p1 内閣府 報告会 20180316 筑波大学 柘植雅義 内閣府 障害者差別解消地域協議会 体制整備事業報告会 障害者差別解消地域協議会の運営について 筑波大学 人間系 知的・発達・行動障害学分野 柘植雅義  1.差別は解消されたか? 合理的配慮の提供は的確になされているか? それを監視していくことが重要。 障害者差別解消地域協議会は、その大切な役割を担っている。 差別的な取り扱いや、合理的配慮の不提供にならないために、・・・予防的に。  2.エピソード(雇用) Q:現在、障害のある大学教員には必要な合理的配慮が提供されているか? A: ある短期大学(私立)で、視覚障害のある准教授(幼児教育学科)が、視覚障害を理由に授業や卒業研究の担当からはずされ研究室からの退去を命ぜられたことに対して、地位確認と事務職への職務変更の撤回などを求める訴えを起こした(新聞各紙で報道(2016年3月23日) この訴訟で短大側は、視覚障害の悪化した准教授は、「教員不適格」であり、授業外しは正当であると主張したが、裁判所(地裁)は、准教授は適切な合理的配慮があれば十分に授業を行うことができたとし、短大側の主張を退けた(2017年3月28日) 短大側が控訴 大学で学ぶ学生への支援(合理的配慮の提供)は、大学ごとに置かれた障害学生支援センター等が中核となって、着実に進み始めていると思われる。大学間差はありそうだが。 しかし、大学で働く、障害のある教職員や事務職員への必要な合理的配慮の提供は?  3.エピソード(教育) Q:学校(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、他)では、障害のある子どもに必要な合理的配慮が提供されているか? A: 「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」への合理的配慮の記載はどうなっているのか? そもそも記載されているか? 中山忠政(2018) 個別の教育支援計画と個別の指導計画における合理的配慮の取扱い –北海道と東北6県における様式例の検討から–.障害科学学会第13回大会(2018年3月3日)発表論文集. (結果から:北海道と東北6県の教育委員会のHPで、「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」の様式例が掲載され、しかも、合理的配慮の記入欄が設けられていたのは、北海道と青森県のみだった。) p2 「意志の表出」が困難な重度の知的障害のある子どもへの合理的配慮の提供の試み(鈴木・阿部・小曽根・柘植, 2018(印刷中)) 教員の本格的な研修が急務(意思の表明を汲み取る力、それを踏まえて必要な合理的配慮を検討する力、・・・) 学校で、必要な合理的配慮は、提供されているのか? 公立と私立(の幼稚園・保育所)で、合理的配慮の提供に差が顕著に出てきてしまっているのか?(義務と努力義務との関係から)  4.エピソード(理解啓発) Q:障害のある子と共に学ぶ(障害のない)子どもへの理解啓発は? 一般市民への理解啓発は? A: 毎日小学生新聞が、障害者差別解消法を特集した。2016年5月5日号.(柘植が、小学生に向けたエールを記載・・・皆で共生社会を作っていこう!) 鉄道各社(全国的取り組み)による「声かけ」運動 具体的な支援事例を図示して呼びかけるポスター 理解啓発の状況(実態)をどのように評価するか?  5.関係資料(教育政策と障害者政策に係る国の5か年計画における合理的配慮の扱い) 内閣府 障害者政策委員会 <障害者基本計画201804~> 合理的配慮の提供に関する評価指標あり 9.教育の振興 インクルーシブ教育システムの推進 「幼・小・中・高等学校等において、合理的配慮の提供について個別の指導計画又は個別の教育支援計画に明記することとしている学校等の割合」66%(平成28年度) (注)個別の教育支援計画のみの数値 前年度比増(~平成34年度) 中央教育審議会 教育振興基本計画部会 <教育振興基本計画201804~> 合理的配慮の提供に関する評価指標なし  6.差別解消地域協議会への期待 ・合理的配慮の提供の状況(実態)の現状把握 ・好事例と困難事例の蓄積と整理整頓(データーベース)(各地域で、そして、国で) ・障害者が「意思の表明」をよりし易くする技術の向上と環境の整備 ・支援者のスキルアップ(障害者の意思の表明の読み取り。合理的配慮の選定・確定。) ・子どもの頃からの計画的な理解啓発が必要 ・予防(差別が起こらないように、合理的配慮が提供されないことのないように)