新しい障害者基本計画に関する懇談会(第5回)議事録

1.日時
平成14年10月2日(水) 10:00~11:46

2.場所
中央合同庁舎第4号館 共用第4特別会議室

3.出席者

江崎政策統括官
大前大臣官房審議官
吉冨参事官
諸橋参事官
池末 亨 (財)全国精神障害者家族会連合会常務理事
伊藤 勇一 全国身体障害者施設協議会副会長
雄谷 助成 (財)日本知的障害者福祉協会会長
鹿島 晴雄 慶應義塾大学医学部教授(日本精神神経学会理事)
北浦 雅子 (福)全国重症心身障害児(者)を守る会会長
君塚 葵 全国肢体不自由児施設運営協議会理事
座長 京極 高宣 日本社会事業大学学長
兒玉 明 (福)日本身体障害者団体連合会会長
斎藤 公生 全国社会就労センター協議会会長
笹川 吉彦 (福)日本盲人会連合会会長
竹中 ナミ (福)プロップ・ステーション理事長
比留川 実 (社)電気通信事業者協会専務理事
細村 迪夫 独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長
松尾 宣武 国立成育医療センター総長
松友 了 (福)全日本手をつなぐ育成会常務理事
松矢 勝宏 東京学芸大学教育学部教授(日本障害者雇用促進協会評議員)
丸山 一郎 埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科教授
村上 忠行 日本労働組合総連合会副事務局長
山内 繁 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所所長

4.議第

  1. 開会
  2. 意見発表
  3. 新障害者基本計画骨子(案)について
  4. その他
  5. 閉会

5.配付資料

  1. 新障害者基本計画骨子(案)
  2. 各委員からの意見

6.参考資料

  • 新障害者基本計画骨子(素案)
  • 障害者施策に関する計画の策定等の状況
  • バリアフリー化推進功労者表彰

午前10時00分開会

○京極座長 定刻になりましたので、これより新しい障害者基本計画に関する懇談会の第5回目を開催いたします。
 なお、統括官は、少しおくれる予定でございます。
 委員の皆様方におかれましては、ご多用中のところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 初めに、比留川委員が宮原委員の後任としてご出席でございますので、ご紹介いたします。

○比留川委員 今度、電気通信事業者協会の専務理事になりました比留川でございます。宮原の後を受けまして、この会の委員をさせていただきます。よろしくお願いします。

○京極座長 本日は、秋山委員、安藤委員、河端委員、紀陸委員、潮谷委員、清野委員、鶴岡委員、谷中委員がご都合によりご欠席でございます。
 議事に入ります前に、内閣府から、地方障害者計画の策定状況及びバリアフリー化推進功労者表彰についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○吉冨参事官 それでは最初に、地方障害者計画の策定状況についてご説明をいたします。参考資料の2をごらんください。こちらに資料がお配りしてございます。
 概要をご説明申し上げますと、この調査につきましては、障害者基本法で障害者計画についての規定が盛り込まれたということを踏まえまして、毎年、内閣府でその策定状況を調査しまして、公表しているところでございます。
 最初の総括表をごらんいただきたいと思いますけれども、市町村計画の平成13年度末の策定状況を見ますと、策定率は83.7%ということになっております。これは対前年度比で10%近い増ということでございまして、着実にこの計画の策定は進んでいるということがいえるのではないかというふうに考えております。
 ただ、これを人口規模で見ますと、その次のページをごらんください。3番目のポツで、「p9」とございますのは、その後についてございます調査結果全体の資料のページでございますけれども、人口規模別に見ますと、2万人未満の市町村での策定率が低いというような結果が出ております。他方、人口のカバー率で見ますと、対象人口の94.5%がカバーされているということでございます。
 その下をごらんください。この結果としてわかりますのは、小規模市町村、人口が小規模の市町村の計画の策定に立ちおくれが見られるということがわかるわけでございます。今年度中に策定を予定している市町村を加えますと、本年度末には92%近い市町村で策定が終了する見込みでございます。
 次に、資料ナンバーは付してございませんが、「障害当事者からの意見・要望への対応状況等」というペーパーをご用意してございます。これは先般、本懇談会の席上、障害当事者の皆さんからご意見を伺う機会を設けましたけれども、そのご意見なり、ご要望に対しまして、政府としての対応状況、あるいは今後の対応の考え方がどのようになっているのかということにつきまして、障害当事者ご本人にご返事を差し上げるということで用意をしたものでございますが、ここに整理をしてございますような内容で、既に障害当事者の皆様方にはご返事を差し上げてございます。ご参考までにご一読願えればと存じます。
 もう1つ、これも資料ナンバーが振ってございませんけれども、「ESCAP『アジア太平洋障害者の十年』最終年ハイレベル政府間会合について」という資料をご用意しております。これは、これまでも本懇談会の席上ご紹介をしてまいりましたが、アジア太平洋障害者の10年の最終年である本年10月に、下にございますように滋賀県で、ESCAPのハイレベル政府間会合が開催される予定でございます。現在のところ、250名近い各国政府代表、あるいはNGO、そういった関係者の参加登録があるように聞いておりますが、まだまだこれはふえる見込みでございまして、最終的には400人近い参加があるのではないかというふうに私ども考えております。
 なお、本会合につきましては、政府間会合でございますので、政府代表が中心になった会合でございますが、ただ、できるだけNGOほか関係者の皆様の参加によってこの会合を進めてまいりたいというふうに私ども考えておりまして、本懇談会の委員の皆様につきましても、参加のご希望がある場合には、これは参加資格としましては、オブザーバーとしての参加になりますけれども、私どもの方で対応したいというふうに考えております。ご希望の委員の皆さんがいらっしゃいましたら、私ども事務局の方にその旨ご連絡を願えればというふうに考えております。
 以上でございます。

○京極座長 続きまして、バリアフリー化推進功労者表彰につきましてお願いいたします。

○諸橋参事官 総合企画調整担当統括官付の参事官の諸橋でございます。よろしくお願いいたします。
 バリアフリー化推進功労者表彰要領、表彰制度につきまして、ご紹介をさせていただきます。これはバリアフリー社会の実現のために、国としても今までさまざまな取り組みをしてきたところでございますが、国の施策だけでなくて、社会全体が主体的に取り組むことが必要であるという問題意識から、すぐれた取り組みが広く普及していくように、モデルとなるような事例を表彰するという制度を今年度から設けまして、実施をしておるところでございます。
 お手元の参考資料の3をごらんいただきたいと存じます。まず1枚目おつけいたしましたのは、この表彰の要領でございますが、目的といたしましては、高齢者、障害者を含むすべての人が、安全で快適な社会生活を送ることができるように、社会全体のバリアフリー化を効果的、かつ、総合的に推進するということを目的としておりまして、表彰者は、3にございますように、内閣総理大臣表彰と内閣官房長官表彰の2つを設けてございます。
 次のページをごらんをいただきまして、2ページに「参考」ということで、これに限るということではありませんが、こういったことを想定しておるということで、資料としてつけさせていただきました。
 大きく分けまして、「施設の整備」と「製品の開発等」、それから「推進・普及のための活動等」、こんな3つの分野に分けられるのではないかなということで、「施設の整備」につきましても、施設、建物、あるいは交通機関、道路、公園。それから「製品の開発等」。それから「推進・普及のための活動等」の方も、例えばマップの作成とか、旅行や買い物等のボランティアとか、そういったようなことを予定して推薦を関係機関からいただいたところでございます。
 3枚目におつけしてございますのは、さきに、9月の26日でございますが、今年度の表彰が決まりまして、官邸におきまして表彰式をさせていただきました、その一覧でございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入らせていただきます。お手元に委員の皆様からあらかじめ文書の形で提出いただきましたご意見をお配りしてありますが、内容について何か補足することがありましたら、手短にお願いいたします。いかがでしょうか。

○村上委員 ちょっとよろしいですか。私は意見書を出させていただいていますが、ちょっと認識について申し上げたいわけであります。
 私の認識としては、日本において非常におくれていた分野として、社会福祉が相当取り残されてきた。中でも障害者対策というのはおくれてきただろうということから考えますと、これまでの計画とは相当変わったというか、この延長線上の新しい計画ではだめであり、やはり思い切った内容とすべきである。特に国際社会も、この問題について取り組みが相当進んできています。それを先取りするような形で、日本が計画策定すべきだというふうにも思っております。そういうふうな思い切った内容にすべきだということをまず申し上げたいわけであります。
 それから、この種の計画というのは、普通の人が読むと、非常にわかりにくいものになりがちであります。普通の人が読んでわかりやすい計画でなければ、理解もされないし、普及も進まないということでございますので、わかりやすい内容にすべきだということを追加して申し上げます。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。かなり詳しい村上委員からの意見がついておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日は、これまで各委員から出されたご意見等を踏まえて修正された新障害者基本計画骨子案が提出されております。初めに、内閣府からご説明いただき、その後意見交換に入りたいと思います。
 なお、先般、福祉新聞9月23日付社説で、この基本計画骨子案というのは、今回初めて出ておりますので、今までは事務局の仮題として「骨子(素案)」というのがありましたけれども、これは会議が始まる前に論点整理として出されたものでありまして、それに対して何かいろいろ批判が社説で出ておりましたけれども、ちょっと見当外れなんで、今度初めて骨子案が出るということで、これを大いにもんで肉づけをしていくということでございますので、念のために申し添えておきます。
 それでは、事務局からご説明をお願いいたします。

