第4次障害者基本計画 概要   T 第4次障害者基本計画とは 【位置付け】政府が講ずる障害者施策の最も基本的な計画(障害者基本法第11条に基づき策定) 【計画期間】平成30(2018)年度からの5年間 【検討経緯】障害者政策委員会(障害当事者等で構成される内閣府の法定審議会)での1年以上にわたる審議を経て取りまとめられた障害者政策委員会の意見に即して、政府で基本計画案を作成   U 基本理念 (計画の目的) 共生社会の実現に向け、障害者が、自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加し、その能力を最大限発揮して自己実現できるよう支援   V 基本的方向  1.2020東京パラリンピックも契機として、社会のバリア(社会的障壁)除去をより強力に推進 ○ 社会のあらゆる場面で、アクセシビリティ(※)向上の視点を取り入れていく (※)アクセシビリティ:施設・設備、サービス、情報、制度等の利用しやすさのこと。 ○ アクセシビリティに配慮したICT等の新技術を積極的に導入    2.障害者権利条約の理念を尊重し、整合性を確保 (※)障害者権利条約:我が国は平成26年に批准。障害当事者の主体的な参画等を理念とする。 ○障害者施策の意思決定過程における障害者の参画、障害者本人による意思決定の支援  3.障害者差別の解消に向けた取組を着実に推進 ○障害者差別解消法の実効性確保のため、各分野でハード・ソフト両面から差別解消に向けた環境整備を着実に推進  4.着実かつ効果的な実施のための成果目標を充実   W 総論の主な内容 ○当事者本位の総合的・分野横断的な支援 ○障害のある女性、子供、高齢者の複合的な困難や障害特性等に配慮したきめ細かい支援 ○障害者団体や経済団体とも連携した社会全体における取組の推進 ○「命の大切さ」等に関する理解の促進、社会全体における「心のバリアフリー」の取組の推進   X 各論の主な内容  1.安全・安心な生活環境の整備 ○安全に安心して生活できる住環境の整備  ・住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の供給促進 ○移動しやすい環境の整備  ・公共交通機関のバリアフリー化(ホームドア等) ○障害者に配慮したまちづくりの推進   ・ICTを活用した歩行者移動支援  2.情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実 ○障害者に配慮した情報通信・放送・出版の普及  ・聴覚障害者向け電話リレーサービスの体制構築 ○意思疎通支援の人材育成やサービスの利用促進  ・手話通訳者や点訳者等の育成、確保、派遣  3.防災、防犯等の推進 ○災害発生時における障害特性に配慮した支援  ・福祉避難所、車いす利用者も使える仮設住宅の確保  ・音声によらない119番通報、障害特性に配慮した災害時の情報伝達体制 ○防犯対策や消費者トラブル防止の推進  ・Eメール等での110番通報、障害特性に配慮した消費者相談  ・障害者支援施設の安全体制確保    4.差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止 ○社会のあらゆる場面における障害者差別の解消  ・障害者にも配慮した施設整備やサービス・情報提供等の一層の促進  ・障害者差別解消に係る地域協議会の設置促進 ○障害者虐待の防止、障害者の権利擁護  ・相談支援専門員等による障害者虐待の未然防止    5.自立した生活の支援・意思決定支援の推進 ○本人の決定を尊重する意思決定支援の実施 ○身近な地域で相談支援を受けられる体制の構築  ・障害種別や年齢、性別等に対応した相談支援  ・発達障害者等へのピアサポートの推進 ○地域生活への移行の支援  ・一人暮らしを支える「自立生活援助」サービスの導入 ○障害のある子供への支援の充実  ・医療的ケアが必要な障害児への包括的支援 ○身体障害者補助犬の普及促進、福祉用具等の普及促進・研究開発 ○障害福祉サービスの質の向上、人材の育成・確保  6.保健・医療の推進 ○精神障害者の早期退院と地域移行、社会的入院の解消  ・退院後の精神障害者の支援 ○地域医療体制  ・身近な地域で医療、リハビリを受けられる体制の充実 ○研究開発等の推進  ・最新技術を活用した自立支援機器の開発  ・難病治療法の研究開発  7.行政等における配慮の充実 ○司法手続や選挙における合理的配慮の提供等  ・障害特性に応じた選挙等に関する情報提供の充実 ○アクセシビリティに配慮した行政情報の提供  ・行政機関の窓口での配慮  ・ウェブサイトにおけるキーボード操作対応や動画への字幕・音声解説の付与等の配慮    8.