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障害者施策トップ基本的枠組み長期計画懇談会 > 第2回 議事録

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新しい障害者基本計画に関する懇談会(第2回)議事録


  1. 日時
    平成14年7月3日(水)10:01〜11:41

  2. 場所
    中央合同庁舎第4号館 共用第2特別会議室

  3. 出席者

    奥山大臣政務官
    江崎政策統括官
    大前大臣官房審議官
    吉冨参事官
    秋山 哲男東京都立大学大学院都市科学研究科教授
    安藤 豊喜(財)全日本ろうあ連盟理事長
    池末  亨(財)全国精神障害者家族会連合会常務理事
    伊藤 勇一全国身体障害者施設協議会副会長
    雄谷 助成(財)日本知的障害者福祉協会理事
    鹿島 晴雄慶應義塾大学医学部教授(日本精神神経学会理事)
    河端 静子日本障害者協議会代表
    北浦 雅子(福)全国重症心身障害児(者)を守る会会長
    君塚  葵全国肢体不自由児施設運営協議会理事
    座長京極 高宣日本社会事業大学学長
    兒玉  明(福)日本身体障害者団体連合会会長
    斎藤 公生全国社会就労センター協議会会長
    笹川 吉彦(福)日本盲人協会連合会会長
    潮谷 義子熊本県知事
    竹中 ナミ(福)プロップ・ステーション理事長
    鶴岡 啓一千葉市長
    細村 迪夫独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長
    松尾 宣武国立成育医療センター総長
    松友  了(福)全日本手をつなぐ育成会常務理事
    松矢 勝宏東京学芸大学教育学部教授(日本障害者雇用促進協会評議員)
    丸山 一郎埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科教授
    宮原 英明(社)電気通信事業者協会専務理事
    村上 忠行日本労働組合総連合会副事務局長
    谷中 輝雄(福)全国精神障害者社会復帰施設協会会長
    山内  繁国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所所長


  4. 議題
     (1)開会
     (2)意見交換
     (3)その他
     (4)閉会

  5. 配布資料
     各委員からの意見

  6. 内容

    午前10時01分開会

    京極座長 定刻になりましたので、これより新しい障害者基本計画に関する懇談会の第2回目を開催いたします。
     委員の皆様方におかれては、ご多用中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
     初めに、本日はご欠席ですが、小島委員が清野委員に交代されていますので、お知らせいたします。また、この他、紀陸委員がご都合によりご欠席でございます。また、谷中委員がちょっと遅れていらっしゃるということでございます。
     本日は、内閣府から奥山大臣政務官がご出席でございます。また、オブザーバーとして、厚生労働省ほか関係の各省から担当の方がご出席されています。
     それでは、議事に入らさせていただきます。
     本日は、お手元に、委員の皆様方からあらかじめ文書の形でご提出いただきましたご意見をお配りしてあります。
     初めに、ご提出いただいた内容について、何か補足することがありましたら手短にお願いいたします。資料の順番でよろしいかと思いますが、お手元にあります「委員から提出された意見」という7月3日付の文書がついておりますけれども、安藤委員の方から、もし。

    安藤委員 補足は特にないんですけれども、オブザーバーの方々、抜粋的に説明したいと思います。
     私は、全日本ろうあ連盟の安藤です。耳が全く聞こえませんので、自分の声の調整が自分の耳ではできないので聞き取りにくい面もあると思いますけれども、ご容赦ください。
     まず、策定に当たっての基本的な問題ですけれども、現在の計画の内容の課題を整理する必要があるのではないかと思ったんです。私なりに整理してみますと、1つは、数値目標が低い感じがするわけです。2番目が、厚生労働省事業が中心で、政府一体の数値目標の入ったプランとなっていないような感じがします。この計画について厚生労働省以外の省といろいろ協議する中で、ノーマライゼーション7カ年戦略の内容について問いただしたことがあるんですけれども、省全体の方針としてきちんと理解されていない面があるんです。3番目が、都道府県市町村障害者計画の策定と実施が不十分と思うんです。数値目標を入れての策定が非常に少ないということと、ほとんどが努力目標になっていますし、国の計画との関連性というか、一体感がない感じです。4番目が、基本的な問題が未解決になっていると思うんです。つまり所得保障等ですけれども、年金とか労働関係の計画が非常にあいまいだということです。ノーマライゼーション7カ年戦略の課題については、この4点が課題として出てくるのではないかと思うんです。
     それで、新障害者基本計画の策定の要点ですけれども、1つは、合理的な数値目標をすべての政府関係省庁が設定することが望ましいと思うんです。また、市町村計画とのかかわりを強め、中央、地方が一体的に推進する計画であってほしいと思っています。3番目が、所得・権利などの基本的な課題に踏み込んだ計画であること。4番目が、障害者の人権条約、これについては今国連で取り組まれています。また、国際機能分類ですけれども、ICFですが、アジア太平洋障害者の十年の延長も決まっていますし、このような国際的な動きとの関連でも、計画の中に入れ込む必要があるのではないかと思うんです。この4点が、新しい障害者基本計画策定の基本になるのではないかと思うわけです。
     あと、新計画に対する聴覚障害者関係の要望事項についてを個別的に整理しておりますし、この資料は事前に配付されていますので、おわかりのこと等については省略しますので、よろしくお願いします。

    京極座長 ありがとうございました。
     それでは次に、伊藤委員からいただけますか。何か補足がありましたらお願いいたします。

    伊藤委員 おはようございます。きょうご提出させていただいた、この資料についての追加は特にございません。
     以上でございます。

    京極座長 次に、河端委員の方から何かありますか。

    河端委員 おはようございます。河端でございます。
     5ページから10ページまで、少し量が多かったんですけれども、最初のは概論でございまして、その次が総論、各論に入っておりまして、別にこれ以上申し上げることはございませんので、よくお読みいただければ大変ありがたいと思っています。
     ただ、各論の12番に「障害者のリハビリテーションの充実」という活字がちょっと抜けておりましたので、これを入れなければいけないかななんていうふうに思っております。12番でございます。補助器具と支援器具の新たな開発研究及び補装具の補助金体制の合理化、これが、障害者にとっては自己負担金その他が非常に大変だということもございますので。それから、元気な障害者であってほしい、病気をしない障害者であってほしい、障害が進行しないように図るということで、地域の障害者のリハビリテーションの充実を特に図っていただきたい。これだけでございます。
     よろしくどうぞお願いいたします。

    京極座長 それでは、次は北浦委員の方で要望書が出ておりますが。

    北浦委員 北浦でございます。おはようございます。
     大体、この要望書をお出ししているとおりでございますけれども、この地域格差の解消については真剣に考えておりまして、私どもの会が昭和39年に発足した当時、「重症心身障害児は3万ではないか。3万の数で何が勝ち取れるか」ということを言われましたが、障害者福祉というのは、少数であっても、この論理が数の論理でいくことでなくて、やはりたった1人でもそこに障害者がおられれば、それをみんなで助ける。それが1億になるということを訴えましたが、社会がそういう考えになっていただくことが、まずもって大切なことだということを常日ごろ考えております。
     伊藤委員の方からのご意見にありますように、私どもとして今大変悩んでいますのは、大学生になってから交通事故、難病にかかって、そして重症心身障害者と同じような症状になったときに、重症児施設は18歳未満で障害児になった者を受け入れるということになっていますので、そういうご相談を受けたときに、どうしても重症児施設では入所できないわけなんですね。そういう悩んだお母様方の相談を受けたときに本当にお気の毒に思いますので、何か医療型身障療護、これはもうぜひ必要だということをちょっと追加させていただきます。

    京極座長 ありがとうございました。
     次に、君塚委員の方からも要望書が出てございます。

    君塚委員 おはようございます。
     12ページのところをちょっとごらんいただきたいと思います。
     現場からの医師の立場からの一番−−全体像ではなくて、特殊性のところでまとめましたけれども、肢体不自由児施設というのは余り皆さん方に理解されていないということがまずあるということですかね。これからもおいおい意見を出させていきたいと思っていますけれども、次のページの上の方に下線が引いてあるところで、この障害児、あるいは障害者の医療というのが、ほかのメンバーの委員の先生方からも、リハビリテーションを含めて数々指摘されていますけれども、私たちは、特に、発達する重度な障害者のための医療というものは政策医療であるべきではないかと考えていますので、ぜひ従来の姿勢を堅持していただきたいと思っております。
     それから、虐待児の件で、おとといも福祉新聞には1年間で62名が亡くなったというような記事が載っていましたけれども、私どものところで、死亡しないけれども、重度の脳障害を起こして訓練をしているという子供たちが大勢入っていて、家族の支援もないために、施設の負担はとても大きくなっております。
     以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

    京極座長 ありがとうございました。
     次に、斎藤委員の方からもご意見が出ておりますが。

    斎藤委員 追加することは特にございませんが、一言だけお願い申し上げます。ほとんどの障害者は永遠に障害者であるわけですが、いろいろな施策をつくる上で有期限になっている。それも短期の場合が多いわけでして、この辺を配慮した計画づくりをしていただきたいというふうにひとつお願い申し上げておきます。

