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障害者施策トップ障害者白書 > 平成11年度版 概要

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平成10年度障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告について
(平成11年版「障害者白書」の概要)


○平成10年度年次報告の特徴

 現在の障害者施策の基本理念の一つであるノーマライゼーションの理念は、国際的に広く認められ、実現の水準に格差はあるものの、全ての国が障害者施策の目標をここに置いていると言っても過言ではない。ノーマライゼーションの理念は国際連合(以下「国連」という)をはじめとする各種国際機関の取り組みによって世界中に広められた。特に1981年(昭和56年)の国際障害者年及び1983年(昭和58年)から1992年(平成4年)までの「国連障害者の十年」の果たした役割は大きい。
 我が国においてもこうした国際的潮流を取り入れ、ノーマライゼーションとリハビリテーションの理念に基づいた総合的かつ計画的な障害者施策を展開するとともに、開発途上国に対して我が国の国際的地位にふさわしい国際協力活動を行っている。
 本年度の年次報告は、障害者施策に関する国際機関の活動や我が国の国際貢献の状況を取りまとめ、今後更に国際化が進展する21世紀を目前に、国際化時代の障害者施策を考えるものである。また、第2部では平成10年度を中心とした障害者施策の取組状況について各分野別にまとめている。


第1編
第1部 国際化と障害者施策 〜ノーマライゼーションの世界的展開〜

第1章 国際社会における障害施策への取組のあゆみ
第1節 国際連合の活動
1 国連の障害者施策関係組織
2 国際連合総会の諸決議
3 国連障害者基金
4 「アジア太平洋障害者の十年」
第2節 その他の国際組織の動き
1 国際標準化機構消費者政策委員会(ISO/COPOLCO)における高齢者・障害者の特別なニーズ・ワーキング・グループ

第2章 我が国の国際貢献
第1節 国際機関との協力
1 国連障害者基金への拠出
2 ESCAP活動への貢献
3 ユネスコの活動への貢献
第2節 政府開発援助
1 技術協力
2 資金協力
3 非政府組織(NGO)活動への支援
4 障害のある人のODAへの参加に関する調査研究
第3節 政府開発援助以外の公的な国際貢献
1 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおける支援
2 障害のある人の雇用・就業に関する国際貢献
3 地方公共団体における取組

第3章 NGO等の活動
1 国際的な障害者関係団体の活動
2 その他の非政府組織の活動

第4章 21世紀へ向けて

第2部 平成10年度を中心とした障害者施策の取組

第1章 相互の理解と交流
第1節 障害のある人に対する理解を深めるための啓発広報等
1 啓発広報
2 福祉に関する教育
3 地域住民等のボランティア活動
第2節 我が国の国際的地位にふさわしい国際協力

第2章 社会へ向けた自立の基盤づくり
第1節 障害の特性に応じた教育・育成施策
1 障害のある子供に関する教育施策
2 障害のある児童に対する育成施策
第2節 障害のある人の職業的自立を図るための雇用・就業施策
1 身体障害者及び知的障害者の雇用状況
2 障害のある人の雇用促進に関する施策
3 障害の重度化に対応した施策
4 職業リハビリテーション施策
第3節 障害のある人の生活を豊かにするためのスポーツ・レクリエーション及び文化活動の振興
1 スポーツの振興
2 長野パラリンピック冬季競技大会における活躍
3 レクリエーション及び文化活動の振興
4 障害者に係る欠格条項の見直し

第3章 日々の暮らしの基盤づくり
第1節 障害の予防・早期発見・早期治療等のための保健・医療施策
1 障害の予防・早期発見及び研究
2 医療・リハビリテーション医療
3 精神保健福祉施策
4 専門従事者の確保
第2節 障害のある人の生活の質の向上のための福祉施策
1 生活安定のための施策
2 福祉サービス
3 福祉機器の研究開発・普及、産業界の取組の推進
4 情報通信機器・システムの研究開発・普及等

第4章 住みよい環境の基盤づくり
第1節 障害のある人の住みよいまちづくりのための施策
1 福祉のまちづくりの推進
2 都市計画制度、都市計画事業等による取組
3 公園、水辺空間等のオープンスペースの整備
4 建築物の構造の改善
5 住宅整備
6 移動・交通対策
第2節 障害のある人が安心して生活を送るための施策
1 情報提供
2 防犯対策
3 防災対策


第1部 国際化と障害者施策
〜ノーマライゼーションの世界的展開〜


第1章 国際社会における障害者施策への取組のあゆみ

第1節 国際連合の活動

1 国連の障害者施策関係組織
 国連は1945年(昭和20年)に設立された188カ国が加入する世界最大の国際機関であり、障害者施策についても国連内の各機関において研究、討議、勧告等の活動が行われている。

(1) 総会
 総会は、全加盟国の代表によって構成される国連の主要機関で、これまで「知的障害者の権利宣言」「障害者の権利宣言」などを採択し、障害のある人に対する公平な処遇や能力を発揮するためのサービスの必要性などを国際社会に呼びかけている。
 また、1981年(昭和56年)を国際障害者年と、1983年(昭和58年)から1992年(平成4年)までを「国連障害者の十年」と定めた。

(2) 国連人権委員会
 国連人権委員会は人権の保護の観点から障害のある人の問題に取り組んでおり、人権及び基本的自由の重大な侵害と障害との間の因果関係等に係る研究に着手するための「特別報告者」を選び、その報告書を国連の全ての公用語で公刊することを国連事務総長に要請するなど、障害のある人の人権改善等に取り組んでいる。

(3) 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)
 国連アジア太平洋経済社会委員会は地域の経済・社会の開発の観点から障害者施策に取り組んでおり、1992年(平成4年)に「アジア太平洋障害者の十年」を採択した。障害のある人に関わるプロジェクトの実施を推進し、「障害者の自助団体の育成と強化」や「アジア太平洋地域における障害者と高齢者に優しいまちづくりの促進」などの取組を行っている。

(4) 国際労働機関(ILO)
 国際労働機関は労働及び社会問題の視点から障害者施策に取り組んでいる国連専門機関である。障害のある人に対する取組は第一次大戦直後から行っているが、その考え方は障害のある人を隔離して保護するというものから、ノーマライゼーションの理念に則り、社会への統合を促進すべきであるというものに変わってきた。現在、地域に根づいた職業リハビリテーションプログラムの創設など具体的な開発途上国プログラムを実施している。

(5) 国際教育科学文化機関(UNESCO)
 国際教育科学文化機関は教育の視点から障害者施策に取り組んでいる国連専門機関であり、国際障害者年を契機として障害により特別な教育・学習ニーズを有する人々を対象とする取組を積極的に行っている。国際障害者年(昭和56年)には特殊教育に関するプログラムが開始され、我が国からは国立特殊教育総合研究所が参画している。現在、ユネスコの特殊教育に関する事業は「万人のための基礎教育」の一環として障害のある子供や青少年に対する基礎教育の機会を増すことを奨励している。

(6) 世界保健機関(WHO)
 世界保健機関は保健・医療の観点から障害者施策に取り組んでおり、感染症対策、保険医療分野における基準・ガイドラインづくり、開発途上国に対する技術協力等広範な活動を行っている。 障害者施策として、外傷や人口の高齢化に伴う障害のある人の増加等、社会的変化が健康に与える影響を多角的に捕らえながら、視聴覚障害の予防やとリハビリテーションの充実、精神障害の予防・精神科医療の提供といった課題に取り組んでいる。


