資料2   ユニバーサルデザイン2020行動計画について   国土交通省   1. 経緯 東京大会を契機として、共生社会の実現に向けたユニバーサルデザイン、心のバリアフリーを推進し、大会以降のレガシーとして残していくための施策を実行するため、28年2月、オリパラ担当大臣を座長とする「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議」を設置。 同会議の下に設置された「心のバリアフリー分科会」及び「街づくり分科会」における議論、28年8月の「中間とりまとめ」を経て、取り組むべき具体的施策について、2月20日、「ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議」において「ユニバーサルデザイン2020行動計画」として決定。   2. 行動計画の概要(国土交通省関連)   (1) ユニバーサルデザインの街づくり  ① 東京大会に向けた重点的なバリアフリー化 空港から競技会場等に至る面的なバリアフリーを推進、東京のユニバーサルデザインの街づくりを世界にアピール ○競技会場周辺エリア等の道路、都市公園、鉄道駅等のバリアフリー化に向けた重点支援 ○新宿、渋谷等都内主要ターミナルの再開発プロジェクトに伴う面的なバリアフリー化の推進 ○成田空港、羽田空港国際線ターミナルの世界トップレベルのバリアフリー化 ○空港アクセスバスのバリアフリー化、UDタクシー導入への重点支援等  ② 全国各地における高い水準のバリアフリー化の推進 今後の超高齢社会への対応、地方への観光誘客拡大等の観点から、全国のバリアフリー水準の底上げを図り、東京大会のレガシーとする ○バリアフリー法を含む関係施策の検討、スパイラルアップ ○交通バリアフリー基準・ガイドラインの改正、建築設計標準の改正による交通施設・建築施設のバリアフリー水準の底上げ(鉄道車両の車椅子スペースの設置箇所数拡大、トイレ環境の整備、ホテル客室の指針見直し等) ○観光地のバリアフリー情報の提供促進(統一的な評価指標によるモデル評価の実施、バリアフリー旅行相談窓口の拡大等) ○各地の中核施設を中心とした面的なバリアフリー化(主要ターミナル等のバリアフリー化、基本構想の策定促進等) ○公共交通機関等のバリアフリー化(駅ホームの安全性向上、鉄道の車椅子利用環境の改善、主要空港・主要旅客船ターミナルのバリアフリー化、バス・タクシーのバリアフリー化等) ○ICTを活用した情報発信・行動支援(歩行者のための移動支援サービスの実現、交通機関の利用にあたっての情報提供サービスの実現に向けた取組等) ○トイレの利用環境改善(機能分散等トイレ環境の整備、トイレ利用のマナー改善キャンペーンの実施等)   (2) 心のバリアフリー 交通、観光分野における接遇の向上(接遇ガイドライン等の作成)と職員研修の充実等   ユニバーサルデザイン2020行動計画 概要①   【行動計画 主な施策(国交省関連)】  ユニバーサルデザインの街づくり(東京) 空港から競技会場等に至る連続的かつ面的なバリアフリーを推進、世界水準での重点的なバリアフリー化を実現 ○競技会場周辺エリア等の連続的・面的なバリアフリー化の推進 ・アクセス道路について、重点整備区間を決定の上、バリアフリー化を重点支援 ・主要建築物におけるトイレの実態調査(28年度)に基づき、トイレのバリアフリー化、活用を推進 ・主要な都市公園について、2020年までにバリアフリー化。特に高水準のバリアフリー化を達成するものに対しモデル事例として整備を図ることを検討 バリアフリー化実施例「北参道駅」(作業者注:駅入口の写真) 「競技会場周辺道路(イメージ)」(作業者注:競技会場周辺の地図上に矢印を配置した図) ○成田空港、羽田空港国際線ターミナル等のバリアフリー化の推進 ・成田空港・羽田空港国際線ターミナルにおける世界トップレベルのユニバーサルデザイン化に向け、28年度中に数値目標を設定し、取組を具体化 ・UDタクシー乗降の利便性向上に向け、羽田空港国際線ターミナルタクシー乗り場の再配置を28年度中に完了 ○主要鉄道駅・ターミナル等におけるバリアフリー化の推進 ・大会関連駅のエレベーター増設やホームドア整備等への重点支援 ・都内主要ターミナル(新宿、渋谷、品川、虎ノ門等)において、都市再開発の中でバリアフリー化を推進(2020年までの供用目標) 「ホームドア」「エレベーター」(ホームドアとエレベーターの写真) 「渋谷再開発」(作業者注:再開発前と再開発後の写真) ・都心から臨海部BRT計画 (2019年運行開始予定)へのバリアフリー新技術の導入検討(28年度、実証実験等を実施) 「正着性を高めるバリアフリー縁石」(作業者注:ホーム端、縁石部の写真) ○リフト付バス・UDタクシー車両等の導入促進 ・空港アクセスバスのバリアフリー化、UDタクシーの導入促進を支援。