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第2編 全般的推進状況(平成24年度を中心とした障害者施策の取組)

第4章 日々の暮らしの基盤づくり

第1節 生活安定のための施策

8.専門職種の養成・確保

(1) 福祉専門職

福祉専門職の養成確保については、「社会福祉法」に基づき、社会福祉事業従事者等に対する研修や無料職業紹介事業等を実施する都道府県福祉人材センター及び社会福祉関係職員の福利厚生の充実を図る福利厚生センターが設置されるなど、総合的な社会福祉従事者確保の対策が進められている。

ア 社会福祉士、介護福祉士

身体上、精神上の障害等により日常生活を営むのに支障がある人に対して、専門的知識及び技術を持って福祉に関する相談援助を行う社会福祉士については、資格登録者数157,601人(平成25年1月末)、専門的知識及び技術を持って心身の状況に応じた介護や介護指導を行う介護福祉士については、資格登録者数1,086,705人(25年1月末)を数えることとなった。

平成23年度に法改正し、喀痰吸引(たんの吸引)等が介護福祉士の業務として位置付けられ、27年度からの施行が予定されている。

イ 精神保健福祉士

精神障害のある人の社会復帰に関する相談・援助を行う精神保健福祉士を国家資格化する「精神保健福祉士法」が平成9年12月に成立し、10年4月から施行された。同年以降、精神保健福祉士は着実に養成されており、有資格者数は58,770人(25年3月末)を数えることとなった。

(2) リハビリテーション従事者

高齢化の進展、疾病構造の変化等に伴い、リハビリテーションの必要性、重要性が一層増してきている。そのため、専門的な技術及び知識を有する人材の確保と資質の向上を図っていくことが重要である。

ア 理学療法士、作業療法士

理学療法士及び作業療法士は、身体や精神に障害のある人々に対し、基本的動作能力・応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るための理学療法、作業療法を行う専門職である。平成24年4月現在で理学療法士の養成施設は13,539名、作業療法士の養成施設は7,015名の定員が確保されている。

イ 視能訓練士、義肢装具士

両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行う視能訓練士、義肢・装具の装着部位の採型並びに製作及び身体への適合を行う義肢装具士の養成施設についても、平成24年4月現在それぞれ1,343名、283名の定員が確保されている。

ウ 言語聴覚士

音声機能、言語機能及び聴覚に関するリハビリテーション等を行う言語聴覚士が平成10年に国家資格化され、その養成施設は24年4月現在、定員2,866名が確保されている。

(3) 国立専門機関等の活用

国立障害者リハビリテーションセンター学院において、障害のある人のリハビリテーション・福祉に従事する専門職員の養成及び現に従事している各種専門職の技術の向上を目的とした研修として、6学科の専門職員養成、35コースの知識・技術向上のための研修を実施している。

情報の保障やコミュニケーションの支援を必要とする視覚障害のある人、聴覚障害のある人の社会参加を進める上で専門職の養成・確保が重要な課題であることから、視覚障害のある人の生活訓練を専門とする技術者を養成する視覚障害学科、聴覚障害のある人の手話通訳を専門とする手話通訳士を養成する手話通訳学科を設けているほか、現任者の技術等の向上のための、視覚障害生活支援研修会、手話通訳士専門研修会も実施している。

また、保健・医療に携わる専門職については、言語聴覚学科、義肢装具学科により養成を行っているほか、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の教育課程、音声言語機能等判定医師研修会、義肢装具士研修会、作業療法士研修会、リハビリテーション心理職研修会、言語聴覚士研修会等を実施している。

さらに、身体に障害のある人の総合的なリハビリテーションのための体育・スポーツの指導を専門とする技術者を養成するリハビリテーション体育学科を設けているほか、国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局において、地域ボランティアや住民を対象として、また、福祉教育の一環として教員や小中学生を対象に、障害のある人に対する正しい理解と知識や援助方法の習得を目的とした研修会等を実施している。

また、知的障害のある人の高齢化や障害の重複化、さらには自閉症等の特有の発達障害のある人に対する取組の強化等に伴い、これらに関連する業務に従事する専門職員の資質向上を図ることは重要な課題であることから、国立障害者リハビリテーションセンター学院において、知的障害関係福祉施設等で保護指導の業務に従事する職員の資質向上を図るための研修を実施している。特に自閉症等への取組として、全国の「発達障害者支援センター」の職員に対する療育技術に関する研修を実施している。

■ 図表2-38 『ISO/IECガイド71』に示された7つの分野の考慮事項(マトリックス)
機能・能力区分

配慮領域

感覚能力 身体能力 認知能力 アレルギー
見る、聞く、触る、嗅ぐなど 移動、握力、話すなど 判断、記憶など 接触、食べ物など
老眼・難聴、痺れなど 歩行困難、言語障害など 知的障害、自閉症など  
情報 色、文字の大きさ、コントラスト、形状など 位置、レイアウト 絵記号など  
包装 色、文字の大きさ、コントラスト、形状など 扱いやすさ、表面材質など 図記号、絵記号 成分表示、表面材質、素材など
素材(材質) 色、コントラスト、形状、表面材質、音響など 扱いやすさ、表面材質など 色、コントラスト、形状など 成分表示、表面材質、素材など
取付け 照明、扱いやすさ、道理に合った手順など 扱いやすさ、表面材質など 色、形状、道理に合った手順 成分表示、表面材質、素材など
ユーザーインタフェース 色、文字の大きさ、レイアウト、扱いやすさ 位置、レイアウト、扱いやすさなど 図記号、絵記号、わかりやすさ アレルギー性や毒性のない材質など
保守・保管・廃棄 扱いやすさ、道理に合った手順など 扱いやすさ 図記号、絵記号、道理に合った手順 アレルギー性や毒性のない材質など
構築環境(建物等) 照明、アクセスルート、音量など 位置、レイアウト、表面材質など 図記号、絵記号、わかりやすい言葉 アレルギー性や毒性のない材質など
資料: 経済産業省
■ 図表2-39 福祉専門職の資格取得者(平成24年9月末)
社会福祉士 介護福祉士 精神保健福祉士
全体 国家試験 養成施設卒業者
146,220人 984,466人 706,975人 277,491人 56,871人
資料: 厚生労働省
■ 図表2-40 リハビリテーション従事者の資格取得者(平成23年12月末)
理学療法士 作業療法士 視能訓練士 義肢装具士 言語聴覚士
90,792人 57,214人 10,016人 3,879人 18,936人
資料: 厚生労働省

福祉用具実用化開発推進事業/イノベーション推進事業

〈平成24年度新規採択テーマ〉

<1> 高透湿性・高緩衝性能を有するシリコーン複合化断端袋の開発
<2> トイレットペーパーオートフィーダーの開発
<3> 介護労働の負担と疲労を軽減する「軽労化スーツ」の実用化開発
<4> 自立支援向けコミュニケーションロボットの開発
<5> 高齢者ロコモティブシンドローム予防用具の実用化開発
<6> 被介護者の排泄時の自立支援用衣類の開発と実用化研究
<7> 高齢者向操作盤式電気不要自動ドアの実用化開発

高透湿性・高緩衝性能を有するシリコーン複合化断端袋の開発
トイレットペーパーオートフィーダーの開発
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