2 国際連合総会の諸決議

(1) 知的障害者の権利宣言
 知的障害者の権利宣言は1971年(昭和46年)に採択され、「知的障害者は最大限可能な限り他の人々と同じ権利を有する」とノーマライゼーションの理念を国際的な場で初めて宣言した。障害のある人の権利に対する最初の国連総会決議であり、その後の障害者関連の国連総会決議や世界各国の障害者施策に与えた影響は大きい。

(2) 障害者の権利宣言
 障害者の権利宣言は、全ての障害のある人に係る権利宣言であり我が国が共同提案国となって1975 年(昭和50年)に採択された。この宣言の特徴は障害の種別や程度を問わずあらゆる障害のある人を対象としていること、障害者の定義を示したこと、障害のある人も他の人々と同じ基本的権利を持っていることを明らかにしたことにある。
 なお、我が国では「障害者の権利宣言」が採択された12月9日を「障害者の日」として障害者基本法において定めている。

(3) 障害者に関する世界行動計画
 障害者に関する世界行動計画は、国際障害者年(1982年(昭和56年))の翌年に、国際障害者年の終了後も障害のある人の福祉の向上や障害者問題に取り組んでいくために採択された。また、1983年(昭和58年)から1992年(平成4年)までの「国連障害者の十年」に当たり、障害者に関する世界行動計画をガイドラインとして「完全平等と参加」という目標の下に障害者問題に積極的に取り組むことを加盟国に要請した。
 我が国においては、世界行動計画を実現するため「障害者対策に関する長期計画」が策定された。

(4) 障害者の社会への完全な統合をめざしてー世界行動計画の継続ー  障害者の社会への完全な統合をめざしては、「国連障害者の十年」の最終年である1992年(平成4年)に採択された。この決議は世界行動計画の効力や意義がその後も継続することを再確認するとともに、障害のある人が社会参加する際の障壁や阻害要因を除去する責任は政府にあること等を宣言している。
 また、障害のある人の社会参加を促進する観点から12月3日を国際障害者の日とし、その周知を図ることを加盟国に要請した。我が国では、平成7年度から国際障害者の日から12月9日の「障害者の日」までを「障害者週間」として障害者問題に対する理解を深めるための啓発広報活動を行っている。

(5) 障害者の機会均等化に関する標準規則
 障害者の機会均等化に関する標準規則は、世界行動計画の継続に関する決議において障害のある人の機会均等化のための世界的な標準規則が必要であることが提起されたことを受けて、1993年(平成5年)に採択された。標準規則の目的は、障害のある人が他の人々と同じ権利と義務を行使できることを確保することであり、そのため、福祉、教育、雇用等22の項目で障害者施策において実施すべき標準的な指針を示している。

(6) 精神障害者の保護及び精神保健の改善のための諸原則
 精神障害者の保護及び精神保健の改善のための諸原則は、精神障害者の保護について国連総会決議等による原則を設ける必要があるという報告(ダエス委員草案)を受け国連人権委員会で検討され、1991年に国連総会で採択された。この原則は、精神障害者の人権を保護するために、精神科医療機関等におけるケアの在り方や精神障害者の権利について規定したものである。各国は国内関係法規において同原則を遵守することが期待されており、我が国の精神保健福祉法もこの原則に沿ったものとなっている。


3 国連障害者基金

 国連障害者基金は、開発途上国等における障害者施策関連事業への資金的な援助を行うことを目的として1977年に設立され、世界各地で様々な障害者支援プロジェクトに役立てられている。


4 「アジア太平洋障害者の十年」

(1) アジア太平洋障害者の十年の始まり
 国連障害者の十年において、各国で積極的な取組が行われたが、アジア太平洋地域においては満足すべき発展が見られなかったことから、世界行動計画の目標達成に向かって諸問題を解決するための域内協力の強化を目的として、第48回ESCAP総会において我が国を含む33カ国の共同提案により1993年(平成5年)から2002年(平成14年)までの10年を「アジア太平洋障害者の十年」と決議した。

(2) アジア太平洋障害者の十年行動課題の決定
 アジア太平洋障害者の十年行動課題は、「障害者に関する世界行動計画」を、アジア太平洋地域の特性に適応するよう11の具体的な問題領域として再編成したもので1992年(平成4年)に中国北京市における「アジア太平洋障害者の十年開始会議」で決定された。

(3) アジア太平洋障害者の十年の推進
 我が国はアジア太平洋障害者の十年に取り組むため、平成5年に世界行動計画に対応して策定されていた「障害者対策に係る長期計画」を改定して「障害者対策に係る新長期計画」を障害者対策推進本部において決定した。また、平成7年には「障害者対策に係る新長期計画」の重点実施計画として「障害者プラン」を策定した。

(4) 非政府組織の動き
 現在12の国と8の国際障害者関係団体により「アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議」が結成され、毎年キャンペーン会議を行っている。


第2節 その他の国際組織の動き

1 国際標準化機構消費者政策委員会(ISO/COPOLCO)における高齢者・障害者の特別なニーズ・ワーキング・グループ
 国際標準化機構(ISO)においては、消費者政策委員会(COPOLCO)が障害のある人などの持つ特別なニーズについての問題を検討課題として取り上げている。1999年(平成11年)5月に製品・サービス等が高齢者・障害者を含めた全ての消費者にとって容易に利用可能な規格の作成や改正等を記載した政策提言案がまとめられた。


第2章 我が国の国際貢献

第1節 国際機関との協力

1 国連障害者基金への拠出
 国連障害者基金は世界各地の様々な障害者支援プロジェクトに資金を提供しており、我が国は国際協力及び人権の観点から昭和63年度以降継続的に国連障害者基金への拠出を行っており、近年の拠出額累計では世界第1位となっている。

2 ESCAP活動への貢献
 我が国はESCAPに対して、日・エスカップ協力基金を通じた資金援助の他、国際協力事業団専門家の派遣を通じて人的貢献を行っている。

3 ユネスコの活動への貢献
 我が国は、ユネスコの実施する障害者施策関連事業に対して「APEID(アジア太平洋地域教育開発計画)巡回講師団信託基金」への拠出を行う他、特殊教育等の専門家を派遣している。
 また、APEIDの協同センターの一つとして、国立特殊教育総合研究所は、毎年各国から専門家を招き障害のある児童の教育に関する「APEID特殊教育セミナー」をユネスコと共催している。


第2節 政府開発援助

1 技術協力

(1) 研修員の受入れ
 国際協力事業団では、各国の障害福祉分野の関係者が我が国の障害福祉分野の知識、技術を修得するよう各種の研修事業を行っている。

(2) 専門家派遣
 国際協力事業団では、障害福祉分野における開発途上国の障害者リハビリテーション関係者の資質向上のために専門家を派遣している。

(3) プロジェクト方式技術協力
 プロジェクト方式技術協力は「研修員の受入れ」「専門家派遣」「機材供与」の3つの協力形態を計画的かつ総合的に組み合わせることにより効果的に事業の推進を図る技術協力であり、これまでペルー、タイ、中国、インドネシアで実施し成果をあげている。

(4) 青年海外協力隊事業他
 障害福祉分野の協力隊員として、開発途上国へ言語治療士、作業療法士、理学療法士等を派遣した。

(5) 開発福祉支援事業の展開
 開発福祉支援事業は、開発途上国における福祉活動の推進を目的に、地域に密着した活動を展開しているNGOを開発事業のパートナーとし、住民参加により福祉向上モデル事業を実施することを特徴としている。

