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障がい者制度改革推進会議(第37回)
議事録

小川議長 定刻になりましたので、これより第37回「障がい者制度改革推進会議」を開催させていただきます。

本日の委員の出欠ですが、長瀬委員、遠藤オブザーバーが御欠席、その他の委員は御出席です。

会議の公開は、これまでと同様といたします。

進行上の時間配分については、後ほど東室長より報告があります。本日の会議は17時までを予定しております。それでは、これより先の進行については、藤井議長代理、よろしくお願いいたします。

藤井議長代理 それでは、ここから先の進行は藤井の方で務めさせていただきます。

最初に、東室長より、本日の議事の進め方につきまして、概略の説明をお願いします。

では、東室長、よろしくお願いします。

東室長 どうもこんにちは。担当室長の東です。よろしくお願いします。

まず最初に、担当大臣の交代について御報告いたします。先日の内閣改造に伴いまして、共生社会政策の担当大臣が岡田大臣となっております。ですので、政務三役は、岡田大臣、中塚副大臣、園田政務官という体制になっております。

次に、推進会議の構成員の交代につきまして御報告いたします。連合の中島委員が花井委員に交代されております。花井委員、できれば一言、ごあいさついただきたいと思います。

花井委員 中島委員に代わりまして、今度交代いたしました花井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

東室長 ありがとうございます。

本日のテーマは、「災害と障害者」ということです。東日本大震災から10か月ほどが過ぎました。被災地では、困難な中、復興へ向けての取り組みが進められております。昨年5月23日の第32回推進会議では、私たちは、「災害と障害者」について議論いたしました。その後、12月には、被災3県におきまして現地調査を行い、今日の議論の準備をしてまいりました。調査に参加した構成員の皆さんの報告は、資料として配付されております。

本日は、現地で、支援活動の中核を担っておられる皆様をお招きしております。ここで御紹介申し上げます。

まず行政機関として、福島県南相馬市健康福祉部長の西浦武義様です。

西浦氏 西浦です。よろしくお願いいたします。

東室長 よろしくお願いします。ありがとうございます。

2人目は、JDFみやぎ支援センター事務局長の小野浩様です。

小野氏 よろしくお願いします。

東室長 続きまして、きょうされん岩手支援センター事務局長の小山貴様です。

小山氏 よろしくお願いします。

東室長 次に、JDF被災地障がい者支援センターふくしま代表の白石清春様です。

白石氏 よろしくお願いします。

東室長 次に、3県全体で支援活動を展開しておられる特定非営利活動法人ゆめ風基金理事の八幡隆司様です。

八幡氏 八幡です。よろしくお願いします。

東室長 よろしくお願いします。ありがとうございます。

以上の5名の皆様からのヒアリングと、それを受けての議論を通じて、「災害と障害者」というテーマを深めていきたいと思っております。

それでは、本日の進行について御報告します。本日も15分の休憩を3回として、4つのコーナーで議論していきます。

第1のコーナーは40分で、「災害時要援護者に対する取り組みについて」といったところで議論します。前半の20分で5名のヒアリング協力者の皆様から、テーマに即して御報告いただきます。それを受けて、後半の20分で、質疑及び討論を行います。

第2のコーナーも40分で、「安否の確認と支援ニーズの把握について」でございます。やはり前半の20分で5名のヒアリング協力者の皆様から、テーマに即して御報告いただきます。それを受けて、後半の20分で、質疑及び討論ということになります。

第3のコーナーも40分で、「災害直後における障害者支援の仕組みの在り方について」であります。ここでも前半の20分で5名のヒアリング協力者の皆様から、テーマに即して御報告をいただきます。それを受けて、後半の20分で、質疑及び討論を行います。

第4のコーナーは65分ですが、「復興に向けた障害者支援の在り方について」であります。やはり前半の20分で5名のヒアリング協力者の皆様から、テーマに即して御報告いただきます。それを受けて、後半の20分で、質疑及び討論ということになります。その後、第4コーナーの残りの時間では、報告事項がございます。

なお、現地調査に行かれました構成員や、独自で支援活動に取り組んでおられる構成員の報告は、特に時間を設けておりません。したがいまして、議論の中で随時発言いただければと考えております。

本日の予定は以上でございます。

藤井議長代理 それでは、今あったように4つに区分して進行してまいります。大変時間は短いのですけれども、ここに今並んでいらっしゃる順番で、皆様方から見ると、左から西浦さん、小野さん、小山さん、白石さん、八幡さんという順番で、どのコーナーも最初に4分間ずつお話を頂きます。それを受けて、20分間ほどの質疑、意見の交わし合い、こうなってまいります。なお、西浦部長さんは、今日は第3コーナーの段階で中座をされたいというふうにお申し出がありますので、西浦さんにつきましては、第3コーナーまでの御発言とさせていただきます。

それでは第1コーナーですが、「要援護支者支援の取り組みについて」、これをテーマにして早速報告から入ってまいります。

では、南相馬市の西浦さんからお願いいたします。

西浦氏 福島県南相馬市の西浦です。「災害時要援護者に対する取り組みについて」のうち、現行の取組みへの実効性について御報告申し上げます。

南相馬市の災害時要援護者名簿につきましては、高齢者・障害者、高齢者の場合は要介護3以上、それから障害者については、身体障害者手帳1級、2級、療育手帳、それから療育手帳A等を対象に、個人情報について同意の得られた方。そうしますと全体の数字の66.94%を対象に策定し、4,280 人の登録がありました。

この計画は、民生委員、行政区長、消防団、自主防災組織等に配布しておりましたが、今回の震災、津波、原発事故では、地域全員の市民が避難となったために、機能しなかったものであります。更に、要援護者名簿は重度の方を対象にしておりましたが、家族構成によって、軽度の方でも、車や支援する家族がないことによって避難できない方が数多くおりましたということが経過になっております。

それから、避難計画策定や訓練への障害者団体の参画と連携についてでありますけれども、南相馬市は毎年、市の防災計画に基づきまして、防災訓練が行われておりますが、残念ながら、避難計画の策定や防災訓練には、障害者団体、更には当事者にも呼びかけてはおらず、連携は全然なかったような現状であります。

以上、御報告申し上げます。

藤井議長代理 それでは次に、みやぎ支援センター事務局長の小野さん、お願いします。

小野氏 JDF、日本障害者フォーラムみやぎ支援センターの小野と申します。資料6の内容に基づいて、まず報告をします。

各自治体の要援護者の名簿状況等については、センターとしては、把握はできていません。ただ、宮城県並びに被災地の自治体と連携をしながら、3月30日から、被災地での支援活動を行ってきました。特に資料の2ページ、3ページのところに、被災地の障害のある方の被災状況について、レポートを書いてありますが、宮城県で9,500名に及ぶ死亡、1,800人に及ぶ安否未確認、そういった被害がありながら、その中で、障害のある方の被災状況というのは、今もって把握ができていません。今日は資料で、毎日新聞の写しも配られていますが、NHK並びに毎日新聞の調査が直近の情報かと思います。

ただ、3ページに、この1月にようやく宮城県として、身体障害者手帳の再発行者数が公表をされました。これは、震災直後の4月から12月までの間にすべての市町村で再発行手続を行った件数、特に抜き出してある表は沿岸部の自治体です。ですから、被害を受けていない方も再発行をしているケースはあります。けれども、この身障手帳の再発行者の割合を見ると、表にありますように、女川町が最も高く、432人中84人が再発行、19.4%。次いで南三陸町の15%、気仙沼の7.9%、石巻の7%。ですから、この再発行をされた方は、震災の影響で自宅が被害を受け、手帳をなくされ、現在、自宅もしくは仮設住宅、みなし仮設住宅で暮らしている方と思われます。

現在、宮城県では、療育手帳並びに精神保健福祉手帳の再発行の件数の詳細を追いかけているところですが、9ページの資料、これは要援護者だけではなくて、宮城県の仮設住宅と応急仮設住宅の戸数の表になります。仮設住宅で2万2,000、みなし仮設住宅で2万6,000、ここに障害のある方が暮らしているわけですが、推測ですけれども、重い障害のある方ほど応急仮設住宅、つまりみなし仮設住宅に暮しているケースが多いと思われます。

なお、このほかに県外避難者がいまだに8,999人おりますので、そこの要援護者の状況についても、いまだに把握はされていません。

以上です。

藤井議長代理 それでは、このコーナーはおわかりのように、災害時要援護者に対する取り組みですが、引き続き岩手の小山さん、お願いします。

小山氏 きょうされん岩手支援センターの小山といいます。ただいまJDFの支援センターを、陸前高田市の方に設置準備中です。そこで本日は、いまだ復興まで言えなく、復旧状態にある高田の状況を中心にお話しさせていただきます。

災害時要援護者ですけれども、陸前高田市での計画は、平成20年4月1日に施行されました。ただし、これは地震や風水害を想定していたものでした。今回の震災後、津波でデータが全部流出し、発災後に確認をする手だてはなかったようです。また、消防団や民生委員さん等、要援護者の確認中に、多くの方が犠牲になっております。

一言でお話ししますと、今回の災害では、現地でも全く実効性がなかったと考えているようです。実際、地震後の津波が来るまでの間に救いに行く余裕はなかったそうです。それでも計画どおりに要援護者の救助に向かった関係者は、各市で犠牲になっています。また、近くに支援者がいない方は、地震後に、自分はここにいるしかないと無力感を感じて、自力避難ができなかった事例もあったようです。ここで、この計画の基本的な在り方を考え直すべきではないかという話があります。その際には、双方が救われる計画を考えるべきであるといった地元行政の意見がありました。

この中で、最初に要援護者の安全な地への居住確保の必要性を考える。これは、町がゼロになってしまったので、今から考えることができるのだけれども、発災前は全く考えることができなかったというふうなお話をされていました。町に100人、要援護者がいる状態で、100人を避難させるよりは、災害時に命を守ることを最優先事項とした場合、危険のある方をあらかじめ安全な居住ゾーンへ移住するくらいのことを、行政も本人も、今後考えていかなくてはならないとも話されています。現に、皮肉にも山の中にあった施設は助かり、地域で暮らそうと町に出たグループホーム関係が多く被災しております。地域でともに暮らすといったことは、個人的にはとても大切なことと考えております。ただ、数十年おきに町がなくなるような災害のリスクを負った土地に関しては、この考えを改める必要性があるのかと、今回の震災後、考えております。

繰り返しになりますけれども、災害時要援護者のシステムは、今回のような津波被害に関しては、全く役に立ちませんでした。地震の揺れがおさまるまで4分弱、相次ぐ余震の中で自分の身の回りの確認をするだけで10分がたって、このときに、早いところでは最初の潮位変動が始まっています。担当地区の要援護者宅に確認に走って、移動困難な対象者を避難させようと準備をしているうちに、周辺の道路は避難者の車で渋滞をしております。移動困難な対象者の方を民生委員さんの方たちが、津波から逃れる高台まで避難させるには、時間にかなり無理があったようです。消防団の方も、担当する水門を閉めながら、最終的に要援護者のところへ向って、結果、間に合わないということがたくさんありました。

高田等、町がゼロになった部分では、今後の復興計画の中で、この問題を解決する方法を検討することはできますけれども、この震災を機に、全国的に考え直さなければならない問題と感じます。特に大きい地震や津波が予想されている地域では、行政や地域住民の意識改革を含めた取り組みの必要性があって、どうしたら多くの命を守ることが可能であるかといった視点で、早急に検討していただく必要があると思います。

以上です。

藤井議長代理 ありがとうございました。

それでは次は、支援センターふくしまの白石さん、お願いいたします。

白石氏 白石です。支援センターふくしまは、被災後、1週間ちょっとで活動を再開できたのですけれども、活動当初から、県や国に対して、障害者の名簿をお貸ししてほしいと、再三再四にわたって要求してまいりましたが、個人情報保護法の壁などがあって、なかなか思うように名簿はいただけませんでした。唯一、南相馬市さんだけが、名簿を貸してくれ、現在まで何とか障害者への訪問活動をして、安否確認を行うことができました。ちなみに福島県は、宮城や岩手と違って、原発が壊れてしまって、放射性物質が県内にばらまかれ、避難支援者は数多く、何万人、現在も6万人の人が県外に避難しているというようなこともあって、行政対応も、なかなか障害者のところまで支援の手が差し伸べられなかったという事実はありますけれども、行政と民間の民生委員とか町内会の人とかと連携した、そういうスキームをつくって障害者支援をするような、そういう仕組みづくりが、これから望まれてくるのではないかと思っています。

それから、要援護者名簿が利用されなかったとJDFの方が言われましたが、やはり大災害のときには、平時ではないのですから、そういうことも考慮して、いち早く障害者の安否確認と、支援の手を差し伸べるためには、要援護者名簿を活用したり、また要援護者名簿だけでは載らない人もいるので、精神障害者とか知的障害者、また、ボーダーラインの人たちもいるので、そういう人たちも救うべく、そういうシステムをこれからちゃんとつくっていかなくてはならないと考えております。

以上です。

藤井議長代理 それでは、ゆめ風基金の八幡さん、お願いします。

八幡氏 ゆめ風基金の八幡です。今日は4つの分野ということで、いろいろ交錯する部分もあるので難しいですが、最初に与えられた現行制度の問題について、ゆめ風基金としてお話をさせていただきます。

ゆめ風基金は1995年の阪神大震災以降、10年を節目に、防災ということで、この7年間ぐらい、ずっといろいろな地域で防災について訴えてきたわけですけれども、例えば避難計画・訓練といったときに、大抵のところの施設さんは、いわゆる火事のときの訓練しかしていない。大規模災害について備えている施設さんというのは、ほとんどないというのがこれまでの現状でした。

名簿についても、高齢者の名簿は集まるけれども、障害者の名簿についてどうするか。手挙げ方式ではほとんど集まらないというところで、それよりも、実際に私たちが地域の人たちと訓練なんかをしますと、民生委員さんたちが障害者と口をきいたことがない。いわゆる障害者と住民が、全然話したことがないということで、地域の自主防災組織に名簿を渡すという以前に、交流がないということが大きなこととして浮き上がっています。

それから、個別支援計画は、内閣府がつくったとき、私はずっと、一体だれがつくるのかわからない、自主防災組織が障害者の個別支援計画なんかつくれるはずがないと言ってきたのですけれども、その点において、サービスを提供しているいろいろな事業者が、災害時における個別支援計画をつくろうという意識が全くない中で、お互いにお見合いのようなことをしているということがあります。

ただ、名簿に関しては、新潟県の2回目の地震、中越沖地震で、新潟県が3日目に障害者支援センターを立ち上げて、1週間の間に、身体障害者手帳を基に、約1,000件のローリングをして、障害者の安否確認をしたという事例があります。

そういうことで、私は実は大阪市の城東区というところで、自立支援協議会を中心に、いろいろな今、福祉避難所とか、そういう計画をつくっているのですけれども、身体障害者手帳そのものの名簿については、いつでも出せるようにしておくということが必要だろう。実際にそれをどう活用するかというのは、かなり地域の特性があるので、その活用の仕方というのは変わってくるとは思っていますけれども、今のところ、災害時要援護者の避難支援ガイドラインそのものをつくっていない自治体もまだまだ多いですし、そのこと自体が、障害者団体の中でも、国が出したものとか、いわゆる厚生労働省が出したものとかいうことが知られていなくて、ようやく今回、災害が起こって、初めてこの分野に焦点が当たったというところが実態だと思っています。

今後、ほかの分野でもいろいろ発言はさせていただきますけれども、やっと緒についたところで、具体的に、絵にかいたもちにならないために、その辺のところをどう議論していくかということを、私、皆さんともいろいろと、真摯に説明をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

藤井議長代理 今、5人の方から、大変短い時間ではあったのですけれども、災害時要援護者に対する取組みの名簿、お聞きのように、要援護者名簿がまだないというところが少なくない。あるいは、あっても実効性がなかったという問題等々、今、これだけ聞いてもいっぱい問題が出ていました。これから1時50分まで、構成員の方たちから質問や意見を伺います。どうぞ、発言したい方は挙手をお願いします。

それでは先に清原委員、中西委員、佐藤委員の順番でまずはいきますので、では、清原委員、お願いします。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。

本日は、大変貴重な、5つの団体、個人の皆さまから御意見を聞きまして、基礎自治体の1つとして、災害時要援護者支援の事業をモデル的な地域から始めている三鷹市としても、大変大きな衝撃を受けながら、今の御報告を伺っていました。

そこで、南相馬市の西浦さんに質問させていただきます。自治体の関係者として、今回の被災に遭われ、準備をされていた災害時要援護者支援事業が想定したように機能しなかったというのは、どんなにか悔しかったことかとお気持ちを拝察いたします。ただ、その中で、振り返りながら、これからの取組みについても少し語っていただいたのですが、更に教えていただければと思います。

1点目は、これまでは対象者に対して、個人情報の保護の取組みについて承諾をされていた66.94%の方の名簿を基に取組みをされていたということですが、今回の経験を通して、この取組みの方法に変更をされるような思いはおありになるかどうか。個人情報保護というのは、極めて重要なポイントでもありまして、地域によっても感じ方は違うとは思うのですが、これまでの取組みを継続されてリストを作成され続けるのか、それとも新たな手法をお考えなのかということです。

2点目は、先ほど最後の方で、このようなことを振り返り、今後は、支援の必要な方の情報について、相談支援事業者の皆様初め、支援をできる方と情報も更に共有していきたいという方向性も少しお話ししてくださいました。私はやはり、要支援者のリストをおつくりするだけではなくて、その方を助けていただく支援者の複数とマッチングをしていくことが必要と思って、三鷹市でも実は取り組んでいるのですが、先ほど岩手の小山さんからも、双方が救われないケースもあって、支援しようと思った方まで命が失われたという、本当に過酷な状況の御報告を受けましたので、簡単に、要援護者と支援者をマッチングしなければいけないというふうに強く思い込んでいた市長としては、大きな命の重みの衝撃をいただきました。南相馬市でもそういう思いだと思うのですが、要援護者と支援者との適切なマッチング、それから日常的な関係について、お考えがありましたら、2点、教えていただければと思います。