東京23区で2020年に25%のUDタクシーを目指す ・オリパラ特別仕様ナンバープレートの寄付金を活用し、更なるUDタクシー等の導入促進(数値目標の見直しも検討) ・観光バス等の貸切バスについて、リフト付きバス等のバリアフリー車両の導入促進策等を検討 (作業者注:バス、UDタクシーの写真、ナンバープレートのイメージ図)   ユニバーサルデザイン2020行動計画 概要②  ユニバーサルデザインの街づくり(全国各地) 超高齢社会への対応、地方への観光誘客拡大等の観点から、全国のバリアフリー水準を底上げし、東京大会のレガシー化 ○バリアフリー法を含む関係施策の検討 施行後10年が経過したバリアフリー法を含む関係施策について検討 ・バリアフリー法を含む関係施策について、共生社会の推進や一億総活躍社会の実現の視点も入れつつ、平成29年度中に検討、そのスパイラルアップを図る ○バリアフリー基準・ガイドラインの改正 義務付け基準やガイドラインを改正し、全国の交通施設・建築施設のバリアフリー水準を底上げ ・交通バリアフリー基準・ガイドライン改正(29年度中目途) ・建築物に係る設計標準の改正(28年度)鉄道車両の車いすスペース設置箇所拡大、ホテル客室の指針見直し等 (作業者注:鉄道車両内の車いすスペース、ホテル客室の写真) ○都市部等における複合施設を中心とした面的なバリアフリーの推進 地域の中核となる施設を中心に連続的かつ面的なバリアフリーを推進 ・主な道路1700kmを引き続きバリアフリー化(2020年までの完了目標) ・更に主要鉄道駅等周辺の道路について、バリアフリー化の実態調査を実施・公表し、各市町村のバリアフリー化の取組を支援 ・地域における重点的・一体的なバリアフリー化に資するバリアフリー基本構想の作成ガイドブックを改訂し、市町村による計画策定を促進 ・パーキングパーミット制度の導入促進に向け、検討会を設置等 ○トイレの利用環境の改善 様々な障害のある人にとって利用しやすいトイレ環境の整備 ・ガイドライン等を改正、利用者分散に向け機能分散・充実を促進(29年度中目処) ・トイレ利用のマナー改善に向けたキャンペーンを実施 (作業者注:多機能トイレの写真) ○観光地のバリアフリー化 障害のある人が訪れやすい観光地づくりに向け、観光地エリア全体の面的なバリアフリーを推進 ・観光地のバリアフリー状況について統一指標によりモデル評価(28年度) ・高齢者、障害者等の旅行支援を行うバリアフリー旅行相談窓口を拡大 ○公共交通機関等のバリアフリー化 鉄道、旅客船ターミナル、空港、バス・タクシー等におけるバリアフリー化の更なる推進 ・「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」中間取りまとめ(28年12月)に基づき、ホームドアの設置、駅員の声掛け等により駅ホームの安全性を向上 ・鉄道の車椅子利用環境(待ち時間等)の改善(28年度中に検討会設置) ・ハンドル型電動車椅子の鉄道車両等への乗車要件見直し(28年度末に結論) ・主要旅客船ターミナルにおける陸上交通機関からの連続的なバリアフリー化状況を今年度中に点検し、バリアフリー化を促進 ・関西空港、中部空港、新千歳空港、那覇空港等のバリアフリー化について、28年度中に数値目標を設定し、取組を具体化等 (作業者注:ハンドル型電動車いすの写真) ○ICTを活用したきめ細かい情報発信・行動支援 ICTを活用し、障害のある人等が自立して移動できる環境の整備 ・空港から競技会場までの移動支援に向け、28年度より、歩行者のための移動支援サービスの実証実験を実施(東京駅周辺等4箇所)。民間事業者との連携を強化し、移動支援サービスの普及を促進 ・バリアフリールート・所要時間を提供する乗換検索システムや、鉄道車両内における障害者向け走行位置案内アプリの実現に向け、28年度に技術調査等を実施等  心のバリアフリー ○交通・観光分野における接遇の向上と職員研修の充実 ・接遇ガイドライン・マニュアルを29年度中に作成 ・交通事業者等の行う研修を充実 (作業者注:旅客船で車いすユーザーの乗船補助中の写真、スロープを設置作業中の写真、スロープを用いて下船補助中の写真)   バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会について  背景 ○バリアフリー法に基づく義務付け基準のもと、都市部を中心に公共交通機関の旅客施設や車両等のバリアフリー化は一定の進捗。 ○一方、バリアフリー法の施行から28年12月で10年が経過し、この間、バリアフリー・ユニバーサルデザインを取り巻く状況は以下のように変化しており、これらの推移を踏まえた対応が必要。 ・高齢者、障害者等の増加 ・障害者権利条約締結及び障害者基本法等国内関連法の整備 ・昨年の視覚障害者のホーム転落事故の相次ぐ発生 ○共生社会の推進や一億総活躍社会の実現といった視点も取り入れていく必要。 ○東京オリンピック・パラリンピック、また、その後のレガシーの創出に向けて取り組む必要。 →ユニバーサルデザイン2020行動計画(2月20日) バリアフリー法を含む関係施策について、共生社会の推進や一億総活躍社会の実現の視点も入れつつ、29年度中に検討を行う等により、そのスパイラルアップを図る。 →バリアフリー法及び関連施策について、その見直しも視野に入れ、理念的、制度的な観点を含め幅広く検討。  体制 ○国土交通省オリパラ準備本部バリアフリーWGにおいて、バリアフリー法及び関連施策について検討。 ○WGと並行して、「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」において学識経験者、障害当事者、施設管理者等による検討を行う。 ○両者は連携して検討を進める。 (作業者注:以下ポンチ絵。2つの大項目が連携している図)   国土交通省2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会準備本部 本部長:国土交通大臣  バリアフリーWG 座長:国土交通副大臣 構成員:政務二役、次官、局長等 ・準備本部第二回会合(平成26年9月)にて設置を了承  バリアフリーWG幹事会 幹事長:総合政策局長 幹事:関係課長等 事務局:総政局安心生活政策課 ↓連携   バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会 ○メンバー 学識経験者、障害当事者、施設管理者等 ○検討項目案 ・障害者権利条約締結等状況の推移を踏まえたバリアフリー施策推進の基本的考え方 ・個別施設の更なるバリアフリー化に向けた公共交通事業者等の取組促進のあり方 ・地域の更なる面的バリアフリー化に向けた基本構想制度のあり方 ・心のバリアフリーのあり方等 ○スケジュール 平成29年3月15日第1回検討会 平成29年5月23日第2回検討会 平成29年6月13日第3回検討会(とりまとめ) (作業者注:ポンチ絵ここまで) (作業者注:以下時系列の表)  スケジュール 平成29年2月 省内WG開催 平成29年3月 検討会①(3月15日)、(WG幹事会を適宜開催) 平成29年4月 (WG幹事会を適宜開催) 平成29年5月 検討会②(5月23日)、(WG幹事会を適宜開催) 平成29年6月 検討会③(6月13日)、省内WG開催 平成29年7月 (とりまとめを踏まえ、所用の見直し等) (作業者注:表ここまで)   バリアフリー法及び関連施策の見直しの方向性について   ~国土交通省2020年オリンピック・パラリンピック東京大会準備本部バリアフリーワーキンググループとりまとめ~   平成29年6月27日   1. 検討の経緯 高齢者、障害者数が増加傾向にある中で、障害者権利条約締結(平成26年)を踏まえ、また、東京オリンピック・パラリンピック開催を契機として、共生社会や一億総活躍社会の実現に対する期待が高まっている。さらに、視覚障害者のホーム転落事故の発生等により、バリアフリーのハード、ソフトの両面から対策が急務となっている。 また、ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議(本年2月)で決定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」において、東京オリンピック・パラリンピックに向けた重点的なバリアフリー化とともに、全国のバリアフリー水準の底上げを目指すこととなっており、特に、「バリアフリー法を含む関係施策について、共生社会の推進や一億総活躍社会の実現の視点も入れつつ、平成29年度中に検討を行う等により、そのスパイラルアップを図る。」とされているところである。 こうしたことから、バリアフリー法及び関連施策について、見直しも視野に入れ幅広く検討するため、本年2月末に本ワーキンググループにおいて見直しを開始したところ。本年3月に設置した学識経験者、障害者団体・事業者団体の代表(26団体)等からなる「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」の議論も踏まえ、見直しの方向性について以下のとおりとりまとめるものである。   2. 