○吉冨参事官 それでは、本懇談会でこれまで各委員から出されましたご意見を踏まえまして、これまでの「骨子(素案)」から変更をいたしました点についてご説明をしたいと思います。参考資料の1で、「基本的考え方」と「基本的な方針」についての素案としてご提出をしたものを参考としておつけをしてございます。必要に応じ、ご参照願えればと存じます。
 まず今回の骨子案についてでございますが、まず基本的な方針につきましては、素案段階で「基本的考え方」、「基本的な方針」としてまとめておりましたものを、「基本的な方針」と「重点的に取り組むべき課題」という形に組み替えてございます。「基本的な方針」では、初めに計画策定の基本的考え方といったものを記述してございます。
 まず最初にこれからの社会の在り方としまして、だれもが相互に尊重し、支え合う共生社会とすることが必要であること。また、このような社会におきましては、障害者は社会の対等な構成員として責任を果たしながら、社会に参加、参画するとの考え方を述べております。
 次のパラグラフでは、共生社会の実現のためには、障害者の活動や参加を制約しております諸要因を除去しますとともに、その能力を最大限発揮して、さまざまな機会に果敢に挑戦して自己実現できるよう支援することを述べております。このような1人1人の人間を大切にする人権尊重、能力発揮社会は、障害者の社会への貢献の道を拡大し、社会の活力の裾野を広げるという観点からも重要であるというふうに考えております。
 共生社会の実現は、社会の構成員がそれぞれの立場で主体的に取り組むことが重要でございますが、そのためには、国民の理解と協力を深めるための取り組みが特に重要な課題になるのではないかというふうに考えております。最後のところで、この基本計画は、政府が関係者の理解と協力の下に取り組むものであることを述べております。
 これが最初の「基本的な考え方」でございますが、次に2ページをごらんください。2ページには、「社会のバリアフリー化の推進」を初めとしまして、4つの事項を掲げておりますが、これらは、この基本計画で取り組むべき横断的視点といったものを掲げたものでございます。これまでの懇談会のご議論等を踏まえまして、ポイントだけご説明をしたいと思います。
 まず2番目の「障害の特性を踏まえた施策の展開」の2番目のポツでございますが、これはどういうことかと申しますと、一部の自閉症や高次脳機能障害等といった、これまで障害者施策の対象になっていなかったものも、その必要性を考えながら、今後対象とする必要があるのではないかということを述べたものでございます。
 3番目の「利用者本位の支援」につきましては、市民団体との連携、協力が重要であるという考え方を示しております。なお、素案で掲げておりました重点施策実施計画につきましては、推進体制のところで取り上げることといたしました。
 次に、3ページの「重点的に取り組むべき課題」でございますが、これは前にお示しをしました基本方針の「骨子(素案)」の内容のうち、政策課題として重要なものを取りまとめて掲げたものでございます。ここもポイントだけかいつまんでご説明を申し上げます。
 「活動し参加する力の向上」としてまとめました項目は、障害者本人の人的な側面に着目したものでございます。この中で、これまで再三にわたり委員からご指摘のございました、予防のところで、児童虐待を重視して明示的に取り上げるべきであるというご意見がございましたが、この点につきましては、骨子案では取り上げませんが、計画案を成文化する過程で言及をしたいというふうに考えております。
 なお、「ITの積極的活用」の中の「住民相互のネットワークの構築」の部分につきましては、障害者本人の人的な側面に着目するという観点からは、若干趣旨は異なるわけでございますが、便宜上、委員からのご指摘もあったということで、ここで整理をさせていただいております。
 次の「基盤の整備」でございますが、ここは障害者が地域において「自立して生活するためのソフト、ハード、両面の基盤整備」と「経済的自立基盤の強化」を取り上げてございます。
 「地域基盤の整備」の部分では、支援体制作りにつきまして、障害者本人、ボランティア、地域住民の参加の下に行うこと。そしてまた、これも各委員から強いご指摘がございましたが、家族支援についても積極的に取り組むという趣旨を盛り込みたいというふうに考えております。
 そのほか、「精神障害者施策の取り組み」や「アジア太平洋地域におきます域内協力の強化」について取り上げたいと考えております。
 次に、「分野別施策」についてでございますが、この部分につきましては、前回の懇談会でお出しをしました「骨子(素案)」と変更のある点を中心にご説明をしたいと思います。
 まず最初に、5ページの「啓発・広報」の部分でございますが、(2)のaの部分で、「啓発・広報活動の推進」につきまして、「マスメディアの協力を得て、新聞、放送等の広報媒体を通じた広報活動を推進する。」ということを追加をさせていただいております。
 また、最近のITの急速な普及で、ホームページによる情報量の大幅な増大といったようなことも踏まえまして、ホームページの活用ということも盛り込ませていただきました。
 次に、「生活支援」の部分でございますが、6ページの2の(2)のbの部分で、「在宅サービス等の充実」がございます。ここでは在宅サービスの例示としまして、働くことのできない障害者の方に対する対応と、生きがいでございますとか、社会参加といったような視点での取り組みをぜひ取り上げてほしいといったようなご指摘がございましたが、そういったご趣旨も踏まえまして、在宅サービスの例示として、デイサービスを明示させていただいたということでございます。
 そしてその下にございますが、「所得保障」の部分につきましては、これは雇用・就労がこれからは大変重視をされなければならない。つまり、雇用・就労の促進と障害者の方が自立をして働くことによって、所得の嫁得能力を高めていくという視点を重視すべきであるといったようなご議論もございましたので、その点もここに加えさせていただいております。
 次に、7ページをごらんください。cのイの「施設の在り方の見直し」の部分で、これは語句の整理でございますが、「医療ケア」の部分につきましては、「医療サービス」といったような用語に修正をしてございます。
 あと、「専門職種の養成・確保」の部分で、資格制度の趣旨といいますか、そういったものに即して並べ替えを行いますとともに、保育士を例示として掲げたということ、そしてまた、こういった専門職種の積極的な活用についても盛り込んだということでございます。
 次に、8ページの「生活環境」の部分でございますが、ここでは「基本方針」のところで、災害対策の重要性についても言及すべきではないかというふうに考えまして、この部分を追加させていただいております。
 そしてまた、(2)のbの3番目のポツの部分でございますが、情報提供につきまして、障害特性に配慮した情報提供に心がけようという趣旨を盛り込ませていただいております。
 cにつきましては、「障害者等が利用する施設」ということになると、どうしても障害者関連施設、いろいろないわゆる法定の障害者施設のようなものが想像されるということで、もう少しここを広げまして、「等」という字を加え「障害者等が利用する施設等」としまして、そういったいろいろな施設そのものについて、防災対策を引き続き進めていく必要があるのだということを示させていただいたということでございます。
 その次の9ページでは、これは障害者が参加した地域での防災の取り組みに触れるべきではないかといったようなご指摘を踏まえまして、地域防災計画に障害者関係団体が参加をして取り組んでいくという趣旨。そしてまた、その下にございますが、緊急通報につきまして、ファックスを利用したというようなことで前回はお出しをしてございますが、ここは最近の状況を踏まえまして、「Eメール等」ということで、Eメールによる緊急通報体制を構築していくことについても検討していこうというような趣旨で盛り込みました。
 あと、12ページをごらんください。ここでは「障害者の創業・起業等の支援」という部分を盛り込ませていただいておりますが、これは前回の懇談会でも、雇用という観点だけではなくて、障害者のそういったチャレンジ精神を支援するという観点からも、創業・起業についての支援ということを考えるべきではないか。特に内閣府での本格的な障害者基本計画の策定ということで、政府全体としての取り組みという観点から、従来、どちらかというと、厚生労働省に偏重していたこういった取り組みにつきまして、経済産業省等、関係省庁も含めた総合的な取り組みというものを進めていく必要があるのではないかというご指摘がございました。
 そういったような趣旨を踏まえまして、この部分を追加をさせていただいたということでございます。この「創業・起業」の部分につきましては、いろいろ関係省庁とも相談する中で、なかなかまだその芽が余り芽生えてないということもございまして、これからそういったところをどのようにインセンティブを与えていくのかということについても、これからいろいろな取り組みを進めていく必要があるのではないかという実感を持ちましたが、関係省庁とも十分連携をとりながら、政府全体としてこの取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
 そのほかは、13ページの「保健・医療」のところでございますが、ここは「専門職種の養成・確保」のところで、義肢装具士を新たに追加をさせていただいたということと、精神科あるいは児童精神科といったような専門用語の使い方につきまして、不適切ではないかというご意見がございまして、そういったことを踏まえまして訂正をさせていただいております。
 次に、14ページの「情報・コミュニケーション」の部分ですが、ここで「基本方針」のところで、「障害特性に対応した情報提供の充実を図る。」という部分を加えさせていただいております。この「情報・コミュニケーション」につきましては、どちらかというと、聴覚障害にちょっと偏重した印象があるといったようなご指摘もございました。そういったようなことで、そうではなくて、あらゆる障害について、その特性に対応した配慮が求められるという趣旨を述べたものでございます。
 「施策の基本的方向」のところでは、まず「情報バリアフリーの推進」につきまして、これも言葉の問題でありますが、「情報リテラシー」という片仮名文字を使っておりましたが、ここは「情報活用能力」ということで、わかりやすい表現に改めたということ、そしてまた、障害者の使いやすいIT機器・システム、サービスの開発・普及等につきましては、「国際規格に基づいて」という部分を加えさせていただいております。
 これは、より具体的に書いたということでございますが、この国際規格につきましては、ISOという国際標準化機構と、IECという国際電気標準会議というのがございまして、この両機構会議でガイド71というものを策定しております。これは標準規格の作成におきまして、高齢者、障害者のニーズへの配慮をするべきである、配慮しようといった内容のものでございますが、そういう具体的な記述を加えさせていただいたということでございます。
 「情報提供の充実」の部分につきましては、例示を挙げさせていただきまして、具体的な表現にしたということ、その中で、特に字幕番組とか、手話番組にとどまらず、解説番組といった、視覚障害者の方を対象とした、そういった配慮につきましても加えさせていただいております。
 あと、その下の「コミュニケーション支援体制の充実」につきましては、要約筆記を明示させていただいたということと、手話につきまして、国民ができるだけそういった手話というものを勉強して、特に例えばデパートでありますとか、鉄道駅でありますとか、そういった公共の場におきましては、公共の場といいますか、多数の人が集まるそういった場におきましては、できるだけ職員の皆さんにもそういった手話を学んでいただいて、手話による会話ができるようにしていこう、国民全体の取り組みとしてそういったものを進めていこう、そういったような趣旨を加えさせていただきました。
 最後に、16ページをごらんください。「推進体制等」でございますが、これは今回初めてご説明をさせていただくものでございます。
 まず最初に、1にございますように、「重点施策実施計画」でございますが、これは基本計画の着実な推進を図りますために、実施計画を策定して、その進捗管理につきましても適切に行っていこうというものでございます。
 また、2で、総合的で効果的な施策の推進のために、関係者の間の連携協力の確保を図る必要があるということを述べております。政府レベルでは、内閣に設置をされております障害者施策推進本部を中心としまして、総理のリーダーシップの下での施策連携を強化するということ、そしてまた、関係団体との連携を強化する、こういったようなことを述べております。
 また、計画に基づく効果的な施策の推進を図りますために、広域的対応も含めた市町村計画の策定を支援するということを取り上げております。
 さらに、必要に応じた計画の見直し、さらには障害者施策を適切に推進するための調査研究や情報提供についても盛り込みたいと考えております。
 以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 きょうはこれから骨子案につきまして皆様方からご意見をいただきます。先ほどちょっと紹介いたしましたけれども、福祉新聞の社説等におきましては、素案の柱立てについていろいろ批判がありまして、例えば所得保障がないのではないかなどというのですけれども、これは4ページの重点的に取り組むべき課題の2「活動し参加する基盤の整備」で、「地域基盤の整備」と同時に、「経済的自立基盤の強化」ということで、「雇用・就労、年金、各種手当等により、経済的に自立した生活を総合的に支援する。」と、総合的な所得保障についての観点を出しているわけでございます。
 これがいよいよたたき台ということで、この委員会での骨子案でございますので、これができまして、これに肉づけをするというふうになっていくと思います。非常に大事な段階に入っておりますので、委員の皆様方から忌憚のないご意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 どなたからでも結構でございますが、配付資料1については、1から16ページまでページが振ってありまして、ページをもしご指摘の場合は、いっていただきまして、お話ししていただけばわかりやすいと思います。どうぞ。できれば全員に話をしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○君塚委員 専門職の養成の関係で、7ページのgのところに「臨床心理士」、あるいは 13ページのeのところに「小児神経医師」ということを、これからカウンセリングとか、心理指導ということで、ますます重要で、ニーズが高まって、心のケアのために必要であるということを強調する意味で、ぜひ明記して、加えていただきたいと考えます。