本当に貴重な御報告を皆様、ありがとうございました。

藤井議長代理 それでは一問一答ではなくて、少し委員の方から質問をまとめて受けさせていただきます。時間が大変限られていますので、結論からお話し願えれば助かります。中西委員、佐藤委員の順番でいきます。中西委員、お願いします。

中西委員 中西由起子です。

私も要支援者名簿に関してです。

まず、南相馬の方で、障害を持っている人たちの66.9%の方たちが同意されてリストができたとおっしゃっていらっしゃいました。私も今回の災害を考えたときに、まず名簿の作成というのは重要であり、同意された人たちから名簿をつくっていくべきだと考えていたのですが、半数強の方たちしか同意しないということで、これでいいのかなという気持ちもあるのですが、今後の災害に備えては、やはりこの名簿は重要であり、同意した人たちからつくることをまず提言していかなければいけないのではないかと思っているのですが、それに関して、特に被災を受けた地域の皆様はどういうふうに考えていらっしゃるのか御意見を伺いたいのです。

以上です。

藤井議長代理 では、これも西浦さんへの御質問でした。

中西委員 済みません、西浦さんだけではなくて、ほかの地域の方も、そういう名簿のつくり方でいいのかということです。

藤井議長代理 66.9%を1つの例として、更にほかの地域もどうかということですね。

では佐藤委員、お願いします。

佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。

西浦さんにお伺いしたいのですけれども、全体的には、障害者の死亡率が全住民の平均の2倍くらいだという、深刻なデータが示されているわけです。それは、今日示されている毎日新聞のデータでも、『ノーマライゼーション』に載っているNHKの取材班のデータでも、共通したようなデータになっているわけですけれども、その中で、南相馬については、NHKの方では、かなり障害者の方が低い。毎日新聞の方では、その後のデータの精査の結果なのだろうと思いますけれども、増えてはいるものの、全体の0.9%に比べて、0.8%くらいに障害者の方でとどまっているということで、明らかに、この3県の全体の傾向と違っているのだろうと思うのです。西浦さんの先ほどの説明では、名簿をつくったけれども余り生かされなかったということですけれども、南相馬では、障害者が特に死亡率を高くしないように済ませることができた、何かお気付きの点というか、そういうものがあれば、どういうものだったのか教えていただければと思います。

藤井議長代理 お3人の質問が西浦さんにやや集中しています。中西さんからは、他の地域からもとありましたけれども、一旦ここでお答えいただいて、次に進んでまいります。

それでは西浦さん、今の質問で、お答えできる範囲でお願いできますか。

西浦氏 私どもの方では、先ほどお話ししましたように、要援護者名簿につきましては同意方式でやっております。現行法の個人情報保護法、市にも条例はあるのですけれども、その中では審査会もありますし、同意方式以上の100%に近いことにつきましては、なかなか法的に制約があるものととらえております。ですから、極力、民生・児童委員さんや、福祉を理解される方にも呼びかけながら近付けていくことが必要だと思いますし、それから要支援者と要援護者につきましては、要援護者名簿に支援する人の名前も書くようになっております。ただ、今回の場合活用できなかったというのは、地域すべてが避難する状況にあったので、要援護者の名簿の隣に、支援する人、最低2人はあるわけですけれども、それが活用できなかったということで、残念な結果にはなっております。

それから、死亡率が低い件でありますけれども、正式には、きちんとした確認は私どもではまだしていないところもあります。南相馬市は人口7万2,000人のうち636人が亡くなりまして、いまだ10人も行方不明者がおります。そういう状況にありまして、正式にはきちんとした数字はとらえていないところですけれども、死亡率が低かった要因については、まだ確認していないところでありますので、まとまりましたらば御報告したいと思っております。

藤井議長代理 西浦さん、今のお答えにも入ってはいたのですけれども、やや個人の見解も入りますか、これからの要援護者と、これを支援する支援者のマッチングの関係、こういう甚大な、壊滅的な被害ですから、ましてや原発問題が起こったわけですから難しいのですが、これからのあるべき方向で、何か見解がもしあれば。いかがでしょうか。

西浦氏 今回、私どもは障害者手帳を開示しました。それに基づいてすべての在宅している方の安否確認調査とニーズ調査をしていただきました。JDFさんにも御協力いただきながら、あとは市内のNPO法人にも御協力いただきながら、名簿を作成しましたので、その名簿にはかなり詳しく記載していただいております。症状、状態から、どういうふうな避難方法があるか、そういうことも入っておりますので、今後は、そういうふうな団体、相談支援事業者、それから民生委員さんなどにも、こういう内容を御報告申し上げながら、地域全体で取り組むように、今、考えているところです。

藤井議長代理 それでは、ほかの方、宮城、岩手、福島、八幡さん含めてですが、同意を得ないと災害時要援護者名簿には登録されないと。しかし、南相馬の例だけを見ても、6割ちょっと、3分の2ぐらいですか。要援護者名簿の作成等に関して、もし意見があればいかがということなのですが、どうでしょうか。

白石さん、お願いします。

白石氏 私、個人的には、全障害者の名簿を開示していくということは、まず基本的に必要ではないかと思います。それから、その障害者手帳を持っていない、ボーダーラインの人とか精神障害の人とかもその範疇に入れて、大規模な被害があった場合には、すぐに駆け付けて支援できる体制をつくるべきだと思います。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか。

八幡さん、どうぞ。

八幡氏 まず、相馬の事例も、実を言うとかなり時間がたってからの名簿ということで、マッチングという場合に、どこまでができるのかという想定が必要です。だれと避難するか以前に、今、障害者自体が、逃げる場所がないという状況の中で、親戚宅へ、時間がたてば行ってしまう方が多くて、結果的に、いまだ安否確認がほとんど終わっていないという状況があります。ですから、その地域の自主防でできる部分と、実際に、具体的支援をだれが行うかというような仕組み全体の中で、名簿を提供してくださいと言わないと、障害者側の方の理解が得られないというか、その人に名簿を渡して、その人は何をしてくれるの、そういう不信感もやはり生まれると思うのです。

現実的には、先ほども言った新潟の事例で、何の事前の通達もなく、すべての障害者手帳のローリングをして、別に何のバッシングも受けなかったということを考えると、今、大阪市の方でも、緊急時にはとにかく名簿は全部出そうというふうな形になっています。ですから、事前に出す部分と緊急時に出す部分、同意を得るにしても2通りの同意の仕方があるのではないか、そういうふうに考えております。

以上です。

藤井議長代理 それでは、一言で。

小野氏 小野です。

第2コーナーともダブる点が出てきてしまうのですが、宮城の支援センターでも、要援護者の名簿の収集、開示について各市町村にお願いをしましたが、結果的には、開示は難しかったです。宮城県の紹介を得て市町村を回ったのですけれども、できた範囲で言えば、東松島市や女川町で保健師やケースワーカーと同行訪問をした、その範囲内です。女川町などはデータも流され、気仙沼も南三陸もそうですが、役場も社協も被災に遭って、データが流され、避難所の管理を運営しているので精いっぱい。ですから、それ以上の動きをつくることが現地では困難。そうすると、やはり外部団体の協力を得てどう要援護者の把握をするかということが非常に重要になるかと思います。

藤井議長代理 それでは久松委員、新谷委員の順番でまいります。久松さん、お願いします。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松です。

質問ではなく、意見です。東日本大震災の救援活動を通して感じたことが幾つかありますので、少しお話しさせていただきたいと思います。

まずは、今回の東日本への救援で、障害者手帳の情報を管理することについて改めて気づかされたことがあります。何かといいますと、障害者手帳に関する情報は、100%、十分管理しているというわけではないということです。例えば、ある障害者が亡くなった場合、その役所に届け出がない場合には、生存していることになってしまいます。この情報に振り回された例がありました。それが1点です。そういうことを考えたときに、今回の要援護者制度の届け出による登録制度にしても、登録した後のメンテ、管理ができないのではないか。5年、10年たったときに、更新情報、新しい情報を入れていくという作業が今の行政できちんとできるのかどうか、その確認が必要ではないかと考えています。

それと、今回の要援護者の名簿に基づいて情報をもらったとしても、支援活動をするについては、主に民生委員が配置されていると思います。民生委員というのは比較的、その地域の状況に詳しい人が選ばれることが基本になっていますので、比較的、高齢者が多くなっています。本当に支援活動の実効性の担保ができるのかどうか。そのあたりが非常に難しいのではないかと考えています。また、私たち支援活動の中で、聞こえない人、ろうの人、中途失聴者、難聴者等にもいろいろ聞いてみたのですが、要援護者の名簿登録をした人が非常に少ない。届けている人が非常に少ないという実態がありますので、登録制度について、行政としての呼びかけ、周知をどの程度やっているのか。地域の格差が大きいと感じています。

それと、この申請の登録用紙、いろいろな行政の用紙を見ました。比較してみましたけれども、申請する人の情報、住所、年齢、名前等の申請がありますが、その人にとって必要な支援とは何なのか、必要な配慮とは何なのかという項目がありません。もし災害が起きたときに、必要な支援方法について確認をして、必要な人を配置するという方法ができるのかどうか。例えば聞こえない人の場合には、コミュニケーションバリアを抱えています。登録者に聞こえない人がいた場合、民生委員が配置されたとしても、コミュニケーションがとれない、そこに支障が起き、本当に支援ができるのかどうかという非常に難しい問題に直面しております。そういう実態を見ました。こういった制度を根底から洗い直す必要があるのではないかと考えています。そのためには、地域のあらゆる団体、また障害当事者の団体も一緒になって、その制度をもう一回つくり上げていく、そういう審議する場所をつくっていくことが必要だと思います。それをお願いしたいと思います。

個人情報ですから、メンテをきちんとやっていけるような方法、そのことを頭に入れた上で対策を講じることが必要ではないかと、あえて意見を出させていただきました。

以上です。

藤井議長代理 新谷委員、お願いします。

新谷委員 新谷です。

質問ではなくて意見になりますけれども、結論から言いまして、平成18年3月に策定された災害時要援護者支援ガイドライン、これは早急に改定する必要があるというのが意見です。

このガイドラインを読んでいただくと、ほとんど大切なことは全部書かれています。だけど問題は、なぜこのガイドラインが実行されなかったか、自治体で共有されなかったかというところは、やはり考えを入れて、ガイドラインをもう少しリアリティーのあるガイドライン、実行可能なガイドラインに早急に改定しないと、立派なガイドラインはある、あるけれども実行されなかったということがまた繰り返されるのではないかと思っています。

実は、1月31日に中央防災会議の避難の在り方専門研究会があって、私はそれの委員になっていますので、1月31日に、それに参加して何か言わないといけないのですけれども、3月11日の震災の後、その専門委員会はずっと開催がなく、ようやく1年たって開催になるわけです。だけど、その専門委員会は大学の先生とか、そうそうたる専門家がずらっといまして、障害当事者は私ひとりです。だから、ガイドラインというのは、こんな分厚いのがあるけれども、これを決めるときに、障害者とか高齢者とか、いろいろな人が入ってこの内容を決めたのですかという、そもそも論を言い出すような雰囲気がないので、どういうふうに意見を出していいのか、非常に躊躇するのですけれども、少なくともこのガイドラインを本当に実のあるものにするためには、当事者、高齢者もいるでしょう、それから妊婦の方もおられます、いろいろな方がおられますけれども、そういう人が入った研究会を早急に立ち上げないと、また同じことが繰り返されるのではないかという懸念を持っています。

こういう要援護者名簿の一番大切なのは、恐らく、震災が起こった後も大切かもわかりませんけれども、起こる前のいろいろな情報ネットを整備して、自主的な避難活動に非常にサポートになるような名簿活用が非常に大切だと思うのですけれども、南相馬市の御説明ではそうだったのですけれども、実際には、名簿はつくった、そこで終わってしまって、名簿登録者の何らかの情報交換、例えば避難訓練の情報発信とか、そういうことをやったというような自治体というのは余り聞かないのです。私は2年前に登録しましたけれども、2年たって、1度も居住区から災害情報が来たことはないのです。登録しっ放しなのです。恐らく多くの自治体の実態は、名簿はあるけれども、それを活用した何か訓練なり、情報の交流なり、そういうことには使っていない。つくったということで終わっているのではないかと思います。そういう問題点も含めて、どの場でこの議論をしていいのかちょっとわからないですけれども、避難の在り方研究会がそういう場になり得るのであれば、31日にいろいろな意見を出したいと思いますけれども、恐らく発言の時間もないのではないかというふうに恐れています。

以上です。

藤井議長代理 時間が参りましたので、このコーナーは終わります。第2コーナーから第4コーナーのところにまたがって、ダブってきますが、関口さん、このコーナーだけの話になりますか。もしあれだったら一言だけ。

関口委員 このコーナーに関連した話だと思うのですけれども、今、お話を聞いていて、災害時の緊急の要援護者名簿と日常的なものというのは分けて考えた方がいいのではないかという御意見がありました。僕もそのとおりだと思います。というのは、私は中野区に在住しておりますけれども、先日、手帳を多分根拠として、手挙げ方式でもって登録しないかというのが来まして、私は結局登録しましたけれども、精神の場合は手帳を持っていない人もかなりおります。自立支援医療は受けているけれどもという方です。

問題は、例えば中野区が丸ごと焼けるということがあり得るわけです。中野区は道路が狭いので、地震が来たら燃えるのではないかと。そうすると、中野区に資料がなくなってしまうわけです。問題は、手挙げ方式でもってそれを自治体から、例えば中野区の場合は町会におろすのですけれども、実際に動くという町会は11町会しかない。百十何町会あって11町会。つまり1割に満たない町会が協力的なのです、要援護者名簿に対して支援するということに関して。

民生委員、民生委員と皆さんおっしゃいますけれども、民生委員は御承知のとおり、高齢化もしていますし、大変お忙しい。そうしたときに、本当に頼れる地域のリソースがあるのかという問題がまず第一にあると思います。

それから、もし中野区が丸焼けになるような状態になるのだとしたら、緊急時のそれを東京都の方にあらかじめ預けておく。つまり僕の言っているのは、中野区が掌握している自立支援医療も含めたものを東京都なりに委託して預けておくということが必要なのではないかと思います。

福島県の場合、僕が聞いた範囲では、まず最初に自衛隊が全部ローラーをしたというところで救われるのですけれども、そういうことがないと、例えばその後で精神障害なんかの方のところに行くと、何しに来たということになってしまうのです。僕ら病者集団の運営委員会の中でも議論が起きましたけれども、名簿の提出はいかがなものかみたいな話がありまして、精神はそれだけやはりトラウマが強いのです。ですから、本当に緊急時に動ける名簿は、例えば中野区役所が全部壊滅したとしても、どこぞにあるということを担保しておかなくてはいけないし、もう一つ、手挙げ方式でやるときは、実際に地域でもって支えていくというものが担保されないと、1割に満たない町会だけが頑張るということでは、これは話にならないわけです。残りは全部、民生委員と警察と消防だみたいな話では、ちょっとこれはどうにもならない。その辺のところを言いたかったのです。

藤井議長代理 今日のこの議論というのは、1コーナーから4コーナーまで、ベースにありますのは、NHKや毎日新聞のデータであります、障害者の死亡率が一般人口の2倍であると。つまり、障害ゆえに犠牲になっている。この「障害ゆえに」が一番のポイントだと思うのです。

第1コーナーのまとめとしましては、「災害時要援護者に対する取り組み」ということだったのですが、大変ショッキングだったのは岩手の報告です。あの大津波からしますと全く無力であったと。この名簿にしても、マッチングにしても、むしろ共倒れということがあって、全く無力であった。これをどう見るのかというのは、これはまず大きい問題。多分、原発のときと同じでしょう。

その上で更にあったのは、災害時要援護者名簿のありようということ。久松さんからは、実際に来た欄を見ると、私も見ました、本人のニーズを書く欄はないのです。そもそもあの申請書がどうなのかだとか、あるいはふだんからの信頼関係と、清原さんから出たマッチングも含めて、名簿の在り方をもう一度この際、根本的に考えていこうというのが1つ。

もう一点は、個人情報保護法あるいは自治体の個人保護条例、これと行政が保有する情報の公開に関する法律。このせめぎ合いですね。ここをどういうふうに見るのかという問題です。この辺がいずれも大きな問題として、少なくとも、今度の大震災ではむしろ有効ではなかったという辺りが強調されたように思います。

以上、このコーナーはこれで終わっていきますけれども、また連関していきますので、第2コーナー以降に続きますから、もし発言できなかった方は、そこで御発言のほどをお願いいたします。

それでは少し時間をオーバーしましたけれども、これから14時10分まで休憩に入ります。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、第2コーナーを再開させていただきます。

第2コーナーは、「安否確認と支援ニーズの把握について」と題しまして、先ほどと同じように、順番に御報告をお願いいたします。

それでは南相馬の西浦さんからお願いします。

西浦氏 それでは、安否の確認と支援ニーズの把握について御報告いたします。

災害時における安否の確認や支援ニーズの把握につきましては、市民の生命と安全を守ることから、行政の責任と考えております。しかし実施に当たりましては、障害団体や事業所等と連携し、速やかに行動する体制を構築していくことが肝要であるというふうに考えておりまして、「南相馬市自治基本条例」におきましても、「市は、災害などの不測の事態から市民の生命、身体及び財産を保護するよう努めます」ということをうたっておりますので、当然のことというふうに理解しております。

それから、「福祉関係者による確認と行政との連携について」の中での情報開示についてでありますけれども、今回、NPO法人さぽーとセンターぴあ、JDF被災地障がい者支援センターふくしまからの開示の要望がありまして、「緊急やむを得ないため開示ができないか」という観点から、個人情報の開示について、内部で検討した結果、南相馬市個人情報保護条例の特例を適用しまして、障害者の生命、身体及び財産を守るため開示をすることが適当との判断により、今回、2,796名分を開示したものであります。

それから、入所、通所のサービスを利用していない方の安否確認についてですけれども、サービスを利用していない障害者のうち、身体・知的障害者につきましては、情報開示を行い、NPO法人さぽーとセンターぴあ、JDF被災地障がい者支援センターふくしまの支援協力により、在宅でおります590名の安否確認を行っていただいたところであります。精神障害者につきましては、精神通院医療受給者を対象に、市や県の保健師の協力をいただきながら、精神科治療の継続がなされているかどうかという切り口で、在宅の235人、27.7%を対象に安否確認を行ったところであります。

