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平成7年度障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告について
(平成8年版 「障害者白書」の概要)


○ 年次報告書の根拠

 この年次報告書は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第9条の規定に基づき、「障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告」として、平成5年度から国会に提出しており、いわゆる「障害者白書」として公表しているものである(今回が3回目)。

障害者基本法第9条
 政府は、毎年、国会に、障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告書を提出しなければならない。

○ 年次報告書の特徴

  1. 障害者施策をより一層促進し、障害のある人々が社会の構成員として地域のなかで共に生活し活動する社会を実現することを主要テーマとし、副題を「障害者プランの着実な推進」とした。

  2. 全体を2編に分けており、第1編には平成7年度を中心とした施策の実施状況を、第2編には、その関係資料を収録した。また、第1編を2部構成とし、第1部には平成7年度の主要な動きを、第2部では各省庁の個々の取組状況を記載している。

  3. 年次報告書を読みやすく、親しみやすくするために、写真、図表の活用や主な用語の説明、先駆的な事例等を適宜コラムで紹介している。

  4. 資料として、障害者施策に関する各種相談窓口一覧、障害者施策関連の1年間の動き、国内外の障害者施策関連の主な歩みをまとめた。

○ 年次報告書の要点

 本年度の年次報告は、障害のある人々が地域社会の中で自立して、自由に活動することができるような社会にすることを主要テーマ(副題「障害者プランの着実な推進」)に、平成7年に策定された「障害者プラン」の経緯・概要及び市町村障害者計画の策定状況、精神障害者の福祉施策の充実等を盛り込んだ精神保健法の改正を取りまとめるとともに、平成7年度を中心とした教育、保健・医療、福祉、雇用等の障害者施策の取組について、(1)相互の理解と交流、(2)社会へ向けた自立の基盤づくり、(3)日々の暮らしの基盤づくり、(4)住みよい環境の基盤づくりの4つの視点に立ってまとめている。


第1編

第1部 21世紀に向けた障害者施策の新たな展開
   −障害者プランの着実な推進−

第1章 障害者プランの策定と障害者施策の計画的推進

第1節 プラン策定の背景・経緯

 福祉3分野といわれる高齢者・児童・障害者のうち、高齢者・児童の分野においては、具体的な数値目標を掲げたプランが策定されているが、障害者の分野のみ取り残された形になり、同プランの早期策定が課題となっていた。 このため、平成7年に関係省庁での作業、与党福祉プロジェクトとの協議、中央障害施策推進協議会での審議等を経て、政府の障害者施策推進本部において、「障害者プラン−ノーマライゼーション 7ヵ年戦略−」を策定した。

第2節 プランの特色及び概要

 このプランは、平成5年3月に策定された「障害者対策に関する新長期計画」の具体化を図るための重点施策実施計画と位置づけられ、計画期間は、平成8年度から14年度までの7か年とした。
 このプランの特色は、数値目標の設定等の施策の具体的目標を盛り込み、障害者施策を強力に推進することとしている点、障害者施策は関係する行政分野が広範に及ぶことから、保健福祉分野にとどまらず、教育、雇用、生活、環境、交通、情報通信、防犯・防災など幅広い施策分野について取りまとめている点などである。

第3節 市町村障害者計画策定の促進

ア 昭和57年の国連総会で「障害者に関する世界行動計画」及び加盟国にこの計画の早期実施を要請する「障害者に関する世界行動計画の実施」が採択された。この世界行動計画により、国家レベルの長期計画の策定が要請され、我が国で最初の「障害者対策に関する長期計画」を策定した。
 その後、「国連・障害者の十年」の成果と反省を踏まえ、障害者施策推進の気運を継続させようとする動きのなか、この計画終了後の平成5年には、新たな長期的視点に立った「障害者対策に関する新長期計画」を策定した。
 さらに、平成5年12月には議員立法により「障害者基本法」が成立し、障害者の定義、年次報告の国会提出、障害者計画の策定の義務付け等が規定された。これにより、国には障害者基本計画策定の義務が、都道府県・市町村には障害者計画策定の努力義務が課せられた。

