいってしまう。そうではなくて、医療サービスににどれだけ人権的な視点が組み込まれるかによります。

ですが、私たちのグループでは、先ほどから何度か出ているように、大濱さんも言われましたけれども、すべて無料というのは乱暴であろうと。やはりそこで結局2つに議論が分かれたので、両方書かせていただいています。無料であるべきだという方と、応能負担をきちっとやって、それの中でどのようにしてそれぞれの障害者の負担にならない形でやっていけるか、ということです。両方に意見は分かれたので両論併記にしました。

ぴったり7分になりました。

藤井議長代理 進行に協力ありがとうございました。それでは、今の医療、総合福祉法ではあるんだけれども、制度の谷間をなくしていくという視点から、地域で生活していく視点から医療をどう見るかということで、踏み込んだ見解だと思うんですが、いかがでしょうか。挙手がないというのはめずらしいのではないですか。いいですか。

では、少しお考えいただいていかがですか。

堂本委員 皆特に難病の方たちは、まだ概念規定が決まっていないので難しかったのは、総合福祉法以前に、厚労省の中で審議会での検討が進んでいるということです。難病対策要綱の議論が一方であり、そこでの議論と並行してやりたい、とのことだったので、私は逆に本音で申し上げると、総合福祉法をつくるのであれば、今度の大きな課題の1つは難病の問題ではないかと思いました。

少なくとも重心の方たちと比較すると難病の方たちの方がサービスが受けにくい状況にある。専門家ではないので大きいことは言えないのですけれども、議論している中ではそういう印象を受けました。

精神の方は、制度的なことがあって精神保健福祉法と医療観察法といった法律を改正しないと、本当の意味での地域移行はできない。それでも総合福祉法になった時に、自立支援法の中で担保された精神障害者の使えるいろいろな制度が後退しないでそれを前進させてほしいということを座長の感想としては持った次第です。

藤井議長代理 それらを踏まえて更に。関口委員、尾上副部会長から順番にお願いします。

では、関口委員、どうぞ。

関口委員 病床削減が問題になっているわけですけれども、そうすると精神病院の運営が厳しくなるので、私は基本的に精神病院の診療報酬を上げるということは別に精神科病院の肩を持つわけではなくて賛成です。というのは、その方が医者の数も増えるし、高度なケアが受けられると思うんです。まともな医療になると思うんです。それが1つ。

もう一つは、ただし、その中で行われている電気ショックとか拘束だとかデポ剤を打つとかいろいろありますけれども、とりわけ拘束などについては人権の視点から医療内容を考え直してもらわざるを得ないと思います。拘束療法などと言っている医者もいますけれども、そういう療法はやめにしていただきたい。

つまり、私は拘束学派と言っていますけれども、拘束することに医療的な意味があって、拘束すると早く治ると主張する人たちなんですが、こういう人たちは悪いけれども日本からは出て行っていただきたいと思います。ですから、医療内容に踏み込んで検討し直すということはすごく重要だと思います。

藤井議長代理 尾上副部会長、どうぞ。

尾上副部会長 先ほど支援体系のところでも医療的ケアの拡充についてという議論がありましたが、今回、医療チームの提言でも2ページ目の真ん中ぐらいのところで「医療的ケアのにない手の確保」で非常にわかりやすく説明というか整理をいただいたと思っています。

結論の2つ目の○のところなんですが、医療的ケアを提供する際、介護職員などが不特定多数の対象者へ医療的ケアを行う場合と、担い手が個別的に特定の対象者へ特定のケアを行う場合(学校や在宅でのケア等)を区別し、それぞれに相ふさわしい柔軟な実施体制の整備が図られるべきという、まさにこの視点から先ほどの支援体系のところも整理したつもりでございます。

特に今、特養など入所施設などで不特定多数を対象にしたものというのは比較的社会的にもイメージされやすくなっているんですが、特にこれから具体の個別の地域生活というときに、ここで書かれている担い手が個別的に特定の対象者へ特定のケアを行う場合ということ、この提供体制を実施に移せるように是非このチームの報告を受けて総合福祉法やいろんな関連法規の中で推進会議としても今後検討していってほしいと思います。