○京極座長 ほかにどうでしょうか。どうぞご自由に。
 北浦委員。

○北浦委員 その件でよろしいでしょうか。今、君塚委員からお話がありましたように、私どものように、重い障害で医療が必要な子供が、今非常に、超重症児といって、すごく病院で発生するんですね。そのときに、一般の先生ではわかっていただけないわけです。それで、小児神経科の先生方が、ほとんど脳のCTスキャンなんか撮った上で、その障害によってどうするかということを考えてくださっていますので、さっきご説明に「精神科の先生」というお言葉があったので、小児神経科の先生がちょっと不足しておりますので、その辺もご配慮いただけたらありがたいということでございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。
 丸山委員。

○丸山委員 3ページの「重点的に取り組むべき課題」の項目の1番の「活動し参加する力の向上」の中の一番上の「リハビリテーション」と書いてあるところですが、タイトルはこれでいいと思うのですけれども、その2番目の「医療・医学的リハビリテーションの提供の推進」ということで、「医学的」というふうに入っておりますが、私はリハビリテーションについて、今、日本のこの片仮名の理解は、非常に医学的に偏重しておりまして、リハビリテーションというのは、職業的なものや社会的なものの力をつけることがリハビリテーションでありますので、ここは「医学的」は消した方がいいと思います。上のタイトルのように、治療とリハビリテーション。つまり、リハビリテーションによって、活動し、参加する力を向上するというところにありますので、「医学的」というのはここでは削っておいた方がいいと思っております。

○京極座長 ありがとうございました。
 それでは、村上委員。

○村上委員 今まで皆さん方いろいろな意見書を出されてきているのですが、どうも私は、その皆さん方の意見書を反映していないのではいかと思いまして、皆さん方は、私もひっくるめて、今回私は出させていただきましたが、その出された意見書を、どういう考え方で、どういうふうに整理したのか、一回ご説明いただかないと、会話が成り立っていかないんじゃないか。ただ、意見書を出せばいいということじゃないと思っているんですよ。だから、その意見書を、皆さん方の出されたものはどういう考え方でここに出されているのか、その辺のことを1回整理していただかないと、議論がかみ合っていかないんじゃないか。
 例えば私は今回はちょっとトータル的に意見書を出させていただきましたが、きょう来てみたら、柱立てから変わっているんですね。これは前回、前々回ですか、座長の方からこういう柱立てにしたらどうかという意見はあったわけですね。ところが、我々に意見書を出せといってきた中身には、どこの柱立てを変えたということのないまま、24日までに意見を出せということですから、前の柱立てじゃないかと思って意見書を出したら、きょう来たら、柱立てが全然変わっているとか。それから、これまでも何人かの委員の方々がいろいろな意見書を出されました。しかし、その取り扱いがこの骨子案の中でどういうふうな扱いになってきたのか、どういう考え方でそれを整理されたのかということが、全然説明がないですね。
 例えば所得保障のところについても、年金等を書いてあるから、それが所得保障だといっても、書いてあれば所得保障につながるのか、私なんかよくわかりませんし、その辺のところの意見交換の進め方について、ちょっと座長にまずご整理をお願いしたい。それから意見を申し上げたいと思います。