(6) 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおける国際貢献
 国立身体障害者リハビリテーションセンターは、開設直後からアジア太平洋諸国をはじめとする多くの国々と身体障害者リハビリテーションに関する共同研究や情報交換を行ってきた。

(7) 社団法人国際厚生事業団を通じた国際貢献
 社団法人国際厚生事業団は、アジア諸国の社会福祉制度の企画、運営に携わる行政官を研修生として受入れ、社会福祉行政に関する実務的研修を実施している。

2 資金協力
 資金協力には無償資金協力と有償資金協力がある。無償資金協力は、援助対象国の要請に基づき、援助対象国の実施する特定の事業について返済を求めない資金を供与する事業であり、有償資金協力は、援助対象国に対して長期・低利の資金を供与するものである。障害者施策分野においても多くの資金協力が行われている。

3 非政府組織(NGO)活動への支援
 開発途上国協力に携わる民間援助団体は、開発途上国の住民の福祉の向上に貢献していることから、政府としてもNGOとの連携・援助を行っている。NGO支援のために、NGO事業補助金として、一定要件を満たす我が国NGOが途上国で行う開発協力事業費の一部を援助している。また、政府とNGOが実務的に協力するため、NGO・外務省定期協議会を行っている。
 草の根資金協力は、開発途上国において活動しているNGO等が行う比較的小規模なプロジェクトに対して資金協力を行うもので、きめ細かく迅速な援助が可能である。

4 障害のある人のODAへの参加に関する調査研究
 国際協力事業団は、我が国の障害のある人自身が国際協力事業に参加することへの意向や制約要因等について現状を分析し、我が国の障害のある人がODA事業に参加すべきであること及び実際に国際協力事業に参加するための方策を提言として取りまとめた。


第3節 政府開発援助以外の公的な国際貢献

1 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおける支援
 国立身体障害者リハビリテーションセンターは、先進諸国やアジア諸国との共同研究を行い、技術の開発や技術移転に大きな成果をあげてい る。また、WHOから「障害の予防とリハビリテーションに関するWHO指定研究センター」の指定を受け、アジア太平洋諸国の中心的存在として各種セミナーの開催、調査研究などをWHOと連携して行っている。

2 障害のある人の雇用・就業に関する国際貢献
 日本障害者雇用促進協会では、「障害者雇用促進国際協力事業」においてニーズ調査を実施し、その結果を踏まえて「障害者雇用促進シンポジウム」をアジア諸国の関係機関と共催し、障害者雇用の専門家を派遣している。また、アジア諸国の職業リハビリテーションの専門家や事業主団体等を招へいし、我が国の職業リハビリテーションシステムや障害のある人の雇用制度等について研修を行っている。

3 地方公共団体における取組
 地方公共団体においても、障害者施策分野での国際協力・国際交流事業が積極的に進められ、障害のある人々の国際的な交流を深めることに寄与している。


第3章 NGO等の活動

1 国際的な障害者関係団体の活動

(1) 国際リハビリテーション協会
 国際リハビリテーション協会は、1922年(大正11年)に設立された団体で、障害の予防とリハビリテーション等を目的としている。設立以来各種国際会議の開催に力を入れ、リハビリテーション世界会議は1929年(昭和4年)の第1回会議以来17回にわたり開催している。

(2) 世界盲人連合
 世界盲人連合は、1984年(昭和59年)に設立された団体で、障害のある人の機会均等と社会への完全な参加を目標として失明予防と視覚障害者の福祉の向上等を目的としている。各国の視覚障害者団体の支援、視覚障害に関する調査、研究等の活動を行っている。

(3) 世界ろう連盟
 世界ろう連盟は、1951年(昭和26年)に設立された団体で、人権と社会的権利において聴覚障害者と他の人々との平等な扱いを保証することを目的としている。国連や他の障害者団体との協力を積極的に推し進め、開発途上国における聴覚障害者組織の運営支援にも力を入れている。

(4) DPI
 DPIは、1981年(昭和56年)に設立された、障害種別に関わらない障害のある人当事者による国際的な団体である。国連経済社会理事会、世界保健機構、国連教育科学文化機関の諮問機関として活動する他、差別の禁止や機会の平等に向けた諸活動、開発途上国の障害のある人を援助するためのプロジェクト事業等を実施している。

(5) 国際パラリンピック委員会
 国際パラリンピック委員会は障害者スポーツの国際的な統括団体として1989年(平成元年)に設立された団体であり、国際パラリンピック大会を始めとする世界的規模の国際大会の開催を行っているほか、障害者スポーツの普及、発展や技術力の向上等を図っている。

(6) ベリースペシャルアーツ
 ベリースペシャルアーツは1974年(昭和49年)に設立された団体で、著作、舞踏、演劇、音楽、ビジュアルアート等の創作活動を通じて障害のある人々の生涯教育を推進することを目的としている。

(7) インクルージョン・インターナショナル
 インクルージョン・インターナショナルは、1960年(昭和35年)に結成された国際知的障害者育成会連盟が1995年(平成7年)に名称変更したものである。国連や政府関係機関と緊密な連携をもち、「人権を守る組織」として世界中に二万以上の地域団体がある。

(8) 国際法律家委員会
 国際法律家委員会は、1952年(昭和27年)に設立された団体で、法の支配の確立と人権擁護のための活動を行い、国連の諮問機関としてその意見や報告は国際的に重視されている。我が国の精神科医療について国際保健専門職委員会と合同調査を行い、その報告は精神保健福祉法の改正の際の参考とされた。

(9) 国際保健専門職委員会
 国際保健専門職委員会は、保健専門家の国際機関であり世界の保健専門職の地位の向上と公益の確保を目的としている。

(10) 世界精神保健連盟
 世界精神保健連盟は、1948年(昭和23年)に設立された団体で、適正な精神医療による精神障害の予防と精神障害に対する偏見の除去、メンタルヘルスの向上を目的としている。

2 その他の非政府組織の活動
 これまで障害者施策と関わりの薄かった分野においても国際的な活動が始まっている。
 インターネットの企画の開発を目的として設立された団体であるW3Cは、情報資源の利用に関する障壁を解消し障害のあるすべての人が利用できるようにするためにWAIという検討グループを設置し、インターネット及びインターネット上の情報の利用や取得の可能性を向上させるためのガイドラインやツールの作成等の活動を行っている。WAIで作成された指針を踏まえて、我が国でも「インターネットにおけるアクセシブルなウェブコンテンツの作成方法に関する指針」を策定し、バリアフリーなウエッブコンテンツを作成する方法を提示している。


第4章 21世紀に向けて

 我が国の障害者施策は国際的な取組に参加する中でノーマライゼーションの理念を取り入れ発展し、「障害者対策に関する長期計画」「障害者対策に関する新長期計画」「障害者プラン」といった障害者施策推進体制を整えていった。
 これらの計画の中でも位置づけているような、我が国の国際的地位にふさわしい国際貢献を今後とも推進することは重要な課題であり、アジア太平洋地域における先進国の一つである我が国のリーダーシップが求められている。


第2部 平成10年度を中心とした障害者施策の取組

 平成10年度に障害者のために講じた施策を、「相互の理解と交流」「社会へ向けた自立の基盤づくり」「日々の暮らしの基盤づくり」「住みよい環境の基盤づくり」の4つの視点に立ってまとめている。


第1章 相互の理解と交流(施策を推進する上で前提となる「心の壁」の除去のための啓発広報等)