    京極座長 ありがとうございました。
     次に、笹川委員の方からもご意見が出ております。

    笹川委員 漠然と意見を出せというふうに言われましても、ちょっと私どもとしては、どう対応していいかわからない。やはりスケジュールにのっとって、例えば、基本的考え方に対する意見を出せとか、分野別にというようなことで指示をしていただかないと、我々としては非常に対応しにくいわけです。今回、私どもとしては、先般、第1回が開かれたときの政府の考え方、それに対する質問という形で出させていただきました。限られた期間の中でこれだけの大仕事をやるわけですから、きちんとスケジュールを組んで、十分に意見交換ができるような、そういう体制でぜひ運営をしていただきたい。要望でございます。

    京極座長 ありがとうございました。
     潮谷委員の方からも意見が出ております。

    潮谷委員 新しくつけ加えることはございませんが、前回と引き続いた感覚の中で申し上げますと、バリアフリーとともにユニバーサルデザインという理念のソフト的なところからの整理をお願いしたい。それだけでございます。

    京極座長 続きまして、松矢委員。

    松矢委員 少し修正したいところがありますので、申し上げたいと思います。
     基本的には、我々、緊急に迫っていることとして、今回の障害者の雇用の促進等に関する法律が改正されまして、除外率の段階的な廃止が決まりました。平成16年から一律10%を下げることになりますと、約 9,000人の障害者を新たに雇用しないと、現在の実雇用率1.49%を維持することができません。そういったために、今、平成11年から実施されました障害者緊急雇用安定プロジェクト、現在は障害者雇用機会−−「機会」というのがちょっと抜けてしまいましたので、入れておいてください。障害者雇用機会創出事業が13年度から展開されています。この新しい雇用創出のシステムは、いわゆる緊急雇用安定プロジェクトの場合には、約65%強の離職された方の再就職を実現いたしました。少し抜けましたのは、平成13年度で障害者雇用機会創出事業になったわけですが、この場合、79.3%、約8割の雇用を実現しています。非常に有効な雇用機会の創出のシステムであります。これを活用して除外率の段階的廃止に備えていく必要があるのではないかという趣旨の提案でございます。きょう見ますと、紀陸委員の追加のメモが出ております。同じく、雇用率の段階的な廃止で、新たな雇用をする必要があることが述べられております。あわせてごらんになっていただければありがたいと思います。
     以上でございます。

    京極座長 ありがとうございました。
     次に、丸山委員、お願いいたします。

    丸山委員 つけ加えるというよりか、強調させていただきたいと思いますが、社会福祉の分野でも、基礎構造改革というような改革が非常になされておりますけれども、この障害の福祉ということについては、50年前に初めての法律ができて以来、そういう構造的なものについての改革は全くなされていないというふうに考えておりますので、ぜひこの機会に、地域福祉を進めるという観点からも、障害別の、種別の福祉法がある全世界で唯一の国であると思いますので、この辺について、ぜひ構造的な改革をすることを強調したいと思います。
     それから、雇用か福祉かという2つに分かれた、同じ働いていながらも待遇が全く違うというような、そういう働き方を日本はしておりますので、これも構造的に改革をするときがきているというふうに考えております。
     それから、私、先日、アジア太平洋の十年の評価の国連の会議に出てまいりましたけれども、日本に対して、この分野でリーダーシップをとっていることについて大変評価が高いものがございました。ですから、この国際的な協力は国内にも大変いい影響を与えるというふうに考えるものでありますので、国際協力についても次の計画では本格的に考えていったらどうかというふうに考えております。
     以上です。

    京極座長 ありがとうございました。
     続きまして、兒玉委員からご意見が出ております。

    兒玉委員 私どもの団体では、本当に今回のご要望をすぐ出せというようなお話がございまして、検討委員会を立ち上げております。それで、まだその中で結論に達しない事項が幾つもございまして、まことに申しわけございませんが、提出期限にちょっとおくれてしまいました。
     特に決まりましたことにつきましては、この「追加」という中でお話し申し上げてありますが、総合的な計画として、希望の持てる方向性を示した計画の策定を目指してほしい。2番といたしまして、障害の種別、程度に即しました個別の障害、視覚障害であるとか聴覚障害、内部障害、精神障害などに対しましても、きめ細かい計画をまず立ててほしい。3番といたしまして、具体的な取り組み、個々のプランには必ず数値目標を設定してほしい。4番目といたしまして、IT革命を初めとする急激な時代の変化に対応した内容としてほしい。これは情報のことでございます。5番目といたしまして、新計画の策定に当たりましては、この懇談会に限らず、日ごろから私ども障害者当事者との連絡調整を密にしてほしい。
     以上でございます。

    京極座長 それでは、紀陸委員の方からメモが出ております。よろしくお願いします。

    吉冨参事官 きょうはご欠席です。

    京極座長 ごめんなさい。冒頭に、ご欠席ということで……。
     先ほど、松矢委員のご発言にありましたように、障害者雇用に関するご提言がいろいろ入っております。
     以上で、あらかじめいただいた資料に関しましては追加報告をいただきましたので、これより意見交換に入りたいと思います。
     文書の形で出していない方も大勢ございますので、むしろ、積極的にきょうの会議でご発言いただければありがたいと思います。
     ご意見、ご提案がありましたらお願いいたします。
     冒頭の会議では、皆さん方、ふだん考えていらっしゃることをそれぞれかなりお話しいただきましたけれども、それに加えて、今度の計画化に特に盛り込みたいということについていろいろあると思いますので、どうぞお手を挙げて、積極的にご発言いただきたいと思います。

    安藤委員 ただ意見と言われましても、何か基本的な柱に分けた意見をというような提案がないと、どうも出しようがないんですけれども。総論的な意見でいいのか、各論的な意見がいいのか。私としては聴覚障害者関係の意見なら出せるんですけれども、ほかのことはちょっと難しいと思うんです。だから、意見の出し方について具体的な提言をお願いしたいと思うんですけれども。

    京極座長 次回、内閣府から基本的な考え方、骨子が出ますけれども、それに当たって、この会議で、差し当たり総論的なことでまず議論を進めてみたらどうかと思うんですが。

     

    谷中委員 今、私どもの精神障害者の福祉の方では作業中なもので、今回、資料の提出がちょっと間に合わないんですが、どんな作業をしているかと申しますと、体制整備の見直し、すなわち、障害者プランで数値目標を掲げた、その数がどこまで達成見通しがあるのかということと、その次の段階では、どんな見通しをもって施設計画並びにノーマライゼーションの理念を具現化するための具体的な施策ということで、今後の展望ということを含めた調査研究をしております。ほぼ取りまとめて、今作業が進んでおりますので、次回にはそれらの資料を提出することができると思います。
     骨子だけ述べます。精神保健福祉の方は、皆さんもよくご存じのように、公衆衛生審議会でのテーマソングのように言われております、精神病院から社会復帰施設へ、社会復帰施設から地域へと、こういう流れをつけてまいりましたので、時代的に見ますと、7カ年戦略は施設整備計画だったわけです。これが何%達成されるかということも一つ大きな問題ですが、引き続き新しいプランの中では、今度は地域の中でどう暮らしていけるかという体制をつくるということ。施設整備もまだ足らないと思いますので、施設整備計画と同時に、地域、在宅でのケアシステムをどうするか。そこで、私どもは、ケアマネジメントの導入ということに際して、利用者主体の地域生活支援システムを構築することが第一ではないかというふうに考えております。もちろん、これは三障害統合、あるいは高齢者の方々のサービスも一体化させる。そして、市町村が中心にこの計画並びに実行に当たる。査定も市町村がする。そして、従来の補助金制度から、いいサービスを提供する、そういうところにはもっとそれなりの評価をする。この評価が大変重要であろうというふうに思います。
     それから、一番重要なことは、これらの考え方に基づいて圏域の設定をするということだと思います。国は、今、30万という大きな単位の中で事を進め、考えてきておりますが、それはそれでよろしいんですが、それをもう少し市町村、地域の現状に合わせて、例えば5万とか3万とか、それぞれ圏域を設定して、その中でどんな仕組みを求められているかということをつくっていく、これが一番重要ではなかろうかというふうに思っております。
     さらには、施設整備計画も、広さとか人口の単位とかいろいろあるんですが、当面は人口の単位にして、例えば、福祉工場は30万に1つとか、生活訓練施設は30万に1つとか、グループホームとなると3万に1つとか、そういうふうな割り出しの仕方の中で、それぞれの地域が資源をいかにネットワーク化して、上手に必要なものをそこで組み立てられるか。いわば、その素材としての、メニューとしてのものをきちんと示して、そして、それをどういうふうに組み立てていくかは市町村を中心に独自の考えを持っていただくと、こういうことが重要であると思います。
     繰り返し申し上げますが、これに加えて、人権の問題であるとか、当事者参加であるとか、今後は、当事者主体、当事者中心の仕組み、あるいはそういう支援体制をどうするかということを盛り込みながら、専門家主導から、やや方向を変えて、利用者主体、そして利用者が主体的に取り組めるような法と制度のあり方を検討していく、これがノーマライゼーションをとりあえず具現化するための具体的な一歩ではないかと思っています。それで、さらにその先は、教育であるとか、さまざまな分野においてどう連携していくかとか、どう共同していくかとか、あるいは、ひょっとすると、福祉の政策でまちづくりということに、もう一度私どもの方がまちづくりそのものにてこ入れをしていく時代が来たのではなかろうか。そういう広いシェアにおいた計画立案を盛るべきではなかろうかというふうな、まだ中間的な考えなんですが、そんな意見が今私たちの間では闘われております。