○京極座長 それは私に対する質問ですか。それとも、この骨子案について、事務局に対するご質問ですか。

○村上委員 両方です。

○京極座長 私の方からは、ちょっと誤解があると思うのですけれども、最初に出た素案というのは、あくまでも事務局の柱立てで、いわばレジュメというか、これから議論していく論点を網羅したものということで、網羅しているかどうかも含めて、この懇談会の中で議論していくということで、柱立ても含めていろいろ議論があったと思います。それを取り込んだ形で、今回事務局の骨子案が出た。
 これが今回初めてこの懇談会の骨子案ということで明らかになった。今までは骨子案は、我々全体での議論で骨子案でなくて、事務局案ということだったので、ちょっとその整理がないといけないと思っておりまして、冒頭に申し上げたわけであります。そこからいろいろ誤解があって、何か最初に出たのが、まだ依然として骨子案として変わっていないような感じでいろいろ世間でいわれていますので、それではまずいということで申し上げたわけです。この案を骨子案として認めて、これからさらに肉づけするかどうかは、きょうから始まるというふうに考えていただきまして、今回も含めて、もし必要があれば、あと1、2回議論していきたいと思っております。
 全体としてみますと、私自身は割と整理されてきたのではないかなということで、特に前回の10カ年の障害者基本計画はかなり総花的でありまして、いろいろなことがばらばらと書いてあったのですけれども、ある面では非常に総合的だという評価もございましたけれども、これを政府として取り組むときに、やはり整理が十分にできていないところもあったかに思いますので、今回は各部局、省庁が取り組むときに比較的取り組みやすいような整理をされているという印象を持っております。この骨子案につきましても、きょうご意見をいただいて、この枠組みでいいかどうかということで議論していただければと思っております。
 では、事務局の方で……。

○吉冨参事官 最初に骨子素案、それも未定稿という形でお出しをいたしました趣旨というのは、今座長の方からお話があったとおりでございますが、私どもとしましては、この懇談会で各委員からのご意見を伺う場合に、その計画の構成も含めまして、できるだけ自由にいろいろな形でご意見を出していただき、それを順次集約をしながら計画案として取りまとめていきたい、そのような考え方で、これまでお出しをしてきたということでございます。
 そういうことで、最初に基本的考え方、基本方針の「骨子(素案)」という形でお示しをしていろいろご意見をいただきまして、その次にまた分野別施策についての「骨子(素案)」というものをご説明してきた。その過程で、最初に基本的考え方なり、あるいは基本方針についてのいろいろなご意見をいただいたのですが、それについてはとりあえずまだ修正しないで、最後に全体を取りまとめて、「骨子(案)」という形でまとめていきたい。こういったような形で進められてきたように私ども理解しておりまして、これまでに出されましたそういった各委員からのご意見を踏まえて、今回こういった形で取りまとめて、全体を案という形でお示しをしたというものでございます。
 なお、この骨子案の取り扱いでございますが、骨子というにはいささか、非常に長文のものになっておりまして、どこが骨子なんだということでございますが、これは最終的には、計画が策定をされました段階で、その計画の概要のような形で活用していってはどうかというふうに私ども考えております。まだ計画ができてございませんので、こういった骨子というような形での取り扱いにならざるを得ないということでご理解をいただければと思います。
 また、各委員から出されましたご意見が、どのような形でこの案に反映されているんだということにつきましては、私ども各委員からいただきました意見書のペーパーなり、あるいは各懇談会での議事録、そういったものを何度も読み返しまして、取りまとめたつもりでございますが、次回に、これまで各委員から出されましたご意見を、全体を整理しまして、そういった全体を整理したものと見比べながら、また私どもと意見交換をさせていただければというふうに考えております。
 以上でございます。

○京極座長 よろしいでしょうか。

○村上委員 これまでも各委員から出た意見の中で、私が一番多かったと思ったのは、各種法整備の問題がいろいろ出ていたと思うんですね。例えば私も申し上げましたけれども、民法の改正の問題、それからまた差別禁止法をつくるべきだというふうな意見、さらには経済的自立基盤の強化のためにも、また法整備が必要だろう等々の法律に関する法整備の意見が相当多く出されておったと思います。
 骨子だから載ってないのかどうかわかりませんが、私はやはりそういう法整備をやり直さなければいかぬ時期が来ているんだろう。そこがきちっと重点的なところに書かれなければ、今回の基本計画の意義は相当薄れるものである。国際的な動きも踏まえた上で、なおそういうことが必要だというふうに私は思っていますので、重点の中に、各種法整備の見直し整備、これはぜひきちっと明記をしていただきたいということを申し上げたいわけであります。
 それから、分野別のところでも、法整備の問題をどうするのかということで、私は、分野別のところでも法整備をきちっと書き込んでほしい。基本的な考え方で書く必要がある、法整備の中身は書けないだろうけれども、分野別のところで、必要な法整備については、きちっとこういう法整備をやる、その法律の中身はこうだというふうなことまで書いていただきたいという意見を私は出しております。それがないと、なかなかこれは今までの延長線ではないような変革をきちっと踏まえた新しい基本計画としては受け取れないだろうということで、分野別のところでも法整備の問題を書いておるわけであります。
 それから、所得保障の問題は、ぜひ分野別のところで、重点のもう1つはきちっと書き込んでいただきたいわけでありますけれども、「経済的自立基盤の強化」というのは、本当に地域で暮らすためには、きちっとここがなされないと、地域で暮らすことができません。特に私が申し上げたいのは、必要な施設は整備すればいいと思っておりますけれども、今回の新しい基本計画というのは、地域で暮らすというところを、それから基盤整備もひっくるめて、やはり考え方としてきちっと出していく。そのためには、「経済的自立基盤の強化」ということがセットでなければ、地域で暮らしたことになっていかないというふうに思っていますし、私は今回の一番の柱になるところだろうと思っていますから、そこはもうちょっと丁寧にきちっと書いていただきたいということを申し上げたいわけであります。
 それから「雇用・就労」のところも、今までのことを見ると、分野別のところで申し上げると、なぞっているというんでしょうか、これまでのことを。私自身ももうちょっといろいろ考えてみますが、余り知恵がないものですから、このくらいのことしか書けなかったんですけれども、雇用・就労問題というのは、これから大変大きい意味合いがあるというふうに思っています。やはりこの「雇用・就労」については、もうちょっと前向きな書き方をしなければ、今までと現実は変わっていかないというふうに思っていますので、そこもぜひもうちょっと、せめて私の意見ぐらい、私の意見もまだ不十分だと自分で反省しながら出したわけですけれども、その辺のところをやはりやっていただきたい。
 それから、これまでもいろいろな委員の方々がいろいろな数値計画を、数値目標というのでしょうか、それを各種の分野別できちっと盛り込まなければわかりづらいし、どこまでどうなるのかということが全然見えてこない。それから、今までの反省から見ると、いわゆる数値目標があるかないかで相当対策が変わってくる、こういうご意見が多かったかと思います。私も分野別の必要なところには、各種数値目標を盛り込むべきだというふうに書いてありますけれども、骨子には数値目標的なものは何ら見られない。これについても私は訂正をお願いしたい。
 以上です。

○京極座長 これにつきましては、何か事務局でございますか。

○吉冨参事官 ただいま村上委員からご指摘がありました法制度の関係でございますが、それぞれ考え方があるわけでありますけれども、特に大きなお話は、差別禁止法の関係と、総合的な障害者福祉法の制定といったようなお話ではないかと思います。
 差別禁止法につきましては、最終的にこれを計画案にどうするかということは別といたしまして、現在のところの私どもの認識といたしましては、差別禁止の問題につきましては、さきの通常国会に人権擁護法案というものが提出をされておりまして、そこで障害にとどまらず、あらゆる理由に基づく不当な差別を禁止する規定が盛り込まれておるわけでありまして、そういう障害を理由とした差別の問題を、人権法体系全体の中でどのように考えていくのかということにつきましては、私どもの現在の認識としては、人権擁護法案の対応で現在進められているというふうに理解をしておるわけであります。
 また、総合的な障害者福祉法の制定の問題につきましては、これまでもこの懇談会で各委員からご意見がございましたが、私どもといたしましては、障害種別について、それぞれ不均衡を生ずることなく、均衡ある施策の展開を図る必要があるというのは、これはもう当然のことでございまして、私どももそういった認識でございます。
 ただ、それを推進するために、現行の法体系を再編する必要があるかどうかにつきましては、これはやはり慎重な検討が必要であろうというふうに考えておりまして、この点につきましても、今回の計画を策定する中で、どのように取り扱うかということは、さらに検討していきたいというふうに考えております。
 これまで各委員からいただきましたご意見につきましては、この基本計画の中で取り上げるべき内容、それも今回ご議論をいただいております、今後概要という形で使うことになります、骨子案の中で書く必要があるかどうか、計画本体の中で書き込む内容なのか、さらにまた、重点施策実施計画であります障害者プランの中で盛り込むべき内容なのか、そういったものも私どもは整理をしながら、今後、案をつくってまいりたいというふうに考えております。

○村上委員 もう1ついいですか。民法の扶養義務の見直しについて、どう考えておられるんでしょうか。

○吉冨参事官 民法の扶養義務、民法の改正ということになりますと、これは本当にもうまさに我が国の社会をどうするんだというような大変大きな話になりますので、これを障害者基本計画の中で、政府の方針として取り上げるのが適切かどうかということは、やはりちょっと慎重な検討が必要ではないかというふうに思っております。