先ほど、新谷委員さんからもありましたように、平成18年3月に策定されました災害時要援護者の避難支援ガイドラインにつきましては、本当に恥ずかしいことですけれども、私ども担当する部門におきましても、この存在さえわからなかったということであります。後で知ったことでありまして、このことについて、きちんと掌握していれば、開示なり、名簿なりについては、きちんとした対応ができたものと思っております。県の出先機関に聞きましても、障害者担当に聞きましても、存在を余りよく理解していなかったという状況でもありますので、今後の課題というふうに考えております。

以上です。

藤井議長代理 皆様方も注目していますので、ここでもう一言付け加えてほしいのは、恐らく岩手、宮城、福島の3県で128市町村があるのですが、南相馬市だけが唯一情報を開示した。あえて質問しますと、これの功罪、メリット・デメリット等あれば、もう少し踏み込んでいかがでしょうか。

西浦氏 まず、地震、津波が3月11日に起きまして、12日に原発事故が起きました。水素爆発が起きまして、すべて避難したわけであります。私どもは、市が、新潟県や山形県、群馬県に避難を誘導したわけですけれども、その3日後、4日後に、どんどん当事者から市役所の方に電話が来たのです。それはなぜかといいますと、避難できなかった方がいっぱいいたというのです。そのほとんどが高齢者、障害者、要援護者と言われる方でありまして、避難したくてもできないのだということ。そういうことから含めて、更には、具体的には人工透析患者に、「病院がすべて避難しましたので、3日後には人工透析を受けないと私どもは命がなくなるんですよ」と言われたのです。これには参りました。近隣市町村にも電話して、病院にお願いしたのですけれども、新規患者は受け付けないというような回答なのです。それは、やはり薬が届かなかった。放射能の風評被害もありまして薬が全然来なくて、新規患者は引き受けられないということです。そういう状況もありましたことから、今回は、障害者、要援護者の命を守るために開示したものでありまして、全国からJDFさんの仲間、皆さんが多数来られまして、一人ひとり、ニーズ調査をしていただきました。安否確認をしていただきました。

確かに、開示については異論もありましたけれども、こういうときに個人情報保護法の特例措置を使わないで、いつ使うのかということで、そういうことから開示したものであります。開示したことにより、訪問を一人ひとりしたことによりまして、非常に安心した、私どもは見捨てられなかったのだと。そういうことからまずスタートしまして、今は、ニーズについて把握しまして、その1軒1軒に支援物資などが届いた経過もありまして、多くの命と多くの安心をした方が出てきたのかなというふうに思っております。

以上であります。

藤井議長代理 それでは、宮城支援センターの小野さん、お願いします。

小野氏 資料の4ページから5ページにかけて、その点についてまとめてあります。先ほどの、要援護者に対する取組みと重複する部分もありますが、宮城においても、被災者の安否の確認は極めて困難でありました。宮城県の紹介状を持って、被災地の自治体、特に沿岸部の自治体を訪問して回りましたが、要援護者、障害者手帳所持者の情報の開示を得ることはできませんでした。その結果、避難所や、または指定避難所とされていない障害者施設等に自主的な避難をしている人たち、そういったところを個別に訪問をして、安否の確認をしていく。その結果、宮城支援センターとして把握した障害のある方とその家族の安否状況で言えば1.600人でした。

この点について意見として言える点は、気仙沼市が震災直後、10日たってから、住民台帳を自治会長、民生委員さん、ボランティア等に開示をして、全住民の安否確認をしました。先ほど、南相馬の方からの報告にもありましたが、個人情報の法律にせよ、条令にせよ、生命や財産の危機に関わる場合には開示ができるというふうになっています。そういう点では、今回、沿岸部は自治体丸ごと被災をしていますから、そういった情報を、外部からの支援者を巻き込んで、早急な安否確認ができるような仕組みをつくるべきだと。特に、そのガイドラインに沿って言えば、まずその被災地、地元の県のイニシアチブで、外部支援員の受け入れ態勢、窓口をつくるなりして、そこを拠点に、被災された障害のある方の安否確認をする、それを外部の支援員たちが行う、そういうふうなところまでを想定したガイドラインにすべきだろうというふうに思います。

藤井議長代理 小野さん、1,600人の内訳ですが、多分後で出てくる論議の中で、施設を利用している、事業を利用しているという方と在宅が二分されて、在宅の方についての安否情報が得られにくい。この1,600の内訳はわかりますか。

小野氏 ここではちょっとわかりません。ただ、1,600の中には福祉施設利用者の方もいますが、大半は避難所、福祉避難所、自主的な避難所で生活している方との対話件数になります。

なお、補足ですけれども、幾つかの自治体では、情報開示はされませんでしたが、台帳を基に、保健師さんやケースワーカーと同行しながら訪問して調査をしたという自治体もありました。

藤井議長代理 それでは岩手支援センターの小山さん、お願いします。

小山氏 安否の確認と支援、ニーズの把握の責任主体とその体制についてというところですけれども、個人的には、どこが責任主体となっているかが、いまだ見えておりません。障害のある方の部分では、県の方で、各県域の相談支援専門員のほか、岩手県が、被災の大きかった地域に、県職員や内陸部の相談支援専門員を中心に、4月から6月まで、障害者相談支援センターの出張所のようなものを設置しております。この間、安否確認のほか、手帳の再発行等、公的手続の支援を行って、それと併せて安否確認、現状と支援ニーズの把握等を行っております。

高田の部分では、庁舎の全壊流出により、先ほどもお話ししましたけれども、全データが消失しております。データのみならず、多くの職員の方も犠牲になっておりました。そのような中、市民の生存安否の確認作業を、県職員や全国から応援いただいた市町村職員の方々とともに、ローラーをかけて行ったそうですけれども、その際には、その方が障害をお持ちの方か否かというふうな観点では行われなかった部分で、その後、県がつくったセンター等の最終的にデータの整理ができていないような状況に現在もあります。そのため、9月のNHKさんの取材のあの結果だったり、毎日新聞の部分で、岩手県では、陸前高田市だけが障害のある方の実態の数字がまだ出ていないというふうな状況にあります。

岩手県で設置した相談支援センターの安否確認も、最終的に確認できなかった方がどのような状況にあるかという部分、追跡調査が行き届いたかといったところで、その地域によって、かなり差があるように見受けられます。結局これは、安否確認をしたデータを総合的にだれが責任を持って集約するのか。その作業を、自ら被災して、かつ自宅や家族を失ってしまった状況にある被災自治体の職員に求めるのか、県がそれを責任を持ってフォローするのかといった部分に、あいまいな部分があるので、いまだそのような状況にあると感じます。

情報開示の部分に関してなのですけれども、資料7の4ページと5ページに、岩手県の課題というふうな形で述べさせていただいております。

地元の自治体の方からは、災害のレベルに応じた開示が必要ではないか、その度合いで必要な支援があると考えるといったお話をいただいております。命を守るといった観点で考えた場合、今回の被災状況下では、行政機能も麻痺し、動ける人間がいないため、現在も支援の手が及んでいない方もいらっしゃいます。昨年6月4日の読売新聞の、「障害者の安否確認進まず 個人情報保護法が壁」といった記事で、南相馬市さんと岩手県が情報公開をしたというふうな形があったのですけれども、実際、私たちのような支援団体が岩手県の方に話しても、情報開示の方は行われませんでした。そこで情報開示を行ったというふうな話をするのであれば、それが特定の団体といった状況には、個人的には疑問が残ります。

私たちは、支援が必要な方がいらっしゃるので支援に入っているのと、なかなか行政の方でフォローがなされていない方がいるので、私たちが入っていると思うのですけれども、きちんと情報開示をしなくても、行政のところでフォローできる体制というのを取っていただいていれば、私たちはいつまでも被災地にいることはないのかなというふうには思っています。

沿岸部なのですけれども、小規模自治体の優位性という部分で、その方を見たら、どこのだれさんで、どのような支援が必要かなといった部分、スケールメリットがあったのですけれども、今回のように、自治体の職員さん4分の1が被災されたような状況下では、やはり顔を見て判断をするといった部分も難しいですし、田舎ゆえ、「私は障害があるのです。支援が必要なのです」というふうに、なかなか言えないような地域でもありますので、どこに支援の必要な方がいらっしゃるといったことは、外部から応援に入った自治体の職員さん方も把握するのは難しく、結局、そこら辺の部分でいまだ十分な支援が入らないといった方がいらっしゃるような状況にあります。

以上です。

藤井議長代理 白石さん、お願いします。

白石氏 第1のコーナーでも述べましたけれども、福島県は原発の被害によって、行政ごと、町民が、村民が、全避難というような状態でありまして、やはり行政としても、障害者の実態を把握することができない状態がまだ続いています。私たちが支援センターとして、福島県内の各地の避難所を回って町民の安否確認をしてきましたけれども、避難所にも余り、障害者の存在がない状況でした。それから借り上げ住宅、みなし住宅のところも回ってみようということで、回り始めたのですけれども、福島県の方から待ったがかけられて、プライバシーの問題があるので、そこまではしないでくれというようなところがあって、中途で安否確認が止められてしまったということが一部ございます。まだまだ、どこに障害者がいるのか、全然わからない状況が続いております。

情報開示についてですけれども、福島県の行政と、また民間の団体や、民生委員さん、町内会長、町内会の人たちも含めて、我々、障害者団体が前に立って、是非とも、大災害とか、こういう災害が起きたときには、いち早く、障害者を支援する体制をつくろうということで、各地方自治体で、あるいは国が提案してもいいのですけれども、そういう形で、全国の各地方自治体で、そういう障害者を支援する体制をつくり上げていくことが望ましいのではないかと思います。我々がここでちょっと気になったのは、福島県だけではないと思うけれども、東北全体としても、福祉サービスをまだ受けていない障害者がたくさんいるのです。そういう人は、どこともつながりがないので、どこに行ったかわからないというような状況もまだまだあります。そういう人たちも含めて、どういうふうに支援していくかをやはり問題としてとらえて、解決の方向を見つけ出していかなければならないと思います。

以上です。

藤井議長代理 それでは八幡さん、お願いします。

八幡氏 幾つかダブるところもあるのですけれども、実際に安否確認という場合の、安否確認の内容が非常に難しい。といいますのが、安否確認と言って、最初は大丈夫と言っていた人が、例えば親戚の家に行って、1か月後、ノイローゼになって入院してしまうというような状態もあって、その時々で、大丈夫であったり、大丈夫でなかったりということがありますから、私たち自身は、全部、個人カルテという形に置き換えて、何度も何度も、その中で出てきたニーズというのが相当あります。

それから、支援ニーズというときも、あの地域は本当にヘルパー事業所が社協しかない、それから身体系のサービスがないというところであきらめているので、震災以前からあるようなサービスについてはどうするのだとか、例えば移送サービスがあるといっても、実際にそれを1回だけするならいいですけれども、ずっとやり続けることができるのかということがあって、最初、私たちが入り込んだときに、寝た子を起こすなというようなことも随分言われて、実は出入り禁止になった自治体が幾つかあります。

そういうふうなことも含めて、新潟のときは先ほど言ったように、かなり大量の県内の人たちを、無償でも、とにかく動けということで、毎日10人ぐらい入れたというようなことがあるので、責任主体として、だれが、どういうふうなことをするのかというような地元の意識がないと、なかなか外部だけでは入りにくいという問題があります。

先ほどの岩手の陸前高田というところで言えば、名簿そのものは内部で開示している。南相馬の、いわゆる精神の関係と同じように、内陸部の人たちをかなりの人数やって、陸前高田から大槌まで、ずっとやっているということがありますけれども、現実には、我々が入り込むと別なニーズが出てくるというふうなこともありまして、行った人によって、聞いた人によって、支援ニーズの出てくる内容がかなり変わってくる。とりわけ、入所系が強いところでは、在宅系のサービス(の要望)というのは地元の人から出にくいという話もありまして、そこら辺をどういうふうに解決するのか。

それから、私は、これは政府のガイドラインが出たときも言ったのですけれども、結局、障害者支援センターという位置付けがないと。先ほども言ったように、私が大阪市でやっているのは、自立支援協議会を中心に、区民ホールを利用して、実際に障害者支援センターをつくろうというふうな実践などもやっていますけれども、地元の人たちが、いろいろな関係団体が寄り添って支援センターをつくるということがないので、今回、JDFさんとかなり協力しながら、地元の人たちともやったのですけれども、行政の責任主体となるところがないので、そのニーズを続けるときのお金の問題とか、人の問題ということで、我々外部から入った人間は相当に苦労をしている。行政として、地元なり県なりで人を集めて、もっと人が来ないのか。南相馬は、確かにニーズは把握したけれども、地元で人を雇おうと思っても、いまだに人が雇えない状態で、日中活動を本当はもっとすべきなのに、できていないというようなことがあります。

ですから、どういう支援ニーズまでは拾い出そうという方針と、だれが責任を持ってやるのかということと、その体制のつくりについてどのような形で人を集めるのか、この3つが一体になっていないと、なかなかこれは難しい問題ですが、最低限、行政としての責任主体を、まず柱をつくっていただかないと、我々、民間レベルの人間は、特にこんなに広い部分で言うと、全部できるはずがありませんので、そちらの部分での障害者支援センターというものをはっきりしてほしい。いまだにみなし仮設住宅、いわゆるアパートにいる人たちの情報開示がないので、避難所というか、仮設住宅のプレハブよりも、どうやら、みなしの方が障害者はたくさんいるらしいという情報が、一部手に入っています。この点については、まだまだ安否確認も支援ニーズの把握もできていない状況だということなので、こちらについては、先ほど言ったように責任体制をはっきりさせて、早急に名簿の開示というのが必要だというふうに考えています。

以上です。

藤井議長代理 それでは委員の方たちからまた質問、意見を受けますが、恐らく数人になるかと思います。極力発言していない方など、順番にと思うのですが、いかがでしょうか。

尾上さん、川崎さん、勝又さん、土本さんの順番で参ります。では尾上委員、お願いします。

尾上委員 大変な状況の中で、御報告ありがとうございました。

特に幾つかお聞きしたいことがあるのですけれども、南相馬市の方の資料の5、1ページのところに、南相馬市では、「災害時における安否の確認や支援ニーズの把握は、市民の生命と安全を守ることから行政の責任と考える」というふうに、はっきり言い切っていただいているのですが、どうやら、今、ほかの地域の報告を聞いていると、なかなかほかの自治体が、この認識を共有できていないところがあるのかな。ここで糾弾をするために言うというよりは、こういう状態をどう変えていったらいいのかということを、是非、もう少しお聞きしたいのです。

個人情報保護の問題というのが、すごく錯綜しているように思うのです。つまり、それを開示して、障害者団体、例えば私たちの団体の機関誌を送り付けるとか、そんなために情報開示してほしいとか言っているわけでも何でもなくて、その方々の、本当に命を守る、そのことを少しでもお手伝いできればということで言っているのが、伝わっていない。本来それは、そもそも行政がやることを、こんな大変なときだから障害者団体も手伝いましょうということでの議論でないといけないのが、主体と客体がさかさまのような感じがしていて、非常に違和感を感じて、ずっと去年からの救援活動に携わっていたので、南相馬市のこの認識というのが、どうやったらほかの地域にも広がっていくかということで、ちょっとヒントをいただければと思っています。

特に、資料があちこちで申し訳ないですが、例えば参考資料3、これは私どもが福島の方に行ったときに、福島県からいただいたデータです。この参考資料3の7~8ページで言いますと、「福島県浜通り地区の障害(児)者施設の状況」ということ、あるいは、「障がい(児)者施設の被害状況」ということで、入所施設や、そういった施設の関係の被害状況は比較的県の方も把握をされてきているというふうに感じるのですが、一方、やはり在宅におられる方々の安否確認や実態把握、ニーズ把握が、震災から10か月以上たっている今も、十分されていないなという感じがしています。これはなぜなのかということで、例えば国の方で、在宅にいる障害者の方の実態把握を各自治体でやってくださいということになれば、もう少し、今、南相馬市が書かれているようなことが広がるのかどうなのか、そこら辺を、南相馬市の方と、それぞれの自治体とこの件をめぐって折衝されてきた方の御意見をお聞かせ願いたいと思います。

それと、ゆめ風基金、八幡さんの方は、阪神淡路大震災のときからずっと活動されていると思いますので、たしか神戸市とかは、震災後、1週間後ぐらい、2月上旬ぐらいに、NGO団体にも、そういう安否確認の協力をしてくれというふうなことで、協力要請をされて、それで十分だったかどうかというのはありますけれども、少なくとも、震災後3~4か月後ぐらいには大体把握はされたなと思います。その違いがなぜ出てきているのかというのを、阪神淡路とは勿論、規模とかが違いますから一律には言えないですけれども、その両方に携わられた立場からサジェスチョンをいただければと思います。

以上です。

藤井議長代理 それでは大変時間が切迫していますので、結論からお話しし願いたいのですが、川崎さん、勝又さんと順番に参ります。川崎さん、お願いします。

川崎委員 精神障害の家族会の川崎です。どうも御報告ありがとうございます。

実は私も、現地に入りまして感じましたことは、行政と関係者団体との本当に連携が取れていない今回の安否確認ということが、大変に浮き彫りにされたと思っております。行政の方では、要援護者名簿ということですけれども、精神に限って言いますとなかなか名簿に入っていないという例で、今回、支援者団体の方が一つひとつ訪問されているということを、本当に強く、ありがたく思っているのです。行政の南相馬の方にお伺いしたいのですが、やはりこれから行政と関係団体、支援団体との連携を取る、どのような仕組みが必要であるか、どのような方法があるかを少しお聞きできればと思っております。