雇用・就業、経済的自立の支援 ○総合的な就労支援  ・雇用前・後の一貫した支援、就業・生活両面の一体的支援  ・精神障害者の雇用促進、就労定着支援による職場定着の推進 ○多様な就業機会の確保  ・テレワーク等の柔軟な働き方の推進  ・福祉的就労の質の向上・底上げ(工賃向上)  ・農業分野の就労支援  9.教育の振興 ○誰もが可能な限り共に教育を受けられる仕組みの整備  ・個別の指導計画・教育支援計画の活用を通じた全ての学校における特別支援教育の充実 ○障害のある学生の支援  ・各大学での支援部署の設置、支援人材の養成、就職支援 ○障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実  ・障害者の各ライフステージにおける学びの支援    10.文化芸術活動・スポーツ等の振興 ○障害者の芸術文化活動への参加  ・特別支援学校での質の高い文化芸術の体験 ○障害者スポーツの普及及びアスリートの育成強化  ・パラリンピック等のアスリートの育成強化  11.国際社会での協力・連携の推進 ○国際的協調の下での障害者施策の推進 ○文化芸術・スポーツを含む障害者の国際交流の推進  ・障害者の文化芸術など日本の多様な魅力を発信    第4次障害者基本計画 主な成果目標 (作業者注:以下表。縦と横を入れ替えている。)  <安全・安心な生活環境の整備> 指標:一定の旅客施設のバリアフリー化率(注1) 現状値(直近値):87.2%(段差解消)(2016年度) 目標値:約100%(同上)(2020年度) (注1)1日当たりの平均的な利用客数が3000人以上である全ての旅客施設のうち、バリアフリー法に基づく公共交通移動等円滑化基準に適合するものの割合 指標:ノンステップバスの導入率(注2) 現状値(直近値):53.3%(2016年度) 目標値:約70%(2020年度) (注2)公共交通移動等円滑化基準の適用除外の認定を受けた車両は母数から除外 指標:福祉タクシーの導入台数 現状値(直近値):15,128台(2016年度) 目標値:約28,000台(2020年度)  <情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実> 指標:対象番組の放送時間に占める字幕放送時間の割合 現状値(直近値):97.4%(NHK総合) / 99.5%(民放キー5局)(2016年度) 目標値:100%(注3)(NHK総合・民放キー5局)(2022年度) (注3)対象時間を1日当たり17時間から18時間に拡大した上で100%  <差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止> 指標:障害者差別解消法の地域協議会の組織率 現状値(直近値):37.8%(一般市町村)(2017年4月) 目標値:70%以上(同上)(2022年度)  <自立した生活の支援・意思決定支援の推進> 指標:発達障害者支援地域協議会の設置率 現状値(直近値):87%(都道府県・政令市)(2016年度) 目標値:100%(同上)(2022年度) 指標:地域生活支援拠点(注4)を整備している市町村又は障害福祉圏域の数 現状値(直近値):37市町村9圏域(2017年4月) 目標値:全ての地域(2020年度) (注4)居住支援のための機能(相談、緊急時の受入等)を担う拠点  <保健・医療の推進> 指標:精神病棟での1年以上の長期入院患者数 現状値(直近値):約18.5万人(2014年度) 目標値:14.6〜15.7万人(2020年度) 指標:都道府県の難病診療連携拠点病院の設置率 現状値(直近値):(2018年4月から新たな医療提供体制を整備) 目標値:100%(2022年度)  <雇用・就業・経済的自立の支援> 指標:一定規模以上の企業で雇用される障害者数 現状値(直近値):49.6万人(50人以上)(2017年6月) 目標値:58.5万人(43.5人以上)(2022年度) 指標:障害者就労施設等の物品等優先購入実績 現状値(直近値):171億円(2016年度) 目標値:前年度比増(〜2022年度)  <教育の振興> 指標: 個別の指導計画等の作成を必要とする児童等のうち、実際に個別の指導計画等が作成されている児童等の割合 現状値(直近値):81.9%(指導計画) / 75.7%(教育支援計画)(2016年度) 目標値:おおむね100%(2022年度) 指標:障害学生の就職先開拓、就職活動支援を行う大学等の割合 現状値(直近値):21%(2016年度) 目標値:おおむね100%(2022年度)  <文化芸術活動・スポーツ等の振興> 指標:障害者の週1回以上のスポーツ実施率 現状値(直近値):19.2% (成人) / 31.5% (若年層)(2015年度) 目標値:40%程度 (成人) / 50%程度 (若年層)(2021年度) 指標:パラリンピック競技大会における金メダル数 現状値(直近値):0個(夏季)(2016年) / 3個(冬季)(2018年) 目標値:過去最高の金メダル数(夏季2020年, 冬季2022年)