○村上委員 今のご答弁ですが、民法は今、相当いろんな分野で見直しが進んでいるのですね。特に今、ここのところ、私が横暴だと思うのは、規制改革会議が非常にごり押しして、民法に関するいろいろな諸制度の改正をやっているわけです。ある意味では供給側から都合のいいように民法改正が進められている部分もある。我々国民生活側から見ても必要な改正もある。民法も相当動き始めているのです。そういうときに、民法というのは大きな問題だからといって……。そういう大きな問題だから、我々は必要だと思ってご意見を申し上げたわけで、内閣において民法というのはさわらないということは、私は絶対あり得ないと思う。規制改革会議でいろいろな民法改正論が出ているわけですし、法制審議会においても、私なんかもいろいろ参加していますけれども、いろいろな民法改正問題が動き始めているわけですから、そこは今までと同じく民法というのは動かないものだという感覚では、私は困ると思っています。

○京極座長 法整備に関しては、幾つか委員からもご意見が出ましたけれども、この計画の中にどう盛り込むかというと、個別の法律を挙げて改正論を計画に書くというのはちょっと無理があるのではないかと私は思っていまして、ただし、私も申し上げたのですけれども、この中には入っておりませんが、「推進体制等」のところで、「調査研究」が書いてありますけれども、この計画を実施するに当たって必要な法整備をしていくということで、課題として、個々の民法とか差別法とかいう固有名詞を出さないで、「必要な法整備について検討を行う」という形で、この10年間で具体的な問題が出たらそれについて対応するということで、各論ではなくて、「推進体制等」のところで触れていくことはできるのではないか。
 そうしますと、今、村上委員がおっしゃったような民法改正の問題が出てきたら、民法改正についての具体的なことを検討するし、また障害者差別法なのか、あるいは現在検討中の人権擁護の法案の中で、障害者のことについても触れておりますので、それでいいというならそれでよしということで、課題として載せることは、むしろこの計画にはなじむのではないかというふうに私は思っておりますが、ご検討いただきたいと思います。

○村上委員 ちょっと待ってください。私は座長と意見が違うわけであります。やはり「重点的に取り組むべき課題」のところに、必要な法整備をやるぐらいのことを書かないと、「調査研究」のところでやるような話とは私は全然違うと思うんですね。これまでのここでの討論も、やはり必要な法整備というのは急ぐべきだ、この10年間のことを我々は書くわけですから、やはり必要な法整備を重点的にやる、これが基本でなければおかしいと私は思いますよ。

○京極座長 今申し上げたのは、「調査研究」に書くのではなくて、「調査研究」だけであるので、それと並んで新しく5として、あるいはこちらを4として送るのかもしれませんが、改めて柱を設けるということで申し上げたのです。「調査研究」の中に書けというふうに申し上げたのではなくて、「調査研究」しか出ていないので、それとは別途にというふうに申し上げたわけです。

○竹中委員 2ページの4番の「総合的かつ効果的な施策の推進」というのがありまして、そこの一番最初が「施策体系の見直しの検討」となっているのですが、ここに「必要な法制度の創設や見直しの検討」というふうに入れるので結構かなと私は思っています。

○京極座長 ご意見を承って、全体として判断していきたいと思いますので、どうぞ次の方に移っていきたいと思います。
 ほかの方、北浦委員、どうぞ。

○北浦委員 民法における扶養義務の見直しの件ですけれども、私がいろいろな専門家と割合に親しくしているので、お話を伺うと全く賛否両論で、ちょっと時期が早いという気がいたします。
 成年後見制度というのがやっと制定されましたけれども、これを問題提起したのは、私どもの会で、昭和60年なんですね。なぜそういうことが起こったかといいますと、重い障害者の24歳の女性が施設から連れ出されてしまったんですね。そのときに、母親が警察に、誘拐されたということを訴えても、24歳で、20歳を超えているので、本人の意思で行ったかもしれないといって、助けてもらえないわけなんですね。そういう意味で、20歳を超えた成人の重い障害者の人権は何をもって守られるのかというのが問題提起で、それが昭和60年だったわけです。
 それから、早稲田大学の田山先生が座長になられて、何遍研究会を開いたかわかりません。そしてさんざん討議して、最後に法務省が入ってきて、法務省が検討して、成年後見制度ができているわけですね。ですから、ここの中でこれを決めてしまうということは、私はちょっと無理ではないかなというふうに思っております。

○京極座長 ありがとうございました。
 どうぞ、ほかの委員の方もご自由にお願いいたします。
 笹川委員。

○笹川委員 私は、村上委員のおっしゃったとおり、これから10年先の計画を立てるに当たって、今のままの法律の状態で、よりよい計画が立てられるとは決して思いません。今ここで法律改正ということはなかなか難しいと思いますけれども、できる段階から法律は当然改正して、本当の意味での保障あるいは施策ということが生まれてこないと、これまでの継続に終わってしまうのではないかという気がいたします。
 今私どもが抱えている問題の中で一番問題になっておりますのは、今回実施される支援費の中で、この計画にも出ております在宅サービスのホームヘルプという表現がございます。ホームヘルプ事業は、身体障害者福祉法の中に規定されておりますけれども、我々視覚障害者が最も利用しているのは、いわゆる外出の際の介助ですね。いわゆるガイドヘルパーと一般的にいわれておりますけれども、この事業が一番ニーズも高いし、また社会参加をする上で最も重要な活動の1つです。
 ところが、ホームヘルプという1つの中にくくられてしまって、ガイドヘルプ、移動の保障ということが全く表面に出てこないんですね。先般、厚生労働省が出した支援費に対するパンフレットにも、ただ単にホームヘルプということが書かれていますから、実際に利用している者からすれば、一体ガイドヘルパーはどうなったんだ。今これは全国的に大変な問題になっています。そういうふうに、法律の上でホームヘルプに入れてあるからそれでいいということでは決してなくて、実際に利用する者が利用できるような、そしてまた理解できるようなものでなければ、意味がないというふうに思います。
 私の意見として、身体障害者福祉法の改正ということを出しておりますけれども、きょうはお見えになっていないようですけれども、聴覚障害者の方々に対しては、いわゆる手話通訳がこの支援費に入っておりません。ところが、我々視覚障害者が最も利用度の高いガイドヘルプ事業は支援費に入っていて、当然のことながら費用負担までかかってくる。同じ障害者の中でこういったいわゆる格差が生じてくるということは決してよくないと思います。
 そういうことも含めて、在宅サービスの中で、ただ単にホームヘルプというような表現ではなくて、もう少し親切に書いてもらわないと、実際にサービスを受ける者からすれば不安でならない。その辺まできめ細かく配慮していただかないと、決して私たちの期待するような福祉は生まれてこないというふうに思いますので、ぜひご検討をお願いします。

○京極座長 それでは、ほかにどうでしょうか。

○松友委員 育成会の松友ですが、先日、障害のある当事者本人たちを呼んで意見を聞いていただきまして、本当にありがとうございました。大変喜んで評価されたわけでありますが、ただ、逆に関係者からいろいろ厳しく我々がいわれたのは、要するに、委員の中に親は入っているけれども、当事者が入ってないじゃないか。1回呼んだぐらいでどうなんだということをいわれまして、私は責任を感じるわけではないんですが、耳が痛いというか、私自身は親でありますので、できれば私は親として、本人たちと意見が対立することもあるんですが、やはり本人の意見の代弁も図らなくてはいけないなという意識を持った次第であります。
 といっても、やはり親ですので、彼らの意見を十分いい切れないんでしょうが、やはり一番強く出ているのは、そしてこれは今までの議論の繰り返しかもわかりませんが、2つありまして、正しくいえば1つかもわかりませんが、彼らが強く主張し、かつ、我々も納得しつつも、親がもう一つ強く主張し切れていないというのが、地域福祉、施設を減らして地域で生活できる方向性を明確にしてほしいということなんですね。
 私たち育成会としても、この間、当初、建設を要望してきた経緯もあるし、我々も現に運営している面もあるわけでありまして、前の障害者プランにおいては、入所施設をふやすという提案がされて、これは見事に実現できたという流れの中から、知的障害の本人の諸君から、やはりこれに対する厳しい批判があって、今度の新計画の中では、大きな展開が欲しいということを求められておりまして、私も基本的にはそうだと思います。
 そこで起こってくるのは、やはり具体的にそれを実現するために、なぜそれがうまくいかないのか。というのは、親の不安としては、一方ではやはり施設から出てきた人たちを、我が年老いた家族で迎え入れられるだろうかという問題が現実にあったりして、そこに緊張感があるわけですが、そこで私たちは、扶養義務制度というところにその根源があるのではないかなという考えをするわけですが、北浦委員がおっしゃるように、この中で扶養義務制度を見直せという明文を入れるかどうかについては、確かに今のいろいろな経過を聞かせていただくと、なるほどなと実感できることもあります。
 ですので、いわゆる地域福祉、地域で暮らせる方向を明確に打ち出してほしいということと、もう1つは、やはりここに家族支援とか、いろいろ書いていただいておりますが、家族制度というか、家族の持つ力の弱体化というところを客観的に理解しながら、それをどうするのかという検討については、強力に取り組んでほしい。そのあたりを何か打ち上げてほしい。そうしないと、地域福祉、いわゆる施設から地域で暮らせるようにしようといっても、結局は家族の支えを前提としたシステムでなされている。そこに結果として、親たちは施設入所を期待するという悪循環が、50年間繰り返されておりますので、ここをどう断つかということが、障害を持っている本人はもちろん、我々家族においても、その両者が対立なくやっていける1つの大きなポイントではないか。そういう意味で、この2つについて、ぜひもう少し明確に考慮いただきたいということを発言させていただきました。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。どうぞご自由に。