第1節 障害のある人に対する理解を深めるための啓発広報等

1 啓発広報
  「障害者の日」「人権週間」「障害者雇用促進月間」「障害者週間」等を設定し、各種の行事を実施するとともに、障害者の日を中心とするテレビ、新聞等マスメディアを活用した啓発広報等を行っている。平成10年度は、12月3日〜9日の障害者週間に「障害者スポーツ交流大会」を行い、障害のある人とない人が交流を深め、12月9日の「障害者の日・記念の集い」には、「心の輪を広げる体験作文・ポスター」の内閣総理大臣表彰、ギター演奏による「ふれあいコンサート」等を行った。また、政府が実施している施策の進捗状況について広報することも重要であることから、各種計画の実施状況等について公表している。

2 福祉に関する教育
  都道府県における市民会議や福祉展の開催、児童を対象とした福祉教育等の実施のほか、平成6年度に創設した「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」 において、啓発普及事業等の取組への支援を行った。学校教育においては、障害のある児童生徒等に対する理解と認識を深めるため、教員等を対象とした講習会の開催、指導資料の作成・配布等を行った。

3 地域住民等のボランティア活動

(1) 生涯学習振興の観点から人々のボランティア活動を推進するため、都道府県教育委員会や生涯学習推進センターを拠点に、生涯学習ボランティアセンターの開設、ボランティア団体やその活動の情報収集・提供と相談事業、「活動の場」の開発等、ボランティア活動の支援・推進を図った。また、平成10年度から新たに市町村域において、公民館等の地域の身近な施設を拠点としたボランティア活動のコーディネートシステムの在り方に関する研究開発を行っている。
 さらに、平成11年度からはボランティア活動のより一層の支援・推進を図るため、電話、インターネット等による情報提供を行うこととしている。

(2) 学校におけるボランティア教育としては、ボランティア体験活動等様々な体験活動・学習機会を与えるための実践研究として、「ボランティア体験モデル推進事業」等を実施した。また、ボランティア教育の在り方について、小・中・高等学校の教員等で構成する研究協議会の開催等を行った。

(3) 地域におけるボランティア活動の振興のため、都道府県、市町村のボランティアセンターにおいて、情報誌の発行、入門講座の開催、相談、登録、あっせん等の事業、活動を推進するリーダーやコーディネーターの養成等の事業を実施する等、地域において活動したい人が、(いつでも、どこでも、誰でも、)気軽に(楽しく)参加できる枠組み作りに努めている他、ボランティアセンターの施設整備等への支援を行った。
 また、法人格の付与等を通じて、ボランティア活動をはじめとする市民活動を促進することを目的とした特定非営利活動促進法(NPO法)が成立し、平成10年12月1日から施行された。


第2節 我が国の国際的地位にふさわしい国際協力

 我が国は、国際社会の一員として、障害のある人に対する各施策分野において、我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に努める必要がある。我が国がこれらの分野で蓄積してきた技術、経験などを、政府開発援助 (ODA)や民間援助団体 (NGO)などを通じ開発途上国の障害者施策に役立たせることの意義は大きく、「政府開発援助大綱」においても、政府開発援助を効果的に実現するための方策として、「子供、障害者、高齢者等社会的弱者に十分配慮する。」ことを掲げている。
 障害者施策の各分野においては、援助を行うに当たり、援助対象国の実態や要請内容を十分把握し、その国の文化を尊重しながら要請に柔軟に対応することが大切であり、我が国は、援助対象国との密接な政策対話等を通じ様々な援助ニーズにきめ細かく対応するよう努めている。
 平成10年度においては、シリアに対する無償資金協力の他、草の根無償資金協力によるインドにおける障害者・貧窮老人支援センターの建設等105件の障害者関連の援助をNGO、地方公共団体等を対象に実施した。また、障害者関連分野において、国際協力事業団(JICA)を通じての研修員受入れや青年海外協力隊員及び専門家の派遣等を行っている。その他、NGO事業補助金により、平成10年度には、9か国において10団体、11事業の障害者関連事業に対し補助金を交付した。
 さらに、 我が国は、援助対象国への直接的な援助のほか国連等国際機関を通じた協力も行っている。例えば、国連障害者基金、日本・ESCAP協力基金、オンコセルカ症(河川盲目症)基金、ユネスコへの拠出を通じ、これら機関の活動を支援している。


第2章 社会へ向けた自立の基盤づくり(障害のある人が社会的に自立するために必要な教育・育成、雇用・就業等)

第1節 障害の特性に応じた教育・育成施策

1 障害のある子供に関する教育施策

(1) 障害のある児童生徒等については、その能力を最大限に伸ばし、自立し社会参加するための基盤を培うため、障害の種類、程度等に応じた教育を行っており、教育課程の基準改善について、平成10年7月の教育課程審議会答申に基づき、特殊教育に関する学習指導要領等を改訂した。また、教員の資質の向上を図ることを目的として、平成9年6月にいわゆる介護等体験特例法が成立し、小学校又は中学校教諭の教員免許状を取得するには盲・聾・養護学校及び社会福祉施設での介護等の体験が義務付けられた。

(2) 障害のある子供の後期中等教育の機会を確保するため、高等部の訪問教育について、平成10年度からは全都道府県で試行的実施を行う体制が整った。

(3) 大学入試センターにおいては、点字・拡大文字による出題、筆跡を触って確認できるレーズライターによる解答、チェック解答、試験時間の延長などの特別な措置を講じた。また、放送大学では、障害のある人も容易に視聴できるよう平成9年度から衛星放送を利用した全国放送を開始した。

(4) 学校教育終了後及び学校外における学習機会を提供するため、公民館、図書館等の社会教育施設にスロープ、エレベーター等の整備を行うとともに、点字図書、拡大読書機、字幕入りビデオ等の整備や、社会教育施設における学級・講座等において、障害のある人の問題に関する学習機会を提供し、理解の促進を図った。

2 障害のある児童に対する育成施策

(1) 障害のある児童に対する児童福祉施設での指導訓練のほか、障害児通園(デイサービス)事業、短期入所(ショートステイ)事業、訪問介護(ホームヘルプサービス)事業を充実し、障害のある児童の療育について児童相談所、保健所等における相談・指導を実施した。

(2) 障害の重度化、重複化に対応するため、心身障害児総合通園センターの整備や重症心身障害児(者)通園試行的事業等を実施した。

(3) 平成10年度から従来の心身障害研究等を統合し「障害保健福祉総合研究」として幅広い分野について研究が行われている。

第2節 障害のある人の職業的自立を図るための雇用・就業施策

1 身体障害者及び知的障害者の雇用状況

 我が国においては、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、民間企業、国、地方公共団体は、一定の割合以上、身体障害者を雇用しなければならないこととされている。また、雇用されている知的障害者については、実雇用率を算定するに当たり、身体障害者と同様にカウントすることとされている。
 さらに、平成10年7月1日から一定の割合以上の身体障害者又は知的障害者を雇用しなければならないこととされた。

「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき定められた雇用率
(平成10年7月1日以降適用)(改正前)  
○ 民間企業一般の民間企業1.8 % (1.6 %)  
○ 国、地方公共団体非現業的機関  2.1 % (1.9 %) 注1
(2.0 %) 注2
一定の教育委員会 2.0 % ( ── )
 注1:現業的機関、注2:非現業的機関

(1) 民間企業のうち、身体障害者雇用率1.6%が適用される一般の民間企業(常用労働者数63人以上の規模の企業)における雇用者数(平成10年6月1日現在)は25万1,443人(前年25万30人)、実雇用率1.48%(対前年0.01ポイント上昇)となっている。また、1.9%の雇用率が適用される公団、事業団等の特殊法人(常用労働者53人以上規模の法人)については、実雇用率は前年と比べ0.03ポイント上昇し、1.99%となった。

