資料4 改正障害者差別解消法の施行に向けた厚生労働省対応指針の改正について 令和6年3月 厚生労働省 p1 1.改正に向けた主な動き ○「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」の閣議決定以降、厚生労働省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針(ガイドライン)の改正に向けて、下記を実施。 ・障害者団体合同ヒアリング ・事業者団体ヒアリング ・パブリックコメント(1か月間) ○厚生労働省の所管する対応指針は以下の4指針。 1 福祉事業者(生活保護、高齢者福祉、障害福祉関係事業者等)向けガイドライン 2 医療関係事業者(病院、診療所、助産所、調剤を実施する薬局等)向けガイドライン 3 衛生事業者向け(飲食店営業、理容業、美容業、旅館業等)ガイドライン 4 社会保険労務士の業務を行う事業者向けガイドライン ※各ガイドラインの改定にあたっては、上記のとおりヒアリング等を実施した他、衛生事業者向けガイドラインについては、「改正旅館業法の円滑な施行に向けた検討会」においても議論され、患者等団体、障害者団体、高齢者等関係団体から意見を伺った上で、とりまとめにおいて旅館業に関し衛生事業者向けガイドラインの改定案が示された。 2.厚生労働省対応指針に係る主な改正事項 ※【共通】は4指針において追加した事例 (1)障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮等の例について (ア)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例 ・障害者本人の尊厳を軽視して、見下したような言葉遣いや幼児を相手にするような言葉で接すること【福祉事業者】 ・緊急事態が起きた時、非常ベルや館内放送があっても気づかないので、危険であるとの理由で、聴覚障害者の宿泊を断ること【衛生事業者】 ・乳がんの患者の大浴場などでの入浴に際して胸を覆う肌着「入浴着」を着用して入浴することを拒否すること【衛生事業者】 ・サービス提供の場面における障害者本人や第三者の安全性などについて具体的に考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由として施設利用を拒否すること【共通】 (イ)正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例 ・車椅子の利用者が畳敷きの個室の利用を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行うこと(事業者の損害発生の防止の観点)【福祉事業者、衛生事業者、社会保険労務士の業務を行う事業者】 ・手続を行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認すること(障害者本人の損害発生防止の観点)【共通】 (ウ)合理的配慮に該当すると考えられる例 ・白衣に強く反応し、診察を拒否するという場合には、必要に応じて通常の服に着替えて対応すること【医療関係事業者】 ・特別なコミュニケーション支援が必要な障害児者の入院にあたっては、医療機関は院内感染対策に配慮しつつ、可能な限り支援者が付き添えるよう配慮すること【医療関係事業者】 p2 ・宿泊者にオストメイトや「入浴着」を着用した方の大浴場での入浴に理解をいただけるよう、オストメイトや「入浴着」に関する説明やポスターを脱衣場等に掲載すること【衛生事業者】 ・筆談、要約筆記、手話、読み上げ、点字、コミュニケーションボードの活用、触覚による意思伝達などによる多様なコミュニケーション、振り仮名や写真、イラストなど分かりやすい表現を使って説明するなどの配慮を行うこと【福祉事業者、衛生事業者、医療 関係事業者】 ・オンラインでの手続が必要な場合に、ウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求められた場合に、電話や電子メールでの対応を行うとともに、ウェブサイトの改良を行うこと【福祉事業者、衛生事業者、医 療関係事業者】 (エ)合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例 ・宿泊施設において、肢体不自由の障害者から客室内のトイレの入口の段差解消のために、椅子貸出しの申出があった場合に、具体的な検討をしないまま断り、別の階の障害者用トイレの使用を求めること【衛生事業者】 ・筆記が困難であるためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の活用を認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること【共通】 ・電話利用が困難な障害者から電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに対応を断ること【共通】 (オ)合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例 ・医療機関において、診療を終えた障害者から、自宅までの送迎を求められた場合に、当該医療機関では当該業務の一環として行っていないことから送迎はできないが、タクシー等の連絡先をお伝えすること【医療関係事業者】 ・事業者において、事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること【共通】 (カ)障害特性に応じた対応 ・「上肢に障害がある場合」を追加【共通】 ・「自閉症、アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)」や「注意欠陥多動性障害(注意欠陥・多動性障害)」などについて特性に関する情報を追加【福祉事業者、衛生事業者、医療関係事業者】 (2)事業者における相談体制の整備、研修・啓発、障害を理由とする差別の解消の推進に資する制度等の整備について ・研修等の実施に当たり、行政機関が作成し提供する周知・啓発資料等を活用することや、障害者から話を聞く機会を設けることも有効であること【共通】 ・内部規則やマニュアル等について、点検や必要な制度の改正等を検討すること【共通】 p3 3.適用期日等 ○公表・周知:令和6年3月中(予定) ○適用期日:令和6年4月1日