以上、希望といいますかお願いです。

藤井議長代理 川崎委員、どうぞ。

川崎委員 家族会の川崎です。

私もこの医療部会に前期も後期も参加しておりましたが、やはり精神障害者の問題に関しましては、精神保健福祉法の中にさまざまなものが含まれておりまして、今回私どもはここで保護者制度をなくすとか見直すとかいろいろ意見を述べておりますが、福祉法だけでなく精神保健福祉法の見直しとか医療法へのいろいろな意見を述べたりとか、なかなかここだけで解決できない問題がまだまだ多々あると思っておりまして、その辺も今後検討していくべきものではないかと考えております。

以上です。

藤井議長代理 だれも恐らく医療は否定をしない。しかし、医療の名の下にというここが曲者なんです。ここが時折、地域生活を侵害し、また人権もでも侵害することがある。この辺が多分合同作業チームに課せられた大きいテーマだったと思うんです。大濱委員も手が挙がっていますか。どうぞ。

大濱委員 この中で議論されたのかどうかお聞きしたいのですが、医療観察法に関する病棟。これは各都道府県に1つずつという決まりになっているわけで、まだ日本全国で半分程度ということですが、これについてはどういうスタンスで医療観察法、病棟についてはどういう形で議論されたか、それを教えていただきたいのが1点。

2点目としましては、先ほど関口委員の方から拘束の問題が出ましたが、例えば自傷癖があって、本当にすごい自傷癖で、私が見たら自分の目を自分で抉り出すというぐらいの自傷癖があって、ほうっておくと自分の身体の一部さえも指まで噛み切ってしまうぐらいの人については、やはり拘束以外に方法がないのかなとその現場では見ていたのですが、そこら辺について何か議論がありましたら教えてください。

藤井議長代理 では、これらを含めて最後に堂本委員から。

堂本委員 最初の御質問ですけれども、むしろ2期目は今申し上げたように難病が非常に大きなテーマでした。大濱さんに振られた難病です。むしろ1期目に精神障害を主にやり、医療観察法だけではなくて、措置入院を含めて非自発的な入院というのを完全になくすことを大前提にすべきとの議論をしました。

そのためには、精神保健福祉法をなくし、そして医療観察法も廃止し、本当に権利が擁護される入院手続にすべきであり、あるいは医療についてもきちっとした手続法が必要です。外国は権利を守るための手続きがあるのですから。日本は権利を擁護する仕組みがなく、すべての手続が医師によって行われています。しかもそこに裁判所や行政などの公が関与しない。ドクターだけでやれてしまっているわけです。それは非常に危険なことだと、議論しました。

他害の疑いがあっても必ずしも病院ではなくて、ここではドロップインセンターと書いていますが、精神疾患の場合、そうした施設が病院の外にあれば、入院しなくても済むだろうと。むしろ入院した方が症状が悪くなるケースもあるときいています。それでもなお入院ゼロというわけにはいかない。だから、今度は医療の専門家の判断が入ってくる、その際、権利が擁護される必要があります。

ここのところについては議論しなかったですね。関口さん、しましたか。

関口委員 拘束の部分だけ補足説明させていただきます。WHOの基準では4時間が限度と、日本の医者に言わせるとそんなのは現実的ではないと言いますけれども、拘束のガイドラインというのを厚生省が出しています。130号というものです。

基本的に自殺企図、自傷の恐れがあるときと書いてあるので、それだけを見るといいように思えるんですが、実は顕著な不穏もしくは多動というのが入っていまして、これは極めて恣意的なわけです。あなたは不穏ねと言えば不穏になってしまうわけです。これを削れというのが私の主張でして、これを削った上でWHOの4時間というのは、簡単に言うと1時間半で点滴1本落ちるんです。だから、2本は落ちてしまう。基本的に拘束するというのは点滴を打っている間動かないでねというぐらいの話なので、それで何とか4時間に近づけていけないだろうかと思っています。

先ほど言った厚生省令の顕著な不穏もしくは多動というのを削り取ってしまえば、現在拘束されている人の8~9割多分拘束されないで済むんだと思います。

堂本委員 一番問題は、自傷他害の疑いの可能性がある、という理由で、「予防」ということで保護室に入れられてしまう。そういうことがなくても自傷の恐れありと一言書かれてしまえばそれが入院の要件になってしまう。だから、そこのところの手続をよほど厳密にしないと、病院経営の力学が働いて、入院させられたら人権が守られないので困るということで、手続法をきちっとつくった方がいい。

