資料6-1 文部科学省の主な障害者施策実施状況(令和3・4年度)の概要 p1 1.教育の振興 (1)初等中等教育 ○令和5年(2023年)3月に取りまとめられた「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」報告において、児童生徒が慣れた環境で安心して通級による指導を受けられるように自校通級や巡回通級を促進すること等について教育委員会等に通知した。 ○特別支援学校の学習指導要領等(平成29年、平成31年告示)において、重複障害者である子供や知的障害者である子供の学びの連続性の重視や、障害の特性等に応じた指導上の配慮の充実、キャリア教育の充実など、自立と社会参加に向けた教育を充実した。 さらに、趣旨の徹底が図られるよう、各種会議や研究協議会等で周知した。 ○障害のある児童生徒等の就学相談や学びの場の検討等の充実に資するよう、令和3年6月に「教育支援資料」を「障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~」(別冊として「小学校等における医療的ケア実施支援資料」も作成)として改訂し、更なる周知徹底を図った。 ○令和2年3月、「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」を作成・公表した。 ○「学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進事業」調査研究の成果等を踏まえ、2019年3月に、交流及び共同学習に係るガイド(改訂版)をホームページに掲載し、周知を図った。 ○障害のある子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制を整備する際に要する経費や医療的ケア看護職員、言語聴覚士等の外部専門家の配置に係る経費の一部補助、特別支援教育支援員の地方財政措置を行った。こうした支援スタッフの配置がより促進されるよう、令和3年8月に、医療的ケア看護職員や特別支援教育支援員を学校教育法施行規則上に位置づけた。 ○独立行政法人国立特別支援教育総合研究所において、各都道府県等において特別支援教育に関して指導的立場にある教職員等を対象に、各種の専門的な研修を実施した。 (2)高等教育 ○高等教育における障害学生支援の充実を図るため、先進的な取組や多くの知見を持つ複数の大学等が連携するプラットフォームを形成し、組織的なアプローチにより障害のある学生を支援する「障害のある学生の修学・就職支援促進事業」について、2件の取組を選定し、支援することで、大学等の関係機関の連携ネットワークの構築を推進した。 p2 ○独立行政法人日本学生支援機構において、大学等における障害学生支援の充実に資するよう、全国の大学等における障害のある学生の状況及びその支援状況について把握・分析するための実態調査、各大学等が適切な対応を行うために参考にできる事例集の作成、理解・啓発促進を目的としたセミナーや実務者育成のための研修会の開催などの取組を実施した。 ○「障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)」(平成24年12月)や「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第二次まとめ)」(平成29年3月)で整理した、各大学等における相談窓口の統一や支援担当部署設置等の支援体制の整備の促進等について、独立行政法人日本学生支援機構や、各大学等が主催するセミナー、大学等の教職員が出席する会議等を通じて周知・啓発を行うとともに、各大学の取組を促した。 (3)生涯を通じた多様な学習活動 ○令和3年度に「障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会」を設置し、障害者の生涯学習推進を担う人材、特にその中核となる人材が身に着けるべき専門性やその役割等について報告を取りまとめるとともに、具体的な実践例や担い手の役割等を示した事例集「共生社会のマナビ~障害者の生涯学習支援入門ガイド・事例集~」を公表した。 ○基礎的なデータ収集、学習機会の質的向上に向けた総合的な調査・研究を実施しており、令和3年度は重度重複障害児者等の生涯学習に関する実態調査、令和4年度は地方公共団体及び障害者本人を対象とした実態調査を実施し、結果を自治体担当者に広く周知した。 ○学校卒業後の障害者の社会参加・活躍を推進するため、都道府県を中心とした地域コンソーシアムによる持続可能な生涯学習支援体制の構築、市区町村と民間団体の連携による生涯学習プログラムの開発、大学・専門学校等における多様な学びの場の拡充のための実践研究を実施し、その成果を普及するコンファレンス(令和4年度8カ所、令和4年度12箇所)及び、障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会の実現に向けた啓発を目的としたフォーラム「超福祉の学校@SHIBUYA」を開催した。 ○障害者が生涯にわたり教育やスポーツ、文化などの様々な機会に親しむことができるよう、各地で障害者の生涯を通じた多様な学習を支える活動を行う個人又は団体について、その功績をたたえる「障害者の生涯学習支援活動に係る文部科学大臣表彰」にて、令和3年度は58件、令和4年度は56件を表彰し、その取組を事例集としてまとめ公表した。 ○地域と学校の連携・協働の下、地域全体で子供たちの成長を支え、地域を創生する「地域学校協働活動」を、特別支援学校等を含めて全国的に推進し、障害のある子供を含めた全ての子供の放課後や土曜日等の学習・体験プログラムの充実や、企業等の外部人材等の活用を促進するために、都道府県、市区町村を対象とした「地域と学校の連携・協働体制構築事業」を実施した。 p3 ○放送大学において、テレビ授業への字幕の付与や単位認定試験での音声・点字等による出題等、障害のある学生への学習支援を実施した。 ○公共図書館、学校図書館における障害者の読書環境の整備について、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」に基づき、読書バリアフリーに関する研修や関係者が連携した取組を支援するとともに、これらの取組の成果を全国に普及することにより、地域の実情を踏まえた効果的な読書バリアフリーの取組を推進した。 2.文化芸術活動・スポーツ等の振興 (1)文化芸術活動 ○障害者による文化芸術活動の推進に関する施策をより総合的かつ計画的に推進するため、令和5年3月に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」(平成30年6月施行)に基づいて厚生労働省と共同で第2期の基本計画を策定し、計画期間において目指す姿として、「障害者による幅広い文化芸術活動の更なる促進や展開」、「関係団体・機関等の連携による取組の充実」、「地域における推進体制の構築」を定めた。 ○障害者による文化芸術の鑑賞や創造、発表の機会を確保するため、障害者の優れた文化芸術活動の国内外での公演・展示の取組の普及展開に向けた人材育成、映画作品のバリアフリー字幕や音声ガイド制作への支援、特別支援学校の生徒による作品の展示や実演芸術の発表の場の提供の取組を実施した。 ○国立美術館、国立博物館は、障害者手帳を持つ人について展覧会の入場料を無料としているほか、全国各地の劇場、コンサートホール、美術館、博物館などにおいて、車椅子使用者も利用ができるトイレやエレベーターの設置等障害のある人に対する環境改善の取組を推進した。 (2)スポーツ ○障害者スポーツの普及促進のため、「障害者スポーツ推進プロジェクト」として、各地域における課題に対して、障害者スポーツの振興体制の強化、身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備を図る取組(平成30年度より)や、障害者スポーツ団体の体制の強化を図り、他団体や民間企業等と連携した活動の充実につなげる取組(平成30年度より)、個々人での購入が容易でない障害者スポーツ用具について、地域の保有資源を有効活用し、過大な金銭的負担を負うことなくスポーツを始めることのできる仕組みを構築する取組(令和元年度より)等を実施した。 ○新型コロナ感染症の流行により、障害者のスポーツ実施率が低下したことから、運動離れ等に対応するため、身近で気軽に運動・スポーツを楽しめる環境整備に向けて、障害者スポーツ用具を整備し、スポーツ機会の充実に取り組んだ。(R3補正) p4 ○東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、「オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業」として、パラリンピアンとの交流・パラスポーツ体験事業を重点的に実施するなど、障害当事者以外に向けた障害者スポーツ体験・理解の促進を図るとともに、「Specialプロジェクト2020」として、全国の特別支援学校でのスポーツ・文化・教育の祭典の実施に向けた先進事例を蓄積するためのモデル事業や特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくりの支援を実施した。 ○第21回全国障害者スポーツ大会は、三重県で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により中止した。第22回大会は、栃木県で4年ぶりに開催し、新たにボッチャ競技を実施した。 ○オリパラレガシーを継承・発展させるため、文部科学省大臣政務官(当時)をトップとする障害者スポーツ振興方策に関する検討チームを設置し、障害者スポーツの普及やパラリンピック競技等におけるアスリートの発掘・育成・強化等について報告書をとりまとめた。 ○第16回夏季パラリンピック競技大会(東京)や第13回冬季パラリンピック競技大会(北京)をはじめとする国際競技大会等に向けて各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動や次世代アスリートの発掘・育成における競技特性等を踏まえた支援に加え、ナショナルトレーニングセンター(NTC)屋内トレーニングセンター・イーストをはじめとするアスリートのトレーニング環境の整備など、競技力向上のための取組を実施した。