イ 市町村障害者計画策定指針の概要
 障害者基本法で規定された市町村における障害者計画の策定状況は、全国で約1割程度という状況(平成8年4月現在で3,243市町村中334市町村が策定)である。
 そのため、市町村での障害者計画策定が積極的に取り組まれるよう、その支援策として、市町村障害者計画策定指針を策定(平成7年5月)した。
 この指針では、市町村における障害者の状況・人口構成などが千差万別なことから、実状・地域特性を踏まえること、具体的な数値目標を可能なものについては設定すること、障害者自身の意見が計画に反映されるように計画策定の過程に障害者が参加できる手続きを確保すること等を記述した。

ウ 地方障害者計画の策定状況
 市町村障害者計画の策定を促すため、都道府県によっては、国の策定指針の都道府県版の作成や都道府県が中心となって、福祉圏による策定の促進等を図っている。
 代表的な事例としては、大阪府の市町村障害者計画策定マニュアルや滋賀県の7つの福祉圏域における障害者計画の策定などがある。
 さらに、計画策定の方法は、基本法に基づく計画なので単独計画にするのが原則であるが、市町村の実状等により他の計画を含む総合計画等でも差し支えないこととしている。また、滋賀県のような広域的な障害者計画としても良いこととしている。


第2章 精神障害者福祉の推進

第1節 精神障害者及び施策の現状

 我が国における精神障害者の法律上の定義は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」により、「精神分裂病、中毒性精神病、精神薄弱、精神病質その他の精神疾患を有する者」と定められている。
 精神障害者施策は、(1)精神病院等の医療機関における医療対策、(2)都道府県に設置されている精神保健福祉センター及び保健所を核とする地域精神保健福祉対策、(3)各種の社会復帰施設等を中心とする社会復帰・福祉対策の3つの柱で進めている。

第2節 精神障害者施策の歩み

 我が国の精神障害者に関する法制度は、明治33年に制定された「精神病者監護法」にさかのぼり、その内容は監護義務者を定め、私宅監置を中心とした治安の要請の強いものであった。戦後、欧米の精神衛生の知識を導入し、「精神衛生法」を制定したが、駐日米国大使の刺傷事件を契機に、保安面からの強い要請により精神障害者の管理強化が行われ、精神病院への収容中心の時代となった。
 その後、精神障害者処遇について、国際的な人権擁護の声が高まり、精神衛生社会生活適応施設等の整備が行われたが、精神病院における看護職員による暴行事件が発生し、国際的な非難を浴びることとなった。
 これらを踏まえ、昭和62年には、「精神保健法」への改正を行い、さらに、平成5年には、「精神保健法」の改正が「精神病院から社会復帰施設へ、そして社会復帰施設から地域社会へ」というテーマの下で行われた。

第3節 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律への改正

ア 法律改正の背景
 身体障害者や精神薄弱者については福祉施策を定めた法律が制定されていたが、精神障害者に対しては、保健医療対策の枠組みの中で施策が行われ、福祉施策の枠組みには含まれていなかった。国際障害者年等を契機に、精神障害者についても、精神疾患を有する患者であるとともに、日常生活や社会生活上の支障を有する障害者であるというとらえ方が広がり、福祉施策の必要性が認識され、平成5年には障害者基本法に、精神障害者が障害者として明確に位置づけられることになった。
 その後、公衆衛生審議会精神保健部会の意見具申が行われ、精神障害者を取り巻く諸問題を理解し、積極的に社会復帰・社会参加を支援していくこと等が必要であるとされた。

イ 法律改正のポイント
 精神保健福祉法への改正のポイントは、精神保健と精神障害者福祉との関係を整理し、総合的な施策の実施を図ることであった。

ウ 法律改正の概要
 法律名を「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」とし、法律の目的や責務規定に「精神障害者の自立と社会参加の促進のための援助」を位置づけた。
 精神障害者保健福祉手帳制度を創設し、各方面の協力により各種の支援が講じられることを促進し、精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と社会参加の促進を図ることとした。さらに、より良い医療を確保するため、精神保健指定医の研修受講促進措置を定めたり、措置入院等を行う精神病院には、常時勤務する指定医を置くこと、医療保護入院時の退院の請求等に関する事項の本人への告知の徹底等を規定した。また、医療保険制度の充実に伴い、公費負担医療を公費優先から保険優先への仕組みに改めた。

