資料7 p1 合理的配慮アドバイザー派遣制度/ユニバーサルツーリズム推進条例の制定/「ひょうごユニバーサルなお宿」宣言・登録制度/その他周知・啓発について 障害者政策委員会(第78回) 令和6年3月7日 兵庫県福祉部障害福祉課、産業労働部観光局観光振興課 p2 紹介する施策一覧 ・以下の表の、民間企業等に向けた、障害福祉課と観光振興課の施策を紹介 ・合理的配慮アドバイザーは平成28年度から ・今年度ユニバーサルツーリズム推進条例を制定 ・それに対応した「お宿」制度 ・改正法施行に向けた周知啓発としてキックオフセミナーを実施済 ・実施したセミナー内容を盛り込んで法律概要のパンフレットを作成 民間企業への働きかけには他部局との連携が必然的な流れ (作業者注:以下表) 区分 合理的配慮アドバイザー派遣 実施 平成28年度から 対象 民間企業等 内容 民間企業向けに、障害者支援に精通した専門家(合理的配慮アドバイザー)を無料で派遣し、研修会での講師や、助言等を実施 区分 ユニバーサルツーリズム推進条例 実施 令和5年度から 対象 県、市町、観光関連事業者、県民、支援団体等 内容 ユニバーサルツーリズムに特化した条例としては全国初となる「高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境の整備に関する条例」を制定 区分 「ひょうごユニバーサルなお宿」 宣言・登録制度 実施 令和5年度から 対象 宿泊施設 内容 積極的に取組む宿泊施設を登録・情報発信する「ひょうごユニバーサルなお宿」宣言・登録制度を設け、ソフト対策経費・ハード整備経費等の支援を実施 区分 改正障害者差別解消法を考えるキックオフセミナー 実施 令和5年11月24日 対象 民間企業等、行政、福祉関係者、一般 内容 法改正に加えて、テクノロジーの進化、接客業の未来といった文脈を織り交ぜ、メタバース上でセミナー開催 区分 パンフレット作成(聞くこと、工夫することからはじめる合理的配慮の提供とは) 実施 令和6年2月 対象 民間企業等、行政、福祉関係者、一般 内容 改正障害者差別解消法の概要および上記キックオフセミナーのダイジェストで構成し、企業担当者をメインの読者として作成したパンフレット p3 兵庫県が実施する合理的配慮アドバイザー派遣制度 事業者さまが取り組むための最初の一歩をお手伝いします。 ご要望に応じて無償(謝金・旅費は県負担)で専門家を派遣します。 ・玉木幸則氏をはじめとして、県内各圏域からアドバイザーを委嘱 ・長年に渡り、兵庫県にご協力いただいているネットワークの賜物 (以下参考:合理的配慮アドバイザー チラシ) 障害者差別解消法に対応 合理的配慮アドバイザー 障害者支援の専門家を派遣します。 平成28年4月から障害者差別解消法が施行されました。これを受け、企業等には商品やサービスの提供、雇用等の場面で、障害者に対する合理的な配慮の提供が求められます。兵庫県では、障害者支援や障害者雇用に精通した専門家を無料で派遣し、事業者様のお悩みについてサポートします。 活用例1 接客研修で障害者への対応を学ぶ、派遣する専門家例:障害者相談支援事業所管理者クラス 活用例2 ユニバーサル化投資の留意点を知る、派遣する専門家例:特例子会社マネージャークラス お申し込み・お問い合わせ 兵庫県福祉部障害福祉課 TEL:078-362-9104 FAX:078-362-3911 p4 企業のニーズ 直近実績 令和4年:3件、令和5年:7件見込 <活用例> 1 改正法に向けての対策【幹部社員向け研修(座学+ワークショップ)】 2 特定イベントに向けた対策【全社員向け研修(座学+ワークショップ)】 3 現状課題に関する対策【接客部門社員向け研修(座学+ワークショップ)】 4 障害者雇用に関する対策【部門社員向け研修(座学+ワークショップ)】 ・企業側のニーズに応じた研修や助言をアドバイザーが検討して実施 ・障害者雇用促進法における合理的配慮も対象に (写真:アドバイザーによる講義風景) p5 生の声を現場から聞き取る機会にも ・2024年世界パラ陸上でのホテル受入をきっかけに本制度を活用しました。 ・現地で直接アドバイスを受け、これまでの戸惑いが少し解消しました。 ・障害をお持ちのお客様に対して、恐る恐る声がけするような対応になっていたことに気づかされました。 ・法律と聞くと身構えがちだが、相手の立場に立って提案できる引き出しを多く持つことが大切だと思いました。 ・合理的配慮についての法的な解釈を理解することで、必要以上に構えず対応できそうな見通しがたち、不安が和らぎました。 ・障害は身体的なものだと思い込んでいたが、社会の側にこそ障害があるという「社会モデル」の考え方にハッとさせられました。 ○障害当事者だけでなく、企業側にもさまざまな事情→応えるためには個別対応が必要 ○アドバイザーの力を借りて、持続可能な施策として今後も推進 (写真:現場でアドバイザーと一緒に施設内のバリアを探す様子) p6 兵庫県におけるユニバーサルツーリズムの推進 年齢や障害の有無等に関わらず、様々な人が気兼ねなく参加できる旅行、「行けるところ」から「行きたいところ」に旅行できる兵庫を目指しています。 (写真:車いす利用者が観光しているイメージ(明石城)) p7 ユニバーサルツーリズムの現状(兵庫県) ・高齢者・障害者の多くが旅行を諦めています。 ・宿泊施設等は高齢者・障害者等の受入に一定の積極姿勢は示しています。 ポテンシャルのある領域と言えます。 Q.これまで、障害等があることを理由に旅行を諦めたことはありますか?(令和4年度兵庫県調査) 障害者 ある:41.7%、ない:51.0%、旅行をすることを考えたことがない:4.5%、無回答:2.8% 要介護・要支援の高齢者 ある:34.6%、ない:37.9%、旅行をすることを考えたことがない:17.3%、無回答:10.1% 特別支援学校の保護者 ある:51.3%、ない:42.6%、旅行をすることを考えたことがない:6.0% Q.ユニバーサルツーリズムの取組に対する意向について(令和3年度兵庫県調査) 1 積極的に取り組んで行きたい:8.3% 2 できるだけ取り組んで行きたい:22.1% 3 機会があれば、取り組んでもよい:44.8% 4 あまり取り組みたくない:15.5% 5 取り組みたくない:5.9% 6 無回答:3.4% (積極姿勢:30.4%、中立姿勢:44.8%) p8 ユニバーサルツーリズム推進条例 ・令和6年4月に施行される改正障害者差別解消法など、ユニバーサル社会づくりに向けた社会的要請の高まり ・神戸2024世界パラ陸上、大阪・関西万博など、兵庫・神戸への国内外からの誘客機会を見据え、多様な来訪者の受入に備える必要性 これらが条例制定のきっかけに (以下参考:ユニバーサルツーリズム推進条例パンフレット表紙) 全国に先駆けて条例化! 「行けるところ」から「行きたいところ」へ 兵庫県 ユニバーサルツーリズム推進条例(高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境の整備に関する条例) ユニバーサルツーリズムとは年齢や障害の有無等に関わらず、様々な人が気兼ねなく参加できる旅行のこと p9 「ひょうごユニバーサルなお宿」宣言・登録制度 ・ユニバーサルツーリズム推進条例の制定に合わせてスタート ・ユニバーサルツーリズムに積極的に取り組むことを宣言した宿泊施設を県が支援 ・県からユニバーサルなお宿に関する情報発信 ユニバーサルツーリズムに積極的に取り組む宿泊施設の取組の促進と「見える化」へ (図:「ひょうごユニバーサルなお宿」ロゴマーク) p10 「ひょうごユニバーサルなお宿」宣言・登録制度 制度概要 ・「宣言」と「登録」の二段階 ・宣言を前提に、ソフト対策経費・ハード整備経費を支援 ・取組が進み、チェック項目の基準を満たした施設を登録 ・全73項目のチェックリスト ・各施設の障害種別ごとの取組状況等を公開 高齢者・障害者やその支援者等が容易に情報収集可能に 宣言(取組施設を募集)→支援(ソフト・ハード支援)→取組促進→登録(基準を満たした施設を登録)、発信(県公式観光サイト(HYOGOナビ)で情報発信)により見える化 表「ソフト対策経費・ハード整備経費」 (※ハードの補助率は令和6年度までの着手分が対象(万博までの2年間を重点期間として拡充)) ソフト 対象:インターホンと連動したフラッシュライト導入、シャワーチェア等の購入 等 補助率:1/2 上限額:30万円 ハード 対象:1 バリアフリー改修設計 補助率:1/2 上限額:250万円 ハード 対象:2 バリアフリー改修工事(エレベーター有) 補助率:1/2 上限額:1,800万円 ハード 対象:3 バリアフリー改修工事(エレベーター無) 補助率:1/2 上限額:800万円 表「チェックリストの構成」 区分 情報発信 チェック項目 1 情報発信への配慮 取組項目数 13項目 区分 受入体制 チェック項目 2 受入体制の整備 取組項目数 13項目 区分 ホスピタリティ チェック項目 3 備品の貸出 取組項目数 8項目 区分 ホスピタリティ チェック項目 4 コミュニケーション 取組項目数 10項目 区分 ホスピタリティ チェック項目 5 食への配慮 取組項目数 12項目 区分 ホスピタリティ チェック項目 6 移動への配慮 取組項目数 11項目 区分 ホスピタリティ チェック項目 7 入浴への配慮 取組項目数 6項目 合計73項目 p11 周知啓発の取組1 (メタバース開催)改正障害者差別解消法を考えるキックオフセミナーを11月24日に実施しました。 