資料1-1   障害者基本計画(第4次) 本文案   平成29年7月21日   Ⅲ 各分野における障害者施策の基本的な方向   1.安全・安心な生活環境の整備  【基本的考え方】 障害者が地域で安全に安心して暮らしていくことができる生活環境の実現を図るため、障害者が安全に安心して生活できる住環境の整備、障害者が移動しやすい環境の整備、アクセシビリティに配慮した施設等の普及促進、障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進等を通じ、障害者の生活環境における社会的障壁の除去を進め、アクセシビリティの向上を推進する。  (1) 住宅の確保 ○公営住宅を新たに整備する際にはバリアフリー対応を原則とするとともに、既存の公営住宅のバリアフリー化改修を促進し、障害者向けの公共賃貸住宅の供給を推進する。また、障害者に対する優先入居の実施や単身入居を可能とするための取組が地方において行われるよう、福祉部局と住宅部局が連携して障害者に対する取組を進めていくよう地方公共団体に対して周知・情報提供を行っていく。1-(1)-1 ○民間賃貸住宅の空き室や空き家を活用した、障害者等の住宅確保要配慮者向け住宅の登録制度等を内容とする新たなセーフティネット制度を創設し、住宅の改修、入居者負担の軽減等や居住支援協議会等の居住支援活動等への支援を実施することにより、民間賃貸住宅等への円滑な入居を促進する。1-(1)-2 ○障害者や民間賃貸住宅の賃貸人が行うバリアフリー改修等を促進するとともに、障害者の日常生活上の便宜を図るため、日常生活用具の給付又は貸与、及び用具の設置に必要な住宅改修に対する支援を行う。1-(1)-3 ○障害者の地域における居住の場の一つとして、日常生活上の介護や相談援助等を受けながら共同生活するグループホームの整備を促進するとともに、重度障害者にも対応した体制の充実を図る。また、地域で生活する障害者の支援の拠点となる地域生活支援拠点等の整備を図る。こうした取組と合わせて、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を進める。1-(1)-4 ○障害者が安心して障害福祉サービス等を利用することができるよう、非常災害時における消防団や近隣住民との連携体制の構築を促進するとともに、建築基準法(昭和25年法律第201号)、消防法(昭和23年法律第186号)の基準に適合させるための改修費用や消火設備の設置費用の一部を助成すること等により、防火安全体制の強化を図る。1-(1)-5  (2) 移動しやすい環境の整備等 ○駅等の旅客施設における段差解消、ホームドア等の転落防止設備の導入、障害者の利用に配慮した車両の整備のより一層の促進等とあわせて、人的な対応の充実を図ることで、公共交通機関のバリアフリー化を推進する。1-(2)-1 ○公共交通機関の旅客施設及び車両内において、障害特性に配慮した案内表示や情報提供の充実を推進する。1-(2)-2 ○交通事業者等における障害者に対する適切な対応の確保を図るため、教育訓練の実施等を促進する。1-(2)-3 ○障害者に対し個別的な輸送を提供するため、支援制度の活用等により福祉タクシー車両等によるスペシャル・トランスポート・サービス(STS)の普及促進を図る。1-(2)-4  (3) アクセシビリティに配慮した施設、製品等の普及促進 ○バリアフリー法に基づき、不特定多数の者や、主として高齢者、障害者が利用する一定の建築物の新築時等における建築物移動等円滑化基準への現行の適合義務に加え、地方公共団体による同法に基づく条例において義務付けの対象となる建築物の追加、規模の引下げ等、地域の実情を踏まえた取組を促すことによりバリアフリー化を促進する。1-(3)-1 ○窓口業務を行う官署が入居する官庁施設については、バリアフリー法に基づく建築物移動等円滑化誘導基準に規定された整備水準の確保などによる整備を推進する。1-(3)-2 ○都市公園の整備に当たっては、安全で安心した利用のためバリアフリー法に基づく基準や支援制度により、出入口や園路の段差解消、高齢者や障害者等が利用可能なトイレの設置等を進める。また、身近な自然空間である河川の魅力を誰もが享受できるような水辺整備をまちづくりと一体となって進める。1-(3)-3 ○日常生活製品等のユニバーサルデザイン化に関し、障害者の利用に配慮した製品、設備等の普及のニーズがある場合、高齢者・障害者配慮設計等に関する標準化を推進する。