以上です。

藤井議長代理 それでは勝又委員。

勝又委員 勝又です。

私がお聞きしたいことは、行政といいましても、基礎自治体と県のレベルでどういうふうな役割分担をすべきかという先ほどのお話があったのですが、それについてもう少しうかがいます。例えば小野さんのお話ですと、実際のところ、宮城県の紹介状を持って個人を訪問したけれども、それが余り有効でなかったというような印象うけるお話を伺いました。それなのにもかかわらず、今後は県がイニシアチブを取ってやってもらいたいというような御意見がありました。また、小山さんの方から、「どこが安否確認等の責任主体なのか」というお話もあったのですが、県と市町村の間の役割について、どういうことをお感じになって、どういうふうな改善点があるとお考えか伺いたいと思います。

藤井議長代理 それは西浦さんに対してですか、勝又さん。

勝又委員 小野さんと小山さん、お2人に。

藤井議長代理 わかりました。そうしたら3人出ましたので、まず尾上さんからは、特にお2人、ほかの方も含まれるかわかりませんが、第一義的には行政、基礎自治体の責任だということ、これはそのとおりだと。他の自治体にどうやって、こういう考え方を知ってもらうか、あるいは広げていくのかという点での御見解ですね。同じく神戸でのことを含めて。これは八幡さんに対してですね。

それから川崎さんからは、民間団体と行政とのふだんの、日常の関係性が問われているのだろうと。この辺について、西浦さんはどのように考えますか。

それから勝又さんから、小山さんと小野さんに。これは基礎自治体と県の関係で、これについても、民間の方からもし意見があったらということだと思うのですが、西浦さん、いかがでしょうか。

西浦氏 川崎さんの、行政と民間作業所とか保護者、当事者との連携でありますけれども、私は今日来る前にも、作業所、就労Bを回ってきまして、どういうふうな悩みとか、直後には避難をどういうふうにしたとか。ある精神障害者の作業所では、県に、どこに避難したらいいかと聞いたら、明確に答えられなかったというふうなことを聞いて、そういうことはあるのかなということを、私は実際思ったのです。ですから、私どもは極力、当事者との話し合いなり、常にそういうふうな信頼関係を築くべきと思っておりますので、やはり担当も含めた意識の改革が一番必要なのかなというふうに思います。行政ということで敷居を高くするのではなく、行政側からすぐに行って話し合うような関係を常時私は築いてきて、信頼される関係があったからこそ、情報開示もできたのかなというふうに、今は思っております。

藤井議長代理 西浦さん。尾上さんの質問で、こういう考え方をこれから他の自治体にやはり持ってほしいということだと思うのですが、その場合、どんなふうにしたらできるのだろうかという、少し言いにくいかもわかりませんけれども、この際、他の自治体へのアドバイス、いかがですか。

西浦氏 個人情報保護法につきましても、条例につきましても、利益的なものを誘導しないための生命、財産については開示することが位置付けられておりますので、それは躊躇することなく、行政の責任として守るべきものだというふうに、南相馬市の場合は、自治基本条例にもきちんと明言しておりますので、それをやることが仕事だというふうに私は考えております。そういう意識を持ってもらうことが一番大切でありますし、先ほど言ったガイドラインについても、割と皆さん、知っていないのです。担当者も含めて、県も市町村も。一方では、これは内閣府と消防庁と厚労省、三者で出したガイドラインなのですけれども、周知をしていないのではないか、受け手側もあるのですけれども、そんなことも感じております。これがきちんと周知してあれば、ある程度、今回のような災害であっても、うまくいった例が出てくるのではないかなというふうに思っております。

藤井議長代理 それでは、時間がないのですけれども、小野さん、小山さんから、先ほどの質問への見解があったらお願いします。

小野氏 宮城支援センターを設置した際、その活動をスタートしたときに、宮城県は相当、協力をしていただきました。紹介状を作成して、ファクスで届けられない基礎自治体、沿岸部の自治体には、県の職員が走ってその紹介状を届けてくれたり、いろいろなデータも県からいただきました。ただ、先ほど申し上げたのは、被災されている基礎自治体が全く避難者の支援で手いっぱいになっている。データも流されている。自治体の基礎的な機能を発揮できない状況の中で、安否確認を基礎自治体任せにするというのは無理な話で、そこはやはり県が窓口になって、外部のボランティアや専門家をコーディネートして、安否確認や要援護者の把握支援をするという動きをつくる役割が、やはり県にはあるだろうと。協力はしていただいたのですが、かたわらで見ていると、やはり調整機能に徹していたという感じがしてなりません。

私が出した資料6の9ページ、仮設住宅のところで、県と市町村の差が出てしまうのですが、例えば仮設住宅のところで、当該市町村に設置されている仮設住宅はいいのですが、その他の市町村に設置している仮設住宅が、名取市、女川町、気仙沼などにありました。これらは、結局、入居してから、障害のある人や高齢者は改装したいのです。けれども、住民票所在地ではない仮設住宅については、介護保険や自立支援法を使って住居の改装工事ができない。そのことがひっかかって、暮らしにくさを残した。

それから、右側の応急仮設住宅、これが先ほどから出ているみなし仮設住宅ですね。民間のアパートや借家を借りて、4人世帯で月6万円の家賃補助が出ます。むしろ、こちらに住んでいる方が多い。先ほど八幡さんもおっしゃいましたが、重度の障害のある方や重い精神の方は、むしろみなし仮設住宅に住んでいる方の方が多いです。けれども、市町村は、だれがどこに住んでいるのかを把握していません。なぜならば、この応急仮設住宅の家賃補助の申請手続は県が責任を負っています。県と国が仮設住宅の整備の責任を負っているため、情報はすべて県が持っている。この申請件数と入居決定件数の違いというのは、家賃補助を出すか出さないかが決まった件数の差なのです。そうすると、県がみなし仮設住宅の情報を持っていますから、そこに要援護者がどういうふうに暮らしているのかは、県が出さない限りはわからないのです。そういう県と基礎自治体の役割分担のところで、こういう緊急時、避難時、被災時には、もっとスムーズに指揮系統がとれる体制を取るべきだと思います。

藤井議長代理 では、小山さん同じく、いいですか。

小山氏 岩手県の沿岸の自治体のところで、陸前高田市と大槌町の方が、庁舎を含めてすべて全壊というふうな形だったのですけれども、そこでは障害のある方のデータもすべて流されていますので、先ほどお話ししたように、県の方から相談センターが設置をされて、そちらの方で、障害のある方のフォローをしたというふうな形になっております。

ただ、障害手帳保持者のリストが県から自治体の方におりたのが6月だったので、6月までは、被災自治体の方では障害のある方のデータは一切なかった。県の相談支援センターが役目を終わった後に、安否確認を取れたのは、すべての部分ではなくて、避難所にいた方と手帳保持者を合わせた部分での確認だったのですけれども、確認を取れていないところを、ではだれがフォローするのかといった部分で、いまだなされていないところがあります。実際、庁舎もなくなってしまった自治体に、まず責任を持ってやりなさいというふうにはとても言えないので、その分では、県の方でしっかり責任を持って、最後までフォローをするべきなのではないかなと感じております。

以上です。

藤井議長代理 白石さん、後でまたお話ししていただきますので、先に質問があったので、八幡さんいいですか。お答えいただけますか。

八幡氏 今回と阪神淡路大震災のときは、2つの違いがあって、1つは、障害者団体と市町村が毎年のように、かなり頻繁に意見交換をしているということがあって、そういう部分での行政の理解があったということが1つ。

2つ目に、やはり個人情報保護条例というのがありませんでしたから、緊急時はとにかくできることは全部していこうというような形で、それが出てきたというようなことがあります。しかし、個人情報以外にも何か、とにかく一番感じることは、前回のときには、市町村のいわゆる課長レベルで、やるしかないというような、そういう気概があったのが、今回、沿岸部をずっと見て感じることは、国の指令を待っているとか、県の指令を待っているとか、自分で判断しない職員が多い。上の方にお伺いを立ててから実行する。これが一番大きな違いかなというふうに思っています。

もう一つ、同じように、今回動いていないのが、実は社会福祉協議会なのです。障害者支援には3~4か月ほとんど動いていなかった。瓦れきばっかりして。これほどボランティアセンター、社会福祉協議会が障害者のニーズの把握に努めなかったのも珍しいというふうなことがあります。

それともう一点、揚げ足を取るわけではないのですけれども、先ほどの南相馬の資料を見ても、応急仮設住宅とか、みなし仮設住宅も含めて、災害復旧費で改善をすべきはずなのに、それがなぜか、自立支援法とか介護保険の、そういう日常生活用具で改装している。これも沿岸部のほとんどの自治体が誤解をしていることで、なかなか言っても改善されないというようなことが多くて、こういうふうな国の通達も、現場はやはり混乱しているせいもあるでしょうが、きちんと見れていないという実態も今回、浮き彫りになっています。

ですから、自分でやるというところは、見なくてもやるぞというふうな形で交渉してくれるのですけれども、上のお伺いを立てているところ、ましてや、その文書もきちんと見ていないはというのは、非常に言い方は失礼ですが、僕らとしても非常に困ったことがありました。

以上です。

藤井議長代理 それでは、時間も過ぎてはいるのですが、このコーナーでなくてはだめだという方いますか。

竹下委員 先ほどからずっと手を挙げています。

藤井議長代理 わかっています。ちゃんと当てます。ほかにいますか。土本さんもこのコーナーの方がいいですか。

土本委員 後でいいです。

藤井議長代理 山崎先生はこのコーナーですね。

山崎委員 その方がありがたいです。

藤井議長代理 松井さんもこのコーナーですか。

はい。

藤井議長代理 では、竹下さんからいきましょう。

竹下委員 済みません。まず、2つの質問をお願いします。

1点は、南相馬市が情報を開示したということで強調されているけれども、少しそこに誤解があると僕は思っています。岩手県も一定、情報公開で動いていますし、宮城県もやっています。ただ、そのやり方が違っているということではないかと思うのです。

そこでお聞きしたいのですが、南相馬市も含めて、どういう支援団体に、どういう方法、あるいはどういう制限付きで、情報を公開することが適正で効果的かということについて、意見があればお聞きしたい。というのは、やみくもに、無差別的に、すべての支援団体に情報を開示することにはならないと思うのです。その意味で、どういう団体に、どういう方法で、どういう制限付きで、情報公開することが有効か、適切かということについて意見があればお聞きしたいのが1点目。

もう一点は、安否確認は、初期段階には必要ですが、仮設住宅や避難所でのニーズ把握も非常に大事だと思うのです。刻々ニーズは変わっていきますから。そうすると、現在もそうなのですけれども、障害のある被災者に対して、各段階ごとでのニーズ把握の方法について、何か御意見があればお聞かせ願いたい。この2点です。

最後に、質問ではありませんが、先ほど、社協が何もやっていなかったという報告がありましたが、少し誤解があるのではないかと思います。私は社協関係者の1人なのですけれども、そうではないと思うので、どういう点から、その点の不満が出たのか、もし具体的に指摘がいただければ、持ち帰って報告したいと思いますので、発言しました。

以上です。

藤井議長代理 今の竹下さんの質問の相手は、西浦さんでいいのですか。

竹下委員 どなたでもいいです。

藤井議長代理 それでは、山崎さん。

山崎委員 ありがとうございます。割り込んで恐縮です。

先ほど来、都道府県と市町村の役割分担ということが、一般的にずっと、20分ほど議論されていたと思うのです。この話を伺っていて感じましたのは、国の役割というのは何だろうということでございます。こもごも、特に後半、八幡さんを中心に、判断待ちであるとか、あるいは権限がない。その前には調整機能に徹していたと、大変上品な御発言でございましたが、あともう一つ、内閣府とか消防庁、厚労省は、ガイドラインを出しているのだけれども、それが都道府県、市町村に伝わっていなかったのではないか。これは今後の大きな反省点だと思うのです。行政の方々は、基本的には法律による行政ですから、指示待ちというよりも、やっていいこと、悪いことは、やはり法律がガイドラインになっていますから、そこに根本的な欠陥があるかないかということが、伺っていて非常に気になりました。これはなかなかおっしゃりにくいことかもしれませんが、こういう機会ですので、国の制度、法制度や、防災計画も含めて、ここはやはり抜本的に変えるべきだということがあれば、是非お聞かせいただきたいと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 これは西浦さんへの質問ですね。

それでは松井委員。

松井委員 先ほど新谷さんがおっしゃったガイドラインというのと今のガイドラインが同じものなのかどうか。マニュアルとかガイドラインというのは、よしあしがあると思いますけれども、少なくとも、どういうときには、どこがどういう形で対応しなきゃいけないかということの明確化されたものが、当然あってしかるべきですが、ガイドライン等がありながら、なかなかそれが活用されていない、その辺の理由も含めて教えていただきたいと思います。

ありがとうございます。

藤井議長代理 最後、松井さんのあれでは、言葉の共通定義で、ガイドラインというのは、正式には「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」、平成17年3月に――国会の答弁では、平野大臣は平成17年と言っていますけれども、後で確認しましょう――でき上がっているということらしい。これは同じだと思います。

今、御質問が出ましたので、まず竹下委員からの2つの質問。これはしかし、西浦さんにお答えいただきましょうか。

西浦氏 それでは、どういう団体に開示したのかということでありますけれども、まず、地元のNPO法人さぽーとセンターぴあということで、かつて障害者計画作成等を一緒に進めてきた団体なのですけれども、その団体。それからJDF被災地障がい者支援センターふくしまの2つの団体に協力のお願いをしたものでありまして、開示に当たりましては、南相馬市とJDF被災地障がい者支援センターふくしまと、特定非営利法人さぽーとセンターぴあ、三者の連盟で、調査・協力のお願いという文書をまずつくりまして、その内容によって、訪問して御協力いただける方にまずニーズ調査なり安否調査をしましょうということで、話し合いの中で実施したものであります。

藤井議長代理 ほかにいかがでしょうか、今の件で。いいですか。

それでは、これも同じく西浦さんになると思うのですが、この際、国に対して率直にもし意見があればということだったと思いますが、いかがでしょうか。

西浦氏 災害時要援護者の支援のガイドラインにつきましては、恐らく国も県も、このような大規模な災害は想定していなかったということが一番でありまして、そのような観点から、このガイドラインの周知啓蒙などもきちんと行われなかったのかと。私ども受け手の側の責任もありますけれども、ただ、多くの方が、私も福祉関係を十何年やっているのですけれども、恥ずかしいことですけれども、わからなかった。こういうことをきちっと周知して、承知しておれば、幾らかでも今回の被災の中では支援ができたのかなというふうに考えております。

藤井議長代理 八幡さん、社協はどうですか。

八幡氏 これは全国社協の方とも、前も言っていて、実際に僕たちが、人手が足らずにお願いをしたら、「今はそういうことはできません、みんな同じですから」ということを言われました。そのことが何か所かで事実として断られたことがありますし、それ以外にも、この間、私は防災のことで、あちこち社協に行っていますけれども、派遣に行った職員さんの方からも、障害者の部門というのはなかったということで聞いています。たまたま出会ったということありますけれども、多くの方は、ほとんど障害者に出会わなかったという社協の職員の方が圧倒的多数であります。そういうことです。

それと、先ほどのガイドラインについてですけれども、もう一つのガイドライン、後から出てきます福祉避難所の設置運営ガイドラインも含めて、余りにも周知徹底を国がしていないので、障害者団体のメンバーでもほとんど読んだことがない。だから、自治体の課長さん、障害福祉担当者辺りだと、見たことないというか、頭に入っていないとか、そういうふうな状態だと思うのです。だから、今回を機に改めて、今からでも遅くないですから、防災のことをやればいいというふうには思っています。

以上です。

藤井議長代理 「災害時要援護者の被災支援ガイドライン」は、平成17年3月制定で、ちょうど1年後の平成18年3月が改定。これが正解らしいです。

時間が参りました。また次にもつながってまいりますので、ここで出ていましたことは、2つの把握と。1つは安否の把握。もう一点は、支援ニーズの把握。これは八幡さんからの話にあったように、この内容をもう少し僕らも吟味して、一般論としての被災とか、支援ニーズという、刻々と変わっていく中で、このとらえ方自身をきちんと、もう一度考えていこうというのがまずあったと思うのです。その上で、出ていましたのは、第一義的にはやはり基礎自治体の役割。ただ、それが壊れたときに県や国はどうするのかという、行政全体の連携と責任のありよう。これはやはりきちんと考える必要があるだろうと。

もう一点、これも何人かから出ていましたけれども、よく詰めて、まとめていきますと、こういう状況にあっても、障害者を支援する、市町村ごとの中心的な機能をきちんと打ち立てるということをしておかないと、外部が入るにしても、県の応援があるにしても、市町村ごとの障害者を支援する中心機能、これをどうするのかということです。

最後に、これくらい壊滅的な被害の中で、行政も壊れてしまう、機能が厳しくなってくる中で、民間、他のいろいろな自治体の職員、つまり外部から入ってくる場合の受け入れ方のありように関する日常の準備ということ、これがしっかりとないと大変混乱もする。こんなことが問われているのではないか。

全体を通して言えることは、言わば超法規的な中で、勿論行政担当者のやる気だとかが問われてくるけれども、こういったものを政策に落とす場合はどうするのか、これは議論が必要かもわかりませんけれども、こういったところなどもやはり考えなくてはいけない点なのかなと。これを1つのまとめにして、このコーナーを終わってまいります。

そうしましたら、少し時間は過ぎていますけれども、15時20分に再開します。よろしくお願いします。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、第3コーナーに入ってまいります。

このコーナーは「災害直後における障害者支援の仕組みの在り方について」の論議をしていきますが、予定よりも20分ほどオーバーしていますので、各自の報告文書を見ますと、大分、第2コーナーともオーバーラップしていますので、少し報告者は短縮していただくと助かります。

なお、先ほど「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」、これは第32回推進会議でも配付され、またホームページでも引っ張れますので、是非お目通し願えればと思います。

それではこのコーナー、「災害直後における障害者支援の仕組みの在り方」、西浦さんからお願いいたします。

西浦氏 「災害直後における障害者支援の仕組みの在り方について」の中での、避難所の在り方について、最初に、一般避難所の課題について申し上げます。

一次避難所につきましては、学校の体育館等がほとんどであります。身体障害者用のトイレがないところや、更には段差があったり、バリアフリーとなっておらず、障害を持っている方に対応できない避難所が課題となっております。なお、南相馬市につきましては、新潟県、群馬県、山形県等へ、28か所、7,760名、5月現在、避難しておられました。その28か所の避難所に対して、看護師、1避難所2名程度ですけれども、合計66名、それから事務職1名程度、33名、合計99名を常駐させて、今は一次避難所から二次避難所、それから仮設に移っている状況なので、だんだん減らしている状況にあります。