    京極座長 ありがとうございました。
     ほかにどうでしょうか。

    潮谷委員 各論に関しては次回ということでございますので、総論の部分の中で、障害者という規定そのものを、この概念整理をきちんとやっていかなければならない時代に来ているのではないかという感じがいたします。国において新しい取り組みとして、広汎性発達障害を有する障害児について、相談、支援を試みとして何カ所か拠点を設けて始められていくという、そういう時代を迎えております。一方、大変意義深いことだと私は思うんですけれども、障害者そのものに関して国際障害分類、これが既に国際生活機能分類に改訂されてきております。障害のとらえ方ということが大変変化をしてきているという時代的な背景がありますので、やはり総論的な部分の中で障害者の定義というのを私どもも見直していくということで、それぞれのお立場の中から少し意見を出していくということも大変必要ではないかというふうに思います。
     例えば、そうした中で、LDの子供たちというのは従来教育の対象になってきておりますけれども、今、谷中先生がおっしゃいましたこととも少し触れ合うかもしれませんが、こうしたLDや広汎性の発達障害を持っている人たちを障害福祉法という中で一体どのようにとらえていくのか、その辺の整理が大変大事になってきているのではないかというふうなことを思います。
     以上でございます。

    京極座長 ありがとうございました。
     障害の概念につきましても改めて見直す必要があると思います。
     きょう間に合えばよかったんですが、東洋経済から私、本を出しまして、ちょっとお配りしようと思ったんですけれども、まだ7月の中旬以降になるということで、次回には何とか皆様方にお配りしたいと思います。障害の考え方を少し経済学的に分析した本を書きましたので、これも、皆さん、ご参考にさせていただきたいと思っております。
     ほかにどうでしょうか。

    細村委員 たしか、一番最初の長期計画、あるいは後期重点施策かどっちかに、障害の国際分類ですか、そういったようなものがはっきり載っておりますが、今度、国連のWHOですか、国際障害分類の改訂版が採択されたということで、それを我が国ではどう扱うのか、まだ私、よく存じておりませんが、その辺は総論にやはり入れる必要があるのではないかと考えております。
     以上です。

    京極座長 ありがとうございました。仮訳が厚生労働省から出て、最終的には確定版になっているんですか。ちょっとその辺、後で調べたいと思います。
     ほかに。
     どうぞ。

    河端委員 障害者協議会の河端でございますが、実は、私、最初は筋ジストロフィーという難病の子供を育てる親でございました。そして、その子育てをしながら自分の体が参ってしまいまして、今度、自分が当事者になってしまったわけですね。そしてあと、介護保険の対象にもなりましたので、いろいろ当事者として経験してまいりました。それからまた、中央の方で筋ジス協会の会長もやっておりまして、地方では、また地方のいろいろな障害者団体の世話役をやっておりました中で、やはり地方に生きる障害者というのがどういう生き方をしたらいいだろうかと、高齢者もひっくるめまして、そう実感してまいりました。結局、今は高齢者の障害者が非常に多くなってきているということなんですね。障害者の高齢者というのは、いわゆる高齢者のゴールドプランにも入っていないわけですね。障害者対策でやっているんです。この辺が、やはりこれからもう少し検討していかなければいけないのではないかなということを特に感じております。
     今度の支援費の問題につきましても、高齢者の場合は、ケアプランをきちんと立てて、そして面接も何時間かやりますのでいいんですけれども、支援費の問題などは、特に市町村でこの判定をしなければいけない。そういう問題が果たして市町村の方でできるのだろうかどうだろうかというのが、親たちの、保護者たちの、あるいは障害者本人の非常に不安な材料がいっぱいございます。ですから、この辺、わかりやすく、やはり時間をかけずに、きちんと新しい法制度にするんでしたら、それなりにある程度早く当事者、家族たちが安心できるような方法を講じていただきたいなと思うのが、地域に生きる我々の障害者団体並びに親たちの願いでございます。
     概要の中に13項目入れましたので、大体これが私たちの今の当面の問題でございます。それで、特に、この市町村計画、先ほどもお話が出ましたけれども、やはり市町村計画がしっかりしていないと、幾ら国が旗振りしてもだめなんですね、我々、地域に生きていた場合に。ですから、その辺をきちんとやって、指導していただきたいということをお願いしたいと思っております。
     それからもう一つ、障害者基本法によりますれば、三障害プラス難病プラス自閉、てんかんというふうに入っておりますけれども、その中で、最近、いろいろな障害の方ができておりますので、その発生した障害の方たちはどこに分類されるかということが、先ほどいろいろ問題が出ておりましたが、これが非常に大事なことだと思うんです。
     それからもう一つ、いわゆる私どもが運動を始めました昭和30年から40年代は、障害者の早期発見、早期治療という言葉が出ていたんですけれども、最近はその言葉が、いろいろ人権問題があるからというのでちょっとベールに包まれてしまいましたけれども、やはり早期発見できるものであれば、早期に発見して、早期治療をする必要があると思うんです。そのことによって、その障害者の将来がずっと違ってくると思うんです。
     それから、障害のそういう疾病に関する研究費、それから、先ほど言いました補助器具とか支援、この研究費、これを惜しみなく出してほしいんです。例えば、筋ジスの研究費の方は、厚生労働省の方で、一応筋ジス研究費ということでずっともう昭和43年から出していただきまして、世界に誇る研究成果を上げております。そういう意味で、日本でできることは世界へ発信することが可能だと思うので、そういう研究費もある程度関係の機関にきちんと出していただいて、思い切りやはり日本のそういういろいろな医療技術、研究技術ですね。今、ナノテクノロジーとか、いろいろな難しい問題も起きておりますけれども、日本は決して劣っておりませんので、その辺もやはり研究費が潤沢になければだめだと思うんです。
     それからあと、お薬の開発もそうです。オーファンドラッグという、そういう余り難病者の数の少ない方たちに対するお薬の開発も薬品会社の方ではなかなかできませんし、そういう点で、やはり国の方である程度研究費を出していただいて、研究する体制をきちんとやっていただきたいなというふうに要望いたします。
     以上でございます。

    京極座長 ほかにどうでしょうか。

    松友委員 私からは、3点、主にご提案というか、お願いしたいんですが。1つは、先ほどから出ています障害範囲というか、障害概念というか、これはICFに基づく根本的な見直しが必要だということがあります。これは、だから、従来の障害種別的な縦割りの問題については、もう皆さんから言われていることですが、先ほど北浦委員がおっしゃったように、我々の場合、1つは、発達障害という年齢で切った問題がありまして、特に、18歳以降の知的障害、あるいは重心を含めた、発達障害に対する対応が非常に抜け落ちてくる。だから、障害の範囲の中の年齢の絡む部分についても、もう一度見直さなければいかぬのではないかというのが第1点です。
     2点目は、私たちの知的障害は、発達障害ですので、家族を全部巻き込んでいます。これは、介護保険制度のとき明確に示され、公的介護と言われたように、家族機能の低下という大きな時代的な変化の中で、制度的にも、あるいは国民の意識、具体的なサービスの場面においても、扶養義務というか、家族が、特に親が支えていくんだというところから脱却できていない。そこを根本的に切りかえていかないと、現在、知的障害の分野は、先ほどの河端さんがおっしゃった高齢化に伴って、高齢の親による高齢の子供に対する道連れ自殺というか、これが非常に増えてきている。いわゆる家族、日本の伝統的家制度のやはり変化というものに合わせた公的支援というものを根本に今度踏み込んでほしいと、これが2点目です。
     3点目は、地域福祉。地域の中で生きていくという本来の姿を確立しよう、本気でこれを取り組もうというのが、この新しい基本計画の一つの目玉であろうと思うわけなんですね。そうすると、厚生労働省が中心になったとしても、やはり地域の通常の生活を支えるものは、場面的にかなり総合的に、すべての省庁の施策にかかっている。特に私たちのような知的障害の場合は、人の手といいますか、具体的な、物理的なハードなバリアというよりも、ソフトなサポートということが必要になってきます。いわゆる人的な、人の手による支援。こういう意味では、ホームヘルプサービス等を徹底した、欧米等で言われているPAS、パーソナル・アシスタント・サービスと言われている個人的な支援、介助システムというのを柱にしつつも、あとは、要するに、さまざまな分野の中での理解、あるいはかかわり。特に私たちは、人権侵害ということに対してかなり警鐘を鳴らしていくわけですが、そこに対して介入する最大の力は、やはりこれは警察を初めとした司法当局の役割なんです。今までそれに対する我々のアプローチも非常に弱かったし、その分野の関与も弱かった。ですから、あとは、住むことについては国土交通省であるとか、移動についてはとか、そういういろいろな分野で今急速に取り組んでいただいているんですけれども、さらにそれを一歩広げていく。コミュニティーベースの施策にしていくには、やはり今回さらに内閣府で全体の調整をやっていただいて大変うれしく思いますので、ぜひその方向性を強めていきながら、各省庁の役割を明確にし、それぞれの具体的な目標等を出していくというのが今回一つ必要なのではないか。
     以上、3点について発言させていただきました。