1-(3)-4  (4) 障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進 ○バリアフリー法及び関連施策の在り方について、高齢者、障害者等の社会参画の拡大の推進、バリアフリーのまちづくりに向けた地域連携の強化及びハード・ソフト一体となった取組の推進という3つの視点に留意して必要な見直しを行う。1-(4)-1 ○福祉・医療施設の市街地における適正かつ計画的な立地の推進、公園等との一体的整備の促進、生活拠点の集約化等により、バリアフリーに配慮し、障害者が安心・快適に暮らせるまちづくりを推進する。1-(4)-2 ○バリアフリー法に基づき市町村が定める重点整備地区内の旅客施設周辺等の主要な生活関連経路(駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路)において、公共交通機関等のバリアフリー化と連携しつつ、幅の広い歩道の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善、無電柱化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等を推進する。1-(4)-3 ○バリアフリー法に基づき市町村が定める重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路において、歩行者等と車両が通行する時間を分離する歩車分離式信号、歩行者青時間の延長を行うPICS(歩行者等支援情報通信システム)等のバリアフリー対応型信号機、見やすく分かりやすい道路標識等の整備を推進する。1-(4)-4 ○障害者が安全に安心して自動車を運転できるよう、信号灯器のLED化、道路標識の高輝度化・大型化等を推進する。1-(4)-5 ○市街地等の生活道路における歩行者等の安全な通行を確保するため、区域(ゾーン)を設定して、最高速度30㎞/hの区域規制、路側帯の設置・拡幅、物理的デバイス設置等の対策を効果的に組み合わせ、速度抑制や通過交通の抑制・排除を図る。1-(4)-6 ○高齢者や障害者等も含め、誰もが屋内外をストレス無く自由に活動できるユニバーサル社会の構築に向け、ICTを活用した歩行者移動支援の普及促進を図るため、屋内外シームレスな電子地図や屋内測位環境等の空間情報インフラの整備・活用、移動に資するデータのオープンデータ化等により民間事業者等が多様なサービスを提供できる環境づくりを推進する。1-(4)-7 ○上記のほか、ユニバーサルデザイン2020行動計画(平成29年2月20日ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定)に位置付けられた施策について、具体の取組を実施する。1-(4)-8   2.情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実  【基本的考え方】 障害者が必要な情報に円滑にアクセスすることができるよう、障害者に配慮した情報通信機器・サービス等の企画、開発及び提供の促進や、障害者が利用しやすい放送・出版の普及等の様々な取組を通じて情報アクセシビリティの向上を推進する。あわせて、障害者が円滑に意思表示やコミュニケーションを行うことができるよう、意思疎通支援を担う人材の育成・確保やサービスの円滑な利用の促進、支援機器の開発・提供等の取組を通じて意思疎通支援の充実を図る。  (1) 情報通信における情報アクセシビリティの向上 ○障害者の情報通信機器及びサービス等の利用における情報アクセシビリティの確保及び向上・普及を図るため、障害者に配慮した情報通信機器及びサービス等の企画、開発及び提供を促進する。2-(1)-1 ○研究開発やニーズ、情報通信技術の発展等を踏まえつつ、情報アクセシビリティの確保及び向上を促すよう、適切な標準化(日本工業規格等)を進めるとともに、必要に応じて国際規格提案を行う。また、各府省における情報通信機器等(ウェブコンテンツ(掲載情報)に関するサービスやシステムを含む。)の調達は、情報アクセシビリティの観点に配慮し、国際規格、日本工業規格への準拠・配慮に関する関係法令に基づいて実施する。2-(1)-2 ○国立研究機関等において障害者の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発を推進する。2-(1)-3 ○障害者に対するIT(情報通信技術)相談等を実施する障害者ITサポートセンターの設置の促進等により、障害者の情報通信技術の利用及び活用の機会の拡大を図る。2-(1)-4 ○聴覚に障害のある人が電話を一人でかけられるよう支援する電話リレーサービスの実施体制を構築する。