福祉避難所の課題でありますけれども、南相馬市では、障害者や高齢者に対応できる福祉避難所を設けていなかったことから、今後、福祉避難所を設けることが課題となっております。更には、福島県につきましては、福祉避難所の指定は、後からわかったのですけれども、しておりますけれども、実際に今回の震災、原発事故等では、福祉避難所に入った方はだれもおりませんでした。そういうことで、非常に対応不足な点が挙げられておりまして、私どもの南相馬市でも急遽、養護老人ホームを福祉避難所として対応してきたところであります。

以上であります。

藤井議長代理 それでは小野さん、お願いします。

小野氏 私の資料の5~6ページになります。まず、今回の震災直後に、厚労省が全国の介護施設、障害者施設等へ呼びかけて、応援職員の登録をしました。これ自体は迅速な対応で、大変評価ができると思います。けれども、結果として、応援職員が有効に被災地に派遣をされたというふうな結果には至らなかった。その原因は、最初に出た通知では、派遣職員の交通費、滞在費、人件費を被災地の受け入れ事業者が負担をするという内容でした。次に、それについて改善をして、交通費、滞在費については災害援助費から出すということにはなりましたが、最後まで人件費は被災地の受け入れ施設が負担をする。これはやはり考えられないですね。むしろ人件費を含めて災害援助費で見るべきだと。また、派遣元法人を社会福祉法人に限定しておりました。NPO法人等も含めなければ居宅支援事業者を支援するということができませんので、この応援職員の派遣の在り方について、今回、結果的にはここに書いてある数字にとどまりました。

2つ目に、福祉避難所についてです。

宮城県でも福祉避難所は一定の役割を果たしました。けれども、例えば仙台市で言うと、50数か所を福祉避難所に指定する予定だったけれども、開設できた福祉避難所は30か所にとどまりました。そのほかも、どこの施設が福祉避難所なのかわからない。先ほども南相馬の事例で出ましたが、ことごとく一次避難所というのは体育館、公民館、そういったところが多いので、障害のある方はやはり避難しにくい。そうすると、自主的に福祉施設等に避難しているケースが多数ありました。そこが当初から福祉避難所として指定をされていれば、すぐさまそういったところに避難ができたはずだった。また、福祉避難所には災害援助費から、避難者10人に1人の支援員の人件費が補助をされますが、例えば通所施設やグループホーム等、小規模な事業所が福祉避難所を運営しようとすると、この10人に1人という人件費の補助では到底足りない。被災をした障害のある方だけではなくて、その家族も一緒に避難をしているというケースがたくさんありましたので、そういった点でも改善の必要があると思います。

それから、6ページの仮設住宅についてですけれども、そもそも今回の被災をした多くの方の大体6割以上が60歳以上の高齢者であることははっきりしています。にもかかわらず、整備をされた仮設住宅がバリアフリーでなかったり、配慮がなかったり、後から障害のある方、身障の方で、手すりを付けたいと思っても、それが構造上付けられなかったり、そういった問題が生じました。先ほども報告をしましたが、仮設住宅以外のみなし仮設住宅の希望が多くなり、そこでの実態が把握されていませんし、また、県外避難者、福島の方が多いのですが、12月末現在、宮城県では8,999人が県外に避難しています。これは7月に仮設住宅に移行が始まったときから増えているのです。最後の12月に、女川町で避難所から仮設住宅に移った段階で更に増えて、合計、約9,000人になっている。この9,000人のうち障害のある方がどれくらいいらっしゃるのか、そのことをだれも、全く把握をしていない。そういった問題が残されています。

以上です。

藤井議長代理 では、時間を少し短縮していきながら、小山さん、お願いできますか。

小山氏 まず最初に、一般の避難所の課題についてです。

精神障害の方と他者のトラブルは若干あったようです。おおむね互いに思いやりを持って避難所生活を送れたというふうな話はお聞きしています。ただ、障害児等で、体育館は運動する場所とかというふうに思っているお子さんが多数いらっしゃいまして、そういった方は、早々に賃貸住宅や親類宅等に避難された模様です。規模の大きい避難所では、障害のある方は医療チームのフォローの下で避難生活を送ることができたようなのですけれども、そのフォローを含めて、支援の内容には、避難所によってかなり開きがあって、十分だったところと、そうではなかったところの差が目立ちました。

福祉避難所ですけれども、陸前高田は事前に協定はなかったようです。それで発災後に1か所を指定。その他、高齢の方の施設や障害の入所施設等で、結果的に福祉避難所として機能した施設は多くあったようです。福祉避難所はあった方が、そのとおり、よいと考えるのですけれども、今回のように市内全域が被災をした場合、対応できるスタッフの確保が難しい状況にあった模様です。

次に、避難所における情報提供、支援物資の提供といった部分なのですけれども、ストーマ装具等、その方に合ったものを提供するなど、専門的な知識がないと対応できないものが一般集積所にたくさん届いたようなのですけれども、それを現地の係員が対応できない等、ニーズ対応に難しい部分が多くあったようです。また、十二分に届いた紙おむつなどでも、重身の方等では、サイズ的にスーパービッグが欲しいというふうなニーズはあったのですけれども、その部分の確保が非常に難しかったようで、このように在宅医療機器に伴う消耗品や特殊装具等、一般的ではないものの確保に、かなり大きな課題がありました。日常生活に必要なものは緊急時にここに行けば手に入る、必要な薬はここに行けば手に入るといった形の備蓄とか、災害時は、日赤等、専門機関のベースキャンプに集積をして、そこに行けば入手できるといった、緊急時の物資集積システムを今後構築する必要があると考えます。

在宅避難者の部分ですけれども、どこに障害のある方が避難したといったのを、地元の自治体の方がつかむのがなかなかできなかったようで、かなりそこの部分の把握に関しては、困難を極めた状況にあります。

以上です。

藤井議長代理 では、白石さん、お願いします。

白石氏 避難所の件と仮設住宅の件は、西浦さんとか小野さんが述べたので、私たちのところも全く同じですので、話は省きます。

福祉避難所についてですけれども、福島県内で2か所ほどはできたというような情報があるのですけれども、どこにできたのかわからない状況で、多分、老人ホームの一角を避難所という名前で開放したのかなという感じがします。私の郡山市では、地域によって、在宅で自立している障害者の仲間たちが、荷物が散乱して自分のうちに戻ることができないというような状況がありましたので、郡山市とお話ししまして、障害者福祉センターというところに障害者が避難してもいいかということで開放してもらいました。多いときで30名の障害者がそこで避難生活をしていました。

あともう一つは、時間が余りないので飛ばしますけれども、相談支援のことについてです。福島県の原発事故によって、浜通りの相談支援事業所をしている大きな入所施設が、入所施設ごと避難してしまって、そこでの相談支援員も一緒に県外に避難してしまって、その地区の相談支援がうまくできないということがあったので、私たちは県に対して、そういう状態では障害者の支援ができないじゃないか、何とか対応してくれということを強く言いまして、3か月ほど遅れましたけれども、6月に県で相談支援強化充実事業というものを新設しまして、私たち、支援センターの方に相談支援員を置くことができました。そのようなことで、相談支援員が被災でいなくなってしまうというようなことが問題だと思うので、そこら辺は、大きな入所施設を持つところでの相談支援事業だけではなく、もっと小さいところでも、細かな形で相談支援事業所を各地に設けていく必要があるのではないかと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、八幡さん、お願いします。

八幡氏 まず、福祉避難所ですけれども、宮城にはおよそ120か所の福祉避難所があって、そのうち10か所が障害者の関係の福祉避難所と言われています。ただしこれは、実は最初から協定を結んでいるのではなくて、後から物資をもらうために協定を結んだところが相当含まれているということで、実際には、石巻の祥心会が、ひたかみ園というところで障害者も高齢者も入れて、実態的に福祉避難所だったけれども、そういう実態的な福祉避難所は協定を結んでいないために、福祉避難所として解答されていないのです。ですから今も、福祉避難所の数というのは非常に問題で、何を定義にして福祉避難所と言うかというところから、すごく問題になっています。

そして、先ほど10人に1人という話もありましたけれども、私、5ページ、6ページ辺りに、このまとめと、実を言うと8ページ以降にいろいろな制度というか、福祉避難所に関わる制度の厚生労働省の通達を出しています。それを見ても、地域での生活を支えるという視点がなくて、介護が必要な人については入所施設を勧めるというような、そういう形になっていて、10人に1人というのも、非常に手続もややこしい。そういうことがあって、福祉避難所をつくるのはいいけれども、一体だれがそれを支援してくれるのだということが全くよくわかっていない状態になっている。どういうところまで支援ができるかという実態もそうですし、実際に我々が要請したときに、国の制度として、三千何人登録されていますねといったとき、2週間かかると言われたのです。ああいう、4月、3月の一番大変なときに2週間も人が来るのにかかっていたのでは福祉避難所なんて開けないというふうな実態もありました。

もう一つ、実を言うと、今回の災害は以前と違って、阪神のときは早朝、新潟のときは祝日なり土曜日なりということで、昼間に起こっているので、一応デイサービスとか、そういうところは、開いていたから仕方なく避難所になってしまったというふうな状況があって、全くそういう施設が開いていないときには、2~3日は開設するのにかかっただろうと。そうした場合、その2~3日なり事業所が機能しないときは、近くの指定避難所を頼らざるを得ないという状況があります。そのときに指定避難所が、今回もそうですけれども、障害者が行ったら、とにかく寝る場所もないということで、すぐみんな、障害者の人たちが帰ってきたということがあって、ここら辺の改善策をどうするのか。

これには、実を言うと指定避難所という言い方しかないのですけれども、現実には、障害者の人が、家が何とか残っていたら、そこで暮らそうと思っても、そこで暮らしていたら物資はもらえない。「あんた避難所に来てないでしょ」と言われるというような状況もあって、そこに来る人だけではなくて地域全体を支える、そういう仕組みで、指定避難所でなく避難支援センターという名称に変えて、地区ごとにつくった方がいいだろうというふうに思っています。

それから、障害者が福祉避難所をつくるのがすぐなのかどうかというのは、さっき言った、人的に言えば、石川県の門前町か、ちゃんと人を手配しますよという、そういう協定まで結んでいますし、柏崎の当時の担当課長は、小さな、10人以上避難できないところも含めて、すべのところと協力関係を結ぶのだから、福祉避難所という言い方をやめてでも、地域の事業所と行政が協定を結んで、協力関係にあるというようなことを主張することが大事だということもおっしゃっています。

更に、指定避難所に行く健常者の方が、自分のトイレの始末をするのも、どこからトイレの水をくんできていいかわからないというようなことがあって、とても障害者や高齢者の面倒を見られないというか、そういう形の実態になっていて、本当は、障害者も主体的に、別に世話してほしいと言っているのではないのだ、障害者も健常者も、それから小さな子どもたちまで一緒にその地域の指定避難所を運営できるようにしましょうというような、2~3日だけでも、そこで、地元の人たちで頑張れる仕組みづくり、そういうふうなことをやりつつ、福祉避難所についても、特に人的な配置も考えながら、抜本的に見直す。

更にもう一つありまして、厚生労働省が出しました今回のガイドラインと、内閣府が出したものと、それからこの通知というのは、実を言うと若干ちぐはぐになっています。だれがどういう考え方で福祉避難所をつくっているのかというのを、一番最新で言うと、小学校区ごとに1か所、福祉避難所をつくれと言っているのです。その指定目標と、入所施設を中心に、地域交流型スペースも利用してという話は随分違うので、やはりそこら辺も含めて、福祉避難所の課題とか、一番最初に逃げ出すための避難所については、相当の議論が必要だ。ゆめ風基金でも随分前からかなり言っていることなので、いろいろな当事者団体からの意見を含めて、やり変えてほしいというふうに思っています。

以上です。

藤井議長代理 それでは、以上の5人の御発言を受けて、また質問や意見をと思いますが、先ほど土本さん、少し私の方でさえぎってしまったので、もしあれば、土本さんを優先させていただきます。あとの方たちも、あと10分ちょっとでと思っていますので、少し要領よく御発言のほど、お願いします。

土本さん、いかがですか。

土本委員 土本です。

ずっと聞いていたのですけれども、やはりずっと待っているのではなくて、自分たちからも困っているという、相談するところ、場所が必要ではないかと思うのです。例えば社協とか、区とか、各行政機関に行って、困っているということを伝えていかなくてはならないのではないかと思います。

今、福祉避難所ということですけれども、どこにあって、どこにないのかということも、情報として、知的の障害というのはなかなか難しいところもあるので、はっきりとした情報をもらうところも必要かなと思うし、災害時は、いっぱいいろいろな情報が流れてきて、適切な、必要な情報が流れないところもあるのですけれども、やはりいろいろな障害のことも含めて情報をもらえたらいいなと思っています。

以上です。

藤井議長代理 土本さん、今のお話で、情報をきちんと正確に受け入れてほしいとおっしゃったけれども、知的障害を代表するということかどうかは別として、更に知的障害という点で何か意見はございますか。

土本委員 なるべく小学校というか、小さなことも含めてですけれども、漢字に振り仮名を振ることが必要ではないかということ。要するに適切な情報がもらえるというのか、わかりやすいというか、平仮名で振っていくということでしていけばいいのかなと思うのです。

藤井議長代理 わかりやすいということが大事だということ。

そうしたら、御発言が今までなかった森さん、堂本さん、大濱さん、竹下さんの順番でいきます。では森さん、お願いします。

森委員 日身連の森です。

今日いろいろとお話を聞いておりまして、私なりにちょっとお願いという形になるでしょうか、感想ということでしょうか、お話ししたいと思います。

1つは、今回の東日本大震災は、決して一地方公共団体等が対応できるものではない、はっきりと国が中心になってやるべきではないかと。近々復興庁ができるようでありますが、やはりその辺のことをはっきりしなければ、地方公共団体、そんなにも力があると私は思っておりません。一生懸命、今やっていると思います。

2番目は、今日のこのようなNPOを中心にいたしました真剣な討議は、大変貴重であるし、有意義だと思います。特に南相馬市の西浦部長様には、このようなところに出ていただいてお話しいただくということについて、深く感謝したいと思います。本来ならば、こういうところにはやはり行政が、いろいろな立場で出ていただくことがよいのだろうと思っております。

3番目は、この災害に対する問題ということを整理いたしますと、1つは、死亡者あるいは行方不明者の詳細をどうとらえるか。実態調査というのが非常に重要であろうと思っております。2つ目は、災害直後の障害者の生活の実態です。これも、国はちゃんと把握すべきだろうと思っております。3つ目は、「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」は、障害者にとってどういう問題を提起したのか。こういう検証もしていただきたい。この3つの点の一番キーは、私はやはり要介護者名簿の開示ではないかと思っております。それを、ただ市町村に任せるという形ではなくて、国が、法律が必要だったらば法律を改正するぐらいの形をしていかなければ、市町村ごとに責任を持たせるということは、ちょっと酷ではないでしょうか。JDFとして、国の方にお話しに行ったときにも、これは条例に規定されているから、地方公共団体の市町村の条例なのですよ、こういうお話でございましたが、もう幾日たったでしょう、何か月たったでしょうか、全然進んでいない。今日の大きなキーも、この問題ではなかったのかなと思っております。

最後でございますけれども、先ほどから出ておりましたけれども、23年11月17日に、参議院の予算委員会におきまして、こういうように平野達男国務大臣が答弁しております。恐らく復興庁大臣になられるのだと思うのですが、かいつまんで言いますと、「平成17年3月に災害時要援護者の避難支援ガイドラインを作成したのですが、これがまず徹底されていなかったということがございます。ガイドラインに基づく市町村の避難支援計画の策定状況は76.8%、要援護者名簿の作成状況は52.6%ということで、まだまだでございます。そこで、まずはこの徹底を図ることが大事ではないかというふうに考えております。それからあと、中央防災会議の専門調査会では、今回の災害において、昨日も申し上げましたけれども、どういう情報に基づいて要援護者が避難したのか、あるいは避難しなかったのか、避難しなかった場合にはなぜ避難しなかったか、あと避難先においてどのようなケアがなされたのか。こういうことについての調査をしなくてはならないという報告を受けておりまして、第三次補正でも今回の被害実態の調査、その中でも調査をしたいと思っていますが、詳しくは24年度の概算要求においてこれをしっかり調査していきたいというふうに考えております。」

こう明言をしておりますので、是非、是非、実態調査を率先して把握していただければと思っております。以上です。

藤井議長代理 堂本委員。

堂本委員 今日は皆様、遠いところをありがとうございました。また、現地へ伺ったときは、いろいろお世話になって、ありがとうございました。1つ質問と、それから1つ意見を言わせていただきたいと思います。

質問は、私は福島県へ伺ったのですけれども、「避難入院」という言葉を聞きました。アパートで生活をしていた精神障害者の方が災害に遭って、強制的に入院させられたのが「避難入院」です。しかもそれが措置入院だったという経験談を伺ったわけですが、ほかのところでも、身体障害の方がやはり入院を強制されというか、入院せざるを得なかった。今、八幡さんの御説明で、常時の介護や治療が必要となった人については、速やかに特別養護老人ホーム等に入所、あるいは病院への入院手続きを取ることになっているということ。

私たち、推進会議では、可能な限り障害のある方も自分の住むところを自ら選択し、地域移行を希望する人は地域に住めるようにということを一貫して言ってきました。災害だからといって、施設収容されたり、入院させられるのはとても矛盾を感じます。今お話を伺いながらも、矛盾を感じました。西浦さんには行政の立場で、八幡さんはここにお書きになっているので、これに対してやはり手を差し伸べていく、そういうことが起こらないようにするにはどうしたらいいのかということを伺いたい。

