資料2 p1   第46回障害者政策委員会資料 2019年10月17日 日本商工会議所 大内 博  障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現は、全ての国民が取り組むべき重要な課題と認識しております。こうした中、とりわけ地域の中小・小規模事業者を多く抱える事業主団体として、ご配慮いただきたい点を以下述べさせていただきます。 【商工会議所とは】  全国に515商工会議所。商工会議所法に基づき地域ごと(主に市単位)に設立される地域総合経済団体。総会員数は125万会員(2018年3月末現在)、全国360万社のうち3社に1社が会員。会員の大半は中小・小規模事業者。   (1)合理的配慮の提供について ・事業者に求められる合理的配慮の提供については、主務大臣が定めるガイドライン(対応指針)により、基本的な考え方、合理的配慮の具体例などが示されており、こうした指針等を参考に、事業者は日々の事業に取り組み、要請があった際に対応し、或いはそうした場合に備えています。 ・しかしながら、合理的配慮の提供は、具体的な場面により求められる内容が異なるなど、多様で個別的なものであり、ガイドラインや具体例のみを頼りに、一律にその内容を定め、規定することが難しい問題ともいえます。 ・また、事業の業態や規模、能力等は事業者によって異なるため、合理的配慮の提供については、ある程度の柔軟性がないと、事業者にとっては過重な負担となり、サービス対応の現場に混乱が生じる恐れがあります。 ・今後も、法規制としては一般的・抽象的なものや努力義務とし、実際の運営にあたっては、対応指針等を参考にしながら、事案毎の当事者間の対話による対応に委ねることが、相互理解を優先することにつながり、ひいては国民各層の意識醸成に結び付くものと考えます。   (2)紛争解決・相談体制の整備について ・合理的配慮の提供に際して、当該事業者にとっては過重な負担となり、社会的障壁の除去に向けた対応が難しい場合に、障害者と事業者の対話が上手く行かずに係争に発展する場合が考えられます。 p2 ・一旦係争となれば、当事者双方に、大変大きな時間的・費用的負担を与えることとなるため、今後も、対話や自主的な解決を尊重し、双方にとって大きな負担となることのないよう取り組むことが重要といえます。 ・法施行から3年が経過し、国・地方自治体で問題の解決に効果を上げている事例も多く生まれていると考えます。そうした事例を集め、共有することで、双方に納得感のある紛争解決・相談体制の整備につながるものと考えます。   (3)国民各層に向けた普及・啓発活動と意識の醸成について ・障害を理由とする差別については、国民一人一人の障害に関する知識・理解の不足、意識の隔たりに起因する側面が大きいといえます。本法が目指す、全ての国民が分け隔てられることのない共生社会を実現するためには、法の目指す取り組みや考え方を、幅広く社会に浸透させることが何より重要です。 ・国・地方自治体においては、本法のもと差別解消のための支援措置として、普及・啓発活動に取り組まれていますが、こうした活動をこれまで以上に積極的に、国民の各層に届くようお願いできればと思います。 ・2020年はオリンピック・パラリンピックという大きな国際イベントを控え、パラアスリートの活躍にも国民の注目が集まります。こうした機会を捉えて、誰もが差別なく暮らすことのできる社会の実現に向け、より積極的に、国民各層への意識醸成をお願いいたします。   (4)事業者への支援策拡充について ・社会的障壁の除去のため、事業者が施設の改修等を行う際の助成制度について、補助率や上限額の引き上げ等支援の拡充をお願いするとともに、職員向けの研修費用の助成や、希望する事業者への講師・専門家の派遣などソフト面の支援も含めて、より幅広い支援を国・地方自治体にはお願いいたします。   (5)地域協議会での連携について ・障害者差別の解消に向けては、社会的な意識改革や地域づくりを主体的かつ総合的に取り組むことが重要です。本法においても、地域における連携を目指し、地域協議会の設置が定められており、その設置・取り組みを推進していますが、国民各層の意識改革と気運醸成に地域から取り組むためにも、これまでの各地における好事例を活用しつつ、引き続き同協議会を通じた連携強化が重要と考えます。 以 上