2-(1)-5  (2) 情報提供の充実等 ○身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(平成5年法律第54号)に基づく放送事業者への制作費助成、「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」に基づく取組等の実施・強化により、字幕放送(CM番組を含む。)、解説放送、手話放送等の普及を通じた障害者の円滑な放送の利用を図る。2-(2)-1 ○聴覚障害者に対して、字幕(手話)付き映像ライブラリー等の制作及び貸出し、手話通訳者や要約筆記者の派遣、相談等を行う聴覚障害者情報提供施設について、情報通信技術(ICT)の発展に伴うニーズの変化も踏まえつつ、その整備を促進する。2-(2)-2 ○身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律に基づく助成等により、民間事業者が行うサービスの提供や技術の研究開発を促進し、障害によって利用が困難なテレビや電話等の通信・放送サービスへのアクセスの改善を図る。2-(2)-3 ○電子出版は、視覚障害や学習障害等により紙の出版物の読書に困難を抱える障害者の出版物の利用の拡大に資すると期待されることから、関係者の理解を得ながら、アクセシビリティに配慮された電子出版の普及に向けた取組を進めるとともに、教育における活用を図る。2-(2)-4 ○心身障害者用低料第三種郵便については、障害者の社会参加に資する観点から、利用の実態等を踏まえながら、引き続き検討する。2-(2)-5  (3) 意思疎通支援の充実 ○障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者に対して、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員等の派遣、設置等による支援を行うとともに、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員、点訳奉仕員等の養成研修等の実施により人材の育成・確保を図り、コミュニケーション支援を充実させる。2-(3)-1 ○情報やコミュニケーションに関する支援機器を必要とする障害者に対して日常生活用具の給付又は貸与を行うとともに、支援機器の開発の促進を図る。2-(3)-2 ○意思疎通に困難を抱える人が自分の意思や要求を的確に伝え、正しく理解してもらうことを支援するための絵記号等の普及及び理解の促進を図る。2-(3)-3  (4) 行政情報のアクセシビリティの向上 ○各府省において、障害者を含む全ての人の利用しやすさに配慮した行政情報の電子的提供の充実に取り組むとともに、地方公共団体等の公的機関におけるウェブアクセシビリティの向上等に向けた取組を促進する。2-(4)-1 ○災害発生時、又は災害が発生するおそれがある場合に障害者に対して適切に情報を伝達できるよう、民間事業者等の協力を得つつ、障害特性に配慮した情報伝達の体制の整備を促進する。2-(4)-2 ○政見放送への手話通訳・字幕の付与、点字、音声、拡大文字又はインターネットを通じた候補者情報の提供等、ICTの進展等も踏まえながら、障害特性に応じた選挙等に関する情報提供の充実に努める。2-(4)-3 ○各府省において、特に障害者や障害者施策に関する情報提供及び緊急時における情報提供等を行う際には、知的障害者等にも分かりやすい情報の提供に努める。2-(4)-4   3.防災、防犯等の推進  【基本的考え方】 障害者が地域社会において安全に安心して生活することができるよう、災害に強い地域づくりを推進するとともに、災害発生時における障害特性に配慮した適切な情報保障や避難支援、避難所や応急仮設住宅の確保、福祉・医療サービスの継続等を行うことができるよう、防災や復興に向けた取組を推進する。また、障害者を犯罪被害や消費者被害から守るため、防犯対策や消費者トラブルの防止に向けた取組を推進する。  (1) 防災対策の推進 ○障害者や福祉関係者等の参加及び防災関係部局と福祉関係部局の連携の下での、地域防災計画等の作成、防災訓練の実施等の取組を促進し、災害に強い地域づくりを推進する。3-(1)-1 ○自力避難の困難な障害者等が利用する要配慮者利用施設が立地する土砂災害のおそれのある箇所において、砂防堰堤等の施設整備等及び危険な区域の明示等のハード・ソフト一体となった土砂災害対策を重点的に推進する。3-(1)-2 ○災害発生時、又は災害が発生するおそれがある場合に障害者に対して適切に情報を伝達できるよう、民間事業者等の協力を得つつ、障害特性に配慮した情報伝達の体制の整備を促進する。