    京極座長 ありがとうございました。

    鶴岡委員 これからいろいろ議論が進んでいくんだろうと思いますけれども、若干皆さんのご参考になるかと思って、まず千葉市の実態を少しご紹介させていただきたいと思います。
     1つは、市町村障害者計画の策定という点について何人かの委員さんからご意見がありましたけれども、千葉市の場合には、平成13年度から17年度というのが今一番新しい千葉市の障害者保健福祉推進計画ができておりまして、具体的数値目標も入れた障害者計画となっております。問題は、計画としては保健福祉以外の行政分野の施策も横断的に取り組んでおりますけれども、数値目標は保健福祉分野のみになっているというのが実態でございます。
     それから、いわゆる扶養義務者からの負担とか、扶養のあり方というようなものの議論も出ておりますけれども、これは、千葉市だけではなくて、かなりの市でもやっていると思いますけれども、千葉市の場合でいいますと、従来から、施設入所などの利用者の負担のうちで、扶養義務者については市独自の施策として軽減措置をとっております。これは団体によって差があると思いますけれども、やっております。この辺は、これは各論の方に入りますけれども、基本的なそういう制度を見直す際に、その辺を国の方でまずどういうふうにお考えになるのか、ひとつ整理をしていただけたらありがたいなと思っております。
     それから、これは潮谷さんの方が詳しいと思うんですけれども、これからの流れの中で、確かに市町村を中心にしてひとつこういう計画をやっていくということになったときにぜひご理解いただきたいのは、市町村と一律にいいましても、非常に差があるわけでして、前回もちょこっと大阪市から始まりまして、今回は小さな町村の代表が出てきておりませんので、この辺を、実は私も、若いときに福島県でこういう障害児(者)の関係の担当の課長をした経験を1回持っているんですよ、これはもう20数年前の話なんですけれども。その後どのくらい変わったか、ちょっと自信がないんですが、市町村を中心に物を考えていったときに、逆に、かなり格差が出るということを前提に、もう市町村を重視ということでいくのか、あるいは、それは問題があるんだと。ですから、あるレベル以上の市はともかくとして、私は、やはり県の役割というのが相当ないと、実際に、こういう障害を持っている方々のサービスがどこに住んでいても同じような形で提供されるというのは、現実問題難しいのではないだろうかという危惧を持っておりますので。
     以上でございます。

    京極座長 ありがとうございました。
     どうぞ。

    山内委員 各論に属するかと思ったんですが、河端委員の方から今さっきお話がありましたので、ご参考までに、現在の日本の科学技術の状況について一言だけちょっと話をさせていただきます。
     実は、このところ、日本全体、障害分野だけではありませんが、研究費は随分たくさん出るようになりました、一時代前から比べるとということです。それは、第1期の科学技術基本計画というのが終わって、今、第2期の科学技術基本計画というのが進行しております。その中で政府の研究開発予算は非常に大きくふえてまいったのでありますが、困ったことが1つだけあります。それは、余りにもシーズに偏向しつつあります。ですから、ニーズオリエントの研究になかなかお金が出にくくなっているという方が、むしろ実態ではないかと私は恐れております。つまり、シーズの大きい研究にはかなりたくさん出るようになっているというのがむしろ現状でありまして、それが、私、1つだけ、これは総論に入るか、あるいは本当は各論に入るかわかりませんが、後でご整理いただければと思います。

    京極座長 ありがとうございました。
     私もいろいろ研究費の配分等にかかわっていますけれども、やはり遺伝子工学とか、すごくお金がかかる研究には物すごい研究費が流れるんですけれども、障害者やお年寄りにすぐ役立つような研究というのはなかなか金額も小さく、必ずしも多く出されていないという現状もあるようでございます。
     ほかにいかがでしょうか。

    笹川委員 今度の計画を立案するに当たりましては、これまでの計画の立案以後に出てきた問題をどう組み込んでいくかということが私は一番大事だと思います。具体的に申し上げますと、介護保険制度、あるいは来年の4月から始まる支援費制度、こういったものを計画の中でどう具体化していくか。それから、先ほど来から出ております、これからの福祉は市町村中心に進められますけれども、それをどう各自治体が認識をし、行政面で生かしていくか、この辺を明確にしておかないと、非常に宙ぶらりんな状態になってしまうのではないかという気がいたします。
     それから、方向として、総合的な方向で行くということは、もうこれは当然ですけれども、やはり、いわゆる障害種別ですとか等級別の問題というのは、これはもう絶対に基本に置いていかなければならない。例えば、今大変問題になっております郵政関連法案の中で、障害者団体としては、第3種の郵便、いわゆる割引の問題が中心ですけれども、我々、盲人の場合は、それ以上にやはり4種の方が重要な問題です。そういう、いわゆる障害の特性から派生してくる問題についてもきちんと保障していかないと、先ほども河端委員からありましたけれども、少数の障害者というのは結局埋没してしまって、本当の意味での福祉というものが得られなくなってしまう。この辺は、ぜひ今度の計画を立てる上で基本的な問題として考えていただきたいと思います。
     それから、前回でも申し上げましたけれども、本人の費用負担の問題です。もうこの辺で、やはり扶養義務者の負担ということではなくて、少なくとも成人になった人については本人の所得を基本に考えてもらいたい。そうしませんと、いろいろなサービス制度があっても、扶養義務者が同意しなければサービス提供が受けられないという事実があるわけです。この辺をやはりこれからの福祉という立場からはっきりしていただきたい。支援費制度の実施に当たりましてもこの問題が非常に絡んできております。今、視覚障害者が最も利用し、また社会参加の手だてとしておりますガイドヘルパー制度をご参考までに申し上げますと、平成12年7月7日に出た通達では、当分の間、費用負担は本人の所得に基準を置くということが出ております。それであればこのガイドヘルパー制度を利用するということもよいですけれども、これがもし扶養義務者の負担ということになってくると、外出もままなりません。そういうことも含めて、本当に障害者の基本的な人権を守るという立場から、これからの福祉を組み立てていっていただきたいと思います。
     以上です。

    京極座長 ほかにどうでしょうか。

    秋山委員 都立大学の秋山と申します。都市計画の観点から3点ほど申し上げたいと思います。
     1つは考え方なんですが、障害とはといったときに、我が国の人口の3%なんですけれども、スウェーデンなど、移動困難を持っている人というのは14%だったり、英国だと12%だったり、この数字が3と10%以上なぜ乖離するのか。これについてきちんとした、やはり今後どう位置づけるのかを考えなくてはいけないのではないか。つまり、障害者だけの概念でとらえることがどれほど今後の計画に有効なのかということをもう少しお考えおきいただきたいという点が1つです。
     考え方のもう一つですけれども、モビリティーを保障するということで、ADA−−アメリカの障害者の法律ですけれども、ADAのような形でいくのか、そうではなくて、イギリスのようなDDAの形で、人権までいかない。カナダのように交通裁判所を設けるとか、そういうことで調停するという形でやるのか、さまざまなやり方があるので、単に、法律をつくればそれでよしとする考え方がいいかどうかも含めて、モビリティーの保障については議論をしていただきたいという点が考え方の2点目です。
     大きな2点目は、障害者が生活しやすい都市像を一度ぐらい内閣府では考えてほしいと思います。どんな都市像が障害を持つ人に生活しやすいかということをこちら側から発信して、都市計画の分野に出していただきたい。例えば、コンパクトな都市などだろうと思うんですが、どんな形がよろしいのか、これが1つですね。
     それから、2つ目がデザインについてですけれども、ユニバーサルデザインの中のどこをどのようにしたらいいのか、このあたり。安全、安心、あるいは環境、それからすべての人に使いやすいとは一体何なのか、このあたりを障害者という生活の観点からしっかりと提案していただきたい。ここが都市像という意味です。
     3つ目が計画づくりですけれども、私は、都市計画のマスタープランとか交通マスタープラン、交通バリアフリーの基本構想だとか、あるいは障害者の基本計画、さまざまなマスタープランにかかわって感じたことは、市町村のスタッフが極めて弱いということですね。2年で転換する人たちにまともな計画がつくれるかというと、私は、つくれる人はほんのわずかではないかと思っています。したがって、政策形成能力をいかに高めるかというところをやらないと、ここで幾らいいものをつくっても、結局、水の泡になってしまうのではないか。ということは、市町村の人たちのレベルをいかに保つようにするかということを最大限頑張っていただきたいというふうに思います。
     以上です。