○伊藤委員 伊藤でございます。おはようございます。
 今の皆さんのご意見を伺っていまして、私も基本的にご提出の委員のレポートを読ませていただきまして、賛成でございます。1つは、法整備というか、改革をきちんと盛り込んでいかないと、やはりこれだけのものをつくっても、車でいう両輪にはなり得ないのではないか。それと、何人かからお話がございましたとおり、やはりこの計画は、10年先を見据えての改革であるという計画です。そういう意味では、冒頭にお話があったとおり、だれが見ても、うん、なるほど、大きな改革をしようとしているんだなというものがわかりやすく、国民の皆様お1人お1人が見て、納得できるようなものでないとならないだろう、こういうふうに思います。
 ただ、どこにこの法整備の問題については盛り込むのかというお話がございましたが、これはなかなか難しいと思うんですね。私は、座長がいわれたとおり、あのような考え方でよいのではないかと思います。
 以上でございます。

○京極座長 どうでしょうか。

○松尾委員 少し違う問題ですけれども、2つ申し上げたいと思います。
 3ページと13ページに関連いたしますが、障害の原因というのは、これは疾病と事故というとらえ方がなされていると思うのですけれども、これからの方向としては、やはり社会病理というのが、障害の非常に重要な原因、特に子供たちの障害の大きな原因だと思います。例を挙げれば、虐待あるいはネグレクトというのを想定していただければわかると思います。したがいまして、「疾病、事故」という並びのところに「社会病理」というキーワードをぜひ加えていただきたいと思います。
 それから、法律の上で、子どもという定義が、関連した法律によって年齢が違うという現状がございまして、10ページの(1)の「基本方針」のパラグラフの中に「子どもの自立」というところがございますけれども、これに「子ども」と「青年」という語句を加えていただくと、ある年齢で施策が立ち消えになるというような問題が少なくなるのではないかと思います。
 以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 どうぞご自由に。
 斎藤委員。

○斎藤委員 まず、我々の団体から提出させていただきました意見につきまして、先ほど村上委員がほとんどおっしゃっていただいたわけですが、この中で障害者3法の検討につきましては、単なる3法の格差是正というような問題以外に、3法で拾い切れない谷間にある障害者の方々が出てきているわけですね。こういう方々に対する対応というものを含めて、ぜひとも法整備の中でご検討いただきたいというのが1点です。
 それから民法の問題につきましては、扶養義務者、特にこれは費用徴収のところに現実問題として関連をしてくるわけでして、この改正等について、平成12年の社会福祉事業法の一部改正案が国会で審議された。それで決定された際に、附帯決議としてこの検討が取り上げられているわけですね。そういった観点からも、この問題は、ぜひこの場で柱に盛り込んでいただきたい。
 それから、所得保障のあり方の問題につきましては、平成9年に旧厚生省の3障害合同企画分科会におきまして、今後の障害者の保健福祉施策のあり方、この中でも、所得保障について今後検討するということが盛り込まれて、もう既に5年が経過しておるわけですが、どこでも検討されたというような形跡がないわけでして、ぜひともこれも取り入れていただきたい。
 それから、個別の分野において、1つお教えいただきたいのですが、11ページの5に「雇用・就労」とありますが、雇用はよくわかるのですが、「就労」というのは、どういう意味合いを持ってここに出されたのか、ちょっと教えていただきたいのです。

○京極座長 11ページですが、これはご質問なので……。

○吉冨参事官 「雇用・就労」といたしましたのは、広く働くということを取り上げたいということでございます。雇用ということに限定いたしますと、どうしても雇用関係にある働き方ということになるわけでございますが、それ以外に自営している方もいらっしゃいます。そういういろんな働き方がございますので、そういったものも含めて考えていきたいという趣旨で「雇用・就労」という表現をさせていただいたということでございます。

○京極座長 「就業」より少し広い意味で「就労」という言葉を使ったということですね。

○吉冨参事官 「雇用」よりも広い。雇用関係にとどまらず、そのほかの働き方も含めて考えたいということでございます。

○斎藤委員 ちょっとわかったようなわからぬようなですね。実態問題といたしまして、私は前のときにも発言させていただきましたが、昭和51年に身体障害者雇用促進法が義務づけられて、52年に初めて統計が出されたわけですね。あれから今まで25年経過しまして、では、どのぐらい雇用率がアップしたのかというと、わずか0.4で、人数にしますと、52年発表されたときは、12万何がしなんですね。現在、実雇用で18万何がしですから、数にして6万人しかふえてないんですね。その一方で、小規模作業所と授産施設が大変な勢いでふえてきておるわけです。現実、今、両方合わせると、15~16万の方が利用している。この中で、雇用に結びつく人も当然おるわけですが、働きたいと思って希望を持っていても、雇用に結びつかない人が相当数いるわけですね。この人たちの対策こそ、共生社会として一番大切なことなんではないだろうか。ここをぜひとも就労というような分野の中で取り上げていただけないかと思うわけです。

○京極座長 ありがとうございました。今回の議論の中で、障害者の就労については、積極的に、前向きにやろうという委員の方々のご意見が強く出ておりますので、それを反映できるような形に修文ができればと思っております。
 ほかに、雄谷委員どうぞ。

○雄谷委員 8ページの(2)のaの「住宅、建築物のバリアフリー化の推進」の中で、「公共賃貸住宅の供給」という表現がございますが、これは供給というよりか、もう少し前向きに、積極的に、義務的にやる表現の方がいいのではないか。この文章はそれ自体は非常にすばらしいと思うのですが、実体としてやると、私どもの経験上からいうと、現実に借りようとしても借りられないケースが非常に多くあるわけですね。その条件というのは、例えば家族でないとだめだ。そういういろんな条件が具体的にあります。ですから、供給というのではなしに、もう一歩、もう少し進んだような表現をご検討いただけないでしょうか。
 以上であります。

○京極座長 どうぞほかに。時間の許す限り、なるべく全員に話していただきたいと思うのです。
 鹿島委員。

○鹿島委員 13ページの(2)のcの「精神保健・医療施策の推進」のところですけれども、これは早期発見に取り組んで、病態に応じた医療を提供するために、病床の機能分化、精神科の救急システム、これはいいのですが、加えて入院していない方も対象とした「地域精神医療」というのを次に入れていただきたい。それと、早期発見というのは、恐らく医療知識の普及とか啓蒙とかも絡みますので、精神科救急システムの後に「地域精神保健・医療」というようなものを入れていただきたい。
 それから、早期発見の問題は知識の普及でやるならいいんですけれども、反スチグマキャンペーンのこともあって、多少微妙な問題もありますので、「地域精神保健・医療の充実」としてはどうでしょうか。ですから、この文章、「患者の病態に応じた医療を提供するため、精神病床の機能分化、精神科救急システム、地域精神保健・医療の充実等」と書いていただいた方がいいと思いますが、ただ、このことにつきましては、関連のほかの先生方もいらっしゃいますので、ご意見をいただければと思います。
 早期発見は非常に大切なんですが、ちょっと微妙な問題があります。例えば鬱病なんかが早く、ほかの患者さん、ご家族が知ってきていただくのは結構なんですが、そうではなくて、こういう行動があったらどうだとか、そういうことは、ちょっと早期発見というのが微妙な表現なので、それを「地域精神・保健の充実」ということにしていただくというのが私の意見でございます。