推進会議の場ではその点を合意して、第2次意見には入っています。しかし、日精協の先生が御一緒になった総合福祉部会の方では、日精協としては精神保健福祉法が必要だと考えるということで、その点の合意を得ることができなかった。ですから、精神保健福祉法の廃止ということはこのレポートには書いてありません。

以上です。

藤井議長代理 大体お答えになったと思いますので、その辺を更にまたブラッシュアップできればと思います。

では、続きまして障害児合同作業チームの大谷委員、お願いします。

大谷委員 大谷です。よろしくお願いします。

今、皆さんにお手元に配られている医療の続きのもの。それは児童福祉法に関わる骨格提言です。ただし、先ほど障害児の定義のところでも出ましたように、児童福祉法だけではなくて障害児に関しては総合福祉法の方にも関わるものがあるということで、今日配っていただいた資料6の中にも、障害児に関わるところが入っています。ですから、基本的に障害児に関しては総合福祉法と児童福祉法、両方にまたがるということで、そこをどのように整理するのかというのは今後の課題としてはあるかもしれませんけれども、当面、今の現行法の枠がそのようになっているのであるならば、それに乗っかった形で提言しようということで、今、総合福祉法の方にも提言させてもらっています。

個別に障害児に関する総合福祉法のところがどこかということは指摘する時間はありませんけれども、見ていただければ、おおむね全部入っているかと思います。

では、児童福祉法の固有のものに関してはどのように骨格提言をするのかということが先ほどのつづり、合同作業チームの6ページ目からです。これに関しては、児童福祉法関係ということで提言させていただいていますけれども、またこの提言が本日に至る経過までに障害者基本法が制定され、それから同じように内閣府の中なんですが、子ども・子育て新システムということで、要するに幼保一体化も含めた子ども・子育て支援の在り方に関していろいろ検討されてきています。

当初、私たちのチームが立ち上がったときには、そこに障害児の視点がほとんどなかったということで、かなり危機感を持っていろいろ意見出しをさせていただきました。その結果、私は不勉強で申し訳なかったんですけれども、本日私が手にしたのが7月29日付で中間とりまとめができています。子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめ。これは内閣府の中の新システムに関する検討委員会だったと思うので、そこで率直に申し上げてこの半年を見るならば、よく半年の中でそれなりに入れ込んでいただいたと思われる内容です。

ですから、骨格という形で我々のチームはこのとりまとめを一応出しましたけれども、障害者基本法の制定と併せて、この子ども・子育て新システムのこれからの動向ということを併せるならば、もう少しより突っ込んだ内容ということもあり得たのかなと、率直に今の段階で申し訳ないんですけれども、考えております。時系列的にそのような経過をたどったということを理解していただけたらと思います。

ざっと内容を本当に見出しだけしか言える時間がないと思うんですけれども、まず第1に権利擁護のシステムを設けるべきだということで、特に児童福祉法で子どものためのオンブズパーソンを制度化するべきであるということを提言させていただきます。ただし、これは障害児だけに関わるものではなくて、子ども全体に関わるオンブズパーソンですので、全体子どもに対することになりますと、ここだけで決めるのではなくて、例えば社会保障審議会、児童部会等々でもっとより検討して具体化していったらいいのではないかということで提言させていただきます。

一方、総合福祉法の方でも入所に関するオンブズパーソンということが提言されていきますので、児童は児童としてオンブズパーソンにかけるのか、もしくは障害者の一人としてそこでのオンブズパーソンで保障されるべきなのかということは両方関わる問題ではあると思いますけれども、保護が厚ければ厚いほどいいと思いますので、その辺は後で整理すればいいかなと思っています。

早期支援、療育に関しては、今回の障害者基本法で療育が新しく入りました。この障害者基本法に基づく療育の文言制定によって、新しくきっと療育の見直しが入るだろうと思われます。とするならば、そのことも含めてここでも検討していただきたいと思います。

飛びましたが、7ページ、一般児童施策の利用が障害を理由に制限されないこと。これこそこども園、放課後児童クラブへの入所が障害を理由に妨げられないということを基本にしています。今、子ども・子育て新システムに関するところで検討しているものでありますから、そこに一緒に意見を出しながらともに制度化していくということが必要になってくるのではなかろうかと思います。