    京極座長 ありがとうございました。
     ほかにどうでしょうか。

    伊藤委員 話は都市計画とはちょっと違うんでございますが、やはり今までの障害者プランの、ひとつこの検証というか、総括も、あとちょっと時間をかけてやってもいいのではないだろうかと正直思っているところでございます。先ほど谷中委員の方からだったでしょうか、今までの施策は施設づくりが中心であって、これからまさしく本当に自立して、社会参加型に移行していくんだという、私も全く同感でございまして、それはもう私だけではなくて、それが今の福祉の流れであると思うんでございますが、そうした中で、前回もいろいろな方々からのご意見があったかと思うんですが、三種別の総合的な福祉の政策の推進というか、それがあとちょっと形に見えるようなものがこれから欲しいなと思っております。反面、それとはちょっと相反するかもしれませんが、では、施設が全くなくなるのかというと、決してそうではなくて、施設の今の現状も確かにきちんと検証していかなくてはならないだろう。見ていかなくてはならないだろう。
     例えば、先ほどちょっとお話がありましたとおり、重症の心身障害者の施設がございます。私どもは療護施設なんでございますが、療護施設なんかは、開設の当初は脳性麻痺の方が大半であった。今や、中度障害者の方及び難病の方、慢性意識障害の方とかという、本当に大変な方が一緒になっているという、そういった中で、医療的なケアの濃厚な方が相当入所していらっしゃる。現場では、いろいろとこういうような問題も裏腹にあるわけでございますが、そうした現状をこれからは見過ごすことはできないだろう。そうしたことを考えまして、そういった今の施設のいろいろな種別もございますが、その中でももっと本当に利用者の生活というか、そこを中心にした中での整理があってもいいのではないだろうかと、そういうふうに思うと同時に、今回の基本計画プランの中にも、どこまで利用者の生活を中心としたものが核として、中心として置かれるのだろうかという、そこがとても大事なことなのではないだろうかと今思っているところでございます。
     最後に、加えまして、本当に今現在のような社会資源の中だけ、この施設も含めてでございますが、もっとグラウンドを広げて、前回もちょっとお話を申し上げたんでございますが、国、国民挙げての、障害者を含めたダイナミックな運動というものが必要ではないかなと思っております。
     以上でございます。

    京極座長 村上委員の方で何か。
     どうぞ。

    池末委員 全国精神障害者家族会連合会の池末です。私どもも今内部で意見を詰めておりまして、次回には精神障害者の分野別の問題については幾つか資料を出したいと思っております。きょうは基本的な考え方で、三障害統合と、それから圏域の問題について少し意見を言わせていただきます。
     具体的に言いますと、障害者の地域生活支援センターについても三障害別々の形で96年から始まっていますが、最近になって、三障害統合のセンターというのが全国に少しずつふえてきています。東京でも精神障害者の地域生活支援センターは20数カ所ありますが、そのうちの3カ所は三障害統合になっています。基本的には三障害統合という方向は非常に望ましいと思うんですけれども、実際に東京で余り進んでいない。それから、三障害統合で一緒にやるということについて、さまざまなあつれき、温度差があって、十分進んでいない。そこら辺のことを精神の側からも具体的な問題提起、そのメリット、デメリットについて、それから将来的には一緒になった方がいいけれども、何年ぐらい時間がかかるかとか、そういう提案をしていきたいと思いますので、身体障害、知的障害の方の地域生活支援センターにかかわっている方たちからも意見を出していただきたいなと思っています。それが三障害統合の問題です。
     もう一つは圏域の問題なんですけれども、地域生活支援センターは30万に2カ所というふうになっていますが、この圏域というのが果たしていいのかどうか。どなたかの意見の中に、5万人に1カ所という提案も出ておりましたが、そこら辺の圏域をどう設定するか。この4月から、精神障害者の手帳交付窓口とか相談窓口が市町村に移りました。全家連の方にも、移ったことによるいろいろな情報が寄せられています。非常によかったという情報もありますし、混乱しているという情報もあります。恐らく 3,000−−特に規模の小さい町村では、この4月から精神障害者がさまざまな形で相談に行ったときに十分答え切れていないのではないか。そのときに、ある程度の圏域で、単独の小さい町村では無理でも、ある程度の圏域できちんとそれに答えられるような対応をしていくとか、あるいは精神障害者の作業所、今、全国で 1,700カ所ありますが、小さな町村には1割もないような状況です。小さな町村ごとに全部作業所をつくるというのができればいいんですけれども、それはとても不可能なことで、そのときに圏域をどれぐらいに設定するか。それから身体障害、知的障害と一緒の作業所をつくるということも十分考えられると思いますし、圏域の問題、それから三障害の統合の問題を精神の方からも考えていきたいと思いますので、身体障害、知的障害の側からもいろいろと考え方を出していただければと思います。
     以上です。

    京極座長 ありがとうございました。
     貴重なご意見が幾つか出ておりますけれども、今度の計画に関しましては新しい計画ですので、何が新しいのかということを国民にわかりやすく言えるものでなくてはならないと思います。7カ年計画を踏まえた新しい計画ということですので、やはりそこにめり張りをつけるということが非常に重要になってくるかと思います。特に私が感じますのは、計画の中では、確かに目標として比較的数値を出しやすい、厚生労働省サイドは比較的にそうだと思うんですけれども、他省の分野だと、建設についてとか、あるいは教育についてだとか、なかなか数値目標にしにくいような分野もありまして、その辺、これからどう考えていくのか。せっかくこの内閣府でやっておられる検討なので、厚生労働省サイドの検討はもう社会保障審議会で十分議論できる範囲でありますので、そこを超えたところをどこまで盛り込むかということも一つ大きな形ではないかと思っています。
     大変恐縮でございますけれども、奥山大臣政務官、国会用務のためご退席されますので、ひとつよろしくお願いいたします。
     何か一言、よろしいですか。

    奥山政務官 はい。

    京極座長 途中で失礼しました。
     ということで、そういう数値目標にしにくものがあります。特に、私、最近感じていますのは、障害者の問題は、お世話するということを中心に体系が組まれているんですけれども、そのお世話という−−支援と言っていますけれども、障害者のやはり自立支援というのが基本ですので、障害者の自立ということを考えたときに、もっと働く分野ですね。働ける分野というか、それをもっと開発して、例えば職場での支援をどうするかとか、そういうのは意外に、この職場で、企業で決めればいいんだということになっているんですけれども、果たしてそうなのかなという。社会福祉施設だともう当然なんですけれども、一度民間企業に入ってしまったら、そこから先はもう障害者個人の問題で、周りは特段義務はないという世界に入るわけで、何か障害者問題は世界が2つあって、非常に完全に障害者を微に入り細に入り支援する世界と、完全に放り出している世界に、2つに分かれているのでありまして、そういうところをもっとつなげるような計画にしていかなくてはいけないのではないか。その計画でも強制的に−−企業関係の方は今回は余り十分に入っていないんですけれども、計画だからといって、国の力でもって微に入り細に入り強権的にやるということではなくても、奨励策なり、誘導策なり、何かあるのではないかと思っておりまして、そういう点で、他の先進国のいい例もございますけれども、何か新しい芽を出していただけないかと、こんなふうに思っている次第でございます。
     ちょっと蛇足でございますけれども、何かあれば。
     では、潮谷委員。

    潮谷委員 ちょっと気になっているんですが、先ほど鶴岡市長の方から、市町村が窓口という形で実施主体を定めていながら、実はこれでいいのかというような問題提起がありましたんですけれども、私もぜひ、この市町村が窓口というのは、ニーズ対応という点で非常に有効性を発揮すると思います。しかし、その有効性を発揮するということから考えてまいりましたときに、これまでの国の流れ方からいきますと、市町村窓口のレベルの問題で、せっかく国からいい施策が流れてきていても、その対応能力の弱さということで障害者サービスが住民になかなか届いていないという問題があります。ですから、新しい計画の中で、市町村自身窓口ということ、これは非常に大事なことですが、例えば、30万人に2カ所の相談支援事業というのが、今、国で障害者に対してのスタイルですけれども、そういった人口で切っていくという形も果たしていいのかどうか。むしろ、ケアマネジメント事業のような生活圏単位で実施すべき事業というのは、市町村を窓口にしてきめ細かくやっていく。しかし、施設の利用だとか、あるいは地域福祉の観点から考えたときに、広域に考えていくという領域は人口比で切っていくとか、あるいは一定の圏域で切っていくとかという、つまり、障害者福祉施策の中心的な課題は、障害者が自己選択、自己決定、これをどう私たちが援助していくかという点が、障害者とともに生活していくときの大事な視点だというふうに思います。つまり、利用者を中心に置いた障害者福祉計画というのが新しい滑り出しになってこなければならないと思いますので、やはりそういったときの利用者を中心に置くというアプローチの仕方の多様性ということも、私は一方では非常に大事になってこなければならないのではないか。
     それから、ケアマネジメントの問題も含めて、介護福祉の領域の中にありますケアマネジメントの弊害、これを障害福祉の中では克服する形でしっかりとやっていくということが大変大事ではないかというふうに思います。ケアマネジメントに個別性がきちんと利用できる視点がある、あるいは生活の質が意識されている、利用者自身が問題解決をしていくためのエンパワーメントに関しての援助能力があるとか、利用者の権利擁護、アドボカシーがしっかり意識されているとか、そういった要素をしっかり持ったケアマネジメントの位置づけ、こういったようなものがやはり新しい施策の中には出てこなければならないのではないかというふうに思います。
     一方向だけで、圏域でとか人口でとかという形ではなくて、ぜひ多様な形の中で、利用者中心に置いたアプローチというのが障害者福祉計画の中にまた持ち込められるということが大事だと思いますし、従来なかった形の中で、障害者の家族に対する支援、レスパイトの施策、これも新しい施策の中に入れていくことが大変大事ではないかというふうに思います。