基本となる3つの視点  高齢者、障害者等の社会参画の拡大の推進 →2020年東京大会のレガシーとしての共生社会の実現、一億総活躍社会の実現に向け、高齢者、障害者等が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加し、活躍する機会を確保していくことが重要であり、施策の拡大・充実を実現する。  バリアフリーのまちづくりに向けた地域連携の強化 →施設間の乗り継ぎにおいて不便を感じるケースなど、連携が必ずしも十分でない。地域の関係者の連携を促進し、バリアフリーのまちづくりを推進する。  ハード・ソフト一体となった取組の推進 →現行バリアフリー法は施設整備に重点。ハード面の整備はもとより、これと一体となったソフト面の取組を推進する。   3. 施策の方向性  ① バリアフリー施策の基本的考え方 ・「障害の社会モデル」の理念等を、バリアフリー法体系において反映 ・観光地のバリアフリー化(地域・宿泊施設のバリアフリー化、情報提供、相談窓口の充実等)を推進 ・バリアフリー法の適用対象事業者の拡大を検討 ・バリアフリー情報の見える化を検討 ・高齢者、障害者等の意見聴取について、バリアフリー法体系において明確化  ② 施設設置管理者等の取組促進 ・交通バリアフリー基準・ガイドラインの本年度中の見直し ・2021年度以降の整備に関する目標設定のあり方について、適切な時期に検討を開始(基本方針) ・公共交通事業者等が、ハード、ソフト両面の取組状況を対外的に明らかにする制度(統括管理者の設置、推進計画策定、定期報告、公表制度、情報提供等)の導入を検討 ・優先的に整備すべき道路の重点的な支援、経路選択が可能なバリアフリー化について検討 ・建築物等個別施設のバリアフリー化について、条例による区域を限った義務基準強化の促進を含め、検討  ③ 地域の更なる面的バリアフリー化 ・市町村による基本構想作成を促進するため、基本構想の作成要件の緩和、複数市町村にまたがる事業の場合等における都道府県の関与の強化等を検討 ・基本構想を一定期間ごとに評価・見直しする制度について検討 ・複数の施設設置管理者が関係する交通結節点における施設設置管理者間の連携促進の仕組みを検討 ・まちづくり施策との連携を促進  ④ 心のバリアフリー ・公共交通事業者等がハード、ソフト両面の取組を計画的に取り組む中で、更なる職員研修の実施を促進するための仕組みについて検討 ・交通・観光分野における接遇ガイドラインの本年度中の策定、普及 ・バリアフリー教室等の啓発活動について、事業者や公共交通の利用者向けの取組を充実 ・障害者等当事者に対する公共交通の安全な利用に関する啓発活動を推進   4. 具体化に向けて  3.でとりまとめた施策について、事業の実情等に即した実効ある制度設計等を行うため、関係事業者と十分調整を図りつつ、早期の具体化に向け検討を進める。   バニラ・エア事案を受けた国土交通省の対応について   1. 事案概要 本年6月5日、奄美空港においてバニラ・エア(以下「バ社」という。)が、自社便の車いす利用客に、安全上の理由から車いすを担いでタラップを上ることを認めなかったため、最終的に当該利用者が自力で階段をのぼる事案が発生。 本件を受け、バ社は、当該利用者に対しお詫びするとともに、車いす利用者の利用に必要な設備を6月14日に導入する改善策を実施。   2. 本件に係る国土交通省の考え方 障害者の方々を含む利用者が安全で快適に公共交通を利用するため、事業者は適切な対応をとるべきであり、バ社にあっては、改善策を講じたとはいえ、サービスの提供のあり方について、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、利用者目線でよく検証することが必要。   3 今後の国土交通省の対応  (1) 所管事業者に対する障害者差別解消法の趣旨の徹底 ① バ社に対し、サービス提供のあり方について、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、利用者目線で検証するよう指導 さらに、他の航空会社に対しても、障害者差別解消法の趣旨を周知徹底するとともに、必要に応じて、適切な対応がとられるよう指導 ② 障害者差別解消法の趣旨の徹底を所管事業者に対し要請 ・合理的配慮の最大限の提供、施設整備等事前的改善措置等の検討 ・サービス提供等に係るウェブサイト等による情報提供の実施 等  (2) 公共交通事業者向け心のバリアフリー施策等の取組強化 ③ 公共交通事業者向け接遇ガイドラインの作成及び事業者による職員研修の実施促進 ④ バリアフリー教室等心のバリアフリー施策について、公共交通事業者向けの取組強化 ⑤ 公共交通事業者におけるバリアフリーに係る責任者の設置、推進計画の策定、情報提供の実施等について、検討 ※上記のほか、バリアフリー法及び交通バリアフリー基準等関連施策全般の見直しを推進。