エ 今後の課題
 精神障害者施策は「精神病院から社会復帰施設へ」「社会復帰施設から地域社会へ」というおおおきな流れのなか、今後様々な課題に応えていくため、障害者プランの着実な推進を図っていくこととしている。


第2部 平成7年度を中心とした障害者施策の取り組み

 平成7年度に障害者のために講じた施策を、(1)相互の理解と交流、(2)社会へ向けた自立の基盤づくり、(3)日々の暮らしの基盤づくり、(4)住みよい環境の基盤づくりの4つの視点に立ってまとめた。

第1章 相互の理解と交流(施策を推進する上で前提となる「心の壁」の除去のための啓発広報等)

第1節 障害者に対する理解を深めるための啓発広報

 障害者の日を中心とする啓発広報、児童生徒を対象とした福祉教育、ボランティア教育等を実施した。

第2節 我が国の国際的地位にふさわしい国際協力

 イエメンへの車いす供与、フィージーに対するバス供与等27件の援助、JICAを通じた障害者リハビリテーション関係者の受入れや青年海外協力隊等の派遣を実施した。また、インドネシアの身体障害者リハビリテーションセンターにおける職業リハビリテーションシステム開発への協力、NGO支援、ESCAPに対する活動支援等を行った。


第2章 社会へ向けた自立の基盤づくり(障害者が社会的に自立するために必要な教育・育成、雇用・就業等)

第1節 障害者の特性に応じた教育・育成施策

 通級による指導の実施、病気療養児への対応等特殊教育の充実を図った。このほか、大学入試センターでは点字・拡大文字による出題等の措置を講じ、社会教育施設ではスロープ、エレベーター等の整備とともに、点字図書、拡大読書機、字幕入りビデオ等を整備した。
 また、障害児に対するデイサービス、ショートステイ事業等を実施するとともに、障害の重度化・重複化に対応して、心身障害児総合通園センターの整備や心身障害児通園施設機能充実モデル事業等を実施した。

第2節 障害者の職業的自立を図るための雇用・就業施策

 身体障害者雇用率1.6%が適用される一般の民間企業の雇用者数(平成7年6月1日現在)は24万7,077人(対前年1,729人増)、実雇用率は1.45%(前年1.44%)となっている。
 雇用率未達成企業等に対する雇用率達成指導、雇用率を超えて障害者を雇用している企業に対する報奨金の支給のほか、作業設備等の各種助成、事業主に対する税制上の優遇措置を講じた。また、障害の重度化等に対応し、雇用率制度上の特例(ダブルカウント)措置や第3セクター方式による重度障害者雇用企業の育成等を行った。

第3節 障害者の生活を豊かにするスポーツ、レクリエーション及び文化活動の振興

 全国身体障害者スポーツ大会の開催等スポーツの振興を図るとともに、「長野パラリンピック冬季競技大会」(平成10年3月開催)に向け準備を進めている。平成7年1月13日本大会に対し関係行政機関は必要な協力を行う旨閣議了解した。


第3章 日々の暮らしの基盤づくり(障害者が日常生活の質を確保するために必要な保健・医療、福祉等)

第1節 障害の予防・早期発見・早期治療等のための保健・医療施策

 障害の原因、予防・早期発見・治療及び療育に関する研究のほか、妊産婦に対する健康診査、先天性代謝異常等の検査等の実施、新生児集中治療室等の整備や新生児医療の実施等を行った。また、国立大学付属病院のリハビリテーション部等の整備や国立療養所での重症心身障害児等の治療のほか、更正医療及び育成医療の給付を行った。また、精神病院の措置入院者に対する公費医療負担や通院医療費の公費負担のほか、精神科デイケア施設の整備等を実施した。