(2) 国、地方公共団体のうち、雇用率2.0%が適用される非現業的機関(各省庁、都道府県、市町村の行政機関等)の雇用者数は4万2,547人(前年4万2,037人)、実雇用率2.06%(前年2.02%)であり、1.9%の雇用率が適用される現業的機関(郵政省、大蔵省印刷局、林野庁、地方公営企業等)の雇用者数は6,168人(前年6,144人)、実雇用率2.30%(前年2.25%)となっている。

2 障害のある人の雇用促進に関する施策

(1) 法定雇用率未達成の企業等に対する雇用率達成指導、適正実施の勧告を行い、改善のみられなかった企業に対しては企業名の公表を前提として特別指導を実施した。

(2) 障害者雇用納付金制度により、雇用率未達成事業主の納付金を財源に、雇用率達成事業主等に調整金及び報奨金を支給した。

(3) 障害者の雇用の促進を図るため、障害者雇用継続助成金の支給や融資、税制等による事業主の援護措置を行った。

(4) 障害のある人に対し、職場適応訓練等の就職援護措置を講じた。

(5) その他、障害の種類に応じたきめこまかな支援施策を講じている。

(6) 障害者の雇用の促進等に関する法律等の一部改正が行われ、平成10年7月より知的障害者が障害者の雇用率の算定基礎に加えられた。

(7) 平成10年度から14年度までを運営期間とする障害者雇用対策基本方針が策定された。

(8) 情報通信機器等を活用した就労支援施策として、「サテライトオフィスの活用による障害者雇用促進策に関する研究」を行い、テレワークの実験等を行うとともに、障害のある人等の就業機会の拡大、社会参加の促進を図るため、「情報バリアフリー・テレワークセンター施設」を整備する地方公共団体等に対して必要な経費の一部を補助している。

3 障害の重度化に対応した施策

(1) 重度身体障害者又は重度知的障害者については、雇用率算定に当たって、1人を2人と算定する等の特例措置を講じているほか、第3セクター方式による重度障害者雇用企業の育成事業などの雇用促進を図るための対策を講じた。

(2) 一般の就業が困難な者に関する授産施設等の整備を行った。

4 職業リハビリテーション施策

(1) 公共職業安定所におけるきめ細かな職業相談、職業紹介や障害者職業センター等における職業リハビリテーション技術の開発及び普及、職業リハビリテーションサービスの提供等を行った。また、公共職業能力開発施設において、障害のある人を受入れやすくするために校舎の入口のスロープや手すり、トイレ等の整備を行った。

(2) 職業リハビリテーションに携わる専門職員の養成・確保に努めている。


第3節 障害のある人の生活を豊かにするためのスポーツ、レクリエーション及び文化活動の振興

1 スポーツの振興

(1) 全国的な身体障害者のスポーツ大会である全国身体障害者スポーツ大会、全国ろうあ者体育大会、高い競技性を持つジャパンパラリンピック競技大会、全国車いす駅伝競走大会等、数多くのスポーツ大会や教室が開催されている。知的障害者についても、全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック)が開催されている他、ジャパンパラリンピック競技大会に一部参加するようになった。

(2) 障害者のスポーツ振興のため、障害の特性に応じて適切な指導ができる障害者スポーツ指導者の養成への支援、グラウンド・ゴルフやインディアカ等のニュースポーツ普及などを行うスポーツ団体の育成支援や障害者スポーツ支援基金、スポーツ振興基金においてスポーツ団体のスポーツ事業に対する支援を行っている。

2 長野パラリンピック冬季競技大会における活躍
 冬季障害者スポーツ大会の祭典である「長野パラリンピック冬季競技大会」が、平成10年3月5日から3月14日の10日間にわたり、長野県長野市を中心に開催された。大会では、5競技34種目で熱戦が繰り広げられたが、大会史上初めて知的障害者の正式種目としてクロスカントリースキーが実施された。日本選手は目覚ましい活躍を見せ、金メダル12個、銀メダル16個、銅メダル13個の合計41個のメダルを獲得した。

3 レクリエーション及び文化活動の振興
 障害のある人にとってのレクリエーションや文化活動は、全国各地で様々な活動が行われており、障害のある人によるコンサートや、聴覚障害、視覚障害のある人でも楽しめる演劇等も盛んに行われるようになってきている。また、国民文化祭や全国高等学校総合文化祭においても、障害のある人々・生徒も共に参加している。

4 障害者に係る欠格条項の見直し
 資格・免許制度等において、障害があることを理由に資格・免許等の付与を制限したり、障害のある人に特定の業務への従事やサービスの利用などを制限・禁止する法令の規定(欠格条項)について、見直しを促進するための方針が平成11年8月に障害者施策推進本部において決定された。


第3章 日々の暮らしの基盤づくり(障害のある人が日常生活の質を確保するために必要な保健・医療、福祉等)

第1節 障害の予防・早期発見・早期治療等のための保健・医療施策

1 障害の予防、早期発見及び研究
 障害の原因、予防・早期発見・治療及び療育に関する研究を実施するとともに、妊産婦に対する健康診査、先天性代謝異常等検査、乳幼児健康診査等を実施した。また、周産期医療の確保のため、新生児集中治療管理室、周産期集中治療管理室の整備や、国立大学附属病院の周産母子センターの設置等の他総合的な機関として国立成育医療センター(仮称)の整備を進めている。さらに、学校及び職場における安全教育や安全対策、地域における妊産婦や新生児・未熟児等に対する訪問指導により、障害の予防に努めている。

2 医療・リハビリテーション医療
 障害のある人のための医療・リハビリテーション医療の充実は、障害の軽減を図り、障害のある人の自立を促進するために不可欠である。このため、国立大学附属病院においてはリハビリテーション部等の整備、国立療養所では進行性筋ジストロフィー児(者)及び重症心身障害児(者)の入院治療を行った。また、身体障害を軽減もしくは除去するための更生医療及び育成医療を行った。
 さらに、歩行困難等の重度身体障害者に対するリハビリテーション器具等の利用に関する助言や各種医療制度に関する指導、補装具の給付等を行った。
 平成6年の医療保険制度の改正により、かかりつけ医師による往診や在宅人工呼吸器指導管理等在宅医療に係る診療報酬の改善を図ったほか、訪問看護ステーションによる訪問看護事業の対象を重度障害者等に拡大した。

3 精神保健福祉施策
 精神病院の措置入院患者(約4千8百人)については、公費による医療費負担制度が設けられ、また、外来医療については、約48万人を対象として通院医療費の公費負担制度が設けられており、在宅の精神障害者の生活指導等を行う精神科デイケア事業及び精神科ナイトケア事業を実施した。
 保健所においては、精神保健福祉センターや医療機関、社会復帰施設等との連携の下に、精神保健福祉相談員による精神保健福祉相談、保健婦による訪問指導を実施した。
 また、精神保健福祉センターでは、精神保健福祉に関する相談指導や技術援助、知識の普及等の業務を行ったほか、心の健康づくり等の事業を実施した。
 平成7年度からは、夜間や土日曜でも安心して精神科の救急医療が受けられるよう精神科救急医療体制整備事業を実施している。
 さらに、平成11年6月には、精神障害者の人権に配慮した適正な医療の確保、精神障害者の保健福祉施策の充実等を図るため、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の一部改正が行われた。