通所支援、入所施設。これは従来から児童福祉法にあったものですけれども、実は通所支援に関しては、これもまた去年の12月、つなぎ法で具体化されて、かなり児童福祉法が改正されているということもありますので、今後の運用基準等々によってもこの内容がもう少し明らかになってきたときには、また多少違った意見出しになるかとも思います。

障害児入所施設もその在り方に関していろいろ検討されているところですので、総合福祉法の入所施設を併せて、在り方を提言させていただきました。

地域の身近な場所での相談支援体制なんですが、これも相談というのが総合福祉法にもありますけれども、障害児子育てに関しては、より身近なところでということで保障されなければいけないんですけれども、1点、障害者基本法の中で、相談の中に意思決定支援が議員の修正で新しく入りました。我々の中には意思決定支援というのは残念ながら盛り込まれなかったんですけれども、障害者基本法の方で新しく入り、それが現実となりましたので、子どもの意見を決定するに際しても、もしくはそれを聞き取りするに際しても、それを支援するということの視点で相談支援がされるべきだと思います。これも新しく障害者基本法ができ上がりましたので、子どもの意思決定支援も含めて制度化されるべきだと思います。

ケアマネと個別支援計画、要保護児童対策地域協議会と自立支援協議会の関係に関しては、総合福祉法の方でも引き取ってというか、同じように提言をしていただいていますので、今、2つがダブっておりますけれども、それをどのようにすみわけ、具体的に権利擁護する方向でどのようにしたらいいのかということを検討していってもらいたいという内容です。

家族支援ときょうだい支援。これも障害者基本法に新しく入りました。ですから、我々とすれば、勿論、児童福祉法は障害者基本法を受けて、個別法ですから、よりそれを具体化するために規定していくべきだと思いますけれども、やはり障害者基本法に入っているということを重く受け止めて具体化するべきだろうと思います。

最後に、寄宿舎に関しても骨格を出させていただきました。寄宿舎というのは、学校教育法関係なので、なかなか我々の目が届きにくいというか問題にしにくいところがあったんですけれども、やはりそこでどのような入所支援がなされているのかということをより実態を調査して、地域社会生活が保障される方向で施策を検討していくべきだということで提言させていただきました。

以上です。

藤井議長代理 それでは、障害児合同作業チームに関する質問があったら挙手をお願いします。

東さんから質問。どうぞ。

東室長 済みません、担当室からですけれども、確認をさせてください。

まず権利擁護に関しては、障害児を含むすべての子どもと書いてありますが、これは施設にいる子ども、在宅でいる子ども関係なく全部を対象とするという制度ですか。

大谷委員 はい、そうです。

東室長 では、2点目。ケアマネジメントと個別支援計画とありますけれども、これはどういう障害児が対象になるんですか。だれがつくるのかということです。そこら辺の枠組みを説明していただけませんか。

大谷委員 どういうというのは、今、ケアマネは具体的にない。障害児に関しては総合的なケアマネがなされていないので、やはり具体的に一貫した支援にするためにはこういうものが必要だろうという提言です。そしてそれに基づいて個別支援計画をつくっていくべきではなかろうかという提言です。

今、利用計画はあるけれども、個別支援計画がないと認識しておりますので、やはり支援計画として具体化するべきだと思っています。

東室長 これは相談支援体制みたいなものをつくった上でこういうものをそこのケアマネージャーがつくるというようなことなんでしょうか。

大谷委員 そうですね。相談とつながっていけば、具体的になってくるのではないかなと私も思っていますけれども、そこは相談が具体的にどこまでワンストップ型で保障されていくかということもまた今後の課題になってくるのではないかなと思っています。

藤井議長代理 いいですか。

東室長 はい。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

土本委員、どうぞ。

土本委員 土本です。ふりがなの振っているページでですけれども、すべて障害児が入所施設にショートステイ枠を増築させるということですが、ショートステイからだんだん増えてきて長期の入所施設につながるのではないかなと思うんです。

それと寄宿舎のことですが、これも自分で選んで決めるということにならないかなと思うし、地域によると生まれた地域からも遠くの寄宿舎にやらされてしまっているものだし、自分たちは反対しているところなんです。