    谷中委員 関連してですが、よろしいですか。

    京極座長 斎藤委員の方に先に出ておりますので、その後。

    斎藤委員 国連の第30回の総会で障害者の権利宣言が採択されたわけですが、あの中の1項目に、同じ年齢の一般市民と同等の生活環境を構築すべきだと、こういうふうな項目があるわけですね。これが、今まさに我が国でいろいろ言われております障害者の地域における自立生活なんだろう。この地域自立生活を可能にするために、いろいろなところで、いろいろな場面で、いろいろな話がされているわけですが、私は、そんなに難しい話ではないのだろうと。まず、いろいろな条件がありますけれども、3つの点を整理すると、障害者の方々の自立生活は成り立つんだろう。1つは所得保障です。1つは住まいですね。それからもう1つは、生活をするため、移動するため、就労するため等々の支援ですね。この3つの条件を整えると、障害者の地域における自立生活はそんなに難しい話ではない。
     1つ実例を紹介させていただきたいんですが、私のところで入所型の授産施設を持っておりました。これは、我が国の施設の運営基準で、8帖間に4人という生活環境が標準になっておるわけですね。これが本当にノーマルな生活環境かどうかということを我々法人で論じてきまして、5年前にこの40人の入所施設を廃止しました。地域に彼らの生活拠点を構築するために、働く場所−−これは先ほどからいろいろ一般雇用につながる話が出ておりますけれども、なかなか重度障害者の方の雇用はそう簡単に一般にはつながりません。そういった意味で、通所授産施設をつくりまして、そこを彼らの就労の場としてとらえて、所得保障をしている。
     この40人の方々が今、都下に住んでいるわけですが、5年ぐらいたちますが、何ら問題がないどころか、最初は法人で3人の支援スタッフをパートで雇いました。今は、それが1人で対応できるようになってきたということなんですね。ですから、今後、この基本計画を立てる上で難しいことを言う必要は何もないのだろう。所得保障をどうするのか、住宅等の住まいをどう確保するのか、それから支援体制をどう立てるのか、この話をぜひ具体的に数値入りでやっていただきたい。そうすると、1法人でも40人の方を地域に出すということができたわけですから。これを地域に出したことにおいて、入所施設の場合、都単で1億 3,000万円ぐらい年間措置があったんですが、通所に切りかえたら 5,000万円ちょっとになりまして、 8,000万円ほど公費の節減につながっているんですね。これに対して行政サイドからの支援は何もないんです。ですから、今ある各種施設がこういう形で移行するときのやはりバックアップ体制というのも必要なんだろう。そうすると、かなり施設や医療機関から地域に出ていくことができるのだろう。本当に難しい話をするのではなくて、具体的に地域生活を可能にするのであれば、そういうような話し合いをしながら基本計画を立てていただきたい。お願いします。

    谷中委員 今お二人の委員のは、私、全く同感です。先ほどちょっと細かいことに踏み込むかなと思って触れることを控えたんですけれども、ケアマネが今中心にどうしたらいいかということが問われていて、どこで実施するか、だれがやるか、それぞれ議論があって、まだまとまっていないところです。しかし、私は、地域生活支援センターがこれを担うべきだというふうに思っているんです。そして、今の話、30万に2つを、私は、30万のところにあと4つ加えて、6カ所。これでブランチをつくれば、5万に1カ所できるぞというふうに日ごろ言っているんですが、むしろ、市町村を中心に活動を担っていただくときには、どんなに人口が少なくても、市町村に地域生活支援センターが1つあるぐらいなものをまず持つ。これは、私、すごく重要だと思います。先ほど申しましたように、施設ではなくて、今度は在宅で、地域で暮らしていくための拠点、これが地域生活支援センターの重要な役割を担ってくると思うんです。
     そして、今もお話があった就労も、私は地域生活支援プラス就労だと言い続けていますが、それほどなニーズはありませんから、例えば、生活支援センターが、仮に、これは10万でも30万でもよろしいです。そこの単位の中に就労支援センターを1カ所、もしくは生活支援センターの中に抱き合わせで1カ所とか、そういうような計画を持つことと、それから大変重要な発言をしていただきましたが、その人なりの生活を保障していこうと、当たり前の生活を保障していこうということは、従来の施設ではなくて、今、私どもが一番欠けているのは住宅です。この住宅を提供するということ、あるいは公的保証人をきちんとすること、こういうような形で住む場所の提供。住む場所の提供をしていくことによって、ありとあらゆるサービスを開拓していく。例えば、お弁当を配達するとか、食事をつくる場をつくる、そんなことにもつながっていくかというふうに思います。
     これはちょっと難しいんですが、基本は所得保障を就労もしくは年金で上げて、これらのサービスを彼らが買うというふうな仕組みをきちんとしませんと、利用者主体というのはケアマネの理念であって、具体的には全部専門家が主導型というふうに、とても矛盾したものに現実的にはなってしまっております。やはり所得保障並びに年金のレベルアップ等で、今ご老人、精神障害を持っている方の高齢の方は、どうやら介護保険の中の仕組みから落とされております。やはりその分、所得保障を考えて、例えば老人のグループホームに精神障害の方々が堂々と入れるような、いわばそのサービスをきちんと買うというようなことの仕組みをしませんと、利用者主体というのは単なる理念で終わってしまうと思いますので、今のお二人の方に加えまして、私は、これから地域における支援体制の中心軸に地域生活支援センターをきちんと配置すること、その機能を明確にすること、ケアマネをきちんと実施できるような専門家の育成をすること、利用者主体という原則をここでは貫くこと、こういうことが新しい主軸として出てこないとならないのではないかというふうに思って、先ほどちょっと地域生活支援センターのことを言うと踏み込み過ぎると思ったんですが、今、皆さんの話を聞いて、何が要かということをきちんと定めるとなると、もう施設の時代ではありません。地域の中で生活ができる、その中心的な拠点をどこに定めて、だれがするかという問題をきちんとすべき時代になったかなというふうに思いましたので、追加させていただきます。