全体の感想ですけれども、今、外国ではDRR(Disaster Risk Reduction)、災害リスク削減が、災害時の共通認識になっているそうです。それは、常日ごろ、障害者に対しての差別とか排除とか格差をなくす、そのことによって、災害が起きたときも障害者が困難に直面しないですむ、つまり災害に強い地域社会になると云われています。今日のお話を伺っていて、やはりまだまだ、平常時の差別や格差や排除、いろいろな形の不便が潜在的にある。それが災害時にそのまま顕在化して出てきているように感じました。何とかこれを改善すべきです。今、森さんもおっしゃいましたけれども、やはり残念なのは、国の復興の基本方針が経済主導で進んでしまっていて、あまり障害者問題は、配慮されていない。国として構造的な歪を改善し、平時も災害時も障害者が困難に合わないように,人権が守られるようにしてほしいと思います。

ありがとうございました。

藤井議長代理 後で、お2人から質問が出ていましたので、避難入院、避難入所等を含めてお答えいただきましょう。

大濱委員。

大濱委員 昨年の32回のときに配られた「避難支援のガイドライン」を見ますと、内容としては、かなり充実していると思います。ただ、この内容は、先ほど西浦さんのお話にもあり、それから平野大臣の答弁にあったように、やはり市町村の中で緊張感を持ってこれが共有されていなかった。それは恐らく、こんな大規模な震災が起こることまで想定していなかったのかもしれないのですが、これがまず第1点目の問題点。

2点目の問題点としては、この内容を見ていますと、先ほど八幡さんが指摘されたように、支援者の立場の目線がこのガイドラインにほとんど盛り込まれていない。ですから、支援者の立場の人たちを、どうやって取り込んでいくか。そして、そういうガイドラインを現場に根付いたものにしていくかという方向で、もう一回このガイドラインをつくり直さないとだめだと思います。これら支援者と、あとは要援護当事者をきちんと組み込んだ形での新たなガイドラインづくりが今、必要になっているのではないかというのが2点目です。

次に、この中に大事なことが書かれています。「要援護者情報の収集・共有へ向けた取組の進め方」ということで、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第8条第2項第4号に、「本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるときに、保有個人情報の目的外利用・提供ができる場合があることを参考にしつつ積極的に取り組むべき」と、ここに書かれています。やはり積極的にこのような形で個人情報を扱ってよいのだ、個人情報の保護というのはそのように有効活用されるのですよということです。この点をもう一回きちんと考慮して、国として新たなガイドラインをつくる必要があります。推進会議で議論するだけではなくて、もう一段上の機関でガイドラインを検討しないと、また同じことを繰り返すのではないかなと思います。

以上です。

藤井議長代理 竹下委員。

竹下委員 竹下です。短く。

質問と意見が一緒になりますが、先ほど、支援職員の配置がされた、あるいはもう一つ、物資の基地のようなところが必要ではないか、こういう提案があったのですけれども、僕は、それは確かに大事だし、一定のことはやられていると思うのですが、障害者は残念ながら、言わば個別の対応がないとそうした支援にたどりつかないのではないかと思うのです。とりわけ視覚障害者の場合、職員がどこに配置されているか、支援員がどこにいるかすらわからないのです。あるいは、物資が仮に1か所に置かれたとしても、その場所にたどりつくことはほぼ困難なのです。なれていない場所ですし。そうなると、やはり個別の支援というものがシステム的に必要ではないかと思うのです。それが1点。

もう一つは、支援の関係では、従来の障害別の特性を把握しているのは、障害者団体であったり、障害者の支援をずっとやってきた事業所だと思うのです。各障害別のそうした関係団体などの社会資源というものをどういうふうに組み合わせていくことが支援につながるかということが大事かと思っているのですが、今までに、現実に現地で支援された中で、障害者の個別への対応というのがどうなっていたか、あるいは関係団体とどう結びついていたかということについて、もし現状についての何か御意見があればお聞きしたいというのが2点目です。

もう一つは、堂本さんと重なるのですけれども、僕は、障害のある人たちが被災したときに、あくまでも主体性、自己決定というものがどこまで尊重、保障されているかが大事だと思うのです。現実には、精神障害者に限らず、あなたはここにいるのは危険だからとか、あなたの我がままは通らないという形で、個々の障害のある人のニーズというものが十分考慮された避難所での生活や避難場所というものが確保されたのかということが強く疑問になるわけです。そういう意味では、被災状態にあっても、個々の障害者の主体性、自己決定権というものを十分に保障するための事前のシステムづくりというものが必要なのではないかと思いました。

以上です。

藤井議長代理 質問の方は後でお答えいただきましょう。

関口さん、お願いいたします。次は大谷さん、久松さんといきます。

関口委員 全国「精神病」者集団運営委員の関口です。

まず第一に、僕が被災地にいて、しかも明日が受診日だというときには、もはや薬は持っていません。どうも薬というのは、トヨタのカンバン方式じゃないですけれども、必要な分だけ必要なところに運んでくるというシステムになっているみたいで、流通網がずたずたにされると、在庫がなかなか確保しにくい。これは実際に日本の工業界でも起こった出来事ですけれども、これはやはり、安全のために、バッファというか、そういうものを各自治体が備蓄して、お互いに融通し合えるようにしていってほしい。それをつまりネットワークのようなものにしていってほしいということです。

もう一つは、自治体丸ごと、例えば中野区が丸ごと焼けちゃったりした場合には、当然データはなくなるわけですけれども、それなども例えば政府がきちんとしたサーバをつくって、クラウドにデータを上げておくということをすれば、パスワードを権限のある人が教えれば、ほかの自治体もそのデータを使うことができるわけです。ですから、そういったテクノロジーで解決する部分、それから考え方の部分。つまり考え方の部分というのは、在庫を置かないのが一番効率がいいのだと。それは、平常時はそうかもしれませんけれども、緊急時はそうはいきませんので、それを考えていただかないと、私、3日薬がないとどうなるか、はっきり言って自分でも怖いです。

以上です。

藤井議長代理 大谷さん。

大谷委員 大谷です。その節はいろいろありがとうございました。

堂本さんから詳しい意見が出ましたので、簡単に質問だけ。特に西浦さんと八幡さんにお聞きしたいと思いますけれども、福祉避難所の必要性はわかるのですけれども、とにかく一般の避難所に、ある種、福祉コーナー、福祉室みたいな形で、要援護者、障害者だけではなく、スペシャルニーズを持つ、乳飲み子を抱えた女性、妊婦、病気の人、とにかく何らかの援助が必要な人のコーナー、小部屋を用意することは、非常に非現実的な要求なのかどうか。特に私は小学校を見させていただきましたけれども、どんなにバリアフルな学校であっても、小学校の体育館のすぐそばのトイレだけはバリアフリーになっている、それさえあれば、そこはどんな人が来ても避難できるというふうな話も聞きましたので、そういうことは非現実的なのかどうかだけお聞かせ願いたいと思います。

藤井議長代理 久松さん。それで、門川さんで最後です。

久松委員 全日本ろうあ連盟の久松でございます。発言の機会をいただきありがとうございます。

意見が、2つあります。1つは社会資源に関する情報の提供。2つ目は、公的派遣について述べたいと思います。

1つ、社会的資源に関する情報提供のことについてです。今まで議論はされていないと思いますが、福祉サービス、全国的に一律であるべきということなので、これは皆さんは十分御承知だと思います。地域によって、福祉サービスの中身について、地域格差というものが実際に起こっております。今回、岩手県、宮城県、福島県、この支援に行き、行政の方ともいろいろと意見・情報交換をしまして、非常に感じたことがあります。これは全国的に、皆さんに言えることなのですが、岩手県、宮城県、福島県それぞれの社会的資源の内容が全く違うのです。ですので、その違い、特性に応じた支援という活動をしなければならないと思っています。

今回、岩手県のいわゆる視聴覚障害者情報提供施設の所長に非常に助けてもらいましたが、情報提供施設の所長は、元岩手県障害福祉課課長の御経験を持った方で、彼の頑張りで、県行政を動かしてくれました。岩手県の各市町村にある手話通訳、相談員等に関する情報を全部出して、また、彼らの人的関係、人的ネットワークをつくり、支援体制を構築したということで、非常に協力をしていただきました。そういう経験があります。

なぜ社会的資源に関する情報提供が必要なのかといいますと、これも障害者手帳、つまりその人たちに情報提供する。絶対に必要だと思っている情報提供です。ですから支援活で、個別に対応する場合、福祉サービス、またいろいろな相談について、いろいろ聞かれることも多いわけです。そういうときに支援者が、必要な福祉サービスに関する情報がないと、どのように支援していいかわらないということが結構、多々起こってきます。そういう意味で、その地域の社会的資源に関する情報提供、これは支援活動をする人たちに提供できるような、効果的な支援体制システムをつくることが必要ではないかと思っています。

それから2番目、公的な派遣のことについてです。今回、厚労省と交渉いたしまして、阪神淡路大震災のときは、ほとんど全国の手話通訳者とボランティアで、行政が支援してきたということがあります。今回、災害救助法に基づいて、全国の公的施設に勤務している手話通訳者、筆記通訳者、相談員が派遣という形で依頼をして支援をするということで、これについて、非常に効果があったと思います。やはり社会的資源に関する情報がないと、適切な配置というものができない。また、配置したとしてもサポートをすることにつながっていくのがなかなか難しいことが出てきています。公的派遣と社会的資源の関係、セットで対応するという必要があるのではないかと思っています。

そこに絡んで、自治体、県行政のそれに対するサポート、気持ちの中での温度差というものが実際起こっています。例えば公的派遣をするに当たって、受け皿の安全確保ができないとやはり派遣ができないという、県の行政担当者の意見もありまして、ちょっともめたことがございました。結果的には、安全確保について派遣先の行政が確認をして派遣するというやり方で、実際派遣されました。でも被災を受けた県の行政は、他県から来る人たちに対する安全確保まで準備するという余裕がないということ、これは十分わかっているはずなので、その辺の意識の差というのが行政ごとに出ているのは残念だと思います。そういう意味で全国的な、行政すべてが公的派遣をするときのシステム、ルール、ガイドラインというものをつくる必要があるのではないかと思っています。

あとは、福島県から埼玉などへ避難した場合、あるところで、避難した人の中にろうあ者がいました。情報保障がないということがわかって、埼玉の方々が、情報提供の支援をするという話を持ち出したときに、町役場の人たちに断られたと。町役場の人たちは、自分たちが守るから、そういう支援は要らないと言われたのです。行政の方も支援を受け入れるという意識をもう少し持つ必要があるのではないかと思いますので、災害教育というような在り方を改めて提案したいと思います。

以上です。

藤井議長代理 それでは最後に門川さんになりますが、少しまとめて御発言の方、お願いします。

門川委員 門川です。手短に言います。

今回の会議のために、被災三県と茨城県との4県にアンケートを行いました。そうすると、どこからも共通した答えが出されました。それは何かといいますと、あの地震が発生した後、例えば情報機器であるとか、補装具としての白杖であるとか、ループであるとか、そういったものが破損してしまい、再申請をしようとしても、耐用年数を消化していないために申請が受理されなかったということが実際にはあったそうです。そういったことの緩和について、是非検討をしてほしいということです。以上です。

藤井議長代理 それではお答えいただきます。それぞれ、特に西浦さんと、それから八幡さんの方にも集中していましたけれども、西浦さん、質問内容は大体おわかりですか。ではお答えを少し端的にお願いできますか。

西浦氏 堂本委員さんの御質問ですけれども、精神障害者が避難して、災害で避難入院している、避難入所しているというような実態でありますけれども、確かに私どもも、多くの方が避難されまして、発達障害の子どもも含めまして、環境の変化に対応できなくて、どうしてもそこにいられなくて、帰還、戻ってきた方もかなり多くおられますし、入院、入所されている方も実際にはありました。環境の変化に対応できないということが一番の原因ではありますけれども、これらに対応するには、やはり地元で施設の早期再開があれば、実際に発達障害の方がお母さんと戻ってこられて、普通のように、今までのような作業所に通いましたならば、問題なくいるということもありますので、施設、事業所などの早期再開が一番必要なのかなと思っております。

もう一つ、体育館等の一般避難所に対しての福祉コーナーですけれども、実際私どもの小学校の体育館だったのですが、訪問されているドクターの御意見などもありまして、協議しまして、ボランティアの力で体育館の中に診療所をつくりました。ドクターが来られたときに、診察の際のプライバシー保護も必要ということで、材料費は市が持ち、作業についてはボランティアで行うということで、こういうことが多く広がっていけばよいのではないかなと考えております。

以上です。

藤井議長代理 八幡さん、一般避難所をもっと改良すればどうかというふうなところ、いかがでしょうか。

八幡氏 ゆめ風基金の方では、2年ほど前に大阪市から委託を受けて、福祉避難所のモデル案の策定を既にしております。それには、各小学校区に福祉コーナーを設けて、それを基本にしながら、拠点的支援センターとして、例えば区民ホールを城東区の自立支援協議会がフォローするという形で、それ以外に、そこで2~3日何とか、無理だということであれば、関係施設とヘルパー派遣なり、いろいろなことをしていこうというふうに考えています。ただ単にコーナーをつくるだけではだめなので、それを総まとめして、バックアップ体制を取るというところが地域でできていれば、何とかなるだろうというふうに思います。

先ほどの入所の質問も、実は個別支援も同じでして、場合によっては、やはりマン・ツー・マンで必要で、10人に1人なんて悠長なことは言っていられないし、それが2交代、3交代になると、1人に2人、3人という人材が必要なわけです。そのことを認めてくれるというか、そのことをしっかりと災害時にもサポートしていこうというふうな、国なり、県なり、市町村の体制というものがなければ、なかなか入所というのは避けることができないようなことになっていると思います。

それと、先ほど言った情報という話もありましたけれども、それも含めて、拠点的な支援センターというのがあれば、手話通訳にしても、手引にしても、いろいろな障害分野の人がそこにいて、支援をする。専門家というのは別に、福祉施設の職員ではなくて、今回の岩手とか宮城を見ていても、当事者でなければ、非常に難解な手話と言うと変ですけれども、沿岸部の手話というのは、盛岡辺りの手話と大分違うのです。そういうこともあったり、特性とか、いろいろありますので、やはり地元の人たちがかなり、当事者の方が中心になってくれないと、外部からでは支援のしようがないとか、逆に健常者ではなく、外部から障害当事者の人が入って、特に東北の、先ほど地域性の話がありましたけれども、知的障害、育成会はあるけれども、ピープルファーストがないとか、そういうふうに当事者の組織が非常に弱い地域というのは、そういう県レベルというか、ただ、県レベルといっても、余りにも沿岸部が遠過ぎるので、本当はもう少し近いところで支援センターをつくりたかったというか、それについて、僕は、行政は手は出さなくても場所を貸すとか、何らかの形で我々の援助をしてくれることで、相当スムーズにいくようなことがあったのではないかなと思っています。

以上です。

藤井議長代理 小山さんと小野さんは、竹下さんから言われた、障害団体、障害者事業所関係が行政機能に変わっていった好事例とか、コメントがあったらということがあったのですが、いかがでしょうか。行政機能が極めて厳しい中で、障害団体や障害者関係事業所が主体的にそれを支援していくという点で、これの持っている効果性についていかがですかということです。

小山氏 岩手県の場合、障害の団体だったり、障害の施設に対しての情報開示はなかったので、まず片っ端から回っていったという形だったりしております。岩手県にJDFが入ったのは9月末なのですけれども、それまでは県社協のところで、障害施設の団体と知福協の合同プロジェクトといった形で、沿岸の方に支援に入っておりました。最初は関連する施設、事業所の支援だったのですけれども、事業所だけでなく、在宅の方でかなり困難な方がいらっしゃるというふうな形で、事業所と在宅の方、あとは事業所の職員等にも、支援の方、入っております。障害で、就労系の施設の販売振興、就労振興というふうなところで、県社協の方に就労振興支援センターというものが、おととしにできたのですけれども、そちらの方のコーディネーターが、かなり細かく、沿岸部を含めた施設の方を回っておりましたので、比較的そこら辺、県社協を通じて事業所、あとは在宅の方まで、スムーズに支援の手は、岩手県では入っていたと思います。

藤井議長代理 小野さん、時間がないので後にしましょう。第4コーナーで補足があったら。

実は、今日はもう時間をオーバーしているのですが、西浦さんは冒頭言ったように、このコーナーで帰られます。第4コーナーでは、復興に向けてのということも入っていますので、最後に一言、あるいは今まで話し漏れで言っておきたいということがあったら、それを伺って、このコーナーを閉じてまいりますので、西浦さん、いかがでしょうか。

西浦氏 大変申し訳ないところでございます。

私は、震災、それから原発事故から10か月経過しているわけですけれども、これからが大変だなというふうに思っています。きちんと各自治体では復興計画をつくっているはずです。つくろうとしているはずです。その復興計画にきちんと、今、皆さんと御議論したようなことを載せていただくことが大切であります。そういうことで、仮設住宅、それからみなし住宅、借り上げ住宅に入っている方、長期化してまいります。今も出ております。私どもの保健師がずっと仮設住宅を巡回しているのですけれども、心の病になっている方、外に出ない方、サロンに是非来てくださいと言っているのですけれども、そういうところに来ない方もいっぱい出ておりますので、これから復興に向けて、きちんと復興計画に載せて進めていくことが一番大事だなというふうに考えております。

ありがとうございました。

藤井議長代理 西浦さん、どうもありがとうございました。では、拍手をもって皆さん、送りましょうか。(拍手)

このコーナーのまとめは、大きく言って、避難所のありようですね。もう伺っていますように、2つの視点、つまり時系列的に第一次避難所、そしてこの避難所、ここの中で障害者はどんなふうになっていくのかということ。もう一つは避難所形態。これは一般避難所の拡充策ということを主軸に置くのか、あるいは福祉避難所、これをやはり全面改良していくのか、いや、両方なのかということです。この辺をやはり検討する。その際、お話の中ににじみ出ていたのは、何をつくるかということもあるけれども、だれがこういう構想を考えていくのかということですね。やはり当事者が入っての検討、これも問われていくのではないかという辺りがポイント。それ以外に、応援職員だとか、あるいは県外避難者の実態把握がわかっていないだとか、更には仮設住宅ですね。これも大きい問題ではあるけれども、この辺も、大分意見が出ていましたので、特に避難所問題については、深く今後、検討が求められる。このことをまとめにして第3コーナーを終わります。