第2節  障害者の生活の質の向上のための福祉施策

 ホームヘルプサービス事業等の在宅サービスの充実を図るとともに、身体障害者福祉ホームの整備やグループホームを増設した。また、重度精神薄弱者を対象とする重介護型デイサービスセンターの運営を開始したほか、平成7年度からは1日の利用定員が8人以上の小規模なデイサービスセンターの整備を行った。
 身体障害者療護施設、身体障害者授産施設及び精神薄弱者の施設の重点整備を図るとともに、平成6年度から作業施設の施設定員、職員配置基準等を弾力的に適用する小規模複合施設を創設、整備した。
 国立身体障害者リハビリテーションセンター及び工業技術院傘下の研究所で福祉用具に関する研究・開発等を行うとともに、補装具及び日常生活用具の給付等の充実を図った。


第4章 住みよい環境の基盤づくり(障害者が仕事や日常の外出等を自由にできるようにするために必要なまちづくり、住宅確保、移動・交通、情報提供、防犯・防災対策等)

第1節 障害者の住みよいまちづくりのための施策

ア 「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」や「人にやさしいまちづくり事業」等により、地方公共団体の福祉のまちづくりを推進した。
 また、ハートビル法の施行に伴い、建築主への指導・助言や施設整備に対する補助制度、税制上の特例措置等を講じた。

イ 障害者等に対する公営住宅等にかかる入居者の募集・選考においては、倍率優遇等の措置を講じた。また、障害者世帯向け公営住宅の建設、新たに建設する全ての公営住宅においては、長寿社会対応仕様を標準化した。

ウ 公共交通機関の各種ガイドライン等に基づく事業者への指導のほか、「高齢者、障害者等のためのモデル交通計画策定調査報告書」を平成8年3月に作成し、全国的なモデルケースにしていくこととしている。また、日本開発銀行等のJR、民間鉄道等に対する融資、(財)交通アメニティ推進機構を通じた鉄道駅等のエレベーター・エスカレーター設置等への助成等を行った。

エ 車いす利用者がすれ違える幅の広い歩道の整備、横断歩道部の段差解消、電線類の地中化、視覚障害者用信号機の設置等のほか、駅前広場やエレベーター等歩行支援施設等の整備を行った。このほか、公共交通機関の障害者に対する運賃・料金の割引措置、身体障害者の使用する車両に対する駐車禁止除外指定車両標章の交付を行った。

第2節 障害者が安心して生活を送るための施策

ア 都道府県の行う点訳奉仕員、朗読奉仕員、手話奉仕員及び要約筆記奉仕員に関する講習会や手話奉仕員等の派遣事業を支援したほか、新聞情報等を即時に全国の点字図書館で受信できる「点字情報ネットワーク事業」や全国の点字図書目録の検索等ができる「点字図書情報検索システム」を実施した。
 さらに、平成7年度には障害者の社会参加に役立つ各種情報を収集・提供するとともに、障害者の情報交換の場を提供する「障害者情報ネットワーク」を構築し、平成8年度から本格的に稼働することとしている。

イ 障害者が警察へアクセスする際の困難を除去するため、交番等の玄関前のスロープの設置やファックス110番の導入、ファックスネットワークの構築、手話のできる警察官の交番等への配置を行った。また、(財)全日本ろうあ連盟が作成した「手話バッジ」を、手話のできる警察官等に装着させ、聴覚障害者等の利便を図っている。また、障害者が犯罪や事故の被害に遭うことの不安感を除くため、パトロール等を通じた困りごと相談や障害者の身近に危険に関するニーズ把握、地域安全ニュースの発行等を行った。

ウ 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地方公共団体に対し、地域防災計画の見直しにあたり、障害者を含む災害弱者に対しては、地域住民や自主防災組織等の協力を得つつ、情報伝達、避難誘導、避難生活等において十分配慮するように指導した。各都道府県警察では、障害者が入所する施設等への巡回連絡、ミニ情報誌の配布や自主防災組織等の育成による障害者に対する支援体制の整備促進に努めた。また、緊急通報システムによる災害弱者から消防機関への緊急通信体制の一層の充実を図るための調査研究を進めたほか、災害弱者が入所する施設の避難対策の強化等防火管理の充実について消防機関を指導した。
 さらに、社会福祉施設等の施設を保全対象に含む危険箇所の砂防、地すべり、急傾斜地崩壊対策事業を重点的に推進したほか、都市防災施設の整備、都市防災構造化対策事業計画の策定について関係地方公共団体を指導した。


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