○京極座長 ちょっとご専門の委員の方のご意見も含めまして、用語等については検討したいと思います。
 それではほかに、竹中委員。

○竹中委員 また2ページの先ほどもちょっと申し上げた「総合的かつ効果的な施策の推進」のところなんですが、今、政府全体が、IT戦略と、e-Japan構想とかで言っていまして、やはり5年以内に日本がITの最も先進国になるのだというようなことを打ち上げておられるんですが、私はやはりITの一番効果的な使われ方というのは、今まで社会となかなかつながることのできなかった方がつながる。あるいは社会参加ができるようになる。あるいは働けるようになる。つまり、そういった新たな活力の掘り起こしというのが最もIT革命と呼べるのじゃないかというふうに考えながら、プロップ・ステーションの活動をやっております。
 そういう意味で、今回のこの骨子、さまざまな方策を進めていく中に、私はやはりITの利用というのは、すべてに強くかかわってくるというか、有効なものだと思いますので、ぜひここの4番のところに、すべてのこうした推進にITの活用といったような一文を入れていただけるとうれしいな。例えばこういう委員会のお話し合いも、先ほど当事者がなかなか参加していないじゃないかというご意見もありましたけれども、こういう委員会でどのような話がされたかというのも、今のITで、ホームページとかでどんどん発信されて、また意見もそこでも出していけるというようになっていますから、そういう意味でも、やはりここにITということはお入れになっていて結構なんじゃないかというふうに思います。

○京極座長 どうぞ、池末委員。

○池末委員 先ほど松友委員がいっていた、施設を減らし、地域で生活する方向というのはとても重要だと思うのですけれども、精神障害者の場合にも、前回もいいましたが、33万人入院しているうちのかなりの人たちが地域で、受け皿があれば退院できる。そこら辺のことを、知的障害についても、精神障害についても、この計画の中にきちんと盛り込んでいただきたいと思います。
 具体的には2ページの施策4の最初の「施策体系の見直しの検討」の中に含まれるのかどうかと思うんですけれども、病院施設から在宅へということをきちんと明確にしていかないと、前の障害者プランで知的障害者の施設がどんどんふえていった。そこら辺のことはよっぽどきちんと交通整理しないと、そのままになってしまうのではないかというふうに思います。
 それからもう1点、所得保障についてたくさんの委員の意見でありますが、4ページ目の「経済的自立基盤の強化」のところで「雇用・就労、年金、各種手当等により」というふうになっていますけれども、私は雇用・就労の問題と所得保障の問題というのは、当然連携はしますけれども、きちんと分けて考えなければいけないと思っています。年金、手当、あと生活保護も含めて、障害者の所得保障というのはどうあるべきかということを、項目を「雇用・就労」とは別立てにして、その上でどう関連するかというふうに考えた方がすっきりするのではないかと思っています。
 以上です。

○京極座長 文言等については、今のご意見も、それから先ほどいろいろな方から出た意見も踏まえて、4ページのところの表現は少し検討したらどうかと思っております。
 それから、先ほどから何度も出ていますけれども、これまでの素案の段階は別として、今回のこの骨子案が世に出ていったときに、何かそこで印象的にどうも皆さん方がおっしゃっているのは、障害者が地域で暮らせるということを強く出していないのではないかというイメージが多少ありますので、例えば2ページの1番から4番までありました「社会のバリアフリー化の推進」というのは、2番目に送って、1番目に、障害者が地域で暮らしていくということをまず一番最初に出して、それを保障するために「社会のバリアフリー化の推進」、それから「障害の特性を踏まえた施策の展開」と「利用者本位の支援」というふうに、1のところで、明確に理念的な方向を出していった方がいいかと思いますので、そのあたりの工夫が必要ではないか。
 それを見た方が、どこにも地域で暮らしていくということが書いてないというふうになってしまいますとあれなので、その辺は、ちょっと内容的にはそうなっているんですけれども、地域福祉計画なんかでも、もう既にこれは障害者も含めてですけれども、高齢者も含めて、地域福祉の推進の中で相当いっていまして、ソーシャルインクルージョンということも、もう社会援護局の方で、厚生労働省の方で出していますので、内閣府においても、そういうものも考慮に入れて、頭のところに、まず表現はちょっと工夫していただいて、明確にしておいた上で、では、どうするかということにしたらどうかと思いますので、そのあたりをちょっと検討していただきたいと思います。
 ほかにどうでしょうか。
 山内委員。

○山内委員 山内でございます。
 前回はかなりひっかかった用語があったのですが、きょう見せていただいて、非常にすっきりしたなというのが全体的な印象でございました。ただ、それでも1つだけ、非常によく理解したと同時にひっかかっているのが、14ページの一番おしまいの手話の話でありまして、実はコミュニケーション支援が必要な障害というのはほかにもたくさんあって、それは特に大切なんですが、なぜ手話だけですかというのが、前回から実はひっかかっておりました。
 ただ、それは障害の問題を国民みんながよく理解するための一番手っ取り早いものとして、手話をみんなに少しずつ勉強してもらおう、そういう国民運動的な話という趣旨であるならば、それは当座は聴覚障害だけだけれども、それを通じて、ほとんど関心のなかった人々が、それ以外の障害にも関心を持つきっかけになるという意味である、私は今さっきの説明はそう理解したのですが、それは非常に大変結構なことだと思いますし、ぜひおやりいただきたいと思います。
 ただ、それだけがコミュニケーション支援体制だといわれると、恐らくかなり異論がどうしても出てくるので、ここは最終的なところまでは、何かもう少し表現をご工夫いただいた方がよろしいかというふうに思います。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○松矢委員 関連ですけれども、14ページですが、「基本方針」で、「障害特性に対応した情報提供の充実を図る」が入ったことは大変評価したいと思います。
 あわせて、今のご意見と関連しますけれども、cのところは、障害特性にかかわって出てきます字幕解説番組、手話番組、その後やはり基本方針を受けて、知的障害とか、その他の発達障害の方々のために、「手話番組その他障害特性に起因するニーズに即応できるメディアの開発等」というような形で、もう少しいろいろな障害に応じてメディアの開発というのをやっていく必要があると思うので、そういったものを加えた方が、本当は「基本方針」のところが、ここでこそ具体的に強調されるべきものだと僕は思うのですね。入れた方がいいのではないかということを提案したいと思います。

○京極座長 ありがとうございました。  比留川委員。

○比留川委員 1点目は、この障害福祉施策は、これまでどうしても役所中心あるいは団体中心の施策でしたけれども、民間の機動性、創造性あるいは専門性、そういったものが活発に入ることによって、さらに効果が上がると思うのですが、そのためには、やはり福祉施策について、その各施策がビジネスとして成り立つ、そういったビジネスモデルみたいなものを提案すると、いろいろ民間のそういったものが入ってきやすくなるのではないかなというふうに思います。
 それともう1つ、今の話とは全然関係ないんですが、2点目に、14ページ目のところで「情報バリアフリー」というのが出ていますけれども、ほかのところは「公共施設のバリアフリー化」とかなっていますが、「バリアフリー化」と「バリアフリー」は、ここは何か使い分けの意味があるんでしょうか。

○京極座長 これはどうですか。ちょっと事務局の方で……。

○吉冨参事官 特に意味がございませんで、最終的にはこういった用語につきましては統一させていただきます。

○比留川委員 バリアフリーに関し、特に電気通信事業者の協会などでは、そういった障害者が円滑に電気通信サービスを利用できるようにといったことで、ガイドラインなんかをつくって、非常に使いやすいものをつくっていこうということで今取り組んでおりまして、そのためにも障害者の方からもいろいろな意見なども聞いております。こういった場をさらに活用して、障害者にお役に立つように貢献していきたいなというふうに思っているわけであります。
 それから、所得保障というのが先ほどございましたけれども、所得保障というのは、どうしてもこれまで年金とか、手当とか、そういったものが中心のようにちょっと受けとめているのですが、障害者の人が自立しようということで、いろいろ訓練したり、何か学んだりする結構意欲的な人がおりますが、そういった人に対する費用の補てんなども、所得保障の一環になるのではないかと思うのですが、それはいかがなものでしょうか。含まれているんでしょうか。

○京極座長 これは厚生労働省の方でいいですか。

○厚生労働省 もちろん訓練する方に訓練手当というものを今現在やっておりまして、それが所得保障というかどうかは、むしろやはり雇用につなげるための支援という位置づけになって、やや性格が異なるのかなという気はしております。

○比留川委員 わかりました。

○京極座長 ほかにどうでしょうか。まだ発言されてない方。
 兒玉委員。

○兒玉委員 兒玉でございます。
 私、常々思っておるのでございますが、ITの積極的活用ということが、障害者にとりましては本当に大事なことではないか。経済的な自立を図るというようなこと、先ほど竹中委員もおっしゃっておりましたが、ITの問題についてはやはり積極的に活用していきたい、そういうふうに思っております。
 現在の段階では、ITについてはちょっと難しいというようなことで、普及率その他が非常におくれております。私どもも何とかして、このITの問題につきましては、積極的に各地域の協会へ働きかけて、いろいろな運動、講習会などをやっておるのでございますが、まだその講習会に出られない重度の障害者、そういう方も数多くおるわけでございますので、それで私どもとしてはIT関係の情報センターというようなものをつくっていきたい、そういうふうに思っております。
 これからも本当に在宅の障害者、そういう方々、それから障害別によるITに対する技術の指導、そういうようなものにもっと力を入れていただきたい、そういうふうに思っております。
 以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 細村委員はいかがでしょうか。