さて、4時半まで休憩をして、今日は十数分延びますけれども、覚悟していただいて、再開を16時半とします。

(休憩)

藤井議長代理 それでは、最後の第4コーナーです。「復興に向けた障害者支援の在り方」と題して議論を進めてまいります。

その前に、土本委員が、今日、5時過ぎにはここを出なくてはいけないということがありますので、わかりやすい改正障害者基本法、これについて一言コメントがあるとのことなので、御発言してもらいます。

では、土本さん、よろしいですか。

土本委員 今日、資料として配られていると思います。「改正障害者基本法(わかりやすい版)」を昨年12月につくり上げてきました。長瀬さんや、ほかの構成員の人たちと一緒につくり上げてきました。事務の人たちとやってきました。本当にありがとうございました。基本法の「わかりやすい版」の中で、第26条にも書かれていることで、防災や防犯のことも書いてありますので、是非見ていただければいいかなと思います。

以上です。(拍手)

藤井議長代理 それでは、4点目の今日の議題に移ります。また例によって、今日来ていらっしゃる方に、3~4分ずつお願いいたします。

では、小野さんからいいですか。

小野氏 簡潔にということでしたので、提出資料の6~7ページに書いてあるとおりです。障害のある人とその家族が仮設住宅、みなし仮設住宅、特にみなし仮設住宅に多く暮らしているにもかかわらず、その実態が把握されていない。県外避難者の9,000人の生活、その中の障害のある人たちの生活状況も把握されていない。その実態把握ができていないところで、計画の立てようがないです。まずはその実態をきちんと把握して、復興計画に盛り込む。

それから2点目に、被災地の自治体の復興計画のマスタープランを見ました。多くは、人口と税収の大幅な減が反映して、自治体のコンパクト化であるとか、復旧策中心の計画にとどまっています。震災以前のコミュニティーを再生するだけではなくて、障害のある人が、あるいは高齢者が暮らしやすい町づくり、本当にインクルーシブな社会をつくるという考え方が反映されないと、本当の意味での復興にはならない。その意味では、先ほど森さんが指摘をされた国の責任というのは非常に大きいと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、小山さん、お願いします。

小山氏 まず、住居の確保についてといった部分ですけれども、先ほど来、お話が出ているのですけれども、バリアフリー型の仮設住宅は最初からのものでなければ難しく、途中での改修では無理が出てくると、関係する方からのお話が出ています。地域には障害のある方がいらっしゃるということは最初からわかっていることなので、ある程度の数を初期から整備してもよいのではないかと、自治体担当者の方からも話は出ておりました。

改修についてなのですけれども、岩手県では回収の相談がたらい回しになっていた状況がありまして、ようやく10月に、県が各市町村に窓口の設置を求めました。しかし、人的不足により、陸前高田市と山田町の方ができないというふうに断っていたのですけれども、それに対して県のフォローがなくて、最終的に、12月28日に、陸前高田の方には県が再度おろしたという形になっております。

みなし仮設についてですけれども、もう少し緩やかな基準にしてもよいと考えております。お金がかからない親戚宅に避難されているところへの改修等も、行政の担当としては必要と感じているとお話がありましたし、被災住宅の応急修理制度の運用も、震災後にお体が弱くなった方のために、原状回復だけではなく、使えるように考えてもよいのではないかという話がありました。

民間支援団体に関してですけれども、岩手県は県社協を中心に、私どものような障害の支援団体が入ったり、民間のNPOが入って、在宅の方も含めて支援の方をしております。今回、JDFで高田の方に支援センター設置の準備を進めているのですけれども、行政から確認された部分で、行政と相談の下、財政的な裏打ちのある計画の下に活動を行って、突然の打ち切りによる、支援の受け手に不利益が生じない形を望みますということは再三確認されました。基本的に私たちのような支援団体が入る際は手弁当で来ていると思うのですけれども、なかなかそこの分で難しく、現地の自治体に財政的支援を要求するところもあったようです。そのために、現在、受け入れ側も慎重にならざるを得ない状況にあるようなのですけれども、私たちは、公的支援が行き届かない部分で支援に入るのですけれども、実際、自主財源だけでは難しく、各種民間の助成金を当てにしなければ活動を継続することができないのも事実です。もともとは県や国の方が十分な責任を果たしていただければ、私たちもその点、安心して活動できると考えます。

最後、復興に向けた課題についてというところで、何が障害のある方にとっての復興かといった部分なのですけれども、基本、震災前よりも暮らしやすい地域をつくることと考えます。この中で、陸前高田市は共生社会を目指すとしています。市長さんは復興計画の中で、ノーマライゼーションを意識しない社会をつくるとお話しをされて、町がゼロになってしまったので、復興の中でユニバーサルデザインを導入しやすい状況になったから、これは最大のチャンスと考えることができるといったお話をされています。

今後の復興計画の策定・実施に向けた障害者団体の参画についてという部分ですけれども、障害といった意識がなく、一市民として積極的に復興へ参画してほしいとの話が現地の担当の方からありました。これは私も含めてなのですけれども、田舎だと、行政や法に物申すといったことがなかなかできない傾向にあります。しかし、将来をともに生きるパートナーとして考えるのならば、必要なことはどんどん話していってほしいという行政の方からのお話もありまして、町の復興へ向けてともにといった自治体の考えがあるということは、非常にうれしく思いますし、今後、今回皆さんからお話をいただいた部分で、明るい未来をつくればいいのかなと思います。

以上です。

藤井議長代理 白石さん、お願いします。

白石氏 3コーナーで時間がなくて言わなかったのですけれども、ちょっと付け加えます。

緊急避難区域となって、全戸避難した飯舘村が心配で、私は放射線がいっぱいあるところを何回も何回も障害福祉課に通って、名簿開示をどうしてもしてくれと言ったのですけれども、飯舘村の方は、自分たちでちゃんと面倒を見るのでいいと言ったのです。ではどこに障害者を避難させるのかと聞いたら、やはり施設入所がありきと言ったので、我々としては、絶対、入所はさせないでほしいと。やはり地域移行を全面的に、福島県としても考えているので、地域移行ということでやっているのだから、そういう相談があったら、是非とも私たちのところへ連絡してほしいということを言ったことで、1名だけ、軽度の障害者の方が、施設でなくて、在宅で避難したというようなことがあったので、私たちは、自立生活センターの仲間の福島のILセンターにかけ合って、是非ともその障害者を支援する体制をどうやってつくっていくかということを相談しまして、福島市の自立生活センターで運営しているあいえるホームというようなところがあって、そこに無事、避難させることができました。我々の自主性によって、障害者自身が動かないと、やはりそういうことはなかなかできないと思いました。それ以外に、原発の影響で、避難している人が、私たちの団体と、自立生活センターの団体と連携しまして、新潟と西宮に2人、また滋賀に1人、あと、今年の4月には、三宮市に、重度の身体障害者が避難することになっております。以上、それを報告しておきます。

あと、復興に向けた障害者支援の在り方についてですが、福島県は、何度も何度も言いますけれども、原発の影響で、復興ができるのかどうか、まだ全然わからない状況がありますので、ここは宮城と岩手と、そういう状況とはちょっと違った状況にあります。でも、そういう状況でもやはり復興に向けた歩みをしていかなければならないと思っています。

住宅ですが、前から皆さん言われているのですけれども、仮設住宅が、障害者の住むところではないような、そういう建設であると。やはり今後、仮設住宅をつくるのであれば、そこを全面的に見直して、すべての仮設住宅をユニバーサル化した、そういうものにつくりかえるというようなことがなくてはならないのではないかと思います。また、一般の住宅にしても、人間だれしも高齢化になって、障害者になっていくのだから、そういうところも考慮して、やはりつくるときには全部の住宅がユニバーサル化したものにしていくといった、そういう法的な縛りも加味した、そういうシステムづくりをしていかなきゃならないのではないかと考えています。

あとは時間が余りないので飛ばして、復興に向けた課題と言っているのですけれども、何が障害者にとっての復興かということで、6ページです。

藤井議長代理 資料8の6~7ページにかけてですね。どうぞ。

白石氏 生活するための社会的基盤が築かれなくてはならないと思います。社会的基盤としては、安心して住むことのできる住居の確保、また、生活していくための介助体制の充実、働く場の確保、就労支援ですね。それから、働くことのままならない障害者に対しての所得保障の充実がなくてはならないと思います。ここをやはり強調しておきたいと思います。

以上です。

藤井議長代理 強調とおっしゃったのは、最後の所得保障の部分ですか。

白石氏 全部です。

藤井議長代理 全部ですね。項目をしっかりお話しできなかったけれども、今言った項目については、どれもこれも復興政策の基本ですよということを強調しておきたいと。

白石氏 はい。

藤井議長代理 急がせて済みませんでした。

白石氏 後で調べてください。

藤井議長代理 はい。

では、八幡さんいいですか。

八幡氏 仮設住宅のひどさは三県共通で、なぜ1メーター20ぐらいあるスロープの向こう側に、60センチ、70センチのドアがあるのだという、意味のわからない住宅が多くて、障害者用住宅で、まともに風呂に入れるのが1か所もない。7年ほど前に、戸山サンライズに全国プレハブ協会さんの方が、自分たちはバリアフリーのプレハブ、全部ではないけれども、ある程度使えるものを用意するという記事もあったのですけれども、それはだれも取り上げなかったというか、そういう形になっているので、少なくとも障害者が風呂に入れる仮設住宅が欲しいというのが1点。

2点目に、住宅の改装費について、かなり錯綜している。みなし仮設について、大家が家賃の上乗せをしたら、それでいいですよといって、大家責任にしているのですね。そんなことを大家があのときしてくれるわけがないので、やはり大家責任でなく、みなし仮設についても、何とか改装できるような形というのはできないか。それから、災害復旧費で住宅改修ができるなんて、地元の障害者はだれも知らないですよ。そういうことすらも、まだ地元で徹底していないということがあります。

復興に関して、本当に国がいろいろなお金を出すのですけれども、僕らの知らないところからやってきて、こういうふうに顔を突き合わせているメンバーが、「えっ、こんなのあるの」といって、結局、国の予算を僕らは全然使えない。いろいろな人たちと集めて、恐らく今、既に2億円ぐらいゆめ風基金として使っているのだけれども、まだ2億ぐらい要るだろうという中で、余りにも国のお金が使えないのが多い。それから、もともとの基盤として、小山さんのところも、それから宮古のところもヘルパー事業所がつぶれています。立ち上げたけれども。(事業所から訪問先の家まで)非常に時間がかかるし、今の単価で沿岸部の場合、ヘルパーができるはずがないと。やはり都市部と、いわゆる過疎地といいますか、そういうところのヘルパー事業所の成り立ちというのを基本的な運営費を見てくれないと、とてもあの時間給でできるはずがない。また、交通の問題ですね。沿岸部と内陸部を結ぶのが、ほとんどバスが主流。それが全然、バリアフリーでもないし、鉄道は、いつになってもできるかわからない。循環バスについても、とても障害者は乗れない。だから、こんなの町中でどうやって住むんだというような形になって、結局、施設が一番やりやすいよねという状況になってしまっているのです。地域で住むための仕組みということについて、やはり沿岸部の実態を見ながら、そういうところにはこういう予算を付けましょうと。例えば新法移行のときに、いろいろ移行のためのお金が出ました。それと同じように、そういうニーズがあるのだったら、これについては建設費まで国が出しましょうとか、そういうことがない限り、今の施設中心というのが全く変わらないで、地域で障害者が住みやすいという復興にはならないと思います。

それについては、ただ単に、地元の人に任すということではなくて、どういう福祉サービスの方向を目指すのかというような、今後の社会の在り方みたいなものを、きちんと、地元以外の人も意見を言った方がいいのではないか。先ほど小山さんからもありましたけれども、地元は、東京とか大阪のサービスの半分しか受けられなくても、行政が言うのだから仕方がないとあきらめている人の方が圧倒的に多いです。そこで地元要求だけというのも何かおかしな気がするので、何らかの形の地域誘導みたいなことも必要かなと感じています。

以上です。

藤井議長代理 いずれも大事な視点を述べられたのですが、最後のコーナーです。数人しかもう時間はないのですが、尾上さんか北野さん、新谷さんぐらいで。あと、佐藤さん、大久保さん。では1人、本当に2分ぐらいずつをめどにして、はっきりと結論を言ってください。そして質問か意見かということを言っていただいた上でお話し願います。

では尾上さん、北野さん、新谷さんという順番でまいります。では尾上さん、よろしくどうぞ。

尾上委員 ありがとうございます。

南相馬の西浦さんが帰られましたので、資料4を見ていただけますでしょうか。資料4のP20ですけれども、これは南相馬を訪問したときにお聞きした話です。既に皆さんから言われているとおり、仮設住宅は本当にバリアだらけで、私たちが訪問したところも、東さんが車いすに座ったその胸の高さまであるような仮設住宅でした。実は、これはシステム的な問題というか、南相馬の方がおっしゃっておられたのですが、最初の段階で、県から仮設住宅の必要戸数を聞かれたときには、そのうちバリアフリー住宅がどれくらい要るか記入する欄すらなくて、そのために最初にできたものはバリアフルなもの、バリアフリーじゃないものばっかりができて、そこに優先入居ということで、障害者や高齢者が入ることになった。その次の仮設住宅の必要戸数の把握の際に、やっとバリアフリー住宅がどれくらい必要かみたいな形になって、後でできた、多少なりともバリアフリーなところに障害のない方たちが入るというふうな、非常に皮肉な状況になっているようなのです。これは明らかに、行政というか、国、都道府県、基礎自治体の連携とかという言葉を超えた、人災に近いものではないのかなと思います。

そういう意味で、仮設住宅そのものの基本をバリアフリーにするというようなこと、更には復興計画の中で、何人もの方がおっしゃられましたけれども、インクルーシブな社会につくり変えていく。原状に戻すだけではなくて、インクルーシブな社会につくり変えていくというふうなことが要るのではないかと思います。

最後、そういう意味で、是非復興計画への当事者参画ということを、国が言わば率先して、モデルを示して、そして各自治体においても、そういったことができるようにして、今日、皆さんから意見のありましたインクルーシブな社会をつくっていくような復興計画につながっていってほしいなと思います。

以上です。

藤井議長代理 では、北野委員、お願いします。

北野委員 まず、岩手の復興支援の皆さんには、今回お世話になりまして、本当にありがとうございました。そこで学んだことを踏まえて、復興について3つの課題を提起したいと思っています。

1つは、災害時の要援護者の名簿ですけれども、この作成と管理は、紙ベースではなくて、今は電子ベースでやっておりますけれども、これは全く安心ではなくて、実際に岩手の市町村に聞いたら、データは破損し、停電でしばらくシステムは動かない、使えないというふうに言われましたので、やはり州であるとか、県レベルでのバックアップ体制とか、いろいろな仕組みが要ると思われます。

2つ目は、実際に破損しやすいデータではなくて、今後、被災緊急時に最も大事なのは、本人と御家族と支援者と近隣の方々でつくる災害時の個別支援計画であるというふうに思われます。これに基づいて、どのような状況においては、だれがどのように動くのかということを、具体的につくっておいて、それを踏まえた情報開示と避難訓練等が大切でして、そのことによって、地域で暮らす障害者が、地域に認知されるだけではなくて、障害者を含めた町づくりというものが可能になってくるというふうに思われます。

3つ目は、私たちが現地に行って本当に思ったのは、阪神大震災と比べましても、東北では、二十歳を超えた大人の障害を持っている方の多くが、家族によって介助、支えられているということの実態が感じられたことであります。災害時に、その家族の方が被災されたり、他の家族メンバーが被災されて、そのことの支援のために、障害を持つ家族のメンバーに対する介護する力とか支援する力が低下してきている、これが非常に大きな問題です。この方々の状況をできるだけ速やかに把握していただいて、家族の介護力とか、家族の支援力が低下した場合も、決して本人を地域から引きはがして入所施設に追いやるのではなく、是非とも地域で長く暮らせる復興計画と障害福祉計画と介護保険事業計画との連携が大事だと思います。

その際、今回きちんとニーズ把握をしていただけますと、かなりニーズが膨らむ可能性がありますので、自立支援法での県25%、市町村25%という負担を、今回は特に、居宅サービス、日中活動サービス、それから移動支援サービス、グループホーム、ケアホーム等の地域サービスに関しては、市町村と県の負担を軽減、あるいはなくしていただいて、福祉復興特区という形で、是非とも展開がスムーズにいけるような配慮をしていただきたい。あるいは、八幡委員がおっしゃったように、都市部以外でのヘルパーの移動について、ヘルパーさんが移動する場合、時間がかかりますので、単価についての設定の見直しとかもやっていただきたいと思っています。

実は岩手の仮設のケアホームを見たときに、日中活動の支援も移動支援もないために、仮設のケアホームに1日じゅういらっしゃる方がほとんどであるという状況を聞きました。是非とも日経新聞にあるような、いわゆるゼネコンさんが復興特需で大胆に動いているという中で、決して安全安心のために山の上に施設をつくるということではなくて、地域の中で、どんな重い障害を持っている方も暮らせる仕組みをつくっていただけることが最も大事だと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

藤井議長代理 では、大久保委員。

大久保委員 大久保です。

今、北野さんがちょっとおっしゃったので、私は残念ながら余り言うことがなくなってしまったのですけれども、ここでのポイントとして、復興に向けた障害者への支援の在り方ということですけれども、障害者並びにその家族への支援なのです。家族への支援というのは、今回の震災でも1つのポイントになっていたと思います。私は知的障害分野ですけれども、日中活動をいち早く再開してくださいとか、いろいろな要望があったと思います。そういうところで、いかに家族、家庭機能というか、これを回復させるかというのが大きなポイントだったというふうに思っています。