約130名がメタバースもしくはオンラインで参加 (以下参考:セミナーチラシ) 改正障害者差別解消法を考えるキックオフセミナー 接客の未来とテクノロジー 令和6年4月1日から、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されます。改正法の施行について広く周知・啓発を図るとともに、機運を醸成するためキックオフセミナーを開催します。 開催日時:令和5年11月24日金曜日 13時30分から16時30分まで 参加費:無料 対象:民間事業者/経済団体/行政関係者(県内市町職員、近隣府県・国関係者)/福祉関係者/一般 開催概要:メタバース視聴/オンライン視聴 併用(手話・字幕あり) 申込方法:事前申込必須、申込締切は11月15日水曜日 主催:兵庫県福祉部障害福祉課 ※テクノロジーの進化を感じていただくためにメタバースを使いセミナーを開催! メタバースとは、ネット上につくられた仮想空間で自身のアバターを動かし、他者との交流が行えます。社会参加の場としても活用されています。 p12 基調講演ほか ・テクノロジーの進化がこれから欠かせないというテーマ設定 ・ALS支援の第一人者である川口有美子氏による講演 ・医療モデルではなく、テクノロジーの活用、そして社会の側が変わればALS患者の方も社会参加できる、生き続けられるという文脈 ・その他、テクノロジー企業からは急速に活用が進むスマートフォンによる視覚・聴覚・身体機能を補完するアクセシビリティー機能の紹介も (以下参考:基調講演ダイジェスト) Seminar Program 1 −基調講演− 障害の社会モデルを考える制度とテクノロジー −ALSからみたインクルーシブな社会のために− 私の母は100万人に3から5人の発症率のALS(筋萎縮性側索硬化症)を50代で発症しました。ALSは、神経難病、不治の病、全身性障害者、終末期と言われており、進行が早く、数年で全介助となります。現在、治療薬はいくつかありますが、完治はしないといった病気です。母は家族に迷惑をかけたくないという思いから呼吸器装着を拒みましたが、説得し装着の同意を得ました。身体的な障害に加えて、社会的な二次的障害があり、これは今日のテーマとも重なりますが、ALSの障害は複雑です。社会的な障害とは、医療的、看護的な負担であったり、社会から疎外されてしまうという脅威もあります。当時から、善意による治療の不開始やALSの介護技術を持つヘルパーが少ないことなどたくさんの問題がありました。 安楽死合法化などの医療モデルとしての見方もありますが、社会モデルの考え方で、社会の側を変えていけば、ALSは生き続けられる病気だと思います。今は、実際にテクノロジーで普通の生活を営む患者が増えています。そして、30年以上生存する人がたくさんいます。天寿を全うできる病気であり終末期ではありません。テクノロジーの利用を後押ししていくことが我々の役割だと思います。 合理的配慮は「適切な適度な親切」ぐらいの翻訳でいいと思います。法律で決められたからではなく、人の内面から発動される無心の行為として期待したいと障害当事者は思っています。そして、障害者のニーズは誰もが経験する困りごとです。歳を取っていけば誰もが障害者ですから、ニーズの顕在化が経済の発展を促す、そう考えて社会の障害を見える化していくことが非常に大事なことではないでしょうか。 <ノンフィクション作家/NPO法人さくら会理事/有限会社ケアサポートモモ代表取締役 川口 有美子(ふりがな:かわぐち ゆみこ) 氏 ALSを発症した母親の12年の介護経験をもとにした「逝かない身体−ALS的日常を生きる」で、第41回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2013年、立命館大学先端総合学術研究科博士課程修了。> p13 パネルディスカッション(接客の現場から) ・デパートやホテルといった接客現場、当事者、相談支援それぞれの視点から議論 ・現場のリアルな悩みを題材に ・知的障害疑似体験の実演 など (以下参考:パネルディスカッションダイジェスト) Seminar Program 3 −パネルディスカッション− 接客の現場から考える合理的配慮 実際にあった事業者の悩みと工夫について考えました。 目の前の障壁(バリア)をどう乗り越えていくか一緒に考えていくことが大切です。 お客様への対応に関するお悩み(くつ下編) Q.以前、ホテルにご宿泊のお客様から「くつ下を履かせてほしい」という申出がありました。ですが、くつ下をはかせるのはプライベートなところですのでその時はお断りをしました。