    京極座長 ありがとうございました。
     どうぞ。

    松友委員 繰り返しになるかもわかりませんが、育成会の松友です。基本的な、京極先生もおっしゃったように、いわゆる新しい計画であるとしたら、何が新しいか。1つが、これから10年、20年先の日本をどう展望するかということをベースにする中で、1つには、やはり今までの、これは決して谷中先生のと対立しなくて、延長することですが、いわゆる障害の特化されたサービスということを重点に置くのか、それを中心に置きながらも、いわゆる一般的な国民サービスの中で障害のあると言われている人たちのサービスをどう利用できるようにするか。これはユニバーサルデザインというか、ユニバーサルな発想だと思うんですが、私は、そのあたりをきちんと今回の中である程度一つの議論が必要なのではないか。いわゆるインテグレーションという形で、通常の中に障害のある人をほうり出す。そこでもって受けていく。統合という形でやってきたわけですけれども、ある面では予想どおり失敗した面もある。しかし、やはり地域の中で通常の人と一緒に生活すること自体の理念は、これはだれも否定できない。では、それをどういうふうに実現するか。
     ノーマライゼーションとか、いろいろなメーンストリミングと言われながら、そこにはやはり障害というものが−−いろいろさっきから出ていますけれども、やはり支援の必要な人であって、特別なニーズがある人である。そのときに特別な場所を用意していく、特別なやり方を用意するという形で対応してきたというところに一つの限界があって、その人の特別なニーズに対するスペシャルサポートを通常の場面でやってくるという、そういう転換が必要ではないか。私たち、それをインクルージョンという形で理解しているわけですが、まず、そういう基本的な戦略というか、その部分の転換が、私は今度の基本計画には必要ではないかというのが第1点です。
     第2点は、これはちょっと個別なんですが、これは多くの方がおっしゃった、いわゆる総合化、ゼネラリゼーションと総合化というのが流れとしては一緒であるわけですが、法体系とか、そういう意味における総合化と具体的なサービスにおける個別化というのが、どうも時としてごちゃごちゃになっている。これは、同じ身体障害、同じ知的障害といっても、最終的には一人一人の人生が違うわけで、ましてや障害の、あるいは年齢とか。ところが、意外と、総合化の流れ、かけ声の中で、さまざまな場面におけるサービスが十把一からげになりつつある。ここはやはり警鐘を鳴らしつつ、いわゆる全体的な法体系上の総合化と具体的なサービスにおける個別化というところのバランスをきちんと押さえていかないと、これは結果としてはとんでもないことになるのではないか。これが第2点です。
     3点目は、潮谷委員もおっしゃっていたように、やはりこれからの日本の社会、かけ声のしょっちゅう言われているのは、やはり少子・高齢化社会と言われているわけですね。もう少子化も、先日のように非常に進んできている。その中で、家族の機能が弱ってきている、もういろいろな意味で。そして、先ほどの扶養義務も、それゆえに外してくれということなんですが、やはり家族というものの見直しというか、いい意味での、新しい、いわゆる家制度における家族ではなくて、新しい市民社会の中における家族の役割、あるいはその意義といいますかね。そのためには、やはりレスパイトサービスを含めた家族支援というか、それが特に幼児期からずっと用意されなくてはいけない。ややもすると、障害そのものを軽減したり、そこに力が置かれ過ぎて、家族全体がその子供を支えていく、そして大きくなったら一人として自立していけるようにするという、そういうサポートの視点が非常に弱いのではないか。どこにも訓練、更生という形でやられてきた、特に幼児期の対応等を大きく転換し、児童期等においても、やはり子供の問題が非常に弱くなっているとともに、いわゆる家族の持つ発達機能、障害者に対する家族、親たちの強圧的な部分が反発を受けているわけですが、そうではなくて、やはり家族の持つ機能であるとか、要するに家族が中心になりながら幸せな社会を構成していけるようなサポート、支援形態を考えていかないと、我が国の社会は10年、20年後どうなるのかという部分に非常に暗然たる感じがするんですね。ですから、改めて、今までの施策とともに、やはり社会がどのように変化し、どこに対して強力なサポートをせないかぬかというあたりの分析の中で、新しい基本計画というのは出てくるのではないかなという感じがいたします。繰り返しですけれども、よろしくお願いします。

    京極座長 まだ発言なさっていない方、どうでしょうか。松尾委員とか宮原委員、村上委員等ですね。それから……。
     では、君塚委員。

    君塚委員 君塚ですけれども、今の松友先生の話に付言していきたいんですが、少子化の問題と絡めて、遺伝のない障害の子供を持った若い家庭が次の子を産むときに、とても迷っている。数値は統計的には持っていないんですけれども、多分、障害児を持つ家庭の子供の数は少ないのではないか。安心して次の子を産めるような医療、福祉の総合的な対策を今まで進めてきたのが、ここに来てブレーキがかかってきている。例えば、レスパイトケアは今まで順調に伸びてきたんですけれども、利用料の自己負担のために、ここに来て利用者が減ってきているという状況がありますので、その辺、少子化を絡めながら、ファミリーサポートという点から、総合的な観点に特に焦点を当てて対応策を検討していただきたいと思っています。

    北浦委員 北浦でございます。今それぞれの委員の先生方のお話を伺っていまして、やはり自立できる−−例えば、所得があり、住宅を提供された。さまざまな支援があって、そしてそこで自立できるという方々のことは、ぜひそういうふうにして差し上げていただきたいんですが、実は私の次男が、健康に生まれたんですけれども、種痘を接種したために、種痘のために脳炎を起こして、右半身が麻痺になり、知的にも、けいれんが多くて非常に難しい症状になったんですが、今現在55歳になって、施設入所しましてちょうど30年になるんですけれども、職員とのコミュニケーションの中で、48歳で絵をかくようになったんですね。そして寝返りを覚えて、ころころころと転がれるようになった。このことで職員がすごく生きがいを感じて、本当にこの子供たちに教えられてしまうと言って、自分の生きる道を見つけていく職員もあるわけですね。ですから、施設を真っ向から否定するのでなくて、やはり必要な者には施設は絶対必要なんだと、この点はもう絶対お忘れないようにお願い申し上げたいと思います。
     それで、笹川委員でいらっしゃいましたか、費用負担。このことは所得に応じて本人が払うようにするべきで、制度上そうあってほしいと思いますけれども、私のちょっと一つ心配なのは、松友委員のおっしゃった民法による扶養義務を廃止するということは、実は、この間、ある健常者のグループがありまして、「こういうふうに障害者団体で言う人もいるのよ」と言いましたら、「それなら障害者は勝手にしたらいいのではないか。みんな他人に押しつけるのか」という言葉が返ってきて、私もびっくりしたんですが、この扶養義務を外すということは、やはりそれだけの社会の概念がそこに来ないと、障害者の方からそれを言い出すということは、逆作用が起こるという意味で少々私は心配しているところでございます。
     以上でございます。

    宮原委員 今、通信の世界というのは大変大きな変革の時期に来ているということでございますが、通信の歴史が 100年という中で、これまでずっと政府の規制というもとの中でサービスが行われてきた。提供条件も、許可であったり届け出であったり。それが、今度は届け出も廃止になるとか、そういうことになってまいりますと、要は、いわば競争自由という環境になってきたわけですが、そうした中で、政府、事業者、消費者の新しいルールづくりといいますか、そういう新しい環境の中でのルール作りというのは今非常に大きなテーマでございます。この前、情報通信審議会の競争政策とか、いろいろな答申の中で、消費者支援という、支援策というものがこの答申の中に含められておりますが、総務省の中での消費者支援に関する研究会という場も設けられて、報告が出て、それが審議会の答申の中に反映されているんですが、結局、いろいろなサービスが、いわば条件とか質とか、そういうものが確定していない。料金も確定していない。そういう状況の中で、現実問題として苦情だとか相談というのは大変たくさん出てきている。それは専門家の不足だとかいろいろな条件があるんですが、そういったいろいろなもろもろの問題というのは、こういう新しい環境の中で、新しいそういった意味でのルール作りをしなければいけないということでございますので、私どもとしても、ここでのいろいろな議論というものを、そういった消費者支援のいろいろな全体の施策の中でどういうふうに位置づけていくか、十分検討させていただきたいなと、こんなふうに思っております。よろしくお願いいたします。

    京極座長 松尾委員。

    松尾委員 この新しい障害者基本計画につきましては、最初に考えることは、やはり総論の部分で未来を思考した新しい考え方を示すことだと思いますけれども、そういう点で、秋山委員がおっしゃったことと私は非常に共感するところが多いんです。障害者の方にとって住みやすい町というのは、子供や老人にとっても住みやすい町であると思いますので、狭い意味のそういう障害者の対策ということを考えますと、需要は無限でございますけれども、リソースは限られているわけなので、いつまでたっても満足すべきものはできないわけですから、一番最初に論ずべきものは、もう少し障害者という視点を超えた広い考え方を議論すべきではないかというふうに思います。

    京極座長 竹中委員。

    竹中委員 きょうは、実は、最後までいろいろ聞かせていただくのにちょっと徹して、次のときにと思っていたんですけれども、プロップ・ステーションは障害のマイナスの部分を数えるのではなくて、障害に限らないんですが、人間のマイナスのところを数えて、そこを何か補っていく福祉ということそのものが、もう転換期に来ているのかなというのが活動の一番大きな根っこにあります。マイナスの部分を数えるだけではなくて、その人に残されたプラスの部分をどれだけ世の中に引き出すことができるのか。それを私たち当事者側から、自分たちでどんなことがどういうふうにすることでその答えが出せるのかというのをやってきた、この10数年間だったんです。
     今の皆さんのお話を聞いていても、やはり要望といいますかが大変多いんですけれども、私たちは、自分たちでそのモデルを創っていきたいなというふうに考えて、特に福祉関係者と言われる人たちだけではなくて、企業をどこまで巻き込むことができるのかというところを着眼に置いてやってきました。働くという、就業というのが私たちの大きなそういう意味でテーマなんですけれども、やはり法定雇用率というか、正規雇用というか、その形しか、いわゆる国の働くことに対するサポート、あるいは企業に対するプッシュがないというのが、私は、いろいろな働き方、多様な働き方を推進できていない理由の大きな一つかな。
     そういう意味で、プロップ・ステーションでは、在宅で家族の介護を受けながらでも、施設の中でも、あるいは筋ジス症のような方が病院のベッドの上でもというような形で、自分の力を発揮したいのであれば、科学技術、特に最近発達してきたITですね。そういうものを使って自分の最大限の力を出せる。足りないところは、これはいろいろなさまざまな意味の社会の支えが要るのでしょうけれども、少なくとも、その人が1日1時間であれ、あるいは非常に体の調子のいいときだけであれ、それが春と秋だけであったりしても、それでも自分は社会を支える一員である、あるいは誇らしい存在であるということをやはり自覚できる、そういった自分の誇りを取り戻すことができるところに私たち自身も活動の方向を持っていきたいし、それを企業、あるいは行政の皆さんともご一緒に進めていきたいなということで、次回はぜひ私たちの活動のもう少し具体例も含めてお話できるように準備したいと思っています。