それと、安否確認や情報収集において、要援護者名簿とか個人情報の取り扱いの課題というのは一方でありますけれども、日ごろからの、いわゆる支援者、あるいは仲間とのつながり、これが非常に重要だというか、現地の方へ行っても、そういった話は聞いています。例えば、私は宮城県の方に比較的行っていましたけれども、サービスを日ごろから利用している方々は、大体支援者が安否確認、情報収集というのをしやすかった。だけど、日ごろ余りサービスを利用していない、あるいは在宅系の方々というのは、なかなか把握が難しかった。それは、サービスを利用していないという部分と、サービスが実際にもともと余りなかった。先ほど、「寝た子を起こす」という表現がありましたけれども、これが、またこれからのポイントになってくるのかなと。

つまり、これからまたニーズ調査とか、いろいろあるでしょうけれども、そのニーズには、災害に伴うニーズと、本当は潜在的にあったニーズ、だけど我慢して、こんなものかなという形で暮らしてきたというのもある。だけれども今回、全国からさまざまな支援する方も行ったりとか、いろいろな情報が入ったというところで、「えっ、こんなサービスもあるの」みたいなことも実態としてあったと思うのです。そうすると、これから、今までになかった先ほどのホームヘルプもそうですけれども、移動支援やガイドヘルプ、あるいはショートステイとか、こういったものがむしろ相当必要になってくる。こういったことを見すえた形で、地元でこれから障害者団体の皆さんと行政を含めて話し合いが持たれると思いますけれども、そういったところで、そういう課題をどんどん出して、それを、これから新たな町づくりに生かしていただければというふうに思っております。

以上です。

藤井議長代理 では、新谷委員から佐藤委員の順番でまいります。新谷委員、お願いいたします。

新谷委員 新谷です。

3月に福島に参りまして、白石さん初め、いろいろな方にお会いして、かなりショックを受けています。福島の問題をどう考えるかだけなのですけれども、福島は復興特区とかというレベルで考えるのではなくて、福島県中通り、浜通りを、特区などというレベルではなくて、1つの大きな地域として復興の対象として考えないと、この課題は解決いかないのではないかというふうに、ちょっと抽象的ですけれども、思っております。福島の原発の事故の量は、広島原爆の20個、30個分の熱量、放射能を発散したということなので、これからも30年、40年、50年と、この影響が及ぶわけです。それが子どもに蓄積されていく。これからも、障害を持ったというよりも、要するに原発の影響を受けた子どもが何代かにわたって生まれてくるわけですね。

そういう歴史的な事件になってきておりますので、これに対する取組みというのは、単なる復興なんていうレベルではなくて、恐らく日本の歴史というか、世界の歴史の中で初めて、本格的にこういう原発問題に取り組んだ、地域そのものの復興というレベルで取り組まないといけないのではないか。そのために、復興会議でどれだけ議論されたのかわかりませんけれども、福島の場合は、今はたまたま除染問題が先行していて、まだ復興計画を立てるレベルに至っていないわけで、これがまだ時間があるわけなので、今、どれだけの範囲で議論できるかわかりませんけれども、少なくとも、白石さんとか、障害当事者、それから高齢者とか、災害弱者、社会的弱者が中心になるような地域という観点から、是非、もう少し大きな目で、福島をどうするのだと。その中心になるのは、やはり私は災害弱者だと今回思いますので、それを核にした議論をできないものかというような、ちょっと抽象論ですけれども、夢で終わります。

藤井議長代理 佐藤委員。

佐藤委員 大変な障害者の犠牲が今回出たわけで、生き残った障害者も相当苦労をしているわけですので、今回の大災害をきっかけにして、常設の、例えば中央障害者災害対応センターとか、障害者災害情報センターとか、そういうようなものを設けて、いろいろな支援の教訓などが蓄積されているわけで、そういうものを整理して、これから大災害は不可避なわけで、そういうときに、インターネットを含めて情報提供をすると。そういうセンターのようなものを設けるということが必要なのではないか、また効果的なのではないかという感じがします。

阪神の教訓は、ある程度生かされているけれども、それをもっと体系的に、系統的に、情報収集して、例えば避難所の中で、発達障害を持つ子どもに対してはどうしたらいいのかというようなこと、各市町村の職員はわからないと思うのです。あそこに聞けばわかる、あそこを見ればわかるというようなものが1個あると。これは一般の人よりも2倍の死亡率というようなことを出した障害者の問題に対応するためにも、そんなものも検討されていいのではないかというふうに思いました。

以上です。

藤井議長代理 これで、1コーナーから4コーナーは時間で終わりますが、もう時間は大分来てはいるのですけれども、やはり報道機関のデータとはいっても、2倍の死亡者がいたというこの現実。これは多くのことを言わず、もうこの面もわかりますように、単に天災とは言えない。2倍というのは人災要素があるということだと思うのです。人災要素をどう消していくのか、減らすのかということが政策上のテーマだと思うのです。そこで、今日はこれ以上なかったのですけれども、復興庁が間もなく立ち上がる。この中に、今、佐藤さんがおっしゃったことやらを含めて、一体、障害分野はどんなふうになっていくのかということなども、この機に考えなくてはいけないと思うのです。

そういうふうに死亡者が2倍とデータは出ているにしても、森さんがおっしゃったように、これはあくまでも民間のデータであります。やはり国は、今日の議論を聞いてもわかるとおり、3つの点で検証を大至急すべきであると。

第1点目は、障害者の死亡者、行方不明者、犠牲者の数をきちんと正確に、精緻に、国、県、市、町、合わせてデータを集約すべし。

2つ目。震災直後から今日まで、障害者はどういう暮らし、生活を送ってきたのかという生活実態。今日は余り議論できませんでしたけれども、避難所へ行く前の、あのライフラインが途切れたときの状況というのはひどかったわけですね。情報も遮断されて。この震災直後から、系統的に暮らしの状況を把握するという実態把握。これは検証の2点目。

3点目は、これまでの、既存のさまざまな震災政策が、障害者という観点から有効であったのか否か。なかったとしたら、それは一体どこが有効じゃなかったのかということです。これはやはりすべてをこれから検討していくとっぱじめだろうということを、更に確認していきたいと思います。

時間が参ったので、西浦さんは帰られましたけれども、西浦さんを含めまして、5人の報告者にお礼の拍手をして、このコーナーを終わってまいります。どうもありがとうございました。(拍手)

報告があと数点続きますので、少し時間をください。

まず、「第2次アジア太平洋障害者の十年」の最終年に関して、松井委員と中西委員から報告をいただきます。松井委員の方からお願いします。

松井委員 松井です。ありがとうございます。手短に説明させていただきます。

この資料にありますように、去年の12月14日から16日にかけて、バンコクの国連アジア太平洋経済社会委員会で、ステークホルダー会議というのがありました。その会議は、資料にありますように、今年の10月に、現在の「アジア太平洋障害者の十年」最終年ハイレベル政府間会合が韓国のインチョンでございますけれども、そこに出すべきたたき台というべき「インチョン戦略草案」についての検討が行われました。今回はオブザーバーを含めて115名参加しておりますけれども、そのうち日本関係者が17名ということです。

「インチョン戦略草案」の真ん中の方にありますように、「インチョン戦略」というのは4つの部分から構成されていて、第3の部分、「インチョンゴールおよびターゲット」、これを略称でINGOTSと言っています。INGOTSというのは英語で金の延べ棒を意味します。それには、10のゴールと22のターゲットと35の指標が含まれる。この草案の中では、指標については全く触れられておりませんけれども、いずれにしても、2ページをごらんいただければわかりますように、10のゴールが設定されて、例えば最初のゴールは、貧困削減と労働及び雇用。例えばこの指標では、障害のある人と労働年齢人口の就業率の格差を半減するというふうなことが挙げられております。

いずれにしても、このゴールとターゲット、それから指標について、今回の議論を含めて修正したものが、3月14日から16日まで同じくバンコクでひらかれる政府間準備会合に諮られる。これは政府関係者を中心としたものですけれども、それには今回、ステークホルダー会議に参加した15のNGOの代表も参加して議論をするということになっております。3月の政府間準備会合で一部修正したものが、10月のインチョンでの政府間ハイレベル会合に諮られて、それが来年から始まる新十年、つまり第三次アジア太平障害者の十年の具体的な戦略になるということです。

そういう意味では、全体像がまだ明らかになっておりませんけれども、今後日本としてもこれにどういうふうに臨むのかということが、私たちにとっても1つの課題になると思います。特に8ページの59のところに、「韓国政府がESCAP加盟国、準加盟国に対し、アジア太平洋におけるインチョン戦略実施の支援のために、マルチドナー基金を設立する提案を歓迎した」ということが書いてありますけれども、この新しい十年を推進するに当たって、そういう財源がないとやれないだろうということで、韓国がイニシアチブを取ってそういう提案をしているわけですけれども、こういうことについても、日本としてどういうふうに関わっていくかということが問われることになると思います。

どうもありがとうございました。以上です。

藤井議長代理 では、中西委員、お願いします。

中西委員 中西由起子です。

今回は、松井さんのお話にもあったように、関係者会議ということで、参加した多くのアジア太平洋を代表するNGO、その代表が日本人であったとともに、政府の参加は少なかったのですが、日本政府も大使館並びにこちらの泉参事官補佐が出席してくださって、かなり日本の立場を明確にし、また、意欲を見せることができてよかったと思っております。

その際に、発言としては余り日本政府からは出てこなくて、例えば5ページのところに、ゴールの7番目、防災への障害の視点の統合というのがありまして、ここに関しては今回の震災での経験を基にした日本からのインプットというのが更に求められるのではないかと思います。

それゆえ3月の会議では、今回はできませんでしたが、次回の会議において、正確な実態調査ということで、今、結論付けられましたが、障害者の犠牲者数並びに災害のことに関して、今後に関するインプット、それから、こちらの制度改革推進会議はグッドプラクティス、権利条約推進のための1つのとてもいい方法だと認められているので、そのことの発表等、政府代表の方から出席なさった際に是非発言していただきたいと思いました。

以上です。

藤井議長代理 これは報告ということで、これ以降、3月14~16日に向けて、準備にまた入っていくということで、よろしくお願いいたします。

報告がもう一点あります。これは東室長より、障害者総合福祉法(仮称)に関連した動きであります。お願いします。

東室長 今日はどうも御苦労さまでした。今日、最後の方で、「骨格提言」の行方についてどうなっているのだという御意見がいろいろ出るかなと思っておりましたが、時間の関係上、出されなかったと思うので、少しだけ御報告させていただきたいと思います。

御存じのように第18回の総合福祉部会、8月30日に開かれましたけれども、「骨格提言」がまとめられております。それから随分時間がたちましたけれども、この「骨格提言」に基づいて、現在、厚生労働省において準備がされていると思います。また、与党におきましては、厚生労働部門の下にワーキングチームがつくられて、各団体からヒアリングを行うなど、議員間討議も含めて議論がなされていると思います。

推進会議担当室としては、例えば議員さんからレクチャーの要請があれば、「骨格提言」の説明など、出向いて、「骨格提言」の実現に向けて、それなりに努力しているところです。特に、総合福祉部会の開催につきましては、従前より「骨格提言」の後にも、総合福祉部会を開いてもらって、意見を述べる機会をつくってくれということで、厚生労働省にお願いしておりましたし、現在もそういう働きかけをしているといった状況であります。

まだ、具体的にいつそういうものが開かれるかというところまでは煮詰まっておりません。しかしながら、恐らくそういう方向で進んでいくものだろうというふうに思っておりますので、鋭意、そこら辺の時期がはっきりするように、これからも働きかけを続けていきたいと思っているところであります。

以上です。

藤井議長代理 ということですが、では竹下さんと、順番でいきます、福島さん。

竹下委員 竹下からでいいですか。済みません、すぐ終わるようにします。

これは大事だと思うのです。それは一昨年の6月29日の閣議決定を経て、作業がずっと展開しているわけですね。その前提として、2010年1月7日の国と訴訟団の基本合意書があって、それに基づいて、自立支援法に代わる総合福祉法のための作業が進められたはずですし、当然、昨年の8月30日の部会で決議されたものが、親会議としての推進会議の了承の下に、内閣総理大臣・本部長に提出されているはずでありますから、そうであれば、推進会議として厚労省に、作業の推移というか状況についての報告を求めるべきではないかと思うのが1点目であります。

2点目は、現実にいつごろ、自立支援法に代わる総合福祉法が、「骨格提言」に基づいたものとして示されるかについて、明らかにされるべきだと思います。仮に、時期を定かにできないとしても、示された時点では、当然、推進会議に報告があるのだろうと思うのですが、その点についての確認をさせてください。以上です。

藤井議長代理 2つ出ていました。福島オブザーバーからも手が挙がっていますので、どうぞ福島さん、お願いします。

福島オブザーバー 1年以上留守をしてしまいまして、申し訳ございません。アメリカに行っておりました。それで日本に戻ってきて、まだ正確な情報がつかめていない部分もあるかと思います。竹下さんのお話と若干重なるかもしれませんけれども、今後の障害者福祉施策の推進について非常に気になる話を伺っております。一部の政治家及び行政内部で、自立支援法の廃止をしないで改正で済ませる、すなわち総合福祉法は制定しないという動きが出ているという情報を得ております。もしかすると私の誤解かもしれませんが、そういう動きがあるのかどうかについて、確認が1つ。

もう一つ、更に、もしそれが事実だとすれば、極めてこれはゆゆしき事態であって、2010年1月に、自立支援法違憲訴訟の基本合意があって、そこで政府・与党が、国民や社会に対して、自立支援法は廃案にする、そして新しい法をつくるというふうに公約した。それを受けて、総合福祉法制定に向けて、この推進会議の下に総合福祉部会も設置されているということは、もし総合福祉法ができないのであれば、総合福祉部会の存在意義が問われる。更にそれを設置した、この推進会議の存在意義も問われるという、極めてゆゆしき事態になりますので、こういう動きに対して、推進会議として何らかの働きかけをしなくてよいのかどうか。これは議長及び議長代理一任でも結構ですが、早急な働きかけをお願いしたいと。以上、疑問確認と意見です。

藤井議長代理 この問題は関心があると思うので、ほかにいかがでしょうか。御意見があれば。松井委員。

松井委員 既にお2人から意見が出ましたけれども、少なくとも総合福祉法が一体どうなっているのかということは、やはりきちんと説明をしていただいた方がいいと思うのです。それに関連しますけれども、一昨年の6月に第一次意見を踏まえて、閣議決定もされた福祉的就労等における労働法の適用であるとか工賃の問題については、本来であれば昨年末までに結論がだされるべきにもかかわらず、何の対応もないまま今日に至っています。今年中に対応しなきゃいけないことも幾つかあるわけで、それらも併せて、きちんと報告をする場をつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

藤井議長代理 関口さん、どうぞ。

関口委員 今、つなぎ法になろうとしているわけですね。長ったらしい名前なので、正式な名前は覚えていませんけれども、4月からつなぎ法になると。自立支援法から総合福祉法へのつなぎということらしいのですけれども、このつなぎ法の性格が、相談支援なんかの部分を見ていますと、介護保険に極めて近いと。これは、総合福祉法に向けたつなぎ法とはとても言えないと思うのです。そうしたときに、それを引き継ぐような形でもって改正するということは到底納得がいかないと思うので、その辺のことはきちんと説明していただきたいと思います。

藤井議長代理 それでは、これをだれに質問するかということですが、ただ、東室長ということだけでは恐らく難しいとは思うのですが、東さんの方でお答えできる点があれば、お答えして、更にこれは、またしかるべきお返事をもらう、こうなると思うのですが、室長いかがですか。

東室長 推進会議へ進捗状況を報告するように求めるべきであるといった意見とか、法案の骨格ができた段階で説明すべきであるとか、その部分につきましては、推進会議自体ではなくて、まだ総合福祉部会はなくなっているわけではありませんので、第一義的には総合福祉部会を念頭に、そういうことがあるべきだというふうに考えております。そういう方向で働きかけをしているというところです。

一部改正という形での動きがあるのではなかろうかといった御指摘があります。ワーキングチームでのヒアリングの中でも、そういった意見が団体の中から出たり、そういったニュアンスの発言が議員さんの中から出たりということは、皆さんも御存じだろうと思うのです。ただ、全体としてどういうふうになっているのかというところまでは、私どももまだ関知できていないところであります。1月11日でしたか、厚労部門会議が開かれたことについて、業界紙でその内容が取り上げられておりました。一部改正というような名前で議論されているといったような内容だったと思うのですが、そのこと自体は改正で済ますということとは、内容的にはちょっと違うのかなといったことも感じております。いずれにせよ、厚労で用意されているものの中身そのものがわからなければ、まだ何とも評価できない段階ではなかろうかというふうに考えているところです。

私として言えるのは、そのぐらいのところです。

藤井議長代理 それでは、非常に情報がまだ十分ではないという点もあるのと、全体として、いろいろなうわさはあるのですけれども、何せ政府案がまだ出ないという事実、しかし政府案が出たのでは遅過ぎるという意見等ありますので、大変、この先、微妙な時期に差しかかってはいるのですが、しかし、推進会議はやはり責任を持って、総合福祉部会の骨格提言をこの場で蓮舫大臣に提出をしたという経過もありますので、十分にこの間の流れをとらえていきながら、福島委員の発言もありましたので、必要な動きがまた出るかもわかりません。とりあえず東さんがおっしゃったことは、総合福祉部会の開催を目下、厚労省の方に要請をしていると。これは何とか実現をしたいということを、推進会議側から後押ししていくということだと思います。

では、少し歯切れは悪いですけれども、この件に関してはこれで終わらせていただきまして、もう大分時間をオーバーしましたので、最後のところは小川議長の方にマイクをお返しします。

小川議長 本日は長時間の御討議、お疲れさまでございました。

ここで東室長より、今後の予定を含め、報告すべき事項があれば、御説明をお願いいたします。

東室長 担当室の東です。次回は38回となります。日程は3月12日月曜日を予定しております。推進会議としては、これが最終の回になると考えております。その後、新しい障害者基本法に基づく障害者政策委員会に引き継ぐといった形になります。ですので、次回は、これまでの推進会議の意義や政策委員会への期待などについて議論をいたしたいと思っております。報告としては以上です。

小川議長 ありがとうございました。

それでは、これをもちまして本日の会議を終了いたします。

この後、この場所で記者会見を行います。まことに本日はお忙しい中、御苦労さまでございました。ありがとうございました。

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