以上です。

藤井議長代理 懸念、御心配というショートステイが講じてだんだん期間が延びていかないかとか、今の寄宿舎問題を含めてコメントはありますか。

大谷さん、どうぞ。

大谷委員 だからこそ個別計画を立てて期限を区切った形での入所、計画支援、計画につなげていくということが必要なのではないかと思うんです。それがないまま入っていると、やはり先が見えない、自立支援につながらないということにもなろうかなと思っています。

寄宿舎の実態に関しては、やはり早期の小さなころでも、特にまた今度高校生になったときの寄宿舎の実態などもいろいろ聞こえてきますので、それは実態調査を1回した上で私たちも提言するべきではないかなと思っています。

藤井議長代理 土本さん、いいですか。ほかにいかがでしょうか。

大濱さん、どうぞ。

大濱委員 ここに家族支援、きょうだい支援とありますが、この中には当然外部からの支援ということも想定しての家族支援、きょうだい支援という考え方。その外部の支援は全然考えていないということ。ここら辺に外部の支援ということが全く書かれていないので、例えば外部から介護者を入れるとか、そういう形での支援体制というのは全く議論になっていないのかどうかという点が1点目です。

次に寄宿舎の問題、先ほど言われたようにこれは非常に重要な問題なので、これは寄宿舎に入ることによって親元から離れて、親が子どもを放棄してしまうような場面が相当見られると聞きますので、この調査は是非していただきたい。

以上の2点です。

藤井議長代理 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 家族支援の我々のイメージは、第三者が家族を支援する。ですから、今まで正直申し上げて、特に子どもに関しては家族に負担がかかる、特に親が養育責任を負っているということで、なかなかそこに介入し得ない扶養義務、養育義務みたいな形で課せられてしまうところがあるので、そこを家庭の中にあっても家族を支援するという形ででも入るということをイメージしています。

藤井議長代理 ほかにいいですか。もしなかったら、大谷委員、1つ質問なんですけれども、先ほどの東さんの質問とも関係してくるんですが、この政策提言としては、骨格提言としては形がそろっている。しかし、この1つの大きなポイントは、児童福祉法に主軸を置くんですよと、つまり、福祉の枠あるいは総合福祉法は私たちのある面では管轄の中で議論できる。この場合には寄宿舎は教育に関係してくるし、児童福祉法、いわゆる他法でやる。ここら辺の子ども・子育て新システムの動きもあるということもあったんだけれども、この辺の考えだとか今後の大谷委員としての展望のようなものはありますか。

大谷委員 率直に申し上げて、寄宿舎はともかくとして、こども園、新しい法律がきっとできてくるんだろうと思うんです。その中で障害児の視点を決して欠いてはいけないという意味でそこに盛り込んでいただきたい事項がかなり出てくる。また、児童福祉法は児童福祉法で非常に全般的な法律ですから、ここから障害児を捨ててしまう、外してしまうこともできない。

ですから、その辺立法的には整理が必要かと思いますけれども、きっと児童福祉法、そしてその児童福祉法の中の子育て支援の中における障害児ということで並列していくのではないでしょうか。私はそこまで深く考えていませんけれども、一般的にはそのように感じています。

藤井議長代理 そういう大きな課題というものを残しながら政策としての骨格提言はしていくとなっていくと思います。

それでは、労働と雇用合同作業チームの座長、松井委員の方から報告をお願いします。

松井委員 ありがとうございます。松井です。

この就労作業チームでは、福祉的就労に関することと一般雇用に関すること、両方に関わる事柄について議論して、福祉的就労に関しては、先ほど尾上さんの方から支援体系ということの中で説明いただきましたけれども、特に雇用に関しては雇用促進法に係るわけですが、これまでは基本的に量としての雇用を中心に展開されてきたわけですが、この障害者権利条約の第27条、労働及び雇用で求められている労働への権利であるとか、障害に基づく差別の禁止、職場での合理的配慮等の提供ができるような条文を入れる必要がある。先ほど堂本さんの方から質問があったわけですが、当然差別禁止であるとか、合理的配慮の場合に、そういう差別をされたり合理的配慮が受けられないという場合に、苦情を申し立てたり、それに善処するような仕組みが設けられるべきだと思います。

特に土本さんは職場の中でそういう差別を受けたり、あるいは合理的配慮を受けられる場合に、職場の中で訴えていくところがないということをおっしゃっていましたけれども、そういう新しい仕組みの中では当然職場の中での対応をできるような仕組みとか、あるいはどうしても職場の中で対応できない場合については第三者のところに持っていくという形の仕組みができてしかるべきだと思います。