    京極座長 ありがとうございました。
     丸山委員、お願いします。

    丸山委員 丸山ですが、今の竹中さんの意見に大変共感を覚えます。この計画は、今までずっと障害者への支援策についてのあり方ばかり出てきておりますけれども、これまで障害を持った人たちが貢献したことといいましょうか、特にまちづくりなどに、非常に安全な町をつくるのに大変な貢献をしてきております。ノーマライゼーションの理念というのをこの計画で掲げておりますけれども、やはり障害の側のといいますか、側の貢献というのをいかにもっと促進するかということが大事なことではないかと思います。そういう意味では、新しい計画の中では、やはり障害を持った人たちが地域に住むことのよさといいましょうか、住むことの貢献というのを少し強く出して、それを支援するような計画というような位置付けにもしたらどうかというふうに思います。
     精神障害の問題についても出ておりますけれども、精神障害の人が地域に住むことの大切さ、よさというのをやはり出していく必要があろうというふうに考えております。それは、先ほど新しい日本の社会のプラスになるというような意見が出ておりましたが、そういうような観点がやはり必要ではないかというふうに考えます。

    京極座長 ありがとうございました。
     ほかに、まだご発言なさっていない……。村上委員、どうですか。いいですか。

    安藤委員 先ほど京極座長さんから、文部科学省など数値目標が出しにくいというようなお話がありましたけれども、これについてはちょっと考えるんです。社会福祉の構造改革の中で、私、政府の方向として出された内容に、障害者の自己選択と決定の方向があるんですけれども、今後、この障害者自身の自己選択と決定が基本になっていくと思うんです。つまり、今までの福祉、労働、行政から大きく踏み出した、政府一体への方向として受けとめていかなくてはならないのではないかと思うんです。この自己選択と決定が可能な障害者の自立を社会的に、政府一体的にどうサポートしていくか、その仕組みというものを方向付けるということを、また、その選択ができないような障害者の皆さんにどれぐらい手厚く支援していくかということを大きく分けると、2つの方向になるのではないかと思うんです。そういう意味で、今までの福祉、行政のあり方というものを見直す必要があるのではないのでしょうか。
     つまり、一つの例として、私たちの手話ですけれども、手話というのは本来言語のものであって、文部科学省などが積極的にといいますか、研究し続けていると思うんです。少し行政の中で進んできたわけですけれども、今後、この手話についても政府一体としての面というか、文部行政の中できちんと方向付けていくというような考え方を持たないと難しいのではないかと思うんですけれども、数値目標というものは、そのように単に数字を出すということではなくて、その省の基本的な方向として出していくというようなこと、それが正しいものではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。

    京極座長 谷中委員、どうでしょう。

    谷中委員 また発言して申しわけありませんが、今、何人かの委員の方、私、全く同じ考え方を持っておりまして、今、私は北海道にいるから特にそれを強く意識するのかもしれませんが、浦河であるとか、私、北海道医療大学のある当別であるとか、過疎である、不況である。アルコールの問題とか子供の虐待の問題が、こちらの都市部よりもかなり顕著に見られて、それに対する対応、あるいは対策は、ひょっとすると東京よりも進んでいる部分もあるんです。そんなことから考えますと、私は、どうも障害を持っている、この方々のために何とかしようというような発想で今まで来ましたが、この町をどうしようかということの全体的なことの中で、ひょっとすると、精神保健福祉でやってきた活動が、そのことをお助けするという時代がどうも来ているみたいなんです。さっきどなたかが触れていましたが、障害を持っている方がその町で住んでいると、彼らのゆっくリズムであるとか、彼らの分かち合うといいますか、やさしさとか豊かさとかいうものを今もう一度気づかされて、今まちづくりがチェンジしている。これを考えますと、今、この年、今年と来年は、私は歴史の大きな節目だというふうに思っております。それは、先ほど申しましたように、ノーマライゼーションを具現化するための一つのステップの第一であるということと、それから、障害を特殊化しないで、ごく当たり前の生活をみんな一緒に共有するという、共存するということ。ただ、専門家の意識が一番変わらなければいけないときに、すなわち利用者中心というような形に切り替えなければならないのに、一番遅れているのは専門家の意識ではなかろうかというふうに思いますし、それから、ひょっとすると、今後の障害者基本計画の中に、やはり主人公は障害者をどうしようかということを置かれると、違うのではないだろうかな。国民全体が今どういうふうに今後の日本を考え、その中で障害者とともにどう生きていくかという、むしろ、障害者の生き方によって学ばされてこれを組み立てていくというふうな、これまた大きな意識の転換をしないと、さっきノーマライゼーションの具現化ということは、ただ理念だけで、具体化できないのではないだろうかというふうに思いましたので、ちょっと追加させていただきます。

    京極座長 どうぞ、村上委員。

    村上委員 次回あたりと思っていたんですが、皆さん方が余り言われなかった問題で一つ申し上げたいんですが、いろいろな新しい時代にふさわしい、新しいプランをつくろうということ、それは私も大賛成であります。ただ、危惧しておりますのは、どうも、ここのところ、社会保障トータルが財政事情によって非常に縮小されてきている。このことが、ある意味で障害者のいろいろな対策にも影響を与えてくる可能性がある。私は、日本の社会保障をずっと見てみますと、年金とか医療とか、そういうものはある程度の水準に来たと思っています。しかし、いわゆる社会福祉という部分が諸外国に比べては非常に遅れていたんですね。特に、私なんかから見ますと、障害者の皆さん方へのいろいろな対応が遅れている。そこは、やはり今後、日本としては強化しなければいかぬ大きなものだと思っているんですけれども、どうも、いろいろなことを、例えば、先ほど来言っているように、所得保障とか住宅の問題、支援体制、いろいろ取り組むにしても、これはやはりお金が必要なわけでありまして、やはり我々がここのプランを創るときに、どうお金をつけていくことを考えながらやっていくか。それをやらなければ、研究開発にしてもどうにもならないだろう。また、自治体にしても、自治体自身もいろいろ財政が厳しい事情がありますから、そこを我々として、ここにこういうことでお金をつけるべきだということがきちんと発信できなければ、やはり絵にかいたもちになってしまうと思います。そこは我々としてもきちんと議論してやっていくべきではないかということを一言申し上げておきます。

    京極座長 ありがとうございました。
     いろいろな観点から活発にご議論いただきまして、ありがとうございました。
     ちょっと時間が来ましたので……。
     ごめんなさい。済みませんでした。

    鹿島委員 慶應の精神神経科の鹿島でございますが、今、精神医療でお話しされた多くの先生方の意見は全くそのとおりだと思いますけれども、精神医学の立場から2点だけ申し上げます。
     1つは、前から出ておりますが、精神障害の定義の問題で、これは確かにWHOの障害分類でICFとの整合性の問題がございます。
     また、幾つかの精神障害にあっては、疾患と障害の区別が特に難しいことがございます。医療との関係の深い疾患、それから福祉との関係の深い障害というものの区別が非常に難しい部分があって、その意味では、個別的な考え方というのも大変必要だろう。それから、新しく対象となる障害としては、先ほどLDがございましたけれども、先ほども出ました若年の、いわゆる高次脳機能障害とか、そういう方もぜひ含めていただきたい。
     それからもう一つは、治療と予防のことで、教育と研究に関するサポートが欲しい。特に、教育に関しましてはアンタイスチグマキャンペーンとの関連もございますけれども、ただ、これはかなり慎重にやらないといろいろ難しい問題もございます。教育と研究の部分でのサポートを総論的にはお願いしたい。
     その2点でございます。

    京極座長 済みませんでした。どうもありがとうございました。
     それでは、時間の関係で、次回、内閣府から基本的な考え方の骨子案というものについてご説明していただきまして、それに基づき意見交換をしたいと思います。
     また、私からのご提案でございますけれども、本懇談会には、知的障害のある方、精神障害のある方が参加されておりませんので、次回の懇談会では、これらの方々からご意見を伺う機会を設けてはどうかと考えておりますが、いかがでございましょうか。

    (「異議なし」と呼ぶ者あり)

    京極座長 それでは、ご賛同いただきましたので、そのようにさせていただきます。
     つきましては、どなたかお心当たりのある方がいらっしゃいましたら、事務局にご連絡をお願いいたします。
     それでは、時間も参りましたので、本日の懇談会はこれにて終了いたしたいと思います。
     なお、次回の開催日時につきましては、事務局で調整させていただき、後日ご連絡させていただきます。
     これをもちまして、きょうの懇談会を終了させていただきます。ありがとうございました。

    午前11時41分閉会


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