資料7 障害者統計の充実について 内閣府・総務省・厚生労働省 p1 障害のある人と障害のない人との比較を可能とする統計データを整備する観点から、我が国の統計調査に導入可能な障害のある人を捉える設問について検討することを目的として、令和元年度に、内閣府の調査研究事業として学識経験者や関係府省(内閣府、総務省及び厚生労働省)等から成る検討チームが組成された。この事業では、国際的に用いられている設問セットの比較等を含めた評価分析が行われ、令和2年3月に報告書が取りまとめられた。 同報告書では、調査研究の結果を踏まえ、今後の障害者統計の在り方について、2022年度までの実施を目途に、例えば国民生活基礎調査や社会生活基本調査といった既存の基幹統計調査等について、障害のある人を捉える設問を導入すること及びその場合の具体的な設問の在り方を検討することが望まれるとされた。 これを踏まえ、2020年度以降、関係省庁において具体的な検討が進められているところ。 総務省では、現在実施している令和3年社会生活基本調査において、日常生活への支障の有無(欧州統計局の設問)による生活時間の違いなどを把握することとしているところ。 厚生労働省では、令和4年国民生活基礎調査から、国連障害者権利委員会がその利用について勧告しているワシントングループの設問により日常生活における機能制限の程度に関する状況を新たに把握することとしているところ。 なお、統計法の規定により、基幹統計調査を変更する際はあらかじめ統計委員会への諮問、答申を経て、総務大臣の承認を受ける必要があるが、いずれの調査についても、既に変更内容を承認したところ。 以上 p2 別添1 社会生活基本調査における障害者統計の充実について 総務省 1.社会生活基本調査について 社会生活基本調査は、統計法(平成19年法律第53号)に基づき、国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的として、1976年以来、5年ごとに実施している統計調査である。 2.欧州統計局の設問の導入 (1)欧州統計局の設問の概要 欧州統計局では、健康に関し「ふだんの健康状態」、「慢性的な病気や長期的な健康問題」及び「日常生活への支障の程度」の三つの設問がセットされており、「欧州統一生活時間調査(HETUS)ガイドライン」などで使用されていることから、欧州各国の生活時間調査で採用されている。 上記設問のうち、「日常生活への支障の程度」が欧州統計局において障害を捉える定義の一つとして紹介されている。 (2)欧州統計局の設問を採用した理由 令和元年度に内閣府の調査研究事業として実施された「令和元年度障害者統計の充実に係る調査研究事業」の報告書において、ワシントングループ又は欧州統計局のいずれかを基礎として検討する方向性が示された。 上記報告書の方向性を踏まえ、令和3年社会生活基本調査に障害者を捉える設問を導入するとともに、新たに追加を検討する設問としては、下記の理由により、欧州統計局の設問を採用することとしたもの。 1 日常生活への支障の程度を尋ねる欧州統計局の設問は、欧州連合の主要先進国における生活時間調査で広く採用されているところであり、同じく生活時間調査である社会生活基本調査でも、同じ設問を採用することが適当 2 「1」のとおり、欧州連合の主要先進国における生活時間調査で用いられている事例が多く、生活時間に関する国際比較が可能 3 社会生活基本調査では元々「ふだんの健康状態」について尋ねており、欧州統計局の設問も、「ふだんの健康状態」を尋ねた上で、「慢性的な病気や長期的な健康問題」及び「日常生活への支障の程度」の設問が設定されていること 3.設問の追加による集計事項の充実について 「日常生活への支障の程度」については、例えば「男女」別、「年齢」別といった基本的な属性情報別の集計に加え、「ふだんの就業状態」別(有業者・無業者の別)とも組み合わせた集計を行うこととしており、このような属性別に日常生活への支障の有無による行動者率や生活時間の違いをみることが可能となる。 以上 p3 別添2 国民生活基礎調査における障害者統計の充実について 厚生労働省 1.国民生活基礎調査について 国民生活基礎調査は、統計法(平成19年法律第53号)に基づき、国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び立案に必要な基礎資料を得ることを目的として、1986(昭和61)年を初年とし3年ごとに大規模な調査を実施し、中間の各年は簡易な調査を実施している統計調査である。 2.ワシントングループの設問の導入 (1)ワシントングループの設問の概要 国連障害者権利委員会がその利用について勧告を行っている設問である。 日常生活における六つの機能(視覚、聴覚、歩行、認知、セルフケア、コミュニケーション)それぞれについて、苦労の程度を4段階(「苦労はありません」「多少苦労します」「とても苦労します」「全く出来ません」)で尋ねる形式の設問である。 六つの機能を尋ねる設問に基づいて、障害種別との対応を把握することができる。具体的には、それぞれの機能ごとに、視覚障害・聴覚障害・歩行障害・コミュニケーション障害等の障害種別の把握が可能である。また、機能制限の程度についても、苦労の程度を4段階で尋ねることにより把握することが可能な設問である。 (2)ワシントングループの設問を採用した理由 令和元年度の内閣府の調査研究事業において、ワシントングループの設問と欧州統計局の設問が具体的な検討対象とされ、各設問の役割・特性や国際的な動向等の研究報告を踏まえ検討を行った結果、ワシントングループの設問は、大規模な統計調査等において多くの国で採用されている設問でもあり、全国の世帯及び世帯員を対象とし、国民生活の基礎的事項を把握するという国民生活基礎調査の目的、特性に沿うこと、国際的な動向との整合性からワシントングループの設問を最適と判断し採用したところ。 3.設問の追加による集計事項の充実について ワシントングループの設問による日常生活における六つの機能と苦労の程度に関する状況と、年齢、性別、教育関係の設問、雇用関係の設問をクロスした統計表を作成する予定としている。 以上