ただ、この問題については、差別禁止部会及び厚労省の中にある労働政策審議会障害者雇用分科会の中で今議論していて、これは平成24年度中になるということでございますので、その議論の中でも当然この問題については検討していただきたいとは思います。

現在、雇用率は民間の場合1.8%ということで非常に低いわけですが、対象とする障害の範囲を広げるということを考えると、当然雇用率の見直しをしなければいけないと思いますし、雇用率と対になっている納付金制度についても現在のままでいいのかどうか。特に納付金を財源とする助成金は事業主による申請で利用できるようになっていて、障害当事者から申請するという道が開かれていないので、そういうことも含めて再検討する必要があるのではないかと思います。

先ほど言いましたように、雇用と福祉的就労にまたがる問題について、今後取り組んでいかなければいけないわけですけれども、そのために就労系事業に関する試行事業、パイロットスタディということを提案しているわけですが、これは総合福祉法の中で提案している、いわゆる3年後の見直しということにも関わりますので、パイロットスタディがいかに実現しているのかということは非常に大きなキーになってくると思うんです。特に新しい第3の選択肢、いわゆる一般雇用でもない、あるいは福祉的就労でもない在り方が既に箕面市であるとか滋賀県あるいは札幌市等で取り組まれているわけですけれども、そういうものを全国的に展開する上でも、特に賃金補てんであるとか、必要な仕事をきちんと確保できるような仕組みをつくるという意味でも、この試行事業は是非やっていただきたいと考えております。

賃金補てんに関係して、当然所得保障制度全般との関連の見直しが必要だと思いますが、これについては平成24年をめどに政府として所得保障制度、年金制度の抜本的な見直しということが言われておりますので、それに併せて当然検討すべきだろうと思います。

これまで例えば働いている障害者の実態調査というのは限定的に行われているわけですけれども、障害を持たない市民との格差というか、一体どういうふうに生活実態が違っているのかというようなことは調査が行われていないので、障害のない人と対等に地域の中で生活していくということを実現する意味でも、障害を持った人と持たない人との生活実態の格差というものをきちんととらえる必要があると思います。

時間がないので結論にしますけれども、いずれにしても福祉的就労、一般雇用を一体的に展開するための仕組みづくりというものも当然つくる必要がある。これは中央省庁での組織の問題と地方自治体におけるワンストップサービスであるとか、そういうネットワークづくりというようなものです。いずれにしても、今申し上げたようなことを今後実現していくためには当然フォローをする必要があると思いますので、これは当初の時点では推進会議の中で就労部会をつくるということを提案しておりますが、既に基本法の改定で、障害者政策委員会というのができるので、そこの中でそういうことをきちんとフォローしていただきたいということをお願いして終わらせていただきます。ありがとうございました。

藤井議長代理 それでは、今の労働と雇用合同作業チームの説明ですが、質問はいかがでしょうか。

では、東さんからどうぞ。

東室長 東です。松井先生からお話がありましたように、労働における差別禁止の問題は差別禁止部会でも議論されているところであります。ですので、差別禁止法の中に労働の分野も取り組んだ形で一定の規定を設けるということもあり得ると思うんです。片やここでの御提案は雇用促進法の中に取り込むというような御提案だと思うんですが、ここら辺のすみわけといいますか、片一方だけにしてしまうのか、両方とも役割分担みたいな形で分けて入れるのかとか、そこら辺のお考えがあれば教えていただきたいんです。

藤井議長代理 では、松井さん、どうぞ。

松井委員 ありがとうございます。松井です。

差別禁止法は非常に全般的なというか、勿論、職場を含めた全般的な規定が設けられてしかるべきと思いますが、雇用の問題に特化した問題も当然あると思いますので、雇用促進法の中でも差別禁止あるいは合理的配慮の提供を義務づけるという規定があっていいのではないかと思います。

実は先ほど言いましたように厚労省の中の労働政策審議会障害者雇用分科会の中で既に数年前から検討していて、審議会の中でも間もなくそれに向けての整理ができるのではないかと思いますので、できるのであればきちんと位置づけてほしいと思います。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。いいですか。松井さん、補足でもう少し時間があってもいいんですが。