どう対応すればよかったのでしょうか。 1.(くつ下に限らず)お客様がふだんどういった対応をしているかうかがってみればヒントがえられるのではないでしょうか。「こうすべきだ」といった答えを事前に決めておく必要はないかと思います。 2.どうやって履いているかを聞くのは単刀直入で聞きにくい部分です。では、反対にどうやって脱いでいるのかを聞いたりすることでも、ヒントがえられるのではないでしょうか。 お客様への対応に関するお悩み(文化の違い編) Q.肩に障害をお持ちのヨーロッパからのお客様が、来店中に肩の状態が悪化し、救急車を要請しました。その方は救急車に乗ることへのネガティブな考え方が強く、対応に困りました。どう対応すればよかったでしょうか。 1.医療の仕組みは国ごとに違います。お客様の国では救急車を要請するのにお金がかかるなどの不安があったのかもしれません。日本の医療制度を説明できるよう事前に用意しておくとよいですね。 2.いろんな国の文化を知ること、日本の仕組み・制度を説明し理解していただくことが必要です。やはり、お互いのコミュニケーションが大切なんだと思います。 panelist たつの市手をつなぐ育成会 会長:矢野 一隆(ふりがな:やの かずたか) 氏 森のすず社会福祉士事務所 代表:森保 純子(ふりがな:もりやす じゅんこ) 氏 (株式会社)神戸ポートピアホテル管理本部 人事総務部 人事 副支配人:木村 寿代(ふりがな:きむら ひさよ) 氏 (株式会社)三越伊勢丹 伊勢丹新宿本店 営業運営部 店舗オペレーション マネージャー:服部 友洋(ふりがな:はっとり ともひろ) 氏 p14 参加者の声 Q.あなたの年代は? 20代:5.9%、30代:16.4%、40代:28.4%、50代:28.4%、60代:19.4%、その他:1.5% Q.あなたは障害者差別解消法における事業者に該当しますか? 概ね該当する:70.1%、該当しない:23.9%、わからない:3%、空欄:3% 【感想・意見等】 ・当事者家族、事業者、それぞれの目線で講義いただき、配慮の考え方を理解できました。 ・ALSのお話しに感動しました。 ・最先端テクノロジーの素晴らしさを実感しました。 ・テクノロジーで解決できることもあり、それを使用しないという事は合理的配慮に欠けると思われても仕方のない事では無いかと感じました。 ・伊勢丹やドコモショップなどの事業者のバリアフリーへの取組が想像以上に進んでいることに驚きました。 ・企業の取り組みやパネリストの経験談、有意義な学びでした。 ・メタバース形式で開催されていて、楽しく参加できました。 ・福祉施設で働く職員ですが、社会がどのように変わってきているのか、どのような未来になっていくのかを、今関わっている障害児の将来を見据えてお話を聞かせていただき、子ども達の未来に希望が持てました。 ・矢野さんのお話しをもっとお聞きしたいです。(知的障害擬似体験) ・合理的配慮を考える時間が少なかったです。 ・なぜこの法律が必要になったかという歴史や、自分たちも高齢になり、いずれ障害者と同様になるというお話しも少しあればと思いました。 (画像:メタバース参加者の様子の風景) p15 周知啓発の取組2 パンフレットの作成(お配りしたパンフレットをご覧ください。) ・前述のキックオフセミナーのダイジェストを掲載(後半部) (メインターゲットとして企業の方に読んでいただきたいと考えて現場の文脈を盛り込みました。) ・ケーススタディを中心とした法律の概要解説を前半部に ・兵庫県障害者差別解消支援地域協議会での議論を踏まえ、「工夫」等のキーワードを反映 ・当事者家族のお手紙を用いて、社会モデルを解説 (以下参考:パンフレット表紙) 聞くこと工夫することからはじめる-合理的配慮の提供とは- 兵庫県 2024年4月1日から障害者差別解消法が改正されます。 飲食店で車椅子のまま食事できるようにお願いをしたらスペースを用意してくれた。 聴覚障害があるため筆談でのコミュニケーションで対応してくれた。 視覚障害があるため配布資料の内容がわからなかったが、資料を読み上げて説明してくれた。 交通機関で、駅員や係員が乗車の手助けをしてくれた。 (QRコードあり。※この音声コードをスマホアプリUni-Voiceで読み取ると音声情報で確認できます。) p16 【参考】 ケーススタディの元ネタ 内閣府 障害者差別の解消に向けた事例分析検討会 ・有識者等による検討会で議論が行われ作成されたもの(令和4年度・10回開催) 研修に活用できる有益な教材 (画像:令和5年 障害を理由とする差別の解消の推進相談対応 ケーススタディ集 表紙/内閣府 令和5年(2023年)3月) p17 ご清聴ありがとうございました