3-(1)-3[再掲] ○災害発生時、又は災害が発生するおそれがある場合に避難行動要支援者名簿等を活用した障害者に対する適切な避難支援や、その後の安否確認を行うことができるよう、地方公共団体における必要な体制整備を支援する。3-(1)-4 ○避難所、応急仮設住宅のバリアフリー化を推進するとともに、避難所において障害者が、必要な物資を含め、障害特性に応じた支援を得ることができるよう、市町村における必要な体制の整備を支援する。3-(1)-5 ○災害発生後にも継続して福祉・医療サービスを提供することができるよう、障害者支援施設・医療機関等における災害対策を推進するとともに、地域内外の他の社会福祉施設・医療機関等との広域的なネットワークの形成に取り組む。3-(1)-6 ○火災や救急事案の発生時に聴覚・言語機能障害者がいつでもどこからでも円滑な緊急通報を行えるよう、全国の消防本部におけるスマートフォン等を活用した音声によらない緊急通報システムの導入を推進する。3-(1)-7 ○水害・土砂災害時に要配慮者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設における避難確保計画の作成及び訓練の実施を促進する。3-(1)-8 ○障害者が安心して障害福祉サービス等を利用することができるよう、非常災害時における消防団や近隣住民との連携体制の構築を促進するとともに、建築基準法、消防法の基準に適合させるための改修費用や消火設備の設置費用の一部を助成すること等により、防火安全体制の強化を図る。3-(1)-9[再掲]  (2) 復興の推進 ○それぞれの地域の復興施策の企画・立案及び実施における、障害者やその家族等の参画を促進し、地域全体のまちづくりを推進するため、事例集の作成・公表などの情報提供を行う。3-(2)-1 ○障害者の被災地での生活の継続、被災地への帰還を支援するため、被災地の障害福祉サービス事業者に対する支援を実施し、被災地における安定的な障害福祉サービスの提供を図る。3-(2)-2 ○住み慣れた生活環境から離れて避難生活を行っている障害者に対する、心のケア、見守り活動、相談活動等の取組の充実を図る。3-(2)-3 ○被災地における雇用情勢を踏まえ、産業政策と一体となった雇用の創出、求人と求職のミスマッチの解消を図り、障害者の就職支援を推進する。3-(2)-4  (3) 防犯対策の推進 ○ファックスやEメール等による緊急通報について、その利用促進を図るとともに、事案の内容に応じた迅速・的確な対応を行う。3-(3)-1 ○警察職員に対し障害及び障害者に対する理解を深めるための研修の充実に取り組むとともに、障害者のコミュニケーションを支援するため、手話を行うことのできる警察官等の交番等への配置、コミュニケーション支援ボードの活用等を図る。3-(3)-2 ○警察と地域の障害者団体、福祉施設、行政等との連携の促進等により、犯罪被害の防止と犯罪被害の早期発見に努める。3-(3)-3 ○平成28年7月に発生した障害者支援施設における殺傷事件を踏まえ、障害者支援施設等を利用する障害者が安心して生活できるように、防犯に係る安全確保のための施設整備や防犯に係る職員の対応に関する点検等の取組を促進するとともに、関係機関や地域住民等と連携し安全確保体制の構築を図る。3-(3)-4  (4) 消費者トラブルの防止及び被害からの救済 ○消費者トラブルの防止及び障害者の消費者としての利益の擁護・増進に資するよう、必要な情報提供を行うとともに、障害者及び障害者に対する支援を行う者の各種消費者関係行事への参加の促進、研修の実施等により、障害者等に対する消費者教育を推進する。3-(4)-1 ○障害者団体、消費者団体、福祉関係団体、行政等、地域の多様な主体の連携により、障害者等の消費者被害防止のための見守りネットワーク(消費者安全確保地域協議会)の設置を促進する。3-(4)-2 ○地方公共団体における、消費生活センター等におけるファックスやEメール等での消費者相談の受付や、相談員等の障害者理解のための研修の実施等の取組を促進することにより、障害者の特性に配慮した消費生活相談体制の整備を図る。3-(4)-3 ○被害を受けた障害者の被害回復に係る法制度の利用の促進のため、日本司法支援センター(法テラス)の各種業務及びこれを遂行する体制の一層の充実に努める。3-(4)-4 ○常勤弁護士を始めとする法テラスの契約弁護士が、福祉機関等との連携・協力体制を密にすることにより、障害者などの社会的弱者の振込め詐欺の被害や悪質商法による消費者被害の早期発見・被害回復に努める。3-(4)-5