では、東さんからいきましょう。どうぞ。

東室長 雇用促進法は積極的差別是正措置という形で位置づけられるのか、られないのか、御意見伺いたいんですけれども、差別禁止という問題とアファーマティブアクシヨンといいますか、そこら辺の関連性は議論された上で盛り込むというようなことになっているんでしょうか。それとも余りそこの関連性は考えずに規定だけ盛り込むという形で考えられているんでしょうか。そこら辺どうでしょうか。

松井委員 これは私たちの作業チームだけではなくて、その前に既に先ほど言った厚労省の労働政策審議会でもかなり議論して、委員の皆さんの意見としては基本的にはアファーマティブアクションと差別禁止あるいは合理的配慮は矛盾はしないだろうと。ある意味では相互補完的な関係にし得るのではないかということで結論を出したと思います。

先ほど藤井さんの方から追加があればということでしたが、1つパイロットスタディというか試行事業をやって、その後、現行の雇用促進法の中で対応するのか、あるいは新しい労働法、例えば障害者就労支援法といったものが必要なのかということの議論は、施行後検討しようということになっております。それだけ補足させていただきます。ありがとうございました。

藤井議長代理 松井さん、1つ。皆さん方、賃金補てんと聞くとえっと思うかもわかりませんが、例えば現在、雇用調整助成金なども賃金補てんに近いと思うんです。今、被災自治体でもっていろんな仕事をつくって、一定の期限がありますけれどもね。あるいは戸別農家の所得補償なども1つ所得保障の観点で農業政策をやっている。ほかにも難治性の疾患だとか発達障害、賃金補てんの類似施策は行っているんですが、日本における賃金補てん施策の実態把握というのは一遍したんですか。

松井委員 全体の状況がどうなっているかということは把握しておりません。おっしゃるようにさまざまな形で賃金補てんといったものが実施されておりますので、そういうことも併せて、メリット、デメリットも含めて検討しなければいけないと思います。

藤井議長代理 では、新谷さん、どうぞ。

新谷委員 新谷です。作業チームのメンバーなので松井先生のおっしゃることに余り異議は唱えられないんですが、賃金補てんを福祉的就労の場に持ち込んでパイロット事業の中で検討していくという方向性は賛成しています。

ただ、賃金補てんのベクトルと労働者が働く職場での合理的配慮の進展、充実の問題とはベクトルが必ずしも合っていない。だから、パイロット事業でベクトル合成したいい案が出てくるのだったらいいですけれども、私は基本的に賃金補てんと合理的配慮は方向性がずれているという認識を持っているので、逆に賃金補てんの考え方が強くなって合理的配慮が後方にやられるという懸念は持っておりますので、是非パイロット事業の中でその辺の問題をしっかり見極めていただきたいと思っております。

藤井議長代理 松井さん、コメントはありますか。

松井委員 それは十分留意させていただきたいと思います。

藤井議長代理 松井さんは国際的にもかなり幅広く検討もしてらっしゃったし、各国の賃金補てん政策、今おっしゃったように合理的配慮との関係性の実証もいろいろとやっておられる点もあると思いますので、是非引き続きこれについては提言していってと思います。

それでは、この件についてはこれで終わります。労働と雇用に関する合同作業チームの報告は終わります。

以上をもちまして本日の正式な議事に関しましてはこれでおしまいにいたします。これ以降の進行につきまして、小川議長の方にマイクをお渡しします。

小川議長 本日は長時間の御討議、お疲れ様でございました。ここで東室長より今後の予定を含め、報告すべき事項があれば御説明をお願いいたします。

東室長、どうぞ。

東室長 長時間ありがとうございました。次回は第35回となります。9月26日、月曜日を予定しております。正式に決まり次第、改めてお知らせいたしますので、御予定ください。

なお、内容につきましては、8月いっぱいに総合福祉部会で骨格提言が確定する予定ですので、確定したものを推進会議で報告いただくという内容になろうかと思っています。ただ、全部をこれに当てるかどうかにつきましては、なお検討を要するかなと思っております。ですので、ほかの議題が加わるかもしれません。

以上でございます。どうもありがとうございました。

小川議長 ありがとうございました。それでは、これをもちまして本日の会議を終了いたします。この後、この場所で記者会見を行います。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。御苦労様でございました。

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