○細村委員 10ページの関係ですけれども、読んだところ、今のところは特に問題がないというふうに考えております。
 ただ、(2)のcの見出しを「指導力」というだけでなくて、下にありますように、下とダブりますが、「専門性や指導力」というふうに「専門性」を入れてもらった方がいいのかな。というのは、専門性と指導力というのはやはりニュアンスがちょっと違いまして、教職員の専門性、文部科学省では例えば養護学校の専門性というようなことも話題で、現在そういう学校としての専門性とか、教職員の専門性とか、そういう使い方もしておりますので、「専門性や指導力の向上」としていただいた方がよろしいのかな、そんな感じがしています。もちろんこれでわからないということではないんですけれども。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。
 池末委員。

○池末委員 1ページ目と2ページ目の「基本的な方針」の骨子で、共生社会、それから障害の有無にかかわらずという基本的な考え方は賛成です。ただ、先ほどもいいましたように、施設から地域社会へということが、こういう表現の中でどれぐらい実際に進むかというと、なかなか理念だけで終わってしまう危険性がありますので、そこら辺のことをさっき申し上げました。
 それとの関連で「障害の特性を踏まえた施策の展開」という2ページの2のところですけれども、潮谷委員が、委員の意見の6ページ目の一番最初に、「障害者問題を社会全体の問題に」ということで、「障害は個人の属性にとどまらず、社会の属性として認識すべき」だという提起をしています。これは非常に重要な提起だと思っていまして、2の「障害の特性を踏まえた施策の展開」のところへ、どういうふうに文章を入れればいいかわかりませんけれども、先ほど座長がおっしゃっていた施設から地域社会へと、地域社会、地域福祉という文面の中で、障害の特性についても、社会との関連という表現が何か入らないかなと思います。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 松友委員。

○松友委員 新しい10年をにらんでということでいろいろな意見が出ているわけですが、そういう視点からいうと、15ページになるんですが、国内だけでやっている時代から、国際協力というか、やはり大きく、特にアジア地区、アジア太平洋障害者の10年という意味で、我が国の役割が大きくなるのではないか。前回もちょっと取ってつけたようにあったのですけれども、今回もこの部分についてはもう少し打ち出していく必要があるのではないかというのが1つです。
 具体的にいいますと、2のaで、いわゆる「専門技術的な交流支援」というようなこととともに、cでは「障害者による」を私は家族も入れてほしいといっているんですが、要するに、当事者、関係者の云々とともに、やはり各種のNGOレベル、あるいは関係団体等が、いろいろ交流あるいは支援等々やっておりまして、その盛り上がりというか、それもやはり一つ喚起していくというか、あるいは支援していくというか、そのあたりも打ち出していく。国内だけではなくて、国際交流においても、市民レベルあるいはいろいろな分野の参画、それをさらに管理していくというところを含めて、この国際協力の部分をもう少しバージョンアップしてほしいというか、アピールしてほしいということを感じました。
 といいますのは、つい1週間前、我々は知的障害世界会議をオーストラリアでやってきまして、アジア太平洋地区ということで、組織改正もあって、いわゆるアジア太平洋地区を重視するというところで、多く世界の機構がなっていくんですが、その中で、どうしてもやはりそうなると、我が国はどうするかというのは、もう必然的にそういう熱い視線を浴び、期待されていますし、やはり我々としても官民挙げて考えていかなければいかぬ。そういう意味で、この部分をもう少し膨らませてほしいという感じがします。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 今、関連でご質問がありますか。はい、どうぞ。

○丸山委員 丸山ですが、今のに関連いたしまして、今度の計画の骨子に人権という問題を非常にはっきりと出しているということを非常に好感するんですが、その関係で、非常に重要なのは、それが国内的によくわからない面もありますので、ぜひこれの関係で、国際的に障害者の権利の条約の推進を図っていくということが非常に大事だと思っております。
 国際協力については、日本は非常に活発にやってきておりますので、15ページの(2)のbのところで、国連などについて、「積極的に参加する」というふうに書いてありますが、この文章の中に、「関連する既存条約等との関係にも留意しつつ」と、少し引いております。つまり、ここで、これは日本がこの前、国連で発言した内容でありますが、今のものでいいではないかというような趣旨であります。
 そうじゃなくて、今の権利条約が効果がないから、ぜひ障害者の権利ということを明らかにする条約が必要だということをいっているわけでありまして、そういう意味では、日本はこれに積極的にアジア10年を提案して、それを推進していく立場からも、ぜひリーダーシップをとるべきだというふうに考えておりますので、(2)の「関連する既存条約等との関係にも留意しつつ」という引いた表現は、削除したらどうかと思います。あえてそういわなくても、積極的にやるべきだというふうに思いますので。
 できれば、ここに「国際条約の推進」ということを入れていただければありがたいと思います。

○京極座長 これは前から議論になっている部分で、権利条約についてどうするかということで、いずれにしても15ページの(2)のbのところがちょっと長いので、ここは松友委員がおっしゃったようなこととか、あるいは丸山委員のおっしゃったことを含み入れて、少し分解した方がいいかという気もいたしまして、bのところも2つぐらいに分けて整理する必要があるかと思います。
 特にNPOとかNGOの積極的な支援というのはこれから重要だと思いますので、もう政府が直接、国際協力で、陣頭指揮で、何でもかんでもやっていくという時代でもないわけでありますので、団体のそういう力を生かして、それを側面的に支援するというのがこれからの行き方だと思いますので、ご配慮いただければと思います。
 ほかにどうでしょうか。はい。

○伊藤委員 今のお話にちょっとリンクするんでございますが、それを受けまして、6ページの(2)のaのイに「権利擁護の推進」とございますが、どうもこの1行では物寂しいんじゃないかなというような気がします。この「権利擁護の推進」については、もう少し厚みをつけていただければな、このように思います。  以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 児童の虐待のことは結構入れられているんですけれども、障害者への虐待とか、非常に待遇の悪い企業での何かいろいろな事件とか、見えざる事件が結構ございまして、それは特にマスコミは余り取り上げていないのですけれども、今ご指摘があったように、文章上、少し補足するか。これは骨子でございますので、長い文章は、最終的な計画案になっていくわけですが、若干の配慮が必要だと思います。
 ほかにどうでしょうか。
 はい、君塚委員。

○君塚委員 10ページの教育のところですけれども、今、養護学校では、教育場面における医療的ケアというものが大きな課題の1つになっています。これはもう厚生労働省を始め、いろいろなところで研究検討がなされているわけですけれども、例えば(2)のbの中に、その後に「特に教育場面における医療的ケアについてのあり方を家族支援の立場より検討する」というようなことを加えていただけると、先ほどの細村委員のお考えと比べどうなのかちょっとわかりませんけれども、私の医療的な立場からすれば、検討していただくとありがたいと思います。

○京極座長 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。まだまだたくさんあると思いますけれども、時間の関係で、とりあえずきょうのところはこれで終わりたいと思います。
 それでは、とりあえずきょうはここで終わりまして、これを踏まえて、骨子案を盛り込んでいきたいと思っております。今後の会議の開催については調整させていただいて、また後日ご連絡させていただきます。
 それから、次回は、きょうご議論いただいたものを踏まえまして、成文化した新障害者基本計画案について、内閣府からご説明を伺って、意見交換をしたいと思います。
 それから、丸山委員から、特にアジア障害者の10年のことでご発言がありますので、よろしくお願いします。

○丸山委員 今お手元に配付をさせていただいておりますけれども、多くの委員の方がここに関連していますので、代表ではありませんが、私からちょっとご紹介をいたしたいものがあります。
 政府のアジア太平洋の最終年の政府の会議が開かれますけれども、民間サイドでも、アジアの10年を総括するような会議を予定しております。それがお手元にあります「最終年記念フォーラム」というものでありまして、3つの大きな会議が、10月、今月の中旬から、北海道と大阪、大津で開かれます。
 これはDPIという、世界障害者インターナショナルの世界会議と、アジア太平洋地域のリハビリテーション・インターナショナルという、リハビリテーションの会議と、10年間各地で行ってまいりましたアジア太平洋の障害者の10年推進キャンペーン、こういうものであります。
 政府でもこれに対して支援をしていただきまして、予算の補助や閣議了解をいただきまして、さまざまな配慮をいただいておりますが、その1つとして、記念切手が今月10日に出されることになりました。こういうことで、日本がアジア太平洋の推進も非常に図っている面や、民間サイドでもこれについて評価をいたしまして、そして各国の意見もまとめて、政府間会議に提案をしたいというふうに思っております。またその結果も、次回の会議あたりでご報告できればと思っております。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 時間が若干余りましたけれども、本日はこれをもちまして懇談会を終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

午前11時46分閉会