4 専門従事者の確保
 医師については、卒前、卒後の教育の中でリハビリテーション関係の充実を図り、看護婦については、「精神看護学」や「在宅看護論」を教育課程に加え、資質の高い看護職員の養成に努めることとし、また、理学療法士及び作業療法士の養成施設については、養成力の確保について目標を達成している。さらに、精神保健福祉士法及び言語聴覚士法が平成9年12月に成立し、精神障害者の社会復帰に関する相談・援助を行う精神保健福祉士及び言語機能及び聴覚等に関するリハビリテーションを行う言語聴覚士が新たに国家資格として誕生した。


第2節 障害のある人の生活の質の向上のための福祉施策

1 生活安定のための施策
 障害のある人に対する所得保障として、障害基礎年金、障害厚生(共済)年金の制度と、障害による特別の負担に着目し、その負担の軽減を図るために支給される各種手当制度がある。我が国の年金制度は、国民皆年金体制が確立され、原則として全ての国民がいずれかの年金制度に加入することとされているので、被保険者期間中の障害については障害基礎年金や障害厚生(共済)年金が支給されるほか、国民年金に加入する20歳より前に発した障害についても障害基礎年金が支給されることから、原則として全ての成人障害者が年金を受給できることとなっている。 また、特に重度の障害のある人を対象とする特別障害者手当等も支給されている。これらの年金及び手当については、毎年物価の上昇に合わせて支給額の改定を行う(物価スライド)ほか、少なくとも5年に1度行われる財政再計算の時に、生活水準の向上や賃金の上昇に応じて支給額の改善を行っている。

2 福祉サービス

(1) 在宅サービス

〇 障害児(者)ができる限り住み慣れた家庭や地域で生活ができるようにするためには、その介護に当たる家族の介護負担を軽減するとともに、障害のある人の自立した生活を支援することが重要である。このため、訪問介護員(ホームヘルパー)の派遣及び短期入所(ショートステイ)事業を実施している。

〇 重度の身体障害者が、地域の中で日常生活を自主的に営むことができるように、身体障害者の利用に配慮した身体障害者福祉ホームの整備や公営住宅や福祉ホーム等に住む身体障害者を対象に、専任介護グループによる安定的な介護サービスを提供する身体障害者自立支援事業を行った。さらに、知的障害者の地域における自立生活の場を確保し、食事の準備や金銭管理等について世話人を派遣して援助する世話人付き共同生活住居(グループホーム)の増設を図った。

〇 日帰り介護事業については、平成6年度からは、身体障害者療護施設等併設する適当な施設のない地域においても事業が実施できるよう単独型施設に対する加算制度を導入し、また、知的障害者を対象とする日帰り介護については、重度知的障害者を対象とする重介護型日帰り介護センターの運営を開始しており、平成9年度からは1日の利用定員を5人以上に引き下げた。

〇 在宅の障害者の社会参加を促進するために都道府県・指定都市が実施する「障害者の明るいくらし」促進事業では、平成9年度において、「盲導犬」について、育成頭数の増加を図った。
 また、精神障害者が一定期間事業所に通い、対人能力や仕事に対する能力を養うための精神障害者社会適応訓練事業等を実施し、さらに平成8年度より地域で生活する精神障害者の日常生活の支援や、相談への対応、地域交流活動を実施するため、精神障害者地域生活支援事業を実施している。

(2) 施設サービス
 施設については、従来のように入所者を対象とするだけではなく、施設が蓄えてきた処遇の知識及び経験あるいは施設の持っている様々な機能を地域で生活している障害のある人が利用できるようにすることが必要であり、そのための事業を行った。また、入所者の社会復帰を目的とした施設では、地域生活への移行を促進する措置を講じている。

(3) 専門職員等の養成確保
 社会福祉士や介護福祉士等の養成、各種リハビリテーション専門職員の養成訓練等福祉分野における人材確保を図った。

(4) 精神障害者福祉の法制の整備等
 平成7年7月に「精神保健法」を改正して施行された「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」により、法の目的や責務規定に、精神障害者の自立と社会参加の促進のために必要な援助を行うという福祉施策の理念が加えられた。さらに、同法により、精神障害者保健福祉手帳制度の創設、社会復帰施設や社会適応訓練事業の法定化等、精神障害者に対する施策の枠組みが確立された。

(5) 精神障害者社会復帰促進センター
 平成5年の精神保健法の改正により、「精神障害者社会復帰促進センター」を設置することとされたことにより、平成6年に同センターが設置され、具体的事例に即した社会復帰の訓練・指導等の研究開発等の事業を実施している。

3 福祉機器の研究開発・普及、産業界の取組の推進

(1) 福祉用具産業の健全な発展
 福祉用具の役割の増大に伴い、福祉産業の健全な発展を支援するため、研究開発の推進、標準化等の産業基盤整備を進め、良質で安価な福祉用具の供給による利用者の利便性向上を図っている。

(2) 研究開発の促進
 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所では、医学、工学、心理学の各方面からリハビリテーション支援技術に関する基礎的研究、試験評価及び情報伝達機器・介護者支援用機器等の研究開発を行っている。
 通商産業省工業技術院では、産業科学技術研究開発制度(医療福祉機器技術研究開発)において最先端の産業技術を駆使し、安全性、利便性に優れ、高性能な医療福祉機器の研究開発に取り組んでいる。
 このほか、(財)テクノエイド協会においても、受託及び助成により研究開発を進めている。

(3) 標準化の推進
 平成10年6月に福祉用具、共用品等の標準化を進めるための具体的な提言を含む「高齢者・障害者に配慮した標準化政策の在り方に関する建議」を取りまとめた。

(4) 評価基盤の整備等
 より優れた福祉用具の普及を推進するには、福祉用具産業の振興を図ることが必要であるため、平成7年度から「福祉用具センター構想」を軸として、福祉用具評価基盤の整備を進め、10年度には構想を具体化するため「福祉用具評価・情報ネットワーク連絡会」を立ち上げた。

(5) 専門職員の養成及び確保
 国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて、義肢装具、補聴器、視覚障害者用補装具等の適合判定医師研修会や義肢装具士研修会を実施するとともに、関係行政機関、社会福祉施設、病院等で福祉用具の相談等を担当している専門職員を対象とする福祉機器専門職員研修会を実施した。

(6) 需要に応じた給付
 福祉用具の公的給付として、補装具と日常生活用具の給付等を行っており、日常生活用具については、平成10年度において対象品目として、新たにネブライザー、電気式たん吸収器を取り入れた。

(7) 情報提供の推進
 (財)テクノエイド協会では福祉用具の製造・販売企業の情報等のデータベースを構築し、社会福祉・医療事業団の保健・福祉情報サービスを通じて情報提供を行った。

4 情報通信機器・システムの研究開発・普及等

(1) 障害のある人の利用に配慮した情報通信システム等の研究開発等
 情報通信を積極的に利活用することにより、障害のある人の社会活動への参加を促進し、高度な情報通信基盤を活用した豊かで自立した暮らしが可能となるようにしていくことが必要である。障害のある人の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発の推進に当たっては、国立研究機関等における研究開発体制の整備及び研究開発の推進を図るとともに、民間事業者等が行う研究開発に対する支援を行うことが重要である。
 国における研究開発では、障害のある人を含め誰にでも使いやすい情報端末技術を開発するため、障害者・高齢者のための情報通信機器・システムに係る基礎的・汎用的な技術の開発(「手話認識・生成技術」等)や情報通信システムの実用化に資する研究開発(「対話型障害レベル自動判定処理技術」等)等を行っている。
 また、民間による研究開発に対する支援としては、平成8年度から、高齢者・障害者又はそれらの者の介護をする者の利便を増進する通信・放送サービスを開発する者に対する低利による融資を行っており、平成9年度より新たに高齢者・障害者向け通信・放送サービスに対する助成制度を創設し、民間による研究開発の支援を行うこととした。
 平成10年12月から平成11年5月まで、「情報バリアフリー環境の整備の在り方に関する研究会」を開催し、その報告書においては、誰でも利用可能な情報通信システムの整備の重要性、インターネットのアクセシビリティ確保に向けた方策などが提言された。
 また、障害のある人が障害のない人と同様に電気通信を利用できるようにするため、その利用に配慮した電気通信システムを設置する者に対する低利による融資制度等が設けられており、これにより障害のある人向けの情報通信機器・システム等のより一層の普及が期待されている。

