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子ども・子育て支援新制度

上越市の利用者支援事業について

西山 春三 氏
(上越市健康福祉部こども課 企画管理係長)

講演中の会場風景講演中の西山春三氏の写真

本日は、子ども・子育て支援新制度フォーラムの事例紹介ということで、新潟県上越市で取り組んでおります、利用者支援事業についてお話しさせていただきます。私は、上越市こども課企画管理係の西山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

スライドはありませんが、市の概要を口頭で説明いたします。当市は17年1月1日に周辺13町村が編入し、当時、全国最多の14町村による合併を経て、現在の上越市になりました。新潟県南西部、日本海に面して位置し、面積は約974km2、東京23区の約1.5倍という広大な市域を有し、人口は約20万人です。お米、お酒、そば、温泉、夏は海水浴、冬はスキーなど、海の幸、山の幸が盛りだくさんです。上越市ですが、上越新幹線ではなく、昨年開業した北陸新幹線で、ぜひ機会がありましたら、お越しいただければと思います。

それでは、事業の説明に移ります。当市では、子ども・子育て支援新制度に先がけ、利用者支援事業を平成26年度から取り組んでおります。地域子育て支援拠点のひとつである、上越市こどもセンター内に事務局を置き「じょうえつ子育てinfo」の名称で活動しています。事業の運営はNPO法人に委託しており、週7日、午前9時から午後4時半まで開設しています。相談の受付方法は、来所での相談のほか、電話、メールでも受け付けております。スタッフは保育士資格を持つ専任職員1名と、地域子育て支援士2種資格を持つ代替職員2名で運営しています。ここで、利用者支援事業を実施している「こどもセンター」について、簡単にご説明いたします。市内26カ所に開設している地域子育て支援拠点の中核となる施設で、就学前の保護者を対象に、年間11万人の親子にご利用いただいています。こどもセンターの事業として、親子の交流の場を提供するほか、子育て等に関する相談、援助、地域の子育て支援情報の提供や、子育てセミナーを開催しています。また、ファミリーサポートセンターも設置しており、市内の子育て支援施設の中核となっています。

次に、利用者支援事業開始までの経緯をご説明します。まず、利用者支援事業を実施しているこどもセンターは2001年に開設し、2006年から運営をNPO法人マミーズ・ネットに委託しています。2012年に当法人が新潟県の補助事業の「新しい公共の場づくりのためのモデル事業」として、市、NPO、民間の連携による子育て相談のワンストップ窓口である「じょうえつ子育てinfo」をこどもセンター内に設置しました。これが上越市の利用者支援事業の始まりです。翌2013年に地域子育て支援拠点事業の地域機能強化型となり、補助から委託事業へと移行しました。そして、2014年から利用者支援事業が制度化されたことにより、当該事業の基本型へ移行し、様々な子育て相談から、保育園、認定こども園などの空き情報の提供、関係機関との連携などを行うワンストップ窓口となりました。「じょうえつ子育てinfo」を設置するに至った理由として、平成24年当時から、地域の子育て力の低下など、様々な地域の課題から、支援を要する親子、気になる親子の増加が予想され、市では把握、拾い上げきれない子育てに関する悩みや、困り感を持つ親子へのアプローチが課題となっていました。この課題を解消するため、市とNPO法人が連携を強化し、子育て世代を総合的に支援する体制を整えました。従前の子育て支援体制としては、市の支援は主に「支援を要する親子」「気になる親子」に向けられており、NPO法人の支援は主に「子育てに不安や負担を感じる親子」に向けられていました。しかし、それだけでは潜在化している部分への支援が不足していました。そこで、NPO法人と情報を共有しながら連携を図り、不安を抱える転入者等に対し、漏れ落ちのない体制を整えることで、潜在化の解消を図りました。

次に、「じょうえつ子育てinfo」における、市とNPOの役割を説明します。市の役割としては、深刻な事案や、高度な専門的知見を有する事案に対応することであり、事業の全体調整や、NPO法人への支援、NPO法人の取り組み以外の支援が必要な親子への支援の充実を行っています。次に、NPO法人の役割としましては、不安感や負担感の深刻化の予防であり、日常生活に関する相談対応など、不安を抱える転入者等への支援や、地域で支える担い手の育成を行っています。