(2) 「障害者等情報処理機器アクセシビリティ指針」に基づく機器の普及
 平成11年度の同指針改定に備えて、全国のリハビリテーションセンター、病院、学校などに対しヒアリングを行い、情報機器に関する現状、意識、問題点について意見の収集を行った。


第4章 住みよい環境の基盤づくり(障害のある人が仕事や日常の外出等を自由にできるようにするために必要なまちづくり、住宅確保、移動・交通、情報提供、防犯・防災対策等)

第1節 障害のある人の住みよいまちづくりのための施策

1 福祉のまちづくりの推進
 障害のある人が自立して生活し、積極的に社会参加できるよう、まち全体を障害のある人にとって利用しやすいものへと変えていくため、厚生省では、「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」を、建設省では「人にやさしいまちづくり事業」を推進し、まちづくりに関する総合計画を策定し、幅の広い歩道等の整備やエレベーターやスロープの整備等を図っている。また、建設省では、障害のある人等を含む全ての人々の利用に配慮した住宅・社会資本整備を進めるため、平成6年に「生活福祉空間づくり大綱」を策定した。

(1) 厚生省及び建設省は、市町村が関係部局の相互連携の下で福祉のまちづくりに主体的に取り組むことを支援するため、計画策定に当たっての視点や配慮事項などを総合的に盛り込んだ手引きを取りまとめて、地方公共団体に通知した。

(2) 農林水産省においても、厚生担当部局と連携して策定する高齢者アメニティ計画に基づき、農村地域において障害のある人等が安心して快適に暮らせる生活環境基盤の整備を積極的に進める「農村総合整備事業(高福祉型)」を実施した。

(3) 地方公共団体における福祉のまちづくりを効果的に進めるため、地域福祉推進特別対策事業等による地方単独事業に対する支援を行った。

2 都市計画制度、都市計画事業等による取組
 都市計画における総合的な福祉のまちづくりの取組として、障害のある人に配慮した道路、公園等の都市施設の整備、土地区画整理事業や市街地再開発などの面的な都市整備を進めるとともに、中心市街地等における社会福祉施設の適正かつ計画的な立地を進めている。
 また、地域のきめ細かな整備を進めるために、歩行支援施設や障害者誘導等施設等の整備を補助メニューに含んだ「街並み・まちづくり総合支援事業」を推進している。

3 公園、水辺空間等のオープンスペースの整備

(1) 公園整備における配慮
 都市公園等の整備に当たっては、公園の園路の幅員と勾配の工夫、縁石の切下げ、手すりの設置、ゆったりトイレの整備等障害のある人の利用に配慮した公園施設の整備を行ったほか、全国7か所の有料国営公園の身体障害者等に対する入園料金等の免除を行った。また、平成6年には、公園・緑化技術五箇年計画を定め、都市公園のバリアフリー化(物理的障壁等の除去)のための設計基準の策定や身体障害者等が運動できる公園施設の開発等を行っている。

(2) 水辺空間の整備における配慮
 河川、海岸等の水辺空間は、公園同様に障害のある人にとって、憩いと交流の場を確保するための重要な要素となっているため、河川改修及び砂防事業等を通じて、 障害のある人や高齢者に配慮した堤防護岸の緩傾斜化、堤防坂路及び親水広場におけるスロープ化等の河川整備等を行った。

(3) 港湾緑地等における配慮
 港湾緑地等の整備に当たっての、障害のある人等への配慮事項について平成9年度に行った調査研究を踏まえ、今後の港湾緑地の整備に反映させていく。

(4) 下水道施設の上部利用等の活用
 下水道施設の上部空間を障害のある人にとって親しみやすい公園や下水処理水を利用したせせらぎ等として整備した。

4 建築物の構造の改善

(1) 官庁施設のバリアフリー化
 官庁施設の整備においては、特に障害のある人の利用が見込まれる公共職業安定所等の窓口業務を行う官署等について、車いす使用者の利用を考慮したスロープ・障害者用トイレの整備等に所要の措置を講じてきた。今後は、21世紀初頭までに窓口業務を行う官庁施設の全てについて、障害のある人等に配慮した改修等を実施することとしている。

(2) 人に優しい建築物整備促進事業
 身体障害者等の利用に配慮したデパート、ホテル等の建築物の整備を促進するため、日本開発銀行(平成11年10月1日からは日本政策投資銀行)等の政府系金融機関による低利融資(ハートフルビルディング整備事業) を行った。

(3) ハートビル法の施行に伴う助成措置
 ハートビル法に基づき、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の廊下、階段等に関する基準を定め、特定建築物の建築主への指導・助言を行うほか、本法に基づき都道府県知事等により認定された優良な建築物(認定建築物)に対して、税制上の特例措置や政府系金融機関による低利融資のほか、エレベーター、幅の広い廊下等の整備に対する補助を行っている。

5 住宅整備

(1) 障害のある人に対応した住宅政策の基本的考え方
 障害のある人のニーズに対応するため、第七期住宅建設五箇年計画において、「いきいきとした長寿社会を実現するための環境整備」を基本課題として位置づけ、障害のある人のニーズの多様性に対応し、障害が生じてもそのまま住み続けられる住宅の供給等を図ることとしている。

(2) 設計、設備の面で障害者に配慮した住宅の供給

〇 新設の全ての公営住宅について長寿社会対応使用の住宅を標準仕様としている。障害者世帯には入居者の募集、選考において配慮している。

〇 新設の全ての公団賃貸住宅について、設計・設備の面で障害のある人等に配慮した住宅の仕様を標準化している。

〇 地方住宅供給公社においても、設備・設計の面で障害のある人等に配慮した住宅の仕様を標準化している。

〇 住宅金融公庫は、障害のある人等に配慮した住宅等について、最優遇金利の適用、割増融資を実施しているほか、障害のある人等が同居する比較的規模の大きな住宅についてはさらに融資額を増額している。

(3) 住宅リフォーム
 障害のある人の健やかな住生活を実現するため、障害のある人にも対応した「高齢化対応住宅リフォームマニュアル」を作成し、工務店等への普及を図っている他、障害のある人の住みやすい住宅増改築等の相談体制の整備、建築関係の専門家が住宅改造にアドバイスする住宅改良ヘルパー制度を実施している。

(4) 福祉・医療施策との連携
 障害のある人等の生活しやすい居住環境の形成を図るため、公営住宅等の建設や市街地再開発事業等において住宅と社会福祉施設等との合築・併設を推進している。

6 移動・交通対策等

(1) 公共交通機関における各種ガイドライン等に基づく事業者の指導
 公共交通ターミナルや車両の整備・改良等について、各種ガイドライン等に基づき事業者への指導を行い、鉄道駅のエレベーター、エスカレーターの設置、障害のある人にやさしい車両、バス等の導入、空港や港湾の整備を推進している。

(2) 障害のある人等の視点に立った連続性のある交通体系の計画的構築及び新しい交通システムの検討
 「高齢者・障害者等のためのモデル交通計画策定調査報告書」を平成8年3月に作成し、これを全国的な高齢者・障害のある人等のための連続性のある交通体系の具体的なモデルケースにしていくこととしている。また、我が国に適したライトレールトランジットの在り方について検討を行った。

(3) 施設整備に対する支援体制の整備
 鉄道駅等におけるエレベーター・エスカレーター等の障害のある人等のための施設整備を対象とした日本開発銀行(平成11年10月1日からは日本政策投資銀行)による低利融資を行った。
 また、交通エコロジー・モビリティ財団は、鉄道駅等の公共交通ターミナル及び旅客船におけるエレベーター・エスカレーター設置事業等への助成を行った。特に整備が急がれているJR及び民間鉄道の障害者対応型エレベーター・エスカレーター設置事業については、国からも補助を行ったほか、一定の要件の下での法人税の特例措置が創設された。

(4) 道路交通環境の改善
 車いす利用者や高齢者など様々な人が安心して通行できるよう、幅の広い歩道等を整備するとともに、既設の歩道等の段差・勾配・傾斜の改善や立体横断施設へのスロープの設置等によりバリアフリー化を進め、良好な歩行空間のネットワークとして確保するよう努力している。さらに、住宅系地区等におけるコミュニティ・ゾーンの整備、障害のある人等の利用に配慮した信号機等の設置、サービスエリア等への障害者用トイレの設置、わかりやすい案内標識の整備等を行っている。
 また、整備するに当たっては、利用者の視点に立って道路交通環境の改善が行われるよう、地域の人々や道路利用者が参加する「交通安全総点検」等を実施している。

(5) 公共交通機関周辺環境の利便性の向上
 駅等の交通結節点である駅前広場、ペデストリアンデッキ等の整備やエレベーター・エスカレーター等の歩行支援施設等の整備を行った。

(6) 障害のある人に対する運賃・料金割引等
 鉄道、バス、タクシー、旅客船、航空等の公共交通機関においては一定の要件を満たした身体障害者、知的障害者、介護者に対して運賃の割引を、有料道路においては一定の要件を満たした身体障害者、介護者に対して通行料金の割引を実施している。また、身体障害者の使用する車両に対し、駐車禁止除外指定車標章を交付した。

(7) 運転免許取得希望者への配慮
 運転免許試験場にスロープ、エレベーター等を整備することに努めているほか、多くの試験場で身体障害者用試験車両を用意しており、また、運転適性相談窓口を設けて、身体障害者の運転適性について豊富な知識を有する試験官を配置している。

(8) 障害のある人等の旅行促進のための環境整備
 平成8年3月「高齢者・障害者の利用に対応する宿泊施設のモデルガイドライン」を策定し、関係団体を通じて、宿泊施設に周知した。また、「障害を持つ人・高齢の人の海外旅行に関する取扱い手引き書」を作成した。

(9) 「オムニバスタウン構想」の推進
 平成9年度から、バスを中心とした安全で快適なまちづくりを目指す市町村を警察庁、運輸省及び建設省が連携して支援する「オムニバスタウン想」を推進し、障害のある人等の交通弱者に配慮したノンステップバス、リフト付きバス等の導入の促進等バスの利便性の向上を図った。


第2節 障害のある人が安心して生活を送るための施策

1 情報提供

〇 情報の収集や情報伝達に大きな社会的不利のある視・聴覚障害者等が、迅速かつ的確に情報を収集し、情報伝達手段を確保できるようにするため、各種施策を進めるとともに、放送事業者の積極的な取組を支援している。

〇 障害のある人が自立した生活を送るため、テープ・点字書籍等による食生活関連情報の提供を行うなど、食生活環境の改善対策を行った。

〇 都道府県等の行う点字奉仕員、朗読奉仕員、手話奉仕員及び要約筆記奉仕員に対する講習会や派遣事業や、福祉事務所への手話通訳の設置を進めている。

〇 視覚障害者の情報取得を支援するため、新聞情報等を対象とした「点字情報ネットワーク事業」、点字図書目録をデータベース化した「点字図書館情報検索体制」等を進めており、平成10年度には、「デジタル音声情報システム」を全国の点字図書館等に導入した。

〇 障害のある人の社会参加に役立つ各種情報を収集・提供し、情報交換の場を提供する「障害者情報ネットワーク」及び障害者の保健福祉研究情報を収集・提供する「障害保健福祉研究情報体制」を構築し、運用している。

〇 国政選挙においては、点字による候補者名簿等の備え付け、投票所へのスロープの設置、政権放送への手話通訳の導入等により、障害のある人の投票への配慮を行っている。

〇 放送サービスにおいては、字幕番組、解説番組等の障害のある人向けの番組を拡大するため、「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律」や「放送法及び有線テレビジョ ン放送法の一部を改正する法律」により、助成や参入負担の軽減を図り、字幕放送等の推進を図っている。

〇 障害のある人にとって欠かせない通信手段である電話については、音量調整機能付電話等の開発や使用料の減免等の措置を行っている。

〇 簡易保険事業においては、平成10年7月から点字による印字や点字の読み取りができる「点字情報総合装置」を配備し、簡易保険のお知らせ等に活用している。

〇 国民生活センターでは、商品テストの結果や悪質商法などの生活を取り巻く諸問題についての知識や情報を、テレビ番組において手話放送を行った。

2 防犯対策

〇 障害のある人が警察へアクセスする際の困難を除去するため、交番等の玄関前のスロープの設置やFAX110番の導入、FAXネットワークの構築、手話のできる警察官の交番等への配置を行った。また、(財)全日本ろうあ連盟が作成した「手話バッジ」を、手話のできる警察官等に装着させ、聴覚障害者等の利便を図っている。

〇 障害のある人が犯罪や事故の被害に遭うことの不安感を除くため、パトロール等を通じた困りごと相談や障害のある人の身近な危険に関するニーズ把握、地域安全ニュースの発行等を行った。

〇 警察部内では、手話講習会や障害のある人に対する応接、介護に関する講習会を開催するなど、職員の研修やボランティア活動への参加を支援した。

3 防災対策

〇 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成7年12月に災害対策基本法を改正し、障害のある人、高齢者、乳幼児等特に配慮を要する者に対する防災上必要な措置に関する事項の実施努力義務を規定した。

〇 地方公共団体が、障害のある人等の災害弱者対策に配慮した施設の整備が行えるように、防災まちづくり事業や緊急防災基盤整備事業により支援し、元利償還金の一部について交付税措置を行っている。

〇 各都道府県警察では、障害のある人が入所する施設等への巡回連絡、ミニ広報紙の配布等による防災に関する知識の普及や自主防災組織等の育成による障害のある人に対する支援体制の整備促進に努めた。

〇 緊急通報システムによる災害弱者から消防機関への緊急通信体制の一層の充実を図るための調査研究を進めたほか、災害弱者が入所する施設の避難対策の強化等防火管理の充実について消防機関を指導した。

〇 社会福祉施設等の災害弱者に関連した施設を保全対象に含む危険箇所に係る砂防、地すべり、急傾斜地崩壊対策事業を重点的に推進した。また、激甚な災害を受けた地域における再度災害の防止を図るため、河川事業、砂防事業、地すべり対策事業及び急傾斜地崩壊対策事業を強力に推進した。


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