次に、「じょうえつ子育てinfo」の取り組み内容を説明します。1つ目に、子育てのコーディネート。2つ目に、初めて子育てする親や転入者への積極的な働きかけや、子育て支援情報の提供。3つ目に、地域と連携して子育て家庭を支える仕組みの構築。4つ目に、同行支援。5つ目に、訪問支援です。なお、4つ目の同行支援と訪問支援は、委託先のNPO法人の独自事業です。

次に、取り組みの詳細をご説明します。1つ目の子育てサービスのコーディネートは、利用者に対し、スタッフが使える資源をピックアップして、利用者の希望に沿った子育て支援プランを紹介しています。そして、本人の選択の下、サービス等を決定しています。2つ目に、初めて子育てをする親や転入者への積極的な情報提供として、利用者目線で作成したハンドブックを配付しています。3つ目の地域と連携して子育て家庭を支える仕組みを構築するために「子育てinfo」が各支援機関と連携をとり、子育て中の親子を共に支えるほか、インフォーマルな支援と結びつけることで、子育てしやすい地域づくりを行っています。

取り組みの成果として、まず、子育ての不安感や負担感の軽減を図り、引いては虐待の未然防止に役立っていると思っております。「相談機関」という言葉は使わず、気軽に利用できる「問い合わせの窓口」だと強調しています。また、転入者や1人目の子育ての人へ、必要な情報を届け、子育て家庭の孤立化防止に寄与できました。さらに、子育てと仕事の両立を支援できたこと、そして、民間も含めた子育て支援のコーディネートが可能になったことも成果と考えております。

「子育てinfo」のメリットとして、行政が用意した支援制度はたくさんあり、しっかりとサポートできていると考えてしまいます。しかし、実際の親子から見ると、行政の支援制度との間には心理的な距離が見られます。日常の遊び場である地域子育て支援拠点は、比較的近い距離にありますが、その他については心理的な距離があり、「本当に使ってよいのか?」と躊躇しがちになってしまいます。そこで「子育てinfo」が親子との間に入ってニーズをくみ取り、必要な支援をコーディネートすることで心理的な距離が縮み、行政が用意した支援を気軽に利用することができます。また、行政以外の民間サービスをコーディネートすることもできます。行政以外の分野との連携を取れることも本事業のメリットだと考えます。当市では行政、NPO、企業、専門職の対象者から成る会議体を持っています。年1回関係者会議を開催し、地域の課題の発見や共有を行い、各々の強みを活かしながら連携することで、地域で必要な社会資源の開発等に努めております。

利用者支援事業を行ううえで、「間口は広く、奥行きは深くあること」を心がけています。保護者が日常的に利用する拠点で実施していることから、拠点のスタッフが普段の会話から利用者の隠れたニーズを把握し、情報が不足していると判断したら「子育てinfo」へ、不安や悩みを抱えていると判断したら、拠点にいるスタッフにつなげます。そこから、必要があれば公的機関や民間の機関、ファミリーサポートセンターへつないでいきます。このように拠点での会話がきっかけとなり、ニーズに応えるため、地域社会へと裾野が広がっていきます。また、拠点内でもスタッフ間で情報を共有し、拠点としてできることを考え、利用者のフォローを行っています。

「じょうえつ子育てinfo」における取り組みは、互いに助け合うことができる担い手を育成する役割を果たすことも目標としています。少しの支援が必要な親子がお互いに支え合う親子となり、行く行くは地域で少し支援が必要な親子を支える存在となるような循環のサイクルを作り出せるよう、アプローチも行っております。

最後に、今後の課題として、妊娠期から情報を伝えられる体制を整えることがあげられます。開設場所が子育て支援施設ということもあり、出産後に利用される方が多いため、出産前後からの各ライフステージに関わる支援者とつながることで、出産前から情報を伝えられる方法を検討する必要があると考えております。また、開設場所として日常的に来られない場所に住む利用者へのアプローチも課題のひとつです。開設場所は旧上越市内にあるため、合併前町村に住む利用者を支援するため、旧町村にある地域の拠点に出向くことを来年度から検討しております。

次のスライド以降は事業の詳細です。のちほどお手元の資料をご覧ください。

以上、上越市の利用者支援事業をご紹介しました。先行して実施しているとはいえ、制度化されて間もない事業です。子育て家庭にとっては、とても必要な事業であり、今後も継続していく所存です。つたない話ではありましたが、他の自治体で事業を開始するための参考になれば幸いに存じます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

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